(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
(実施の形態1)
図1(A)は、実施の形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。
図1(B)は、実施の形態1に係る車両用灯具の概略構造を示す鉛直断面図である。
図2(A)は、灯具ボディの概略構造を示す正面図である。
図2(B)は、アウターカバーの概略構造を示す正面図である。本実施の形態に係る車両用灯具1は、車両前方側に開口部10aを有する灯具ボディ10と、灯具ボディ10の開口部10aを覆うように取り付けられるアウターカバー30とを備える。アウターカバー30が開口部10aを塞ぐことで、灯具ボディ10とアウターカバー30とにより灯室2が形成される。車両用灯具1は、図示しないエイミング機構を介して車体に取り付けられる。
【0013】
灯具ボディ10は、光源搭載部12、溝部14、放熱フィン16、締結孔18、第1位置決め機構20及び突起部22を有する。灯具ボディ10は、金属製、例えばアルミダイキャスト製であり、上述した各部が一体成形された構造を有する。光源搭載部12は、灯具前方側を向く平面部12aを有し、平面部12aに光源100が載置されて固定される。光源100は、例えばLED等の発光素子100aと、発光素子100aを支持する基板100bとを備える発光モジュールで構成される。光源100は、発光素子100aの光出射面100a1が灯具前方側を向くように配置されて平面部12aに載置される。平面部12aには車両用灯具1の光軸Oの延在方向(以下では適宜、光軸方向という)、すなわち灯具前後方向に突出する複数の位置決めピン12bが設けられており、基板100bに設けられた位置決め孔及び位置決め溝(ともに図示せず)のそれぞれに位置決めピン12bが挿通あるいは係合することで、灯具ボディ10に対して光源100が位置決めされる。
【0014】
光源搭載部12の裏面側、すなわち灯具後方側には、複数の放熱フィン16が配置される。光源100から発せられる熱は、光源搭載部12を介して放熱フィン16に伝達される。したがって、灯具ボディ10は、車両用灯具1の外形を構成するとともに、光源100の放熱部材としても機能する。本実施の形態では、灯具ボディ10を放熱性の高いアルミニウムで形成しているため、光源100の熱を効率よく放散させることができる。なお、光源100は、白熱球やハロゲンランプ、放電球等であってもよい。
【0015】
溝部14は、開口部10aに沿って設けられる。本実施の形態では、開口部10aの外周全域に溝部14が延在している。より詳細には、開口部10aの外周縁部であって、灯具前方側、言い換えればアウターカバー30側を向く端面24に凹部が形成されており、この凹部が溝部14を構成している。溝部14の外側には、複数の締結孔18及び複数の第1位置決め機構20が配置される。本実施の形態では、2つの締結孔18が光源搭載部12を挟んで灯具左右方向に並んで配置されている。また、2つの第1位置決め機構20が光源搭載部12を挟んで灯具左右方向に並んで配置されている。溝部14及び端面24を含む開口部10aの周縁部は、アウターカバー30の支持部を構成する。
【0016】
締結孔18は、光軸方向に延在する。本実施の形態の第1位置決め機構20は、位置決めピンであり、車両用灯具1の光軸方向且つ灯具前方側に突出する(
図3(A)、
図4参照)。灯具ボディ10の端面24には、複数の突起部22が設けられる。突起部22は、車両用灯具1の光軸方向に突出するリブである(
図3(B)、
図4参照)。
【0017】
アウターカバー30は、光源100からの光を灯具前方に出射させる部材であり、レンズ部32、脚部34、フランジ部36、係合部38、締結孔40及び第2位置決め機構42を有する。アウターカバー30は、例えば透光性を有する樹脂で構成され、上述した各部が一体成形された構造を有する。アウターカバー30は、灯具ボディ10とともに車両用灯具1の外形を構成する。レンズ部32は、厚肉レンズ形状を有し、灯室2内に配置される光源100からの光を屈折させて灯具前方に照射する光学機能を備える。すなわち、レンズ部32によって、灯具前方に所望の配光パターンを形成することができる。レンズ部32は、灯具後方側に焦点Fを有し、発光素子100aの光出射面100a1と重なるように配置される。
【0018】
脚部34は、レンズ部32の周縁から灯具ボディ10に向けて延出する。脚部34の端部には、フランジ部36及び係合部38が設けられる。フランジ部36及び係合部38は、脚部34の一部を構成する。係合部38の一部は、フランジ部36を介して脚部34の灯具ボディ10に向けて延出する部分に連結される。係合部38は、脚部34から光軸方向に突出し、またレンズ部32の外周全域に延在する。係合部38が灯具ボディ10の溝部14に挿入されることで、灯具ボディ10とアウターカバー30とが固定される。灯具ボディ10とアウターカバー30の固定については後に詳細に説明する。フランジ部36は、脚部34の灯具ボディ10に向けて延出する部分の外側面から光軸方向に対して略直交する方向に延在する。フランジ部36の灯具後方側、すなわち灯具ボディ10側を向く面は、溝部14に係合部38が挿入された状態で突起部22が突き当たる突起受面36aを有する。フランジ部36には、複数の締結孔40及び複数の第2位置決め機構42が配置される。本実施の形態では、2つの締結孔40がレンズ部32を挟んで灯具左右方向に並んで配置されている。また、2つの第2位置決め機構42がレンズ部32を挟んで灯具左右方向に並んで配置されている。
【0019】
各締結孔40は、フランジ部36を光軸方向に貫通しており、係合部38が溝部14に挿入された状態で、灯具ボディ10の各締結孔18と重なるように配置される。2つの締結孔40は、一方が略真円形状の穴であり、他方が長穴である。締結孔40の一つを長穴とすることで、灯具ボディ10及びアウターカバー30の寸法の誤差を吸収することができる。本実施の形態の第2位置決め機構42は、灯具ボディ10の第1位置決め機構20としての位置決めピンが挿通される位置決め孔である。各第2位置決め機構42は、フランジ部36を光軸方向に貫通しており、係合部38が溝部14に挿入された状態で、灯具ボディ10の第1位置決め機構20と係合するように配置される。2つの第2位置決め機構42は、一方が略真円形状の穴であり、他方が長穴である。第2位置決め機構42の一つを長穴とすることで、灯具ボディ10及びアウターカバー30の寸法の誤差を吸収することができる。
【0020】
続いて、灯具ボディ10とアウターカバー30の固定及び位置決めについて詳細に説明する。
図3(A)は、第1位置決め機構及び第2位置決め機構の係合部を通る位置における車両用灯具の水平断面図である。
図3(B)は、突起部と突起受面の当接部を通る位置における車両用灯具の鉛直断面図である。
図3(A)では、一方の側の第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42のみを図示している。他方の側の第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42は同様の構成を備えるため、図示を省略する。
図4は、灯具ボディの端面近傍の平面図である。
図4において、破線で囲まれた領域は開口部10aの内部を図示している。
【0021】
灯具ボディ10とアウターカバー30とは、溝部14に係合部38が挿入されて互いに固定される。より詳細には、まず溝部14に熱硬化型接着剤等の接着剤110が注入される。そして、接着剤110が硬化する前に溝部14に係合部38が挿入される。溝部14に係合部38が挿入された状態で、互いに重なり合うアウターカバー30の締結孔40及び灯具ボディ10の締結孔18に、ねじ等の締結部材50が挿通される。締結部材50により、灯具ボディ10とアウターカバー30とが仮固定される。その後、接着剤110を硬化させることで、灯具ボディ10とアウターカバー30とが本固定される。したがって、灯具ボディ10とアウターカバー30とは、接着剤110及び締結部材50によって固定される。このように、接着剤110が硬化する前に締結部材50によって灯具ボディ10とアウターカバー30とを固定することで、接着剤110の硬化前及び硬化中に両者の位置ずれが生じることを抑制できる。溝部14に係合部38が挿入されて固定されることで灯室2が封止され、灯室2内部の防水性が確保される。
【0022】
溝部14に係合部38が挿入された状態で、第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42が互いに係合する。具体的には、第1位置決め機構20を構成する位置決めピンが第2位置決め機構42を構成する位置決め孔に挿通される。第1位置決め機構20と第2位置決め機構42との係合により、灯具ボディ10とアウターカバー30とが、光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる。すなわち、灯具上下方向及び灯具左右方向について、灯具ボディ10とアウターカバー30との位置決めがなされる。
【0023】
また、溝部14に係合部38が挿入された状態で、突起部22が突起受面36aに当接して灯具ボディ10とアウターカバー30とが光軸方向について位置決めされる。したがって、突起受面36aと係合部38とを有するアウターカバー30の脚部34は、灯室2のシール機構と、灯具ボディ10とアウターカバー30の位置決め機構とを兼ね備えている。
【0024】
灯具前後、左右、上下の全方向について灯具ボディ10とアウターカバー30との位置決めがなされた状態で、レンズ部32が光軸O上に位置するとともに、焦点Fが発光素子100aの光出射面100a1と高精度に位置合わせされる。発光素子100aから出射される光は、レンズ部32に入射し、所定方向に偏向されてアウターカバー30から灯具前方に照射される。これにより、灯具前方に所望の配光パターンを精度よく形成することができる。本実施の形態の車両用灯具1は、光源100の光出射面100a1が灯具正面を向き、レンズ部32が光出射面100a1と対向して、光源光が直にレンズ部32に入射する、いわゆる直射型灯具である。なお、車両用灯具1は、光源光をリフレクタで反射してレンズ部32に入射させる、いわゆる反射型灯具であってもよい。
【0025】
本実施の形態に係る車両用灯具1は、突起部22及び突起受面36aをそれぞれ複数備える。具体的には、突起部22と突起受面36aをそれぞれ3つ備える。突起受面36aについては、フランジ部36の灯具ボディ10側を向く面のうち、突起部22が当接する領域を突起受面36aとする。そして、
図4に示すように、各突起部22と各突起受面36aの当接部、言い換えれば突起部22の頂面はそれぞれ、灯具ボディ10に対する光源100の位置を定める所定の基準点Pからの光軸方向の距離Lが等しくなるように配置されている。すなわち、3つの突起部22の頂面は同一平面上に位置し、この平面は光軸Oに対して直交する。
【0026】
基準点Pは、例えば光源搭載部12が有する一方の位置決めピン12bの突出位置とすることができる。あるいは、基準点Pは、発光素子100aの光出射面100a1の中心など、光源100上に設定されてもよい。車両用灯具1を製造する際、灯具ボディ10やアウターカバー30の各部の寸法は、この基準点Pからの距離で管理される。したがって、各突起部22の頂面が同一平面上に配置され、且つ当該平面が光源搭載部12の平面部12aと平行になるように設計することで、突起部22の各頂面と平面部12aとの間の距離を等しくすることができ、よって各頂面と基準点Pとの光軸方向の距離Lを等しくすることができる。そして、これにより各突起部22の配置の寸法を共通化することができるため、車両用灯具1を製造する際の寸法管理を簡略化することができる。
【0027】
また、
図2(A)に示すように、灯具前方から見て3つの突起部22を頂点とする三角形の延在範囲内に光源100の少なくとも一部が重なるように、3つの突起部22の互いの位置関係が定められている。これにより、灯具前方から見て光源100の周囲に突起部22が均等に配置されるため、灯具ボディ10に搭載される光源100とアウターカバー30のレンズ部32との光軸方向の位置決めをより高精度に実施することができる。本実施の形態の車両用灯具1は、レンズ部32が光源100の光出射面100a1と対向する構造を有するため、灯具ボディ10とアウターカバー30との光軸方向の位置決めを高精度に実施することが重要である。なお、3つの突起部22は、当該三角形の内側に光源100の重心が位置するように、互いの位置関係が定められることがより好ましい。
【0028】
さらに、
図2(A)に示すように、2つの第1位置決め機構20は、光軸方向に対して直交する灯具上下方向(2つの第1位置決め機構20が並ぶ方向に対して直交する方向)について、灯具ボディ10に対する光源100の位置を定める所定の基準点Pからの距離Mが等しくなるように配置されている。これにより、複数の第1位置決め機構20の寸法を共通化することができるため、車両用灯具1を製造する際の寸法管理を簡略化することができる。なお、第1位置決め機構20が光源搭載部12を挟んで灯具上下方向に並んで配置される場合には、2つの第1位置決め機構20を光軸方向に対して直交する灯具左右方向について、基準点Pからの距離Mが等しくなるように配置することで、寸法管理の簡略化を図ることができる。また、各第1位置決め機構20は、2つの第1位置決め機構20を結ぶ直線N上に基準点Pが位置するよう配置されることがより好ましい。すなわち、距離Mを0にすることで、寸法管理のさらなる簡略化を図ることができる。
【0029】
また、
図4に示すように、灯具ボディ10の端面24は、基準点Pからの光軸方向の距離が等しくなるように配置されている。すなわち、端面24が同一平面に含まれ、この平面と光軸Oとが直交する。これによっても寸法管理を簡略化することができる。また、端面24とフランジ部36とは平行に延在している。これにより、寸法管理の簡略化とともに、溝部14と係合部38によって灯室2をより確実に封止することができる。
【0030】
アウターカバー30の脚部34は、内面及び外面の少なくとも一方に、脚部34を介した灯室2内から外部への光の漏れや、外部からの灯室2内への入光を低減するための表面処理が施されることが好ましい。このような表面処理としては、例えば有色塗料の塗装、金属の蒸着、粗化処理、光拡散ステップの形成等が挙げられる。光拡散ステップの形成例としては、例えば複数のシリンドリカルステップを脚部34の表面に配列することが挙げられる。このような表面処理を施すことで、光源100の光が脚部34を介して外部に漏れることを低減できるため、他者にグレアを与えるおそれを低減することができる。また、特に自動二輪車に車両用灯具1が搭載される場合には、運転者にグレアを与えるおそれを低減することができる。また、上述した表面処理により、太陽光が灯室2内に入射して光源100の温度が上昇することを抑制することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1では、灯具ボディ10が第1位置決め機構20を有し、アウターカバー30が第2位置決め機構42を有する。そして、灯具ボディ10の溝部14にアウターカバー30の係合部38が挿入された状態で、第1位置決め機構20と第2位置決め機構42とが互いに係合する。これにより、アウターカバー30のレンズ部32と、灯具ボディ10に搭載された光源100との相対位置を高精度に位置決めすることができる。したがって、車両用灯具1の配光パターンの形成精度を向上させることができる。また、金属製の灯具ボディ10と樹脂製のアウターカバー30のように、熱膨張率の異なる部材同士の組み合わせであっても、灯具ボディ10とアウターカバー30の相対位置を高精度に維持することができる。このため、車両用灯具1の配光パターンの形成精度を維持しながら、灯具ボディ10を金属製にすることによる光源100の放熱性の向上と、アウターカバー30を樹脂製にすることによる車両用灯具1の製造工程の簡略化及び低コスト化とを図ることができる。
【0032】
また、第1位置決め機構は位置決めピンであり、前記第2位置決め機構は前記位置決めピンが挿通される位置決め孔であり、第1位置決め機構と第2位置決め機構との係合により、灯具ボディとアウターカバーとが、車両用灯具の光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる。これにより、灯具ボディ10とアウターカバー30の灯具上下方向及び左右方向における相対位置を、高精度に決定することができる。また、簡単な構造で両者の位置決めを行うことができる。さらに、灯具ボディ10は突起部22を有し、アウターカバー30は突起部22と係合する突起受面36aを有する。これにより、灯具ボディ10とアウターカバー30の灯具前後方向における相対位置を、高精度に決定することができる。
【0033】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る車両用灯具は、実施の形態1の車両用灯具1の外側に、灯具ボディとアウターカバーとを備える点が異なることを除き、実施の形態1の構成と共通する。以下、実施の形態2に係る車両用灯具について、実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
【0034】
図5は、実施の形態2に係る車両用灯具の概略構造を示す水平断面図である。本実施の形態に係る車両用灯具200は、灯具ボディ210と、アウターカバー230とを備える。灯具ボディ210は、車両前方側に開口部210aを有し、車両後方側に開口部210bを有する。アウターカバー230は、開口部210aを覆うように取り付けられる。そして、灯具ボディ210とアウターカバー230とで構成される灯室202内に灯具ユニット250が収容される。灯具ユニット250は、開口部210bから放熱フィン16が外部に露出するようにして、灯室202内に収容される。
【0035】
灯具ボディ210とアウターカバー230とは、例えば、実施の形態1における灯具ボディ10とアウターカバー30との固定方法と同様の方法で固定される。すなわち、灯具ボディ210の開口部210aに沿って設けられる溝部に熱硬化型接着剤等の接着剤が注入される。そして、接着剤が硬化する前に溝部にアウターカバー230の灯具ボディ210に向けて延出する脚部の先端が挿入される。そして、接着剤を硬化させることで、灯具ボディ210とアウターカバー230とが固定される。また、灯具ボディ210の開口部210bと灯具ユニット250とは、両者の間にOリング等のシール部材212が介在し、シール部材212を介して互いに固定される。灯具ボディ210の溝部にアウターカバー230の脚部が挿入されて接着剤で固定され、またシール部材212を介して灯具ユニット250が灯具ボディ210に固定されることで、灯室202が封止され、灯室202内部の防水性が確保される。
【0036】
灯具ユニット250は、実施の形態1の車両用灯具1と同一の構成を備える。ただし、車両用灯具200では、灯具ユニット250の外側に灯具ボディ210とアウターカバー230とが設けられている。このため、実施の形態1における灯具ボディ10は、実施の形態2では光源台252となる。また、実施の形態1におけるアウターカバー30は、実施の形態2ではレンズ部材254となる。
【0037】
光源台252は、実施の形態1の灯具ボディ10と同様に、光源搭載部12、溝部14、放熱フィン16、締結孔18、第1位置決め機構20(
図2(A)参照)及び突起部22(
図2(A)参照)を有する。光源台252は、金属製、例えばアルミダイキャスト製であり、上述した各部が一体成形された構造を有する。光源搭載部12、溝部14、放熱フィン16、締結孔18、第1位置決め機構20及び突起部22の構造は、実施の形態1と同様である。
【0038】
溝部14と端面24とを含む開口部10aの周縁部は、レンズ部材254の支持部に相当する。突起部22は、レンズ部材254の支持部、より具体的には端面24に3つ設けられる。3つの突起部22は、脚部34が支持部に支持された状態で脚部34、より具体的には突起受面36a(
図3(B)参照)に当接して、レンズ部材254を光軸方向について位置決めする。
図2(A)に示すように、3つの突起部22は、3つの突起部22を頂点とする三角形の延在範囲内に光源100の少なくとも一部が重なるように、互いの位置関係が定められている。なお、3つの突起部22は、当該三角形の内側に光源100の重心が位置するように、互いの位置関係が定められることがより好ましい。
【0039】
レンズ部材254は、光源100からの光を灯具前方に出射させる部材であり、実施の形態1のアウターカバー30と同様に、レンズ部32、脚部34、フランジ部36、係合部38、締結孔40及び第2位置決め機構42(
図2(B)参照)を有する。レンズ部材254は、例えば透光性を有する樹脂で構成され、上述した各部が一体成形された構造を有する。レンズ部材254は、光源100からの光を屈折させて灯具前方に照射するレンズ部32が光源100の光出射面100a1と対向するように配置される。本実施の形態に係る車両用灯具200では、レンズ部32によって配光パターンが形成され、アウターカバー230は配光パターンを形成する光学機能を有しない。レンズ部32、脚部34、フランジ部36、係合部38、締結孔40及び第2位置決め機構42の構造は、実施の形態1と同様である。フランジ部36及び係合部38は、脚部34の一部を構成する。脚部34は、光源台252に向けて延出し、その端部、より具体的には係合部38が支持部としての溝部14に支持される。
【0040】
レンズ部材254は、フランジ部36の光源台252側を向く面に、3つの突起部22が突き当たる3つの突起受面36a(
図3(B)参照)を備える。各突起部22と各突起受面36aの当接部はそれぞれ、光源台252に対する光源100の位置を定める所定の基準点P(
図4参照)からの光軸方向の距離Lが等しくなるように配置される。
【0041】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、第1位置決め機構20は位置決めピンであり、第2位置決め機構42は位置決めピンが挿通される位置決め孔である(
図3(A)参照)。第1位置決め機構20と第2位置決め機構42との係合により、光源台252とレンズ部材254とが、車両用灯具200の光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる。
【0042】
本実施の形態に係る車両用灯具200によっても、実施の形態1と同様に、レンズ部材254のレンズ部32と、光源台252に搭載された光源100との相対位置を高精度に位置決めすることができる。したがって、車両用灯具200の配光パターンの形成精度を向上させることができる。また、金属製の光源台252と樹脂製のレンズ部材254のように、熱膨張率の異なる部材同士の組み合わせであっても、光源台252とレンズ部材254の相対位置を高精度に維持することができる。このため、車両用灯具200の配光パターンの形成精度を維持しながら、光源台252を金属製にすることによる光源100の放熱性の向上と、レンズ部材254を樹脂製にすることによる車両用灯具200の製造工程の簡略化及び低コスト化とを図ることができる。
【0043】
また、第1位置決め機構20は位置決めピンであり、第2位置決め機構42は位置決め孔であり、第1位置決め機構20と第2位置決め機構42との係合により、光源台252とレンズ部材254とが、車両用灯具200の光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる。これにより、光源台252とレンズ部材254の灯具上下方向及び左右方向における相対位置を、高精度に決定することができる。また、簡単な構造で両者の位置決めを行うことができる。さらに、光源台252は突起部22を有し、レンズ部材254は突起受面36aを有する。これにより、光源台252とレンズ部材254の灯具前後方向における相対位置を、高精度に決定することができる。
【0044】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態と変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態及び変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0045】
上述した実施の形態1では、灯具ボディ10に溝部14が、アウターカバー30に係合部38が設けられているが、灯具ボディ10に係合部38が、アウターカバー30に溝部14が設けられてもよい。すなわち、車両用灯具1は、溝部14及び係合部38のうちの一方が灯具ボディ10に、他方がアウターカバー30に設けられた構造を有する。また、実施の形態1では、灯具ボディ10に第1位置決め機構20が、アウターカバー30に第2位置決め機構42が設けられているが、灯具ボディ10に第2位置決め機構42が、アウターカバー30に第1位置決め機構20が設けられてもよい。すなわち、車両用灯具1は、第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42のうちの一方が灯具ボディ10に、他方がアウターカバー30に設けられた構造を有する。
【0046】
また、実施の形態1では、灯具ボディ10に突起部22が、アウターカバー30に突起受面36aが設けられているが、灯具ボディ10に突起受面36aが、アウターカバー30に突起部22が設けられてもよい。すなわち、車両用灯具1は、突起部22及び突起受面36aのうちの一方が灯具ボディ10に、他方がアウターカバー30に設けられた構造を有する。また、第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42の設置数は特に限定されず、1つあるいは3つ以上であってもよい。同様に、突起部22及び突起受面36aの設置数も特に限定されず、1つ、2つあるいは4つ以上であってもよい。なお、第1位置決め機構20及び第2位置決め機構42、突起部22及び突起受面36aの各組み合わせは、複数であることが好ましい。
【0047】
上述した実施の形態1では、溝部14に熱硬化型接着剤等の接着剤110が注入され、次いで接着剤110が硬化する前に溝部14に係合部38が挿入されて、灯具ボディ10とアウターカバー30とが互いに固定されることで、灯室2が封止されているが、特にこの構成に限定されない。例えば、灯具ボディ10とアウターカバー30とは、Oリング等のシール部材を介して固定されることで、灯室2が封止されて灯室2内部の防水性が確保されてもよい。
【0048】
以上説明した変形は、実施の形態2についても同様である。また、実施の形態2において、灯具ボディ210とアウターカバー230とは接着剤で固定されているが、特にこの構成に限定されず、灯具ボディ210とアウターカバー230とは、Oリング等のシール部材を介して固定されてもよい。この場合でも、灯室202内部の防水性を確保することができる。
【0049】
実施の形態1の車両用灯具1における灯具ボディ10は、実施の形態2の光源台252に、車両用灯具1の外形を構成する機能を付与したものと捉えることができる。すなわち、実施の形態1では、光源台が灯具ボディである。また、実施の形態1の車両用灯具1におけるアウターカバー30は、実施の形態2のレンズ部材254に、車両用灯具1の外形を構成する機能を付与したものと捉えることができる。すなわち、実施の形態1では、レンズ部材がアウターカバーである。よって、以上説明した実施の形態1の車両用灯具1と、実施の形態2の車両用灯具200とに共通する構成として、以下の項目1〜4に示す構成を挙げることができる。また、項目5は、これら項目1〜4の構成が実施の形態1に特定される場合の構成である。
【0050】
(項目1)
光源と、
光源搭載部を有する金属製の光源台と、
光源からの光を灯具前方に出射させるレンズ部材と、を備え、
光源台は、レンズ部材の支持部を有し、
レンズ部材は、光源台に向けて延出し、その端部が支持部に支持される脚部を有し、
支持部は、脚部が支持部に支持された状態で脚部に当接して、レンズ部材を光軸方向について位置決めする3つの突起部を有し、
3つの突起部は、3つの突起部を頂点とする三角形の延在範囲内に光源の少なくとも一部が重なるように、互いの位置関係が定められていることを特徴とする車両用灯具。
(項目2)
光源は、光出射面を有し、
レンズ部材は、灯室内に配置される光源からの光を屈折させて灯具前方に照射するレンズ部を有し、
レンズ部は、光出射面と対向する項目1に記載の車両用灯具。
(項目3)
レンズ部材は、3つの突起部が突き当たる3つの突起受面を備え、
各突起部と各突起受面の当接部はそれぞれ、光源台に対する光源の位置を定める所定の基準点からの光軸方向の距離が等しい項目1又は2に記載の車両用灯具。
(項目4)
光源台は、支持部に脚部が支持された状態で互いに係合する第1位置決め機構及び第2位置決め機構のうちの一方を有し、
レンズ部材は、第1位置決め機構及び第2位置決め機構のうちの他方を脚部に有し、
第1位置決め機構は位置決めピンであり、第2位置決め機構は位置決めピンが挿通される位置決め孔であり、第1位置決め機構と第2位置決め機構との係合により、光源台とレンズ部材とが、車両用灯具の光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる項目1乃至3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
(項目5)
光源台は、車両用灯具の外形を構成する灯具ボディであり、
レンズ部材は、灯具ボディとともに車両用灯具の外形を構成するアウターカバーである項目1乃至4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【0051】
また、以下の構成についても本発明の範囲に含まれうる。
(項目6)
開口部を有する灯具ボディと、開口部を塞いで灯具ボディとともに灯室を形成する、透光性を有するアウターカバーと、を備える車両用灯具であって、
灯具ボディは、溝部及び当該溝部に挿入される係合部のうちの一方を開口部に沿って有し、
アウターカバーは、灯室内に配置される光源からの光を屈折させて灯具前方に照射するレンズ部と、当該レンズ部の周縁から灯具ボディに向けて延出し、その端部に溝部及び係合部のうちの他方を有する脚部と、を有し、
溝部に係合部が挿入されることで灯室が封止され、
灯具ボディは、溝部に係合部が挿入された状態で互いに係合する第1位置決め機構及び第2位置決め機構のうちの一方を有し、
アウターカバーは、第1位置決め機構及び第2位置決め機構のうちの他方を脚部に有することを特徴とする車両用灯具。
(項目7)
第1位置決め機構は位置決めピンであり、第2位置決め機構は位置決めピンが挿通される位置決め孔であり、第1位置決め機構と第2位置決め機構との係合により、灯具ボディとアウターカバーとが、車両用灯具の光軸方向に対して直交する面方向について位置決めされる項目6に記載の車両用灯具。
(項目8)
灯具ボディは、車両用灯具の光軸方向に突出する突起部、及び溝部に係合部が挿入された状態で突起部が突き当たる突起受面のうちの一方を有し、
アウターカバーは、突起部及び突起受面のうちの他方を有し、
突起部が突起受面に当接して灯具ボディとアウターカバーとが光軸方向について位置決めされる項目7に記載の車両用灯具。
(項目9)
突起部及び突起受面をそれぞれ複数備え、
各突起部と各突起受面の当接部はそれぞれ、灯具ボディに対する光源の位置を定める所定の基準点からの光軸方向の距離が等しい項目8に記載の車両用灯具。
(項目10)
第1位置決め機構及び第2位置決め機構をそれぞれ少なくとも2つ備え、
各第1位置決め機構は、車両用灯具の光軸方向に対して直交する方向に対して直交する第2方向について、灯具ボディに対する光源の位置を定める所定の基準点からの距離が等しい項目6乃至9のいずれか1項に記載の車両用灯具。
(項目11)
各第1位置決め機構は、2つの第1位置決め機構を結ぶ直線上に基準点が位置するよう配置される項目10に記載の車両用灯具。