(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441918
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】構成部材を支持構成部材に締結する装置
(51)【国際特許分類】
F16B 37/08 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
F16B37/08 B
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-525571(P2016-525571)
(86)(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公表番号】特表2016-540163(P2016-540163A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】US2014053946
(87)【国際公開番号】WO2015065583
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年6月23日
(31)【優先権主張番号】102013111949.2
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014103535.6
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト スボンク
【審査官】
保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−520934(JP,A)
【文献】
米国特許第08272083(US,B1)
【文献】
米国特許第06050766(US,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02751703(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B5/00−5/12
23/00−43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成部材(42)を、ボルトを備える支持構成部材(38)に締結する装置であって、前記ボルトは、特に、ねじ付きボルト(40)若しくは溝付きボルト(54)、又は少なくとも部分的に球状のボルト(90)であり、該装置は、少なくとも部分的に弾性の締結部品(22)と、装着状態において該締結部品(22)を収容するハウジング部品(10)とを備え、該ハウジング部品(10)及び該締結部品(22)は、前記装着状態において、前記ボルトを導入方向に導入する導入部(36)を有し、該導入部(36)を画定する前記締結部品(22)の内壁には、前記ボルトにラッチする少なくとも1つのラッチ要素が設けられ、前記締結部品(22)及び前記ハウジング部品(10)は、少なくとも1つの力伝達面をそれぞれ有し、該力伝達面(18、18’、20、20’、32、32’、34、34’)は、前記装着状態では互いに対面し、操作時に生じる少なくとも1つの引張力を伝達し、該力伝達面(18、18’、20、20’、32、32’、34、34’)は、前記導入部(36)の前記導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面にそれぞれ配置され、それにより、該装置に作用する引張力(50)が、前記締結部品(22)上に、前記導入部(36)に対して径方向内方に作用する力を生成し、
前記締結部品(22)は、接続部(24)と、該接続部(24)から延びる2つの弾性アーム部(26、26’、28、28’)とを有し、該弾性アーム部(26、26’、28、28’)は、前記装着状態ではクリップのように前記ハウジング部品(10)の回りに係合する、装置。
【請求項2】
該装置に作用する圧迫力(46)が、前記締結部品(22)上に、前記導入部(36)に対して径方向外方に作用する力を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジング部品(10)及び前記締結部品(22)は、前記導入部(36、62)の両側に形成された、少なくとも2つの力伝達面(18、18’、20、20’、32、32’、34、34’)をそれぞれ有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジング部品(10)及び前記締結部品(22)は、前記導入部(36)の前記導入方向において離間するとともに該導入部(36)の該導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面にそれぞれ配置される、少なくとも2つの力伝達面(18、18’、20、20’、32、32’、34、34’)をそれぞれ有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記導入部(36)の前記導入方向において離間する、前記締結部品(22)の前記力伝達面(32、32’、34、34’)及び前記ハウジング部品(10)の前記力伝達面(18、18’、20、20’)は、互いに平行な平面にそれぞれ配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジング部品(10)は2つのリセス(16)を有し、前記装着状態では、前記リセス(16)の各々に1つのアーム部(26、26’、28、28’)が収まる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記リセス(16)の各々には、前記導入部(36)の前記導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される少なくとも1つのまたは少なくとも2つの力伝達面(18、18’、20、20’)が形成され、同様に、前記アーム部(26、26’、28、28’)の各々には、前記導入部(36)の前記導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される少なくとも1つのまたは少なくとも2つの力伝達面(32、32’、34、34’)が形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ボルトにラッチするラッチ要素(30、30’)は、前記アーム部(26、26’、28、28’)の対向する内面に形成される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジング部品(10)は、前記導入部(36)の導入開口を形成するその端部に、少なくとも1つの弾性当接部(14、14’)を有し、該少なくとも1つの弾性当接部(14、14’)は、構成部材(42)が前記支持構成部材(38)に締結される場合、該支持構成部材(38)に締結される該構成部材(42)の表面に当接する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部材を、ボルトを備える支持構成部材に締結する装置に関する。このタイプの装置は、例えば自動車製造において、裏張り構成部材をボディ構成部材に締結するのに使用される。独国特許出願公開第3408612号は、構成部材をねじ付きボルトに解除可能に締結する保持クリップを開示している。保持クリップは、複数の弾性整合要素を備える、ねじ付きボルト用の導入部を形成する。装着のためには、保持クリップは、ねじ付きボルト上に単純に押し込むことができる。ねじ付きボルトは、平坦な上側ねじ斜面と、急峻な下側ねじ斜面とを含む、鋸歯状のねじ付き外形部を有する。これは、保持クリップのねじ付きボルトへの押込みを容易にするとともに、機能時の増大した保持力を達成することを意図している。
【背景技術】
【0002】
取外しのためには、保持クリップは、ねじ付きボルトからねじって外す必要があるが、これは煩雑である。さらに、一方における可能な限り小さい装着力と、他方における可能な限り高い保持力との目的の対立は、ねじ付き外形部の調整(adaptation)及び弾性ラッチ要素との相互作用では、限られた範囲でしか解決することができないことがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
説明した従来技術から進展して、本発明は、冒頭で述べたタイプの装置であって、可能な限り単純な装着法と、可能な限り小さい装着力と、機能時の可能な限り高い保持力とを有し、また単純な取外しを可能にする装置を提供する目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、請求項1の主題によって上記目的を達成する。有利な改良形態は、従属請求項、明細書、及び図面において見出される。
【0005】
本発明は、構成部材を、ボルトを備える支持構成部材に締結する装置であって、前記ボルトは、特に、ねじ付きボルト若しくは溝付きボルト、又は少なくとも部分的に球状のボルトであり、該装置は、少なくとも部分的に弾性の締結部品と、装着状態において該締結部品を収容するハウジング部品とを備え、該ハウジング部品及び該締結部品は、前記装着状態において、前記ボルトを導入方向に導入する導入部を有し、該導入部を画定する前記締結部品の内壁には、前記ボルトにラッチする少なくとも1つのラッチ要素が設けられ、前記締結部品及び前記ハウジング部品は、少なくとも1つの力伝達面をそれぞれ有し、該力伝達面は、前記装着状態では互いに対面し、操作時に生じる少なくとも1つの引張力を伝達し、該力伝達面は、前記導入部の前記導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面にそれぞれ配置され、それにより、該装置に作用する引張力が、前記締結部品上に、前記導入部に対して径方向内方に作用する力を生成する、装置によって上記目的を達成する。
【0006】
支持構成部材は、自動車の内側領域又は外側領域に設けられる支持構成部材、例えばボディ構成部材とすることができる。したがって、支持構成部材に締結される構成部材は、同様に自動車の構成部材、例えば裏張り部品又は付加部品とすることができる。支持構成部材には、ボルト、好ましくはねじ付きボルト若しくは溝付きボルト、又は少なくとも部分的に球状のボルトが設けられ、このボルトは、基本的には任意の方法で支持構成部材に結合することができる。例えば、ボルトは、支持構成部材上に溶接又ははんだ付けすることができる。一方で、例えば、ボルトを支持構成部材上に接着することも可能である。接着することは、特に繊維強化プラスチック製の支持構成部材、例えばCFRP支持構成部材が用いられる場合に有利である。溝付きボルトの場合、溝は、ボルトの軸方向に対して垂直かつ互いに平行に、ボルトに形成される。溝付きの外形部は、支持構成部材に締結される構成部材に関する大きい厚み公差を単純に可能にする利点を有する。対照的に、ねじ付きボルトの場合、ねじピッチを有するねじ山が設けられる。少なくとも部分的に球状のボルト、例えば完全に球状のボルトは、例えば、支持構成部材に好適な方法で結合され、例えば接着又は溶接され、これに応じて球型ボルトを形成する球によって形成することができる。ボルトは、2つ以上の球又は球部で形成することも可能である。
【0007】
本発明に係る装置は、締結部品と、装着状態において締結部品を収容するハウジング部品とを用いて2部品で形成される。上記装着状態において、本装置は、ボルト上に差し込まれる。ハウジング部品は、ハウジング部品上に保持される締結部品とともに、ボルトを導入することができる導入部を画定する。導入部の導入方向は、ここでは、例えば円筒形のボルトの軸方向に概ね対応する。導入部を画定する締結部品の内面のうちの1つ又は複数には、ボルト、特に、ねじ付きボルト若しくは溝付きボルトのねじ付き外形部若しくは溝付き外形部、又は少なくとも部分的に球状のボルトの球状部にラッチする、1つ又は複数のラッチ要素が形成される。ラッチ要素は、同様に、例えば溝又はねじ山によって形成することができる。一方で、他のラッチ要素、例えば弾性ラッチタング等も想定可能である。本装置は、その導入部によって、ボルト上に単純に差し込むか又は押し込むことができる。したがって、本装置は、ボルト上に、例えばねじ付きボルト若しくは溝付きボルト上にねじ込む必要がない。
【0008】
さらに、締結部品及びハウジング部品は、装置の操作中に相互作用する1つ又は複数の力伝達面をそれぞれ有する。操作時、すなわち本装置によって構成部材が支持構成部材に締結される場合、力伝達面は、装置に作用する力、例えば、引張力、圧迫力等を伝達する。力伝達面は、ここでは特に、導入部におけるボルトのラッチには関わらない。本装置の装着状態では、締結部品の力伝達面とハウジング部品の力伝達面とは接触しているか、又は、少なくとも互いに非常に近接しているので操作時に力が発生する場合に互いに接触し、ひいてはこの力を伝達する。操作時に生じ、力伝達面によって伝達される引張力は、ここではボルトの導入方向の逆に方向付けられる。圧迫力は、ボルトの導入方向に一致して方向付けられる。
【0009】
本発明によれば、締結部品及びハウジング部品の力伝達面は、導入部の導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される。これに応じて、例えば傾斜した平面の場合、導入方向とこの平面との間の角度は、0度より大きく90度未満である。このような角度は、例えば65度〜85度の範囲内とすることができる。導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面における力伝達面の本発明に係る構成の結果、操作時に本装置に作用する引張力が、締結部品上に、導入部に対して径方向内方に作用する力を生成する。したがって、引張力が生じる場合、締結部品は、ボルトに径方向内方に押し付けられる。したがって、引張力は装置の保持力を増大させる。それにより、既知の装置に関して許容可能な装着力を用いながら、機能時の増大した保持力を達成することが可能である。上記機能を実行するために、締結部品は、少なくとも部分的に弾性であり、特に完全に弾性である。締結部品及び/又はハウジング部品はプラスチックから構成することができる。特に、締結部品及び/又はハウジング部品は、例えばプラスチック射出成形プロセスにおいて製造することができる。それにより、製造は簡易化されるとともに、装置を機能させるために要求される弾性が実現される。本発明に係る装置は、費用効果的な製造法及び汎用性を特徴とする。単純な装着法とともに、小さい装着力及び高い保持力とが達成される。さらに、本発明に係る装置は、以下でより詳細に説明するように単純に取外し可能であるとともに、取外し後に再使用可能である。
【0010】
導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置された力伝達面により、特に装着過程中に本装置に作用する圧迫力が、締結部品上に、導入部に対して径方向外方に作用する力を生成する場合、装着力は更に低減される。操作時、引張力が締結部品をボルト上に更に押し込み、したがって保持力を増大させる一方で、この改良形態の結果、導入部へのボルトの押し込み中に圧迫力が生じると締結部品が拡張し、したがって、ボルトは、特に小さい力を用いて導入部に導入及びラッチさせることができる。
【0011】
更なる一改良形態によれば、ハウジング部品及び締結部品は、導入部の両側に形成された少なくとも2つの力伝達面をそれぞれ有することを提供することができる。力伝達面は、導入部の導入方向に対して互いに鏡像になって傾斜又は湾曲した平面に、それぞれ配置することができる。一方におけるハウジング部品の力伝達面と、他方における締結部品の力伝達面とは、導入方向に対して同じ高さにそれぞれ構成される。これらの力伝達面は、導入部の長手方向軸を通って延びる鏡像面に関して互いに鏡像対称になって延びる。この改良形態によって、操作時の特に均一な装着力及び保持力が達成される。
【0012】
別の改良形態によれば、ハウジング部品及び締結部品は、導入部の導入方向において離間し、導入部の導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面にそれぞれ配置される、少なくとも2つの力伝達面をそれぞれ有することを提供することができる。導入部の導入方向において離間する、締結部品の力伝達面及びハウジング部品の力伝達面は、互いに平行な平面に、特に対にして、それぞれ配置することができる。したがって、この改良形態では、締結部品及びハウジング部品は、導入方向において互いに対してオフセットした、少なくとも2つの力伝達面をそれぞれ有する。本装置の一方の部品の力伝達面は、ここでは、本装置の他方の部品の対応する力伝達面と常に相互作用する。保持力は、この改良形態によって更に改善される。この改良形態を、上記で説明した、ハウジング部品及び締結部品が、導入部の両側に形成された2つの鏡像反転した力伝達面をそれぞれ有する改良形態と組み合わせることも可能である。したがって、この場合、締結部品及びハウジング部品は、少なくとも4つの力伝達面をそれぞれ有する。
【0013】
特に実用的な更なる一改良形態によれば、締結部品は、接続部と、接続部から延びる2つの弾性アーム部とを有することができる。この弾性アーム部は、装着状態ではクリップのようにハウジング部品の回りに係合する。ハウジング部品は2つのリセスを有することができ、装着状態では、各場合において1つのアーム部が、リセスのうちの一方に収まる。したがって、この改良形態では、締結部品は、装着状態ではクリップのようにハウジング部品の回りに係合する弾性締結クリップを形成する。締結部品の弾性アーム部は、ハウジング部品への締結に向けて、僅かに上方に曲げることができる。上記アーム部は、続いてその非操作位置にはね戻る間に、例えばハウジング部品のリセス内に形状嵌合式に収めることができ、例えば、ハウジング部品の対応する保持部の背後に係合することができる。締結部品は、詳細にはU字状に形成することができる。締結クリップの形態である締結部品の上述の改良形態は、本発明に係る装置の装着及び特にまた取外しを更に容易にする。締結部品がハウジング部品に収容される締結部品の装着状態において、本装置は、ボルト上に単純に押し込むことができる。本装置及びひいては支持構成部材に締結される構成部材を取り外すためには、クリップの形態である締結部品は、ハウジング部品から、ボルトに対して径方向に特に単純に引き抜くことができる。これは、アーム部が僅かに上方に曲がることにより実現することができる。この取外しの過程中、締結部品に形成されたラッチ要素もボルトから係脱される。その結果、続いて、ハウジング部品は、ボルトから単純に引き抜くことができる。この取外しは、非破壊式にかつ摩擦を生じやすい負荷を伴わずに行われ、したがって、本装置は容易に再使用することができる。このために、クリップ状の締結部品は、再び装着状態にするためには、単にハウジング部品のリセスに再び挿入することを必要とするだけである。
【0014】
これに関して、更なる有利な一改良形態は、上記リセスに、各場合において、導入部の導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される少なくとも1つの力伝達面、好ましくは各場合において少なくとも2つの力伝達面が形成されることと、同様に上記アーム部に、各場合において、導入部の導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される少なくとも1つの力伝達面、好ましくは各場合において少なくとも2つの力伝達面が形成されることとを提供する。ハウジング部品のリセスは、その頂面及び底面に力伝達面をそれぞれ有することができる。この力伝達面は、詳細には導入部の導入方向に対して傾斜した平面に配置される。この場合、締結部品のアーム部は、その頂面及び底面に、対応する力伝達面を有する。さらに、力を伝達するために互いに対面するとともに相互作用する締結部品の力伝達面とハウジング部品の力伝達面とは、互いに平行な平面に、特に対にして配置することができる。ボルトにラッチするラッチ要素は、詳細にはアーム部の対向する内面に形成することができる。既に説明したように、ラッチ要素は、例えば、雌ねじ付き外形部若しくは内部溝付き外形部によって、又はそうでなければ歯部等によって形成することができる。
【0015】
更なる一改良形態によれば、ハウジング部品は、導入部の導入開口を形成するその端部に、少なくとも1つの弾性当接部を有することができる。少なくとも1つの弾性当接部は、構成部材が支持構成部材に締結される場合、支持構成部材に締結される構成部材の表面に当接する。例えば、フランジ状の当接部を含むことができる。複数の当接部、例えば4つのこのような当接部を設けることも可能である。構成部材は、機能時、少なくとも1つの当接部と支持構成部材の上面との間に保持される。保持力は、単数又は複数の当接部の反発弾性設計によって増大される。
【0016】
代替的な一改良形態によれば、ハウジング部品は、支持構成部材に締結される構成部材に一体に形成することができる。上記で説明した改良形態の場合、締結部品及びハウジング部品は、支持構成部材と支持構成部材に締結される構成部材とは別個の部品であるのに対し、この改良形態では、ハウジング部品は、支持構成部材に締結される構成部材の一部である。この改良形態は、特に、自動車の内部のアクセスが困難な場所において用いることができる。ハウジング部品は、装着状態では締結部品を収容するポケットを更に形成することができる。ここでも、少なくとも締結部品は、少なくとも部分的に弾性であり、好ましくは完全に弾性である。当然ながら、上記改良形態におけるように、ハウジング部品も部分的に弾性又は完全に弾性とすることができる。ハウジング部品及び/又は締結部品は、ここでも、例えばプラスチック射出成形プロセスにおいてプラスチックから構成、すなわち製造することができる。
【0017】
更なる一改良形態によれば、締結部品は、装着状態では遊びを有してポケットに収容することができる。これは、ボルトを増大した力を用いて導入部から引き抜くことによる取外しを可能にする。このプロセスにおいて、詳細には導入方向に対して垂直方向に遊びが存在することにより、締結部品が撓むことができ、ひいてはボルトへのラッチ要素のラッチが解除され、ボルトを引き抜くことができる。
【0018】
締結部品は環状に閉鎖して形成することができ、ボルトにラッチするラッチ要素は、各場合において、2つの互いに対向するリング部に形成される。ラッチ要素を有するリング部の頂面及び底面は、ひいては、導入部の導入方向に対して傾斜又は湾曲した平面に配置される力伝達面を形成することができる。
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態のハウジング部品を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態の締結部品を示す斜視図である。
【
図5】
図1のハウジング部品と
図3の締結部品とを装着状態で示す斜視図である。
【
図6】
図1のハウジング部品と
図3の締結部品とを装着状態で示す側面図である。
【
図7】支持構成部材と、支持構成部材に締結される構成部材との一部を示す斜視図である。
【
図8】
図5に示す本発明に係る装置によって支持構成部材に締結された構成部材を示す斜視図である。
【
図10】本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態の取外し状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る装置の更なる例示的な一実施形態を示す側面図である。
【
図13】本発明に係る装置の更なる例示的な一実施形態の締結部品を示す斜視図である。
【
図15】
図13の締結部品が事前装着状態にある本発明に係る装置を示す斜視図である。
【
図16】
図15に示す装置によって支持構成部材に締結された構成部材を示す断面図である。
【
図17】更なる例示的な一実施形態に係る
図9と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別途記載されない限り、図面の同一の参照符号は同一の対象を指す。
図1及び
図2は、本発明に係る装置の第1の例示的な実施形態のハウジング部品10を示している。ハウジング部品10は略中空円筒部12を有し、略中空円筒部12は、以下でより詳細に説明するように、締結部品とともにボルト用の導入部を形成する。ボルトは、特に、ねじ付きボルト若しくは溝付きボルト、又は少なくとも部分的に球状のボルトである。
図1及び
図2では、ハウジング部品10は、導入部の入口を形成するその下端部において、図示の例では4つの弾性当接部14を有する。弾性当接部14は、操作時、支持構成部材に締結される構成部材の頂面に反発弾性を有して着座するために形成される。図示の例では、ハウジング部品10は、これから以下で説明されるように締結部品が収容される2つのリセス16を有する。リセス16の頂面及び底面は、各場合において力伝達面18、20を形成する。特に
図2に見て取ることができるように、
図2の上側力伝達面18は、中空円筒部12の軸方向21に沿って延びるボルト導入方向に対して斜めに構成される平面に、
図2に示す例では、各場合において角度αで構成される平面にそれぞれ配置されている。図示の例では、角度αは、各場合において約75度である。下側力伝達面20は、上側力伝達面18の平面に平行な平面に配置され、したがって、この下側力伝達面は、同様に、上記導入方向に対して角度αで配置される。さらに、
図2では、中空円筒部12によって形成される導入部の両側に形成された力伝達面18及び20は、軸方向21を通って延び、かつ
図2の図の平面に対して垂直に奥行き方向に延びる鏡像面に関して鏡像反転してそれぞれ形成されることを見て取ることができる。
【0022】
図3及び
図4は、本発明に係る締結部品22を示している。締結部品22は、接続部24と、接続部24から延びる2つの弾性アーム部26、28を有する。弾性アーム部26、28の互いに対向する内面には、各場合において、複数のラッチ要素30が形成される。図示の例では、ラッチ要素30は、それぞれ部分的に形成された雌ねじである。特に
図4に更に見て取ることができるように、力伝達面32、34は、各場合において、弾性アーム部26、28の頂面及び底面に形成される。力伝達面32、34は、ハウジング部品の力伝達面18、20に対応する。詳細には、締結部品22の力伝達面32、34も、導入部の導入方向に対して傾斜した平面、すなわちここでも角度αの平面に配置される。
【0023】
図5及び
図6は、
図1及び
図2に示すハウジング部品10と、
図3及び
図4に示す締結部品22との装着状態を示している。装着状態に達するために、締結部品22は、そのアーム部26、28が、軸方向21に対して径方向にリセス16に押し込まれている。アーム部26、28は、ここでは、ハウジング部品10のリセス16において形状嵌合式に保持することができる。この装着状態では、ハウジング部品10の力伝達面18、20は、特に
図6に見て取ることができるように、力伝達面18、20に対面する締結部品22の力伝達面32、34と接触する。上記装着状態においてハウジング部品10及び締結部品22によって画定される、ボルト用に意図された導入部は、
図5では参照符号36で示されている。
【0024】
図7は、自動車の支持構成部材、例えばボディ部品を参照符号38でかなり概略的に示している。図示の例では、ボディ部品38には、例えば、溶接、はんだ付け、又は接着によってねじ付きボルト40が固定されている。さらに、支持38に締結される構成部材42は、
図7では参照符号42でかなり概略的に示されている。この構成部材は中央貫通ボア44を有する。中央貫通ボア44によって、この構成部材をねじ付きボルト40上に押し込むことができる。続いて、
図5及び
図6に示す装置がねじ付きボルト40上に押し込まれ、
図8に示す機能位置にされる。締結部品22のラッチ要素30は、ここではねじ付きボルト40のねじ山に合致する。当接部14は、構成部材42の頂面に着座する。
【0025】
ねじ付きボルト上への装置の装着過程中に生じる圧迫力の効果を、
図6を参照しながら例として説明する。圧迫力は、
図6において矢印46で示されている。この圧迫力は、力伝達面18、32及び力伝達面20、34を介して伝達される。このプロセス中に力伝達面18、32に対して生じる力は、
図6に矢印48で示されている。力伝達面18、32の傾斜構成により、伝達される力48は、径方向外方に方向付けられる成分を有する。この結果、締結部品22のアーム部26、28に対して径方向外方に力が作用し、ひいてはアーム部26、28が僅かに拡張する。結果として、ねじ付きボルト40上への装置の押込みが容易になる。
【0026】
参照符号50で示す操作時の引張力の発生を、
図9を参照しながら例として説明する。引張力50は、力伝達面18、32及び20、34によって更に伝達される。さらに、力伝達面の傾斜構成の結果、この場合は導入方向に対して径方向内方に作用する力成分が、例として
図9に矢印52で示すように下側力伝達面20、34に対して生じる。したがって、アーム部26、28がねじ付きボルト40に更に押し付けられ、ひいては保持力が増大される。
【0027】
取外しのためには、締結部品22は、
図10に矢印54で示すように、ハウジング部品10から径方向外方に単純に引き抜くことができる。このプロセスにおいて、ラッチ要素30もねじ付きボルト40から係脱され、したがって、続いて装置及び構成部材42をねじ付きボルト40から引き抜くことができる。
【0028】
図11及び
図12は、
図1〜
図10において説明した例示的な実施形態に略対応する、更なる例示的な一実施形態を示している。
図1〜
図10において説明した例示的な実施形態とは対照的に、ハウジング部品10の中空円筒部12の上面部はいくらか短くされ、装置は溝付きボルト54上に押し込まれている。描写上の理由から、構成部材38に締結される構成部材はここでは図示していない。
【0029】
図13〜
図16を参照しながら、更なる例示的な一実施形態を説明する。
図13及び
図14は締結部品60を示している。締結部品60は、環状に閉鎖して形成され、ボルト用の導入部62を画定する。ボルトは、特に、ねじ付きボルト若しくは溝付きボルト、又は少なくとも部分的に球状のボルトである。ボルトにラッチする、この場合はねじ付き部又は溝付き部の形態であるラッチ要素64は、締結部品60の2つの互いに対向するリング部に形成される。残りの対向するリング部66は、波状に湾曲し、弾性である。
図15は、支持構成部材に締結される構成部材を参照符号68で示している。
図15に矢印72で示すように締結部品60を挿入することができるポケット状のハウジング部品70が、上記構成部材と一体に形成されている。ハウジング部品70は穴74を有し、したがって、締結部品60とハウジング部品70とは、組み立てられた装着状態では、ボルト用の導入部62をともに形成する。
図16は、支持構成部材38をかなり概略的に示している。支持構成部材38には、この場合は、例えば、溶接、はんだ付け、接着等によって溝付きボルト76が固定されている。構成部材68を支持構成部材38に締結するために、溝付きボルト76が導入部62に押し込まれ、溝付きボルト76の溝付き外形部がラッチ要素64にラッチしている。締結部品60の力伝達面82、84と、ハウジング部品70の力伝達面80、86とがここでも提供され、導入部の軸方向78に沿って延びる溝付きボルト76の導入方向に対して斜めの平面に配置される。操作時に生じる、溝付きボルト76を導入部から引っ張ろうとする引張力の結果、ここでも、力伝達面80、82、84、86の傾斜構成により、締結部材60が溝付きボルト76に対して更に締め付けられ、ひいては保持力が増大される。
【0030】
取外しのためには、溝付きボルト76は、増大した取外し力を用いて、ラッチを解除しながら導入部から引き抜くことができる。
図16では、各場合において、締結部品60の外面とハウジング部品70の内面との間に間隔88が形成され、したがって、締結部品60は、軸78に対して径方向に遊びを有してハウジング部品70に収容されることを見て取ることができる。したがって、溝付きボルト76の引抜き過程中、締結部品60は径方向外方に撓むことができ、したがってラッチを解除することができる。
【0031】
図17は、
図9と同様の縦断面図を示している。この例示的な実施形態では、球型ボルト90が支持構成部材38に結合されている。球型ボルト90は、図示の例では3つの球で形成されている。言うまでもないが、球型ボルト90の3つのボールは、例えば冷間変形(cold deformation)又は溶接によって製造されたように、互いに一体に結合されている。
図17に示す本発明に係る装置の締結部品も、2つの弾性アーム部26’、28’を有し、2つの弾性アーム部26’、28’の対向する内面には、各場合においてラッチ要素30’が形成されている。このラッチ要素は、球型ボルト90の2つの下側球間でラッチして保持される。
図17に示す本発明に係る装置のハウジング部品は、ここでも、球型ボルト90用の導入部を形成する略中空円筒部12’を有する。さらに、図示の例では、構成部材42の頂面に、反発弾性を有して着座する4つの弾性当接部14’が再び提供される。
図9に示す装置と同様に、
図17に示す装置には、上側力伝達面18’及び下側力伝達面20’も設けられる。この力伝達面は、中空円筒部12’の軸方向21に沿って延びる球型ボルト90の導入方向に対して傾斜して構成される平面にそれぞれ配置される。締結部品の弾性アーム部26’、28’の頂面及び底面には、ハウジング部品の力伝達面18’、20’に対応する力伝達面32’、34’がここでも対応して形成される。詳細には、締結部品の力伝達面32’、34’は、球型ボルト90用の導入部の導入方向に対して傾斜した平面、詳細にはハウジング部品の力伝達面18’、20’と同じ角度の平面に配置される。
図17に示す本発明に係る装置の装着法及び機能は、球型ボルト90及び関連のラッチ要素30’の構成を除き、例えば
図1〜
図10を参照して示した装置の装着法及び機能に対応する。