(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2枚のガラスシートと、これらのガラスシートの間に配置されたポリマー材料製のセパレータ層と、電気伝導体とを含む、曲げ加工した積層グレージングを製造する方法であり、対にした状態のガラスシートを熱により同時に曲げ加工してからそれらを冷却し、そしてその後ガラスシートをセパレータ層へその両側で結合させて積層グレージングの集成を行うことを含む方法であって、
前記冷却が、対にした状態でのガラスシートの制御冷却であって、全体的な制御冷却と、この全体的な制御冷却よりも速やかな切り抜き領域の局所制御冷却とを含む制御冷却を含むものであり、
前記切り抜き領域における切り抜き線に沿ってガラスシートのうちの1枚の切り抜きを行って孔開き領域を形成し、
前記電気伝導体をガラスシートの間に配置して前記孔開き領域を通って積層グレージングから出ていくようにすることを特徴とする、曲げ加工した積層グレージングの製造方法。
前記切り抜き領域の前記局所制御冷却が、切り抜き後に前記孔開き領域の端部応力が4MPaより大きくなるのに充分な時間及び強度であることを特徴とする、請求項1から3の一つに記載の方法。
前記局所制御冷却を、対にした状態のガラスシートを取り巻く周囲空気よりも冷たい空気を局所的に吹き付けることにより行うことを特徴とする、請求項1から5の一つに記載の方法。
前記孔開き領域を、第1のガラスシートに形成し、第1のガラスシートの当該孔開き領域に向き合う第2のガラスシートには孔開き領域を形成しないことを特徴とする、請求項1から12の一つに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
グレージングは、それらを使用する際、特にそれらの取り扱いの際に、熱的又は機械的応力を受け、破壊を回避するためこれらに耐えなければならない。例えば、車両のフロントガラスは、これらを手によってであれロボットによってであれ車体に装着するときに、その周辺部に機械的力を受ける。グレージングは、機械的応力に加えて、フロントガラスの除氷サイクルの間に熱的応力を受ける。これらの熱的又は機械的応力は、とりわけグレージングの端部での破損のリスクをもたらす。グレージングの良好な機械的強度を保証するために、グレージングの製造の際に圧縮端部応力を発生させる。これらの端部応力は既知であり、自動車製造者の仕様書に規定されている。圧縮応力は、圧縮応力を有するグレージングの外縁部に加えて、好ましくは孔開き部分の周囲にも発生させる。孔開き部分の端部の強化により、この領域が衝撃に対して及び取り扱い操作に対して更に耐性を持つようになり、装備品(アンテナ等)を固定するためにそれを使用することも可能となる。
【0010】
フランス国特許出願公開第1159322号明細書には、少なくとも2枚のガラスシートとこれらのシートの間に配置されたポリマー材料製の少なくとも1つのセパレータ層とを含む積層グレージングを製造する方法が教示されており、この方法は、シートの曲げ加工、シートの制御冷却、及びガラスシートとセパレータ層との集成を含み、そしてこの方法は以下の工程、すなわち、
・ガラスシートを曲げ加工する工程、
・ガラスシートを制御冷却する工程、
・ガラスシートとセパレータ層とを含む積層集成体を形成する工程、
・積層集成体の1つの主面上の線に沿いその厚さを貫いて積層集成体を切断する工程、
をこの順番で含み、前記制御冷却は、前記切断する線を含む領域の全体的な制御冷却と、この全体的な制御冷却よりも速やかな局所的な制御冷却とを含む。局所的な制御冷却が、切断する線に沿って端部応力を発生させる。
【0011】
本発明との関連で使用されるガラスシートは、1つ以上の薄い層(例えば、防眩性、太陽光からの防護、耐引っかき性など)を用いて被覆してもよくしなくともよい。
【0012】
ガラスシートは2つの主面を含み、同じことが積層集成体にも当てはまる。「積層集成体」との表現は、最終的な積層グレージングを指し示すことができる。
【0013】
本発明との関連で言えば、電気伝導体はポリマー材料製のセパレータと緊密に接触し、且つ孔又は切欠きである孔開き領域を貫通する。孔又は切欠きの周囲に端部圧縮応力が存在することは、この関連において特に重要である。これは、ポリマー材料から形成されたセパレータシート内に組み込まれ又はそれに接触した電気伝導体が、2枚のガラスシートの間に閉じ込められた材料の体積をわずかに且つ局所的に増加させるからである。従ってガラスシートは、この製造物を製造する際に、より詳細には積層グレージングのいわゆる「集成」段階の間にガラスシートとセパレータシートとの間から残留空気を除去するときに、わずかに変形する。近傍の2枚のガラスシートのこのわずかな局所変形は、グレージングを加熱する製造工程の間(例えはオートクレーブを通過する間)に緩和することができ、このときポリマーは軟化してクリープを起こす傾向を示す。それにもかかわらず、電気伝導体に沿って、より詳細にはこの伝導体がガラスのシートの間から出てくる開口又は切欠きの端部で、局所変形応力を発生させる2枚のシートの残留変形はなおも残ったままである。従って、この開口又は切欠きの端部での残留圧縮応力は、上述の機械的又は熱機械的な外部負荷応力だけでなく、伝導体の存在が原因となる2枚のガラスシートの永久的変形により誘起される応力にも、充分耐えられるものでなくてはならない。
【0014】
ガラス製造物における応力は、それがその純粋な弾性的性質を消失し、粘弾性液体タイプのわずかな塑性を示すことになる温度に加熱される場合に発生する。冷却の際に、そしてサンプルの初期の熱的不均一性及び/又は冷却自体の均一性に応じて、一部の領域がその他よりも前に固くなる。熱的膨脹に起因して、冷却の間にサンプル内に永久圧縮応力及び永久拡張応力が発生する。定性的には、ガラスが最初に固くなる部分は圧縮応力が集中する部分に相当する一方で、ガラスが遅れて固くなる部分は拡張応力の領域に集中する。本出願に記載の端部応力は、材料の任意の点Mにおいて所与の方向について定義することのできる膜応力、例えばこの点且つこの方向における応力場の平均などであり、この平均はサンプルの厚さ全体にわたって計算される。サンプルの端部では、端部に対して平行な膜応力成分のみとなり、垂直成分はゼロの値をとる。よって、端部に沿った、そしてサンプルの厚さ全体にわたる平均応力の測定を可能にするいかなる測定方法も適切なものである。端部応力を測定する方法は、光弾性測定技術を使用する。以下に挙げるASTM規格に記載の2つの方法、すなわち、
・ASTM C1279−2009−01規格の手順Bに記載の、バビネ補償板を使用する方法、
・市場標準の装置、例えば英国プレストンのSharples Stress Engineers社により販売されるSharplesモデルS−67などを用い、いわゆるセナルモン補償版又はジェソップ−フリーデル補償板を使用して実行される、測定原理がASTM F218−2005−01規格に記載されている測定、
が端部応力値の測定を可能にする。
【0015】
本願との関連で言えば、圧縮応力値はASTM F218−2005−01規格に記載の方法により測定される。
【0016】
一般に、圧縮応力値は、端部から0.1mmと2mmの間、好ましくは端部から0.5mmと1mmの間で測定される。
【0017】
本発明によれば、積層グレージングを形成するため集成しようとする別々のガラスシートを、対にした状態で(すなわち、1枚のシートの1つの主面が他方のシートの1つの主面に接触し、一般に2枚のシートがもう1枚の上に重ね合わされて積重体を形成するような対を形成して)一緒に曲げ加工し、その結果それらは両方とも熱による曲げ加工の間に同一の曲率をとる。一緒に集成しようとする2枚のシートを対にした状態で同時に曲げ加工することによって、別々のガラスシートが場合によっては厚さと色合いを異にすることができるという利点が得られる。実際、2枚のシートは、それらが異なっているにもかかわらず、同一の曲率をとることになる。
【0018】
本発明によれば、孔開き領域を形成する穿孔は、曲げ加工前に又は曲げ加工後に、ガラスシートの一方で又は両方で行うことができる。最終的なグレージングの光学的品質は一般に、曲げ加工後に穿孔する場合の方が良好となるが、その理由は、曲げ加工が近傍にある孔開き領域による影響を受けていないからである。穿孔を2枚のガラスシートに対して行う場合には、ガラスシートの孔開き領域どうしが積層グレージングにおいて向き合うように、又は向き合わないように行うことができる。穿孔箇所の選択は、所望の最終製造物に依存する。
【0019】
本発明は、2枚のガラスシートと、ガラスシートの間に配置されたポリマー材料製のセパレータ層と、電気伝導体とを含む、曲げ加工した積層グレージングを製造する方法に関するものであり、この方法は、対にした状態のガラスシートを熱により同時に曲げ加工することと、これに続くそれらの冷却と、その後のガラスシートをセパレータ層にその両側で結合することによる積層グレージングの集成と、切り抜き領域における切り抜き線に沿ったガラスシートのうちの一方の切り抜きによる孔開き領域の形成とを含み、前記冷却は対にした状態のガラスシートの制御冷却を含み、この制御冷却は、全体的な制御冷却と、全体的な制御冷却よりも速やかである切り抜き領域の局所制御冷却とを含み、前記電気伝導体はガラスシートの間に配置され、孔開き領域を通って積層グレージングから外に出る。
【0020】
前記ポリマー材料は一般にポリビニルブチラールであり、より一般的には当業者によりPVBと称される。
【0021】
本発明の目的はとりわけ、積層グレージングを製造する方法を提案することであり、この方法では、ガラスシートの少なくとも1枚、場合によりガラスシートの両方に、その厚さ全体にわたって切り抜き線に沿って切り抜いた、端部圧縮応力を示す端部を設けてから、積層したガラスシートの集成を行う。切り抜き線に沿って切り抜いた端部は、孔開き領域をもたらし、グレージングの外縁部における開口又は切欠きの形態を有する。本発明による方法は、切り抜いた端部のこの端部に沿って均一で充分な大きさの圧縮応力を保証する。切欠きの場合には、本発明による方法は好ましくは、ガラスシートの端部において当該ガラスシートの内側に向かって少なくとも0.5cmの深さを有する切欠きに適用される。一般に、切欠きは、ガラスシートの1枚だけに形成され、他方のガラスシートの同一箇所(切欠きに面する)に孔開き領域はない。
【0022】
本発明によれば、ガラスシートにおける孔開き部分は、その厚さ全体を貫通する孔又は切欠きである。孔(開口と同義)は、切り抜きを施したガラスシートの主面においてそれ自体を完全に閉じ込める輪郭を有する。切欠きは、ガラスシートの外縁を不連続にして、ガラスシートの主面の内側に向かって孔を開けた部分を形成する。それは、ガラスシートの縁部に口をあけた孔と考えることができる。本発明との関連で言えば、ガラスシートのいずれの孔開き領域も、当該ガラスシートの厚さを「貫通している」、すなわち厚さの全体を貫通していると見なすことができる。
【0023】
孔開き領域、とりわけ開口を、第1のガラスシートに形成することができる一方で、第1のガラスシートの孔開き領域に面する第2のガラスシートには、孔開き領域は形成されない(2枚のガラスシートを集成して積層グレージングを形成する場合)。この場合には、セパレータ層は、該当する場合においてそれを貫通しなければならない電気伝導体の輪郭に相当する輪郭に沿って切り抜くのを除いて、第1のガラスシートの孔開き領域に面するところで切り抜かれないのが好ましい。
【0024】
電気伝導体を通すためのガラスシートにおける開口は、3mmと80mmの間の直径を有することができる。
【0025】
本願との関連で言えば、ガラス板が隣り合わせた状態にあるときにそれらに適用される冷却には、次の2つのタイプがある。
a)シートの外縁部で充分な機械的強度を得るために当該外縁部に圧縮応力を発生させるのを可能にする「全体的な制御冷却」。この冷却は、グレージング全てに対して全体的に行われ、このタイプの全体的冷却は当業者に周知である。
b)既に切り抜いた又は後に切り抜くことになる線の端部で圧縮応力を生じさせるため、本発明に従って行われる「局所制御冷却」。この局所制御冷却は全体的な冷却よりも速やかである。
【0026】
こうして、本発明の方法は様々な利点を提供し、とりわけ、
・対になった状態で同時に曲げ加工することよるものであり、集成体のより良好な品質を保証する、2枚のガラスシート間の形状の良好な整合性、
・切り抜きのための線を覆う領域でのより強力な局所制御冷却に起因する、切り抜きにより作られた端部に存在する圧縮応力、
という利点を提供する。
【0027】
局所制御冷却は、主面の非均一な冷却である。これは、冷却に付されるシート対の積重体の主面のうちの一方のみ又は両方に適用することができる。
【0028】
切り抜き領域(切り抜き線を含む)の局所制御冷却は、シートの全体的な制御冷却よりも速やかである。局所冷却は、実際の切り抜きの前又は後に、切り抜き線のところで適用される。この局所冷却領域は、切り抜き線全体にわたってこの線のいずれの側でも一般に少なくとも1mmずつの範囲に及ぶ。局所冷却は、必ずしも直接切り抜き工具にさらされることになるとは限らない近傍領域に広げことができる。例として、数センチメートルの直径の孔を局所冷却実行後にガラスシートに形成しようとする場合には、局所冷却を孔(実際には孔よりも若干広い)に相当する表面全体に行うことができる一方、切り抜きは孔の輪郭に沿って行うだけである。比較的大きいサイズの孔(50mmの直径の円柱が通り抜けられる孔)の場合には、局所制御冷却は、切り抜こうとする又は既に切り抜かれた線にのみ適用することが好ましい。実際、孔を開けた又は孔を開けようとする面が大きい場合には、その面全体にわたりこの局所制御冷却を適用することは無意味である。
【0029】
局所制御冷却は、対流、伝導、輻射、又はこれらの手段の組合せによりなされる。
【0030】
全体的な制御冷却は、曲げ加工の直後に適用される。一般に、局所制御冷却は、全体的な冷却の開始と終了の間に適用される。しかしながら、局所冷却を曲げ加工の終盤に、全体的な冷却を開始していない時点で開始することは、除外されない。
【0031】
このように、局所制御冷却は一般に、冷却チャンバー内で、好ましくは冷却チャンバーでのグレージングの全体的な冷却の開始時に、適用される。別の実施形態として、それは曲げ加工チャンバーの最後部で開始してもよい。
【0032】
制御冷却チャンバーが全体的な制御冷却を行う。局所制御冷却もそこで行う場合には、このチャンバーにこの局所制御冷却を適用するのに必要な手段も備え付ける。この手段は、例えば、対にしたガラスシートの面へ局所的に吹き付けるノズルであることが可能である。それはまた、更に速やかに冷却する必要のある局所領域と接触する、低温の(例えば空気により内部から冷却した)金属製要素であることも可能である。
【0033】
曲げ加工及び冷却は両方とも、対になるように配置した2枚のガラスシートで行うのが有利である。とりわけ、対にした2枚のシートは、少なくとも1つの曲げ加工チャンバーを通り、そしてその後少なくとも1つの制御冷却チャンバーを通って移動することができ、局所制御冷却は、場合により、直ぐ前の曲げ加工チャンバー内で、又は制御冷却チャンバー内で開始することができる。
【0034】
ガラスシートの曲げ加工はとりわけ、曲げ加工温度でのプレス及び/又は吸引により行うことができ、これは国際公開第02/064519号、同第2006/072721号、同第2004/087590号に教示されるとおりである。この曲げ加工は、対にした、その後集成すべきガラスシートで行われる。とりわけ、対にした2枚のガラスシートは、重力式の予備曲げ加工チャンバーを通り、その後プレス及び/又は吸引チャンバーを通り、そして最後に制御冷却チャンバーを通って移動することができ、場合により局所制御冷却が曲げ加工の終了時に又は冷却チャンバー内で開始する。制御冷却は、580℃よりも高い(一般に650℃と580℃の間の)温度で開始し、そして少なくとも温度が520℃に、場合によってはこの温度未満に低下するまで続く。これは冷却チャンバー内で行われ、場合によってはもっと早く直ぐ前のチャンバー内で開始する。
【0035】
対にしたガラスシートの曲げ加工は、熱での曲げ加工に必要な温度を考慮して、それらの間に有機材料を配置せずに行われる。熱での曲げ加工は、ポリマー材料製のセパレータを用いての集成より先に行われるが、これは、セパレータが気泡の形成を伴って160℃から劣化し始めるからである。それをそうした低い温度から冷却するとしたら、ガラス中に永久端部圧縮応力を生じさせるのが更に不可能になる。
【0036】
曲げ加工は、必ずしもチャンバー内で行われるとは限らず、開放空気中で曲げ加工工具で行うことができる。
【0037】
同様に、全体的な制御冷却と局所制御冷却は、必ずしもチャンバー内で行われるとは限らない。
【0038】
好ましくは、全体的な制御冷却の開始は、少なくともガラスの温度(曲げ加工を終えるときに650℃と580℃の間)が520℃に達するまで、0.3〜8℃/秒、より好ましくは0.3〜2℃/秒の範囲内の速度で制御される。従ってこの制御冷却は、少なくとも580℃と520℃の間で行われる。
【0039】
局所制御冷却は、対にした2枚のガラスシートの面のうちの一方に面する片側だけから行われるか、さもなければ対となって互いに向き合った2枚のガラスシートの2つの相対する側から行われる。局所制御冷却が1枚だけのガラスシートの面に対して行われる場合には、対にしたシートの厚さが明らかに厚すぎず、且つ局所冷却が充分持続し強いのものである限り、対にした2枚のガラスシートの厚さ全体にその効果を生じる。制御された局所冷却は、シートの積重体の一方の側のみから厚さ全体にわたり、全体的な制御冷却よりも速やかな局所制御冷却を保証する条件で適用することができる。それは、相対する両側から行うこともできる。
【0040】
切り抜き線に(切り抜き以前又は以後に)適用される、切り抜き領域の局所制御冷却は、継続時間と強度が、切り抜き後に孔開き領域の端部応力が4MPa超、好ましくは8MPa超になるのに充分なものである。これの調節は、日常的な試験を利用することで容易に行うことができる。
【0041】
グレージングの全体的な制御冷却には、知られているとおり、熱移動を利用すること、例えば対流、輻射、伝導、又はこれら3つの熱伝導様式の組合せを利用することができる。
【0042】
本願では、局所制御冷却を受けた領域を「圧縮下の領域」又は「圧縮領域」と呼ぶことができる。
【0043】
圧縮領域を得るためのガラスシートの差別化され局所化された冷却は、任意の手段により、例えば対流、又は輻射、又は伝導、あるいはこれらの手段の組合せにより行うことができる。この局所的で差別化された冷却は、切り抜いた又は切り抜こうとする線上でより速やかに冷却するものである。
【0044】
対流は、冷たい空気(ガラスの温度よりも低い、典型的には450℃未満の温度の、そして一般には室温の空気)を、圧縮されるべき領域に向けて吹き付けるものである。グレージングの冷却の平均速度に応じて、吹き付ける空気の温度及び/又は吹き付けの強さが調節される。よって、局所制御冷却は、対にした状態のガラスシートを取り巻く周囲空気よりも冷たい空気を局所的に吹き付けることにより実行することができる。
【0045】
伝導は、より速やかに冷却すべきガラスの部分をガラス表面よりも冷たい材料に接触させるものである。
【0046】
輻射に関しては、ガラスに面して配置されたより冷たい材料を使用することが可能である。輻射による熱交換により、この材料に面する領域を更に局所冷却することが可能になる。
【0047】
圧縮領域を得るためのガラスシートの差別化され局所化された冷却は、圧縮応力を確立すべき領域の外側の冷却速度を制限するスクリーンの使用を含むこともできる。このようにして、スクリーンを除く部分が圧縮領域に相当し、ガラスの冷却がより強い領域が作り出される。スクリーンの例は、表面積がグレージングのそれと同等であり開口が形成されている絶縁材料、特に繊維質のものである。この材料は、高温のガラスの冷却段階の間その近傍に配置される。低温の環境に置かれると、開口に面して位置するグレージングの部分はスクリーンで隠された部分よりも速やかに冷却される。
【0048】
必然的に、ガラスの表面の輻射率を増加又は低減するコーティング材料を使用することが可能である。
【0049】
ガラスの表面よりも輻射率の高いコーティングを使用し、これを所望の圧縮領域に接して配置することが可能であり、この場合これらの領域はより速やかに冷却される。
【0050】
上の例とは反対に、ガラスの表面よりも輻射率の低いコーティングを使用し、それを所望の圧縮領域の外側のガラスの表面に接して配置することが可能であり、この場合これらの領域は、圧縮応力がかかることになる領域よりもゆっくりと冷却される。
【0051】
ガラスの表面輻射率を増加又は低減させる材料としては、ガラス表面を被覆するために容易に使用できる材料を使用することが可能である。この場合、それらは好ましくは非毒性で耐熱性であり、そして水に容易に分散又は溶解させることができる。
【0052】
全体的な冷却の開始は、ガラスの温度が520℃、場合によりそれ未満に達するまでは、曲げ加工段階からの取り出し時の580℃と650℃の間の曲げ加工終了時の温度から、1秒当たり0.3℃と2℃の間で制御されるのが好ましい。520℃未満では、処理を加速させるために、グレージング集成体の対流冷却を行うことが可能である。480℃未満では、局所制御冷却を適用し続けることは無意味であり、それと言うのは、このときにはグレージング全体が同一の全体的な冷却を受けることができるからである。ガラスは一般に300°C未満で、任意的な冷却チャンバーから出ていく。
【0053】
例として、局所制御冷却は、一端が切り取るべき線への吹き付けに好適な形状の断面を有する空気吹き付けノズルを用いて行われ、そしてそれは少なくともの1枚のガラスシートに対して切り取るべき線のところで行われる。例えば、切り取るべき線が円形である場合、ノズルの開口は円盤又は環の形態をとることができる。円盤の場合には、円盤の直径は切り抜くことになる円の直径よりもわずかに大きく、そして円の範囲内の表面全体が局所制御冷却を受けることになる。環状のノズルの場合には、空気は円の環状領域に吹き付けられ、この環の内側には吹き付けられない。
【0054】
別の実施形態として、又は組合せにおいて、局所制御冷却は、少なくとも1つの開口を設けた一時的なコーティング材料、とりわけガラスへの又はガラスから放出される熱輻射を増加又は低減する繊維タイプの材料を、ガラスの表面に接して又はその近傍に適用することによりなされ、この開口は、材料のタイプに応じて、グレージングの切り抜き線を含む領域あるいは残りの部分(切り抜き線を含まない領域)に相当するものである。この場合には、差別化された冷却(切り抜き線の脇への全体的冷却よりも強力な切り抜き線上での局所冷却)が、一時的なコーティング材料を適用したことによるガラスにより放出される熱輻射の差に基づいてなされる。
【0055】
別の実施形態として、又は組合せにおいて、局所制御冷却は、ガラス表面に対し、ガラスの温度よりも低い温度の接触材料を当てることにより得られ、接触する領域に切り抜き線が含まれる。これは、低温の金属で製作した、例えば熱の衝撃を避けるため金属の布帛で被覆された鋼などで製作した構成要素でよい。低温の金属製のこの構成要素は、内部に冷却剤(空気又は水)を通すことによって低温を維持することができる。ここでは、接触材料を用いたことによるガラスからの伝導伝熱の差に基づいて、差別化された冷却(切り抜くべき領域の脇への全体的冷却よりも速やかな局所冷却)がなされる。
【0056】
孔開き領域は、電気伝導体に加えて、集成したガラスシートの一方又は両方に取り付けた機能部品(アンテナ、停止信号灯、カメラなどのような)を収容するようにしてもよい。
【0057】
積層グレージングは、孔開き領域の切り抜き端部を成形してもよく、例えばシートの少なくとも一方又は両方のシートで面取りを行ってもよい。
【0058】
切り抜き工程は、既知の切り抜き手段により、例えば鋸(とりわけダイヤモンドホールソー)、フライス盤(とりわけダイヤモンド)、ウォータージェットによりなされる。選択された切り抜き手段に応じて、単一のガラスシートを切り抜くこと、あるいは対にした両ガラスシートの積重体をその片側から又は両側から切り抜くことが可能である。
【0059】
全体的な制御冷却は、ガラスシートの外縁部に圧縮応力を発生させ、圧縮応力の周縁ベルトを形成する。それらは一般に4MPaと20MPaの間にある。縁部圧縮応力のベルトは一般に、グレージングの各主面で、外縁部から0.1〜3cmの幅を有する。
【0060】
本発明による積層グレージングは、とりわけフロントガラス又はリヤウインドウの場合、その前方の横方向ストリップの中央及び後方の横方向ストリップの中央を通る長手方向のメジアン平面に関して対称であることができる(「長手」方向は車両の移動の方向に相当し、「横」方向はそれに対して直角である)。この平面はまたその重心も通る。
【0061】
制御冷却(全体的な及び局所的な)は、対にしたガラスシートにそれらの曲げ加工温度で曲げ加工が施されたところで適用される。全体にわたる冷却処理は一般に、曲げ加工温度から直接行われる。局所制御冷却を受ける領域の外側で、ガラスの温度は一般に、曲げ加工温度から室温まで、再び上昇することなく低下する(単調な温度低下)。
【0062】
切り抜きは、熱による曲げ加工前の平坦なガラスシートで行うことができ、又は曲げ加工したガラスシートで冷却後に行うことができる。切り抜きは、シートが平坦で室温であるときに曲げ加工の前に行うか、又は曲げ加工と冷却の後のいずれかで行う。切り抜きは、一般には室温で行われる。
【0063】
両シートの同一箇所で切り抜きを行わなくてはならない場合に、この切り抜きのために対のシートを分離することは本質的ではない。とは言え、対のシートを分離して、それらの各々で切り抜きを独立に行うことが可能である。一方のシートの切り抜きを一つの箇所でしなければならない一方で、同一箇所で他方の切り抜きをする必要がない場合には、対にしたシートを分離して、切り抜かなければならないシートで切り抜きを行う。各シートの切り抜きを最終グレージングの異なる箇所ですることが必要なことがあり、この場合に、切り抜きが曲げ加工以前に行われていないならば、シートを一緒にして対にしながらこれらの箇所の各々について局所制御冷却を行い、それから冷却の後に、シートの対をそれらを各々独立に所望の箇所で切り抜くために分離する。
【0064】
第1の実施形態によれば、以下のように、すなわち、
・2枚の平面ガラスシートを用意し、この段階ではそれらの外縁部は切断されているが孔開き領域はまだなく、次いで、
・単一のシートに又は両方のシートに、同一箇所(対にして一緒にしたシート又はそうしていないシートの)又は異なる箇所で切り抜きを行って孔開き領域を形成し、次いで、
・対にしたシートの熱による曲げ加工をし、次いで、
・全体的な制御冷却と、各切り抜き箇所での局所制御冷却とを行い、次いで、
・電気伝導体が孔開き領域(場合によっては2つの孔開き領域)を通って外に出ていく積層グレージングの集成を行う、
というように、進めることが可能である。
【0065】
第2の実施形態によれば、以下のように、すなわち、
・2枚の平面ガラスシートを用意し、この段階ではそれらの外縁部は切断されているが孔開き部分はまだなく、次いで、
・対にしたシートの熱による曲げ加工をし、次いで、
・全体的な制御冷却と、切り抜きを必要とする各箇所での局所制御冷却とを行い、次いで、
・局所制御冷却を受けた各箇所で切り抜きを行って、孔開き領域を単一のシートに形成し、あるいは両シートの同一箇所(対にして一緒にしたシート又はそうしていないシートの)又は異なる箇所に形成し、次いで、
・電気伝導体が孔開き領域(場合によっては2つの孔開き領域)を通って外に出ていく積層グレージングの集成を行う、
というように、進めることが可能である。
【0066】
2枚のガラスシートの切り抜きを「同一箇所で」行うと上で述べている場合、これは2枚のシートの孔開き領域が、最終の積層集成体において互いに向き合っていることを意味する。
【0067】
2枚のガラスシートの間でセパレータとして働くポリマー材料は、とりわけ孔開き領域のサイズが小さく、例えば1cm
2未満の面積である場合には、積層グレージングの集成前に、孔開き領域に対応する箇所で切り抜きを行うことができる。しかしながらこれは、単一シートの切り抜きを1箇所でする一方、同じ箇所で他方の切り抜きをしない場合には必要ない。もっと言うならば、この場合には、グレージングへの衝撃に対する良好な耐性を保証するためセパレータを所定の位置に残すのが好ましい。電気伝導体が切り抜きのないガラスとポリマー材料で製作したセパレータとの界面にある場合には、当該セパレータに開口を形成して、電気伝導体がこの開口を通り抜けるのを可能にすることができる。この開口は、電気伝導体が通り抜けるのを可能にするのに充分なだけ大きくなくてはならない。従ってそれは、電気伝導体とほぼ同一の大きさである。これが当てはまる場合には、孔開き領域、とりわけ開口は、第1のガラスシートに形成され、(積層グレージングを集成したならば)第1のガラスシートの孔開き領域に向き合う第2のガラスシートには孔開き領域は形成されず、第1のガラスシートの孔開き領域に面するセパレータ層は、それを通り抜ける電気伝導体の輪郭に対応する輪郭に従って切り抜きが行われる以外には切り抜きを行わない。
【0068】
電気伝導体は、積層グレージングの集成前に、セパレータ内に配置してもよく、又はセパレータに結合させてもよい。電気伝導体をセパレータに結合させる場合には、ポリマー材料は集成の際にクリープして、電気伝導体を少なくとも部分的に封入する。電気伝導体は、積層グレージングの集成前にガラスシートに結合させてもよい。この場合には、ポリマー材料が集成の間にクリープして、電気伝導体を少なくとも部分的に封入する。
【0069】
電気を利用するグレージングには、1〜10個の、場合によってはそれ以上の電気伝導体を装備することができる。積層グレージングに装備される個別の電気伝導体は、互いに平行に配置することができる。
【0070】
電気伝導体は、例えば、導電性金属、とりわけ金属の銅で製作された、単線ケーブルでよい。これは、むき出しであっても絶縁体で囲まれていてもよい。電気伝導体は、複数の金属製電気ケーブルを含むリボンケーブルであってもよい。このリボンケーブルは、複数の平行な金属製ケーブルが埋め込まれたポリマー材料から製作することができる。リボンケーブルは、セパレータへの又はガラスシートの1枚への適用の前に製作される。電気伝導体(むきだしのケーブル、絶縁ケーブル、リボンケーブル等)は、0.05〜1mmの範囲、とりわけ0.08〜0.5mmの範囲の厚さ(グレージングに対し直角の)を有することができる。電気伝導体は、複数の導電性金属ケーブル、例えば2又は3又は4又は5又は6本の、更にはそれ以上の、ケーブルを含んでいてもよい。
【0071】
図1に、本発明により製造することができる積層グレージングの断面図を示す。この積層グレージングは、第1のガラスシート1と、第2のガラスシート2と、これら2枚のガラスシートの間に配置された、熱可塑性ポリマー製のセパレータフィルム3とを含んでいる。セパレータフィルムは、標準的な又は音響減衰特性を備えた、例えばPVBのフィルムである。第1のガラスシートは、第1の貫通孔4を含んでいる。第1のガラスシート1は、用途に応じて、車両の内側に配置されても外側に配置されてもよい。更に、セパレータフィルムは、
図4に示すように、第1のガラスシートの第1の貫通孔4と位置が一致する貫通孔を含んでいてもよい。
【0072】
積層グレージングはまた、少なくとも1つの導線5(
図1)を含んでおり、この導線は、セパレータフィルム3に埋め込まれるか、あるいはセパレータフィルム3と第1のガラスシート1との間に配置されるか、さもなければセパレータフィルム3と第2のガラスシート2との間に配置される。これにより、積層グレージングに組み入れられるそれの保護がなされる。導線5がセパレータフィルム3と第2のガラスシート2との間に配置される場合には、導線5がセパレータフィルム3及び第1のガラスシート1を通り抜けることができるように、セパレータフィルム3に第1のガラスシート1の第1の孔4と位置が一致する貫通孔を設けることができる。導線5は、装備品6、例えば電気的装備品に、好ましくはコネクタ(
図2、4及び5中の7)を介して接続するための端部50を有する。導線5の他方の端部51は、車両の電源及び/又は電気装置に、好ましくはコネクタ(
図4及び5中の9)を介して接続するためのものである。導線5の一方の端部50は、第1の貫通孔4を通り抜けて積層グレージングから外に出る。第1の貫通孔4は、製造を容易にするために、例えば円形である。それは、積層グレージングがR43規格に適合できるように可能な限り小さくなければならず、且つ導線を、場合によってはコネクタを、通すことができるように、充分大きくなければならない。よって、好ましくは、第1の貫通孔4は3mmと80mmの間の直径を有する。
【0073】
コネクタ7、9により、輸送と取り扱いの際に導線5の端部を保護することが可能となる。コネクタ7、9は、可能な限り小型である一方で、特に考え得る様々な攻撃、例えば振動、顕著な温度変動、酸化雰囲気等に耐性をもつことによって、車両の環境において機械的に安定であるとともに信頼性の高い電気的接続を保証することが可能であるのが好ましい。
【0074】
好ましくは、導線5は、薄くて可撓性のあるリボンケーブルを形成するプラスチックフィルムで被覆される。このプラスチックフィルムは、透明(これにより非常に目立たない製造物を得ることが可能である)であっても、黒色(これにより導線を隠すため黒色エナメルをガラスに付加しなくてもよくなる)であっても、又はその他の色(グレージングに組み込まれると完成した製造物の外観を向上させることが可能になる)であってもよい。そのようなリボンケーブルの使用により、集成の際の取り扱いも容易になる。リボンケーブルは、グレージングの集成前に、端部のそれぞれにコネクタを備えているのが好ましい。更に、リボンケーブルは、取り付けを簡単にするために、PVB又は接着剤て被覆し第1のガラスシートへ接着できるようにしてもよい。最後に、リボンケーブルは更に、集成の際にガラスを恒久的にたわませることがなく、これによりリボンケーブルが出ていく孔の端部でガラスが破損するのを回避するように、充分に薄くなくてはならない。これを緩和するため、ガラスは導線の端部の出口孔の周辺に端部応力を有する。
【0075】
導線5を接続しようとする装備品6は、
図1に示すように積層グレージングに固定してもよく、あるいは積層グレージングの近傍に、例えばバックミラーの取付け台に、固定してもよい。装備品6は、例えば、雨又は湿度センサー、明度センサー、カメラ、アンテナ、照明装置、ファン、又はGPS測位装置である。導線5は、装備品6に電気を供給するのを、及び/又は装備品6により車両の電気装置に伝送される情報を伝えるのを可能にする。導線5は、例えば銅で製作される。用途に応じて、例えばカメラに接続するために、導線5はシールドされていてもよい。
【0076】
装備品のタイプに応じて、1以上の導線5が必要である。導線5が複数の場合には、それらは互いに並べて配置されるのが好ましい。それらは、透明又は不透明なフィルムにより、リボンケーブルの形で結びつけることができる。第1のガラスシート1は、存在する導線と同じだけの複数の貫通孔を含んでいてもよく、この場合各導線5の端部50は第1のガラスシートの第1の専用の貫通孔を通って積層グレージングから出ていくことができる。
【0077】
図2a、2b、2cは、複数の導線を有する本発明による積層グレージングの3つの実施形態のそれぞれの詳細図である。
【0078】
図2aでは、第1のガラスシート1は円形の単一の第1の貫通孔4を含んでおり、これを通り抜けて、装備品への接続のため導線5の端部50が外に出ていく。
【0079】
図2bでは、第1のガラスシート1は細長い孔の形をした単一の貫通孔4を含んでおり、これを通り抜けて、装備品への接続のため導線5の端部50が外に出ていく。
【0080】
図2cでは、第1のガラスシート1は円形の3つの第1の貫通孔4を含んでおり、その各々を通り抜けて、装備品への接続のため導線5の端部50が外に出ていく。
【0081】
円形の貫通孔は、穴鋸を使用する切り抜きにより形成することができる。細長い孔の形の貫通孔は、ウォータージェットでの穿孔により、又はダイヤモンドミルを使用する機械加工により形成することができる。
【0082】
装備品6への接続のための導線5の端部50は、
図2a〜2cに示すようにコネクタ7に差し込むことができ、これは、特に積層グレージングを製造してからかなり後に装備品6への接続を行う場合に、その接続を簡単にする。
【0083】
図3は、本発明の実施形態による積層グレージングの端部の詳細図である。
【0084】
第1のガラスシート1は、第2の貫通孔を含んでもよく、又は
図3に示したようにグレージングの端部に切欠き8を含んでもよい。この切欠き8により、導線5の他方の端部51を外に出して車両の電源及び/又は電気装置に接続するのが可能になる。この他方の端部51は、その後の車両への接続を容易にするためコネクタ9(
図4及び5)に差し込むことができる。第1のガラスシート1の第2の貫通孔は、第1のガラスシート1の端部に、
図3に示したように例えば切欠き8の形でもって形成してもよく、又は第1のガラスシート1の端部の近傍に形成してもよい。
【0085】
第1のガラスシート1が第2の貫通孔も切欠きも含まない場合には、導線5の端部51は、
図1に示したように、積層グレージングの端部を経て積層グレージングから外に出ていく。
【0086】
所望に応じ、積層グレージングはまた、導線と位置が一致する不透明なエナメルの少なくとも1つのストリップを含み、導線が車両の外側及び/又は内側から見えないように隠蔽する。しかしながら、セパレータフィルムに埋め込まれる導線は非常に細くてよく(数十〜数百ミクロン)、そして導体、又は導体を含むリボンケーブルは幅が小さい(数ミリメートル〜約15ミリメートル)ので、エナメルのストリップは実際のところ、溝を使用する場合よりも細くてよい。エナメルのストリップは更に、溝よりもはるかに細く、これにより視野及び視的快適性を顕著に向上させることが可能である。
【0087】
積層グレージングはまた、積層グレージングに固定された装備品6を含むこともできる。装備品6は、第1のガラスシート1の第1の貫通孔4の端部に、例えばスナップでの取り付けにより又は接着により固定してもよく、あるいは第1のガラスシート1の第1の貫通孔4の近傍に、例えば接着により固定してもよい。別の実施形態として、装備品は、第1のガラスシート1の貫通孔4の内側に収容し、そして例えば接着により、積層グレージングにおける第1及び第2のガラスシートの位置に応じて積層グレージングの面2又は3で、第2のガラスシート2に固定してもよい。
【0088】
更に、第2のガラスシートが貫通孔(
図5の15)を含んでいてもよい。後者の場合には、第1のガラスシート1の第1の貫通孔4と第2のガラスシート2の貫通孔15は、互いに向き合った実質的に同一の直径を有するのが好ましい。この場合は、セパレータフィルムも、
図5に示したように、第1の及び第2のガラスシート1、2の第1の孔4、15と位置が一致する貫通孔を備えている。
【0089】
図4及び5は、本発明による積層グレージングの、アンテナ装備品をグレージング上に取付けた2つの実施形態のそれぞれによる断面図である。これらの図は、アンテナを含む積層グレージングの典型的な実施形態である。
【0090】
アンテナ基部10は、積層グレージング上に固定手段13、例えば接着剤により、支持手段12を介して取付けられている。アンテナ基部11はコネクタ11を含み、これに導線5がコネクタ7を介して接続される。
【0091】
これらの実施形態では、第1のガラスシートが車両の外側に面している。水密性は、貫通孔を完全に取り巻く固定手段13により確保されている。
【0092】
図5の実施形態では、第2のガラスシートも貫通孔15を含む。
図5では、貫通孔15は、第1の貫通孔4と位置が一致し、切欠き16も含んでいて、導線5の通過を容易にしている。
【0093】
図6に、重ね合わせたシートの片側に吹き付けるのに適合した装置3を模式的に例示する。この段階では、シートは既に曲げ加工を受けており、それらの1枚に設けられる開口はまだ開けられていない。これらのシートは、曲げ加工操作の直後に冷却しているところが示されている。全体的な制御冷却の間に、ノズル3が局所制御冷却を行う。ここでは、引き続いて、上部の位置に示したシートに後に凹部を形成するため、円盤の形をした領域に室温の空気を吹き付ける。吹き付け時間はおよそ40秒と90秒の間である。吹き付け時間は、差別化されたやり方で冷却されることになる面とは無関係であるが、しかしその一方でガラスの厚さに依存する。局所冷却の40秒は、それぞれ2.1mmの厚さを有する重ねたシートについて規定される。吹き付けノズルは、獲得すべき圧縮応力の局所領域の幾何学的形状に適した形状の終端部を有する。それはとりわけ、正方形又は長方形の輪郭の形状を有することができる。
図6において、ノズル3は、中央の空気供給導管30を含み、この中央供給導管30の周囲に非対称の導管31を含む。導管31は、ノズルの終端部で円筒状のベル部33となっていて、ベル部の壁は金属繊維をベースにした可撓性のフェルトで構成されている。ベル部の自由端部34は、ガラス面に寄せて配置されている。低温の空気を供給導管30を通してベル部34に送り込み、冷却すべきガラス面に対して放出し、その後導管31を介して排出する。冷却後、対にした2枚のシートを分離する。次いで、当業者に既知の方法でガラスシートの一方を切り抜くことにより、凹部を形成する。その後、セパレータとの集成工程、集成体の脱ガス工程、そしてオートクレーブへの移送工程を実施し、このとき金属製の伝導体はすでに2枚のガラスシートの間に慎重に設置されている。この処理により、セパレータの両側でセパレータとガラスシートとの結合が生じる。
【0094】
図7に、平面状であり曲げ加工がまだであった間に上部に位置に示したガラスシートに前もって個別に孔が開けられていたことを除いて、
図6のものと同一である装置を例示している。2枚のシートをその後一緒にして一対にし、次いでこの重ね合わせた状態で同時に曲げ加工を施した。曲げ加工温度での曲げ加工に続く冷却の際、シート全体に対して全体的な制御冷却をしている間に、
図7に示したように局所制御冷却を行った。吹き付け時間はおよそ10秒と90秒の間である。局所制御冷却を適用する吹き付け領域が開口それ自体よりも大きいことが認められる。
【0095】
図8に、2枚の重ね合わせたシート73と74の積重体の主面での伝導により局所領域を冷却するのに好適な装置70を模式的に例示する。この段階では、シートは既に曲げ加工を受けており、それらの1枚に設けられる開口はまだ開けられていない。これらのシートは、曲げ加工操作の直後に冷却しているところが示されている。全体的な制御冷却の間に、局所制御冷却を行う。底端部で閉じて金属管71を、低温の空気が矢印で表示されているように通過する。金属管とガラスの間でのガラスとの接触は、熱衝撃による破損の危険性を低減するため耐熱性繊維でできたフェルト72により和らげられている。こうして最終的に、フェルト72とガラスとの接触箇所で圧縮応力の局所領域が生じる。冷却後に、対になった2枚のシート73と74を分離する。次いで、当業者に既知の方法でシートの1枚で切り抜きを行い凹部を形成する。その後、セパレータとの集成工程、集成体の脱ガス工程、そしてオートクレーブへの移送工程を行い、このとき金属製の伝導体はすでに2枚のガラスシートの間に慎重に設置されている。この処理により、セパレータの両側でセパレータとガラスシートとの結合が生じる。
【0096】
図9に、本発明により製造することができる積層グレージングを例示する。この積層グレージングは、第1のガラスシート80と、第2のガラスシート81と、2枚のガラスシートの間に配置された熱可塑性ポリマー(PVB)製のセパレータフィルム82とを含む。第1のガラスシート80は貫通孔83を含む一方で、他方のガラスシートは同じ箇所に孔を開けられていない。この積層グレージングは、セパレータフィルム82と第2のガラスシート81との間に配置された導線85を含む。これにより、積層グレージングに組み入れられるそれの保護がなされる。セパレータフィルム82は、第1のガラスシート80の孔83の内側に現れる貫通孔86を提供し、これにより導線85がセパレータフィルム82を通り抜け、そして第1のガラスシート80を通り抜けることが可能になる。このように、この孔86は導線の輪郭に対応する輪郭を有する。導線85は、装備品87に接続するための端部を有し、他方の端部は88のところの外縁部でグレージングから外に出ていく。導線85の他方の端部は、車両の電源及び/又は電気装置に、好ましくはコネクタを介して、接続するためのものである。貫通孔83は、製造を容易にするため、例えば円形である。それは、積層グレージングがR43規格に適合できるように充分小さくなければならず、且つ導線を、場合によってはコネクタを、通すことができるように、充分大きくなければならない。よって、好ましくは、第1の孔83は3mmと80mmの間の直径を有する。
本発明の態様としては、以下を挙げることができる:
《態様1》
2枚のガラスシートと、これらのガラスシートの間に配置されたポリマー材料製のセパレータ層と、電気伝導体とを含む、曲げ加工した積層グレージングを製造する方法であり、対にした状態のガラスシートを熱により同時に曲げ加工してからそれらを冷却し、そしてその後ガラスシートをセパレータ層へその両側で結合させて積層グレージングの集成を行うことを含む方法であって、前記冷却が、対にした状態でのガラスシートの制御冷却であって、全体的な制御冷却と、この全体的な制御冷却よりも速やかな切り抜き領域の局所制御冷却とを含む制御冷却を含むものであり、前記切り抜き領域における切り抜き線に沿ってガラスシートのうちの1枚の切り抜きを行って孔開き領域を形成し、前記電気伝導体をガラスシートの間に配置して前記孔開き領域を通って積層グレージングから出ていくようにすることを特徴とする曲げ加工した積層グレージングの製造方法。
《態様2》
前記切り抜きを熱による曲げ加工前に行うことを特徴とする、態様1に記載の方法。
《態様3》
前記切り抜きを前記冷却後に行うことを特徴とする、態様1に記載の方法。
《態様4》
前記切り抜き領域の前記局所制御冷却が、切り抜き後に前記孔開き領域の端部応力が4MPaより大きく、好ましくは8MPaより大きくなるのに充分な時間及び強度であることを特徴とする、態様1から3の一つに記載の方法。
《態様5》
前記局所制御冷却を、対にした状態のガラスシートを取り巻く周囲空気よりも冷たい空気を局所的に吹き付けることにより行うことを特徴とする、態様1から4の一つに記載の方法。
《態様6》
前記全体的な制御冷却を、580℃と520℃の間において0.3〜8℃/秒の範囲に含まれる速度で行うことを特徴とする、態様1から5の一つに記載の方法。
《態様7》
前記電気伝導体が複数の金属製電気ケーブルを含むリボンケーブルであることを特徴とする、態様1から6の一つに記載の方法。
《態様8》
前記電気伝導体のグレージングに対して直角方向の厚さが0.05〜1mm、とりわけ0.08〜0.5mmの範囲内にあることを特徴とする、態様1から7の一つに記載の方法。
《態様9》
前記孔開き領域が開口を形成することを特徴とする、態様1から8の一つに記載の方法。
《態様10》
前記孔開き領域がそれを含むガラスシートの外縁部に切欠きを含むことを特徴とする、態様1から9の一つに記載の方法。
《態様11》
前記切欠きがそれを含むガラスシートの内側に向かって少なくとも0.5cmの深さを有することを特徴とする、態様10に記載の方法。
《態様12》
前記孔開き領域、とりわけ開口を、第1のガラスシートに形成し、第1のガラスシートの当該孔開き領域に向き合う第2のガラスシートには孔開き領域を形成しないことを特徴とする、態様1から11の一つに記載の方法。
《態様13》
第1のガラスシートの前記孔開き領域に向かい合う前記セパレータ層で、それを通り抜ける前記電気伝導体の輪郭に対応する輪郭に従って必要ならば切り抜きを行うことを除いて、切り抜きを行わないことを特徴とする、態様12に記載の方法。