(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の情報は、複数の異なるネットワーク事業者がアクセス可能なデータベースに前記SMEがアクセスすることに少なくとも部分的に基づいて導出され、前記データベースは利用可能及び割り付け済みスペクトルリソースに関連する、請求項3に記載の無線ユーザ機器。
前記第1の情報は、複数の異なるネットワーク事業者がアクセス可能なデータベースに前記SMEがアクセスすることに少なくとも部分的に基づいて導出され、前記データベースは利用可能及び割り付け済みスペクトルリソースに関連する、請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで図面を参照するが、全体を通して、同様の番号は同様の部分を指す。
【0020】
概要
顕著な一態様において、本開示は、特にセルラーネットワークなどの無線通信システムで使用できるスペクトルを検出、割り当て、及び管理するための効率的なメカニズムを開示する。一実施形態では、既存の搬送波アグリゲーション原理の拡張によるコグニティブ無線方式及び動的なスペクトル共有が活用され、価値ある限られた利用可能無線周波数スペクトルを効率良く利用すると共に、高いデータレートとユーザスループットも提供している。本開示の実施形態は、利用可能な全てのRFスペクトルを利用するという利点がある(即ち、基地局(例えばeNodeBs)又は無線アクセスポイントが、効果的に使用されるかどうかに関係なく、マルチ搬送波方式で使用される全ての搬送波を恒久的に利用可能であり得る)。
【0021】
本開示の特定の一実装では、上記技法が、3GPPロングタームエボリューション(例えばリリース12(Rel−12)以上)のシステムで使用するように特に適合させてある。具体的には、スペクトル管理エンティティ(SME)及びDSS測定、制御、及びシグナリング(DSS MCS)プロセスが、上記システムの発展型パケットコア(Evolved Packet Core:EPC)及びeNodeB(基地局)内で利用されて、動的なリソース特定、割り付け、及び終了機能を実行する。
【0022】
例示的実施形態の詳細な説明
本開示の例示的実施形態を、ここで詳細に説明する。これらの実施形態は主として、異種セルラーネットワーク動作3GPP HSPA/LTE(若しくはLTE−A)又はTDD/FDD技術を用いた動作など)という文脈で述べられているが、本開示は決してそれほど限定的ではない。本開示は、例えば、他の種類/技術のセルラーネットワーク、若しくはWLAN(例えばWi−Fi(登録商標))又はWMAN(例えばWiMAX(登録商標))など他の種類の無線ネットワークで他の種類のスペクトル又は時間周波数リソース共有及び割り付けを効率良く実行するように実施され得る。
【0023】
更に、本開示は主として、無線周波数スペクトルの割り付けという文脈で述べられているが、例えば、タイムスロット、拡散符号、リソースブロック(RB)、クラウド及び処理ネットワーク内の局在化及び分散したメモリ並びに処理関数など、他の種類のネットワークリソースの特定、割り付け、及び管理に適用され得る。加えて、本明細書に記載された方法及び装置は、使用されていないスペクトルの特定及び割り付けが、特定の種類のトラフィック又は高い階層のアプリケーションでのみ行われる場合など、アプリケーションベースで利用され得る。
【0024】
異種ネットワーク(Heterogeneous Networks)、ソフトウェア無線、及びリソース共有無線ネットワーク、特にセルラーネットワークは、種類の異なるアーキテクチャ及び機能で構成されるようになっていくであろう。いわゆる「ダイナミックスペクトルアクセス」(DSA)は、先に述べたスペクトルの過少利用という問題に対処する有望なソリューションを提供している。DSAベースのソリューションには、集中的、分散的、又はその両方の組み合わせになり得るという利点がある。
【0025】
歴史的に、IMT−Advancedシステムは、低移動性アプリケーションの場合で1Gbps程度、高移動性アプリケーションで100Mbps程度のピークデータレートを対象としていた。その程度の無線通信(over−the−air)データレートを達成するために、3GPP LTE−Advanced(LTE−A)システムは、MIMOなど先進のマルチアンテナ技法を使用することに加え、搬送波アグリゲーション方式を利用しており、単一の周波数帯域また異なる周波数帯域に対応する2つ以上の構成要素搬送波をまとめて「仮想的に」広い帯域幅を生み出すことができ得る。稼働帯域幅の拡張により、システム容量を増やすことに加え、達成可能なピークデータレートを上げることもできる。
【0026】
スペクトル共有の問題、即ち、スペクトル「ホワイトスペース」(使用されていない時間/周波数リソース)などスペクトルリソースの公平な共有及び割り付け/スケジューリングと、コグニティブ無線及びソフトウェア無線(SDR)技法との組み合わせは、ネットワーク事業者にとっての関心が顕著で、IMT−Advanced以上(即ち3GPP LTE Rel−12以上)のシステムでの利用が広がることが期待されてきた。コグニティブ無線システム(CRS)とは、システムが、特に、取得した知識に従って自身の動作パラメータ及びプロトコルの動的かつ自律的な調整を可能にするために、(例えば、自身の動作上及び地理的な環境及びパラメータ、確立されたポリシー及びその内部状態についての)知識を取得できるようにする技術を用いたシステムのことである。「ソフトウェア無線(SDR)」という用語は、RF中心周波数、RF帯域幅、変調種別、出力電力などを含むがこれらに限定されないRF及びベースバンド属性をソフトウェアによって設定又は変更できるようにする技術を用いた無線送信機及び/又は受信機を全般的かつ非制限的に表す。システムの仕様又は基準に従って無線の正常なプリインストール動作及び所定の動作中に生じる動作パラメータに対する変更は、かかる変更から除外される。
【0027】
動的なスペクトル共有方式の実現に成功するかどうかは、いくつかの技術的、経済的、及び規制上の障害を取り除くことに大きく依存している。スペクトル共有機能を利用するセルラーシステムの要件は、例えば、(i)アーキテクチャ上の設計要件、(ii)再利用機会を効果的に特定するための技法(スペクトル検知)、(iii)適応型の伝送波形及び変調波形による、検出された機会の効率的利用、(iv)再構成性、(v)通信終了時のリソース解放(スペクトル移動性)、及び(vi)干渉緩和メカニズムを含む。スペクトル共有ネットワークの実装を成功させるには、特別に開発した、又は適応させた「プロトコル」及び「ポリシー」が必要である。かかるスペクトル共有プロトコルの目標は、多次元的な性質を持つのが通例である。これらのプロトコル及びポリシーによって、安定した方法でスペクトルを効率的かつ公平に使用できるようになると同時に、(例えば、第2のユーザを上記「ホワイトスペース」に許可することによって)、そのスペクトルの第1の許諾ユーザへの有害な干渉が最小限に抑えられるはずである。
【0028】
図1は、単一の事業者によって運用されたマルチ無線アクセス技術(マルチRAT)での動的なスペクトル共有(DSS)の一例を示している。
図1に描かれているマルチRATシステム100は、複数のユーザ機器102、112(例えば、以降本明細書に記載されているような携帯電話又はスマートフォン)と、各々のRAT 104、106の少なくとも1つの基地局と、この2つのRATのそれぞれのカバレージ領域108、110と、を概して含む。本実施例におけるユーザ機器102、112は別々の機器として示されているが、ハイブリッド化されている(即ち、どちらのRATでも動作できる)。
【0029】
図2は、2つの事業者(同図における事業者1及び2)が運用するマルチ無線アクセス技術(マルチRAT)における動的なスペクトル共有の一例を示している。2つの異なるシナリオ200、201、即ち、(i)各RATの略同一範囲のカバレージ領域208、210(シナリオ200)及び(ii)この2つのRATの地理的に別々のカバレージ領域208、210(シナリオ201)が示されている。
図1のシステム100に示すとおり、この2つの異種RATのそれぞれは、ユーザ機器202、212と1つ以上の基地局204、206とを含む。
【0030】
図1及び
図2に示すとおり、各種RATのカバレージ及びセルサイズは、周波数帯域に応じて、類似し得るか、又は異なり得る。ただし、図示のとおり、一時的に使用されていない周波数リソース(各図の最上部に記載されているホワイトスペース111、211)は、別の無線アクセス技術又は別の事業者のどちらも使用することができる。どちらの場合にも、スペクトルの利用効率が高まるという利点がある。更に、本開示の各種実施形態は、マルチRATを使用するシナリオに関するものだが、本開示の態様は、マルチRATを使用したシナリオ及びシングルRATを使用したシナリオの両方に広く該当するものと更に理解される。
【0031】
潜在的に利用可能なスペクトル帯域が、(本明細書の
図3に示すとおり、)恒久的に割り当てられた帯域とオンディマンドで割り当てられた帯域とに分割可能であると仮定すると、恒久的に割り当てられた帯域を使用して、(例えば、3GPP HSPA/LTE、TDD/FDD二重化方式、又はこれらの技術の改訂版及び/又は改良版など)同一又は異なる無線アクセス技術を展開することができる。
図3では、これらの技術が、「ネットワークA」302、「ネットワークB」304、「ネットワークC」306などと言及されている。この図では、3つの仮定的なネットワークが示されており、それぞれが、例えばTDD又はFDD無線アクセスシステムを展開する目的で使用される、恒久的に割り当てられたいくつかの隣接又は非隣接周波数帯域を有する。動的な割り当てを介して時間の経過とともにネットワーク間で共有されるいくつかのスペース308がある。その結果、どの時期においても、スペクトルの穴又は空きが事実上なくなる。上記システムに割り当てられた帯域の中心と関連付けられたRF搬送波は、例えば、モバイル基地局によるネットワークエントリ/再エントリ、ダウンリンク又はアップリンクにおけるユーザデータ及び制御シグナリング伝達、同期及びシステム構成情報の送信など、システムの正常動作のために使用される完全構成のプライマリRF搬送波であると仮定される。ある恒久的なRF搬送波がシステムに割り当てられると、そのRF搬送波は、プライマリ搬送波として指定され、完全に構成される(fully configured)。任意の恒久的なRF搬送波がセカンダリRF搬送波として割り当てられ、完全又は部分的に構成され得る。一時的に割り当てられたRF搬送波は、必ずセカンダリRF搬送波として指定され、完全又は部分的に構成され得る。
【0032】
方法
ここで
図4を参照すると、いくつかの異なる無線技術間で動的にスペクトルを共有するための一般化された方法400の一実施形態が示されている。本実施形態では、動的なスペクトル共有のベースとして、予約ベースの方式が利用されているが、本開示と整合する他の方式又は手法が使用され得るということが認識されよう。例えば、一変形例では、「総当り」若しくは同様の公平性ベース又は優先順位ベースの無線リソース割り付けアルゴリズムが選択されて、予約要求が不要となる。
【0033】
一例示的実装では、
図4の方法400を実施するために使用されたロジックが、スペクトル管理エンティティ(SME)、又はより広義にリソース管理エンティティ(RME)と以降称するネットワークエンティティ内で一体化されている。本明細書で使用されている「スペクトル管理」という用語は、ユーザの通信要件及びチャネル条件又は移動性条件を満たすために最適な利用可能スペクトルを取得することなどの働きを制限なく意味する。
【0034】
本開示の一実装において、SMEは事業者のコアネットワークの構成要素、即ち無線アクセスネットワーク(RAN)の一部である。ただし、SME機能は、ネットワーク内の文字どおり任意のロケーションに配置され得ると共に、実際に(ユーザ機器102、112、202、212を含む)複数の構成要素に分散し得るということが認識されよう。
【0035】
図4に戻ると、方法400のステップ402で、使用されていない許容可能スペクトルが判定される。一例示的実施形態では、SMEが、地域又は国の「ホワイトスペース」データベースにアクセスすることによって、使用されていない許容可能スペクトルを検出する。代替として(又はデータベースと併用して)、(ホワイトスペースを含む)スペクトル使用に関する情報を判定するために、コグニティブ無線技法が使用され得る。例えば、一変形例では、対象となる1つ以上の帯域に存在するエネルギーレベルを表す無線周波数スペクトルの検知を用いることができる(下記の
図8及び
図9の説明を参照)。代替として(又は上記と併用して)、ホワイトスペースを特定するのに、例えば、所定期間にわたるスペクトルの一部分における特定可能なパターン、シグナリング、又は他のアクティビティの欠如によって、ある種類の信号の不在性を用いることができる。
【0036】
次にステップ404で、1つ以上のリソース予約要求が(例えば異種システム内の基地局から)受信される。
【0037】
方法400のステップ406で、1つ以上のリソースの予約要求に応じて、要求された1つ以上のリソースが動的に割り当てられる。かかる一実施形態では、予約要求が、1つ以上の使用されていないリソースの指示を含む。例えば、スペクトルの使用状況を監視できる基地局であれば、1つ以上の使用されていないリソースを特定でき得る。交替に、リソース要求は、基地局からの情報をこれ以上必要とせずに、SMEによって完全に管理及び割り当てられ得る(即ち、基地局は利用可能又は利用不能なリソースの指示をSMEに一切提供しない)。
【0038】
一実施形態では、SMEが、新しい帯域の予約を要求する1つ以上の基地局に、利用可能なスペクトルを動的に割り当てる。かかる割り当てを使用して、(i)負荷の均衡化、(ii)データレート及びスループットの向上、及び(iii)アクティブユーザの数の一時的増大を含むがそれらに限定されない任意数の運用上(又は事業/事業者関連)の目標を達成することができる。
【0039】
方法400のステップ408で、ステップ406での1つ以上のリソースの動的な割り当てに従ってデータベース又は他の情報リポジトリが更新される。一例示的実施形態では、SMEが、ローカルデータベースを保守及び更新して、割り当て及び解放された周波数帯域を記録する。分散型データベース(例えば、複数のネットワーク事業者/地域と関連付けられたデータベースなど)も、必要に応じて保守/更新され得る。
【0040】
方法400のステップ410で、一定期間後、及び、例えば使用されていない許容可能スペクトルの1つ以上のリソースの使用終了の通知などに応じて、1つ以上のリソース割り付けが終了する。所与の割り付けの終了は、その割り付けと関連付けられた装置(例えば基地局、UEなど)における電源停止又は他のリソース使用関連イベントをSMEが観察するなど、他の要因又は(肯定的通知ではない)イベントに応じて実施されることもある。
【0041】
例示的なSME装置
ここで
図5を参照すると、先に
図4を参照して説明したSMEの例示的実装が明示及び説明されている。本実施形態では、ホワイトスペース又は他の使用されていないリソース特定を実行するように構成されているコアネットワーク(例えば発展型パケットコアつまりEPC)サーバ又は他の装置702(後記の
図7の説明を参照)でSMEが実装され、他の多様な無線技術を含む環境内で、(例えば上記予約ベースの方式に従って)かかるリソースを動的に共有する。本明細書で使用されている「サーバ」という用語は、任意の種類のコンピュータ化された機器を含み得る。そしてスタンドアロンのエンティティとして、又は別の存在する機器若しくはエンティティ内で実装することができる。
【0042】
特定のハードウェア構成及び配置を本明細書で示し述べるが、本開示に示された他の多くの構成を当業者が容易に実施でき、
図5のSME装置500は、単に、本開示のより広義の原理を示すに過ぎないということを理解されたい。例えば、装置500は、ホストEPC処理装置を仲介するように構成されたフォームファクタなど、サーバブレード又はカード型フォームファクタをとり得る。
【0043】
代替として、SME機能が存在するEPC又は他のエンティティ処理及び記憶装置と完全に統合されていても良い。他にも、本開示と整合する無数の構成が可能である。
【0044】
図5に示す装置500の処理サブシステム502は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、RISCコア、又は1つ以上の基板に搭載された複数の処理構成要素など、中央処理装置(CPU)又はデジタルプロセッサのうち1つ以上を含む。処理サブシステムは、メモリ504などの永続的コンピュータ読取可能記憶媒体に結合されている。メモリ504は、例えば、SRAM、FLASH、SDRAM、及び/又は大容量記憶装置(例えばHDD(ハードディスクドライブ))507の構成要素を含み得る。本明細書で使用するとき、用語「メモリ」とは、ROM、PROM、EEPROM、DRAM、SDRAM、DDR/2 SDRAM、EDO/FPMS、RLDRAM、SRAM、「フラッシュ」メモリ(例えば、NAND/NOR)、及びPSRAMを含めた、デジタルデータを記憶するように適合された任意のタイプの集積回路若しくは他の記憶装置を含むが、これらに限定しない。
【0045】
処理サブシステムは、追加のコプロセッサも含み得る。図示のとおり、処理サブシステム502は、別個の構成要素を含むが、いくつかの実施形態では、それらがSoC(システムオンチップ)構成で集約又は作製され得るものと理解される。
【0046】
装置500は、有線及び/又は無線インターフェース506、509を更に含む。これらのインターフェースは、それぞれEPCホスト及びDSSエンティティ600との間で送信内容を送信/受信するように構成されており(
図6を参照して下記説明)、DSSエンティティ600は、一事例において、実在する基地局装置に組み込まれており、これらの送信は、たとえば、リソース割り付け要求及び接続要求応答を含む。
【0047】
一例示的実施形態において、永続的コンピュータ読取可能記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、必要な通信及びシグナリングプロトコルをサポートすることに加え、
図4のところで説明したSME機能(即ち、ホワイトスペース/リソースの特定及び割り付け)を実行する命令を含む。
【0048】
図示されたLTEベースの実装では、
図6及び
図7のところで詳しく説明するとおり、SME装置500が、制御プレーンにおける発展型パケットコア(EPC)で基地局(例えばeNodeB)の動的なスペクトル共有(DSS)測定制御、及びシグナリングプロトコルを終了するように構成されている。
【0049】
例示的な動的なスペクトル共有(DSS)装置
図6を参照すると、特に、上記の測定機能、シグナリング機能、及び制御機能を提供するDSS装置600の例示的実装が明示及び記載されている。本実施形態では、DSS600が、リソース予約要求を提供するなどの目的で先述のEPCサーバ702に配置されたSME500と通信するように構成された1つ以上のeNodeB基地局704(
図7)で実装されている。本明細書で使用されている「基地局」という用語は、コンピュータ化されたあらゆる種類の無線周波数対応機器を含み得ると共に、スタンドアロンのエンティティとして、又は別の機器若しくはエンティティ内で実装することができ、例えば、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、ピコセル、無線アクセスポイント、又は上記の任意の組み合わせを含み得る。特定の機器構成及び配置が示され、検討されているが、当業者には本開示を考慮して多くの他の構成を容易に実行し得ると認識される。
図6の装置600は、本開示の広範な原理の単なる例示に過ぎない。SMEについての上記記述と同様、DSSエンティティは、特に、スタンドアロンのフォームファクタ、カード型フォームファクタを備え得るか、又は現存するホスト機器(例えばeNodeB)のハードウェア及び/若しくはソフトウェアと完全に統合され得る。
【0050】
図6に示すDSS処理サブシステム602は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、RISCコア、又は1つ以上の基板に搭載された複数の処理構成要素など、中央処理装置(CPU)又はデジタルプロセッサのうち1つ以上を含む。処理サブシステムは、メモリ604などの永続的コンピュータ読取可能記憶媒体に結合されている。メモリ604は、例えば、SRAM、FLASH、SDRAM、及び/又は大容量記憶装置(例えばHDD(ハードディスクドライブ))607の構成要素を含み得る。処理サブシステムは、追加コプロセッサも含み得る。図示のとおり、処理サブシステム602は、別個の構成要素を含むが、いくつかの実施形態では、それらがやはり、SoC(システムオンチップ)構成で集約又は作成され得るものと理解される。
【0051】
DSS装置600は、1つ以上の有線/無線インターフェース606、609を更に含み、有線/無線インターフェース606、609は、それぞれホストeNodeB及びSMEとの間で送信及びシグナリングを送信/受信するように構成されている。
【0052】
一例示的実施形態では、永続的コンピュータ読取可能記憶媒体が、プロセッサによって実行されたときに、本明細書の他のところに記載されたDSS機能を実施する命令を含む。
【0053】
上記のとおり、図示されたLTEベースの実装は、DSSを使用して、
図7のところで詳しく説明するeNodeBでのSME EPCの測定、制御、及びシグナリングプロトコルを終了する。
【0054】
実装例及び動作例
ここで
図7を参照すると、(3GPP発展型パケットコア(EPC)に基づいており、本開示の一例示的実装に従って一部変更された)例示的な論理ネットワークアーキテクチャ700が明示及び記載されている。図示のとおり、スペクトル管理エンティティ(SME)500及びDSS MCS 600エンティティは、パケットコアネットワーク702及びeNodeB704にそれぞれ位置する。この機能を含めるには、現在の標準インターフェースに新しい制御信号及びメッセージが必要であることから、一実装では、本明細書に記載されたリソース共有機能をサポートするために、既存のインターフェースS1、X2、並びにネットワークエンティティeNodeB704及びEPC702が、レガシー仕様に対して部分変更されている。本明細書に開示された機能は、例えば、3GPP UMTS/HSPA無線アクセスネットワーク及び関連したコアネットワークなど他の技術と併用可能であることが、当業者によって認識されよう。
【0055】
図7に示すとおり、各eNodeB704におけるDSS MCSエンティティ600は、使用されていない追加スペクトルの割り当て及び解放に加え、スペクトル使用状況の測定及びレポート、並びに追加スペクトルの要求も司る。
【0056】
先述の種類の1つ以上のSME500及びDSC MCSエンティティ600を組み込んでいるネットワークアーキテクチャ例が、本明細書の
図8に示されている。この図は、地理的に概して同じ箇所にある2つの事業者によって所有されている仮説的なマルチRATネットワークを示している。ユーザ端末は、そのユーザの移動パターンに基づいて、これらのネットワークのカバレージに出入りし得る。そのため、動的なスペクトル共有及びスペクトル移動性(spectrum mobility)と組み合わさったときに煩雑になり得るイントラRAT/インターRAT及び/又はイントラネットワーク/インターネットワークの移動性状況に遭遇するであろう。この文脈で使用されている「スペクトル移動性」という用語は、ユーザ端末がある地理領域から別の地理領域、又はあるセルのカバレージ領域から別のセルのカバレージ領域に移動するのに伴って、コグニティブ無線対応ユーザ機器102、112、202、212が動作周波数を変えるプロセスを一般に表す。コグニティブ無線ネットワークは、無線端末が、利用可能な「最良の」(1つ以上の運用上又は他の検討事項に基づいて最適な)周波数帯域で動作できるようにして、より良いスペクトルへの移行中にシームレスな通信の要件を維持することによって、スペクトルを動的に使用することを目標としている。
【0057】
図8に示すとおり、例示的実装は、ネットワーク内に2つの別々のSME機能ユニット500を含み得る。イントラネットワークSME500aは、2つ以上異なるRAT間で、事業者のネットワーク内のスペクトル共有を管理及び制御し、クロスネットワークSME500b機能ユニットは、2つ以上の事業者のネットワークにまたがってスペクトル共有機能を実行し得る。(i)eNBsとイントラネットワークSME(
図7のシグナリング経路707を参照)との間、及び(ii)イントラネットワークSMEとクロスネットワークSME804との間には、プロトコルシグナリング経路がある。イントラネットワークSME500aが、例えば狭い地理領域で使用され得るのに対し、クロスネットワークSME505bは、非常に広い地域で利用され得る。
図8に示す例示的ネットワークアーキテクチャでは、eNodeB704又はアクセスポイント(AP)が、SME500a、500bへの周期的な測定結果のレポートに加え、スペクトル可用性の検知及び測定も司るが、先述のとおり、本開示に整合する他の構成も可能であるものにと認識されよう。
【0058】
ちなみに、現行のマルチ搬送波方式では一般に、1つのRF搬送波をプライマリRF搬送波又はプライマリセル(PCell)と呼び、0以上のRF搬送波をセカンダリRF搬送波又はセカンダリセル(SCell)と呼ぶ。セカンダリRF搬送波は、完全又は部分的に構成することができ、モバイル機器(例えばUE)の機能及び他の運用上の検討事項に応じてUEに割り当てることができる。ただし、本開示の例示的実装とかかる既存のマルチ搬送波動作との間には、顕著な区別があるということが認識されよう。具体的には、後者(現行)の実装では、RF搬送波がeNodeBで恒久的に利用可能であり、アクティブ搬送波として使用、又は様々なモバイル基地局又はユーザ端末に割り当てることができる。対照的に、本開示の例示的実装では、追加で利用可能なRF搬送波(セカンダリ搬送波)を基地局又はネットワークに恒久的に割り当てる必要がなく、かかるRF搬送波は、実装された方式(例えば、先に
図4のところで説明した、基地局又はネットワークからの予約要求に基づいてのみ利用可能となる)。
図10(以下で詳述)は、本開示に係る、マルチ搬送波対応基地局又はネットワークに対する追加RF搬送波を動的に要求、割り当て、及び解放するための例示的なシグナリング手続きを表している。
【0059】
スペクトル可用性の判定
(上記
図4の例示的な方法400を含む)本開示の方法論の本質は、周波数帯域又は他のリソースを「ホワイトスペース」(即ち使用されていないリソース)として特定及び指定できるという点である。この指定を行うために、本開示の一例示的実施形態では、対象となる周波数帯域のエネルギーが、例えば周期的間隔で、一定期間(「非占有期間(non−occupancy period)」又はNOPと称される)にわたって計算され、この値が、例えば適応型しきい値902(
図9を参照)と比較される。この例示的実装では、エネルギーが、(i)信号、(ii)ノイズ、及び(iii)存在するあらゆる干渉の合計値として計算されるが、本開示に整合する他のエネルギー計算方法(及び実際には本質的にエネルギーでないものを測定する他の測定基準)が使用され得るということが認識されよう。一実施形態では、スペクトル占有が所定の地理領域(「測定セル」と称される)で測定され、一実装では、このスペクトル占有が、対象のeNodeB又はAPのカバレージ領域と少なくとも部分的に重なる。一変形例では、測定が周期的間隔(「測定間隔」と称される)で繰り返され、適応型しきい値と比較される。
【0060】
スペクトル占有の例示的な基準として、指定されたNOPでアクティビティレベルが所定のしきい値902未満だと、そのスペクトルが使用されていないものと見なされ、そのしきい値以上だと、使用されているものと見なされる。
【0063】
は、時刻t
jでサンプリングされ、チャネルC
iで送信/受信された信号の電力スペクトル密度関数を表しており、それぞれチャネルの中心周波数及びチャネルの帯域幅である。瞬間隣接チャネル漏洩比(Instantaneous Adjacent Channel Leakage Ratio:ACLR)は次の式で定義される。
【0065】
式中、W’及びf
0はそれぞれ、未使用の可能性がある測定対象チャネルの帯域幅と、チャネルC
iの中心周波数からのオフセット(即ち保護帯域を表す)と、を表す。P
t(t
j)が上記式の分母(チャネルC
iにおける瞬間送信/受信信号エネルギー)を表す場合に、その瞬間エネルギーが非占有期間(NOP)T
non-occupancyにわたる瞬間エネルギーサンプルが、適応型且つ構成可能なしきい値ζ未満であれば、そのチャネルは占有されていないものと見なされる。数式で表すと、次のようになる。
【0067】
式中、N
o(t
j)及びI
o(t
j)はそれぞれ、時間t
jにおけるノイズ及びインターセル/イントラセル干渉電力サンプルを表す。
【0068】
その後、このチャネルは占有されていないものと見なされ、SME500a、500bは、空のチャネルを、追加スペクトルを求める保留中の要求を有する別のシステム又は事業者に割り当てられるものと見なす。
【0069】
共有チャネルにおける雑音フロア(スプリアス信号、ノイズ及び干渉)によって、所与の周波数帯域で達成可能な信号対雑音干渉比(SINR)が下がるということが認識されよう。そのため、しきい値ζは、その帯域に割り当てられ、その帯域で運用される無線アクセス技術又は無線ネットワークの運用上のSINR制限が満たされるように選択すべきである。
【0070】
更に、上記サンプル計算式は、特定又は受容基準として適応型しきい値を用いているが、上記しきい値と併用して、又は上記しきい値の代わりに他の基準も使用され得る。例えば、一変形例では、検知されたエネルギー署名(sensed energy signature)の一定期間にわたる安定又は変動の乏しさが(即ち、略一定又は変動の少ないスペクトル署名は、略一定の干渉源及び/又はノイズを表すのではなく、ユーザが存在しないという仮定に基づいて)、スペクトルが使用されているかどうかを判定するのに用いられる。
【0071】
新しいチャネルの例示的な予約及び解放手続き
ここで
図10を参照すると、本開示に係る例示的な予約及び解放手続きが明示及び詳述されている。本明細書では、
図7及び
図8のLTEベースのインフラストラクチャという文脈で図示されているが、本開示を考慮すれば、次の手続きが、当業者により、他の技術及びネットワーク構成に容易に応用されるということが認識されよう。
【0072】
図10に示すとおり、ステップ1002で、eNodeB704が、新しいRF搬送波を予約するための要求をスペクトル管理エンティティ(SME)500に送る。本実施形態例では、SMEがEPC702に位置し、eNodeB704とEPCとの間のシグナリングが、現行のS1インターフェース経由で行われるが、他のインターフェースもこの目的で使用され得る。スペクトル予約要求メッセージは、例えば、RF搬送波の数、好適な二重化方式(TDD/FDD)などを包含し得る。
【0073】
なお、規制上の制約に加え、単一のスペクトル帯域又は周波数が充分に離れていない2つのスペクトル帯域はFDDの動作をサポートしない場合がある。SME500は、要求を出しているeNodeBに1つ以上のRF搬送波を割り当て可能であれば、一実装において、(i)スペクトルの種類(TDD/FDD)、(ii)ダウンリンク及びアップリンク帯域の周波数分離(FDDの場合)、(iii)各帯域のリンク方向、(iv)必要な保護帯域構成、(v)帯域外(out−of−band:OOB)エミッションの制限、及び(vi)許容可能な隣接チャネル抑圧比(Adjacent Channel Rejection Ratio:ACRR)が挙げられるが、これらに限定されない、割り当てられたRF搬送波のパラメータを包含している確認メッセージを、要求を出しているeNodeBに送る(ステップ1004)。
【0074】
そうでない場合には、そのスペクトルが他のeNodeBによって使用されることが意図されていれば、スペクトル予約要求が拒否されるか、ウェイティングリストに入れられ、要求を出しているeNodeBにこの決定を通知するための信号が送信される(ステップ1006)。要求が拒否された場合、eNodeBは、依然として追加スペクトル(又はセカンダリRF搬送波)が必要であれば、別の予約要求を送る。先の要求がウェイティングリストに入れられた場合、要求を出しているeNodeBは、新しい要求を送る必要がなく、スペクトルが利用可能になるまで待機する。その場合、SME500は、先ほど説明したものと同じ予約確認メッセージを使用して要求を出しているeNodeBに通知する。
【0075】
eNodeBは、予約要求確認を受信すると、ステップ1010で、新しいセカンダリRF搬送波が利用可能であることを通知するユニキャスト又はブロードキャストメッセージをマルチ搬送波対応UE202に送る。なお、イントラネットワークSME500a/クロスネットワークSME500bによる新しいRF搬送波の割り当ては一時的なものであり、そのRF搬送波は、使用されなくなると、eNodeBによって解放される。
【0076】
利用可能な新しいRF搬送波のユニキャスト又はブロードキャスト広告(broadcast advertisement)に続いて、eNodeBは、選択されたマルチ搬送波対応UEでセカンダリRF搬送波セットアップ手続きを開始し、新しいセカンダリ搬送波で、恒久的なプライマリ及びセカンダリRF搬送波が今日割り付け及び使用されるのと同じように制御及びトラフィック割り付けを実行することができる(ステップ1012)。なお、追加RF搬送波の動的な割り付け及び解放1014は、UE202に対して透過的であり、eNodeBとSMEとの間で行われる。また、例示的実装では、各RF搬送波が、中心周波数、帯域幅、マスキング、OOB要件などに関する情報を含む一意の識別情報を有する。
【0077】
セカンダリRF搬送波が使用されなくなったり、充分な負荷に達したりすると、eNodeBは、まずステップ1013で、これらのセカンダリRF搬送波を使用するように構成された全てのUEでセカンダリRF搬送波の割り付け解除を実行し、次に、解放されたRF搬送波のアイデンティティを包含しているSMEにスペクトル開放メッセージを送る(ステップ1014)ことによって、セカンダリRF搬送波を解放する。ステップ1016で、イントラネットワーク/クロスネットワークSME500a/500bが、RF搬送波の解放及びそれらのRF搬送波のアイデンティティを確認する確認メッセージを送る。解放されたRF搬送波は、同じ要求及び割り当て手続きに従って後に再び割り当てられない限り、それらを解放したeNodeBによって使用されることはない。
【0078】
図10には示されていないが、一実装において、イントラネットワーク/クロスネットワークSME500a/500bは、コグニティブ無線技法を利用して(例えばチャネル検知技法を用いて)、一時的に割り当てられたスペクトル帯域の使用状況を調べ、効率的又は効果的に利用されていないスペクトル帯域の解放を要求する。その場合には、イントラネットワーク/クロスネットワークSMEからeNodeB704への解放要求メッセージによって、セカンダリ搬送波解放手続きがトリガされる。
【0079】
本開示に記載した、占有されていない周波数帯域の検出及び割り当て手続きに加え、コグニティブ無線技法を用いた動的なスペクトル共有というコンセプトも、先述のとおり、当業者によって容易に改変されて、各種無線アクセス技術に応用され得る。更に、イントラネットワーク/クロスネットワークSME500a/500bのロケーション及び実装は、この方式が適用される無線アクセス技術に応じて変わり得る。
【0080】
本開示の例示的実装では、eNodeB704及びUE202で、ソフトウェア無線(SDR)並びに再構成可能なRF及び/又はベースバンド処理を利用している。これは、eNodeBに割り当てられ得るRF帯域についてeNodeB704及びUE202の両方が先験的に把握しているわけではないからである。そのため、eNodeB704及びUE202は、一時的なセカンダリRF搬送波が割り付け又は割り付け解除されたときに、RF回路を自動的に構成/再構成する必要がある。
【0081】
各種帯域をかかる各種無線アクセス技術に割り当てることに関する潜在的な共存問題について説明した結果、例えば、異なる無線アクセス技術(RAT)をサポートするいくつかの基地局間でRFスペクトル又は他のリソースを動的に共有する形態などで、イントラネットワーク/クロスネットワークSME500a/500bによる本開示の使用事例も存在するということも認識されよう。
【0082】
更に、上記実施形態は、許諾されたスペクトルという文脈で説明されているが、本開示の使用されていない利用可能スペクトル(ホワイトスペース)は、許諾されている場合も、許諾されていない場合も、(両方の混合である場合も、)あるということが認識されよう。一実装におけるイントラネットワーク/クロスネットワークSME500a/500bは、許諾されているRF帯域と許諾されていないRF帯域とを区別し、(例えば、許諾されたスペクトルをセルラーシステムに割り付け、許諾されていないスペクトルを、Wi−Fiなどの許諾されていないシステムに割り付けることによって、)この属性を考慮して、これらの帯域をプロビジョニングし、無線アクセスシステムに割り当てるように構成されている。
【0083】
本開示の特定の態様が、方法のステップの特定のシーケンスの観点から説明されているが、これらの説明は、本開示の広範な諸方法の例示に過ぎないものであり、特定の適用によって、必要に応じて修正することができる点が認識されるであろう。特定のステップは、特定の状況下では、不必要又は任意選択とすることができる。更には、特定のステップ又は機能性を、開示される実施形態に追加することができ、あるいは2つ以上のステップの実行の順序を、置き換えることもできる。全てのそのような変更形態は、本明細書で開示され特許請求される、本開示の範囲内に包含されると見なされる。
【0084】
上述の詳細な説明は、様々な実施形態に適用される本開示の新規の特徴を図示し、説明し、かつ指摘しているが、当業者が、本開示から逸脱することなく、例示の装置又はプロセスの形態及び詳細に様々な省略、代替、及び変更を施すことができることが理解されるであろう。上記説明は、現時点で考えられる《本開示》の最良実施態様のものである。本説明は、限定することを決して意図するものではなく、むしろ、本開示の一般的原理の例示として解釈されるべきである。本開示の範囲は、特許請求の範囲に準拠して決定されるべきである。