特許第6441915号(P6441915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441915
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】半導体パッケージ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/10 20060101AFI20181210BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20181210BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20181210BHJP
   B22F 7/08 20060101ALI20181210BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20181210BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20181210BHJP
   C22C 26/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   H01L23/10 Z
   H01L23/10 B
   H01L23/36 M
   H01L23/40 F
   B22F7/08 E
   B22F1/02 B
   B22F1/00 K
   C22C26/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-523497(P2016-523497)
(86)(22)【出願日】2015年5月26日
(86)【国際出願番号】JP2015065014
(87)【国際公開番号】WO2015182576
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-109597(P2014-109597)
(32)【優先日】2014年5月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮川 健志
(72)【発明者】
【氏名】紀 元徳
(72)【発明者】
【氏名】石原 庸介
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−340560(JP,A)
【文献】 特開2012−158817(JP,A)
【文献】 特開2001−168140(JP,A)
【文献】 特開2002−126869(JP,A)
【文献】 特開2000−303126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/10
B22F 1/00
B22F 1/02
B22F 7/08
C22C 26/00
H01L 23/373
H01L 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱部材、接合層、絶縁部材の順に積層されている半導体パッケージであって、
前記放熱部材がダイヤモンド粒子とアルミニウムを含有する金属とを含むアルミニウム−ダイヤモンド系複合体からなり、
前記放熱部材と前記絶縁部材とを接合する前記接合層が平均粒径が1nm以上100μm以下の酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材を用いて形成されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
アルミニウム−ダイヤモンド系複合体のダイヤモンド粒子の含有量が、前記アルミニウム−ダイヤモンド系複合体全体の40体積%以上75体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁部材がアルミナ、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記放熱部材と前記接合層との接合部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記絶縁部材と前記接合層との接合部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記放熱部材の半導体素子の実装部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
放熱部材と絶縁部材と接合層とを含む半導体パッケージを製造する方法であって、
前記放熱部材と前記絶縁部材との接合部に平均粒径が1nm以上100μm以下の酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材を設ける工程と、
180℃以上550℃以下の温度で加熱し、前記複合材を前記放熱部材と前記絶縁部材とを接合する接合層とする工程とを含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光通信等に用いられる半導体レーザー素子や高機能MPU(マイクロプロセッシングユニット)等の半導体素子では、同素子から発生する熱を如何に効率的に逃がすかが、動作不良等を防止する為に非常に重要である。これら半導体素子は一般的には半導体パッケージに収納され使用されることから、このパッケージに収納された半導体素子を安全かつ安定に動作させるために、素子の動作時に発生する熱をパッケージの外へ効率良く放散させる必要がある。この熱放散は通常、発熱源である半導体素子からこれと接合された放熱部材を通じて熱伝達させることで達成される。
【0003】
近年、半導体素子の技術の進歩に伴い、素子の高出力化、高速化、高集積化が進み、ますます、その放熱に対する要求は厳しくなってきている。この為、一般には、半導体パッケージの放熱部材に対しても、高い熱伝導率が要求され、熱伝導率が390W/mKと高い銅(Cu)が用いられている。
【0004】
その一方で、半導体素子の高出力化にともない、その動作温度も高くなっており、半導体素子と直接接合される半導体パッケージの放熱部材との熱膨張のミスマッチの問題が顕在化してきた。これらの問題を解決する為には、高熱伝導という特性と半導体素子との熱膨張率のマッチングを両立する放熱部材の開発が求められている。このような材料として、金属とセラミックスの複合体、例えばアルミニウム(Al)と炭化珪素(SiC)の複合体がある(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、Al‐SiC系の複合材料においては、如何に条件を適正化しても熱伝導率は300W/mK以下であり、銅の熱伝導率以上の更に高い熱伝導率を有する放熱部材の開発が求められている。このような材料として、ダイヤモンドの持つ高い熱伝導率と金属の持つ大きな熱膨張率とを組み合わせて、高熱伝導率で且つ熱膨張係数が半導体素子材料に近い、金属‐ダイヤモンド複合材料が提案されている(特許文献2)。
【0006】
また、特許文献3では、ダイヤモンド粒子の表面にβ型のSiC層を形成することで、複合化時に形成される低熱伝導率の金属炭化物の生成を抑えると共に、溶融金属との濡れ性を改善して、得られる金属−ダイヤモンド複合材料の熱伝導率を改善している。この金属‐ダイヤモンド複合材料の最も好ましい形態として、金属マトリックスとしてアルミニウムを用いることが提案されている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開平9−157773号公報
【特許文献2】特開2000−303126号公報
【特許文献3】特表2007−518875号公報
【発明の概要】
【0008】
これら金属−セラミックス複合体からなる放熱部材を半導体パッケージとして用いる場合には、該放熱部材の上に、接合材Aを用いて絶縁部材を接合し、更に放熱部材の上若しくは絶縁部材の上に接合材Bを用いて半導体を接合する。これら接合材には一般的に活性金属を用いたろう材等が用いられるが、その接合温度は接合材Aの接合温度が接合材Bよりも低いと、接合材Bを使用する際に接合材Aが溶融してしまう為、接合材Aの方が接合材Bよりも接合温度が高くなければならない。
アルミニウムをマトリックスとする金属‐セラミックス複合体を放熱部材として用いる場合には、アルミニウムの溶融温度が600℃付近であることから、放熱部材と絶縁部材の接合材としては金を含有するろう材を用いるのが一般的であったが、金は地金の値段も高く、コストがかかるといった課題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、安価で放熱性に優れた半導体パッケージを提供することにある。
【0010】
本発明によれば、放熱部材、接合層、絶縁部材の順に積層されている半導体パッケージであって、前記放熱部材がダイヤモンド粒子とアルミニウムを含有する金属とを含むアルミニウム‐ダイヤモンド系複合体からなり、前記放熱部材と前記絶縁部材とを接合する前記接合層が平均粒径が1nm以上100μm以下の酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材を用いて形成されていることを特徴とする半導体パッケージが提供される。
【0011】
本発明の一態様では、前記半導体パッケージにおいて、アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体のダイヤモンド粒子の含有量が、前記アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体全体の40体積%以上75体積%以下である。
【0012】
本発明の一態様では、前記半導体パッケージにおいて、前記絶縁部材がアルミナ、窒化ケイ素又は窒化アルミニウムである。
【0013】
本発明の一態様では、前記半導体パッケージにおいて、前記放熱部材と前記接合層との接合部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されている。
【0014】
本発明の一態様では、前記半導体パッケージにおいて、前記絶縁部材と前記接合層との接合部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されている。
【0015】
本発明の一態様では、前記半導体パッケージにおいて、前記放熱部材の半導体素子の実装部に、Ni、Ag又はAuを含有する少なくとも1種のメッキ処理が施されている。
【0016】
本発明によれば、放熱部材と絶縁部材と接合層とを含む半導体パッケージを製造する方法であって、前記放熱部材と前記絶縁部材との接合部に平均粒径が1nm以上100μm以下の酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材を設ける工程と、180℃以上550℃以下の温度で加熱し、前記複合材を前記放熱部材と前記絶縁部材とを接合する接合層とする工程とを含むことを特徴とする半導体パッケージの製造方法が提供される。
【0017】
本発明によれば、安価で放熱性に優れた半導体パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態の半導体パッケージの概念的な断面図である
図2】本発明の実施形態の半導体パッケージを用いた半導体素子の実装例を示す概念的な断面図である
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態を説明する。図1は、本実施形態の半導体パッケージの概念的な断面図である。本実施形態の半導体パッケージは放熱部材2、接合層3、絶縁部材1の順に積層されてなる。
【0020】
本実施形態に係る放熱部材2は、ダイヤモンド粒子とアルミニウムを含有する金属とを含む平板状のアルミニウム‐ダイヤモンド系複合体からなることが好ましい。放熱部材2は、アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体の複合化部及び該複合化部の両面に設けられた表面層からなる構成としてもよい。
【0021】
アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体におけるダイヤモンド粒子の含有量は、該アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体の複合化部と表面層とからなる複合体全体の40体積%以上75体積%以下であることが好ましい。ダイヤモンド粒子の含有量が40体積%以上であれば十分な熱伝導率が得られ、またダイヤモンド粒子の含有量が75体積%以下であればダイヤモンド粒子とアルミニウムとによる複合体の形成が容易となる。
【0022】
アルミニウム‐ダイヤモンド系複合体の複合化部の両面を被覆する表面層は、アルミニウム合金などの、主にアルミニウムを含有する金属を含む材料からなるが、アルミニウムを含有する金属以外の物質が含まれていてもよい。該表面層はアルミニウムを80質量%以上含むことが好ましい。
【0023】
本実施形態の放熱部材2の厚みは100μm以上5mm以下であることが好ましい。放熱部材2の厚みが100μm以上であれば半導体パッケージの材料としての強度、剛性を十分に得ることができ、放熱部材2の厚みが5mm以下であれば部材としてのコストが安価となり、半導体パッケージとして好ましい。
放熱部材2中の表面層の厚みは特に制限はないが、放熱特性が良好となることから、表裏層それぞれが放熱部材2の厚みの20%以下であることが好ましい。
【0024】
放熱部材2と接合層3との接合部にメッキを施してもよい。また放熱部材2は、半導体素子と半田付けにより接合して用いられるため、放熱部材2の半導体素子の実装部(放熱部材と半導体素子との接合部)にメッキを施してもよい。
【0025】
放熱部材2にメッキ処理を施す場合、Niメッキ、又は半田濡れ性を考慮してNiメッキとAuメッキの二層メッキを施すことも可能である。Auメッキの代わりにAgメッキを用いることも可能である。メッキ処理の方法は特に限定されず、無電解メッキ処理、電気メッキ処理法のいずれでもよい。
メッキの厚みは0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。メッキ厚みが0.5μm以上であれば、メッキピンホールや半田付け時の半田ボイド(空隙)の発生を防ぐことができ、半導体素子からの放熱特性を確保することができる。また、メッキの厚みが10μm以下であれば、低熱伝導率のメッキ膜の影響を受けず、半導体素子からの放熱特性を確保することができる。
【0026】
メッキ膜の純度に関しては、半田濡れ性に支障をきたさないものであれば特に制約はなく、リン、硼素等他の成分を含有していてもよい。
【0027】
本実施形態の接合層3としては、酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材、あるいは、酸化銀微粒子及び有機被膜銀微粒子を含む複合材を用いるのが好ましい。
【0028】
上記酸化銀微粒子としては、酸化銀(AgO、AgO)が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1種類以上の金属を用いることができる。
【0029】
上記有機被膜銀微粒子とは、銀からなる核の周囲が有機保護膜により被覆されたものを意味する。有機被膜としてはC、H及び/又はOを含有する有機物であれば特に制限はないが、その例として脂肪族カルボン酸やアミン化合物が挙げられる。
【0030】
酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子の平均粒径は1nm以上100μm以下、好ましくは1nm以上50μm以下が望ましい。
平均粒径が100μm以下であれば、粒子間の隙間を小さくすることができ、緻密な接合層を得ることができる。また、平均粒径が1nm以上であれば、金属酸化物粒子自体の作製が容易となる。
【0031】
また酸化銀微粒子及び有機被膜銀微粒子について、粒径の小さいものと粒径の大きいものとを混合することにより、銀微粒子をより細密に充填することができる。
【0032】
また、酸化銀微粒子を用いる場合には、表面の酸化銀を還元する還元剤を併用する必要があり、還元剤としては、金属酸化物粒子を還元する作用を有するものであればよい。
還元剤としては、例えば、アルコール類、カルボン酸類、アミン類の他、アルデヒド基やエステル基、スルファニル基、ケトン基などを含む有機物、あるいはカルボン酸金属塩などの有機物を含有する化合物を用いても良い。
【0033】
酸化銀微粒子や有機被膜銀微粒子は必要に応じて溶剤等に分散し、ペースト状の接合材として用いることも可能である。当該ペーストには前記還元剤の他、分散剤や粘度調整剤、焼成を促進する他の金属成分等を適宜加えることが可能である。
これらペースト中の有機成分は酸化銀微粒子や有機被膜銀微粒子の焼成温度で95%以上の重量減少があるものを用いることが好ましい。有機成分の重量減少が95%以上であれば結合層の緻密化が十分に達成できる。尚、ここでいう重量減少とは市販のTG‐DTA測定装置により大気中で10℃/minの昇温速度で測定を行った数値を言う。
【0034】
接合層3の厚さは特に制約がないが、接合材の供給量及び接合工程の簡便性を考慮して、5μm以上200μm以下であることが望ましい。
【0035】
絶縁部材1の材質としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化ベリリウムなどを用いることが可能である。
【0036】
絶縁部材1にはメッキを施してもよい。メッキ処理の方法は特に限定されず、無電解メッキ処理、電気メッキ処理法のいずれでもよい。具体的な例としてはNiメッキ又は、NiメッキとAuメッキの二層メッキを施すことも可能であるし、Auメッキの代わりにAgメッキを用いることも可能である。
メッキの厚みは0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。メッキ厚みが0.5μm以上であれば、メッキピンホールを防ぐことができ、半導体素子からの放熱特性を確保することができる。また、メッキの厚みが10μmを超えるとコストが高くなってしまう。
【0037】
絶縁部材1と接合層3との接合部にメッキを施すことで、接合層3との接合性が良好になるといった効果がある。
【0038】
接合層3の絶縁部材1及び放熱部材2に対する接合温度は半導体パッケージで利用する他の部材の融点よりも低く、かつ有機溶媒が揮発するのに十分高くする必要がある。
また、接合後の半導体パッケージの応力を低減するためには接合温度が低い方が望ましい。具体的には180℃以上550℃以下の接合温度であれば、他の部材への温度の影響を与えずに接合が可能である。一方、得られた半導体パッケージに半導体を実装する工程において、半田の接合時に接合層3が溶融することを避けるために、接合温度は300℃以上であることが好ましい。
【0039】
本実施形態の接合層3を形成する好適な形態の一つは、ペースト化した接合材を部材間に塗布し、加熱、加圧を経て接合層を形成するものである。しかし、接合材の形態はペースト状に限定されず、シート状の接合材を用いることも可能である。
【0040】
上記の実施形態に係る半導体パッケージは、安価で放熱性に優れ、パワー半導体モジュール等に好ましく適用することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施形態の半導体パッケージを用いた半導体素子の実装例を示す概念的な断面図である。半導体8は半田接合層7を介して放熱部材2に接合される。ふた材5はふた材接合層4を介して絶縁部材1に接合される。ふた材接合層4の材料はAu系ろう材、あるいは接合層3と同様の材料を用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0043】
[実施例1]
放熱部材として平均粒子径130μmのダイヤモンド粒子の含有量が、アルミニウム−ダイヤモンド系複合体全体の60体積%であり、アルミニウム含有量が99%以上のアルミニウム表面層が表裏ともに50μmであり、全体厚みが1.5mmのアルミダイヤモンド複合体を10mm×10mmのサイズに加工した。
接合層としてアミン化合物(オクチルアミン)により被膜された平均粒子径8nmの銀微粒子と平均粒子径190nmの銀微粒子を質量比1:7の割合で混合した混合粉末をターピネオールに分散させ固形分比率70質量%のペーストを用いた。当該のペーストを前記アルミニウム−ダイヤモンド複合体に10μmの厚さで塗工し、絶縁部材として厚み1mmのアルミナを用いて真空下で520℃にて接合を行い、Niメッキを施し、更にAuメッキを施し半導体パッケージを得た。
【0044】
[実施例2]
放熱部材、絶縁部材ともに接合前にNiメッキを施し、接合後にAuメッキを施した以外は実施例1と同様にして半導体パッケージを得た。
【0045】
[実施例3]
放熱部材、絶縁部材ともに接合前にNiメッキを施し、更にAuメッキを施した以外は実施例1と同様にして半導体パッケージを得た。
【0046】
[比較例]
放熱部材としてダイヤモンド粒子の含有量が、アルミニウム−ダイヤモンド系複合体全体の60体積%であり、アルミニウム表面層が表裏ともに50μm、全体厚みが1.5mmのアルミダイヤモンド複合体を10mm×10mmのサイズに加工した。
接合層としてAg:40質量%、Cu:30質量%、Zn:30質量%のろう材を用いた。該ろう材のペーストを前記アルミニウム−ダイヤモンド複合体に10μmの厚さで塗工し、絶縁部材として厚み1mmのアルミナを用いて真空下で550℃にて接合を行った。
【0047】
実施例1から3では十分な接合を得ることができ、半導体パッケージを作製することができたが、比較例では十分な接合が得られず、半導体パッケージを作製することができなかった。これは、比較例の接合温度では接合材(ろう材)が十分に溶融しなかったためである。一方、比較例の接合材が十分に溶融する温度まで上げると、他の部材が溶融して形状が崩れてしまう。
【0048】
上記の結果からわかるように、実施例1から3の半導体パッケージは、十分な接合が得られた。このように接合された半導体パッケージでは、放熱性に優れるという利点を有する。また接合層には、比較的安価である酸化銀微粒子又は有機被膜銀微粒子を含む複合材が用いられている。このことから、本発明により、安価で放熱性に優れた半導体パッケージが提供されることが理解される。
【符号の説明】
【0049】
1 絶縁部材
2 放熱部材
3 接合層
4 ふた材接合層
5 ふた材
6 リード
7 半田接合層
8 半導体
図1
図2