(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441808
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】淡水化装置及び淡水化方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20060101AFI20181210BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/16 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/20 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20181210BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20181210BHJP
B01D 65/06 20060101ALI20181210BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20181210BHJP
C02F 1/52 20060101ALI20181210BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
C02F1/44 G
B01D61/02 500
B01D61/14 500
B01D61/16
B01D61/20
B01D61/22
B01D61/58
B01D65/02
B01D65/06
B01D61/04
C02F1/52 Z
B01D29/08 520A
B01D29/08 540A
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-538977(P2015-538977)
(86)(22)【出願日】2014年7月14日
(86)【国際出願番号】JP2014068700
(87)【国際公開番号】WO2015045574
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2013-204381(P2013-204381)
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591078996
【氏名又は名称】一般財団法人造水促進センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】島村 和彰
(72)【発明者】
【氏名】秦 良介
(72)【発明者】
【氏名】平井 光芳
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和明
(72)【発明者】
【氏名】菅野 健夫
【審査官】
片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−183492(JP,A)
【文献】
特開2006−272136(JP,A)
【文献】
特開2013−169511(JP,A)
【文献】
特開平02−126923(JP,A)
【文献】
特開2007−222814(JP,A)
【文献】
特開平10−015307(JP,A)
【文献】
特開平10−263539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D 61/00−71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水中の溶解性有機物及び濁質分を除去する複数のろ過膜と、逆浸透膜とを備えた淡水化装置における淡水化方法であって、
複数のろ過膜のうちの一つのろ過膜へ流入する原水の流入圧と、当該一つのろ過膜から流出する透過水の流出圧と、を測定して得られる膜間差圧が所定値に達した時もしくは設定時間経過時のいずれか早い時にろ過膜の逆洗を開始し、当該膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて洗浄間隔を決定し、当該洗浄間隔に従って、他のろ過膜の逆洗を行う制御を含む、ろ過膜の逆洗工程を含み、
前記ろ過膜の逆洗は、前記ろ過膜を透過した透過水又は前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水をそのまま又は加温して、洗浄液として使用することを特徴とする淡水化方法。
【請求項2】
前記逆洗工程は、前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、前記ろ過膜を透過した透過水、加温した前記透過水、前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水又は加温した前記逆浸透膜透過水のいずれかを洗浄液として選択して使用する制御を含むことを特徴とする請求項1に記載の淡水化方法。
【請求項3】
前記膜間差圧の所定値は、25kPa〜100kPaの範囲で設定し、
前記設定時間は、膜間差圧が所定値に達するまでに要する時間の1倍〜10倍の範囲で設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の淡水化方法。
【請求項4】
前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、洗浄液に添加する酸化剤の添加時間及び/又は添加量を制御する、ことを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の淡水化方法。
【請求項5】
前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、原水に添加する凝集剤の添加時間及び/又は添加量を制御する、ことを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の淡水化方法。
【請求項6】
原水中の溶解性有機物及び濁質分を除去するろ過膜と、逆浸透膜とを備えた淡水化装置であって、
当該ろ過膜を内包し、当該ろ過膜へ原水を供給する原水供給管と、当該ろ過膜からの透過水を流出する透過水流出管と、当該ろ過膜へ洗浄液を供給する洗浄液供給管と、当該ろ過膜からの洗浄廃液を流出する洗浄廃液流出管と、が接続されている、複数のろ過膜モジュールと、
当該複数のろ過膜モジュールのうち一つの原水供給管内の原水の圧力を測定する流入圧計測手段と、
当該一つのろ過膜モジュールの透過水流出管内の透過水の圧力を測定する流出圧計測手段と、
当該流入圧計測手段と当該流出圧計測手段とからの各計測結果に基づいて当該一つのろ過膜モジュールの膜間差圧を算出し、当該膜間差圧が所定値に達した時もしくは設定時間経過時のいずれか早い時に、当該ろ過膜モジュールへの洗浄液の供給を開始すること、当該一つのろ過膜モジュールの膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、当該ろ過膜を透過した透過水、加温した当該透過水、当該逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水又は加温した当該逆浸透膜透過水のいずれかを洗浄液として選択して使用すること、及び複数のろ過膜モジュールのうち一つのろ過膜モジュールの膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて洗浄間隔を決定し、決定された当該洗浄間隔に従って、他のろ過膜モジュールの逆洗を行うことを制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする、淡水化装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給管には、前記透過水流出管、及び前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水を前記複数のろ過膜モジュールの洗浄液供給管に送る逆浸透膜透過水送水管が接続されており、
当該透過水流出管及び当該逆浸透膜透過水送水管には、それぞれ、流量制御弁が設けられており、
当該流量制御弁は、透過水又は逆浸透膜透過水のいずれかを洗浄液として前記洗浄液供給管に送水するように前記制御手段によって制御されることを特徴とする請求項6に記載の淡水化装置。
【請求項8】
前記透過水流出管、前記逆浸透膜透過水送水管又は前記洗浄液供給管には、加温手段が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の淡水化装置。
【請求項9】
前記洗浄液供給管に接続されている酸化剤添加手段をさらに具備し、
当該酸化剤添加手段は、前記制御手段により、前記複数のろ過膜モジュールのうち一つのろ過膜モジュールの膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、洗浄液に添加する酸化剤の添加時間及び/又は添加量が制御されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【請求項10】
前記原水供給管に接続されている凝集剤添加手段をさらに具備し、
当該凝集剤添加手段は、前記制御手段により、前記複数のろ過膜モジュールのうち一つのろ過膜モジュールの膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、原水に添加する凝集剤の添加時間及び/又は添加量が制御されることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【請求項11】
前記原水供給管に接続されている砂ろ過槽をさらに具備し、
当該砂ろ過槽によりろ過された原水を前記複数のろ過膜モジュールに供給することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【請求項12】
前記複数のろ過膜モジュールの透過水流出管と前記逆浸透膜との間に設けられた、前記透過水を貯留する透過水貯槽をさらに具備し、
前記洗浄液供給管は、当該透過水貯槽と前記複数のろ過膜モジュールとの間に設けられていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【請求項13】
前記原水供給管、前記透過水流出管、前記洗浄液供給管、及び前記洗浄廃液流出管には、前記制御手段によって制御される調節弁が設けられていることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水又は汽水を脱塩して淡水化する淡水化方法及び淡水化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海水或いは汽水を脱塩して、工業用水或いは飲用水を得る場合の脱塩方法として、逆浸透(RO)膜法、電気透析法又は電気式脱塩法、蒸発法などがあった。これらの技術を採用する場合には、予め海水或いは汽水に含まれている濁質を除去する前処理が必要であり、凝集法、砂ろ過法、加圧浮上法、MF/UF膜法などが単独又は併用して使用されていた。
【0003】
また、たとえば、原水中の濁質分をろ過する前処理膜を有する前処理装置を逆浸透(RO)膜装置の前段に設ける淡水化装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1においては、前処理膜として、UF膜(限外濾過膜)又はMF膜(精密濾過膜)等の分離膜を用いることが記載されている(
図2参照)。
【0004】
しかし、昨今、海水或いは汽水に流入する都市下水などの影響により、濁質のみならず、液中に溶解している有機物が、RO膜法、電気透析法、電気式脱塩法、蒸発法の運転、メンテナンス及びコストに大きな影響を与えることが顕在化してきた。特に、MF膜、UF膜、RO膜などの膜を用いる脱塩法では、膜表面に溶解している有機物や濁質が蓄積してファウリングを引き起こし、膜流速の低下、逆洗頻度の増加、膜寿命の減少などを引き起こしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−31121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、逆浸透膜ろ過を長期にわたり効率よく安定して行うことができる淡水化方法及び装置を提供することを目的とする。特に、逆浸透膜の前段に設けられた、精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜を効率的に洗浄することができる淡水化方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究した結果、ろ過膜の流入側と流出側との膜間差圧に基づいて、ろ過膜の逆洗間隔を制御することによって、ろ過膜及び逆浸透膜の性能を劣化させることなく、長期にわたり安定して淡水化運転が可能であることを知見し、本発明を完成するに至った。本発明の態様は以下の通りである。
[1]原水中の溶解性有機物及び濁質分を除去するろ過膜と、逆浸透膜とを備えた淡水化装置における淡水化方法であって、
ろ過膜へ流入する原水の流入圧と、ろ過膜から流出する透過水の流出圧と、を測定して得られる膜間差圧が所定値に達した時もしくは設定時間経過時のいずれか早い時にろ過膜の逆洗を開始するろ過膜の逆洗工程を含む、淡水化方法。
[2]前記ろ過膜の逆洗は、前記ろ過膜を透過した透過水又は前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水をそのまま又は加温して、洗浄液として使用することを特徴とする[1]に記載の淡水化方法。
[3]前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、前記ろ過膜を透過した透過水、加温した前記透過水、前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水又は加温した前記逆浸透膜透過水のいずれかを選択して、洗浄液として使用することを特徴とする[1]又は[2]に記載の淡水化方法。
[4]前記膜間差圧の所定値は、25kPa〜100kPaの範囲で設定し、
前記設定時間は、膜間差圧が所定値に達するまでに要する時間の1倍〜10倍の範囲で設定する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の淡水化方法。
[5]前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、洗浄液に添加する酸化剤の添加時間及び/又は添加量を制御する、ことをさらに含む[1]〜[4]のいずれか1項に記載の淡水化方法。
[6]前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、原水に添加する凝集剤の添加時間及び/又は添加量を制御する、ことをさらに含む[1]〜[5]のいずれか1項に記載の淡水化方法。
[7]前記ろ過膜を複数含み、
少なくとも1のろ過膜の膜間差圧を計測し、膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて洗浄間隔を決定し、
当該洗浄間隔に従って、他のろ過膜の逆洗を行う、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の淡水化方法。
[8]原水中の溶解性有機物及び濁質分を除去するろ過膜と、逆浸透膜とを備えた淡水化装置であって、
当該ろ過膜を内包し、当該ろ過膜へ原水を供給する原水供給管と、当該ろ過膜からの透過水を流出する透過水流出管と、当該ろ過膜へ洗浄液を供給する洗浄液供給管と、当該ろ過膜からの洗浄廃液を流出する洗浄廃液流出管と、が接続されている、ろ過膜モジュールと、
当該原水供給管内の原水の圧力を測定する流入圧計測手段と、
当該透過水流出管内の透過水の圧力を測定する流出圧計測手段と、
当該流入圧計測手段と当該流出圧計測手段とからの各計測結果に基づいて膜間差圧を算出し、当該膜間差圧が所定値に達した時もしくは所定の設定時間経過時のいずれか早い時に、当該ろ過膜モジュールへの洗浄液の供給を開始する制御手段と、
を具備する、淡水化装置。
[9]前記洗浄液供給管には、前記透過水流出管、及び前記逆浸透膜を透過した逆浸透膜透過水を前記ろ過膜モジュールの洗浄液供給管に送る逆浸透膜透過水送水管が接続されており、
当該透過水流出管及び当該逆浸透膜透過水送水管には、それぞれ、流量制御弁が設けられており、
当該流量制御弁は、透過水又は逆浸透膜透過水のいずれかを洗浄液として前記洗浄液供給管に送水するように前記制御手段によって制御される、[8]に記載の淡水化装置。
[10]前記透過水流出管、前記逆浸透膜透過水送水管又は前記洗浄液供給管には、加温手段がされに設けられている、[9]に記載の淡水化装置。
[11]前記洗浄液供給管に接続されている酸化剤添加手段をさらに具備し、
当該酸化剤添加手段は、前記制御手段により、前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、洗浄液に添加する酸化剤の添加時間及び/又は添加量が制御される、[8]〜[10]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
[12]前記原水供給管に接続されている凝集剤添加手段をさらに具備し、
当該凝集剤添加手段は、前記制御手段により、前記膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて、原水に添加する凝集剤の添加時間及び/又は添加量が制御される、[8]〜[11]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
[13]前記原水供給管に接続されている砂ろ過槽をさらに具備し、
当該砂ろ過槽によりろ過された原水を前記ろ過膜モジュールに供給する、[8]〜[12]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
[14]前記ろ過膜モジュールの透過水流出管と前記逆浸透膜との間に設けられた、前記透過水を貯留する透過水貯槽をさらに具備し、
前記洗浄液供給管は、当該透過水貯槽と前記ろ過膜モジュールとの間に設けられている、[8]〜[13]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
[15]複数の前記ろ過膜モジュールを含み、
前記制御手段は、少なくとも1のろ過膜モジュールの膜間差圧が所定値に達するまでの所要時間に応じて洗浄間隔を決定し、決定された当該洗浄間隔に従って、他のろ過膜モジュールの逆洗を制御する、[8]〜[14]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
[16]前記原水供給管、前記透過水流出管、前記洗浄液供給管、及び前記洗浄廃液流出管には、前記制御手段によって制御される調節弁が設けられている、[8]〜[15]のいずれか1項に記載の淡水化装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、逆浸透膜の前段に設けられたろ過膜の閉塞が生じる前に、ろ過膜を逆洗することで、逆浸透膜ろ過を長期にわたり効率よく安定して行うことができる逆洗制御機構を具備する淡水化装置及び淡水化方法が提供される。特に、原水の水質変動に追従して、ろ過膜の逆洗を自動制御できるので、ろ過膜の性能を最適に維持することができる。また、ろ過膜の逆洗に用いる酸化剤の添加量も最適化できるため、ランニングコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態を示す概略説明図である。
【
図2】酸化剤添加制御を組み入れた本発明の一実施形態を示す概略説明図である。
【
図3】凝集剤添加制御を組み入れた本発明の別の実施形態を示す概略説明図である。
【
図4】酸化剤添加制御及び凝集剤添加制御を組み入れた本発明の別の実施形態を示す概略説明図である。
【
図5】砂ろ過槽を組み入れた本発明の別の一実施形態を示す概略説明図である。
【
図6】複数のろ過膜モジュールを含む本発明の別の実施形態を示す概略説明図である。
【
図7】実施例1で用いた淡水化装置(制御系が弁の開閉のみ制御する態様)の概略説明図である。
【
図8】実施例5で用いた淡水化装置(逆浸透膜透過水を洗浄液として用いる態様)の概略説明図である。
【
図9】実施例6で用いた淡水化装置(加温した洗浄液を使用する態様)の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図中、実線矢印は流体の流れを示し、点線矢印は制御信号の流れを示す。
【0011】
図1に示す淡水化装置は、原水中の溶解性有機物及び濁質分を除去するろ過膜を内包するろ過膜モジュール10と、当該ろ過膜モジュール10からの透過水を貯留する透過水貯槽20と、当該透過水を脱塩する逆浸透膜モジュール30と、を具備する。
【0012】
ろ過膜モジュール10には、淡水化に供する海水などの原水を供給する原水供給管13と、透過水を流出する透過水流出管15と、ろ過膜を逆洗する洗浄液を供給する洗浄液供給管22と、洗浄廃液を流出する洗浄廃液流出管11と、空気供給管12と、ドレン14とが接続されている。
【0013】
原水供給管13には、当該原水供給管内の原水の圧力を測定する流入圧計測用圧力計P1が接続されている。透過水流出管15には、当該透過水流出管内の透過水の圧力を測定する流出圧計測用圧力計P2が接続されている。これらの圧力計P1及びP2には、流入圧計測用圧力計P1と流出圧計測用圧力計P2とからの計測信号[P1]及び[P2]に基づいて膜間差圧([P2]−[P1])を算出し、当該膜間差圧が所定値に達した時もしくは所定の設定時間経過時のいずれか早い時に、ろ過膜モジュール10への洗浄液の供給を開始するように制御する制御系Cが電気的に連結されている。
【0014】
制御系Cは、洗浄液供給管22に設けられている洗浄液供給調節弁V1、洗浄廃水管11に設けられている洗浄廃液調節弁V2、透過水流出管15に設けられている透過水調節弁V3、原水供給管13に設けられている原水調節弁V4の開閉を制御して、淡水化処理及び逆洗の切り替えを行う。すなわち、逆洗時には、原水調節弁V4及び透過水調節弁V3を閉じ、洗浄液供給調節弁V1及び洗浄廃液調節弁V2を開く。逆洗が終了すると、洗浄液供給調節弁V1及び洗浄廃液調節弁V2を閉じ、原水調節弁V4及び透過水調節弁V3を開き、淡水化処理を再開する。
【0015】
図1に示す実施態様においては、洗浄液供給管22は、透過水貯槽20に接続されており、透過水を洗浄液として使用する。図示していない洗浄液貯槽から洗浄液を供給してもよい。洗浄液供給管22には、酸化剤添加手段27が接続されており、洗浄液に酸化剤を供給する。
【0016】
図2に示す淡水化装置は、
図1に示す淡水化装置の構成に加えて、制御系Cにより制御される酸化剤添加手段27を具備する。酸化剤添加手段27は、酸化剤を貯留する酸化剤貯留槽(図示せず)と、酸化剤貯留槽から洗浄液供給管22に酸化剤を供給する配管と、配管に設けられた酸化剤供給調節弁(図示せず)と、を具備する。酸化剤供給調節弁は、制御系Cにより、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間に応じて開閉が制御される。更に加えて、酸化剤供給調節弁の開放程度を制御することにより酸化剤添加手段における酸化剤添加流量を増減することができる。
【0017】
図3に示す淡水化装置は、
図1に示す淡水化装置の構成に加えて、原水供給管13に接続されている凝集剤添加手段28を具備する。凝集剤添加手段28は、凝集剤を貯留する凝集剤貯留槽(図示せず)と、凝集剤貯留槽から原水供給管13に凝集剤を供給する配管と、配管に設けられた凝集剤供給調節弁(図示せず)と、を具備する。凝集剤供給調節弁は、制御系Cにより、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間に応じて開閉が制御される。更に加えて、凝集剤供給調節弁の開放程度を制御することにより凝集剤添加手段における凝集剤添加流量を増減することができる。
【0018】
図4に示す淡水化装置は、
図2に示す淡水化装置の構成に加えて、
図3に示す原水供給管13に接続されている凝集剤添加手段28を具備する。すなわち、酸化剤供給制御と凝集剤添加制御とを備えた装置であり、
図2及び
図3の説明を援用する。
【0019】
図5に示す淡水化装置は、
図4に示す淡水化装置の構成に加えて、原水供給管13に接続されている砂ろ過槽40を具備する。砂ろ過槽40は、凝集剤添加手段28とろ過膜モジュール10との間に設けられている。
【0020】
図6に示す淡水化装置は、複数のろ過膜モジュール10、10aを具備し、少なくとも1のろ過膜モジュール10の膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間に応じて決定される洗浄間隔に従って、他のろ過膜モジュール10aの逆洗を行う態様を示す。ろ過膜モジュール10aには、原水供給調節弁V4aが設けられている原水供給管13a、ろ過水調節弁V3aが設けられているろ過水流出管15a、洗浄液供給調節弁V1aが設けられている洗浄液供給管22a、洗浄廃液調節弁V2aが設けられている洗浄廃水管11aが接続されている。ろ過膜モジュール10aの各弁は、ろ過膜モジュール10の膜間差圧([P2]−[P1])に従って決定される洗浄間隔に従って、制御系Cにより開閉が制御され、逆洗時には原水供給調節弁V4aとろ過水調節弁V3aが閉じられ、洗浄液供給調節弁V1aと洗浄廃液調節弁V2aが開かれる。
【0021】
制御系Cは、圧力計で計測した圧力データや流量データなどの計測値の収集部、収集したデータの演算部、タイマー、タイマー及び演算した結果に基づいて調節弁やポンプなどの各駆動装置に作動指示を送る指示部を包含する。
【0022】
図8に示す淡水化装置は、
図3に示す淡水化装置の構成に加えて、逆浸透膜透過水を洗浄液として送る逆浸透膜透過水送水管32を具備する。逆浸透膜透過水送水管32は、洗浄液供給管22に接続されており、流量制御弁V5を具備する。流量制御弁V5は、制御系Cによって弁の開閉が制御される。制御系Cは、洗浄液供給管22に設けられている洗浄液供給調節弁V1と、逆浸透膜透過水送水管32に設けられている流量制御弁V5と、を制御して、透過水又は逆浸透膜透過水のいずれかを洗浄液としてろ過膜に供給する。たとえば、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が短い場合には、制御系Cは、洗浄液供給調節弁V1を閉じて、且つ逆浸透膜透過水送水管32の流量制御弁V5を開放して、洗浄液供給管22を介して逆浸透膜透過水を洗浄液としてろ過モジュール10に導入する経路を選択する。逆に、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が長い場合には、制御系Cは、流量制御弁V5を閉じて、且つ洗浄液供給調節弁V1を開放して、透過水を洗浄液として洗浄液供給管22に導入する経路を選択する。
【0023】
図9に示す淡水化装置は、
図8に示す淡水化装置の構成に加えて、加温槽42、洗浄液供給管22及び逆浸透膜透過水送水管32からそれぞれ分岐して加温槽42に送水する分岐管24及び34、及び加温槽42から逆浸透膜透過水送水管32に返送する加温洗浄液返送管44を具備する。分岐管24及び34には、それぞれ、制御弁V6及びV7が設けられており、制御系Cによって弁の開閉が制御される。たとえば、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が非常に短い場合には、制御系Cは、洗浄液供給管22に設けられている洗浄液供給調節弁V1を閉じ、且つ逆浸透膜透過水送水管32に設けられている流量制御弁V5を閉じて、分岐管34に設けられた制御弁V7を開放して、逆浸透膜透過水を加温槽42に導入して加温した後、加温洗浄液返送管44を介して流量制御弁V5よりも後段の位置にて逆浸透膜透過水送水管32に戻し、洗浄液供給管22を介してろ過膜モジュール10に導入する経路を選択する。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が短い場合には、制御系Cは、洗浄液供給調節弁V1を閉じて、且つ逆浸透膜透過水送水管32の流量制御弁V5を開放して、洗浄液供給管22を介して逆浸透膜透過水を洗浄液としてろ過モジュール10に導入する経路を選択する。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間がやや短い場合には、制御系Cは、洗浄液供給調節弁V1を閉じて、且つ洗浄液供給管22からの分岐24に設けられている制御弁V6を開放し、透過水を加温槽42に導入して加温した後、加温洗浄液返送管44を介して流量制御弁V5よりも後段の位置にて逆浸透膜透過水送水管32に戻し、洗浄液供給管22を介してろ過膜モジュール10に導入する経路を選択する。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が長い場合には、制御系Cは、流量制御弁V5を閉じて、且つ洗浄液供給調節弁V1を開放して、透過水を洗浄液として洗浄液供給管22に導入する経路を選択する。以上のように、
図9に示す態様においては、原水の水質に応じて、いずれの洗浄液を使用すべきかを細かく制御することが可能となる。加温槽は、ヒーターを具備する恒温槽、熱交換装置、太陽熱利用型加温装置など、公知の加温槽を用いることができる。
【0024】
本発明の淡水化装置において用いるろ過膜及び逆浸透膜は、通常の淡水化装置で用いる膜でよい。ろ過膜としては、精密ろ過膜あるいは限外ろ過膜を好適に挙げることができる。膜素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PS)、酢酸セルロース(CA)などの有機性素材、セラミック、金属などの無機素材を挙げることができる。耐薬品性に優れていることが好ましく、PVDFが好適である。膜の孔径は、0.001〜1μmが好適である。ろ過膜の形態としては、中空糸、チューブラ、平膜などを採用することができるが、ここでは中空糸膜からなる加圧型円筒形のモジュールが好適である。逆浸透膜としては、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどからなるきわめて高い脱塩率が得られる半透性の膜を好適に挙げることができる。
【0025】
海水又は汽水である原水は、ろ過膜モジュール10に通水される。海水又は汽水には、塩水であるだけでなく、取水地域によっては濁質や溶解性有機物を多く含むこともある。ろ過膜モジュール10に導入された原水は、ろ過膜によってろ過される。ほとんどの塩水は透過して排出されるが、濁質分や一部の溶解性有機物は、ろ過膜表面やモジュール内に蓄積する。
【0026】
本発明の淡水化方法は、
図1〜
図9に示す好ましい実施態様の淡水化装置において、ろ過膜へ流入する原水の流入圧と、ろ過膜から流出する透過水の流出圧と、を測定して得られる膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達した時もしくは所定の設定時間経過時のいずれか早い時にろ過膜の逆洗を開始するろ過膜の逆洗工程を含むことを特徴とする。
【0027】
膜間差圧の所定値は、設計思想によって異なる。ろ過膜として限界ろ過膜を使用する場合の膜間差圧([P2]−[P1])は、20kPa〜100kPa、好ましくは25kPa〜60kPa、より好ましくは25kPa〜45kPaの範囲で設定することができる。一回の逆洗で、初期圧(汚れ成分による抵抗増加を差し引き、単純に膜ろ過抵抗、配管抵抗のみの抵抗による圧力)まで十分に低下する設定圧が好ましい。たとえば、初期圧が20kPa、一回の逆洗で8kPaの洗浄効果があるとすれば、設定圧は25〜28kPaが好ましい。
【0028】
設定時間は、膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間の1倍〜10倍、好ましくは1倍〜5倍の範囲とすることができる。たとえば、膜間差圧(P2−P1)の所定値を35kPaに設定した場合、35kPaに達するまでに要する時間が通常30〜60分であった場合には、所定時間を30〜600分、好ましくは30〜300分に設定し、35kPaに達するまでに要する時間が60〜120分であった場合には所定時間を60〜1200分、好ましくは60〜600分に設定し、35kPaに達するまでに要する時間が120分以上の場合には所定時間を120〜1200分、好ましくは120〜600分に設定することができる。
【0029】
いずれの態様においても、逆洗時間は所定時間に設定することが望ましく、1分〜15分、好ましくは2分〜10分、より好ましくは3分〜8分の範囲とする。
【0030】
膜間差圧([P2]−[P1])は、ろ過膜の閉塞状態ばかりでなく、原水の水質変動の指標ともなる。原水の水質が悪化すれば、ろ過膜の閉塞の進行が早くなるため、所定の膜間差圧に達する時間が短縮されて、逆洗の頻度が高くなる。逆に、原水の水質が良好であれば、ろ過膜の閉塞の進行は緩慢となるため、所定の膜間差圧に達する時間が長期化して、逆洗の頻度が低くなる。しかし、あまりに長時間に亘り逆洗を実施せずに淡水化装置を運転し続けると、ろ過膜に蓄積した有機物や懸濁物が圧密化して、逆洗によっても除去できなくなるおそれがある。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達しない場合でも所定時間が経過した時点で逆洗を行うことで、ろ過膜のろ過性能を維持することができる。この場合、逆洗の頻度は、任意に設定することができるが、概ね15分〜3時間に1回の割合で行うことが好ましい。
【0031】
逆洗は、ろ過膜の透過水側から原水供給側へ洗浄液を通水することで行う。逆洗により、ろ過膜表面に蓄積した濁質分や一部の溶解性有機物がろ過膜から剥離する。このとき、空気供給管12からろ過膜モジュール10内に空気を吹き込みスクラビングすることで、より効果的な洗浄効果を得ることができる。スクラビングは単独で実施しても効果があるが、逆洗と併用することでより効果的となる。スクラビングの時間は、任意に設定することが出来るが、概ね10秒から5分程度でよい。
【0032】
逆洗に用いる洗浄液としては、通常の洗浄液、ろ過膜を透過した透過水、加温した透過水、逆浸透膜透過水、又は加温した逆浸透膜透過水を用いることができ、ろ過膜を透過した透過水、加温した透過水、逆浸透膜透過水、又は加温した逆浸透膜透過水が好ましい。透過水は、濁質が除去されているが一部の溶解性有機物が残留していることもある。逆浸透膜透過水は、純水に近く、含まれる溶解性有機物が極めて少量である。特に、海水の水質が悪化した場合には、透過水の水質も悪化している場合が多いが、逆浸透膜透過水の水質の悪化は少ない。
【0033】
また、洗浄液は加温して用いることで、より高い洗浄効果を得ることができる。洗浄液は高温であるほど洗浄効果が高いが、ろ過膜の耐熱性を考慮して、ろ過膜を劣化させない程度の温度に加温することが必要となる。また、加温するために必要なエネルギーを考慮し、20〜40℃の範囲に加温することが好ましい。加温された洗浄液は、原水との水温差が10℃以上、好ましくは15℃以上とする。
【0034】
洗浄液として、透過水、加温された透過水、逆浸透膜透過水、又は加温した逆浸透膜透過水のいずれを使用するかは、膜間差圧([P2]−[P1])に応じて選択するように制御系Cを設定することにより選択される。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間は、原水の水質変動の指標となる。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間が短い場合には原水の水質が悪化しており、逆に長い場合には原水の水質が良好である。水質に応じていずれの洗浄液を使用するかの判断基準を予め求めて、制御系Cに設定することで、自動制御運転が可能となる。
【0035】
逆洗に用いる洗浄液には、酸化剤を添加してもよい。酸化剤としては、通常の淡水化装置の逆洗に用いられる酸化剤を制限なく用いることができ、塩素系の酸化剤が好適であり、特に次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系酸化剤が好ましい。塩素系酸化剤の添加量は、海水や汽水の水質にもよるが、通常は1mg/L〜100mg/Lの範囲である。
【0036】
本発明においては、洗浄液への酸化剤添加もまた膜間差圧([P2]−[P1])に応じて制御することが好ましい。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでの所要時間、すなわち逆洗間隔は、ろ過膜の閉塞状態及び原水の水質変動の指標となる。逆洗間隔が短い場合には、ろ過膜の閉塞が進行しているため、酸化剤の添加量を増加するか又は添加時間を長くする。逆に、逆洗間隔が長い場合には、ろ過膜の閉塞が進行していないため、酸化剤の添加量を減少するか又は添加時間を短くする。例として、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて、通常の逆洗間隔が60〜120分、添加量が30mg/L、添加時間が45秒である場合を説明する。逆洗間隔が30〜60分と短くなった場合には次亜塩素酸ナトリウムの添加量を50mg/Lに増量し45秒添加するか、添加量を30mg/Lのまま添加時間を60秒に長期化し、逆洗間隔が120〜240分と長くなった場合には次亜塩素酸ナトリウムの添加量を10mg/Lに減量し45秒添加するか、添加量を30mg/Lのまま添加時間を30秒に短縮する。あるいは、添加量及び添加時間の双方を調節することもできる。酸化剤の添加量及び/又は添加時間の制御は、ろ過膜の汚染物の蓄積が多くなり、ろ過膜の閉塞状態が進行した場合に特に効果的である。
【0037】
逆浸透膜透過水、及び加温した透過水又は逆浸透膜透過水を洗浄液として用いることで、ろ過膜の洗浄効果が高まるため、塩素系酸化剤の添加量を削減することができる。
【0038】
従来の酸化剤の添加量及び添加時間は、原水の水質に依存していたため、原水の水質が同じ場合には調節できなかった。しかし、本方法によれば、酸化剤の添加の調節が、膜間差圧(P2−P1)に依存しているため、原水の水質が同じであっても、ろ過膜の閉塞状態に応じた最適な酸化剤の添加量とすることができる。
【0039】
また、原水の水質が悪化した場合には、原水に凝集剤を添加してもよい。凝集剤としては、通常の淡水化処理に用いられる凝集剤を制限なく用いることができ、鉄系無機凝集剤が好適であり、特に塩化第二鉄が好ましい。凝集剤の添加量は、原水の水質に依存するが、通常は、0.1〜10mg−Fe/Lの範囲である。また、凝集剤の添加は連続でも間欠でもよい。
【0040】
本発明においては、原水への凝集剤添加もまた膜間差圧([P2]−[P1])に応じて制御することが好ましい。膜間差圧([P2]−[P1])が所定値に達するまでに要する時間、すなわち逆洗間隔は、原水の水質変動の指標となる。逆洗間隔が短い場合には、原水の水質が悪化しており、逆洗間隔が長い場合には、原水の水質が良好である。たとえば、通常の逆洗間隔が60〜120分であり、凝集剤としての塩化第二鉄の添加量が2mg/Lである場合、逆洗間隔が30〜60分に変動した場合には水質が悪化したと判断することができ、塩化第二鉄の添加量を4mg/Lに増量し、逆洗間隔が120〜240分に変動した場合には水質が好転したと判断することができ、塩化第二鉄の添加量を1mg/Lに減量する。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明の淡水化処理方法を具体的に説明する。
【0042】
以下の実施例および比較例において、ろ過膜としては、孔径0.01μmのPVDFからなる限外ろ過膜(東レ HFU2008)を使用し、中空糸膜からなる加圧型円筒形のろ過膜モジュール内に充填した。逆浸透膜としてはポリアミド製の膜を使用した。
【0043】
[実施例1]
図7に示す淡水化装置(制御系Cにより弁の開閉のみ制御する態様)を用い、海水を取水し、淡水化処理を行った。
【0044】
処理水量は10m
3/dであり、砂ろ過は1回/1日〜2日の割合で、逆洗を行なった。限外ろ過膜の洗浄(逆洗)条件は、膜間差圧が35kPaになった時点で逆洗を実施する自動制御とした。また、膜間差圧が35kPaに達せず逆洗を実施しない時間が360分となった場合には、強制的に逆洗を実施した。限外ろ過膜を透過したUF透過水に次亜塩素酸ナトリウムを10mg/Lとなるように添加した洗浄液を用いた。約6ヶ月の処理状況は、概ね原水のTOCが1.0mg/Lの場合は1日10回程度の逆洗であったのに対して、TOCが1.5mg/Lの場合には1日40回程度の逆洗となった。平均的な逆洗回数は1日20回程度であった。
【0045】
[比較例1]
ろ過膜モジュール10の逆洗間隔を1時間に1回に設定した以外は、実施例1と同様に淡水化処理を行った。
【0046】
原水のTOC1.0mg/Lの期間は良好に洗浄が行われていたが、TOCが1.5mg/Lの期間は、膜間差圧が上昇し続け、約1週間で150kPaに達してしまった。そのため、運転が困難となり、次亜塩素酸ナトリウム3,000mg/Lで膜の洗浄を実施した。実施例1と同じ期間比較した場合、淡水化装置の稼働率が70%、NaOClの使用量は1.5倍となった。
【0047】
[実施例2]
図7に示す淡水化装置を用い、逆洗間隔に応じて次亜塩素酸ナトリウムの添加量を変えた実験を行った。逆洗間隔が約60〜120分の場合に次亜塩素酸ナトリウムの添加量を30mg/L、逆洗間隔が30〜60分の場合に次亜塩素酸ナトリウムの添加量を50mg/L、逆洗間隔が120分以上の場合に次亜塩素酸ナトリウムの添加量を20mg/Lとした。原水のTOCが1.5mg/Lの場合においても1日あたりの逆洗回数は30回であった。
【0048】
[比較例2]
逆洗間隔に関わらず次亜塩素酸ナトリウムの添加量を30mg/Lとした以外は、実施例2と同様に淡水化処理を行った。原水のTOCが1.5mg/Lの場合は、1日あたりの逆洗回数は40回となり、ろ過膜に汚染物が蓄積して、実施例2よりも洗浄回数が増加した。
【0049】
[実施例3]
図6に示す淡水化装置(複数のろ過膜モジュールを具備し、膜間差圧及び逆洗間隔によって制御する態様)で、連続処理試験を実施した。ろ過膜モジュール10の限外ろ過膜の洗浄(逆洗)条件は、膜間差圧が35kPaになった時点で逆洗を実施する自動制御とした。また、膜間差圧が35kPaに達せず逆洗を実施しない時間が360分となった場合には、強制的に逆洗を実施した。ろ過膜モジュール10の逆洗間隔が約60〜120分の場合にろ過膜モジュール10aの逆洗間隔を60分に設定し、ろ過膜ジュール10の逆洗間隔が30〜60分の場合にろ過膜モジュール10aの逆洗間隔を30分に設定し、ろ過膜モジュール10の逆洗間隔が120分以上の場合にろ過膜モジュール10aの逆洗間隔を90分に設定した。ろ過膜モジュール10の運転状況は実施例1と同様であったが、ろ過膜モジュール10aの運転状況も良好で、期間中逆洗後の初期圧が上昇することは無かった。
【0050】
[実施例4]
図5の淡水化装置を用いて、連続処理試験を実施した。処理水量は10m
3/dであり、砂ろ過は1回/1日〜2日の割合で、逆洗を行なった。ろ過膜モジュール10(限外ろ過膜)の膜間差圧が35kPaになった時点で逆洗を実施する自動制御とした。また、膜間差圧が35kPaに達せず逆洗を実施しない時間が360分となった場合には、強制的に逆洗を実施した。UF透過水に次亜塩素酸ナトリウムを10mg/Lとなるように添加した洗浄液を用いた。ろ過膜モジュール10の逆洗間隔に応じて、前段の塩化第二鉄の添加量を制御した。逆洗間隔が約60〜120分の場合に、塩化第二鉄の添加量をFeとして2.5mg/L、逆洗間隔が30〜60分に変動した場合は塩化第二鉄の添加量を5mg/Lに設定した。逆に逆洗間隔が120〜240分になった場合は、塩化第二鉄の添加量を0mg/Lとした。海水の平均TOCが1.0〜1.5mg/Lに対して、逆洗回数は1日20回であった。
【0051】
[比較例3]
塩化第二鉄の添加量を2.5mg/Lと一定にした以外は実施例4と同様に淡水化処理を行った。原水のTOCが1.0〜1.5mg/Lの場合、平均の洗浄回数は30回であった。原水のTOCが高いときには洗浄回数が増加し、頻繁に逆洗がかかったので、実施例4に比較して平均洗浄回数が高くなった。
【0052】
[実施例5]
図8に示す淡水化装置を用いて、海水を取水し、淡水化処理を行った。
【0053】
処理水量は10m
3/dであり、砂ろ過は1回/1日〜2日の割合で、逆洗を行なった。限外ろ過膜の洗浄(逆洗)条件は、膜間差圧が40
kPaになった時点で逆洗を実施する自動制御とした。また、膜間差圧が40kPaに達せず逆洗を実施しない時間が360分となった場合には、強制的に逆洗を実施した。また、逆洗間隔に応じて、制御弁の開閉を行い、使用する洗浄液を切り替えた。逆洗間隔が約60〜120分の場合には、洗浄液として透過水を用い、逆洗間隔が約30〜60分の場合には、洗浄液として逆浸透膜透過水を用いた。約3ヶ月の稼働中、平均的な逆洗回数は1日25回程度であった。
【0054】
[比較例5]
洗浄液として透過水のみを使用して逆洗間隔に応じた洗浄液の切り替えを行わなかった以外は、実施例5と同様に自動制御した。約3ヶ月の稼働中、平均的な逆洗回数は1日35回程度であった。海水の水質が悪化した際には、洗浄不良となり、初期圧が上昇し、逆洗頻度が増加した。
【0055】
[実施例6]
図9に示す淡水化装置を用いて、海水を取水し、淡水化処理を行った。
【0056】
処理水量は10m
3/dであり、砂ろ過は1回/1日〜2日の割合で、逆洗を行なった。限外ろ過膜の洗浄(逆洗)条件は、膜間差圧が40
kPaになった時点で逆洗を実施する自動制御とした。また、膜間差圧が40kPaに達せず逆洗を実施しない時間が360分となった場合には、強制的に逆洗を実施した。また、逆洗間隔に応じて、制御弁の開閉を行い、使用する洗浄液を切り替えた。逆洗間隔が約60〜120分の場合には、洗浄液として透過水を用い、逆洗間隔が約30〜60分の場合には、洗浄液として加温した逆浸透膜透過水を用いた。約3ヶ月の稼働中、平均的な逆洗回数は1日20回程度であった。
洗浄液として加温した逆浸透膜透過水を用いることで、酸化剤を添加することなく、良好な洗浄効果が得られたことがわかる。
【0057】
洗浄液として加温した逆浸透膜透過水を用いることで、酸化剤を添加することなく、良好な洗浄効果が得られたことがわかる。
【符号の説明】
【0058】
10:ろ過膜モジュール
11:洗浄廃液流出管
12:空気供給管
13:原水供給管
14:ドレン
15:透過水流出管
20:ろ過水槽
22:洗浄液供給管
24:分岐管
27:酸化剤添加手段
28:凝集剤添加手段
30:逆浸透膜モジュール
32:逆浸透膜透過水送水管
34:分岐管
40:砂ろ過装置
42:加温槽
44:加温洗浄液返送管
P1:流入圧計測用圧力計(流入圧計測手段)
P2:流出圧計測用圧力計(流出圧計測手段)
C:制御系(制御手段)
V1:洗浄液供給調節弁
V2:洗浄廃液調節弁
V3:透過水調節弁
V4:原水調節弁
V5:流量制御弁
V6:流量制御弁
V7:流量制御弁