特許第6441880号(P6441880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441880
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】インバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181210BHJP
   H02M 7/49 20070101ALI20181210BHJP
【FI】
   H02M7/48 L
   H02M7/49
   H02M7/48 E
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-217645(P2016-217645)
(22)【出願日】2016年11月7日
(65)【公開番号】特開2017-189082(P2017-189082A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2016年11月7日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0042919
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン−チョル・チョイ
(72)【発明者】
【氏名】アンノ・ユー
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−070704(JP,A)
【文献】 特開2001−112247(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/001587(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2958227(EP,A2)
【文献】 国際公開第2010/125637(WO,A1)
【文献】 特開2016−005430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を駆動するための電圧を出力するインバータにおいて、
前記電動機から出力される三相電流と前記インバータの周波数及びモータの定格電流の入力を受けて第1再起動電圧と第1再起動位相角を出力する第1再起動指令電圧発生部;
前記インバータから出力されるインバータ出力電圧の入力を受けて第2再起動電圧と第2再起動位相角を出力する第2再起動指令電圧発生部;及び
再起動モードフラグに応じて動作するスイッチ部であって、前記第1再起動電圧と前記第1再起動位相角及び前記第2再起動電圧と前記第2再起動位相角の入力を受け、再起動モードフラグの設定によって第1再起動電圧と第1再起動位相角又は第2再起動電圧と第2再起動位相角を出力するスイッチ部を含むインバータ。
【請求項2】
前記インバータの周波数は、前記インバータを再起動させる再起動領域の開始点で測定された周波数である請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記再起動領域で前記電動機が発生させることのできる最大負荷トルクと負荷トルクを計算する請求項2に記載のインバータ。
【請求項4】
前記最大負荷トルクは、前記第2再起動電圧、前記電動機の最大定格電流と力率(Power factor)を乗じて再起動速度を除した値である請求項3に記載のインバータ。
【請求項5】
前記負荷トルクは、前記インバータ出力電圧の大きさ、前記電動機のトルク分電流の大きさ及び前記第2再起動指令電圧発生部から出力される再起動速度を除した値である請求項3または4に記載のインバータ。
【請求項6】
前記最大負荷トルクと前記負荷トルクを比較し、比較結果によって前記再起動モードフラグをセットする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のインバータ。
【請求項7】
前記最大負荷トルクが前記負荷トルクより大きい場合は、前記再起動モードフラグを1にセットし、前記スイッチ部は、前記第2再起動電圧及び前記第2再起動位相角を前記インバータに出力する請求項6に記載のインバータ。
【請求項8】
前記最大負荷トルクが前記負荷トルクより小さい場合は、前記再起動モードフラグを0にセットし、前記スイッチ部は、前記第1再起動電圧及び前記第1再起動位相角を前記インバータに出力する請求項6または7に記載のインバータ。
【請求項9】
前記第1再起動指令電圧発生部は、前記インバータの出力周波数の入力を受けて前記第1再起動電圧を生成する第1電圧生成部;及び
前記モータの定格電流と前記電動機から出力される三相電流の入力を受けて前記第1再起動位相角を生成する第1位相角生成部を含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインバータ。
【請求項10】
前記第1位相角生成部は、前記モータの定格電流と前記電動機から出力される三相電流を加算演算して出力する第1加算器;
前記第1加算器の出力結果を設定された利得により調節して出力する増幅器;及び
前記増幅器の出力結果を積分演算して前記第1再起動位相角で出力する第1積分器を含む請求項9に記載のインバータ。
【請求項11】
前記第2再起動指令電圧発生部は、前記インバータから出力される電圧を測定する電圧センシング部;
前記電圧センシング部で測定された前記電圧の入力を受けて静止座標系上のd軸電圧及びq軸電圧を出力する電圧測定部;
前記d軸電圧及びq軸電圧の入力を受けて再起動電圧、再起動位相角及び再起動速度を出力する電圧及び位相検出部;及び
前記再起動電圧、前記再起動位相角及び前記再起動速度の入力を受けて前記第2再起動電圧と前記第2再起動位相角を出力する再起動電圧発生部を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のインバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータに関し、さらに詳細には、インバータの故障発生後、復電する場合に、インバータの再起動の可否を判断してインバータの安定した再起動を可能とするインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧インバータ(Inverter)は、線間電圧実効値(RMS value)が600V以上である入力電源を用いるインバータであって、定格電力容量(Rating power capacity)は、数百kWから数十MWまで多様である。また、インバータは、ファン(Fan)、ポンプ(Pump)及び圧縮機(Compressor)等の応用分野に主に用いられている。
【0003】
インバータの回路構成方法として、3レベル以上の出力電圧を発生させるマルチレベルインバータ(Multi−level inverter)が主に用いられており、代表として直列型H−ブリッジ(Cascaded H−Bridge:CHB)インバータがある。
【0004】
直列型H−ブリッジインバータは、単位電力セル(Power cell)の出力を直列連結する方式であり、様々な出力電圧を通して低いdv/dtと優れた全高調波歪率(Total harmonic distortion:THD)の長所があり、維持補修が容易である。
【0005】
また、直列型H−ブリッジインバータは、電力セルの個数によってインバータ出力電圧レベルの大きさと個数が決定され、各電力セルは、絶縁された入力電圧を用いる。
【0006】
図1は、従来の直列型H−ブリッジインバータを示す図である。
【0007】
図1を参照すると、直列型H−ブリッジインバータ100は、入力電源(Main supply)102、位相置換変圧器104、多数の電力セル106、電動機108及び電圧センシング装置112を含む。このとき、直列型H−ブリッジインバータは、2段の単位電力セルで構成されており、システム要求仕様によって単位電力セル106の数は変更が可能である。
【0008】
入力電源102は、線間電圧実効値(RMS)が600V以上である三相電圧を示す。
【0009】
位相置換変圧器(Phase shift transformer)104は、入力電源102を絶縁(Isolation)させ、単位電力セル106の要求に合わせて電圧の位相(Phase)及び大きさ(Magnitude)を変換する。また、位相置換変圧器104は、位相置換を通して入力電源102に流れる入力電流の全高調波歪率(Total harmonic distortion:THD)を向上させる。
【0010】
多数の電力セル106は、位相置換変圧器104の出力電圧を入力電源に用いる。
【0011】
電動機108は、インバータ100の出力電圧の入力を受け、このとき、出力電圧は、各相に該当する電力セルの出力和で合成(synthesize)される。ここで、電動機108は、高圧の三相電動機であって、誘導電動機(Induction machine)または同期電動機(Synchronous machine)を含むことができる。
【0012】
電圧センシング装置(Voltage sensing device)112は、正常な運転状態(Normal driving)でインバータ100の出力電圧を測定する。ここで、測定された出力電圧は、同期切替(Synchronous bypass)及び出力電力演算(Output power calculation)に用いられる。そして、電源故障後、電動機108の再起動(Restarting)のために用いられる。
【0013】
ここで、インバータ100のa相出力電圧は、直列連結(Series connection)された第1電力セル106a1と第2電力セル106a2の出力電圧の和である。また、インバータ100のb相出力電圧は、第3電力セル106b1と第4電力セル106b2の出力電圧の和である。また、インバータ100のc相出力電圧は、第5電力セル106c1と第6電力セル106c2の出力電圧の和である。このとき、インバータ100の出力電圧の各相電圧(Phase voltage)の大きさは同一であるが、位相は、120度の位相差を有する。
【0014】
上述のように、インバータ100により駆動される大容量の電動機108は、一般的に慣性(Inertia)が大きい。これによって、入力電源(Main supply)の故障(Fault)または停電(Blackout)事故後の復電時、安定した再起動(Restarting)のために誘導電動機の回転子が停止するまで長時間が必要とされる問題点がある。
【0015】
従って、このような問題点を減らすために、特別な制御アルゴリズムなしに誘導電動機が回転中の状態で誘導電動機の速度及びトルクを制御する。しかし、この場合、大きな突入電流(Inrush current)が発生し、インバータ100または電動機108の故障を生じさせることがある。
【0016】
また、負荷条件下で再起動をする場合に、誘導電動機の残留電圧により再起動の可否が決定されるが、残留電圧が大きいほど再起動運転に可用の電圧が大きいので、再起動に要求される電流の大きさを減少させることができる。
【0017】
しかし、残留電圧が小さいほど再起動運転に可用の電圧が小さいので、同一のトルクを発生させるために要求される電流の大きさが増加するようになる。従って、残留電圧が小さい場合は、再起動運転がむしろ電動機システムに悪影響を及ぼすので、停止後に起動することが安定的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、インバータの入力電源異常による故障発生後、復電する場合に、インバータの再起動の可否を判断してインバータの安定した再起動を可能とするインバータを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、自由回転中の電動機の電圧を基準にインバータの再起動の可否を判断してインバータを再起動させるので、インバータまたは電動機の故障を事前に予防できるインバータを提供することを目的とする。
【0020】
また、本発明は、電動機の誘起起電力を考慮してインバータの再起動の可否を判断するので、再起動領域で突入電流なしに電動機が再起動できるインバータを提供することを目的とする。
【0021】
本発明の目的は、以上において言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解できるだろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段及びその組み合わせにより実現できることが容易に分かるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような目的を達成するための本発明は、電動機を駆動するための電圧を出力するインバータにおいて、前記電動機から出力される三相電流と前記インバータの周波数及びモータの定格電流の入力を受けて第1再起動電圧と第1再起動位相角を出力する第1再起動指令電圧発生部、前記インバータから出力されるインバータ出力電圧の入力を受けて第2再起動電圧と第2再起動位相角を出力する第2再起動指令電圧発生部、及び前記第1再起動電圧と前記第1再起動位相角及び前記第2再起動電圧と前記第2再起動位相角の入力を受け、再起動フラグによって再起動電圧と位相角を出力するスイッチ部を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の一実施例によると、前記インバータの周波数は、前記インバータを再起動させる再起動領域の開始点で測定された周波数であってよい。
【0024】
また、本発明の一実施例によると、前記再起動領域で前記電動機が発生させることのできる最大負荷トルクと負荷トルクを計算することができる。
【0025】
また、本発明の一実施例によると、前記最大負荷トルクは、前記第2再起動電圧、前記電動機の最大定格電流と力率(Power factor)を乗じて再起動速度を除した値であってよい。
【0026】
また、本発明の一実施例によると、前記負荷トルクは、前記インバータ出力電圧の大きさ、前記電動機のトルク分電流の大きさ及び前記第2再起動指令電圧発生部から出力される再起動速度を除した値であってよい。
【0027】
また、本発明の一実施例によると、前記最大負荷トルクと前記負荷トルクを比較し、比較結果によって前記再起動フラグをセットすることができる。
【0028】
また、本発明の一実施例によると、前記最大負荷トルクが前記負荷トルクより大きい場合は、前記再起動フラグを「1」にセットし、前記スイッチ部は、前記第2再起動電圧及び前記第2再起動位相角を前記インバータに出力することができる。
【0029】
また、本発明の一実施例によると、前記最大負荷トルクが前記負荷トルクより小さい場合は、前記再起動フラグを「0」にセットし、前記スイッチ部は、前記第1再起動電圧及び前記第1再起動位相角を前記インバータに出力することができる。
【0030】
また、本発明の一実施例によると、前記第1再起動指令電圧発生部は、前記インバータの出力周波数の入力を受けて前記第1再起動電圧を生成する第1電圧生成部及び前記モータの定格電流と前記電動機から出力される三相電流の入力を受けて前記第1再起動位相角を生成する第1位相角生成部を含むことができる。
【0031】
また、本発明の一実施例によると、前記第1位相角生成部は、前記モータの定格電流と前記電動機から出力される三相電流を加算演算して出力する第1加算器、前記第1加算器の出力結果を設定された利得により調節して出力する増幅器、及び前記増幅器の出力結果を積分演算して前記第1再起動位相角で出力する第1積分器を含むことができる。
【0032】
また、本発明の一実施例によると、前記第2再起動指令電圧発生部は、前記インバータから出力される電圧を測定する電圧センシング部、前記電圧センシング部で測定された前記電圧の入力を受けて静止座標系上のd軸電圧及びq軸電圧を出力する電圧測定部、前記d軸電圧及びq軸電圧の入力を受けて再起動電圧、再起動位相角及び再起動速度を出力する電圧及び位相検出部、及び前記再起動電圧、前記再起動位相角及び前記再起動速度の入力を受けて前記第2再起動電圧と前記第2再起動位相角を出力する再起動電圧発生部を含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
前述したような本発明によるインバータは、インバータの入力電源異常による故障発生後、復電する場合に、インバータの再起動の可否を判断してインバータの安定した再起動を可能とする長所がある。
【0034】
また、本発明によるインバータは、自由回転中の電動機の電圧を基準にインバータの再起動の可否を判断してインバータを再起動させるので、インバータまたは電動機の故障を事前に予防できる長所がある。
【0035】
また、本発明によるインバータは、電動機の誘起起電力を考慮してインバータの再起動の可否を判断するので、再起動領域で突入電流なしに電動機が再起動できる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】従来の直列型H−ブリッジインバータを示す図である。
図2】本発明の一実施例に係るインバータの構成を示す。
図3】本発明の一実施例に係る第1再起動電圧発生部の構成を示す。
図4】本発明の一実施例に係る第2再起動指令電圧発生部の構成を示す。
図5】本発明の一実施例に係る再起動指令電圧発生部の内部構成図である。
図6】本発明の一実施例に係る高圧インバータの動作を示すタイミング図である。
図7】本発明の一実施例に係る再起動領域で高圧インバータの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳細に後述され、これによって、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができるだろう。本発明を説明するにあたって、本発明と関連した公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合は、詳細な説明を省略する。以下、添付の図面を参照して、本発明に係る好ましい実施例を詳細に説明する。図面において同一の参照符号は、同一または類似した構成要素を指すものと用いられる。
【0038】
図2は、本発明の一実施例に係るインバータの構成を示す。
【0039】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るインバータは、第1再起動指令電圧発生部210、第2再起動指令電圧発生部220、スイッチ部230、高圧インバータ240及び電動機250を含む。
【0040】
第1再起動指令電圧発生部210は、高圧インバータ240の入力電源(Main supply)異常による故障発生後に動作することができ、電流を基盤として再起動電圧を生成する。
【0041】
また、第1再起動指令電圧発生部210は、高圧インバータ240の周波数ωrefとモータの定格電流Iabcs_max及び電動機250から出力される三相電流ias、ibs、icsの入力を受けて第1再起動電圧Vref_fly1と第1再起動位相角θref_fly1を出力する。ここで、高圧インバータ240の周波数ωrefは、再起動運転領域の開始点で測定された周波数である。このとき、第1再起動電圧Vref_fly1は、DC電圧であってよい。
【0042】
第2再起動指令電圧発生部220は、高圧インバータ240の入力電源(Main supply)異常による故障発生後に動作することができ、電圧を基盤として再起動電圧を生成する。
【0043】
また、第2再起動指令電圧発生部220は、高圧インバータ240から出力されるインバータ出力電圧Vmの入力を受けて第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyを出力する。
【0044】
スイッチ部230は、再起動モードフラグflying_start_mode_flagによって動作する。また、スイッチ部230は、第1再起動指令電圧発生部210の第1再起動電圧Vref_fly1と第1再起動位相角θref_fly1及び第2再起動指令電圧発生部220の第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyの入力をそれぞれ受ける。
【0045】
仮に、再起動モードフラグflying_start_mode_flagが「0」である場合に、スイッチ部230は、第1再起動指令電圧発生部210の第1再起動電圧Vref_fly1と第1再起動位相角θref_fly1を高圧インバータ240に印加する。
【0046】
しかし、再起動モードフラグflying_start_mode_flagが「1」である場合に、スイッチ部230は、第2再起動指令電圧発生部220の第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyを高圧インバータ240に印加する。このとき、再起動フラグflying_start_flagが「1」である場合は、入力電源(Main supply)の故障または停電(Blackout)事故が発生した場合を示す。
【0047】
高圧インバータ240は、スイッチ部230から出力されるインバータ電圧Vref_invとインバータ位相角θref_invの入力を受けて電動機電圧Vmを出力する。このように生成された電動機電圧Vmは、電動機250に印加される。このとき、電動機電圧Vmは、AC電圧であってよい。
【0048】
電動機250は、高圧インバータ240から出力される電動機電圧Vmの入力を受けて動作する。このとき、電動機電圧Vmは、PWM(Pulse width modulation)形態の電圧であってよい。
【0049】
以下、図3を参照して、第1再起動電圧発生部について詳細に説明する。
【0050】
図3は、本発明の一実施例に係る第1再起動電圧発生部の構成を示す。
【0051】
図3を参照すると、本発明の一実施例に係る第1再起動指令電圧発生部210は、第1電圧生成部310と第1位相角生成部320を含む。
【0052】
第1電圧生成部310は、高圧インバータ240の出力周波数ωrefの入力を受けて第1再起動電圧Vref_fly1を生成する。
【0053】
第1位相角生成部320は、第1加算器322と増幅器324及び第1積分器326を含む。
【0054】
第1加算器322は、モータの定格電流Iabcs_max及び電動機250から出力される三相電流ias、ibs、icsの入力を受けて第1加算器322を通して加算演算結果を出力する。増幅器324は、第1加算器322から出力される加算演算結果の入力を受けて設定された利得(Gain)により調節された加算演算結果を出力する。第1積分器326は、増幅器324の出力結果の入力を受けて積分演算をし、第1再起動位相角θref_fly1で出力する。
【0055】
以下、図4を参照して、第2再起動指令電圧発生部について詳細に説明する。
【0056】
図4は、本発明の一実施例に係る第2再起動指令電圧発生部の構成を示す。
【0057】
図4を参照すると、本発明の一実施例に係る第2再起動指令電圧発生部220は、電圧センシング部222、電圧測定部224、電圧及び位相検出部226及び再起動電圧発生部228を含む。
【0058】
電圧センシング部222は、正常な運転状態(Normal driving)の高圧インバータ240から出力される電圧Vmを測定する。ここで、高圧インバータ240から出力される電圧Vmは、電動機250の再起動(Restarting)のために用いられる情報であり、同期切替(Synchronous bypass)及び出力電力演算(Output power calculation)に用いられる。そして、入力電源(Main supply)の故障または停電(Blackout)事故が発生した場合、電動機250の再起動(Restarting)のために用いられる。
【0059】
電圧測定部224は、電動機250の入力電圧の大きさと位相を推定するために、電圧センシング部222で測定されたインバータ出力電圧Vmの入力を受けて静止座標系上のd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを出力する。このとき、電圧測定部224は、座標変換(Reference frame transformation)を通して測定された三相のインバータ出力電圧Vmeansを静止座標系上のd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqに変換する。また、電圧測定部224は、電圧センサまたは抵抗等で構成され得る。
【0060】
電圧及び位相検出部226は、電圧測定部224から出力されるd軸電圧Vd及びq軸電圧の入力を受けて再起動電圧Vmag、再起動位相角θest及び再起動速度ωestを出力する。このとき、再起動電圧Vmagは、静止座標系上のd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqをそれぞれ二乗して足した値の平方根(Square root)を取ることにより計算することができる。また、再起動位相角θest及び再起動速度ωestは、PLL(phase loop lock)を通して具現することができる。
【0061】
再起動電圧発生部228は、電圧及び位相検出部226から出力される再起動電圧Vmag、再起動位相角θest及び再起動速度ωestの入力を受けて第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyを出力する。
【0062】
以下、図5を参照して、再起動電圧発生部について詳細に説明する。
【0063】
図5は、本発明の一実施例に係る再起動指令電圧発生部の内部構成図である。
【0064】
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る再起動電圧発生部228は、第2電圧生成部340と第2位相角生成部360を含む。
【0065】
第2電圧生成部340は、外部でユーザが入力した電圧の傾き342と第2加算器344を含む。ここで、電圧の傾き342は、定数(Constant)値であってよい。また、第2電圧生成部340は、ユーザが入力した電圧の傾き342と電圧及び位相検出部226から出力される再起動電圧Vmagを第2加算器344を通して加算演算をして第2再起動電圧Vref_flyで出力する。このとき、第2再起動電圧Vref_flyは、下記式(1)のように表され得る。
【0066】
【数1】
ここで、Vmagは、電圧及び位相検出部226から出力される再起動電圧を示し、aは、ユーザが入力した電圧の傾きを示す。
【0067】
第2位相角生成部360は、第2積分器362と第3加算器364を含む。第2積分器362は、電圧及び位相検出部226から出力される再起動速度ωestの入力を受け、再起動速度ωestを積分して出力する。第3加算器364は、第2積分器342から出力される積分値と電圧及び位相検出部226から出力される再起動位相角θestを加算演算をして第2再起動位相角θref_flyで出力する。このとき、第2再起動位相角θref_flyは、下記式(2)のように表され得る。
【0068】
【数2】
ここで、θestとωestは、電圧及び位相検出部226から出力される再起動位相角と再起動速度をそれぞれ示す。
【0069】
図6は、本発明の一実施例に係る高圧インバータの動作を示すタイミング図である。図7は、本発明の一実施例に係る再起動領域で高圧インバータの動作を説明するためのフローチャートである。
【0070】
図6を参照すると、本発明の一実施例に係る高圧インバータ240は、入力電圧と出力電圧が全て正常動作する領域、即ち、正常運転領域では、再起動フラグflying_start_flagが「0」にセットされる。このとき、再起動フラグflying_start_flagは、高圧インバータの再起動のための動作をする区間を示す変数であって、故障発生時から正常運転が可能な区間までを示す。
【0071】
このとき、入力電源(a)は、高圧インバータ240の主電源(Main source)の大きさを示し、インバータの出力電圧(c)は、高圧インバータ240の出力電圧Vmの大きさを示す。これによって、入力電源の故障時、保護動作により高圧インバータ240は出力を止める。
【0072】
また、高圧インバータ240の入力電源故障領域で入力電源(a)の大きさは定格電圧(Rated voltage)範囲以下で動作し、この区間で測定される電動機の入力端電圧(d)は、電動機の誘起起電力である。このとき、測定される電動機の入力端電圧(d)の大きさと電動機速度(f)は、負荷(Load)と電動機の時定数(Time constant)によって減少し、電動機電流(e)の経路(path)を形成しない。ここで、再起動フラグflying_start_flagは、「1」にセットされる。
【0073】
一方、高圧インバータ240の再起動領域は、入力電源(a)異常によって運転を止めた高圧インバータ240を再起動させる運転領域である。
【0074】
本発明の他の実施例に係る高圧インバータは、定格電圧に対応して入力電源故障領域を設定することができる。より具体的に、高圧インバータは、定格電圧以下の電圧範囲を入力電源故障領域に設定することができる。例えば、入力電源故障領域は、線間電圧実効値が600V以下である電圧範囲に設定され得る。
【0075】
図7を参照すると、高圧インバータ240を再起動させるために、再起動領域では、電動機の誘起起電力の大きさによって電動機が発生させることのできる最大負荷トルクTlimitと負荷トルクTloadを計算する(S11)。このとき、最大負荷トルクTlimitは、下記式(3)で表すことができる。
【0076】
【数3】
ここで、式(3)は、電力式から電気的トルクを求めた式であって、残留電圧下で再起動可能な最大トルク大きさを示した式である。式(3)から分かるように、同一のトルクTlimit条件で再起動電圧Vmagが小さい場合にIrateが増加する。
【0077】
このとき、Vmagは、電圧及び位相検出部226から出力される再起動電圧を示し、Irateは、電動機の最大定格電流を示し、PFは、力率(Power factor)である。また、Irateは、高圧インバータと電動機の許容可能な範囲で電流大きさを増加させることができる。
【0078】
そして、負荷トルクTloadは、下記式(4)で表すことができる。
【0079】
【数4】
ここで、式(4)は、インバータ出力トルクを示し、高圧インバータ240の故障領域以前のトルクTloadを計算し、故障領域で式(3)の最大負荷トルクTlimitと大きさを比較し、比較結果によってそれぞれ異なる再起動アルゴリズムを遂行する。
【0080】
このとき、Vqseは、同期座標系のq軸電圧であって、高圧インバータ240で出力電圧の大きさを示す。Iqseは、トルク分電流の大きさを示し、ωestは、電圧及び位相検出部226から出力される再起動速度を示す。このとき、再起動速度は、回転子速度に該当し、電圧及び位相検出部226で推定した誘起起電力周波数を示す。
【0081】
その後、計算された最大負荷トルクTlimitと負荷トルクTloadを比較する(S12)。ここで、比較器の結果値は、再起動モードフラグflying_start_mode_flagの変数に該当する。
【0082】
仮に、最大負荷トルクTlimitが負荷トルクTloadより大きい場合は、再起動モードフラグflying_start_mode_flagを「1」にセットして誘起起電力基盤の再起動アルゴリズムが遂行されるようにする。このとき、スイッチ部230は、再起動モードフラグflying_start_mode_flagによって第2再起動指令電圧発生部220で生成された第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyを高圧インバータ240に印加する。高圧インバータ240は、印加された第2再起動電圧Vref_flyと第2再起動位相角θref_flyによって再起動する(S13)。
【0083】
しかし、最大負荷トルクTlimitが負荷トルクTloadより小さい場合は、誘起起電力が不足するので、再起動モードフラグflying_start_mode_flagを「0」にセットし、高圧インバータ240及び電動機の故障を防止するために電動機を停止されるか、または他の再起動アルゴリズムが遂行されるようにする。このとき、スイッチ部230は、再起動モードフラグflying_start_mode_flagによって第1再起動指令電圧発生部210で生成された第1再起動電圧Vref_fly1と第1再起動位相角θref_fly1を高圧インバータ240に印加する。高圧インバータ240は、印加された第1再起動電圧Vref_fly1と第1再起動位相角θref_fly1によって再起動する(S14)。
【0084】
前述したような本発明によるインバータ再起動装置は、インバータの入力電源異常による故障発生後、復電する場合に、インバータの再起動の可否を判断してインバータの安定した再起動を可能とする長所がある。
【0085】
また、本発明によるインバータ再起動装置は、自由回転中の電動機の電圧を基準にインバータの再起動の可否を判断してインバータを再起動させるので、インバータまたは電動機の故障を事前に予防できる長所がある。
【0086】
また、本発明によるインバータ再起動装置は、電動機の誘起起電力を考慮してインバータの再起動の可否を判断するので、再起動領域で突入電流なしに電動機が再起動できる長所がある。
【0087】
前述した本発明は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を外れない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であるので、前述した実施例及び添付の図面により限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7