特許第6441921号(P6441921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441921
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】接合構造体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/68 R
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-529311(P2016-529311)
(86)(22)【出願日】2015年6月12日
(86)【国際出願番号】JP2015067038
(87)【国際公開番号】WO2015198892
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-132305(P2014-132305)
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 豊
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−188394(JP,A)
【文献】 特開2007−258610(JP,A)
【文献】 特開2008−270197(JP,A)
【文献】 特開2004−273736(JP,A)
【文献】 特許第3790000(JP,B2)
【文献】 特開平11−220008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 3/48, 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ載置面を備えたセラミック部材と、
前記セラミック部材に埋設され前記ウェハ載置面に沿う形状の埋設電極と、
前記セラミック部材のうち前記ウェハ載置面とは反対側の面から前記埋設電極に達するように埋設された金属製の接続部材と、
前記接続部材のうち外部に露出している面に接合層を介して接合された金属製の外部通電部材と、
を備えた接合構造体であって、
前記接続部材は、円柱部材であり、直径Dが3.5〜5mm、前記埋設電極に接している円形面と円柱側面とのコーナー部分の曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09以上である、
接合構造体。
【請求項2】
前記比率R/Dが0.3以下である、
請求項1に記載の接合構造体。
【請求項3】
ウェハ載置面を備えたセラミック部材と、
前記セラミック部材に埋設され前記ウェハ載置面に沿う形状の埋設電極と、
前記セラミック部材のうち前記ウェハ載置面とは反対側の面から前記埋設電極に達するように埋設された金属製の接続部材と、
前記接続部材のうち外部に露出している面に接合層を介して接合された金属製の外部通電部材と、
を備えた接合構造体であって、
前記接続部材は、円柱部材であり、直径Dが3.5〜5mm、
前記埋設電極に接している円形面と円柱側面とのコーナー部分は短径F、長径Gの楕円形状であり、短径F及び長径Gが0.3〜1.5mm、比率F/D及び比率G/Dが0.09以上である、
接合構造体。
【請求項4】
前記比率F/D及び前記比率G/Dが0.3以下である、
請求項3に記載の接合構造体。
【請求項5】
前記セラミック部材は、材質が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素又は窒化珪素であり、前記接続部材は、材質がMo、W、Nb、Mo化合物、W化合物又はNb化合物である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合構造体。
【請求項6】
前記接合層は、材質がAu又はAu合金である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の接合構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックス部材と金属部材との接合構造体としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、こうした接合構造体として、図5に示すセラミックヒータ210が開示されている。セラミックヒータ210は、セラミック部材212と、接続部材216と、外部通電部材218と、ガイド部材222とを備えている。セラミック部材212は、ヒータエレメント214を内蔵する円板状の部材である。接続部材216は、セラミック部材212の有底筒状の孔212cの底面からヒータエレメント214に達するように埋設された金属製の円柱部材である。外部通電部材218は、接続部材216のうち孔212cの底面に露出している面に接合層220を介して接合された金属製の部材であり、ヒータエレメント214の給電のために用いられる。ガイド部材222は、外部通電部材218のうち接続部材側の外周面を取り囲む円筒部材である。このガイド部材222のうち外部通電部材218のフランジに面している端面は、接合層224を介してフランジと接合され、孔212cの底面に面している端面は、接合層220を介して外部通電部材218や接続部材216と接合されている。外部通電部材218のうち接続部材側の外周面は、ガイド部材222によって酸化性雰囲気から隔離されている。このセラミックヒータ210は、接続部材216と外部通電部材218との接合強度が高いと説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3790000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述のセラミックヒータ210よりも更に接合強度が高いものが要望されている。接合強度を更に高くするには、接続部材216の直径を大きくすることが考えられる。しかしながら、その場合、セラミック部材212にクラックが発生しやすいという問題が発生する。すなわち、セラミックヒータ210を高温で使用したとき、接続部材216のうちヒータエレメント214に接する面のコーナー部分に熱応力が集中するが、接続部材216の直径が大きいと熱応力が大きくなり、そのコーナー部分からセラミック部材212にクラックが発生して破損するおそれがある。あるいは焼成や接合といったセラミック製造工程においても、接続部材216の直径が大きいと熱応力も大きくなり、接続部材216のコーナー部分からセラミック部材212にクラックが発生するおそれがある。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、接合構造体において、接合強度を一層高くしつつ、セラミック部材の破損のリスクを低くすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の接合構造体は、
ウェハ載置面を備えたセラミック部材と、
前記セラミック部材に埋設され前記ウェハ載置面に沿う形状の埋設電極と、
前記セラミック部材のうち前記ウェハ載置面とは反対側の面から前記埋設電極に達するように埋設された金属製の接続部材と、
前記接続部材のうち外部に露出している面に接合層を介して接合された金属製の外部通電部材と、
を備えた接合構造体であって、
前記接続部材は、円柱部材であり、直径Dが3.5〜5mm、前記埋設電極に接している円形面と円柱側面とのコーナー部分の曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09以上のものである。
【0007】
この接合構造体によれば、従来に比べて接合強度を高くしつつ、セラミック部材の破損のリスクを低くすることができる。すなわち、従来の接続部材の直径Dは3mm程度であったのに対して、本発明では直径Dを3.5〜5mmに設定したため、接続部材と外部通電部材との接合面積が大きくなり、接合強度が高くなる。一方、直径Dを大きくすると、接続部材のうち埋設電極に接している面と円柱側面とのコーナー部分からセラミック部材に向かってクラックが発生しやすいが、そのコーナー部分の曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09以上になるようにしたため、こうしたクラックの発生を防止でき、ひいてはセラミック部材の破損のリスクを低くすることができる。なお、比率R/Dを0.3より大きくしてもよいが、クラック防止効果はそれ以上向上することはなく、却って接続部材と埋設電極との接触面積が小さくなる。そのため、比率R/Dは0.3以下であることが好ましい。
【0008】
本発明の第2の接合構造体は、
ウェハ載置面を備えたセラミック部材と、
前記セラミック部材に埋設され前記ウェハ載置面に沿う形状の埋設電極と、
前記セラミック部材のうち前記ウェハ載置面とは反対側の面から前記埋設電極に達するように埋設された金属製の接続部材と、
前記接続部材のうち外部に露出している面に接合層を介して接合された金属製の外部通電部材と、
を備えた接合構造体であって、
前記接続部材は、円柱部材であり、直径Dが3.5〜5mm、
前記埋設電極に接している円形面と円柱側面とのコーナー部分は短径F、長径Gの楕円形状であり、前記短径F及び前記長径Gが0.3〜1.5mm、比率F/D及び比率G/Dが0.09以上のものである。
【0009】
この接合構造体によれば、従来に比べて接合強度を高くしつつ、セラミック部材の破損のリスクを低くすることができる。すなわち、従来の接続部材の直径Dは3mm程度であったのに対して、本発明では直径Dを3.5〜5mmに設定したため、接続部材と外部通電部材との接合面積が大きくなり、接合強度が高くなる。一方、直径Dを大きくすると、接続部材のうち埋設電極に接している面と円柱側面とのコーナー部分からセラミック部材に向かってクラックが発生しやすいが、そのコーナー部分を短径F、長径Gの楕円形状とし、それらの値が0.3〜1.5mm、比率F/D及び比率G/Dが0.09以上になるようにしたため、こうしたクラックの発生を防止でき、ひいてはセラミック部材の破損のリスクを低くすることができる。なお、比率F/D及び比率G/Dを0.3より大きくしてもよいが、クラック防止効果はそれ以上向上することはなく、却って接続部材と埋設電極との接触面積が小さくなる。そのため、比率F/D及び比率G/Dは0.3以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の接合構造体において、前記セラミック部材は、材質が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素又は窒化珪素であり、前記接続部材は、材質がMo、W、Nb、Mo化合物、W化合物又はNb化合物であることが好ましい。こうすれば、セラミック部材と接続部材との熱膨張係数差は僅かであるため、熱応力を小さく抑えることができ、セラミック部材にクラックが発生するのを確実に防止することができる。例えば、セラミック部材の材質がAlNの場合、接続部材の材質はMoが好ましい。セラミック部材の材質がAl23の場合、接続部材の材質はNb又はWCが好ましい。セラミック部材の材質がSiCの場合、接続部材の材質はWCが好ましい。セラミック部材の材質がSi34の場合、接続部材の材質はW又はWCが好ましい。
【0011】
本発明の接合構造体において、前記接合層は、材質がAu、Al、Ag、Au合金、Al合金又はAg合金であることが好ましい。こうすれば、接合層の強度を高くすることができる。また、材質がAu又はAu合金の場合、これに加えて耐酸化性を高くすることができるため、更に好ましい。
【0012】
本発明の接合構造体において、前記外部通電部材は、前記接続部材に前記接合層を介して接合された第1部と、この第1部のうち前記接続部材の接合面とは反対側の面に中間接合部を介して接合された第2部とを備え、前記第1部は、前記第2部より熱膨張係数が低く耐酸化性が高い金属で構成されていてもよい。また、前記第1部は、該第1部より耐酸化性の高い金属からなるガイド部材によって周囲を取り囲まれ、周囲の雰囲気と直接接触しない構成となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】セラミックヒータ10の要部の断面図。
図2】セラミックヒータ10の製造工程図。
図3】別の実施形態の要部の断面図。
図4】別の実施形態の接続部材16の周囲の断面図。
図5】従来のセラミックヒータ210の要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の接合構造体の好適な一実施形態であるセラミックヒータ10について、以下に説明する。図1はセラミックヒータ10の要部の断面図である。
【0015】
セラミックヒータ10は、エッチングやCVDなどを行うウェハを加熱するために用いられるものであり、図示しない真空チャンバ内に設置される。このセラミックヒータ10は、セラミック部材12と、ヒータエレメント(本発明の埋設電極に相当)14と、接続部材16と、外部通電部材18と、ガイド部材22とを備えている。
【0016】
セラミック部材12は、円板状に形成され、一方の面がウェハを載置するためのウェハ載置面12aとなっている。なお、図1では、ウェハ載置面12aが下になっているが、実際にセラミックヒータ10を使用する際には、ウェハ載置面12aが上になるようにする。このセラミック部材12の材質としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素などが好ましい。また、セラミック部材12のウェハ載置面12aとは反対側の面12bには、有底筒状の孔12cが形成されている。セラミック部材12は、例えば直径150〜500mm、厚み0.5〜30mmとしてもよい。孔12cは、例えば直径5〜15mm、深さ5〜25mmとしてもよい。
【0017】
ヒータエレメント14は、セラミック部材12に埋設された電極であり、ウェハ載置面12aに沿う形状の部材、ここでは円形状の金属メッシュである。このヒータエレメント14の材質としては、例えば、タングステン、モリブデン、タンタル、白金やこれらの合金などが好ましい。金属メッシュは、例えば、線径0.1〜1.0mm、1インチあたり10〜100本としてもよい。
【0018】
接続部材16は、セラミック部材12のうち孔12cの底面からヒータエレメント14に達するように埋設された円柱状の金属部材である。この接続部材16は、バルク金属を用いても良いが、金属粉末を焼結させたものを用いてもよい。金属としては、例えば、モリブデン、タングステン、ニオブのほか、炭化モリブデンなどのモリブデン化合物、炭化タングステンなどのタングステン化合物、炭化ニオブなどのニオブ化合物などを用いることができる。また、接続部材16のうち孔12cの底面に露出している露出面16aは、孔12cの底面と同一面になっている。接続部材16は、直径Dが3.5〜5mm、ヒータエレメント14に接している円形面と円柱側面とのコーナー部分16bの曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09〜0.30である。なお、接続部材16の高さは、例えば1〜5mmとしてもよい。
【0019】
外部通電部材18は、接続部材16に接合層20を介して接合された第1部18aと、この第1部18aのうち接続部材16の接合面とは反対側の面に中間接合部18cを介して接合された第2部18bとを備えている。第2部18bは、プラズマ雰囲気や腐食ガス雰囲気で使用されることを考慮して、耐酸化性の高い金属で構成されている。しかし、耐酸化性の高い金属は、一般に熱膨張係数が大きいため、直接セラミック部材12と接合すると、両者の熱膨張差によって接合強度が低下する。そのため、第2部18bは、熱膨張係数が接続部材16の熱膨張係数に近い金属からなる第1部18aを介してセラミック部材12に接合されている。こうした金属は、耐酸化性が十分でないことが多い。そのため、第1部18aは、耐酸化性の高い金属からなるガイド部材22によって周囲を取り囲まれ、プラズマ雰囲気や腐食ガス雰囲気と直接接触しない構成となっている。第2部18bの材質としては、純ニッケル、ニッケル基耐熱合金、金、白金、銀及びこれらの合金などが好ましい。第1部18aの材質としては、モリブデン、タングステン、モリブデン−タングステン合金、タングステン−銅−ニッケル合金、コバールなどが好ましい。接合層20は、ロウ材によって接合されている。ロウ材としては、金属ロウ材が好ましく、例えばAu−Niロウ材、Alロウ材、Agロウ材などが好ましい。接合層20は、接続部材16の露出面16aを含む孔12cの底面と第1部18aの端面とを接合している。外部通電部材18の中間接合部18cは、第1部18aと第2部18bとを接合すると共に、ガイド部材22の内周面と第1部18aの外周面全面又はその一部との隙間やガイド部材22の内周面と第2部18bの外周面の一部との隙間を埋めている。そのため、第1部18aは、中間接合部18cによって周囲の雰囲気との接触が遮断されている。なお、中間接合部18cも、接合層20と同様の材質を用いることができる。第1部18aは、直径3〜6mm、高さ2〜5mmとしてもよく、第2部18bは、直径3〜6mm、高さは任意としてもよい。
【0020】
ガイド部材22は、外部通電部材18のうち少なくとも第1部18aの周囲を囲む円筒状の部材であり、第1部18aよりも耐酸化性の高い材質で形成されている。このガイド部材22は、内径が第1部18a及び第2部18b(フランジを除く)の外径より大きく、外径が孔12cの直径より小さく、高さが第1部18aの高さより高い。ガイド部材22のうち孔12cの底面に面する端面は、接合層20を介して接続部材16、外部通電部材18及びセラミック部材12と接合されている。ガイド部材22の材質は、外部通電部材18の第2部18bの材質として例示したものを使用することができる。
【0021】
次に、セラミックヒータ10の製造方法について、図2の製造工程図に基づいて以下に説明する。まず、セラミック原料粉末を円板になるようにプレス成形して成形体112を作製する(図2(a)参照)。この成形体112には、円形の金属メッシュからなるヒータエレメント14と、接続部材16となる金属粉末の円柱体116とを埋設しておく。円柱体116は、ヒータエレメント14に接する円形面のコーナー部分116bやこの円形面と反対側の円形面のコーナー部分116dが所定の曲率半径を持つように成形する。この成形体112をホットプレス炉又は常圧炉等で焼成することにより、円柱体116が焼結して接続部材16になると共に成形体112が焼結してセラミック部材12となる(図2(b)参照)。焼成時、円柱体116のコーナー部分116b、116dは丸みを持っているため、ここからクラックが生じることはない。接続部材16の上下両方の円形面と円柱側面とのコーナー部分16b,16dは曲率半径Rを有している。得られたセラミック部材12を所定寸法になるように加工する。
【0022】
続いて、セラミック部材12のウェハ載置面12aとは反対側の面12bに研削加工を施して有底筒状の孔12cを形成する(図2(c)参照)。このとき、孔12cの底面と接続部材16の露出面16aとが同一面になるように加工する。これにより、接続部材16のコーナー部分16dは除去される。
【0023】
続いて、孔12cの底面に接合層20となるロウ材120を敷き、その上に外部通電部材18の第1部18a、中間接合部18cとなるロウ材118c、ガイド部材22及び外部通電部材18の第2部18bをこの順に積み上げて積層体を得る(図2(d)参照)。この積層体を非酸化性条件下で加熱してロウ材118c,120を溶融しその後固化することにより、図1に示すセラミックヒータ10を得る。非酸化性条件とは、真空下又は非酸化性雰囲気(例えばアルゴン雰囲気や窒素雰囲気などの不活性雰囲気)下をいう。
【0024】
以上説明した本実施形態のセラミックヒータ10によれば、従来に比べて接合強度を高くしつつ、セラミック部材12の破損のリスクを低くすることができる。すなわち、従来の接続部材216の直径Dは3mm程度であったのに対して、ここでは直径Dを3.5〜5mmに設定したため、接続部材16と外部通電部材18との接合面積が大きくなり、接合強度が高くなる。一方、直径Dを大きくすると、接続部材16のコーナー部分16bからセラミック部材12に向かってクラックが発生しやすいが、そのコーナー部分16bの曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09以上になるようにしたため、こうしたクラックの発生を防止でき、ひいてはセラミック部材の破損のリスクを低くすることができる。なお、比率R/Dを0.3より大きくしてもよいが、クラック防止効果はそれ以上向上することはなく、却って接続部材16とヒータエレメント14との接触面積が小さくなるため、好ましくない。
【0025】
また、セラミック部材12の材質を窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素又は窒化珪素、接続部材16の材質をMo、W、Nb、Mo化合物、W化合物又はNb化合物としたため、セラミック部材12と接続部材16との熱膨張係数差は僅かになり、熱応力を小さく抑えることができ、セラミック部材12にクラックが発生するのを確実に防止することができる。
【0026】
更に、接合層20の材質をAu−Niロウ材、Alロウ材又はAgロウ材としたため、接合層20の強度を高くすることができる。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0028】
例えば、上述した実施形態では、本発明の接合構造体としてセラミックヒータ10を例示したが、静電チャックとしてもよいし、高周波電極用部材としてもよい。静電チャックとする場合には、ヒータエレメント14の代わりに静電電極を埋設し、高周波電極用部材とする場合には、ヒータエレメント14の代わりに高周波電極を埋設すればよい。
【0029】
上述した実施形態では、ヒータエレメント14として円形の金属メッシュを採用したが、円形の金属シートを採用してもよいし、コイルスプリングを採用してもよい。コイルスプリングを採用する場合、例えば、コイルスプリングの一端をセラミック部材12の中央に配置し、そこから端を発して一筆書きの要領で全面にわたって配線したあと他端を一端の近傍に配置してもよい。
【0030】
上述した実施形態のセラミックヒータ10のウェハ載置面12aとは反対側の面12bに、セラミック部材12と同じ材質の筒状のシャフトをセラミック部材12と一体化してもよい。この場合、シャフトの中空内部に外部通電部材18等が配置されるようにする。シャフトを製造するには、例えば、金型を用いてセラミック原料粉末をCIPにて成形し、常圧炉にて所定温度で焼成し、焼成後、所定寸法となるように加工すればよい。また、シャフトとセラミック部材12とを一体化するには、例えば、シャフトの端面をセラミック部材12の面12bに突き合わせ、所定温度に昇温して両者を接合して一体化すればよい。
【0031】
上述した実施形態では、接続部材16を中実の円柱部材としたが、図3に示すように、中心軸に沿って貫通穴を備えた円柱部材(リング状部材)66としてもよい。リング状部材66は、直径(外径)Dが3.5〜5mm、ヒータエレメント14に接している面のコーナー部分66bの曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09〜0.30となるようにする。こうすれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。なお、リング状部材66と外部通電部材18との接合面積(環状部分の面積)が従来の接続部材216と外部通電部材218との接合面積よりも大きくなるように、リング状部材66の外径や内径を決定するのが好ましい。
【0032】
上述した実施形態のセラミックヒータ10において、ウェハ載置面12aは平面でもよいが、エンボス形状、ポケット形状又は溝形状となるように加工されていてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、外部通電電極部材18の第2部18bのフランジとガイド部材22の端面とを接合しなかったが、図5に示す従来例のように、両者の間を詰めてその隙間に接合層(例えば接合層20と同じ材質)を設け、両者をこの接合層を介して接合してもよい。
【0034】
上述した実施形態では、接続部材16のコーナー部分16bの曲率半径Rが0.3〜1.5mm、比率R/Dが0.09以上としたが、図4に示すように、コーナー部分16bを短径F、長径Gの楕円形状とし、比率F/D及び比率G/Dが0.09以上(好ましくは0.09〜0.3)となるようにしてもよい。この場合も、上述した実施形態と同様の効果が得られる。なお、図4では短径Fを接続部材16の高さ方向(図4で上下方向)、長径Gを接続部材16の幅方向(図4で左右方向)としたが、短径Fを幅方向、長径Gを高さ方向としてもよい。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
[試験例1〜9]
図2の製造手順にしたがい、上述したセラミックヒータ10のサンプルを10種類製造した(試験例1〜9)。まず、窒化アルミニウム粉末にヒータエレメント14と円柱体116とを埋設し、一軸加圧成形することによって成形体112を作製した。ヒータエレメント14としては、モリブデン製の金網を使用した。この金網は、直径0.12mmのモリブデン線を、1インチあたり50本の密度で編んだものを使用した。円柱体116としては、粒径1〜100μmのモリブデン粉末を円柱状に成形し、ヒータエレメント14に接する円形面と円柱側面とのコーナー部分116bの曲率半径Rが所定の値になるように加工したものを使用した。この成形体112を金型に入れ、カーボンフォイル内に密封し、ホットプレス法で焼成することにより、セラミック部材12を得た。焼成は、温度1950℃、圧力200kgf/cm2で2時間保持することにより行った。このセラミック部材12を直径200mm、厚さ8mmになるように加工した。
【0037】
続いて、セラミック部材12のウェハ載置面12aとは反対側の面12bにマシニングセンタによって有底筒状の孔12cを形成した。孔12cは、直径9mm(開口部直径12mm)、深さ4.5mmとした。このとき、孔12cの底面と接続部材16の露出面16aとが同一面になるように加工した。
【0038】
続いて、孔12cの底面にAu−Niからなるロウ材120を敷き、その上に外部通電部材18の第1部18a、Au−Niからなるロウ材118c、ニッケル製(純度99%以上)のガイド部材22及び外部通電部材18の第2部18bをこの順に積み上げて積層体を得た。第1部18aとしては、コバール製で直径4mm、高さ3mmのものを使用し、第2部18bとしては、ニッケル製(純度99%以上)で直径4mm(フランジ直径8mm)、高さ60mmのものを使用した。この積層体を、不活性雰囲気下、960〜1000℃で10分間加熱して、図1に示すセラミックヒータ10を得た。
【0039】
試験例1〜9の接続部材16の直径D、コーナー部分の曲率半径R、比率R/Dの各値を表1に示す。なお、接続部材16の高さは、一律3mmとした。試験例1〜9につき、以下の評価試験を行った。その結果を表1に示す。
【0040】
(引張破断強度の測定)
室温下、セラミック部材12を固定し、外部通電部材18のフランジを把持して垂直に引っ張り上げ、接続部材16と外部通電部材18との接合が破断したときの荷重を測定し、その荷重を引張破断強度とした。測定には、引張強度試験機(島津製作所製、オートグラフ)を使用した。
【0041】
(製造時破損の有無)
成形体112を焼結させてセラミック部材12を製造した直後にセラミック部材12にクラックが発生したか否かを調べ、クラックが発生していたものについて製造時破損ありと判定した。
【0042】
(セラミック破損の有無)
真空下、セラミックヒータ10を700℃まで加熱したあと室温まで降温し、その状態でセラミック部材12にクラックが発生したか否かを調べ、クラックが発生したものについてセラミック破損ありと判定した。ちなみに、セラミック部材12の材質(AlN)と接続部材16の材質(Mo)との熱膨張係数の僅かな違いにより熱応力が発生するが、コーナー部分16bではその熱応力が集中しやすいため、コーナー部分16bを起点とするクラックがセラミック部材12に発生しやすい。
【0043】
【表1】
【0044】
試験例1〜3を対比すると、コーナー部分16bの曲率半径Rはいずれも0.2mmであるが、試験例1は、試験例2,3よりも直径Dが小さいため、コーナー部分16bに集中する熱応力が小さく、製造時破損もセラミック破損も観察されなかった。このときの比率R/Dは0.07であった。これに対し、試験例2は、試験例1よりも直径Dが大きいため、熱応力が大きくなり、セラミック破損が観察された。また、試験例3は、試験例1,2よりも直径Dが大きいため、熱応力が更に大きくなり、製造時破損が観察された。試験例2,3の比率R/Dはそれぞれ0.06,0.05であった。一方、試験例1は、試験例2,3と比べて直径Dが小さいため、引張破断強度が低かった。
【0045】
試験例4〜8では、直径Dが3.5〜5.0mmであり試験例1に比べて大きいため、コーナー部分16bに集中する熱応力は大きいが、コーナー部分16bの曲率半径Rを0.3〜1.5mm、比率R/Dを0.09〜0.30にすることで製造時破損もセラミック破損も防止することができた。また、接続部材16と外部通電部材18との接合面積を試験例1と比べて十分広くすることができ、その分、試験例1と比べて引張破断強度が高くなった。
【0046】
試験例9では、直径Dが5.5mmとかなり大きかったため、コーナー部分16bに集中する熱応力はかなり大きくなり、コーナー部分16bの曲率半径Rを1.5mm、比率R/Dを0.27にしたものの、製造時に熱応力によって生じるクラックを防ぐことはできなかった。
【0047】
なお、試験例1〜9のうち、試験例4〜8が本発明の実施例に相当し、残りが比較例に相当する。
【0048】
[試験例10〜13]
試験例10〜13では、円柱体116として、ヒータエレメント14に接する円形面と円柱側面とのコーナー部分116bを楕円形になるように加工したものを使用した以外は、試験例1〜9と同様にセラミックヒータ10を製造した。試験例10〜13の接続部材16の直径D、コーナー部分の楕円の短径F、長径G、比率F/D,比率G/Dの各値を表2に示す。なお、接続部材16の高さは、一律3mmとした。また、楕円の短径方向は接続部材16の高さ方向(図4で上下方向)、楕円の長径方向は接続部材16の幅方向(図4で左右方向)とした。試験例10〜13につき、上述した各評価試験を行った。その結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
試験例10,12では、直径Dが3.5〜5.0mmのためコーナー部分16bに集中する熱応力は大きいが、コーナー部分16bの楕円の短径F、長径G、比率F/D、比率G/Dを適切な値に設定することで製造時破損もセラミック破損も防止することができた。これに対して、試験例11,13では、これらの値のいずれかが適切でなかったため製造時に破損したり加熱後降温したときに破損したりした。
【0051】
なお、試験例10〜13のうち、試験例10,12が本発明の実施例に相当し、残りが比較例に相当する。
【0052】
本出願は、2014年6月27日に出願された日本国特許出願第2014−132305号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【0053】
なお、上述した実施例は本発明を何ら限定するものでないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えばセラミックヒータや静電チャック、高周波電極用部材などの半導体製造装置用部材として利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 セラミックヒータ、12 セラミック部材、12a ウェハ載置面、12b ウェハ載置面とは反対側の面、12c 孔、14 ヒータエレメント、16 接続部材、16a 露出面、16b コーナー部分、18 外部通電部材、18a 第1部、18b 第2部、18c 中間接合部、20 接合層、22 ガイド部材、66 円柱部材(リング状部材)、66b コーナー部分、112 成形体、116 円柱体、116b コーナー部分、118c,120 ロウ材、210 セラミックヒータ、212 セラミック部材、212c 孔、214 ヒータエレメント、216 接続部材、218 外部通電部材、220 接合層、222 ガイド部材、224 接合層。
図1
図2
図3
図4
図5