特許第6441887号(P6441887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441887EMI遮蔽テキスタイルファブリック、それから構築される巻付き可能スリーブおよびその構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441887
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】EMI遮蔽テキスタイルファブリック、それから構築される巻付き可能スリーブおよびその構築方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 1/00 20060101AFI20181210BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20181210BHJP
   D02G 3/38 20060101ALI20181210BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20181210BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20181210BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   D03D1/00 Z
   D03D15/00 D
   D03D15/00 101
   D02G3/38
   D02G3/04
   H02G3/04 062
   H05K9/00 M
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-500402(P2016-500402)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-512580(P2016-512580A)
(43)【公表日】2016年4月28日
(86)【国際出願番号】US2014018535
(87)【国際公開番号】WO2014163882
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】13/801,633
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,デイビッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マロイ,キャシー・エム
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ,ダニー
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−537641(JP,A)
【文献】 特表2009−532015(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0213234(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0272570(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/028460(WO,A1)
【文献】 特表2008−546209(JP,A)
【文献】 特表2010−526218(JP,A)
【文献】 特開2010−098019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00−27/18
D02G1/00−3/48
D02J1/00−13/00
H02G3/00−3/04
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部材をルーティングして電磁干渉から保護するためのテキスタイルファブリックであって、
横方向に延在する緯糸とともに織られた縦方向に延在する経糸から構築される細長い壁を備え、前記経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、前記緯糸は第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さく、
前記経糸は、前記緯糸の少なくとも3本を飛び越えるように織られる、テキスタイルファブリック。
【請求項2】
複数の前記緯糸が、ヒートセット可能なポリマー糸である、請求項1に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項3】
複数の前記ヒートセット可能なポリマー糸はヒートセットされて、前記壁を縦中心軸の周りの自己巻付き構成に付勢する、請求項2に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項4】
前記壁は、ヒートセットされた前記糸によって互いに重なり合う関係に付勢されて、前記部材を内部に受ける概して筒状のキャビティを提供する、縦方向に延在する対向端縁を有する、請求項3に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項5】
複数の前記経糸は、非導電性糸の周りに延在する導電性ワイヤを含む、請求項2に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項6】
前記経糸は朱子織で織られる、請求項に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項7】
前記朱子織は8ハーネス朱子織である、請求項6に記載のテキスタイルファブリック。
【請求項8】
自身の中に収容する電気部材をEMIから保護するための織テキスタイルスリーブであって、
中心軸に沿って対向端同士の間に延在する囲まれたキャビティを形成するように互いに重なり合う関係に巻付き可能な対向端縁を有する細長い壁を備え、前記壁は、前記中心軸と概して平行に延在する経糸と、前記経糸とともに織られた、前記経糸を横切って延在する緯糸とを有し、前記経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、前記緯糸は第2の直径を有し、前記第2の直径は前記第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さ
前記壁は、朱子織を有して織られる、織テキスタイルスリーブ。
【請求項9】
前記緯糸の少なくともいくつかはヒートセットされて、前記対向端縁を互いに重なり合う関係に付勢する、請求項に記載の織テキスタイルスリーブ。
【請求項10】
前記導電性経糸は、非導電性糸の周りに延在する導電性ワイヤを含む、請求項に記載の織テキスタイルスリーブ。
【請求項11】
電気部材を電磁干渉から保護するためのファブリックを構築する方法であって、
縦方向に延在する経糸を横方向に延在する緯糸とともに織ることによって細長い壁を形成することを備え、前記経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、前記緯糸は前記第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有し、
朱子織パターンを有する前記壁を織ることをさらに含む、方法。
【請求項12】
自身の中に収容する電気部材をEMIから保護するためのテキスタイルスリーブを構築する方法であって、
中心軸と概して平行に延在する経糸と、前記経糸とともに織られた、前記経糸を横切って延在する緯糸とを織ることによって、前記中心軸に沿って対向端同士の間に延在する対向端縁を有する細長い壁を形成することを備え、前記経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、前記緯糸は前記第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有し、さらに、
前記対向端縁を互いに重なり合う関係にするように前記壁を巻くことを備え
朱子織パターンを有する前記壁を織ることをさらに含む、方法。
【請求項13】
前記緯糸の少なくともいくつかをヒートセットして、前記対向端縁を互いに重なり合う関係に付勢することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は概して、電磁干渉に対する保護を提供するためのテキスタイルファブリックに関し、より特定的には、電気部材を電磁干渉から保護するための織ファブリックに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術
ワイヤおよびワイヤハーネスなどの電気部材を、自動車、航空機または航空宇宙機内などでテキスタイル保護スリーブで巻いて、電磁干渉(electromagnetic interference:EMI)に対する保護をワイヤに提供することが知られている。所望の保護を達成するために、高周波数EMIであるか、低周波数EMIであるか、または両方であるか、望まれるEMI保護の種類を考慮する必要がある。織スリーブなどのテキスタイルスリーブでは、ホールとも称される開口部が、スリーブの壁の隣接して重なり合う糸同士の間に本質的に形成される。ホールは最終的に高周波数EMIの通過を引起こし、また、スリーブ壁の糸によって提供される全導電率を減少させる可能性があり、これはひいては、特に重なり合う糸同士の間に形成されるホールの数が多い場合、低周波数EMIに対する所望の遮蔽を提供する壁の能力に影響し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
本発明の一局面によれば、電気部材をルーティングして電磁干渉から保護するためのテキスタイルファブリックが提供される。ファブリックは、横方向に延在する緯糸とともに織られた縦方向に延在する経糸から構築される細長い壁を形成する。経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有する。緯糸は、経糸の第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有する。したがって、ファブリックを織ると、導電性経糸は、緯糸が経糸と同じ直径である場合よりも互いに近接する。したがって、EMIに対する遮蔽保護を提供するファブリックの能力が向上する。
【0004】
本発明のさらなる局面によれば、ファブリックの複数の緯糸が、ヒートセット可能なポリマー糸であり、複数のヒートセット可能なポリマー糸はヒートセットされて、壁を自己巻付き構成に付勢し、縦方向に延在する対向端縁を互いに重なり合う関係にして、電気部材が保護されるために内部に配置され得る概して筒状のキャビティを提供し得る。
【0005】
本発明のさらなる局面によれば、経糸は、緯糸の少なくとも3本を飛び越えるように織られるため、平織パターンと比較して、交差する緯および経糸の間に形成される開口部が少なくなり、EMIに対する保護が向上する。
【0006】
本発明のさらなる局面によれば、自身の中に収容する電気部材をEMIから保護するための織テキスタイルスリーブが提供される。スリーブは、中心軸に沿って対向端同士の間に延在する囲まれたキャビティを形成するように互いに重なり合う関係に巻付き可能な対向端縁を有する細長い壁を含む。壁は、中心軸と概して平行に延在する経糸と、経糸とともに織られた、経糸を横切って延在する緯糸とを有する。経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、緯糸は第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有するため、交差する緯および経糸の間の開口部のサイズが減少し、これはひいては、EMIに対する保護をスリーブ内に配置される電気部材に提供するスリーブの能力を向上させる。
【0007】
本発明のさらなる局面によれば、スリーブ壁の緯糸の少なくともいくつかはヒートセットされて、対向端縁を互いに重なり合う関係に付勢する。
【0008】
本発明のさらなる局面によれば、電気部材を電磁干渉から保護するためのファブリックを構築する方法が提供される。方法は、縦方向に延在する経糸を横方向に延在する緯糸とともに織ることによって細長い壁を形成することを含み、経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、緯糸は第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有する。
【0009】
本発明のさらなる局面によれば、方法は、朱子織パターンを有するファブリックの壁を織ることをさらに含み得る。
【0010】
本発明のさらなる局面によれば、自身の中に収容する電気部材をEMIから保護するためのテキスタイルスリーブを構築する方法が提供される。方法は、中心軸と概して平行に延在する経糸と、経糸とともに織られた、経糸を横切って延在する緯糸とを織ることによって、中心軸に沿って対向端同士の間に延在する対向端縁を有する細長い壁を形成することを含み、経糸の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、緯糸は第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有する。さらに、対向端縁を互いに重なり合う関係にするように壁を巻く。
【0011】
本発明のさらなる局面によれば、スリーブを構築する方法は、緯糸の少なくともいくつかをヒートセットして、対向端縁を互いに重なり合う関係に付勢することをさらに含み得る。
【0012】
本発明のさらなる局面によれば、スリーブを構築する方法は、朱子織パターンを有する壁を織ることをさらに含み得る。
【0013】
これらのおよび他の局面、特徴および利点は、現在の好ましい実施形態および最良の態様の以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面に鑑みて、当業者に容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一局面に従って織られたテキスタイルEMI遮蔽ファブリックの概略平面図である。
図2】本発明の別の局面に従って織られた図1のファブリックの拡大部分平面図である。
図2A図2のファブリックの側面図である。
図3】本発明のさらに別の局面に従って織られた図1のファブリックの拡大部分平面図である。
図3A図3のファブリックの側面図である。
図4図1のファブリックの構築に用いられるハイブリッド糸の拡大側面図である
図5図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図6図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図7図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図8図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図9図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図10図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図11図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図12図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図13図1のファブリックの構築に用いられるさらに別のハイブリッド糸の拡大側面図である。
図14】本発明の別の局面に従う織ファブリックから構築される巻付き可能スリーブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態の詳細な説明
より詳細に図面を参照して、図1は、本発明の一局面に従って構築されたテキスタイルファブリック10の平面図を示す。ファブリック10は、横方向に延在する緯糸16とともに織られた縦方向に延在する経糸14から細長い壁12として構築される。経糸14の少なくともいくつか、複数、またはすべては導電性があり、かつ第1の直径を有し、緯糸16は第2の直径を有し、第2の直径は第1の直径よりもおよそ、好ましくは少なくとも25パーセント小さい。したがって、ファブリック10を織ると、導電性経糸14は、緯糸16が経糸14と同じサイズである場合よりも互いに近接するため、EMIに対する遮蔽保護を提供するファブリック10の能力が向上する。
【0016】
ファブリック10は平織パターンで織られ得るが、これは開口部18の数を増加させる(互いの上下で波打つ緯および経糸の各交差点に2つの開口部が生じる)。したがって、クローフット型朱子織(図2A)もしくは8ハーネス朱子織パターンなどの朱子織パターン、または任意の他の種類の朱子織パターンを用いることによって、平織パターンと比較して開口部18を減らすことが好ましい。開口部18の数はファブリック表面にわたる全導電率に影響し得ることが分かっており、形成される開口部が少ないほど典型的に導電率が向上し、EMIに対する保護が向上する。
【0017】
導電性経糸14は、特別の定めのない限り、以下、単に非導電性部材20と称される非導電性モノフィラメントおよび/もしくは非導電性マルチフィラメントフィラメントまたは部材が、以下、単にワイヤフィラメント22と称されるミクロンサイズの連続的な導電性ワイヤフィラメントの撚り糸と撚り合せられる、および/または、ともに供されることにより形成されるハイブリッド糸として提供される。
【0018】
非導電性部材20は、1つの現在の好ましい実施形態では、マルチフィラメントとも称されるマルチフィラメント状の糸として提供され、柔らかい質感を提供する。用途によっては、非導電性部材20は、マルチフィラメントであろうとモノフィラメントであろうと、以下により詳細に記載されるように、極めて高い温度定格が必要とされない場合には、一例としておよび非限定的に、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、綿、レーヨン、および上記の全ての材料の難燃性(fire retardant:FR)バージョンから形成され得る。FR特性とともにより高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材20は、一例としておよび非限定的に、m−アラミド(たとえばノーメックス、コーネックス、ケルメルという名前で販売)、p−アラミド(たとえばケブラー、トワロン、テクノーラという名前で販売)、PEI(たとえばウルテムという名前で販売)、PPS、LCP、TPFE、およびPEEKを含む材料から構築され得る。FR特性とともにさらに高い温度定格が望まれる場合には、非導電性部材20は、たとえばガラス繊維、玄武岩、シリカ、およびセラミックなどの鉱物糸を含み得る。
【0019】
上述のように、連続的な導電性ワイヤフィラメント22は、非導電性部材20が概して真直ぐな経路に沿って延在する一方、導電性ワイヤフィラメント22が非導電性部材20の周りで螺旋状の経路に沿って延在するように、たとえば図4に示されるように非導電性部材20とともに供されるか、または、互いに対して軸方向にオフセットされた螺旋状の経路を形成するように、たとえば図5に示されるように非導電性部材20と撚り合せられることができる。どのように構築されていようと、導電性ワイヤフィラメント22の少なくとも一部が残っているか、または非導電性部材20の外面の径方向外向きに延在していることが好ましい。これは、ハイブリッド経糸14から少なくとも部分的に構築されたファブリック10の効果的なEMI、RFIおよび/またはESD遮蔽特性の維持を容易にする。導電性ワイヤフィラメント22は、好ましくは、高い耐食特性を有する低炭素ステンレス鋼、たとえばSS316Lなどのステンレス鋼の連続的な撚り線として提供されるが、たとえば銅、錫またはニッケルめっき銅、アルミニウム、および他の導電性合金などの金属ワイヤからなる他の導電性の連続的な撚り糸が使用されてもよい。
【0020】
連続的な導電性ワイヤフィラメント22は、非導電性部材20の周りに撚られるまたは供されることによって1つまたは複数の非導電性部材20上に横たわることができ、実質的にハイブリッド経糸14の長さに沿って延在する、導電性ワイヤフィラメント22の単一の撚り線(図4図5および図8)、導電性ワイヤフィラメント22の2本の撚り線として示されている複数の導電性ワイヤフィラメント22(図6図9図12)、導電性ワイヤフィラメント22の3本の撚り線(図7および図13)、または所望のごとくそれ以上の本数の撚り糸を有するハイブリッド糸18を形成する。ハイブリッド糸18の長さに沿って導電性ワイヤの本数が増加することによって、一般に遮蔽可能性が増大するという考え方で、求められる遮蔽に応じて任意の所望の数の導電性ワイヤフィラメント22を用いることができることを認識すべきである。2本以上の導電性ワイヤフィラメント22が用いられる場合、導電性ワイヤフィラメント22は、一例としておよび非限定的に、図6および図7に示されるように、異なる捻れ角を有することによって、および/または、逆の螺旋方向にワイヤフィラメント22を撚るもしくは供することなどによって、互いにクロスオーバーするように配置できる。または、導電性ワイヤフィラメント22は、たとえば図9図13に示されるように、同様の捻れ角を有することによって、かつ、同じ螺旋方向に撚られるもしくは供されることによって、互いに重なり合わない関係で構成されてもよい。
【0021】
図8に示されるように、ハイブリッド経糸14は、ここでは上記の材料のうちの1つから形成されたモノフィラメントとして示されている単一の非導電性フィラメント20とともに単一の導電性ワイヤフィラメント22を提供するか、または示されているように単一の非導電性フィラメント20に単一の導電性ワイヤフィラメント22を絡ませることによって構築される。
【0022】
図9に示されるように、ハイブリッド経糸14は、ここでは非導電性モノフィラメント20として示されている単一の非導電性フィラメントの周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント22を提供することによって構築される。示されるように、この実施形態におけるワイヤフィラメント22は、互いが実質的に同一の捻れ角を有する状態で同一の方向に提供され、そのため、互いに重なり合っていない。
【0023】
図10に示されるように、ハイブリッド経糸14は、単一の非導電性フィラメント20の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント22を提供することによって構築される。しかし、図9のようにモノフィラメントの周りにそれらを提供するのではなく、ワイヤフィラメント22はマルチフィラメント20の周りに提供される。
【0024】
図11に示されるように、ハイブリッド経糸14は、ここでは非導電性モノフィラメント20として示されている単一の非導電性フィラメントの周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント22を提供することによって、上記ならびに図9および図10に示されているのと概して同様に構築される。しかし、非導電性フィラメント20の周りに導電性ワイヤフィラメント22を提供する前に、非導電性モノフィラメント20は、最初にコーティング材料CMをその外面に塗布して接着させることによって処理されるか、または、外面は、テクスチャ付与プロセスにおいて提供されたテクスチャ付与面TSを有している。コーティング材料CMまたはテクスチャ付与面TSは、下にある非導電性モノフィラメント20に対して導電性ワイヤフィラメント22がすべることを抑えるように作用する。
【0025】
図12に示されるように、ハイブリッド経糸14は、1対の非導電性フィラメント20,20′の周りに2本以上の導電性ワイヤフィラメント22を提供することによって構築される。非導電性フィラメント20,20′は、ここでは、上記の材料から提供されれた非導電性マルチフィラメント20および非導電性モノフィラメント20′として表わされている。非導電性マルチフィラメント20およびモノフィラメント20′は、それらの長さに沿って実質的に互いに当接している。さらに、図13に示されるように、本発明のさらに別の現在の好ましい局面に従って構築されたハイブリッド経糸14は、ここではマルチフィラメント非導電性部材20として示されている非導電性部材のうちの少なくとも1つを有し、マルチフィラメント非導電性部材20は、別の導電性ワイヤフィラメント22′を周りに絡ませるかまたは提供される、図3に関連して上記したように示されるようなハイブリッド糸として提供される。しかし、前に記載され示されたハイブリッド経糸14の他の実施形態のうちのいずれかが使用されてもよい。したがって、連続的な導電性ワイヤフィラメント22′のうちの少なくとも1本は、もっぱら非導電性マルチフィラメント20の周りに延在する。
【0026】
図14には、上記の緯および経糸14,16を用いて上述の図示した織パターンのいずれかによって織られた図1のファブリック10が、円周方向に囲まれた自身のキャビティ28の内部の、たとえばワイヤまたはワイヤハーネス26などの細長い電気部材を保護するための筒状スリーブ24として巻かれた状態で示されている。スリーブ24の壁12は、ヒートセット可能な緯糸16を熱形成すると、自己巻付き型の細長い壁12として形成され得る。したがって、壁12がその自己巻付き筒状構成にあり、外部から印加される力が概してない場合は、長手中心軸34と概して平行にスリーブ24の対向端34,36の間に延在する、縦方向に延在する対向端縁30,32は、少なくともわずかに互いに重なり合ってキャビティ28を円周方向に完全に囲み、したがって、壁12は、壁12の全周にわたってEMIに対する向上した保護を、キャビティ28に収容されるワイヤ26に提供する。側部30,32は、キャビティ28を少なくとも部分的に開けて露出するように、外部から印加される力を受けて互いに離れるように容易に伸ばすことができる。したがって、ワイヤ26は、組立時にキャビティ28内に容易に配置され得るか、または手入れ中はキャビティ28から容易に取出され得る。外部から印加される力を取除くと、端縁30,32は、それらの丸まった構成にヒートセットされる結果として、ヒートセット可能なポリマー緯糸16の内部に付与される付勢を受けて自動的に戻る。
【0027】
本発明の別の局面によれば、電気部材をルーティングして電磁干渉から保護するためのテキスタイルファブリックおよびそれから保護スリーブを構築する方法が提供される。当該方法は、縦方向に延在する経糸14および横方向に延在する緯糸16から壁12を織ることを含み、経糸14の少なくともいくつかは導電性があり、かつ第1の直径を有し、緯糸は、第1の直径よりも少なくとも25パーセント小さい第2の直径を有する。緯糸16の直径が経糸14の直径よりも小さいため、経および緯糸14,16の上および下にある交差点に形成される開口部18のサイズが減少し、壁12を通るEMIの通過量が最小限に抑えられる。
【0028】
本構築方法のさらなる局面によれば、織壁12は朱子織パターンで織られることによって、経および緯糸14,16の上および下にある交差点を介して形成される開口部18の合計数を減少させ得る。したがって、開口部18の合計数が減少するため、壁12を通るEMIの通過量がさらに減少する。
【0029】
本構築方法のさらなる局面によれば、壁12は、縦方向に延在する対向端縁30,32を互いに重なり合う関係にし、スリーブ24のキャビティ28内の電気部材を保護するためのスリーブ24を構築するように巻かれ得る。
【0030】
本構築方法のさらなる局面によれば、壁12はヒートセットされて、ヒートセットポリマー緯糸16を介して自己巻付きスリーブ24を形成し、付勢された、丸まった構成を呈し得る。
【0031】
本構築方法のさらなる局面によれば、導電性経糸は、図4図13に示して上述したように、非導電性糸の周りに延在する導電性ワイヤを含んで提供され得る。
【0032】
明らかに、上記の教示に鑑みて、本発明の多くの変形例および変更例が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、具体的に記載されている態様とは異なった態様で実施されてもよいことを理解すべきである。
図1
図2
図2A
図3
図3A
図4
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図7
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