【実施例】
【0131】
実施例1
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコシド)と3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−グルコシド)の合成
【0132】
【化8】
【0133】
50mL反応フラスコに3gのD−グルコースを加え、24mLのピリジンに溶かし、12mLの無水酢酸と触媒量のDMAPを連続して加えた。この反応は室温で一晩行い、反応を止めた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した後で、生成物を20mLの溶出液(PE:AcOEt=1:1)で溶かし、フラッシュカラムで分離し、スタンバイさせた。
【0134】
上記生成物の390mgを25mL反応フラスコに加え、3mLのDCMで溶かし、0.21mLのHBr−AcOH溶液を氷浴中でゆっくり滴下した。この反応は氷浴中で1時間撹拌し、そして室温で撹拌した。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=2:1。この反応は12時間撹拌した後、止めた。反応混合物を20mLのDCMで希釈し、20mLの蒸留水、20mLの飽和NaHCO
3溶液で連続して洗浄した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、PE:EA=1:1の溶出条件下にクロマトグラフィーカラムで精製して、194mgの黄色の粘稠物質を得た。
【0135】
DCM中20mLのブロモ糖(194mg,0.47ミリモル)を含有する50mL反応フラスコへ189mg(0.4ミリモル)のEA、138mgのK
2CO
3、52mgの臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、2mLの水を加えた。この反応はN
2雰囲気中で還流しながら50℃で撹拌した。12時間後に反応を止めた。TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。反応混合物をPE:AcOEt=2:1の溶出条件下にクロマトグラフィーカラムで精製して、252mg(収率80%)の白色の固形化合物、3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコシド)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 5.54 (d, 1H, J = 8.2Hz, Glc-1-H), 5.39 (t, 1H, J = 3.2Hz, H
12), 5.08-5.24 (m, 3H), 4.39 (br t, 1H, H
16), 4.25 (dd, 1H, J = 4.4, 12.4Hz), 4.02 (dd, 1H, J = 2.1, 12.4Hz), 3.74-3.78 (m, 1H), 3.19 (dd, 1H, J = 4.2, 10.6Hz, H
3), 2.97 (dd, 1H, J = 4.0, 14.3Hz, H
18), 2.05, 2.00, 2.00, 1.99 (s, それぞれ 3H, CH
3CO), 1.32, 0.96, 0.92, 0.89, 0.88, 0.75, 0.70 (s, それぞれ 3H, H
27, H
23, H
30, H
25, H
29, H
26, H
24)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 174.72 (C=O, C
28), 170.53, 170.03, 169.38, 169.07, 141.88 (C
13), 123.22 (C
12), 91.56 (Glc-1-C), 78.84, 74.22, 72.68, 72.41, 69.91, 67.90, 61.44, 55.19, 48.79, 46.61, 46.03, 41.31, 40.40, 39.49, 38.68, 38.48, 36.93, 35.46, 35.14, 33.02, 32.62, 30.23, 30.17, 28.01, 27.12, 26.76, 24.45, 23.24, 20.62 (
CH
3CO), 20.50 (3C, 3 x
CH
3CO), 18.22, 17.01, 15.55, 15.43。ESI-HRMS (m/z) C
44H
66O
13Na (M+Na
+) の計算値:825.4396。実測値:825.4387; C
44H
70O
13N (M+NH
4+): 820.4842。実測値:820.48400。この化合物は、以下のQ1によって表された。
【0136】
この化合物の50mgを25mL反応フラスコにおいて5mLメタノールで溶かし、適正量のMeONaを加えて、撹拌しながらそのまま室温で1時間反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 DCM:MeOH=7:1。反応の完了時に陽イオン交換樹脂を加えて、pHを中性へ調整した。反応混合物をDCM:MeOH=5:1の溶出液でのクロマトグラフィーカラムで精製して、12.4mg(収率31%)の白色の固形物、3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−グルコシド)を得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 5.35 (d, 1H, J = 8.1Hz, Glc-1-H), 5.32 (t, 1H, J = 3.4Hz, H12), 4.53 (br t, 1H, H16), 3.82 (d, 1H, J = 11.1Hz), 3.67 (dd, 1H, J = 4.3, 12.0Hz), 3.27-3.34 (m, 4H), 3.15 (dd, 1H, J = 5.0, 11.4Hz), 2.99 (dd, 1H, J = 4.0, 14.2Hz), 2.29 (t, 1H, J = 13.3Hz), 1.37, 0.97, 0.96, 0.89, 0.79, 0.77 (s, 7 x CH
3)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 177.21 (C=O, C
28), 144.63 (C
13), 123.63 (C
12), 95.72 (Glc-1-C), 79.72, 78.73, 78.33, 74.93, 74.01, 71.08, 62.42, 56.88, 50.03, 48.20, 47.78, 42.65, 42.12, 40.82, 39.97, 39.84, 38.16, 36.44, 36.27, 31.70, 31.28, 28.74, 27.27, 25.01, 24.49, 19.50, 17.78, 16.33, 16.10。ESI-HRMS (m/z) C
36H
58O
9Na (M+Na
+)の計算値:657.3973。
【0137】
実施例2
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシド)と3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ガラクトシド)の合成
【0138】
【化9】
【0139】
2gのD−ガラクトースを50mL反応フラスコに入れ、16mLのピリジンに溶かし、8mLの無水酢酸と触媒量のDMAPを連続して加え、そのまま室温で10時間反応させた後、この反応を止めた。反応の完了は、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した後、反応混合物を20mLのDCMで溶かし、20mLの水で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去して、過アセチル化ガラクトースの固形生成物を得た。
【0140】
上記生成物の390mgを25mL反応フラスコに入れ、3mLのDCMで溶かし、0.35mLのHBr−AcOH溶液を氷浴中でゆっくり滴下し、そのまま1時間反応させてから、室温で反応させた。この反応は、12時間後に止めた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=2:1。反応混合物を20mLのDCMで希釈し、20mLの蒸留水、20mLの飽和NaHCO
3溶液で連続して洗浄した。有機層を合わせ、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去して、20mLとした。
【0141】
ブロモ糖(上記工程の反応における非分離混合物)の20mL DCM溶液を含有する50mL反応フラスコへ188.8mg(0.4ミリモル)のEA、138mgのK
2CO
3、51.52mgの臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、及び2mLの水を加え、N
2雰囲気中で還流しながら50℃でそのまま反応させた。この反応は、12時間後に止めた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。反応混合物をPE:AcOEt=1:1の溶出条件下にクロマトグラフィーカラムで精製して、98.5mg(収率31%)の白色の固形物、3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシド)を得た。
【0142】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 5.54(d, 1H, J =8.4Hz, Gal-1-H), 5.40-5.44(m, 2H), 5.31(t, 1H, J =10.3Hz), 5.07(dd, 1H, J =3.4, 10.4Hz), 4.39(br t, 1H, H
16), 4.10-4.15(m, 2H), 4.00(t, 1H, J =6.7Hz), 3.22(dd, 1H, J =4.1, 10.4Hz, H
3), 3.00(d, 1H, J =10.6Hz, H
18), 2.17, 2.04, 2.02, 1.99(s, それぞれ 3H, CH
3CO), 1.34, 0.99, 0.95, 0.92, 0.91, 0.78, 0.75 (s, それぞれ 3H, CH
3, H
27, H
23, H
30, H
25, H
29, H
26, H
24)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 174.64(C=O, C
28), 170.22, 170.07, 169.84, 169.25, 141.87(C
13), 123.13(C
12), 92.03 (Gal-1-C), 78.82, 74.06, 71.39, 70.70, 67.56, 66.69, 60.65, 55.22, 48.97, 46.64, 46.07, 41.36, 40.48, 39.53, 38.69, 38.49, 36.95, 35.50, 35.06, 33.04, 32.58, 30.19, 29.82, 28.01, 27.13, 26.76, 24.65, 23.26, 20.64, 20.55, 20.44, 18.22, 17.07, 15.55, 15.47。ESI-HRMS (m/z) C
44H
66O
13Na (M+Na
+) の計算値:825.4396。実測値:825.4387; C
44H
70O
13N (M+NH
4+): 820.4842。実測値: 820.4839。
【0143】
上記化合物の50mgを25mL反応フラスコ中に5mLのメタノールで溶かし、適正量のMeONaを加えて、そのまま室温で1時間反応させた。TLCによってモニターした。溶出液 DCM:MeOH=7:1。陽イオン交換樹脂を加えた。pHを中性へ調整した。濾過し、濾液をロータリーエバポレーションによって除去した。反応混合物をDCM:MeOH=5:1の溶出液でのクロマトグラフィーカラムで精製して、35.6mg(収率90%)の白色の固形物、3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ガラクトシド)を得た。
【0144】
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 5.31-5.33(m, 2H, Gal-1-H, H
12), 4.55(br t, 1H, H
16), 3.88(d, 1H, J =3.0Hz), 3.69-3.71(m, 2H), 3.58-3.65(m, 2H), 3.50(dd, 1H, J =3.2, 9.7Hz), 3.15(dd, 1H, J =4.9, 11.4Hz, H
3), 3.00(dd, 1H, J =3.8, 14.2Hz, H
18), 2.29(t, 1H, J =13.3Hz), 1.37, 0.97, 0.96, 0.89, 0.78, 0.77(s, 7 x CH
3)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 177.29(C=O, C
28), 144.64(C
13), 123.63(C
12), 96.22 (Gal-1-C), 79.72, 77.38, 75.17, 74.94, 71.30, 70.00, 62.02, 56.88, 49.98, 42.63, 42.08, 40.81, 39.96, 39.83, 38.16, 36.44, 36.26, 34.23, 33.36, 31.80, 31.29, 28.74, 27.90, 27.28, 24.99, 24.48, 19.50, 17.79, 16.33, 16.09。ESI-HRMS (m/z) C
36H
62O
9N (M+NH
4+)の計算値:652.4419。実測値:652.4415。
【0145】
他の誘導体、例えば以下の化合物は、実施例において上記に記載した方法に類似した方法によって合成した。
【0146】
【表1】
【0147】
Q1:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコシド)
Q2:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−グルコシド)
Q3:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−キシロシド)
Q4:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−キシロシド)
Q5:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−アラビノシド)
Q6:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−アラビノシド)
Q8:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)
Q9:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ガラクトシド)
Q10:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(ヘプタ−O−アセチル−β−D−ラクトシド)
Q11:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ラクトシド)
Q12:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(ヘプタ−O−アセチル−β−D−マルトシド)
Q13:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−マルトシド)
Q14:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−セロビオシド)
実施例3
3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)と3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)の合成
【0148】
【化10】
【0149】
1,2,3,4,6−ペンタ−O−アセチル−β−D−ガラクトースの製造
3gのD−ガラクトースを50mL反応フラスコに入れ、24mLのピリジンに溶かし、12mLの無水酢酸と触媒量のDMAPを連続して加えた。この反応は室温で一晩撹拌した。次いで、この反応を、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。反応混合物を50mL AcOEtと混合して懸濁液を得て、50mLの蒸留水で3回と50mLの飽和食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させてシリカゲルカラムで精製して、生成物を得た。
【0150】
1α−ブロモ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトースの製造
上記生成物の2.0gを25mL反応フラスコに入れ、15mLのDCMで溶かし、1.2mLのHBr−AcOH溶液を氷浴中でゆっくり滴下し、そのまま1時間反応させてから、室温で一晩反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=2:1。反応混合物を20mLのDCMで希釈し、40mLの蒸留水で3回と40mLの飽和NaHCO
3溶液で連続的に洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。この反応混合物を、さらなる分離も精製もせずに、この反応の次工程へ直接進めた。
【0151】
1β−アジド−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトースの製造
上記生成物を10mLのDMFで溶かし、撹拌しながらNaN
3を加え、そのまま室温で一晩反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=2:1。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。反応混合物を50mLのAcOEtと混合して懸濁液を得て、50mLの蒸留水で3回と50mLの飽和食塩水で連続的に洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させてシリカゲルカラムで精製して、約0.97g(2工程で全収率50%)の白色の固形物を得た。
【0152】
上記生成物の100mgを5mLのTHFで溶かし、Pd/C触媒の存在下に触媒作用的に水素化し、そのまま室温で一晩反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。Pd/Cを濾過して除いた後で、濾液をロータリーエバポレーションによって除去した。この生成物を、さらなる精製処理をせずに、この反応の次工程へ直接進めた。
【0153】
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)の製造
150mgのEAを5mL THFで溶かし、65mgのEDCを加え、撹拌しながらそのまま室温で0.5時間反応させ、上記の生成物を加え、そのまま室温で1日間反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 PE:AcOEt=1:1。溶媒をロータリーエバポレーションによって除去した。反応混合物を30mL AcOEtと混合して懸濁液を得て、これを30mLの蒸留水で3回と30mLの飽和食塩水で連続して洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させてシリカゲルカラムで精製して、約114.3mg(2工程で全収率53%)の白色の固形物を得た。
【0154】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 0.79, 0.80, 0.90, 0.91, 0.92, 0.99, 1.16, 2.00, 2.02, 2.05, 2.14 (11 x CH
3), 0.72-2.17 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.55 (brd, 1H, J = 9.9 Hz), 3.21 (dd,1H, J = 3.6, 10.4 Hz), 3.97-4.13 (m, 3H), 5.03-5.18 (m, 3H), 5.41-5.43 (m, 1H), 5.50 (brs, 1H), 6.68 (d, 1H, J = 9.0 Hz)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 15.3, 15.5, 17.0, 18.2, 20.4, 20.5, 20.5, 20.7, 23.1, 23.4, 23.9, 25.4, 27.0, 27.1, 28.0, 30.5, 32.4 (2C), 32.8, 34.0, 36.8, 38.4, 38.6, 39.2, 41.2, 41.9, 46.3, 46.5, 47.4, 55.0, 60.6, 67.0, 68.2, 70.7, 71.6, 78.5, 78.7, 123.4, 143.6, 169.7, 169.9, 170.2, 171.0, 178.9。
【0155】
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)の製造
上記生成物の50mgを3mL CH
3OHに溶かし、適正量のCH
3ONaを撹拌しながら加え、撹拌しながらそのまま室温で1時間反応させた。この反応は、その反応が完了するまで、TLCによってモニターした。溶出液 DCM:MeOH=7:1。反応の完了時に陽イオン交換樹脂を加えた。pHを中性へ調整した。反応混合物をDCM:MeOH=10:1の溶出液でのクロマトグラフィーカラムで精製して、35.1mg(収率89%)の白色の固形物を得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.75, 0.80, 0.90, 0.91, 0.92, 0.96, 1.15 (s, 7 x CH
3), 0.71-2.10 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.83 (brd, 1H, J = 12.9 Hz), 3.14 (dd, 1H, J = 5.0, 11.3 Hz), 3.48-3.55 (m, 3H), 3.62-3.71 (m, 2H), 3.89 (brd, 1H), 4.80 (d, 1H, 8.0 Hz), 5.31 (brs, 1H)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 15.8, 16.1, 17.7, 19.2, 23.9 (2C), 24.0, 24.3, 26.3, 27.5, 28.1, 28.6, 31.3, 33.4, 33.6 (2C), 34.9, 37.8, 39.5, 40.3, 42.0, 42.7, 47.3, 47.3, 48.7, 56.3, 62.2, 70.0, 71.0, 75.4, 77.7, 79.4, 81.5, 123.6, 144.9, 181.1。
【0156】
他の誘導体、例えば以下の化合物は、上記の実施例においてに記載した方法に類似した方法によって合成した。
【0157】
【表2】
【0158】
入手した他の化合物のNMRデータは、以下の通りであった:
Y1:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 0.74, 0.79, 0.84, 0.91,0.93, 1.00, 1.34, 1.99, 2.02, 2.03, 2.13 (s, 11 x CH
3), 0.74-2.37 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.97 (brd, 1H, J = 10.7 Hz), 3.19 (dd, 1H, J = 4.2, 10.6 Hz), 3.74-3.78 (m, 1H), 4.02 (dd, 1H, J = 2.1, 12.4 Hz), 4.25 (dd, 1H, J = 4.4, 12.4 Hz), 4.39 (brs, 1H), 5.08-5.24 (m, 3H), 5.39 (t, 1H, J = 3.2 Hz, H12), 5.54 (d, 1H, J = 8.2 Hz)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 15.4, 15.6, 17.0, 18.2, 20.5 (3C), 20.6, 23.2, 24.5, 26.8, 27.1, 28.0, 30.2, 30.2, 32.6, 33.0, 35.1, 35.5, 36.9, 38.5, 38.7, 39.5, 40.4, 41.3, 46.0, 46.6, 48.8, 55.2, 61.4, 67.9, 69.9, 72.4, 72.7, 74.2, 78.8, 91.6, 123.2, 141.9, 169.1, 169.4, 170.0, 170.5, 174.7。
【0159】
Y2:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.78, 0.86, 0.90,0.95, 0.96, 0.98, 1.33 (s, 7 x CH
3), 0.74-1.94 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.20 (t, 1H, J = 13.4 Hz), 3.04 (dd, 1H, J = 3.6, 14.0 Hz), 3.15 (dd, 1H, J = 4.9,11.2 Hz), 3.49-3.56 (m, 3H), 3.65-3.67 (m, 2H), 3.88 (brd, 1H, J = 1.4 Hz), 4.26 (dd, 1H,J = 3.6, 5.5 Hz), 4.79 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 5.45 (brs, 1H)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 16.3, 16.3, 18.2, 19.5, 24.5, 26.3, 27.5, 27.9, 28.7, 29.6, 30.9, 33.1, 34.0, 35.8, 36.3, 38.1, 39.8, 40.0, 41.0, 42.2, 43.0, 47.8, 48.4, 50.8, 56.9, 62.4, 70.4, 71.6, 75.0, 75.8, 78.1, 79.7, 81.9, 123.9, 144.6, 181.1。
【0160】
Y3:3,16−ジオン−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 0.82, 0.90, 0.93, 1.05, 1.06, 1.09, 1.22, 2.00, 2.03, 2.04, 2.16 (11 x CH
3), 1.25-2.65 (m, 他の脂肪族環プロトン), 3.22 (dd, 1H, J = 3.8, 13.7 Hz), 3.97-4.00 (m, 1H), 4.06-4.08 (m, 2H), 5.09-5.10 (m, 3H), 5.42 (brs, 1H), 5.68 (brt, 1H), 6.76 (d, 1H, J = 7.8 Hz)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 14.9, 17.0, 19.3, 20.4, 20.5 (2C), 20.7, 21.3, 23.0, 23.4, 26.3, 27.1, 28.6, 30.3, 31.9, 32.6, 33.9, 34.9, 36.6, 38.9, 39.6, 44.4, 45.6, 45.9, 46.0, 46.5, 47.3, 55.2, 59.9, 60.7, 67.0, 67.9, 70.7, 71.9, 78.7, 124.5, 140.1, 169.6, 169.9, 170.2, 170.7, 172.3, 210.3, 216.9。
【0161】
Y4:3,16−ジオン−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.87, 0.95, 0.97, 1.05, 1.08, 1.09, 1.20 (s, 7 x CH
3), 1.15-2.27 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.36-2.42 (m, 1H), 2.54-2.63 (m, 1H), 2.98 (d, 1H, J = 14.7 Hz), 3.43 (dd, 1H, J = 3.9, 14.1 Hz), 3.47-3.58 (m, 3H), 3.66-3.67 (d, 2H, J = 6.2 Hz), 3.89 (brd, 1H, J = 2.7 Hz), 4.82 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 5.56 (t, 1H, J = 3.5 Hz)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 15.5, 17.8, 20.6, 21.9, 23.7, 24.6, 27.0, 27.7, 28.6, 31.4, 33.2, 33.3, 35.0, 36.1, 37.9, 40.1, 41.1, 46.7 (2C), 47.1, 48.0, 48.5, 48.9, 56.4, 61.1, 62.2, 70.3, 71.1, 75.9, 78.2, 81.8, 125.2, 142.0, 175.1, 212.7, 220.2。
【0162】
Y7:3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 0.78, 0.79, 0.87, 0.90, 0.92, 0.99, 1.16, 1.98, 2.04, 2.07, 2.23 (11 x CH
3), 0.71-2.13 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.45 (dd, 1H, J = 3.7, 13.2 Hz), 3.21 (dd, 1H, J = 4.1, 10.4 Hz), 3.71-3.75 (m, 1H), 4.05 (dd, 1H, J = 2.4, 12.2 Hz), 4.22 (dd, 1H, J = 4.9, 12.3 Hz), 5.10 (dd, 1H, J = 3.3, 10.1 Hz), 5.19-5.24 (m, 1H), 5.31-5.34 (m, 2H), 5.51 (d, 1H, J = 9.3 Hz), 6.54 (d, 1H, J = 9.3 Hz)。
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 15.3, 15.5, 16.9, 18.2, 20.4, 20.6 (3C), 23.2, 23.5, 24.0, 25.4, 27.0 (2C), 28.0, 30.5, 32.3, 32.3, 32.8, 33.9, 36.8, 38.4, 38.6, 39.2, 41.9, 42.1, 46.5, 46.6, 47.4, 55.0, 62.4, 65.5, 70.1, 71.4, 73.6, 76.0, 78.7, 122.8, 144.6, 169.7, 169.7, 169.9, 170.5, 178.0。
【0163】
Y8:3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.78, 0.85, 0.92, 0.94, 0.95, 0.98, 1.19 (s, 7 x CH
3), 0.74-2.17 (m, 他の脂肪族環プロトン), 2.83 (dd, 1H, J = 3.6, 13.4 Hz), 3.15 (dd, 1H, J = 5.0, 11.4 Hz), 3.25-3.28 (m, 1H), 3.50-3.57 (m, 2H), 3.64 (dd, 1H, J = 5.6, 11.7 Hz), 3.74 (brd, 1H, J = 1.4 Hz), 3.81 (dd, 1H, J = 2.2, 11.7 Hz), 5.11-5.13 (m, 1H), 5.39 (brs, 1H), 7.40 (d, 1H, J = 8.8 Hz)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ 16.0, 16.3, 18.1, 19.5, 23.9, 24.6 (2C), 26.3, 27.9, 28.5, 28.8, 31.6, 33.5, 33.9, 34.0, 35.1, 38.1, 39.8, 39.9, 40.8, 43.0, 43.1, 47.6, 47.9, 49.1, 56.7, 63.1, 68.1, 72.3, 75.6, 79.2, 79.7, 79.7, 124.7, 144.7, 180.7。
【0164】
上記化合物、Y9〜Y16の化学名は、以下の通りであった:
Y9:3−カルボニル−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
Y10:3−カルボニル−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
Y11:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)、
Y12:3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−マンノシド)、
Y13:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
Y14:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
Y15:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)、
Y16:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−マンノシド)。
【0165】
該化合物の一部の同定データは、以下の通りであった:
Y13:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 0.78, 0.80, 0.88, 0.93, 0.95, 0.99, 1.09, 2.00, 2.02, 2.05, 2.14 (11 x CH
3), 0.71-2.16 (m, 他の脂肪族環プロトン), 3.21 (dd, 1H, J = 5.0, 10.6 Hz), 3.97-4.09 (m, 3H), 5.02-5.16 (m, 3H), 5.41-5.42 (m, 2H), 6.61 (d, 1H, J = 8.8 Hz)。
13C NMR (100 MHz, CDCl
3): δ 15.4, 15.5, 17.0, 17.0, 18.1, 20.4, 20.5, 20.5, 20.7, 21.0, 23.0, 23.3, 24.8, 27.0, 27.7, 28.0, 30.7, 32.9, 36.8, 37.0, 38.6 (2C), 38.9, 39.4, 39.5, 42.2, 47.4, 47.8, 53.1, 55.1, 60.7, 67.0, 68.3, 70.7, 71.7, 78.6, 78.8, 126.2, 138.3, 169.7, 170.0, 170.2, 171.0, 178.6。
【0166】
Y14:3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
1H NMR (400 MHz, MeOD): δ0.78, 0.85, 0.91, 0.96, 0.97, 1.12 (7 x CH
3), 0.73-2.23 (m, 他の脂肪族環プロトン), 3.15 (dd, 1H, J = 4.8, 11.0 Hz), 3.49-3.66 (m, 5H), 3.89-3.90 (m, 1H), 4.77-4.82 (m, 1H), 5.31 (t, 1H, J = 3.4 Hz), 7.44 (d, 1H, J = 8.6)。
13C NMR (100 MHz, MeOD): δ16.1, 16.4, 17.7, 18.1, 19.5, 21.6, 24.0, 24.4, 25.3, 27.9, 28.8, 29.0, 32.0, 34.3, 38.1, 38.3, 39.8, 40.1, 40.2, 40.8, 41.0, 43.3, 49.1, 54.0, 56.7, 62.2, 70.2, 71.3, 75.8, 77.9, 79.7, 81.9, 82.0, 127.3, 139.7, 181.4。
【0167】
実験の実施例
本発明による化合物の一部の抗インフルエンザウイルスの実験結果について、以下のように記載した:
1.Q9は、インフルエンザウイルスの複製を効果的に阻害した。CPE阻害実験とプラーク形成阻害実験は、化合物のQ9がインフルエンザウイルスに対して陽性薬物のリバビリンより強力な、有意な阻害効果を及ぼすことを示した。CPE阻害実験は、陽性薬物のタミフル(リン酸オセルタミビル、OSV−P)のEC
50が45.6μMであり、リバビリン(RBV)のEC
50が42.7μMであるのに対し、化合物Q9のインフルエンザウイルスに抗するEC
50が48.7μMであることを示した(表1に示す)。プラーク形成阻害実験は、インフルエンザウイルスに抗するQ9のIC
50が<5μM未満であることを示した(
図1に示すように)。A549、MDCK、及び293T細胞におけるQ9のCC
50は、100μMより高かった。このことは、Q9がほとんど細胞毒性を有さないことを示した。
【0168】
表1:インフルエンザウイルス(WSN)に抗するQ9の活性とその細胞毒性
【0169】
【表3】
【0170】
細胞変性効果(CPE)阻害実験によって計算されたQ9のEC
50は、リバビリンとリン酸オセルタミビルの抗ウイルス活性と同等であり、Q9の抗インフルエンザウイルス効果がリバビリン及びリン酸オセルタミビルのそれと同様であることを示した。
【0171】
表2:プラーク形成阻害実験は、Q9がインフルエンザウイルスに対して有意な阻害効果を提示することを示した。
【0172】
【表4】
【0173】
この結果は、インフルエンザウイルスがMDCK細胞においてウイルスプラークを形成し得て、Q9が半分より多くのプラークを5μMの濃度で阻害する(即ち、IC
50<5μM)ことを示した。
【0174】
2.Q9は、インフルエンザウイルスの細胞中への侵入を阻害した。
【0175】
上記の添加時期のアッセイと血球凝集阻害アッセイは、Q9がインフルエンザウイルスの細胞中への侵入段階に作用して、細胞受容体へのウイルスの結合に干渉することを示した(表3と
図1に示すように)。
【0176】
表3:添加時期のアッセイは、Q9がウイルス複製の初期段階(0〜2時間)で作用することを示した。
【0177】
【表5】
【0178】
この結果は、NPレベルが0〜10時間と0〜2時間でDMSO対照と比較してそれぞれ約75%と62%低下することを示した。対照的に、残る3つの間隔(2〜5、5〜8、及び8〜10時間)では、抗ウイルス活性を検出しなかった。これらのデータは、Q9がウイルス生活環の初期段階(0〜2時間)で有効であることを示す。残る段階(即ち、ウイルスゲノム複製/翻訳及びビリオン組立て/放出)では阻害効果が観察されなかった。
【0179】
3.偽型ウイルス実験は、Q9がH1N1及びH5N1インフルエンザ株の細胞中への侵入を阻害することを示した。
【0180】
H5N1が高病原性のインフルエンザウイルスであるので、H5N1及びH1N1の偽型ウイルスを使用して、Q9の抗ウイルス活性の広いスペクトラムを測定した。このような偽型ウイルスは、高度の安全性を有しており、P2実験室において操作することができる。濃度が50μMであるとき、Q9は、インフルエンザウイルスのH1N1とH5N1に対する有意な抗ウイルス活性をそれぞれ61.9%と16.8%の阻害率で提示した。阻害率が高いほど、より弱い相対ルシフェラーゼ活性を検出した。
【0181】
表4:偽型ウイルス実験は、Q9がH1N1及びH5N1インフルエンザウイルスの偽型ウイルスを阻害することを示した。
【0182】
【表6】
【0183】
偽型ウイルスは、HIVのコアタンパク質とインフルエンザウイルスのエンベロープタンパク質、HA/NAより構成された。インフルエンザウイルスの2つのサブタイプ、H1N1及びH5N1の偽型ウイルスは、Q9によって阻害され;Q9の濃度は、50μMであった。陰性対照としてのDMSOの阻害率をゼロへ設定した。
【0184】
4.一部の糖修飾トリテルペノイド誘導体の抗インフルエンザウイルス活性
該化合物をこのウイルスと混合してから、その細胞へ加えた。ウイルス誘発性細胞変性効果に対する該化合物の阻害効果を観察した。ウイルスを含まずに化合物だけを含んでなる群を使用して、化合物の細胞毒性を測定した。DMSOを陰性対照として使用した。イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)を播種し24時間インキュベートした。試験する化合物をDMEMへ加え、均一に混合して、MDCK細胞へ加えた。48時間後、Celltiter-Glo 検査キットを使用して、細胞生存度を検出した。この結果は、Q9がインフルエンザウイルスに抗する有意な阻害活性を有して、ウイルスの感染性を有意に弱めることを示した。EA、Q1、Q2、Q3、Q11、及びQ12もいくらかの抗インフルエンザウイルス活性を提示したが、他の化合物には、有意な抗インフルエンザウイルス活性は無かった。試験した化合物では、EA、Q4、及びQ6に明白な細胞毒性があって、Q1、Q2、Q3、Q11、及びQ12の抗インフルエンザウイルス活性は、Q9と比較して有意ではなかったが、EAと比較すると、有意に低下した細胞毒性を有した。他の化合物は、(表5と表6に示すように)ごく弱い毒性を提示した。
【0185】
表5:50μMの濃度での各化合物のMDCK細胞に対する毒性
【0186】
【表7】
【0187】
表6:50μMの濃度での化合物の抗インフルエンザウイルス活性。より低いウイルス感染性は、薬物のより良好な阻害効果を表した。検出法は、表5に示した通りである。
【0188】
【表8】
【0189】
DMSOを陰性対照として使用した。イヌ腎臓上皮細胞(MDCK)を24時間継代培養した後で、WSNウイルス(MOI=1)と試験する化合物をDMEMへ加え、均一に混合して、MDCK細胞へ加えた。48時間後、Celltiter-Glo アッセイキットを使用して、細胞生存度を検出した。感染率(感染性)=100%−細胞変性効果に抗する化合物の保護率。細胞変性効果に抗する化合物の保護率=100%×(1−(「試験化合物」−「メジアンウイルス1」)/(「メジアン細胞」−「メジアンウイルス2」))。ここで「試験化合物」は、試験化合物だけを加えて、ウイルスを含まない群の細胞生存度を表し;「メジアンウイルス1」は、試験化合物とウイルスを加えた群の細胞生存度を表し;「メジアン細胞」は、1% DMSOだけを加えた群の細胞生存度を表し;「メジアンウイルス2」は、1% DMSOとウイルスを加えた群の細胞生存度を表す。
【0190】
Q9に対するさらなる構造修飾は、Y1、Y2、Y3、Y5、Y6、Y7、及びY8が有意な抗インフルエンザウイルス活性と弱い細胞毒性を有することを示した。ここでは、(表7と表8に示すように)Y5が最も有意な抗インフルエンザウイルス活性を提示した。
【0191】
表7:50μMの濃度での化合物のMDCK細胞に対する毒性
【0192】
【表9】
【0193】
表8:50μMの濃度での化合物の抗インフルエンザウイルス活性。より低いウイルス感染性は、薬物のより良好な阻害効果を表した。検出法は、表6に示した通りである。
【0194】
【表10】
【0195】
さらなる構造修飾は、Y13とY14がQ9より高い有意な抗インフルエンザウイルス活性と弱い細胞毒性を有することを示した(データ示さず)。他の化合物も、(表9に示すように)良好な抗インフルエンザウイルス活性を示した。
【0196】
表9:50μMの濃度での化合物の抗インフルエンザウイルス活性。検出法は、表6に示した通りである。
【0197】
【表11】
【0198】
5.化合物の抗インフルエンザウイルス効果の実験結果を以下のように示した:
異なるインフルエンザウイルスに対する化合物の阻害効果を、細胞変性効果(CPE)抑制アッセイにより試験した。化合物、Y2、Y5、Y6、及びQ9が様々な程度の阻害効果をA/Puerto Rico/8/34(H1N1);A/LiaoNing−ZhenXing/1109/2010(H1N1);A/JiangXi−DongHu/312/2006(H3N2);A/HuNan−ZhuHui/1222/2010(H3N2);B/ShenZhen/155/2005に対して提示することを見出した。ここでY5のEC
50は、2μMより低く、リバビリンと同等であった。上記の株には、タミフル耐性株とアマンタジン耐性株が含まれ;A/LiaoNing−ZhenXing/1109/2010(H1N1)はタミフル耐性株で、A/HuNan−ZhuHui/1222/2010(H3N2)はアマンタジン耐性株である。このことは、本発明者によって発見された化合物がインフルエンザA型ウイルスだけでなくインフルエンザB型ウイルスも阻害する可能性があることを示し、それらが広いスペクトラムの抗ウイルス効果を有することを示唆した。さらに、我々の化合物は、(表10に示すように)タミフル耐性株とアマンタジン耐性株に対して有意な阻害効果を有する。
【0199】
表10:化合物の広いスペクトラムの抗ウイルス活性の分析結果
【0200】
【表12】
【0201】
本発明は、上記の態様に限定されない。上記に記載した態様は、例解的なものにすぎず、制限的なものではない。当業者は、本発明の着想の下で、本発明の精神と本発明の特許請求の範囲において特許請求される保護範囲より逸脱することなく数多くの形態を作製し得て、その諸形態は、いずれも本発明の特許保護範囲に含まれる。
本明細書は以下の発明の開示を包含する:
[1]以下の構造式:
【化11】
[式中、
点線は、単結合又は二重結合のいずれでもよい結合を表し;
R1は、XR1’であり、ここでXは、O又はNHであり、R1’は、水素、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、又はそれらの誘導体、又はビタミンC、シアル酸、アミノ糖(1、2、3個の糖)、タミフルとそのプロドラッグであり{「単糖類、オリゴ糖類、多糖類の誘導体」は、その2、3又は4個のような1個以上のヒドロキシ基が、C1−C6アルカノイルオキシ基、C1−C6アルコキシ基、ベンゾイルオキシ基、及び/又はベンジルオキシ基、等のような置換基によって置換される可能性があり(例えば、ベンゼン環は、1以上のハロゲン、ニトロ基、アミノ基、及び/又はC1−C6アルキル基で置換され得る);このヒドロキシル基の1つは、水素、アミノ基、又はアセチルアミノ基によって置換される可能性があることに言及する};
R2とR7は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、カルボニル基、C1−C6チオアルキル基、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基によって置換された)C1−C6アルキル基、アミノ基、NR11’R12’(ここでR11’とR12’は、それぞれ独立して、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基によって置換された)C1−C6アルキル基より選択される)からなる群より選択され;
R3、R4、R5、R6、及びR8は、それぞれ独立して、H、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基によって置換された)C1−C6アルキル基からなる群より選択され;
R9は、H、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、C1−C6チオアルキル基、カルボニル基、オキシム基、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基によって置換された)C1−C6アルキル基からなる群より選択され;
R10、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、H、OH、NHR9’(ここでR9’は、H、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基、又はカルボキシル基によって置換された)C1−C3アルキル基である)、メルカプト基、C1−C6チオアルキル基、(未置換であるか又はヒドロキシル基、アミノ基、又はカルボキシル基によって置換された)C1−C3アルキル基からなる群より選択される;
但し、R7がヒドロキシル基である場合、R2とR1’は、水素でない]の化合物、その立体異性体、そのエピマー、その立体配置異性体、又はその医薬的に許容される塩、又はその水和物の、インフルエンザ、特にインフルエンザA型の予防又は治療の必要な患者におけるそのような治療のための医薬品の製造への使用。
[2]R10、R11、R12、R13、及びR14が、それぞれ独立して、H、ヒドロキシ基、アミノ基、未置換C1−C3アルキル基、好ましくはメチル基、又は(ヒドロキシ基、アミノ基、又はカルボキシル基によって置換された)C1−C3アルキル基、好ましくはメチル基からなる群より選択され;好ましくは、R11とR12が、それぞれ独立して、H又はメチル基より選択され、R10がHであり、及び/又はR13とR14が、それぞれ独立して、H、OH又はNH2より選択される、[1]に記載の使用。
[3]薬物が、経口、直腸、経鼻、エアロゾル又は微粒子吸入によって投与されるか又は、頬内及び舌下、経皮、膣内、膀胱内、病巣内、及び非経口経路によって局所的に投与され;スプレー剤は、経口又は経鼻のスプレー投与、又は室内又は局所環境の滅菌及び消毒に好ましい、[1]に記載の使用。
[4]単糖が、グルコース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、リボース、又はデオキシリボースからなる群より独立して選択され、オリゴ糖は、マルトース、スクロース、又はラクトースであり、又はここで誘導体は、「単糖類、オリゴ糖類、多糖類」の1、2、3又は4個のヒドロキシ基がC1−C4アルカノイルオキシ基、C1−C4アルコキシ基、ベンゾイルオキシ基、及び/又はベンジルオキシ基によって置換される;又はその1つのヒドロキシ基が、水素、アミノ基、又はアセチルアミノ基によって置換される;好ましくは、「単糖類、オリゴ糖類、多糖類」の1つのヒドロキシ基、又は2、3又は4個のヒドロキシ基が、アセトキシ基、ベンジルオキシ基、メトキシ基、及び/又はベンゾイルオキシ基によって置換される;又は、「単糖類、オリゴ糖類、多糖類」の1つのヒドロキシ基が、水素、アミノ基、又はアセチルアミノ基によって置換されることを意味する、[1]に記載の使用。
[5]前記XがO又はNHであり、前記糖が、単糖又は二糖、又は単糖又は二糖のヒドロキシ基がアセトキシ基によって置換されたアセチル化誘導体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の使用。
[6]R2が、H、OH、カルボニル基、SH、又はNH2、好ましくは、H、OH、又はカルボニル基からなる群より独立して選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の使用。
[7]R3、R4、R5、R6、及びR8が、それぞれ独立してメチル基より選択される、[1]〜[6]のいずれかに記載の使用。
[8]R7が、H、OH、カルボニル基、NH2、又はSH、好ましくは、OH又はカルボニル基からなる群より選択される、[1]〜[7]のいずれかに記載の使用。
[9]前記化合物が:
エキノシスト酸、化合物:Q1〜Q14及びY1〜Y16のいずれか1つ、好ましくはエキノシスト酸、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ(olean)−12−エン(en)−28−酸(oic acid)−28−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−グルコシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(2,3,4−トリ−O−アセチル−β−D−キシロシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ガラクトシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(β−D−ラクトシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−O−(ヘプタ−O−アセチル−β−D−マルトシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3,16−ジオン−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
3,16−ジオン−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)、
3β−ヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3−カルボニル−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
3−カルボニル−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3β,16α−ジヒドロキシ−オレアナ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)、
3β−ヒドロキシ−ウルサ(urs)−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−ガラクトシド)、
3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−ガラクトシド)、
3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D−マンノシド)、又は
3β−ヒドロキシ−ウルサ−12−エン−28−酸−28−N−(β−D−マンノシド)である、[1]〜[8]のいずれかに記載の使用。
[10][1]〜[9]のいずれかの前記化合物、その立体異性体、そのエピマー、その立体配置異性体、又はその医薬的に許容される塩、又はその水和物[但し、先行技術において既知の化合物(例、エキノシスト酸)は除外される]。
[11][1]〜[9]のいずれか中の化合物を製造するための方法であって、トリテルペン天然植物抽出物のトリテルペノイドアグリコン又はその群の一部の誘導体のヒドロキシル基を保護基で保護する工程、カルボキシル基を活性化する工程(塩化物、エステル、又は無水物を生成する工程のように)、糖又はアミノ糖とカップリングする工程、及び脱保護化してトリテルペノイドサポニン類を生成する工程を含んでなる、前記方法。