(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441898
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】プラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B08B 9/087 20060101AFI20181210BHJP
B08B 9/38 20060101ALI20181210BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
B08B9/087
B08B9/38
B29B17/02
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-508264(P2016-508264)
(86)(22)【出願日】2014年4月15日
(65)【公表番号】特表2016-521202(P2016-521202A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】IB2014060731
(87)【国際公開番号】WO2014170824
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年4月14日
(31)【優先権主張番号】MI2013A000615
(32)【優先日】2013年4月15日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】MI2013A000842
(32)【優先日】2013年5月23日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512261322
【氏名又は名称】プレビエロ エンネ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】プレビエロ,フラビオ
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−005848(JP,A)
【文献】
特開2004−025591(JP,A)
【文献】
特開平11−129253(JP,A)
【文献】
特開2007−245023(JP,A)
【文献】
特開2009−143030(JP,A)
【文献】
特開2003−039433(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0271982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/087
B08B 9/38
B29B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の容器からラベルを取り除くことに適した装置(1)であって、
前記容器のための入口(5)と出口(6)との間に軸方向に延在する環状室(4)を規定するチューブ状の固定子(2)および回転子(3)を備え、
前記回転子(3)には、回転すると前記環状室(4)の内部で前記容器を引き込みそして推進するために引き込みおよび推進要素(7)が複数載置され、
前記チューブ状の固定子(2)には、第1先端(9a)を備えた第1剥離ツール(8a)が複数存在し、前記引き込みおよび推進要素(7)は一つ以上のらせん状経路(E1)に沿って分散配置された第2先端(9b)を備えた第2剥離ツール(8b)を複数有し、前記第1先端(9a)と前記第2先端(9b)とは、前記環状室(4)において、それぞれ、前記容器のために、第1点状剥離表面(SR1)と第2点状剥離表面(SR2)とを規定していることを特徴とし、ここで前記第1点状剥離表面(SR1)と第2点状剥離表面(SR2)との間の距離は、前記回転子(3)について長手軸方向および外周方向に関して実質的に一定に保たれ、更に、前記第1剥離ツール(8a)は、実質的に前記回転子(3)に向かう半径方向に配置され、また、前記第2剥離ツール(8b)の各々は、前記回転子(3)の長手方向の軸(X)に直交する平面に沿って延在し、それぞれ、前記長手方向の軸(X)に直交する直線(Ro)について角度(Ω)傾き、前記回転子(3)の回転方向(R)を向いている軸(A)を有している
装置。
【請求項2】
前記第1剥離ツール(8a)および前記第2剥離ツール(8b)の各々が、一つの円錐台形状基部(23A)、一つの針状部(23B)であって、その一部が前記環状室(4)の中に突き出ている針状部、および一つの胴部(23C)であって、前記固定子(2)および前記回転子(3)の上に取り外し可能な適合を可能とするように構成されている胴部を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の引き込みおよび推進要素は、複数の剥離ユニット(7)であって、一定の数の第2剥離ツール(8b)によって規定される剥離ユニットを含み、該複数の剥離ユニット(7)は、前記回転子(3)に沿った一つの長手軸方向において一定の軸方向ピッチ(P1)により、かつ前記回転子(3)に関する外周である一つの方向において一定の角ピッチ(P2)により、互いに間隔を置いて配置されている請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の剥離ユニット(7)は、幾つかのらせん状経路(E1)に沿って分散配置され、かつずらして配置されており、一つのらせん状経路に配置された複数の剥離ユニットは、さらなる一つのらせん状経路に配置された複数の剥離ユニットに対して、軸方向にずらして配置されている請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転子(3)は一つの円筒状の表面(10)を含み、当該円筒状の表面は複数の長手軸方向のストリップ(11)および複数の外周方向のストリップ(12)に分割可能であり、前記複数の剥離ユニット(7)は、前記円筒状の表面(10)の上に分散配置され、かつずらして配置されていて、各々の長手軸方向のストリップ(11)および各々の外周方向のストリップ(12)の上に、一つ以上の剥離ユニット(7)の少なくとも一部が存在する請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の第2剥離ツール(8b)は、幾つかの支持基部(13)の上に分配された態様で載置されており、各々の支持基部(13)は一つの板状の構造を有していて、取り外し可能な態様において前記回転子(3)上に調達されたそれぞれのハウジング受座(14)の中に受け容れられる請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
各々の支持基部(13)が、前記回転子(3)と一つの調整可能な固定システム(SF)によって結合されており、該固定システムは、前記支持基部(13)の一つの半径方向(DR)において位置を変えることが可能であって、これによって前記複数の第2剥離ツール(8b)が前記環状室(4)の中に突き出る程度が変えられ、前記第1点状剥離表面(SR1)と前記第2点状剥離表面(SR2)の間に一つの所望の距離を設定することができる請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の第1剥離ツール(8a)および/または前記複数の第2剥離ツール(8b)は、一つの回転可能な結合器(15)によって、前記固定子(2)および前記回転子(3)の上にそれぞれ適合され、前記結合器は、それぞれの軸の周りに自在に回転することができる請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の剥離ユニット(7)上において、それぞれの第2剥離ツール(8b)が一つ以上のらせん状部分に沿って分散配置されており、該一つ以上のらせん状部分は他の第2剥離ツールのらせん状経路に対して反対方向に巻回されていて、一つの軸方向において前進速度が遅くなるように一つの反推進力が前記容器に加えられる請求項3ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記回転子(3)上において、複数の第1ブレード(16)が前記入口(5)の近傍に、かつ複数の第2ブレード(17)が前記出口(6)の近傍に存在し、それらブレードが前記回転子(3)に対して取り外し可能、かつ角度をもって配向できるように固定される請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の第1ブレード(16)が前記回転子(3)の長手方向の軸(X)に対して傾斜して、かつ前記複数の第2ブレード(17)が前記長手方向の軸(X)に対して平行に配向される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記固定子(2)の前記複数の第1剥離ツール(8a)が、互いに角度的に離れて、および/または複数のらせん状の列に沿って置かれた複数の平行する列に沿って位置決めされる請求項1ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項に記載の装置を用いてプラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための方法であって、以下のステップ:
−一つ以上のらせん状経路(E1)に沿って分散配置された第2先端(9b)を備えた第2剥離ツール(8b)を複数有する前記引き込みおよび推進要素(7)を用いて、前記容器を、前記環状室(4)の内部の長手軸方向の経路に沿って自転して引き込みおよび推進すること、
−前記長手軸方向の経路に沿って前進させている間に、前記複数の第1剥離ツール(8a)および前記複数の第2剥離ツール(8b)を用いて前記容器からラベルを取り除くこと
を含む方法において、
前記複数の第1剥離ツール(8a)の複数の先端(9a)によって規定される一つの第1点状剥離表面(SR1)および前記複数の第2剥離ツール(8b)の複数の先端(9b)のそれぞれによって規定される一つの第2点状剥離表面(SR2)によって生成される剥離動作に、前記容器をさらすことによって前記ラベルが取り除かれ、ここで前記第2剥離ツール(8b)の各々は、前記回転子(3)の回転方向(R)を向くように配置され、前記第1点状剥離表面(SR1)と前記第2点状剥離表面(SR2)の間の距離が、前記入口(5)から前記出口(6)に向かう一つの前進方向に対して長手軸方向および外周方向の両方向において実質的に一定に保たれることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記取り除かれたラベルあるいは取り除かれたラベルの部分が、前記回転子(3)の回転によって生成された空気の流れによって吐き出される請求項13に記載のプラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための方法。
【請求項15】
プラスチック製のチューブ状のラベルがPET容器から取り除かれることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための装置および方法に関するものであり、特に、PETボトルからチューブ状のラベルを除去するための装置および方法に関する。以下の記載においては、PETボトルからチューブ状のラベルを除去することについて述べるが、本願発明は、紙あるいはプラスチック製のラベルを部分的に、および/または全体的にどのような型のプラスチック製の容器からも除去しなければならないような全ての場合について同様に適用される。
【背景技術】
【0002】
食料品のための容器のリサイクル、そして特に飲料のためのPETボトルのリサイクルにおいては、紙あるいはプラスチック製のラベルをまず除去しなければならないことが知られており、例えば、熱収縮性プラスチックでできた糊付けされたチューブ状のラベルであり、それらは、しばしば前述の容器と一体となっている。
【0003】
例えば、米国特許US4.209.344および国際公開WO 9208591から、一つの適切な洗剤を添加したお湯を激しくかき混ぜる一つの槽の中での洗浄工程により紙ラベル一般を取り除くプラントが知られており;この型のプラントは、極めて嵩張ることに加え、大量の水および熱エネルギーの消費を必要とする。
【0004】
一方で、プラスチック製のチューブ状のラベルを取り除くことには特殊な問題が存在しており、例えば、PVC熱収縮性ラベルを容器および/またはPETボトルから取り除くことであり、その除去は従来型のプラントでは極めて困難であり;実際、容器が大きなストレスにさらされると破損してしまい、結果として高い経済的価値を有するプラスチックの損失につながる。
【0005】
プラスチック製のチューブ状ラベルを有するペット容器の使用が食品産業において長年に亘って広がりを増すにつれ、またペット材料の高い価値を考慮すると、消費後の容器および/またはリサイクルする予定のあるボトルの回収は重大な経済的重要性を帯びてきた。
【0006】
消費後材料の回収中、PETボトルは通常圧縮されてベール梱包され、そして固形物や異物、これは一つの適切な洗浄前段階において取り除かれなければならない、とともに大きく変形させられており;その洗浄前段階の後にはボトルは磨り潰されかつさらなる用途のためペレットに変形される前に他の処置を経る。
【0007】
PETのリサイクル工程においてラベルのプラスチックは一つの主要な汚染物質であるため顆粒状に変形する前にラベルの全てあるいはその大部分をPETボトルから取り除くことを試みる様々の技術が開発されてきた。
【0008】
例えば、米国特許4.379.525において一つの方法が提案されており、そこでは、ラベル付きの容器がスターリングによって細かく磨り潰され、磨り潰した顆粒を一つの熱湯の槽中で、ラベルが付着したままの部分を取り除くために撹拌し;次いで、磨り潰された顆粒および処理水のろ過および再循環ステップが、ラベルの材料が完全に取り除かれるまで続けられる。一つの同様の方法は、一つの等価的に複雑なシステムを要求することに加え、多大なエネルギー支出と結果として生じる高い経済的コストを必要とする。
【0009】
独国特許10308500では、容器からラベルを乾式除去する一つの方法が提案されており、磨り潰しの前に、ラベルが付いている容器は、一つの多角形断面を有する一つの穴あきの固定子を含む装置を通過させられるのであるが、その内部では、複数の大きな十字型の治具を含む一つの回転子が回転しており、固定子の内部で軸方向の力と接線方向の力を容器の上に生じさせるのに適している。
【0010】
回転子は、1分当たり500から2500回転という、比較的低い回転数で回転させられているのであるが、提案された解決策を、回収と保管の間に大きく変形され、ラベルが軸に沿って、あるいは横向きに潰されているような容器からラベルを取り除くことに適用するのは困難であり;さらに、回転子のツールの高い接線速度のため、容器の一部がボトルのネック部の脱落によって部分的に壊れ、そして結果として高い経済的価値を有するプラスチックの損失につながり得ることが排除されない。
【0011】
同様に、国際公開WO 2011012113は、PET容器あるいはボトルからラベルを除去する一つの装置であって、一つの円筒状の固定子を含み、その内部で、軸方向に間隔をもって配置された複数のツールを備えた一つの多角形の回転子が回転する装置を提案しており;そのツールは、階段状の断面をもって構成されており、かつ自転して容器を引き込み、またラベルと容器にくっついたままの可能性がある異物を除去するのに適した機械的応力を生成するよう角度的に配向されている。この解決策もまた欠点がないわけではなく、それは、回転子の回転中にツールによって生成される多大な機械的応力および衝撃力により、結果として容器の破損やプラスチックの損失が生じるためである。特に、ツールの階段状の断面により、固定子と回転子の間に隙間が画定され、その厚さは一様でなく、様々のツールの断面のパターンによってゾーン毎にその厚さが変化する。換言すれば、ボトルは隙間の中を前進し、ツールのより突き出た部分において、より狭い通路ゾーンを横断し、そしてツールのより突き出ていない部分において、より広い通路ゾーンを横断する。そのような構成は、ボトルに一つの「ウェッジング(wedging)」および/または、阻止効果を生じさせ得るものであり、しばしば結果として破損が生じるまで多大な機械的応力をボトルに被らせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一般的な目的は、プラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための一つの方法および一つの装置を提供するものであり、特に、PETボトルからプラスチック製のチューブ状のラベルを、全体的におよび/または部分的に除去するためのものであり、一般的に用いられており、およびそれ自体知られているシステムの欠点を克服することができるものである。
【0013】
特に、本発明の一つの目的は、PET容器からラベルを乾式除去するための一つの異なる装置および一つの異なる方法を提供することであり、それによって使用後の容器からラベルを部分的にあるいは全体的に取り除くことが可能となり、しかも多大な応力および有害な衝撃力を与えることがないので、容器が破損し、したがって材料の不要な損失が引き起こされることが避けられる。特に、本発明の一つの目的は、一つの固定子および一つの回転子を含む一つの装置を提供することにあり、これら固定子および回転子は、容器あるいはPETボトルを前進させ、そしてその表面において一様に分散した一つの機械的動作を及ぼし、前述の対象物を、自転引き込みおよび軸方向での前進中にそれらを破損するような機械的応力にさらすことなく、実質的に、ラベルだけを除去するような効果を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の簡単な説明
これらの目的および本発明のさらなる利点は、請求項1による一つの装置、および請求項15によるプラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための一つの方法によって達成することが可能である。
【0015】
特に、本発明の第1の側面において、プラスチック製の容器からラベルを除去するのに適した一つの装置であって:
一つのチューブ状の固定子および一つの回転子であって、容器に対する一つの入口と一つの出口の間において軸方向に延在して一つの環状室を規定するチューブ状の固定子および回転子;
前記環状室の内部において、容器を自転して引き込みおよび推進するために前記回転子の上に載置された複数の引き込みおよび推進要素;
を含み、
前記チューブ状の固定子の上に、複数の第1先端が備えられた複数の第1剥離ツールが存在し、かつ前記引き込みおよび推進要素が、一つ以上のらせん状経路に沿って分散配置された複数の第2先端を備える複数の第2剥離ツールを含み、前記複数の第1先端および前記複数の第2先端は、前記容器のため、前記環状室において、一つの第1点状剥離表面および一つの第2点状剥離表面をそれぞれ規定し、前記第1点状剥離表面および前記第2点状剥離表面の間の距離が、前記回転子に関して、一つの長手軸方向および一つの外周方向において実質的に一定に保たれることを特徴とする装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
この構成により、先述の環状室内部には、容器のために一つの経路間隙が形成され、その間隙は前記第1および第2点状剥離表面によって境界が定められており、該経路間隙は装置の入口および出口の間において一定に保たれた一つの経路区画を有し、容器がくっつき、そして「ウェッジ(wedge)」ゾーンにおいて阻止されるようになって結果として破損するというような従来システムの欠点が防がれる。
【0017】
一つの実施形態では、回転子の上に配置される剥離ツールの位置は、処理される容器の型および形状にしたがって装置の動作が最適化されるように適切な調整可能な固定システムの作用によって、必要な態様で回転子に対して放射状に設置することができる。
【0018】
本発明の第2の側面においては、本発明の第1の側面による装置によってプラスチック製の容器からラベルを乾式除去するための一つの方法が提供され、その方法は次のステップ:
−前記容器を、引き込みおよび推進要素によって、自転して引き込み、そして環状室内部の長手軸方向の経路に沿って前進させること;
−長手軸方向の経路に沿って前進させる間に、複数の第1剥離ツールおよび複数の第2剥離ツールによって容器からラベルを取り除くこと;
を含み、
ラベルは、第1剥離ツールの複数の先端によって規定される一つの点状剥離表面および第2剥離ツールのそれぞれの先端によって規定される一つの第2点状剥離表面によって生成される一つの剥離動作に、容器をさらすことにより除去され、ここで第1点状剥離表面および第2点上剥離表面の間の距離は、入口から出口に向かう前進方向に対して、長手軸方向および外周方向の双方向において実質的に一定に保たれることを特徴とする。
【0019】
さらなる特徴や利点については、本発明による装置を限定的でない例によって示す添付図を活用した以下の記載から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明による装置の一つの斜視図であり、一部の外部ケーシングが取り除かれている。
【
図3】
図3は、
図2におけるIII−III面に沿った一つの断面図である。
【
図4】
図4は、本装置の一部区分された一つの縦断面図である。
【
図5】
図5は、本装置に含まれる一つの回転子の一つの側面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI−VI面に沿ってとった一つの断面図である。
【
図7】
図7は、
図5のVII−VII面に沿ってとった一つの断面図である。
【
図8】
図8は、本回転子の一つの剥離ユニットの一つの詳細図である。
【
図9】
図9は、本回転子の一つの平面展開図の一つの概略図であり、そこには、いくつかの引き込みおよび推進要素が分散配置されており、複数の剥離ツールが含まれていることが図解されている。
【
図10】
図10は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第1実施形態を示している。
【
図11】
図11は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第1実施形態を示している。
【
図12】
図12は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第1実施形態を示している。
【
図13】
図13は、第1の実施形態による一つの剥離ツールの一つの背面図である。
【
図14】
図14は、
図13のXIV−XIV面に沿ってとった剥離ツールの一つの断面図である。
【
図15】
図15は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第2実施形態を示している。
【
図16】
図16は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第2実施形態を示している。
【
図17】
図17は、さまざまの視点における、剥離ツールの一つの第2実施形態を示している。
【
図18】
図18は、剥離ツールの第2の実施形態の一つの背面図である。
【
図19】
図19は、
図18のXIX−XIX面に沿ってとった本剥離ツールの一つの断面図である。
【
図20】
図20は、本固定子の第1の実施形態の一つの正面図である。
【
図22】
図22は、本固定子の第2の実施形態の一つの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図を参照すると、一つの装置1の一般的な特徴が、本発明によるプラスチック製容器からラベルを乾式除去するためのものとして、以下に開示されている。
【0022】
装置1は、消費後のプラスチック製のいかなる型の容器からもラベルを乾式除去するのに適しており、特に、PET製の容器あるいはボトルから、プラスチック製のチューブ状のラベルを取り除くために適切に適用される。
【0023】
装置1は、一つの外部ケース、それは一つの入口5を有していて、入口5は、これから処理される容器を取り込むためのものであり、また処理済みの容器およびラベル、及び/または取り除かれたラベルの一部のための一つの出口6を含む。
【0024】
装置1は、一つのチューブ状の固定子2であって、入口5から出口6の間を軸に沿って延在する固定子、および一つの回転子3であって、一つの縦軸Xを有し、固定子3を超えて、入口5および出口6に向かって延在することができる一つの回転子を含む。
【0025】
チューブ状の固定子2および回転子3の間には、一つの環状室4が、それに沿って容器が進むように規定されている。
【0026】
回転子3は、二つの端部支持ユニットによって支持されており、操作上一つの電気制御モーター18に接続されていて、そのモーターはらせん状経路に沿って容器を自転して引き込みおよび推進するのに適した1分当たりの回転数で回転し、以下に記載するように、入口5と出口6の間で、回転子3の周辺速度を、ラベルの破損や一部および/または全体の除去を生じさせるのに適切な速度に保つ一方、容器は回転させられ、また滑走して、容器が損傷を受けることなく、下に示すように、下記剥離ツール8a、8bと接触する。例えば、電気制御モーター18は、回転子3が500および1100rpmの間を含む一つの角速度で回転するように、構成され得る。
【0027】
回転子3の上では、複数の第1ブレード16が入口5に、また複数の第2ブレード17が出口6に存在し、それらは取り外し可能なように、または回転子3に対して角度をもって配向するように固定される。特に、複数の第1ブレード16は、回転子3の長手方向軸Xに対して傾斜しており、これにより進行方向において容器に推進力を与えることができる。複数の第2ブレード17は、出口6に向けて容器を排出しなければならないので、長手方向軸Xに平行に配置されており、容器に、前述の長手方向軸Xに垂直な方向の、一つの直接排出推進力を与える。
【0028】
回転子3は、一つの円筒状の胴体であって、一つの外部円筒状表面10を有し、その上に引き込みおよび推進要素7が載置され、環状室4の内部において、入口5から出口6まで、容器を回転させて引き込み推進するために構成された円筒状の胴体を含む。
【0029】
チューブ状の固定子2の上には、複数の第1先端9aが備えられた複数の第1剥離ツール8aが存在するのに対し、前述の引き込みおよび推進要素7は、複数の第2先端9bが備えられた複数の第2剥離ツール8bを含み、これらの第2先端は一つ以上のらせん状経路E1に沿って分散配置されている。
【0030】
複数の第1先端9aおよび複数の第2先端9bは、容器のために、環状室4の中に、一つの第1点状剥離表面SR1および一つの第2点状剥離表面SR2をそれぞれ規定する。
【0031】
第1点状剥離表面SR1および第2点状剥離表面SR2の間の距離は、回転子3に関して、長手軸方向および外周方向において実質的に一定に保たれる。
【0032】
剥離ツール8の特別な配置および構成、さらにそれぞれの先端9の特別な分散配置により、環状室4の内部で、一つの経路間隙であって、第1点状剥離表面SR1および第2点状剥離表面SR2によって境界が定められた経路間隙が容器のために規定され、その経路間隙は環状室4に沿って一定に保たれる一つの経路断面を有する。この構成は、必然的な容器の破損を伴う「ウェッジ(wedge)」効果を発生させる、可変断面を有するゾーン内に容器がつかえ、また阻止され得る従来システムに固有の欠点を有利に防ぐ。
【0033】
一つの実施形態、それは下に詳述される、においては、回転子の上に置かれた剥離ツール8の位置は、回転子に対して放射状に設置することができ、それは、処理される容器の型および形状にしたがって装置の動作が最適化されるように適切に調整可能な固定システムの作用によって、必要な態様でなされる。
【0034】
純粋な例示として、回転子3と固定子の間の環状間隙は、30mmと60mmの間の一つの厚さを有することができる。
【0035】
複数の第1剥離ツール8aおよび複数の第2剥離ツール8bの各々は、一つの円錐台形状基部23A、一つの針状の部分23Bであって、部分的に環状室4の中に突き出ている針状の部分、および一つの胴部23Cであって、固定子2および/または回転子3の上に取り外し可能な咬み合わせを許容する胴部を含む。
【0036】
複数の剥離ツールは機械抵抗および硬度が高い材料で作られており、一部は鋳鉄あるいはスチールとすることもでき、そして先端9は、例えば、タングステンスチールあるいはカーバイドスチールで作られている。
【0037】
回転子3上に適合される引き込みおよび推進要素は、幾つかの剥離ユニット7を含み、該剥離ユニットは、その各々が同じ板状の支持基部13の上に適合された一定の数の第2剥離ツール8bからなる。図示された例では、各々の剥離ユニット7は、それぞれの支持基部13上で実質的に対角線に従って配置された5つの剥離ツール8bを含む。それにもかかわらず、第2剥離ツール8bの数および配置は制限されず、個別のプロセス上の必要性に基づいて選択することが可能である。
【0038】
複数の剥離ツール7は、回転子3に向かう長手軸方向において一定の軸方向ピッチP1によって、かつ回転子3の外周である一つの方向において一定の角ピッチP2によって互いに隔てられている。上記間隔P1およびP2は、必要なプロセス要件によって適切に選択される。例えば、軸方向の間隔P1は、制限的でない態様において、50mmと100mmの間に含まれ得るものであり、例として全長3mにほぼ等しい長さ、かつ400mmと800mmの間に含まれる直径、例として600mmの直径、を有し得る一つの回転子のため、約70mmに等しくすることができる。剥離ユニット7の数および相互間距離および位置は、容器の正常な流れを許容するように適切に選択される。
【0039】
角ピッチP2は、ある事例では、60°とすることができ;それにもかかわらず、角ピッチP2は、回転子3の直径および特別の使用上の要請により、上記値よりも大きく、あるいは小さくすることができる。
【0040】
複数の剥離ユニット7は、幾つかのらせん状経路E1に沿って分散配置され、かつずらして配置される;換言すれば、一つのらせん状経路の剥離ユニットは、回転子3に巻かれる一つのさらなるらせん状経路の複数の剥離ユニットに対して軸方向にずらされて配置される。
【0041】
図9は、平面展開によって示された回転子3の表面10の上の複数の剥離ユニット7の配置を図式的に強調している。
【0042】
回転子3の表面10が長手軸方向のストリップ11に細分化され、かつ外周ストリップ12に細分化される場合、それらは、
図9の中に表面10の平面展開上に描かれているのであるが、複数の剥離ユニット7が、どのようにして各々の長手軸方向ストリップ11および各々の外周ストリップ12の上で、一つ以上の剥離ユニット7の少なくとも一部が存在するように、分散配置され、かつ相互にずらされて配置されているかについて注目すべきである。これは、回転子3上の剥離ツール8bの良く分布した配置が得られることを可能にし、それと固定子2上の剥離ツール8aの分布との相乗効果により容器の剥離作用がより効果的になることを意味する。
【0043】
複数の第1剥離ユニット8aは、固定子2の上に載置されており、回転子3に向かう半径方向内に実質的に配向されている。
【0044】
回転子3の上に載置された複数の第2剥離ツール8bの各々は、回転子3の長手方向の軸Xに垂直な平面に沿って延在し、そして長手方向の軸Xに垂直に入射する一つの直線Roに対して一つの角度Ωだけ傾斜した各々の軸Aとともに延在する。複数の第2剥離ユニット8bの各々は、回転子3の回転方向Rを向くように配向される。
【0045】
複数の第2剥離ツール8bのこの特別の配向は、それらの容器に対する剥離動作が正しい向きに向けられ、かつ効率的になされることを可能とするものであり、それには、複数の第2剥離ツール8bが、それらによって動く、回転方向と接線速度が考慮されている。
【0046】
複数の剥離ユニット7それぞれの支持基部13の各々は、回転子3の上に得られるそれぞれのハウジング受座14の中に着脱可能に受け容れられる。
【0047】
特に、各々の支持基部13は、回転子3と調整可能な固定システムSFによって結合され、その調整可能な固定システムは、回転子3との関係で支持基部13の一つの半径方向DR内でその位置を変化させることができる。したがって、環状室4の中における複数の第2剥離ツール8bの必要な突出度合いを、第1点状剥離表面SR1と第2点状剥離表面SR2の間の一つの要求距離に設定することを可能とするように選ぶことができる。
【0048】
図7により良く図解したように、基部13とハウジング受座14の間に、一つの適切な厚さを有する複数の間隔保持部材を収納することが可能な一つの間隙が規定され、それにより回転子3の表面10に対して剥離ユニット7の必要な突き出し量を決定することが可能となる。
【0049】
第1の実施形態では、
図10から14を参照すると、複数の剥離ツール8が、固定子2および/または回転子3上において、複数の環状要素19a、複数の丸ナット要素19b、複数の締め付けリング19cおよび丸ナット要素19b上に得られた穴19eに係合する安全スクリュー19dを含む適切な固定手段19によって一つの固定された位置に適合されている。
【0050】
第2の実施形態では、複数の第1剥離ツール8aおよび/または複数の第2剥離ツール8bは、それぞれ固定子2および回転子3の上に、一つの回転可能な結合器15によって載置されており、その結合器は、例えばシーガーリング15bのような係合要素と協働する適切な複数の環状受座15aからツールの胴部を受け容れるための一つの開口21を有する一つの支持部分20によって規定される。この配置は、複数の剥離ツールがそれぞれの軸の周りに自由に回転することを可能とし、それらツールのより効率的な動作という恩恵および各々の剥離ツール8の先端の表面全体に渡って一様に分布する態様で進行する摩耗を遅らせるという恩恵をもたらす。
【0051】
固定子2は、特に、幾つかの相互に結合可能かつ固定可能な部分から作られる。例として示し、また開示した実施形態では、固定子2は、四つの区画によって規定されており、それら区画は、適切な固定手段によって互いに固く結合されている。固定子2は、一つの実施形態では、一つの環状の形状を有しており、それは
図22および23に示されている。
【0052】
図20および21に示された、一つの好適な実施形態では、固定子2は一つの多角形形状の断面を有する。この形状は、容器が、自転引き込み中に、より倍加された衝撃動作を被るという点において有利であり、そして、その結果、剥離ツール8に対するより著しくかつ強烈な相互作用および容器の滑走をもたらす破砕動作を被ることになる。
【0053】
固定子2の上に置かれた複数の第1剥離ツール8aは、平行な複数の列に沿って整列され、その列は、互いの間に、および/または複数のらせん状の列に沿って、角度的な間隔が空けられている。
【0054】
装置1の一つの実施形態として、剥離ユニット7の幾つかを、反推進剥離ユニット7’として規定することができるものとして、容器に一つの反推進力を働かせるように構成することができ、このことは出口6に向かう一つの軸方向内の通常の前進と対照をなす。特に、そのような複数の反推進剥離ユニット7’のそれぞれの第2ツール8bは、一方において容器の一つの軸方向内の前進に寄与する他の複数の第2剥離ツール8のらせん状経路E1とは逆方向に巻回される一つ以上のらせん部分に沿って分散分配される。この態様では、複数の反推進剥離ユニット7’は、容器に、それらの軸方向における前進速度を低下させるのに役立つ一つの反推進力を働かせる。これは、容器が、時期尚早に、大急ぎで環状室4から離れ去ってしまうことを防ぎ、一方において、全てのラベルを除去するためにツールから適切な剥離動作を受けるのに十分な時間の間、容器を環状室4に留めることを確実にする。
【0055】
複数の剥離ツール8aおよび8bは、他の既知の型の装置とは異なり、容器からラベルを破砕し、剥離するための一定の摩擦をもって単純に動作し、害を及ぼす応力の発散あるいは容器の損傷を伴わない。本記述においては、環状室4の中に部分的に突き出る一つの円錐台形状基部23Aおよび一つのさらなる針状の部分23Bを有する複数の剥離ツール8aおよび8bが参照される。この幾何学的構造は、同時に複数の剥離ツール8の端部の間の一つの適切な距離および複数の剥離ツール8の基部の間の一つの狭い間隙を維持することを可能にし、これにより容器の詰まりが避けられる。
【0056】
それにもかかわらず、複数の剥離ツールのさらなる幾何学的構成を、ラベルに対する剥離および引き裂き動作を実施するための先端が剥離ツールに備えられているといった状況に応じて構想することができる。例えば、複数の剥離ツールは、鋭い先端あるいは少し丸みを帯びた先端で終端している単純な円筒状のピンで構成することができ;そのような剥離ツールは固定子2の内側に、例えば、環状室4の半径方向の高さの半分より少し大きくあるいは小さい量に等しい部分だけ突き出ることが可能であり;さらに、複数の剥離ツール8の間の距離、あるいは間隔は、ラベルを引き裂き剥離する極めて多くの点が備えられるよう、また同時に、ボトルや容器が、それらが変形した状態において、隣接するツール間の間隙の中で詰まりあるいは阻止されたりすることがないように選択されなければならない。
【0057】
動作中、容器は、入口5を通って装置1に搬送され、剥離ユニット7を含む引き込みおよび推進要素によって自転して引き込まれ、そして環状室4内部の長手軸方向の経路に沿って軸方向に前進させられる。前進中、ラベルは、複数の第1剥離ツール8aおよび複数の第2剥離ツール8bにより剥離され、それぞれの容器から取り除かれる。剥離ツールの配置により、容器は、複数の第1剥離ツール8aの複数の先端によって規定される第1点状剥離表面SR1および複数の第2剥離ツール8bの複数の先端によって規定される第2点状剥離表面SR2によって生成される剥離動作にさらされる。第1剥離表面SR1と第2剥離表面SR2の間の距離が長手軸方向と外周方向の双方において実質的に一定に保たれるという事実により、ラベルを取り除くための効果的な剥離動作が達成され、その動作は断面が変化する領域内で容器が詰まることなく、あるいはウェッジ状態になることなく実行される。
【0058】
剥離工程中、取り除かれたラベルあるいは取り除かれたラベルの部分は、回転子3の回転によって生成される空気の流れによって吐き出される。
【0059】
これまでに述べ、また添付図に示した事柄から、プラスチック製の容器からラベルを乾式除去することを可能にする一つの方法および一つの装置が提供されることが明らかであり、特に、容器あるいはPETボトルからチューブ状のラベルを取り除くことができ、それも多大な応力および有害な衝撃力を与えることなく実施されるので、容器が破損し、結果として生じる望ましくない材料の損失を被ることが避けられる。特に、本発明により、一つの固定子と一つの回転子を備えた一つの装置であって、一様に分布し、かつ、例えば、実質的に除去効果だけを有する機械的作用を容器の表面上に与えることができ、上述のボトルあるいは容器に、自転引き込みおよび軸方向への前進中にそれらを損傷し得るような機械的応力を被らせることがない装置が提供された。
【0060】
さらに、これまでに述べ、また添付図に示した事柄は、単に本発明による方法およびその一般的な特徴、さらに本発明による装置の幾つかの好適な実施形態を例示するために述べられたものである。したがって、他の様々の変更あるいは変形を、装置の全体あるいはその一部、およびそれぞれの動作方法に、特許請求の範囲を外れることなく加えることが可能である。