(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記8個の衝撃センサによって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、前記第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に前記8個の衝撃センサの何れもが前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知しなかった場合、前記面衝撃判定部は、前記第1回目の衝撃が前記梱包体を構成する何れかの面に付与された面衝撃であると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の梱包体衝撃検出装置。
前記8個の衝撃センサによって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、前記第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に前記8個の衝撃センサのうち7個の衝撃センサによって前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知した場合、前記面衝撃判定部は、前記第1回目の衝撃が前記梱包体を構成する何れかの角に付与された角衝撃であると判定し、
前記8個の衝撃センサによって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、前記第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に前記7個の衝撃センサのうち6個の衝撃センサによって前記第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知した場合、前記面衝撃判定部は、前記第1回目の衝撃が前記梱包体を構成する何れかの稜に付与された稜衝撃であると判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の梱包体衝撃検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の梱包体衝撃検出装置の適用例を示す図である。
【0020】
図1において、梱包体衝撃検出装置1は、梱包体10の側面に取り付けられている。なお、取り付けられる位置は、上面でもよい。
【0021】
梱包体10は、直方体形状の箱部材であり、段ボールなどの紙から形成されており、不図示の精密機器等の被梱包物を収容する。梱包体10は、被梱包物に加わる振動、衝突または落下等による衝撃から被梱包物を保護する。梱包体10は、4枚の側壁部材、それぞれの側壁部材の上端に一体的に設けられた4枚の蓋片部材、それぞれの側壁部材の下端に一体的に設けられた4枚の底片部材を有して形成されている。梱包体10の上面開口は、蓋片部材により開閉自在に形成される。また、梱包体10の下面開口は、底片部材により開閉自在に形成される。
図1においては、上面開口は開かれた状態が示され、下面開口は閉じられた状態が示されている。梱包体10の8箇所の角部には、衝撃センサ2が取り付けられている。梱包体衝撃検出装置1と8個の衝撃センサ2は、無線または有線により通信可能に接続されている。
【0022】
衝撃センサ2は、速度の時間変化率すなわち単位時間あたりの速度の変化である加速度を検出する。そして、衝撃センサ2は、加速度を検出することにより出力信号を出力するように構成されている。
衝撃センサ2は、例えば、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサである。梱包体10に取り付けられた衝撃センサ2は、梱包体10が地面に落下するような大きな加速度が非常に短い時間に発生する場合、すなわち、衝撃を受けたことによって発生する加速度を検出する。
【0023】
図2は、本実施の形態の梱包体衝撃検出装置の外観を示す図である。
図2において、梱包体衝撃検出装置1は、内部に不図示の制御部を備え、表示部13Aおよびスピーカ13Bの何れか1つまたは双方を備える。梱包体衝撃検出装置1は、梱包体10の輸送等の際に邪魔にならないように、本体筐体が薄型の板状に形成されている。
【0024】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、Flash Disk、通信インタフェースおよび入出力インタフェースを備え、各々がバスを介して接続されている。なお、制御部は、コンピュータの一例でもある。
【0025】
CPUは、梱包体衝撃検出装置1の全体動作を制御する。RAMは、CPUによって実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部を一時的に格納する。また、RAMは、CPUによる処理に必要な各種データを格納する。Flash Diskは、OSやアプリケーションプログラムを格納する。通信インタフェースは、衝撃センサ2との間でデータの送受信を行う。出力インタフェースは、表示部13Aまたはスピーカ13Bにデータを送信する。
【0026】
表示部13Aは、文字、図形等で構成されたメッセージ情報を出力する。スピーカ13Bは、メッセージ情報を音声等で出力する。
【0027】
図3は、本実施の形態の梱包体衝撃検出装置の機能ブロック図である。
図3において、梱包体衝撃検出装置1は、複数の衝撃センサ2、例えば8個の衝撃センサ2と、無線または有線により通信可能に接続されている。梱包体衝撃検出装置1は、衝撃値取得部11、面衝撃判定部12および衝撃検知出力部13を備え、被梱包物を梱包する梱包体10に付与された衝撃を検出する。
【0028】
衝撃値取得部11は、梱包体10に付与された衝撃による衝撃値を梱包体10に取り付けられた複数の衝撃センサ2から取得する。例えば、複数の衝撃センサ2は、直方体形状の角部に取り付けられた8個の衝撃センサ2である。8個の衝撃センサ2の各々は、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサであり、所定の値以上の加速度の時間変化を検出すると衝撃値を出力する。
【0029】
面衝撃判定部12は、衝撃値取得部11によって取得された衝撃値に基づいて、梱包体10に付与された衝撃が梱包体10を構成する何れかの面に付与された面衝撃であるか否かを判定する。例えば、面衝撃判定部12は、8個の衝撃センサ2の各々が所定時間経過中に出力する衝撃値に基づいて、面衝撃であるか否かを判定する。より具体的には、8個の衝撃センサ2によって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に8個の衝撃センサ2の何れもが第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知しなかった場合、面衝撃判定部12は、第1回目の衝撃が梱包体10を構成する何れかの面に付与された面衝撃であると判定する。また、8個の衝撃センサ2によって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に8個の衝撃センサ2のうち7個の衝撃センサ2によって第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知した場合、面衝撃判定部12は、第1回目の衝撃が梱包体10を構成する何れかの角に付与された角衝撃であると判定する。8個の衝撃センサ2によって第1の閾値以上の大きさの第1回目の衝撃を検知し、第1回目の衝撃の検知から所定時間経過後に7個の衝撃センサ2のうち6個の衝撃センサ2によって第1の閾値より小さい第2の閾値以上の大きさの第2回目の衝撃を検知した場合、面衝撃判定部12は、第1回目の衝撃が梱包体10を構成する何れかの稜に付与された稜衝撃であると判定する。
【0030】
衝撃検知出力部13は、面衝撃判定部12によって面衝撃が付与されたことを示す衝撃検知情報を出力する。衝撃検知出力部13は、
図2に示した表示部13Aまたはスピーカ13Bに対応する。
【0031】
次に、上述の梱包体衝撃検出装置1が実行する梱包体衝撃検出処理の流れを説明する。
なお、以下の説明を分かり易くするために、梱包体10は直方体形状の箱部材であるとする。そして、衝撃センサ2は梱包体10の8箇所の角部に取り付けられている。8個の衝撃センサ2は、
図1に示すように、底片部材と側壁部材の接合部分の角部を、上方から見て時計回り(右回り)で順にS1、S2、S3、S4として区別し、蓋片部材と側壁部材の接合部分の角部を、S1の上部がS5、S2の上部がS6、S3の上部がS7、S4の上部がS8として区別する。
【0032】
図4は、本実施の形態の梱包体衝撃検出処理の流れを示すフローチャートである。
梱包体衝撃検出装置1は、梱包体10に取り付けられ、不図示の電源スイッチまたはリセットボタンを押すことにより、梱包体衝撃検出処理の実行を開始する。
【0033】
まず、梱包体衝撃検出装置1のCPUは、ステップS401において、8個の衝撃センサ2(S1乃至S8)から第1回目の衝撃を検出したか否かを判断する。衝撃センサ2が検出する衝撃とは、上述したように、大きな加速度が非常に短い時間に発生する場合の加速度である。自由落下による衝撃では、物が床や地面等にぶつかってから止まるまでの速度の変化(加速度)を、重力加速度9.8(m/s
2)で除算する。この除算結果を衝撃値(単位:G)として定義する。ぶつかる直前の速度をV(m/s)、ぶつかってから止まるまでの時間をt(s)とすると、衝撃値=(V−0)/(t×9.8)で算出することができる。例えば、1(m)の位置から自由落下させた場合、ぶつかってから止まるまでの時間を0.01(s)とすると、衝撃値=((2×9.8×1)
1/2−0)/(0.01×9.8)=45.175…(G)が算出される。
【0034】
したがって、8個の衝撃センサ2のそれぞれから、例えば10(G)以上の衝撃値が出力された場合に、ステップS401で第1回目の衝撃が検出されたと判断する。
【0035】
第1回目の衝撃が検出されたと判断されない場合(ステップS401:NO)、8個の衝撃センサ2から第1回目の衝撃を検出するまで待機する。
【0036】
他方、第1回目の衝撃が検出された場合(ステップS401:YES)、CPUは、ステップS402において、衝撃センサ2から2回目の衝撃を検出したか否かを判断する。第2回目の衝撃を検知したか否かは、第1回目の衝撃の検知から所定時間内に、例えば0.1(s)後から0.5(s)までの間に、衝撃センサ2から、例えば5(G)以上の衝撃値が出力されたか否かにより判断する。
【0037】
第1回目の衝撃から所定時間(例えば、0.5(s))経過しても第2回目の衝撃が検出されたと判断されない場合(ステップS402:NO)、ステップS401で検出された第1回目の衝撃が、梱包体10を構成する何れかの面に付与された面衝撃であると判定する。
【0038】
図5は、梱包体が面から落下した場合の態様を説明するための図であり、
図6は、梱包体が面から落下した場合の各衝撃センサが検出する衝撃の推移の例を示す図である。
図6に示したグラフは、横軸が経過時間(s)で、縦軸が衝撃値(G)である。S1乃至S8は、梱包体10の8箇所の角部に取り付けられた衝撃センサ2である。
図6においては、検出された第1回目の衝撃が経過時間0(s)の位置に示されている。
【0039】
図5に示すように、直方体形状の箱部材である梱包体10は、6面の何れかの面から地面等に落下することがある。このような場合、落下の衝撃で8個の衝撃センサ2は、
図6に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。しかし、落下面全体で落下による圧力を吸収し、僅かにバウンドはするものの、その後は大きな衝撃を検出することはない。したがって、衝撃の検出が1回の場合は、第1回目の衝撃が面衝撃であると判断することができる。
【0040】
そして、CPUは、ステップS403において、表示部13Aまたはスピーカ13Bの何れかまたは双方から、梱包体10に面衝撃が付与されたことを示す衝撃検知情報を出力する。例えば、「お荷物が面落下しました。箱に大きな破損は見られないかもしれませんが、内容物が破損している可能性があります。」というようなメッセージ(面落下情報)を出力する。衝撃検知情報を出力すると、梱包体衝撃検出処理は終了する。なお、リセットボタンが押されることにより、再度梱包体衝撃検出処理の実行が開始される。
【0041】
他方、ステップS402で第2回目の衝撃が検出されたと判断された場合(ステップS402:YES)、CPUは、ステップS404において、衝撃センサ2から第3回目の衝撃を検出したか否かを判断する。第3回目の衝撃を検知したか否かは、第2回目の衝撃の検知から所定時間内に、例えば0.1(s)後から0.5(s)までの間に、衝撃センサ2から、例えば5(G)以上の衝撃値が出力されたか否かにより判断する。
【0042】
第2回目の衝撃から所定時間経過後に第3回目の衝撃が検出されたと判断された場合(ステップS404:YES)、ステップS401で検出された第1回目の衝撃が、梱包体10を構成する何れかの角に付与された角衝撃であると判定する。衝撃センサ2が3回の衝撃を検出するのは、第1回目に梱包体10の角から落下し、第2回目にその角を中心にして転倒することで隣接する角との間の稜が接地し、3回目にその稜を中心にして転倒することで面が接地するからである。すなわち、第2回目および第3回目の衝撃は、自然落下ではなく、転倒による衝撃となる。
【0043】
図7は、梱包体が角から落下した場合の態様を説明するための図である。
図8は、梱包体が角から落下した場合の各衝撃センサが検出する衝撃の推移の例(その1)を示す図である。
図8に示したグラフは、横軸が経過時間(s)で、縦軸が衝撃値(G)である。S1乃至S8は、梱包体10の8箇所の角部に取り付けられた衝撃センサ2である。
図8においては、検出された第1回目の衝撃が経過時間0(s)の位置に示され、検出された第2回目の衝撃が経過時間0.2(s)の位置に示され、検出された第3回目の衝撃が経過時間0.4(s)の位置に示されている。
【0044】
図7に示すように、直方体形状の箱部材である梱包体10は、8箇所の角の何れかの角から地面等に落下することがある。
図8に示した例は、例えば、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角から落下した場合の例である。このような場合、第1回目の落下の衝撃では、面落下の場合と同様、8個の衝撃センサ2は、
図8に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。
【0045】
そして、梱包体10は、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角を中心にして転倒する。
図8は、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角を中心にして、S2の衝撃センサ2が取り付けられた角との間の稜が接地するように転倒した場合を例示している。すると、S1の衝撃センサ2を除くS2乃至S7の7個の衝撃センサ2は、
図8の経過時間0.2(s)の位置に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。第2回目の衝撃は、第1回目の衝撃より小さい。また、S3およびS7の衝撃センサ2が出力する衝撃値は、S2、S4乃至S6、S8の衝撃センサ2が出力する衝撃値よりも大きい。これは、S3およびS7の衝撃センサ2が取り付けられた角が、S2、S4乃至S6、S8の衝撃センサ2が取り付けられた角よりも、S1の衝撃センサ2が取り付けられている角から遠い距離に位置するので、地面等にぶつかる直前の速度が速いからである。
【0046】
更に、梱包体10は、S1およびS2の衝撃センサ2が取り付けられた角の間の稜を中心にして転倒する。すると、S1およびS2の衝撃センサ2を除くS3乃至S7の6個の衝撃センサ2は、
図8の経過時間0.4(s)の位置に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。第3回目の衝撃は、第1回目の衝撃より小さいが、第2回目の衝撃よりも大きい場合もあるし小さい場合もある。これは、梱包体10の形状に起因する。また、S3、S4、S7、S8の衝撃センサ2が出力する衝撃値は、S5、S6の衝撃センサ2が出力する衝撃値よりも大きい。これは、S3、S4、S7、S8の衝撃センサ2が取り付けられた角が、S5、S6の衝撃センサ2が取り付けられた角よりも、S1およびS2の衝撃センサ2が取り付けられている角の間の稜から遠い距離に位置するので、地面等にぶつかる直前の速度が速いからである。
【0047】
転倒の中心となる角以外の角が、転倒でぶつかる直前の速度は、梱包体10の形状、重心の位置等によっても異なる。自然落下よりも速度が速くなることも遅くなることもあるが、1辺が1(m)前後、または1(m)にも満たないような梱包体10では、自然落下よりも速度は遅いのが通常である。仮に自然落下と同じであると仮定したとしても、例えば、30(cm)の高さから転倒した場合、ぶつかる直前の速度V=(2×9.8×0.3)
1/2となる。そして、ぶつかってから止まるまでの時間を0.01(s)とすると、衝撃値=((2×9.8×0.3)
1/2−0)/(0.01×9.8)=24.743…(G)が算出される。例えば10(G)以上の衝撃値が出力された場合に、ステップS402では第2回目の衝撃が検出されたと判断し、ステップS404では第3回目の衝撃が検出されたと判断する。したがって、衝撃の検出が3回の場合は、第1回目の衝撃が角衝撃であると判断することができる。
【0048】
そして、CPUは、ステップS405において、表示部13Aまたはスピーカ13Bの何れかまたは双方から、梱包体10に角衝撃が付与されたことを示す衝撃検知情報を出力する。例えば、「お荷物が角落下しました。内容物が破損している可能性があります。」というようなメッセージ(角落下情報)を出力する。衝撃検知情報を出力すると、梱包体衝撃検出処理は終了する。なお、リセットボタンが押されることにより、再度梱包体衝撃検出処理の実行が開始される。
【0049】
他方、ステップS404で第3回目の衝撃が検出されたと判断されなかった場合(ステップS404:NO)、すなわち、衝撃の検出が2回であった場合、CPUは、ステップS406において、第2回目の衝撃が6個の衝撃センサ2で検出されたか否か(7個の衝撃センサ2で検出されたか)を判断する。衝撃センサ2が2回の衝撃を検出するのは、以下の2つの態様が考えられる。
【0050】
1つ目は、第1回目に梱包体10の角から落下し、第2回目にその角を含む面で一気に接地する場合である。2つ目は、第1回目に梱包体10の稜から落下し、第2回目にその稜を含む面で接地する場合である。前者は、角を中心に転倒するので、第2回目の衝撃では7個の衝撃センサ2が衝撃値を出力する。後者は、稜を中心に転倒するので、第2回目の衝撃では6個の衝撃センサ2が衝撃値を出力する。
【0051】
図9は、梱包体が角から落下した場合の各衝撃センサが検出する衝撃の推移の例(その2)を示す図である。
図9に示したグラフは、横軸が経過時間(s)で、縦軸が衝撃値(G)である。S1乃至S8は、梱包体10の8箇所の角部に取り付けられた衝撃センサ2である。
図9においては、検出された第1回目の衝撃が経過時間0(s)の位置に示され、検出された第2回目の衝撃が経過時間0.2(s)の位置に示されている。
【0052】
図9に示した例は、例えば、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角から落下した場合の例である。このような場合、第1回目の落下の衝撃では、面落下の場合と同様、8個の衝撃センサ2は、
図8に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。
【0053】
そして、梱包体10は、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角を中心にして転倒する。
図9は、S1の衝撃センサ2が取り付けられた角を中心にして、S2、S3、S4の衝撃センサ2が取り付けられた角で構成される面が接地するように転倒した場合を例示している。すると、S1の衝撃センサ2を除くS2乃至S7の7個の衝撃センサ2は、
図8の経過時間0.2(s)の位置に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。第2回目の衝撃は、第1回目の衝撃より小さい。また、S3およびS7の衝撃センサ2が出力する衝撃値は、S2、S4乃至S6、S8の衝撃センサ2が出力する衝撃値よりも大きい。これは、S3およびS7の衝撃センサ2が取り付けられた角が、S2、S4乃至S6、S8の衝撃センサ2が取り付けられた角よりも、S1の衝撃センサ2が取り付けられている角から遠い距離に位置するので、地面等にぶつかる直前の速度が速いからである。したがって、上述のような場合も、第1回目の衝撃が角衝撃であると判断することができる。すなわち、ステップS406で第2回目の衝撃が6個の衝撃センサ2で検出されたと判断されなかった場合(ステップS406:NO)、換言すれば、第2回目の衝撃が7個の衝撃センサ2で検出された場合(上述の1つ目の態様に相当)、CPUは、ステップS405において、表示部13Aまたはスピーカ13Bの何れかまたは双方から、梱包体10に角衝撃が付与されたことを示す衝撃検知情報を出力する。
【0054】
他方、ステップS406で第2回目の衝撃が6個の衝撃センサ2で検出されたと判断された場合(ステップS406:YES)(上述の2つ目の態様に相当)、ステップS401で検出された第1回目の衝撃が、梱包体10を構成する何れかの稜に付与された稜衝撃であると判定する。
【0055】
図10は、梱包体が稜から落下した場合の態様を説明するための図である。
図11は、梱包体が稜から落下した場合の各衝撃センサが検出する衝撃の推移の例を示す図である。
図11に示したグラフは、横軸が経過時間(s)で、縦軸が衝撃値(G)である。S1乃至S8は、梱包体10の8箇所の角部に取り付けられた衝撃センサ2である。
図11においては、検出された第1回目の衝撃が経過時間0(s)の位置に示され、検出された第2回目の衝撃が経過時間0.2(s)の位置に示されている。
【0056】
図10に示すように、直方体形状の箱部材である梱包体10は、8箇所の稜の何れかの稜から地面等に落下することがある。
図11に示した例は、例えば、S1およびS2の衝撃センサ2が取り付けられた稜から落下した場合の例である。このような場合、第1回目の落下の衝撃では、面落下や角落下の場合と同様、8個の衝撃センサ2は、
図11に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。
【0057】
そして、梱包体10は、S1とS2の衝撃センサ2が取り付けられた角の間の稜を中心にして転倒する。
図11は、S1とS2の衝撃センサ2が取り付けられた角の間の稜を中心にして転倒することで面が接地するように転倒した場合を例示している。すると、S1およびS2の衝撃センサ2を除くS3乃至S7の6個の衝撃センサ2は、
図11の経過時間0.2(s)の位置に示すように、ほぼ同時に所定の大きさ以上の衝撃を検出する。第2回目の衝撃は、第1回目の衝撃より小さい。また、S3、S4、S7、S8の衝撃センサ2が出力する衝撃値は、S5、S6の衝撃センサ2が出力する衝撃値よりも大きい。これは、S3、S4、S7、S8の衝撃センサ2が取り付けられた角が、S5、S6の衝撃センサ2が取り付けられた角よりも、S1およびS2の衝撃センサ2が取り付けられている角の間の稜から遠い距離に位置するので、地面等にぶつかる直前の速度が速いからである。したがって、上述のような場合は、第1回目の衝撃が稜衝撃であると判断することができる。
【0058】
そして、CPUは、ステップS407において、表示部13Aまたはスピーカ13Bの何れかまたは双方から、梱包体10に稜衝撃が付与されたことを示す衝撃検知情報を出力する。例えば、「お荷物が稜落下しました。内容物が破損している可能性があります。」というようなメッセージ(稜落下情報)を出力する。衝撃検知情報を出力すると、梱包体衝撃検出処理は終了する。なお、リセットボタンが押されることにより、再度梱包体衝撃検出処理の実行が開始される。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、上述してきた本発明の実施の形態は、梱包体衝撃検出装置の一機能としてハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)ボードやCPUボードでのファームウェアもしくはソフトウェアにより実現することができる。
【0060】
また、本発明が適用される梱包体衝撃検出装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0061】
また、バスに接続されたCPU、ROMやRAMのメモリ、入力装置、出力装置、外部記録装置、媒体駆動装置、ネットワーク接続装置で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムを記録したROMやRAMのメモリ、外部記録装置、可搬記録媒体を、梱包体衝撃検出装置に供給し、その梱包体衝撃検出装置のコンピュータがプログラムを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0062】
この場合、可搬記録媒体等から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した可搬記録媒体等は本発明を構成することになる。
【0063】
プログラムを供給するための可搬記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0064】
また、コンピュータ(情報処理装置)がメモリ上に読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0065】
さらに、可搬型記録媒体から読み出されたプログラムやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0066】
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。