【実施例】
【0062】
以下、下記実施例を挙げて説明するが、本発明が下記実施例に限定されるということを意味するものではない。
【0063】
下記実施例で使用された緑茶抽出物は、有機溶媒である酒精を利用して抽出した後、それを濃縮乾燥させて得たペーストであり、ポリフェノール系化合物は、緑茶抽出物100重量部を基準にして、約60重量部含有されている。
【0064】
前記ポリフェノール系化合物において、没食子酸エピガロカテキン(EGCG:epigallocatechin gallate)を含んだカテキン類は、ポリフェノール系化合物100重量部を基準にして、約48重量部の含量で含まれる。そして、前記EGCGは、カテキン類100重量部を基準にして、約34重量部が含有されている。
【0065】
下記実施例で使用されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)としては、三星精密化学のHPMC2910(AnyCoat−C(登録商標) AN Grade)を使用する。
<実施例1〜7:複合体の製造>
下記表1に示されているように、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び緑茶抽出物に、水とエタノールとの混合溶媒を付加し、複合体形成用組成物を得た。下記表1に記述されているように、実施例1,3,5〜7において、前記複合体形成用組成物に、水酸化ナトリウムをさらに付加した。前記緑茶抽出物は、ポリフェノール系化合物を含み、前記ポリフェノール系化合物の構成比は、重量基準で、EGCG:ECG:EC:EGCが、33.89:11.17:2.31:0.60である。
【0066】
前記複合体形成用組成物において、固形分(HPMC及び緑茶抽出物)の総含量が、複合体形成用組成物100重量部を基準にして、約15重量部になるように、前記混合溶媒の含量を調節した。前記混合溶媒のうちエタノールの含量は、80重量%であり、水の含量は、20重量%である。
【0067】
次に、前記結果物を50〜60℃で、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去し、HPMCとポリフェノール系化合物との複合体を得た。
【0068】
【表1】
【0069】
<実施例8〜15:複合体の製造>
下記表2に示されているように、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、EGCG及びアスコルビン酸に、水とエタノールとの混合溶媒を付加し、複合体形成用組成物を得た。前記混合溶媒のうちエタノールの含量は、80重量%であり、水の含量は、20重量%である。
【0070】
次に、前記結果物を、50〜60℃で、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去し、HPMC、EGCG及びアスコルビン酸の複合体を得た。
【0071】
【表2】
【0072】
<実施例16:高純度複合体の製造>
前記実施例7によって得た複合体50gを、複合体不溶性溶媒である精製水500mlに付加し、それを約5分間撹拌した。
【0073】
前記結果物を濾過して固体を得て、その固体を約80℃のオーブンで乾燥させ、不純物及び未反応物質が除去されたHPMCとポリフェノール系化合物とを含む高純度複合体を得た。
【0074】
<実施例17:複合体の製造>
HPMC 2gを蒸溜水18gに溶解させ、10重量%のHPMC水溶液を製造した。該HPMC水溶液20gを、均質器(homogenizer)で、約4,000rpmで強く撹拌し、そこに緑茶抽出物ペースト1.3gを徐々に滴加し、沈殿物を形成させた。
【0075】
前記結果物を濾過し、沈殿物を得て、それを80℃のオーブンで乾燥させ、HPMCとポリフェノール系化合物とを含む複合体を得た。
【0076】
<製作例1〜15:複合体フィルムの製造>
前記実施例1〜15による複合体1gを、80重量%エタノール水溶液5mlに溶解させ、複合体溶液を製造した。該複合体溶液をキャスティングし、それを自然乾燥させ、厚み60μmほどのの複合体フィルムを得た。その場合、製作例n(n=1〜15)の複合体フィルムは、実施例n(n=1〜15)の複合体を使用して製造したものである。本明細書において、「自然乾燥」とは、常温(約25℃)で一晩(overnight)放置して乾燥させるということを意味する。
【0077】
<比較製作例1>
HPMC 10gを80重量%エタノール水溶液100mlに溶解させ、HPMC溶液を製造した。前記HPMC溶液をキャスティングし、それを自然乾燥させ、厚み60μmほどのHPMCフィルムを得た。
【0078】
<評価例1:脆性(brittleness)比較>
前記製作例1〜7によって得た複合体フィルム、及び比較製作例1のHPMCフィルムに、室温条件で、直径6mmほどの円形穿孔10個を物理的に生成し、穿孔されて出てきた円形フィルムが破損される程度によって、次のように脆性を評価した。ここで、「室温条件」とは、フィルムを密閉容器に入れ、温度が25℃であり、相対湿度が50%である恒温恒湿気で保管することを意味する。
◎:フィルムから取れて出てきた10個の円形フィルムが円形を維持する場合
○:フィルムから取れて出てきた10個の円形フィルムのうち、8〜9個が円形を維持する場合
×:フィルムから取れて出てきた10個の円形フィルムのうち3個以上の円形フィルムが損傷される場合
【0079】
前記フィルムの脆性評価結果は、下記表3の通りである。
【0080】
<評価例2:フィルム濁度>
前記製作例1〜7によって得たフィルム、及び比較製作例1のHPMCフィルムの透明度を肉眼観察し、次のようにフィルムの濁度を評価した。
◎:フィルムが透明である場合
○:フィルムの一部領域がぼやけて見える場合
×:フィルムが全体的にぼやけて見える場合
【0081】
前記フィルムの濁度評価結果を下記表3に示した。
【0082】
<評価例3:可溶pH>
前記製作例1〜7によって得た複合体フィルム、及び比較製作例1のHPMCフィルムをブリトン・ロビンソン緩衝液(Britton-Robinson buffer)に入れ、それを37℃ほどで1時間撹拌し、フィルムの可溶pHを調査した。
【0083】
前記ブリトン・ロビンソン緩衝液は、2.5mL氷酢酸(glacial acetic acid)に、2.7mLの99.9重量%のリン酸、及び2.47gのホウ酸を混合して精製水を入れ、1,000mLにした後、2N水酸化ナトリウム溶液を滴加して製造した。
【0084】
前記滴加する2N水酸化ナトリウム溶液の含量を調節し、さまざまなpH範囲を有するブリトン・ロビンソン緩衝液を準備した。
【0085】
前記フィルムの可溶pH範囲を調査し、その結果を下記表3に示した。
【0086】
【表3】
【0087】
前記表3を参照し、実施例1〜7の複合体フィルムは、脆性及び濁度が良好であるか、あるいは優秀であるということが分かった。また、実施例1〜7の複合体フィルムは、比較製作例1のHPMCフィルムと異なり、緑茶抽出物、HPMC及び水酸化ナトリウムの含量によって、可溶pHが多様であるということが分かった。
【0088】
<評価例4:複合体フィルムの長期保管安定性評価>
前記製作例8〜15によって得た複合体フィルム、及び比較製作例1のHPMCフィルムを、室温条件及び加速条件で長期保管した後、EGCG低下率、pH依存性溶解特性及び脆性を評価し、その結果を下記表4及び表5にそれぞれ示した。表4は、前記各複合体フィルムを、室温条件または加速条件で、10週間保管した後で評価した結果であり、表5は、前記各複合体フィルムを、室温条件または加速条件で、18週間保管した後で評価した結果である。本明細書で、「室温条件」とは、複合体フィルムを密閉容器に入れ、温度が25℃であり、相対湿度が50%である恒温恒湿気で保管することを意味し、「加速条件」とは、複合体フィルムを密閉容器に入れ、温度が40℃であり、相対湿度が75%である恒温恒湿気で保管することを意味する。
【0089】
(EGCG低下率の評価)
保管前のフィルム、及び前記室温条件または加速条件で保管中のフィルムを、200mgずつ採取し、それらを60体積%のメタノールと、40体積%の水とが混合された溶液10mlに溶解させた後、0.45μmのシリンジフィルタで前処理し、検液を製造した。その後、前記検液を、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)で定量した。HPLCカラムとしては、内径4.6mm及び長さ250mmのステンレススチール管に、5μmのオクタデシルシリル化されたシリカゲル(octadecylsilanized silica gel)を充填したものを使用した。移動相としては、水:メタノール混合液(95:5、重量比基準)とアセトニトリル:メタノール混合液(95:5、重量比基準)とを使用した。流速は、0.8ml/minであり、紫外/可視光線検出器は、278nmで分析し、検液とカラムとの温度は、25℃であった。検液注入量は、30μlであった。採取された溶液をHPLCで分析し、EGCG含量を測定した。その後、下記数式1によって、EGCG低下率を得た。
【0090】
[数式1]
EGCG低下率(wt%)=(保管前のEGCG含量−保管中のEGCG含量)/(保管前のEGCG含量)×100
【0091】
(pH依存性溶解特性の評価)
前記評価例2の「可溶pH」の測定装置及び測定方法と同一方法で、「pH依存性溶解特性」を評価した。ただし、「pH依存性溶解特性」について、pH1.2では溶解されず、pH6.8では溶解される場合は、○と区分し、そうではない場合は、×と区分した。
【0092】
(フィルム脆性)
前記評価例1と同一方法で、フィルムの脆性を評価した。
【0093】
【表4】
【0094】
前記表4を参照すれば、10週保管時、製作例8〜15で製造された複合体フィルムは、比較製作例1のHPMCフィルムに比べ、pH依存性溶解特性にすぐれるということが分かった。また、製作例8〜15で製造された複合体フィルムは、室温10週保管時、EGCG低下率が14wt%以下であり、加速10週保管時、EGCG低下率が30wt%以下であるということが分かった。また、製作例8〜15で製造された複合体フィルムは、10週保管時、フィルム脆性も良好であるか、あるいは優秀であるということが分かった。
【0095】
【表5】
【0096】
前記表5を参照すれば、18週保管時、製作例8〜15で製造された複合体フィルムは、組成によって、EGCG低下率、pH依存性溶解特性及び脆性が変化するということがわかった。
【0097】
<実施例18〜24:その他抗酸化剤を含むHPMC−EGCG複合体の製造>
アスコルビン酸の代わりに、下記表6に列挙されているようなその他抗酸化剤を使用したことを除いては、前記実施例8と同一方法で複合体を製造した。実施例n(n=18〜24)の複合体を使用して、下記表6の製作例n(n=18〜24)の複合体フィルムを製造した。
【0098】
<実施例25:アスコルビン酸を含むHPMC−EGCG複合体の製造>
前記実施例8と同一方法で複合体を製造した。実施例25の複合体を使用して、記表6の製作例25の複合体フィルムを製造した。
【0099】
<実施例26:抗酸化剤を含まないHPMC−EGCG複合体の製造>
アスコルビン酸を使用しないことを除いては、前記実施例8と同一方法で複合体を製造した。実施例26の複合体を使用して、下記表6の製作例26の複合体フィルムを製造した。
【0100】
<製作例18〜26:複合体フィルムの製造>
前記実施例18〜26による複合体10gを、80重量%エタノール水溶液100mlに溶解させて複合体溶液を製造した。該複合体溶液をキャスティングし、それを自然乾燥させ、厚み60μmほどの複合体フィルムを得た。
【0101】
<評価例4:複合体フィルムの長期保管安定性の評価>
前記製作例18〜26によって得た複合体フィルムを、室温条件及び加速条件で、14週間保管した後、EGCG低下率及びpH依存性溶解特性を、前記評価例3と同一方法で評価し、その結果を下記表6に示した。
【0102】
【表6】
【0103】
前記表6を参照し、製作例18〜26で製造された複合体フィルムのうち、抗酸化剤が添加された製作例18〜25の複合体フィルムは、抗酸化剤が添加されていない製作例26の複合体フィルムに比べ、EGCGの長期保管安定性が大きく増大しているということが分かった。
【0104】
<製作例27:複合体を利用したゼラチンカプセル・コーティング>
エタノール80wt%と水20wt%との混合溶媒150mlに、HPMC 9.5gとEGCG 0.5gとを溶解させ、複合体コーティング溶液を製造した。該複合体溶液をコーティング器(Freund,Hi-coater)に連結し、排気温度45℃、吸気温度35℃、複合体溶液の供給速度3g/min、流入空気流量(in air flow)0.8m
3/min、ファン負圧(pan static)−20Pa、ファン速度(pan speed)13rpm、スプレー空気圧0.2MPaの条件で、軟質ゼラチンカプセル(鐘根堂健康、ウェルビーングオメガ3 1,000mg軟質カプセル)にコーティングした。コーティング前の軟質ゼラチンカプセル100wt%対比コーティング量が20wt%になるまで、コーティングを実施した。
【0105】
<比較製作例2:HPMCを利用したゼラチンカプセル・コーティング>
エタノール80wt%と水20wt%との混合溶媒150mlに HPMC 10gを溶解させ、コーティング溶液を製造した。該コーティング溶液を、コーティング器(Freund,Hi-coater)に連結し、前記製作例27と同一条件で、軟質ゼラチンカプセル(鐘根堂健康、ウェルビーングオメガ3 1,000mg軟質カプセル)にコーティングした。コーティング前の軟質ゼラチンカプセル100wt%対比コーティング量が20wt%になるまでコーティングを実施した。
【0106】
<評価例5:人工胃液(pH1.2)、人工腸液(pH6.8)での崩壊比較>
前記製作例27及び比較製作例2でコーティングされた軟質ゼラチンカプセルのpHによる崩壊性状を下記のような方法で比較評価した。すなわち、大韓薬典(9改訂)崩壊試験法によって、37℃の温度で溶出試験を実施した。溶出液としては、人工胃液(pH1.2、塩酸塩緩衝溶液)、人工腸液(pH6.8、50mMリン酸塩緩衝溶液)を、それぞれ900mlずつ使用した。pH1.2の人工胃液で崩壊試験開始2時間後に、崩壊器の人工胃液を、pH6.8の人工腸液に変更し、追加して1時間さらに崩壊させ、6個のカプセルが崩壊される時間を測定した。
【0107】
崩壊実験の結果、製作例27の平均崩壊時間は、2時間20分であり、比較製作例2の平均崩壊時間は、40分であった。比較製作例2の場合、pH依存性溶解特性がなく、pH1.2の人工胃液でも容易に崩壊されるが、製作例27は、pH1.2の人工胃液では、2時間崩壊されず、pH6.8の人工腸液に移された後に崩壊されるということを確認することができる。
【0108】
本発明は、実施例を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。