(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明エイミングスクリューを実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0030】
まず、エイミングスクリューが用いられる車輌用前照灯の概略構成について説明する。
【0031】
車輌用前照灯1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0032】
車輌用前照灯1は、
図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2とランプハウジング2の開口を閉塞するカバー3とを備えている。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室4aとして形成されている。灯室4aの前端部にはエクステンション5が配置されている。エクステンション5によって灯室4aに配置される構造の一部が前方から遮蔽される。
【0033】
ランプハウジング2の後端部にはバックカバー6が取り付けられている。ランプハウジング2の後端部には上下に離隔してスクリュー支持部7、7(
図1に一方のみ示す。)が設けられている。スクリュー支持部7は前後に延びる円筒状の支持筒部8と支持筒部8の前端部から内方へ張り出されたフランジ部9とから成る。支持筒部8の内面側における後端寄りの位置には後方を向く規制面8aが形成されている。フランジ部9には前後に貫通された挿入孔9aが形成されている。
【0034】
ランプハウジング2の下端部にはピボット支持部2aが設けられている。
【0035】
灯室4aにはランプユニット10が配置されている。ランプユニット10はリフレクター11とリフレクター11の後端部及びバックカバー6に取り付けられた光源12とを有し、ランプハウジング2に光軸調整機構13によって傾動自在に支持されている。尚、光源12としては、放電バルブや白熱バルブの他に、発光ダイオード等の他の種類が用いられていてもよい。
【0036】
リフレクター11はエクステンション5の後側において前端部がエクステンション5の近傍に位置された状態で配置されている。リフレクター11には上下に離隔して位置されたナット連結部14、14(
図1に一方のみ示す。)と下端部に位置されたピボット連結部15とが設けられている。ピボット連結部15は一方のナット連結部14の真下に位置されている。ナット連結部14には前後に貫通された連結孔14aが形成されている。
【0037】
ナット連結部14、14にはそれぞれナット16、16が連結されている。ナット16は前後に貫通された筒状に形成され、内面に螺合部16aを有している。螺合部16aはネジ山がナット16の中心軸を含む断面形状において等脚台形状に形成されている。ナット16は連結孔14aに挿通されることによりナット連結部14に連結され、ナット連結部14に対して上下方向及び左右方向へ傾動可能とされている。
【0038】
光軸調整機構13はピボット部材17と後述する二つのエイミングスクリューとによって構成されている。
【0039】
ピボット部材17は軸部17aと軸部17aの前端部に設けられた連結部17bと軸部17aの後端部に設けられた球状部17cとを有している。ピボット部材17は連結部17bがリフレクター11のピボット連結部15に連結され球状部17cがランプハウジング2のピボット支持部2aに回転可能な状態で連結されて支持されている。
【0040】
尚、上記には、リフレクター11にナット連結部14、14とピボット連結部15が設けられた例を示したが、ナット連結部とピボット連結部がランプユニット10の他の部材に設けられ、この他の部材に設けられたナット連結部とピボット連結部にそれぞれナット16、16とピボット部材17が連結されていてもよい。
【0041】
以下に、第1の実施の形態に係るエイミングスクリュー18、18について説明する(
図1乃至
図3参照)。
【0042】
エイミングスクリュー18は、例えば、樹脂材料によって各部が一体に形成されて成る。尚、エイミングスクリュー18は金属材料によって形成されていてもよい。
【0043】
エイミングスクリュー18は、
図2に示すように、前後に延びる軸状に形成されたシャフト部19とシャフト部19の後端に連続する被操作部20とシャフト部19の外周面から突出された一対の弾性係合部21、21とから成る。
【0044】
シャフト部19は前側から順にネジ部22と中間部23と被支持軸部24が連続して設けられている。
【0045】
ネジ部22は後側の略半部が螺合領域25として設けられ前側の略半部が非螺合領域26として設けられている。螺合領域25はナット16の螺合部16aに螺合される領域であり、非螺合領域26はナット16の螺合部16aに螺合されない領域である。
【0046】
螺合領域25は、
図3に示すように、ネジ山27、27、・・・がシャフト部19の中心軸を含む断面形状において等脚台形状に形成され、ネジ山27、27、・・・における外周面27a、27a、・・・の幅A、A、・・・が一定にされている。螺合領域25はネジ溝28、28、・・・における底面28a、28a、・・・の幅B、B、・・・が一定にされている。
【0047】
非螺合領域26は螺合領域25から離隔するに従ってネジ山29、29、・・・の高さが低くなるように形成されている。非螺合領域26はネジ山29、29、・・・がシャフト部19の中心軸を含む断面形状において等脚台形状に形成され、ネジ山29、29、・・・における外周面29a、29a、・・・の幅C、C、・・・が一定にされ螺合領域25のネジ山27、27、・・・における外周面27a、27a、・・・の幅A、A、・・・と同じにされている。
【0048】
従って、非螺合領域26はネジ溝30、30、・・・における底面30a、30a、・・・の幅D、D、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるように形成されている。
【0049】
被支持軸部24には周方向に延びる支持溝24aが形成されている。被支持軸部24には支持溝24aの後側に前方を向く被規制面24bが形成されている。
【0050】
被操作部20はシャフト部19の後端部から外方へ張り出されている。被操作部20の後端部はドライバー等の図示しない治具が係合される操作用係合部20aとして設けられている。
【0051】
弾性係合部21、21はそれぞれネジ部22の後側において中間部23から突出されて設けられている。弾性係合部21、21は後方へ行くに従って互いに離隔する方向へ変位するように設けられ、互いに離接する方向へ弾性変形可能とされている。弾性係合部21、21にはそれぞれ後方を向く摺接面21a、21aが形成されている。
【0052】
エイミングスクリュー18、18はそれぞれランプハウジング2に回転自在に支持される(
図1参照)。エイミングスクリュー18はシャフト部19と弾性係合部21、21がスクリュー支持部7の挿入孔9aに後方から挿入されてランプハウジング2に支持される。エイミングスクリュー18の支持溝24aにはオーリング31が取り付けられ、エイミングスクリュー18がランプハウジング2に支持された状態においてオーリング31がスクリュー支持部7における支持筒部8の内周面に密着され、挿入孔9aからの灯室4aへの水分の侵入が防止される。
【0053】
スクリュー支持部7の挿入孔9aに弾性係合部21、21が挿入されるときには、弾性係合部21、21がそれぞれ挿入孔9aの開口縁に摺接してシャフト部19に近付く方向へ弾性変形される。弾性係合部21、21は全体が挿入孔9aを挿通されたときに弾性復帰して摺接面21a、21aがスクリュー支持部7におけるフランジ部9の前面に接する。従って、エイミングスクリュー18のランプハウジング2からの後方への抜けが防止される。
【0054】
エイミングスクリュー18はランプハウジング2に支持された状態において、被規制面24bがスクリュー支持部7の支持筒部8に形成された規制面8aに接する。従って、エイミングスクリュー18のランプハウジング2に対する前方への移動が規制される。
【0055】
エイミングスクリュー18、18はネジ部22、22の螺合領域25、25がそれぞれリフレクター11のナット連結部14、14に連結されたナット16、16の螺合部16a、16aに螺合される。
【0056】
車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー18が操作されて回転されると、エイミングスクリュー18の回転方向に応じた方向(前後方向)へナット16が送られてナット16の移動に伴ってランプユニット10がランプハウジング2に対して傾動される。エイミングスクリュー18の回転は、例えば、ドライバー等の治具によって被操作部20が回転操作されることにより行われる。
【0057】
上側に位置するエイミングスクリュー18が回転されると、下側に位置するエイミングスクリュー18とピボット部材17の球状部17cとを支点としてランプユニット10がランプハウジング2に対して上下方向へ傾動され上下方向におけるエイミング調整が行われる。
【0058】
一方、下側に位置するエイミングスクリュー18が回転されると、上側に位置するエイミングスクリュー18とピボット部材17の球状部17cを支点としてランプユニット10がランプハウジング2に対して左右方向へ傾動され左右方向におけるエイミング調整が行われる。
【0059】
被操作部20に対する操作によってエイミングスクリュー18が上記のように回転されたときには、エイミングスクリュー18が過度に回転される可能性がある。エイミングスクリュー18が過度に回転されると、ナット16が大きく移動されてナット16の内部に非螺合領域26が位置される。ナット16の内部に非螺合領域26が位置されると、ナット16の螺合部16aと螺合領域25の螺合状態が解除されてエイミングスクリュー18がナット16に対して空転される。
【0060】
従って、ナット16の移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。尚、エイミングスクリュー18には非螺合領域26にネジ山29、29、・・・とネジ溝30、30、・・・が形成されているため、エイミングスクリュー18を過度に回転した方向と逆方向へ回転することにより、空転された状態からナット16の螺合部16aと螺合領域25が螺合される状態に容易かつ確実に復帰させることができる。
【0061】
上記したように、エイミングスクリュー18にあっては、ネジ部22のネジ山27、27、・・・、29、29、・・・がシャフト部19の中心軸を含む断面形状において等脚台形状に形成され、非螺合領域26のネジ山29、29、・・・における外周面29a、29a、・・・の幅C、C、・・・が一定にされている。
【0062】
従って、非螺合領域26においてネジ溝30、30、・・・における底面30a、30a、・・・の幅D、D、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるため、ナット16の負荷が小さくなり、エイミングスクリュー18が過度に回転されたときにエイミングスクリュー18をナット16に対して確実に空転させることができる。
【0063】
尚、エイミングスクリュー18にあっては、ネジ部22のネジ山27、27、・・・、29、29、・・・が何れも断面形状において等脚台形状に形成された台形ネジとして形成されているため、ネジ部22の高い強度が確保され、ネジ部22の破損の発生を低減することができる。
【0064】
次に、第2の実施の形態に係るエイミングスクリュー18A、18Aについて説明する(
図4及び
図5参照)。
【0065】
尚、以下に示す第2の実施の形態に係るエイミングスクリュー18Aは、上記した第1の実施の形態に係るエイミングスクリュー18と比較して、ネジ部における非螺合領域の形状が異なることのみが相違するため、エイミングスクリュー18と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分についてはエイミングスクリュー18における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0066】
エイミングスクリュー18Aは、
図4に示すように、シャフト部19Aと被操作部20と弾性係合部21、21から成る。
【0067】
シャフト部19Aは前側から順にネジ部22Aと中間部23と被支持軸部24が連続して設けられている。
【0068】
ネジ部22Aは後側の略半部が螺合領域25として設けられ前側の略半部が非螺合領域26Aとして設けられている。螺合領域25はナット16の螺合部16aに螺合される領域であり、非螺合領域26Aはナット16の螺合部16aに螺合されない領域である。
【0069】
非螺合領域26Aは、
図5に示すように、螺合領域25から離隔するに従ってネジ山29A、29A、・・・の高さが低くなるように形成されている。非螺合領域26Aは台形ネジがシャフト部19Aの中心軸に対して傾斜する方向へ切削された形状に形成されている。従って、非螺合領域26Aはネジ山29A、29A、・・・がシャフト部19Aの中心軸を含む断面形状において等脚台形状から外周側の一部が削られた形状に形成され、ネジ山29A、29A、・・・における外周面29b、29b、・・・が前下がりに傾斜されている。
【0070】
非螺合領域26Aは、ネジ山29A、29A、・・・における外周面29b、29b、・・・の幅E、E、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるように形成され、ネジ溝30A、30A、・・・における底面30b、30b、・・・の幅F、F、・・・が一定にされ螺合領域25のネジ溝28、28、・・・における底面28a、28a、・・・の幅B、B、・・・と同じにされている。
【0071】
エイミングスクリュー18A、18Aはネジ部22A、22Aの螺合領域25、25がそれぞれリフレクター11のナット連結部14、14に連結されたナット16、16の螺合部16a、16aに螺合される。
【0072】
車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー18Aが過度に回転されると、ナット16が大きく移動されてナット16の内部に非螺合領域26Aが位置される。ナット16の内部に非螺合領域26Aが位置されると、ナット16の螺合部16aと螺合領域25の螺合状態が解除されてエイミングスクリュー18Aがナット16に対して空転される。
【0073】
従って、ナット16の移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。尚、エイミングスクリュー18Aには非螺合領域26Aにネジ山29A、29A、・・・とネジ溝30A、30A、・・・が形成されているため、エイミングスクリュー18Aを過度に回転した方向と逆方向へ回転することにより、空転された状態からナット16の螺合部16aと螺合領域25が螺合される状態に容易かつ確実に復帰させることができる。
【0074】
上記したように、エイミングスクリュー18Aにあっては、非螺合領域26Aがシャフト部22Aの中心軸に対して傾斜する方向へ切削された形状に形成されているため、非螺合領域26Aの加工が容易であり、エイミングスクリュー18Aの製造作業における作業性の向上を図ることができる。
【0075】
また、エイミングスクリュー18Aにあっては、螺合領域25のネジ山27、27、・・・が断面形状において等脚台形状に形成され、非螺合領域26Aのネジ山29A、29A、・・・が等脚台形状から外周側の一部が削られた形状に形成されているため、ネジ部22Aの高い強度が確保され、ネジ部22Aの破損の発生を低減することができる。
【0076】
次いで、第3の実施の形態に係るエイミングスクリュー18B、18Bについて説明する(
図6及び
図7参照)。
【0077】
尚、以下に示す第3の実施の形態に係るエイミングスクリュー18Bは、上記した第1の実施の形態に係るエイミングスクリュー18と比較して、ネジ部における非螺合領域の形状が異なることのみが相違するため、エイミングスクリュー18と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分についてはエイミングスクリュー18における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0078】
エイミングスクリュー18Bは、
図6に示すように、シャフト部19Bと被操作部20と弾性係合部21、21から成る。
【0079】
シャフト部19Bは前側から順にネジ部22Bと中間部23と被支持軸部24が連続して設けられている。
【0080】
ネジ部22Bは後側の略半部が螺合領域25として設けられ前側の略半部が非螺合領域26Bとして設けられている。螺合領域25はナット16の螺合部16aに螺合される領域であり、非螺合領域26Bはナット16の螺合部16aに螺合されない領域である。
【0081】
非螺合領域26Bは、
図7に示すように、螺合領域25から離隔するに従ってネジ山29B、29B、・・・の高さが低くなるように形成されている。非螺合領域26Bはネジ山29B、29B、・・・がシャフト部19Bの中心軸を含む断面形状において二等辺三角形状に形成され、ネジ山29B、29B、・・・における頂部29c、29c、・・・の角度G、G、・・・が一定にされている。
【0082】
従って、非螺合領域26Bはネジ溝30B、30B、・・・における底面30c、30c、・・・の幅H、H、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるように形成されている。
【0083】
エイミングスクリュー18B、18Bはネジ部22B、22Bの螺合領域25、25がそれぞれリフレクター11のナット連結部14、14に連結されたナット16、16の螺合部16a、16aに螺合される。
【0084】
車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー18Bが過度に回転されると、ナット16が大きく移動されてナット16の内部に非螺合領域26Bが位置される。ナット16の内部に非螺合領域26Bが位置されると、ナット16の螺合部16aと螺合領域25の螺合状態が解除されてエイミングスクリュー18Bがナット16に対して空転される。
【0085】
従って、ナット16の移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。尚、エイミングスクリュー18Bには非螺合領域26Bにネジ山29B、29B、・・・とネジ溝30B、30B、・・・が形成されているため、エイミングスクリュー18Bを過度に回転した方向と逆方向へ回転することにより、空転された状態からナット16の螺合部16aと螺合領域25が螺合される状態に容易かつ確実に復帰させることができる。
【0086】
上記したように、エイミングスクリュー18Bにあっては、非螺合領域26Bのネジ山29B、29B、・・・がシャフト部19Bの中心軸を含む断面形状において二等辺三角形状に形成されている。
【0087】
従って、ネジ溝30B、30B、・・・の面積が大きくナット16の負荷が小さくなり、エイミングスクリュー18Bが過度に回転されたときにエイミングスクリュー18Bをナット16に対して確実に空転させることができる。
【0088】
また、非螺合領域26Bのネジ山29B、29B、・・・における頂部29c、29c、・・・の角度G、G、・・・が一定にされている。
【0089】
従って、非螺合領域26Bにおいてネジ溝30B、30B、・・・における底面30c、30c、・・・の幅H、H、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるため、ナット16の負荷が一層小さくなり、エイミングスクリュー18Bが過度に回転されたときにエイミングスクリュー18Bをナット16に対して確実に空転させることができる。
【0090】
次に、第4の実施の形態に係るエイミングスクリュー18C、18Cについて説明する(
図8及び
図9参照)。
【0091】
尚、以下に示す第4の実施の形態に係るエイミングスクリュー18Cは、上記した第1の実施の形態に係るエイミングスクリュー18と比較して、ネジ部における非螺合領域の形状が異なることのみが相違するため、エイミングスクリュー18と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分についてはエイミングスクリュー18における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0092】
エイミングスクリュー18Cは、
図8に示すように、シャフト部19Cと被操作部20と弾性係合部21、21から成る。
【0093】
シャフト部19Cは前側から順にネジ部22Cと中間部23と被支持軸部24が連続して設けられている。
【0094】
ネジ部22Cは後側の略半部が螺合領域25として設けられ前側の略半部が非螺合領域26Cとして設けられている。螺合領域25はナット16の螺合部16aに螺合される領域であり、非螺合領域26Cはナット16の螺合部16aに螺合されない領域である。
【0095】
非螺合領域26Cは、
図9に示すように、螺合領域25から離隔するに従ってネジ山29C、29C、・・・の高さが低くなるように形成されている。非螺合領域26Cは三角ネジがシャフト部19Cの中心軸に対して傾斜する方向へ切削された形状に形成されている。従って、非螺合領域26Cはネジ山29C、29C、・・・がシャフト部19Cの中心軸を含む断面形状において二等辺三角形状から外周側の一部が削られた形状に形成され、ネジ山29C、29C、・・・における外周面29d、29d、・・・が前下がりに傾斜されている。
【0096】
非螺合領域26Cは、ネジ山29C、29C、・・・における外周面29d、29d、・・・の幅I、I、・・・が螺合領域25から離隔するに従って大きくなるように形成され、ネジ溝30C、30C、・・・における底面30d、30d、・・・の幅J、J、・・・が一定にされ螺合領域25のネジ溝28、28、・・・における底面28a、28a、・・・の幅B、B、・・・と同じにされている。
【0097】
エイミングスクリュー18C、18Cはネジ部22C、22Cの螺合領域25、25がそれぞれリフレクター11のナット連結部14、14に連結されたナット16、16の螺合部16a、16aに螺合される。
【0098】
車輌用前照灯1において、エイミングスクリュー18Cが過度に回転されると、ナット16が大きく移動されてナット16の内部に非螺合領域26Cが位置される。ナット16の内部に非螺合領域26Cが位置されると、ナット16の螺合部16aと螺合領域25の螺合状態が解除されてエイミングスクリュー18Cがナット16に対して空転される。
【0099】
従って、ナット16の移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。尚、エイミングスクリュー18Cには非螺合領域26Cにネジ山29C、29C、・・・とネジ溝30C、30C、・・・が形成されているため、エイミングスクリュー18Cを過度に回転した方向と逆方向へ回転することにより、空転された状態からナット16の螺合部16aと螺合領域25が螺合される状態に容易かつ確実に復帰させることができる。
上記したように、エイミングスクリュー18Cにあっては、非螺合領域26Cがシャフト部22Cの中心軸に対して傾斜する方向へ切削された形状に形成されているため、非螺合領域26Cの加工が容易であり、エイミングスクリュー18Cの製造作業における作業性の向上を図ることができる。
【0100】
また、非螺合領域26Cのネジ山29C、29C、・・・は三角ネジの外周部の一部がシャフト部19Cの中心軸に対して傾斜する方向へ切削された形状に形成されている。
【0101】
従って、ネジ溝30C、30C、・・・の面積が大きくナット16の負荷が小さくなり、エイミングスクリュー18Cが過度に回転されたときにエイミングスクリュー18Cをナット16に対して確実に空転させることができる。
【0102】
尚、上記した第1の実施の形態乃至第4の実施の形態に係るエイミングスクリュー18、18A、18B、18Cには、それぞれ螺合領域25の前側に非螺合領域26、26A、26B、26Cが連続して設けられている例を示したが、エイミングスクリュー18、18A、18B、18Cに代えて螺合領域25の後側に連続して非螺合領域32が設けられたエイミングスクリュー18Dを用いることも可能である(
図10参照)。
【0103】
図10には、エイミングスクリュー18Dとしてネジが形成されていない非螺合領域32を有する例を示しているが、非螺合領域32には螺合領域25から離隔するに従ってネジ山の高さが低くなるようなネジが形成されていてもよく、この非螺合領域32に形成されるネジは非螺合領域26、26A、26B、26Cと同様の何れの構成にされていてもよい。また、
図10には、螺合領域25の前側に連続して設けられた部分に非螺合領域26Bが形成されている例を示しているが、この螺合領域25の前側に連続して設けられた部分には非螺合領域26、26A、26Cの何れが形成されていてもよい。
【0104】
エイミングスクリュー18Dが用いられた場合に、エイミングスクリュー18Dが過度に回転されてナット16の内部に非螺合領域26が位置されると、ナット16の螺合部16aと螺合領域25の螺合状態が解除されてエイミングスクリュー18Dがナット16に対して空転され、ナット16の移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。
【0105】
以下に、エイミングスクリューとナットの別の構成について説明する(
図11乃至
図13参照)。
【0106】
上記したように、ナットの内周面には螺合部が形成されているが、ナットの種類によっては、螺合部が内面の一部に形成されているものがある。このようなナットの例としては、略後半の部分である後側部33の内面に螺合部16aが形成され、略前半の部分である前側部34の内面が螺合部16aを有しない曲面状の非螺合部16bとして形成されたナット16Aがある。
【0107】
ナット16Aの前側部34には外周面に被保持溝34aが形成され、被保持溝34aにナット連結部14の一部が挿入されている。従って、ナット16Aにはナット連結部14が外嵌状に連結され、ナット16Aが軸回り方向へ回転不能かつ軸方向へ移動不能な状態でナット連結部14に保持されている。
【0108】
このようなナット16Aが用いられる場合には、エイミングスクリュー18の非螺合領域26の一部に突部35が設けられることが望ましい(
図11参照)。突部35はシャフト部19の軸方向において螺合領域25から離隔して位置され、先端がナット16Aの非螺合部16bに接触又は近接して位置されている。
【0109】
ナット16Aが用いられる場合に、エイミングスクリュー18における非螺合領域26の一部に突部35が設けられることにより、ナット16Aにおける前側部34の内側への撓みが規制され、非螺合部16bと非螺合領域26の間の一定の間隔が保持される。従って、ナット16Aのナット連結部14からの脱落が防止され、ナット連結部14のナット16Aに対する安定した保持状態を確保することができる。
【0110】
突部35の形状及び数は任意であり、例えば、
図11に示すように、突部35はネジ部22と同様の形状に形成されていてもよい。また、突部35は周方向に延びる形状にされていてもよく、周方向における一部から突出された突起形状に形成されていてもよい。
【0111】
但し、突起形状に形成されている場合には、少なくとも二つの突部35が周方向に離隔して設けられていることが望ましい。この場合には、二つの突部35、35がシャフト部19の中心軸を挟んで180°反対側に設けられている構成や三つ以上の突部35、35、・・・が周方向に等間隔に離隔して設けられている構成がより望ましい。
【0112】
尚、突部35が設けられる構成はエイミングスクリュー18に限られることはなく、エイミングスクリュー18A、18B、18C、18Dにも適用することが可能である。
【0113】
また、上記のような撓みを防止するためにナット16Aにおける非螺合部16bの一部に突状部36が設けられる構成にすることも可能である(
図12参照)。突状部36は軸方向において螺合部16aから離隔して位置され、先端がエイミングスクリュー18における非螺合領域26の外面(外周面)に接触又は近接して位置されている。
【0114】
ナット16Aにおける非螺合部16bの一部に突状部36が設けられることにより、ナット16Aにおける前側部34の内側への撓みが規制され、非螺合部16bと非螺合領域26の間の一定の間隔が保持される。従って、ナット16Aのナット連結部14からの脱落が防止され、ナット連結部14のナット16Aに対する安定した保持状態を確保することができる。
【0115】
突状部36の形状及び数は任意であり、例えば、
図12に示すように、断面形状が楔状に形成されていてもよい。また、突状部36は周方向に延びる形状にされていてもよく、突起形状に形成されていてもよい。
【0116】
但し、突起形状に形成されている場合には、少なくとも二つの突状部36が周方向に離隔して設けられていることが望ましい。この場合には、二つの突状部36、36が中心軸を挟んで180°反対側に設けられている構成や三つ以上の突状部36、36、・・・が周方向に等間隔に離隔して設けられている構成がより望ましい。
【0117】
尚、突状部36が設けられている場合に、エイミングスクリュー18(18A、18B、18C、18D)がナット16Aに対して相対的に前側に送られて移動されたときに、ネジ山27の前端部が突状部36に接触されると、これ以上のエイミングスクリュー18の前側への移動が規制される(
図13参照)。従って、突状部36はエイミングスクリュー18の移動を規制するストッパーとして機能する。
【0118】
このように突状部36はストッパーとしても機能するため、突状部36をエイミングスクリュー18の前方への過剰な移動を規制する位置に設けることにより、エイミングスクリュー18の必要以上の移動を防止することができる。従って、ランプユニット10のランプハウジング2に対する必要以上の傾動が防止され、ランプユニット10とエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dの破損やエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dのランプハウジング2からの脱落を防止することができる。
【0119】
以上に記載した通り、エイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dにあっては、エイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dが過度に回転されたときにエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dがナット16、16Aに対して空転され、ナット16、16Aの移動が停止されると共にランプユニット10の傾動が停止される。
【0120】
従って、ランプユニット10のランプハウジング2に対する必要以上の傾動が防止され、ランプユニット10とエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dの破損やエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dのランプハウジング2からの脱落を防止することができる。
【0121】
また、エイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dがナット16、16Aに対して空転されることにより、ナット16、16Aのエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dからの脱落を防止することができる。
【0122】
さらに、エイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dがナット16、16Aに対して空転されることにより、リフレクター11によってエクステンション5が押圧されないため、エクステンション5やリフレクター11の破損を防止することができる。
【0123】
尚、上記したエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dの非螺合領域26、26A、26B、26Cの軸方向における長さは必要に応じた任意の長さに設定することが可能である。
【0124】
また、エイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dは溶融樹脂を用いた射出成形によって形成されてもよく、また、切削用の治具を用いた切削加工によって形成されてもよく、さらに、一対のダイスに互いに近付く方向への圧力を加えた状態で材料を回転させる転造加工によって形成されてもよい。転造加工によって形成される場合には、材料が塑性変形を受けているため強度が高く、また、加工効率の向上や量産品の低コスト化を図ることが可能である。
【0125】
さらに、上記には、光軸調整機構13によってランプユニット10がランプハウジング2に支持された例を示したが、例えば、灯室4aにランプユニット10を支持する図示しないブラケットが配置され、ブラケットが光軸調整機構13によってランプハウジング2に傾動自在に支持されていてもよい。この場合には、ナット16、16Aがブラケットに連結され、ブラケットに連結されたナット16、16Aにエイミングスクリュー18、18A、18B、18C、18Dが螺合されると共にピボット部材17がブラケットに連結され、エイミング調整の動作時に、光軸調整機構13の動作によりブラケットとランプユニット10が一体になってランプハウジング2に対して傾動される。