特許第6441826号(P6441826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6441826スラッシュ成形用の改善された粉末状熱可塑性ポリオレフィンエラストマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441826
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】スラッシュ成形用の改善された粉末状熱可塑性ポリオレフィンエラストマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 53/00 20060101AFI20181210BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20181210BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20181210BHJP
   B29C 41/18 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   C08L53/00
   C08J3/12 ACES
   C08L23/06
   B29C41/18
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-560186(P2015-560186)
(86)(22)【出願日】2014年2月3日
(65)【公表番号】特表2016-511788(P2016-511788A)
(43)【公表日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】US2014014387
(87)【国際公開番号】WO2014133717
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年1月20日
(31)【優先権主張番号】61/770,626
(32)【優先日】2013年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】テオドラ・ドネヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マリー・アン・ジョーンズ
【審査官】 水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−505328(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/155956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮材の生成のためのプロセスであって、
(a)オレフィンブロックコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィン組成物を粉砕して粉末にするステップと、
(b)前記粉末をスラッシュ成形または回転成形して、表皮材にするステップと、
を含み、
前記組成物を粉砕して粉末にするステップ(a)が、周囲温度を超える温度であるが前記オレフィンブロックコポリマーの融点よりも5℃以下低い温度で行われ、
前記粉末化組成物が、ASTM D2240により決定される場合に75を超えるショアA硬度、−45℃未満のTg、DSCにより決定される場合に95℃を超える溶融ピーク、230℃で1,200Pa−s以下のゼロせん断粘度、及び前記粒子の85重量パーセントが150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない粒径分布を有し、
前記熱可塑性ポリオレフィン組成物は、さらなるポリマーを10重量%以下の量で含むことができ、
前記さらなるポリマーは高密度ポリエチレン(HDPE)である、表皮材の生成のためのプロセス。
【請求項2】
前記オレフィンブロックコポリマーが、1つ以上のハードセグメント及び1つ以上のソフトセグメントを含み、以下に記載される特徴:
(a)約1.7〜約3.5の重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)、摂氏温度での少なくとも1つの溶融ピーク(Tm)、及びグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Tm及びdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)またはT>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)に相当すること、または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ融解熱(ΔH)J/g、及び最も高い示差走査熱量測定(DSC)ピークと最も高い結晶化分析分別(CRYSTAF)ピークとの間の温度差として定義される摂氏温度でのデルタ量ΔTによって特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が、以下の関係:
ゼロを超え、かつ130J/g以下のΔHの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを超えるΔHの場合、ΔT≧48℃を有し、
前記CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度が30℃であること、または
(c)エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでのパーセント単位での弾性回復(Re)によって特徴付けられ、かつグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合に、以下の関係:Re>1481−1629(d)を満たすこと、または
(d)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分が量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、式中、Tが、℃単位で測定される前記TREF画分のピーク溶出温度の数値であること、または
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、G’(25℃)とG’(100℃)との比率が、約1:1〜約9:1の範囲内であること、または
(f)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分が少なくとも0.5かつ約1以下のブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とすること、または
(g)ゼロを超え、かつ約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有すること、
のうちの1つ以上を特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記表皮材が、インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッドトリム、エアバックカバー、シートバックル、ヘッドライナー、グローブボックス、ステアリングホイールカバー、中空品、トラフィックコーン、タンクブラダー、ガスケット、ボートバンパー、ボール、玩具、釣用ルアー、医療用電球、マネキン、ランプの基部、ブーツ、マット、発泡物品、布、グローブ、テープ、コンベヤベルト、屋外用家具用ウェビング、防水布、テント、窓用ブラインド、壁紙、捺染物、金属物品、ツールハンドル、ワイヤーバスケット、またはブラケット用である、請求項1に記載のプロセス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンブロックコポリマーを含む粉末形態の熱可塑性ポリオレフィンエラストマー組成物に関する。該組成物は、周囲温度以上で良好な粉砕及び流動特性を示す。別の態様において、本発明は、該熱可塑性ポリオレフィンエラストマー粉末を調製するためのプロセス及び該粉末を用いるための用途に関する。さらなる態様において、本発明は、該熱可塑性ポリオレフィンエラストマー組成物を、表皮材、特に、インストルメントパネル等の自動車の内装用途のための表皮材にスラッシュ成形または回転成形することに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品用の表皮材、例えば、インストルメントパネル等の自動車の内装品の表皮材を作製するためのいくつかの方法が存在する。ポジティブ熱成形、ネガティブ熱成形、噴霧ポリウレタン(PU)、及びスラッシュ成形(shush molding)は、そのような内装品のための表皮材を作製するために使用される4つの主なプロセスである。スラッシュ成形及び噴霧PUは、いくつかのプロセスの利点を有する最も高い設計自由度を提供する。スラッシュ成形の全体的なシステム費用は、噴霧PUよりもかなり低い。
【0003】
スラッシュ成形技術において、自由流動性の粉末状ポリマーを上部が開いた容器またはボックス、すなわち、スラッシュボックスに充填する。成形される物品または目的物の形態の加熱された金型をスラッシュボックスの上部に固定し、自由流動性のポリマー粉末が熱い金型に接触して、粉末が溶融し、金型の上を流動するような様式で容器を回転させる。次いで、容器をその元の位置に戻して、容器から金型を取り出し、金型から物品を取り外す。この技術は、鋭いエッジ及び優れたしぼ保持性を有する複雑な形態を実現することができる。
【0004】
乗員用及びドア用エアバックの導入は、自動車の内装表皮材の要件を、主に外観のみの基準から安全性の構成に変化させている。最近まで、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂が、内装表皮材として一般に好まれる材料であり、それらはスラッシュ成形に理想的に適していた。しかしながら、PVC製剤は、経時的に可塑剤が移行または揮発するという問題があり、これにより、それが老化した際のPVCの物理的特性の変化及び自動車の窓ガラスの曇りの両方が引き起こされる。PVCはまた、代替材料よりも重いという問題もある(自動車の現在の設計において重要な考慮すべき事項であり、自動車の総重量を減らし、ひいては自動車の燃費効率を向上させるためにより軽い材料が重視される)。さらに、PVCの硬度、貯蔵弾性率、及び脆性は、周囲温度の減少とともに増加するため、低温、例えば、約−40℃で、インストルメントパネル表皮材は、エアバッグの展開時に避ける場合がある。
【0005】
PVCの代替物には、スラッシュ成形に必要とされる必須の流動特性を有するように加工することができる熱可塑性ポリウレタン(TPU)がある。TPUは、良好な引っ掻き傷抵抗性及び擦傷抵抗性、ならびにPVCよりも良好な低温特性を有するが、芳香族系TPUは、不良な紫外線(UV)光抵抗性が不十分である。良好なUV光抵抗性を有するTPUを調製するために脂肪族イソシアネートを使用することができるが、かなりの費用がかかる。
【0006】
ポリプロピレン(PP)とポリオレフィンゴムとのブレンド物は、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)と称され、さらに別の代替物である。TPOは、PVCよりも良好な延性を有する。さらに、PVCと同様に、TPOは、いかなる低分子量の可塑剤も含まないために、時間が経ってもその延性を維持する。TPOは、自動車内装の表皮用途において、PVCと比較して性能が良い。TPOは、TPUと比較して安価である。
【0007】
良好なスラッシュ成形性にとって重要な特性は、良好なしぼ外観及び良好なしぼ鮮明度の点で良好な表面の品質を達成するための粉体流である。しかしながら、従来のTPOは、スラッシュTPOの粉体流、ひいては、部品の品質に悪影響を及ぼすフック及びテイルを生じ得る低温(氷点下)粉砕を必要とする。ともに参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,037,979号及び米国特許出願公開第2004/0147680号を参照されたい。さらに、低温粉砕は、粉末TPOの製造に複雑さ及び費用を増大させる。粉砕助剤の添加を伴う周囲温度粉砕が開示されている。例えば、米国特許第4,650,126号は、シリカ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、クレー等の粉砕助剤の添加を開示する。粉砕助剤を伴う周囲粉砕の別の例は、米国特許第6,803,417号に教示されており、硬化を必要とする新型のシラングラフト化多成分TPO組成物が開示されているが、かなりの費用がかかる。
【0008】
したがって、自動車製業者らは、適切な硬度(例えば、ショアA硬度)を有し、周囲温度以上で粉砕する能力を持ち、改善された流動及び焼結特性を有する自動車内装用途のためのポリマー組成物、特に、スラッシュ成形のためのポリマー粉末を開発することが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、そのような組成物である。スラッシュ成形または回転成形プロセスの使用によく適している。
【0010】
一実施形態において、本発明は、粉末形態のオレフィンブロックコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィン組成物であって、該組成物は、75を超えるショアA硬度、−45℃未満のTg、DSCにより決定される場合に95℃を超える明瞭な溶融ピークを有し、この改善は、熱可塑性ポリオレフィン組成物が230℃で1,200Pa−s以下のゼロせん断粘度、及び粒径分布を有し、該粒子の85パーセントが150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えず、任意に、この組成物は、高密度ポリエチレン(HDPE)をさらに含む。
【0011】
別の実施形態において、本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、
(i)オレフィンブロックコポリマーが、1つ以上のハードセグメント及び1つ以上のソフトセグメントを含み、以下に記載される特徴:
(i.a)約1.7〜約3.5の重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)、摂氏温度での少なくとも1つの溶融ピーク(Tm)、及びグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Tm及びdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)またはT>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)に相当すること、または
(i.b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ融解熱(ΔH)J/g、及び最も高い示差走査熱量測定(DSC)ピークと最も高い結晶化分析分別(CRYSTAF)ピークとの間の温度差として定義される摂氏温度でのデルタ量ΔTによって特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が、以下の関係:
ゼロを超え、かつ130J/g以下のΔHの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを超えるΔHの場合、ΔT≧48℃を有し、
CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であること、または
(i.c)エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでのパーセント単位での弾性回復(Re)によって特徴付けられ、かつグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合に、以下の関係:Re>1481−1629(d)を満たすこと、または
(i.d)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、画分は量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、式中、Tは、℃で測定されるTREF画分のピーク溶出温度の数値であること、または
(i.e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃(G’(100℃))での貯蔵弾性率を有し、G’(25℃)とG’(100℃)との比率が、約1:1〜約9:1の範囲内であること、または
(i.f)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、画分が少なくとも0.5かつ約1以下のブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とすること、または
(i.g)ゼロを超え、かつ約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有すること、のうちの1つ以上を特徴とする、オレフィンブロックコポリマーを含む。
【0012】
好ましい実施形態において、上の本明細書に開示される熱可塑性ポリオレフィン組成物は、該熱可塑性ポリオレフィン組成物を、オレフィンブロックコポリマーの明瞭な融点よりも5℃以下低い温度で粉砕することによって得られる。
【0013】
さらに別の実施形態において、本発明は、上の本明細書に開示される熱可塑性ポリオレフィン組成物を用いて表皮材の生成のためのプロセスであり、
(a)該組成物を、好ましくはオレフィンブロックコポリマーの明瞭な融点よりも5℃以下低い温度で、粉末に形成する工程と、
(b)該粉末をスラッシュ成形して、表皮材にする工程と、を含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、上の本明細書に開示される熱可塑性ポリマー組成物を含むスラッシュ成形された表皮材であり、好ましくは、表皮材は、インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッドトリム、エアバックカバー、シートバックル、ヘッドライナー、グローブボックス、またはステアリングホイールカバー用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、スラッシュ成形及び/または回転成形によって表皮材を作製するための改善された熱可塑性ポリオレフィン組成物である。以前に、我々は、スラッシュ成形(shush molding)に適した粉末を提供するために低下した温度での粉砕を必要としないブロックコポリマーを含む新規の熱可塑性ポリオレフィン組成物を開発した(米国特許公開第2012/0172534号)。我々は、これまでに、粘度、特に、ゼロせん断粘度及び特定の粒径範囲/配分の特定の組み合わせを有するオレフィンブロックコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィン組成物が、サイクル時間の削減及び/またはより一貫した厚みのある表皮材が成形され得るスラッシュ及び/または回転成形のために、改善された粉末状の熱可塑性ポリオレフィン組成物を提供することを見出している。
【0016】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、ソフトセグメントと称され得るエラストマーポリマー、及びハードセグメントと称され得る結晶成分を含む。本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、2つのポリマー材料、例えば、エラストマーポリマー(すなわち、ソフトセグメント)と結晶性ポリマー(すなわち、ハードセグメント)を含み得る。好ましくは、本発明の熱可塑性ポリオレフィンは、その中に1つ以上のソフトセグメント及び1つ以上のハードセグメントを含む単一のポリマー材料を含む。
【0017】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物の成分(i)は、オレフィンブロックコポリマー(OBC)である。「エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー」という用語は、一般的に、エチレン、及び3個以上の炭素原子を有するアルファ−オレフィン、例えば、プロピレンまたは他のC〜C20アルファ−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましいアルファ−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−デセン、1−ドデセンであり、最も好ましくは、1−オクタンである。好ましくは、エチレンは、ポリマー全体の大部分のモル分率を構成し、すなわち、エチレンは、ポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または少なくとも約80モルパーセントを構成し、ポリマー全体の実質的な残りは、好ましくは、3個以上の炭素原子を有するアルファ−オレフィンである少なくとも1つの他の成分を含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成物は、ポリマー全体の約80モルパーセントを超えるエチレン含有量、及びポリマー全体の約10〜約15、好ましくは、約15〜約20モルパーセントのオクテン含有量を含む。
【0018】
「マルチブロックコポリマー」という用語は、好ましくは線状に結合された2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」とも称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式またはグラフト様式ではなく、重合エチレン性官能基に対して端と端とが結合された化学的に区別される単位を含むポリマーを指す。好ましい実施形態において、ブロックは、その中に組み込まれるコモノマーの量及び種類、密度、結晶性の量、そのような組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性の種類または程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、長鎖分岐もしくは超分岐を含む分岐の量、均質性、または他の化学的もしくは物理的な特性の点で異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーの特有の作製プロセスのため、両方の多分散指数(PDIまたはM/M)の特有の分布、ブロック長分布、及び/またはブロック数分布によって特徴付けられる。より具体的には、連続プロセスで生成されたとき、ポリマーは、望ましくは、約1.7〜約8、好ましくは約1.7〜約3.5、より好ましくは約1.7〜約2.5、最も好ましくは約1.8〜約2.5、または約1.8〜約2.1のPDIを有する。回分法または半回分法で生成されたとき、ポリマーは、約1.0〜約2.9、好ましくは約1.3〜約2.5、より好ましくは約1.4〜約2.0、最も好ましくは約1.4〜約1.8のPDIを有する。「ブロック(複数を含む)」及び「セグメント(複数を含む)」は、本明細書において互換的に使用されることに留意する。
【0019】
本発明のオレフィンブロックコポリマー(i)は、アルファ−オレフィンインターポリマー、具体的には、アルファ−オレフィンブロックコポリマーであり、1つ以上のハードセグメント及び1つ以上のソフトセグメントを含み、以下に記載される特徴:
(i.a)約1.7〜約3.5の重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)、摂氏温度での少なくとも1つの溶融ピーク(Tm)、及びグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Tm及びdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)またはT>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)に相当すること、または
(i.b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ融解熱(ΔH)J/g、及び最も高い示差走査熱量測定(DSC)ピークと最も高い結晶化分析分別(CRYSTAF)ピークとの間の温度差として定義される摂氏温度でのデルタ量ΔTによって特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が、以下の関係:
ゼロを超え、かつ130J/g以下のΔHの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを超えるΔHの場合、ΔT≧48℃を有し、
CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、該ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であること、または
(i.c)エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでのパーセント単位での弾性回復(Re)によって特徴付けられ、かつグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合に、以下の関係:
Re>1481−1629(d)を満たすこと、または
(i.d)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、画分は量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、式中、Tは、℃単位で測定されるTREF画分のピーク溶出温度の数値であること、または
(i.e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、G’(25℃)とG’(100℃)との比率は、約1:1〜約9:1の範囲内であること、または
(i.f)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、画分が少なくとも0.5かつ約1以下のブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とすること、または
(i.g)ゼロを超え、かつ約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有すること、のうちの1つ以上を特徴とする。
【0020】
エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーを作製するためのプロセスは、例えば、以下の特許出願及び公開:2004年3月17日に出願された米国特許仮出願第60/553,906号、2005年3月17日に出願された同第60/662,937号、2005年3月17日に出願された同第60/662,939号、2005年3月17日に出願された同第60/5662938号、2005年3月17日に出願されたPCT出願第PCT/US2005/008916号、2005年3月17日に出願された同第PCT/US2005/008915号、2005年3月17日に出願された同第PCT/US2005/008917号、2005年9月29日に出願された国際公開第WO2005/090425号、2005年9月29日に出願された同第WO2005/090426号、及び2005年9月29日に出願された同第WO2005/090427号に開示されており、それらのすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。例えば、1つのそのような方法は、エチレン、及び任意に、エチレン以外の1つ以上のさらなる重合性モノマーを、付加重合条件下で、
(A)高コモノマー取り込み指数を有する第1のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー取り込み指数の90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー取り込み指数を有する第2のオレフィン重合触媒、及び
(C)連鎖シャトリング剤(chain shuttling agent)を組み合わせることから生じる混合物または反応生成物を含む触媒組成物と接触させることを含む。
【0021】
以下の試験方法は、本発明のオレフィンブロックコポリマーを特徴付けるために使用され、米国特許第7,355,089号及び米国特許公開第2006/0199930号においてさらに詳細に説明されている。
【0022】
「標準的なCRYSTAF方法」または結晶化分析分別は、分岐分布を決定するために使用される。CRYSTAFは、PolymerChar(Valencia,Spain)から市販されているCRYSTAF 200ユニットを用いて決定される。このサンプルを、160℃で1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間溶解させ、95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外線検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積可溶性濃度は、温度を低下させながらポリマーが結晶化するまで測定する。累積プロファイルの分析微分係数は、ポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0023】
CRYSTAFピーク温度及び面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b,PolymerChar,Valencia,Spain)に含まれるピーク分析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク検出ルーチン(finding routine)は、ピーク温度をdW/dT曲線における最大値として特定し、微分曲線における特定されたピークの片側の最大の正の変曲間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を計算するために、好ましい処理パラメーターは、70℃の温度限界を有し、0.1の温度限界よりも高く、かつ0.3の温度限界未満の平滑化パラメーターである。
【0024】
「曲げ/割線弾性率/貯蔵弾性率」サンプルは、ASTM D1928を用いて圧縮成形する。曲げ弾性率及び2パーセントの割線弾性率は、ASTM D−790に従って測定される。貯蔵弾性率は、ASTM D5026−01または等価な技術に従って測定される。
【0025】
「メルトインデックス」またはIは、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。メルトインデックスまたはI10もまた、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定される。比較のための有用な値は、比I10/Iである。
【0026】
「DSC標準方法」または示差走査熱量測定の結果は、RCS冷却アクセサリー及びオートサンプラーを装備したTAIモデルQ1000 DSCを用いて決定する。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。このサンプルを薄フィルムにプレスして、約175℃で、プレス内で溶融し、次いで、室温(25℃)まで空気冷却する。次いで、3〜10mgの材料を、直径6mmのディスクに切断し、正確に秤量し、軽量アルミのパンに入れ(約50mg)、次いで圧着する。サンプルの熱挙動を、下記の温度プロファイルで調べる。サンプルを、180℃まで急速加熱し、等温で3分間保持して、いかなる以前の熱履歴をも除去する。次いで、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却及び第2の加熱曲線を記録する。
【0027】
DSC溶融ピークは、−30℃と融解終点との間にひいた直線のベースラインに関する熱流量(W/g)における最大値として測定される。融解熱は、直線のベースラインを用いて−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
【0028】
DSCの較正は、下記のように行われる。第一に、アルミニウムDSCパンの中にいかなるサンプルも入れないで、−90℃からDSCを稼働させることによって、ベースラインを得る。次いで、7ミリグラムの新しいインジウムサンプルを、サンプルを180℃まで加熱し、このサンプルを10℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、続いて、サンプルを140℃で1分間等温に保ち、続いて、サンプルを10℃/分の加熱速度で140℃から180℃に加熱することによって分析する。インジウムサンプルの融解熱(ΔH)及び溶融の開始を決定し、溶融の開始について156.6℃から0.5℃以内であること、及び融合について28.71J/gから0.5J/g以内であることを確認する。次いで、脱イオン水を、DSCパン内で小液滴の新しいサンプルを10℃/分の冷却速度で25℃から−30℃まで冷却することにより分析する。このサンプルを、−30℃で2分間等温に保ち、10℃/分の加熱速度で30℃まで加熱する。溶融の開始を決定し、0℃から0.5℃以内であることを確認する。
【0029】
2回目の走査で観測された融解熱(ΔH観測)を記録する。この観測された融解熱は、以下の式:
【0030】
【化1】
【0031】
によってOBCサンプルの重量に基づく重量パーセントでの結晶化度に関係付けられる。B.Wunderlich,Macromolecular Physics,Volume 3,Crystal Melting,Academic Press,New Your,1980に報告されているように、アイソタクチックポリプロピレンについての融解熱(ΔH理論的PE)は、292J/gのポリマーである。
【0032】
「GPC方法」は、分子量決定のためのゲル浸透クロマトグラフィーである。このシステムは、Polymer LaboratoriesモデルPL−210またはPolymer LaboratoriesモデルPL−220装置のいずれかで構成される。カラム及びカルーセルコンパートメントは、140℃で操作する。3つのPolymer Laboratories 10ミクロンMixed−Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製する。サンプルは、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製する。使用する注入体積は100マイクロリットルであり、流量は1.0ml/分である。
【0033】
GPCカラム設定の較正は、個々の分子量の間の少なくとも10個の分離を有する、6個の「カクテル」混合物中に配置された、580〜8,400,000の範囲内の分子量を有する21個の狭い分子量分布ポリスチレン標準物質で行われる。この標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製する。ポリスチレン標準物質は、80℃で、ゆっくり撹拌しながら30分間溶解させる。狭い標準物質混合物を最初に通し、分解を最低限に抑えるために最も高い分子量の成分から低いものへと順に通す。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されているように):Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)を用いて、ポリエチレン分子量に転換する。
【0034】
ポリエチレン換算分子量計算は、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を用いて行われる。
【0035】
「密度」測定サンプルは、ASTM D1928に従って調製される。測定は、ASTM D792、方法Bを用いてサンプルプレスの1時間以内に行う。
【0036】
「ATREF」は、分析的温度上昇溶離分別分析であり、米国特許第4,798,081号及びWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat,I.R.;Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers,J.Polym.Sci.,20,441−455(1982)(それらは参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される方法に従って実施される。分析すべき組成物をトリクロロベンゼン中に溶解させ、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を含有するカラム内で、0.1℃/分の冷却速度で温度を20℃までゆっくり下げることによって結晶化させる。このカラムには赤外検出器が装備される。溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20から120℃までゆっくり上昇させることによってカラムから結晶化したポリマーサンプルを溶離させることによって、ATREFクロマトグラム曲線を生じさせる。
【0037】
13C NMR分析」は、テトラクロロエタン−d/オルソジクロロベンゼンの50/50混合物約3gを、10mm NMRチューブ内の0.4gのサンプルを加えることによって調製する。チューブ及びその内容物を150℃に加熱することによってサンプルを溶解させ、均質化する。JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計またはVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を使用して、100.5MHzの13C共鳴周波数に相当するデータを収集する。6秒間のパルス反復遅延で、1データファイルあたり4000トランジェントを用いて、データを得る。定量分析のために最小の信号対ノイズを達成するために、多重データファイルを一緒に加える。スペクトル幅は、32Kデータポイントの最小ファイルサイズで25,000Hzである。サンプルを、130℃で10mm ブロードバンドプローブで分析する。コモノマーの取り込みは、Randallのトリアド方法(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Randall,J.C.;JMS−Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201−317(1989))を使用して決定される。
【0038】
「機械的特性−引張、ヒステリシス、及び引裂」、一軸張力での応力−歪み挙動は、ASTM D1708微小引張試験片を用いて測定される。サンプルを、インストロンにより、21℃で、500%分−1で延伸する。引張強度及び破断点での伸びを、5個の試験片の平均から報告する。
【0039】
100%及び300%のヒステリシスは、Instron(商標)装置によりASTM D1708微小引張試験片を用いて100%及び300%歪みに対するサイクル荷重から決定する。サンプルに、21℃で3サイクル、267%分−1で荷重を負荷及び除荷する。300%及び80℃でのサイクル実験を、環境チャンバを用いて行う。80℃での実験では、サンプルは、試験前に試験温度で45分間平衡化させる。21℃、300%歪みのサイクル実験では、第1の除荷のサイクルからの150%歪みでの収縮性応力を記録する。すべての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻る歪みを用いて第1の除荷サイクルから計算する。回復パーセントは、以下に規定される:
【0040】
【化2】
【0041】
式中、εは、サイクル荷重に対して測定された歪みであり、εは、1回目の除荷サイクルの間に荷重がベースラインに戻ったときの歪みである。
【0042】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーの「ブロック指数」は、ゼロを超え、かつ約1.0以下である平均ブロック指数(ABI)及び約1.3を超える分子量分布M/Mによって特徴付けられる。ABIは、20℃から110℃までの5℃の増分(とはいえ他の温度増分、例えば、1℃、2℃、10℃を使用することもできる)で予備的なTREF(昇温溶離分別によるポリマーの分別)で得られたポリマー画分のそれぞれについてのブロック指数(BI)の重量平均であって、
【0043】
【化3】
【0044】
式中、BIは、予備的なTREFで得られた本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分についてのブロック指数であり、wは、i番目の画分の重量パーセントである。同様に、ほぼ平均値の二次モーメントの平方根は、以下、二次モーメント重量平均ブロック指数と称され、以下のように定義することができる。
【0045】
【化4】
【0046】
式中、Nはゼロより大きいBIを有する画分の数として定義される。BIは、以下の2つの方程式(この両方とも同じBI値を与える)のうちの一方により定義される:
【0047】
【化5】
【0048】
式中、Tは、i番目の画分についてのATREF(分析的TREF)溶出温度(好ましくはケルビン単位で表される)であり、Pは、i番目の画分についてのエチレンモル分率であり、下述するように、NMRまたはIRによって測定することができる。PABは、エチレン/α−オレフィンインターポリマー全体(分別前)のエチレンモル分率であり、これもNMRまたはIRによって測定することができる。T及びPは、純粋な「ハードセグメント」(インターポリマーの結晶質セグメントを指す)についてのATREF溶出温度及びエチレンモル分率である。近似としてまたは「ハードセグメント」組成物の不明なポリマーについて、T及びP値は、高密度ポリエチレンホモポリマーの値に設定される。
【0049】
ABは、本発明のコポリマーと同じ組成(エチレンモル分率PABを有する)及び分子量のランダムコポリマーのATREF溶出温度である。TABは、エチレンのモル分率(NMRにより測定)から以下の式を用いて計算することができる:
Ln PAB=α/TAB+β
式中、α及びβは、2つの定数であり、これらは、広い組成のランダムコポリマーの十分特徴付けられた分取TREF画分及び/または狭い組成の十分特徴付けられたランダムエチレンコポリマーをいくつか用いる較正によって決定することができる。注目すべきは、α及びβが機器によって異なり得ることである。さらに、較正線を作成するために用いる分取TREF画分及び/またはランダムコポリマーに適切な分子量範囲及びコモノマー種を使用して、目的とするポリマー組成物に対して適切な較正曲線を作成する必要があり得る。わずかな分子量効果がある。較正曲線が類似した分子量範囲から得られる場合、そのような効果は、基本的に無視してよい。ランダムエチレンコポリマー及び/またはランダムコポリマーの分取TREF画分は、次の関係を満たす:
Ln P=−237.83/TATREF+0.639
上記の較正方程式は、狭い組成のランダムコポリマー及び/または広い組成のランダムコポリマーの分取TREF画分について、エチレンのモル分率、Pを、分析的TREF溶出温度、TATREFに関係付ける。TXOは、エチレンモル分率、Pを有する、同じ組成(すなわち、同じコモノマーの種類及び含有量)及び同じ分子量のランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、測定したPモル分率からLnPX=α/TXO+βにより計算することができる。逆に言えば、PXOは、同じ組成(すなわち、同じコモノマーの種類及び含有量)及び同じ分子量の、TのATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、Tの測定値を用いてLnPXO=α/T+βにより計算することができる。各分取TREF画分についてのブロック指数(BI)が得られると、ポリマー全体に対する重量平均ブロック指数ABIを計算することができる。ブロック指数の決定はまた、米国特許出願公開第2006−019930号にも記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
本発明のオレフィンブロックコポリマーは、ゼロを超え、かつ約1.0以下、好ましくは0.15〜0.8、より好ましくは0.2〜0.7、さらにより好ましくは0.4〜0.6であるブロック指数(平均化した重量)を有する。
【0051】
任意に、本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、さらなるポリマー、好ましくは実質的に線状のエチレンポリマー、線状エチレンポリマー、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリスチレン、ポリシクロエキシルエタン、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート等、エチレン/スチレンインターポリマー、シンジオタクチックPP、シンジオタクチックPS、エチレン/プロピレンコポリマー(EP)、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)、及びそれらの混合物をさらに含み得る(my further comprises)。最も好ましくは、本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、HDPEを含む。HDPEは、ペレット形態または好ましくは粉末形態であり得る。
【0052】
一実施形態において、さらなるポリマーは、100℃を超える融点を有する結晶性ポリオレフィンである。
【0053】
存在する場合、さらなるポリマーは、熱可塑性ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約1重量部以上、好ましくは約3重量部以上、より好ましくは約5重量部以上、最も好ましくは約7重量部以上の量で使用される。一般的に、さらなるポリマーは、熱可塑性ポリオレフィン組成物の重量に基づいて、約40重量部以下、好ましくは約20重量部以下、より好ましくは約15重量部以下、より好ましくは約10重量部以下、最も好ましくは約8重量部以下の量で使用される。
【0054】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、好ましくは、15g/10分以下、好ましくは14g/10分以下、より好ましくは12g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下のメルトインデックスI(190℃/2.16kg)を有する。本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、好ましくは、0.01g/10分以上、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2.5g/10分以上、より好ましくは5g/10/分以上のメルトインデックスIを有する。
【0055】
本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、好ましくは、100g/10分以下、好ましくは90g/10分以下、より好ましくは80g/10分以下、より好ましくは75g/10分以下のメルトインデックスI10(190℃/10kg)を有する。本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、好ましくは、1g/10分以上、好ましくは5g/10分以上、より好ましくは10g/10分以上、より好ましくは15g/10分以上、より好ましくは20g/10/分以上のメルトインデックスI10を有する。
【0056】
任意に、本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、炭酸カルシウム、タルク、粘土、雲母、珪灰石、中空ガラスビーズ、酸化チタン、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、またはチタン酸カリウム等の充填剤を含み得る。好ましい充填剤は、タルク、珪灰石、粘土、単層のカチオン交換層状シリケート物質、またはそれらの混合物である。タルク、珪灰石、及び粘土は、様々なポリマー樹脂について一般的に周知の充填剤である。例えば、米国特許第5,091,461号及び同第3,424,703号、欧州特許出願第639,613 A1号及び欧州特許第391,413号を参照されたく、これらの物質及びそれらのポリマー樹脂用充填剤としての適合性が概説されている。
【0057】
充填剤は、本発明に従うプロピレンポリマー組成物における靱性及び剛性の最適化された組み合わせを得るために使用され得る。存在する場合、充填剤は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも約1重量部、好ましくは少なくとも約3重量部、より好ましくは少なくとも約5重量部、なおより好ましくは少なくとも約10重量部、最も好ましくは少なくとも約15重量部の量で使用される。通常、組成物の全重量に基づいて、約50重量部以下、好ましくは約40重量部以下、より好ましくは約30重量部以下、より好ましくは約25重量部以下、より好ましくは約20重量部以下、最も好ましくは約15重量部以下の充填剤の量を使用することが十分であることが見出されている。
【0058】
本発明の特許請求する熱可塑性ポリオレフィン組成物はまた、この種の熱可塑性ポリオレフィン組成物において一般的に使用される1つ以上の添加剤を任意に含み得る。例えば、スリップ剤であり、好ましいスリップ剤は、飽和脂肪酸アミドもしくはエチレンビス(アミド)、不飽和脂肪酸アミドもしくはエチレンビス(アミド)、またはそれらの組み合わせである。他の任意の添加剤としては、発火抵抗添加剤(ignition resistant additives)、安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、離型剤、例えば、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム)、清澄剤を含む成核剤、可塑剤、例えば、パラフィン系オイルもしくは水素化鉱油等が含まれるが、これらに限定されない。添加剤の好ましい例は、発火抵抗添加剤であり、これには、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化炭酸オリゴマー、ハロゲン化ジグリシジルエーテル、有機リン化合物、フッ素化オレフィン、酸化アンチモン、及び芳香族硫黄の金属塩、またはこれらの混合物が使用され得るが、これらに限定されない。さらに、熱、光、酸素、またはこれらの組み合わせにより引き起こされるが、これらに限定されない分解に対してポリマー組成物を安定化させる化合物を使用してもよい。
【0059】
使用される場合、そのような添加剤は、組成物の全重量に基づいて、少なくとも約0.01重量部、好ましくは少なくとも約0.1重量部、より好ましくは少なくとも約1重量部、より好ましくは少なくとも約2重量部、最も好ましくは少なくとも約5重量部の量で存在し得る。一般的に、添加剤は、本組成物の全重量に基づいて、約25重量部以下、好ましくは約20重量部以下、より好ましくは約15重量部以下、より好ましくは約12重量部以下、最も好ましくは約10重量部以下の量で存在する。
【0060】
熱可塑性ポリオレフィン組成物の調製は、個々の成分を、反応器内で調製し、粉末−粉末混合、または好ましくは乾式混合し、続いて、溶融混合(例えば、バンバリーミキサー、押出機、ロールミル等を使用)することを含む、当該技術分野で周知の任意の好適な混合手段によって達成され得る。溶融混合された熱可塑性ポリオレフィンは、粉末に直接変換するか、またはまずペレットに小さくしてから粉砕して粉末にしてもよい。
【0061】
典型的には、本発明の固体の熱可塑性組成物は、バッグ、ゲイロード(gaylord)、大容量のビン、鉄道車両、及び/またはサイロからペレットまたはしばしば粉末の形態で入手可能である。本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、スラッシュ成形プロセスで使用するために、好ましくは周囲温度で、粉砕、磨砕、または練磨される。磨砕は、周囲の雰囲気、例えば、空気、または不活性雰囲気、例えば窒素等の下で行うことができる。さらに、磨砕は、周囲圧力下、正圧下、または負圧下で行うことができる。ペレットは、それらの大容量の貯蔵庫から供給ホッパーに搬送され、磨砕装置に供給され、しばしば、この供給が振動フィーダー等により促進される。例えば、アトリッションミル、ディスクミル、ターボミル、ピンミル、竪型ミル、リンレックスミル、ハンマーミル、円錐ミル、ボールミル、ロッドミル、カッティングミル、例えばWileyミル、パウダーグラインダー等を用いた、当該技術分野で周知の任意の好適な粉砕装置で適用可能である。これらのミルのいくつかについての良い説明については、米国特許出願公開第2004/0147680号を参照のこと。磨砕粒子、または粉末は、サイクロン、スクリーン、シフター、シーブ(sieves)、ロータリーゲート、またはそれらの組み合わせにより大きさごとに分けられる。必要に応じて、粗すぎる材料をホッパー、フィーダー、及び磨砕装置に再循環させる。粉末を、例えば、最終生成物ホッパー内に集め、そして、スラッシュ成形工程に直接使用するか、または適切な容器、例えば、バッグまたは大容量のビンに入れて包装する。
【0062】
本発明の固体の熱可塑性ポリオレフィン組成物の磨砕は、内部結合力に打ち勝つことにより構造体をばらばらにする機械力への曝露下で起こる。磨砕後、固体の状態は変化し、その粒度、その平均粒度、その粒度分布、及び/またはその粒子形状のうちの1つ以上により特徴付けることができる。本発明のスラッシュ成形工程において使用するための熱可塑性組成物は、好ましくは、約150ミクロン〜約500ミクロン、より好ましくは150〜420ミクロン、より好ましくは150ミクロン〜420ミクロンの粒度を有することにより特徴付けられる。好ましくは、粒子の85重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の85重量パーセントは、150ミクロン〜450ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の85重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も420ミクロンを超えない。好ましくは、粒子の90重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の90重量パーセントは、150ミクロン〜450ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の90重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も420ミクロンを超えない。好ましくは、粒子の95重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の95重量パーセントは、150ミクロン〜450ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、より好ましくは、粒子の95重量パーセントは、150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も420ミクロンを超えない。
【0063】
好ましくは、粒子の0〜10重量パーセントは、500ミクロン〜420ミクロンに収まり、50〜60重量パーセントは、300ミクロン〜420ミクロンに収まり、30〜40重量パーセントは、150ミクロン〜300ミクロンに収まり、0〜20重量パーセントは、150ミクロン未満である。好ましくは、いずれの粒子も500ミクロンを超えず、磨砕粒子は、約200ミクロン〜約425ミクロン、より好ましくは約250ミクロン〜約350ミクロン、なおより好ましくは約275ミクロン〜約325ミクロンの重量平均粒度を有する。
【0064】
好ましい粒度決定方法は、240秒で25gのサンプル、12インチのw.g.デルタPを用いた、200mmのAlpine Air−Jet Sieveである。
【0065】
好ましくは、本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物は、ASTM D1895に従って決定されるように、40秒/100グラム以下、より好ましくは35秒/100グラム以下、より好ましくは30秒/100グラム以下の乾式流量を有する。
【0066】
さらに、本発明の熱可塑性オレフィン組成物は、230℃で200Pa−s以上、好ましくは230℃で300Pa−s以上、より好ましくは230℃で700Pa−s以上のゼロせん断粘度を有する。本発明の熱可塑性オレフィン組成物は、230℃で1,200Pa−s以下、好ましくは230℃で1,100Pa−s以下のゼロせん断粘度を有する。好ましくは、ゼロせん断粘度は、Ares動的機械的分光計(TA Orchestratorソフトウェア、バージョン6.03)を用いて生じた複素粘度対せん断速度曲線によって決定される。せん断速度掃引は、0.1から100ラジアン/秒の範囲内で、5速度/10年、5%歪みで、190℃、210℃、230℃、及び250℃の4つの温度で行われる。対数(1/Eta)は、各温度でせん断応力に対してプロットし、より低いせん断速度範囲データに焦点を合わせる。せん断応力データは、せん断応力=周波数(ラジアン/秒)×Etaとして計算することができる。y切片は、ゼロせん断応力で対数(1/Eta)を得るために決定され、関連したEtaを計算する。この値が、その所定の温度でのゼロせん断粘度である。
【0067】
本発明の方法の成形工程は、スラッシュ成形プロセスである。スラッシュボックスの開いた上部に、自由流動性粉体として本発明の熱可塑性ポリオレフィン組成物を加える。所定の温度に加熱された金型を、スラッシュボックスの上部に固定する。次いで、スラッシュボックスを、必要に応じて何度も加熱された金型上に所望の厚さのフィルムを得るために必要に応じて何回でも360度回転させ、好ましくは少なくとも1回、より好ましくは2回、3回、4回、またはそれ以上回転させる。スラッシュボックスを、時計回り方向、反時計回り方向、またはこれらの組み合わせで回転させることができる。スラッシュボックスが最後の半回転(すなわち、逆さの位置)で望ましい長さの時間、例えば、5秒間、10秒間、15秒間、20秒間、25秒間、30秒間またはそれ以上保持し、次いで、元の位置に戻すことができる。このプロセスは、金型上に部分的または完全に溶融した粉末の層を提供する。余分な粉末は、もし存在する場合は取り除き、金型を必要に応じてさらに加熱して溶融を完了し、次いで、金型を適切な冷却手段により冷却してフィルムを形成し、そのフィルムを金型から剥がす。
【0068】
金型は、好ましくは、約180℃〜350℃、より好ましくは約200℃〜300℃、より好ましくは240℃〜280℃の温度に加熱される。加熱サイクル(均一な表皮材を形成するために、金型がこの高温で保持される時間)は、好ましくは、約2〜6分間である。これらの条件下で、本発明の組成物の粉末は溶融し、平らになり、均一な表皮材を形成する。加熱サイクルの後、金型及び均一な表皮材を冷却し、得られたフィルムまたはシートを金型から取り出す。
【0069】
本発明のスラッシュ成形プロセスは、自立材料としてまたは積層構造体の一部として有用であるフィルムまたはシートを生じる。このシートは、しぼパターンでエンボス加工され得る。そのようなエンボス加工されたシートは、優れたしぼ保持性を有するため、人工皮革用途で、及びインストルメントパネルの表皮及び自動車用のドアスキンでの具体的な用途がある。自動車用途としては、インストルメントパネル用の表皮材及び例えばドアパネル等の他の部位のための表皮材、ならびに他の人工皮革カバー等が挙げられる。シートの厚さは、0.1mm〜2mmの範囲内であり得る。
【0070】
実施例1及び4からのスラッシュ成形した表皮材の性能評価の結果を表3に提供し、表3中:
「爪擦り」耐性は、成形から24時間後、ABREX擦り試験機を用いて決定され、認識できる擦り傷がない最大力(N)の結果を記録し、
「臭気」は、VDA 270−C3に従って決定され、
「曇り」は、空調で16時間後のサンプルにおいてSAE J1756に従って決定され、試験は、100℃での加熱及び21℃での冷却で3時間行われ、結果をmgで報告する。
【表3】
以下に、本願発明に関連する発明の実施形態を例示する。
[実施形態1]
粉末形態のオレフィンブロックコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィン組成物であって、前記組成物が、75を超えるショアA硬度、−45℃未満のTg、DSCにより決定される場合に95℃を超える明瞭な溶融ピーク、230℃で1,200Pa−s以下のゼロせん断粘度、及び粒径分布を有し、前記粒子の85パーセントが150ミクロン〜420ミクロンに収まり、いずれの粒子も500ミクロンを超えない、熱可塑性ポリオレフィン組成物。
[実施形態2]
前記オレフィンブロックコポリマーが、1つ以上のハードセグメント及び1つ以上のソフトセグメントを含み、以下に記載される特徴:
(a)約1.7〜約3.5の重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn)、摂氏温度での少なくとも1つの溶融ピーク(Tm)、及びグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Tm及びdの数値は、以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)またはT>−6553.3+13735(d)−7051.7(d)に相当すること、または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ融解熱(ΔH)J/g、及び最も高い示差走査熱量測定(DSC)ピークと最も高い結晶化分析分別(CRYSTAF)ピークとの間の温度差として定義される摂氏温度でのデルタ量ΔTによって特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が、以下の関係:
ゼロを超え、かつ130J/g以下のΔHの場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
130J/gを超えるΔHの場合、ΔT≧48℃を有し、
前記CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度が30℃であること、または
(c)エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでのパーセント単位での弾性回復(Re)によって特徴付けられ、かつグラム/立方センチメートル(g/cc)単位での密度(d)を有し、Re及びdの数値は、エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まない場合に、以下の関係:Re>1481−1629(d)を満たすこと、または
(d)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分が量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上のモルコモノマー含有量を有することを特徴とし、式中、Tが、℃単位で測定される前記TREF画分のピーク溶出温度の数値であること、または
(e)25℃での貯蔵弾性率(G’(25℃))及び100℃での貯蔵弾性率(G’(100℃))を有し、G’(25℃)とG’(100℃)との比率が、約1:1〜約9:1の範囲内であること、または
(f)TREFを用いて分画された場合に、40℃〜130℃で溶出する分子画分を有し、前記画分が少なくとも0.5かつ約1以下のブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とすること、または
(g)ゼロを超え、かつ約1.0以下の平均ブロック指数及び約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有すること、のうちの1つ以上を特徴とする、実施形態1に記載の熱可塑性ポリオレフィン組成物。
[実施形態3]
高密度ポリエチレン(HDPE)をさらに含む、実施形態1に記載の熱可塑性ポリオレフィン組成物。
[実施形態4]
前記熱可塑性ポリオレフィン組成物を、前記オレフィンブロックコポリマーの明瞭な融点よりも5℃以下低い温度で粉砕することによって得られることを特徴とする、実施形態1に記載の熱可塑性ポリオレフィン組成物。
[実施形態5]
(a)前記組成物を粉末に形成するステップと、
(b)前記粉末をスラッシュ成形または回転成形して、表皮材にするステップと、を含む、実施形態1または3に記載の組成物を用いた表皮材の生成のためのプロセス。
[実施形態6]
(a)前記組成物を粉末に形成するステップが、前記オレフィンブロックコポリマーの明瞭な融点よりも5℃以下低い温度で行われる、実施形態5に記載のプロセス。
[実施形態7]
実施形態1または3に記載の組成物を含む、スラッシュ成形または回転成形された表皮材。
[実施形態8]
インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッドトリム、エアバックカバー、シートバックル、ヘッドライナー、グローブボックス、ステアリングホイールカバー、中空品、トラフィックコーン、タンクブラダー、ガスケット、ボートバンパー、ボール、玩具、釣用ルアー、医療用電球、マネキン、ランプの基部、ブーツ、マット、発泡物品、布、グローブ、テープ、コンベヤベルト、屋外用家具用ウェビング、防水布、テント、窓用ブラインド、壁紙、捺染物、金属物品、ツールハンドル、ワイヤーバスケット、またはブラケット用である、実施形態7に記載の成形された表皮材。
【0071】
本発明に従う成形された物品は、以下の様々な分野で有用な製品である:(i)自動車の分野で、例えば、様々な自動車部品、例えば、内装カバー材、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム、リアパネル、ピラートリム、サンバイザー、トランクルームトリム、トランクリッドトリム、エアバッグカバー、シートバックル、ヘッドライナー、グローブボックス、及びステアリングホイールカバーの内装カバー材、内装成形品、例えば、キッキングプレート及びチェンジレバーブーツ、外装部品、例えば、スポイラー、サイドモール、ナンバープレートハウジング、ミラーハウジング、エアダムスカート、及び泥よけ、ならびに自動車部品の他の成形品、(ii)スポーツ用品分野で、運動靴の装飾部品、ラケットのグリップ、各種球技のスポーツ用具及び用品、自転車のサドル及びハンドルバーグリップの被覆材、オートバイ、釣用ルアー、ボール、及び三輪車等、(iii)住宅及び建築分野で、家具、机、椅子等の被覆材、ゲート、ドア、フェンス等の被覆材、壁装飾材、カーテンウォールの被覆材、台所、洗面所、トイレ等の屋内床材、ベランダ、テラス、バルコニー、カーポート等の屋外床材、カーペット、例えば、フロントドアまたはエントランスマット、テーブルクロス、コースター、灰皿ドイリー、(iv)産業部品分野で、電動工具用のグリップ及びホース等、及びそれらの被覆材、ならびに(v)他の分野で、バッグ、ブリーフケース、ケース、ファイル、ポケットブック、アルバム、事務用品、カメラ本体、人形、及び他の玩具、中空品、トラフィックコーン、タンクブラダー、ガスケット、ボートバンパー、医療用電球、マネキン、ランプの基部、ブーツ、マット、発泡物品、布、グローブ、テープ、コンベヤベルト、屋外用家具用ウェビング、ターポリン、テント、ブラインド、壁紙、装飾、または強化グリップ用途用の捺染物、ツールハンドル、ワイヤーバスケット、ブラケット等の金属物品のためのコーティング、ならびに成形品、例えば、時計バンド、絵画、または写真の外枠及びそれらの被覆材。
【0072】
本発明の別の実施形態は、本発明の熱可塑性ポリオレフィンを含む成形された表皮材と、フォーム、好ましくはポリウレタン(PU)フォームとの間の粘着力を改善するための熱可塑性ポリオレフィンの表面を改質するプロセスである。熱可塑性ポリオレフィン表皮材とPUフォームとの間の粘着力は、ポリオレフィン表皮材の表面モルホロジーを変化させること、すなわち、(表面エネルギーを増加させること)によって、及び/または極性基を導入することによる熱可塑性ポリオレフィン表皮材表面の化学的修飾等の接着促進剤の使用によって改善し得る。スラッシュ成形前に、熱可塑性ポリオレフィン粉末の表面官能化(surface fictionalization)による好ましい化学的修飾は、大気中のプラズマ処理によって達成され得る。この粉末は、表面上にシリカ粒子/パッチを溶着させる窒素ガスプラズマに噴霧することができるシリカを形成する化合物、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APEO)または同等物、及びNH、CO、HO、水酸化アリル、ヒドロキシエチルアクリレート、または希ガスHeもしくはArを伴う組み合わせの導入により同時に誘導されるアミン、アミド、ヒドロキシル、またはカルボン酸官能基で官能基化される。これにより、第一に、流動性及び可溶性を改善する粉末の非粘性、そして、第二に、選択された官能基により誘導された増大した表面エネルギーを提供する。
【実施例】
【0073】
実施例1〜5の組成物は、15種のローターを有する4インチのFCM逆回転の非交差式ローターミキサー上に溶融混合される。OCBペレット、黒色濃縮物ペレット、及びHDPEペレット(存在する場合)をミキサーに別々に供給した。溶融温度を177℃未満に維持する。ミキサー条件は、600RPM、開口幅1インチ、90のパーセントアンペアである。押出条件は、54RPM及び上部圧力1950psigである。速度は、960ポンド/時である。
【0074】
配合された熱可塑性ポリオレフィン組成物は、6つのデックシフターを有する直立型の28インチのカッティングAFGミル上で磨砕され、運搬システムには、温度を±2℃に制御するように排気ダンパーを有する。トッププレートは、固定され、水で冷却し、下部の回転プレートは、空気で冷却される。固定ディスクは、ギャップ調整のために動かすことができ、0.6インチで設定される。粉砕速度は、100kg/時であり、温度は、90℃〜94℃で保持される。
【0075】
実施例1〜5における熱可塑性ポリオレフィン組成物及び特性は、表1に要約されており、表1において、
【0076】
「OBC−1」は、5g/10分のメルトインデックスI(190℃/2.16kg)、35g/10分のメルトインデックスI10(190℃/10kg)、0.887g/ccの密度、33パーセントのハードセグメント、−54℃のT、DSCによって決定される120℃の溶融ピーク、25パーセントの結晶化度、73J/gの融解熱、及び85のショアA硬度を有するペレット形態のエチレン−オクテンブロックコポリマーである。
【0077】
「OBC−2」は、15g/10分のメルトインデックスI(190℃/2.16kg)、105g/10分のメルトインデックスI10(190℃/10kg)、0.877g/ccの密度、−54℃のT、119℃の溶融ピーク、18パーセントの結晶化度、22パーセントのハードセグメント、54J/gの融解熱、及び75のショアA硬度を有するペレット形態のエチレン−オクテンブロックコポリマーである。
【0078】
「HDPE−1」は、0.953g/ccの密度、25g/10分のメルトインデックスI、及び65のショアD硬度を有するペレット形態の高密度ポリエチレンである。
【0079】
「HDPE−2」は、0.954g/ccの密度、20g/10分のメルトインデックスI、及び57のショアD硬度を有するペレット形態の高密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical CompanyからHDPE DMDA−8920として入手可能である。
【0080】
「HDPE−3」は、0.962g/ccの密度、3.2g/10分のメルトインデックスI、ASTM 1921に従って決定される100〜160ミクロンのD50、140〜225ミクロンのD90を有する粉末形態の高密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical CompanyからHDPE 96002Eとして入手可能である。
【0081】
ペレット形態の「Black Color」は、線状の低密度ポリエチレン担体、滑剤、熱安定剤、及び紫外線安定剤において、チャコールブラックを含む色濃縮物であり、Americhem,Inc.からコード5B8Aとして入手可能である。
【0082】
「ショアA硬度」は、ASTM D 2240に従って決定される。
【0083】
「密度」は、ASTM 792に従って決定され、グラム毎立方センチメートル(g/cc)として報告される。
【0084】
「ゼロせん断粘度」は、Ares動的機械的分光計(TA Orchestratorソフトウェア、バージョン6.03)を用いて生じた複素粘度対せん断速度曲線によって決定される。せん断速度掃引は、0.1から100ラジアン/秒の範囲内で、5速度/10年、5%歪みで、190℃、210℃、230℃、及び250℃の4つの温度で行われる。対数(1/Eta)は、各温度でせん断応力に対してプロットし、より低いせん断速度範囲データに焦点を合わせる。せん断応力データは、せん断応力=周波数(ラジアン/秒)×Etaとして計算することができる。y切片は、ゼロせん断応力で対数(1/Eta)を得るために決定され、関連したEtaを計算する。この値が、その所定の温度でのゼロせん断粘度である。
【0085】
「Tm」は、溶融ピークであり、上記のDSC方法に従って決定される。
【0086】
「融解熱」は、上記のDSC方法に従って決定される。
【0087】
「メルトインデックス」は、ASTM D 1238に従って決定され、別途示されない限り、190℃/2.16kgのIの条件下で決定され、グラム/10分(g/10分)として報告される。
【0088】
「引裂強度」は、50mm/分で、切断のない角度で、ISO34、方法B、手順Aに従って決定される。
【0089】
「引張」特性は、非老化及び老化のサンプルにおいて、500mm/分で、ISO 37 タイプ1に従って決定され、老化のサンプルは、120℃で1000時間加熱される。
【0090】
「粒度」は、240秒間、25gのサンプルにおいて、200mmのAlpine Air−Jet Sieveを用いて、12w.g.ΔPにより決定される。
【0091】
【表1】
【0092】
実施例1及び4の組成物は、市販の自動車のインストルメントパネルの表皮材におけるスラッシュ成形の評価のために拡大する。OCBペレット、黒色濃縮物ペレット、及びHDPE粉末(存在する場合)は、100mmのねじ直径、22のL/D、及び200〜400kg/時のスループットを有する逆回転2軸押出機を用いて、140℃〜170℃で溶融混合される。その押し出された複合混合物は、上述のように粉砕される。
【0093】
表2中:
ASTM D1895に従う「乾式流量」漏斗法を用いて、100gの粉末が流動する時間を決定する。
【0094】
【表2】
【0095】
実施例1及び4は、電鋳金型を用いて自動車のインストルメントパネルの表皮材にスラッシュ成形する。この金型を予熱し、ポリオレフィン熱可塑性組成物を含有するスラッシュボックスを付着させ、ボックスを回転させ、粉末をゲル化し、金型を冷却し、ボックスを取り外し、表皮材を金型から取り出す。この金型を、260秒間350℃に予熱し、コーティング前の金型温度を120秒間250℃まで低下させ、スラッシュボックスは、250℃で3回、それぞれ40秒間回転させ、最終回転後、表皮材を30秒間230℃でゲル化させて、水温65℃で、金型を冷却して、ボックスを取り外し、60秒後、表皮材を取り出した。
【0096】
実施例1及び4からのスラッシュ成形した表皮材の性能評価の結果を表3に提供し、表3中:
「爪擦り」耐性は、成形から24時間後、ABREX擦り試験機を用いて決定され、認識できる擦り傷がない最大力(N)の結果を記録し、
「臭気」は、VDA 270−C3に従って決定され、
「曇り」は、空調で16時間後のサンプルにおいてSAE J1756に従って決定され、試験は、100℃での加熱及び21℃での冷却で3時間行われ、結果をmgで報告する。
【0097】
【表3】