特許第6441931号(P6441931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441931三次元織りによって得られた繊維プリフォームを裁断する切断テーブル、及び該テーブルを使用した切断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441931
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】三次元織りによって得られた繊維プリフォームを裁断する切断テーブル、及び該テーブルを使用した切断方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/00 20060101AFI20181210BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20181210BHJP
   D06H 7/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B26D3/00 603A
   B26D7/20
   D06H7/00
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-538527(P2016-538527)
(86)(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公表番号】特表2017-501891(P2017-501891A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】FR2014053092
(87)【国際公開番号】WO2015086947
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】1362408
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】リシャール マトン
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/119371(WO,A1)
【文献】 実開平05−013688(JP,U)
【文献】 特開2008−296366(JP,A)
【文献】 特開2007−112132(JP,A)
【文献】 特公昭34−001895(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/00 − 3/10
B26D 7/00 − 7/20
D06H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元織りによって得られた、2つの部分(12,14)を有する繊維プリフォーム(10)を裁断する切断テーブル(100)であって、該2つの部分が、少なくとも1つの隔離ゾーン(16)によって互いに結合され、異なる形状の輪郭線(12a,14a)を有しており、該切断テーブルが、
裁断されるべき前記繊維プリフォームの該2つの部分のうちの一方を平らに受容するための凹部(108)を備えた天板(104)と、
裁断するために、そして該天板に締め付けられるために、該繊維プリフォームの2つの部分の間に介在する犠牲板(110)と、
該凹部内に位置決めされていない該繊維プリフォームの部分に押し付けられるように構成された少なくとも1つの切断テンプレート(114)と、
該切断テンプレートに圧密圧力を加える手段(118)とを含む、切断テーブル。
【請求項2】
前記天板の上方で鉛直に取り付けられたアクチュエータ(118)を含み、該アクチュエータは、前記切断テンプレートに圧密圧力を加えるために該切断テンプレートを受容するように構成されている、請求項1に記載の切断テーブル。
【請求項3】
各犠牲板(110)は前記天板上にインデキシング・スクリュ(112)によって締め付けるように形成されている、請求項1又は2に記載の切断テーブル。
【請求項4】
前記切断テンプレートが、該切断テンプレートを前記繊維プリフォーム上に位置決めするための少なくとも2つのインデキシング・フィンガ(116)を有している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の切断テーブル。
【請求項5】
前記切断テンプレートが切断工具(122)の通過を容易にするために、面取りされたエッジ(120)を有している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の切断テーブル。
【請求項6】
前記切断テンプレートが、前記繊維プリフォームが裁断されている間の該プリフォームの保持を最適化する目的で、該切断テンプレートの周囲に圧密化リップ(124)を有している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の切断テーブル。
【請求項7】
前記天板の前記凹部が、前記裁断されるべき繊維プリフォームの前記2つの部分に共通する輪郭線に相当するプロフィールを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の切断テーブル。
【請求項8】
前記天板が回転式であり、円形であり、水平であり、そして前記凹部(108)を備えた頂面(106)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の切断テーブル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の、切断テーブル(100)によって繊維プリフォームを裁断する方法において、
該方法が、
該繊維プリフォームの部分(32)のうちの一方を前記切断テーブル内の凹部(108)内に平らに位置決めしながら、該切断テーブルの天板(104)上に裁断のために該繊維プリフォーム(30)を配置する段階と、
該繊維プリフォームの2つの部分(32,34)の間に犠牲板(110)を配置し、該切断テーブルの天板に該犠牲板を締め付ける段階と、
該切断テーブルの天板の凹部に位置決めされていない繊維プリフォームの部分(34)上に前記切断テンプレート(114)を配置する段階と、
該切断テンプレートに圧密圧力を加える段階と、
該切断テンプレートによって覆われた該繊維プリフォームの部分を、該切断テンプレートの輪郭線の周りで裁断する段階と、
前記繊維プリフォームの他方の部分上で上記段階を繰り返す段階とを有する、切断テーブル(100)によって繊維プリフォームを裁断する方法。
【請求項10】
前記繊維プリフォームの両方の部分の輪郭線を包含する共通の輪郭線の周りで、前記繊維プリフォームをウォータージェットによって前切断する事前段階を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元織りによって得られた、2つの区別可能な部分を含む繊維プリフォームであって、2つの区別可能な部分が、異なる形状の輪郭線を有し、隔離ゾーンによって互いに結合されている、繊維プリフォームの一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元織りによって得られたある特定の繊維プリフォームは、隔離(non-interlinking)ゾーンを含み、これらのゾーンによって、単独の平織りプリフォームを使用して、複雑な形状の部品を複合材料から製造することが可能になる。例えば、これらの部品は、航空機タービンエンジンのためのファンブレード・プラットフォームであってよく、これらのプラットフォームは、基部と、補強材を形成する2つの脚部とを有するπ字形繊維プリフォームから得ることができる。基部は1つの部分を形成し、2つの脚部は、基部とは区別可能な別の部分を形成する。これらの部分は隔離ゾーンによって互いに結合されている。
【0003】
このようなプリフォームを製造する際に直面する問題点の1つは、プリフォームの2つの隔離された部分から裁断されたプロフィール(最終輪郭を形成する)が必ずしも同じではないことである。このような状況では、ウォータージェット切断の利用を考えることはできないので、2つのプリフォーム部分のプロフィールを手で次々に裁断することが必要である。
【0004】
しかし、繊維プリフォームからの手動裁断を制御することは難しい。このような手動裁断は不正確な切断をもたらし、再現性及び繊維の損失の問題を招くおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、上述の欠点を有さない切断テーブル及び切断方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、三次元織りによって得られた、2つの部分を有する繊維プリフォームを裁断する切断テーブルであって、2つの部分が、少なくとも1つの隔離ゾーンによって互いに結合され、異なる形状の輪郭線を有しており、切断テーブルが、被裁断プリフォームの部分のうちの一方を平らに受容するための凹部を備えた天板と、裁断するために、そして天板に締め付けられるために、プリフォーム部分間に介在する犠牲板と、凹部内に位置決めされていない繊維プリフォーム部分に押し付けられるように構成された少なくとも1つの切断テンプレートと、切断テンプレートに圧密圧力を加える手段とを含む、切断テーブルによって達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の切断テーブルは、単一の工具内部の複数の束縛手段、例えばプリフォーム部分の裁断時にプリフォーム部分を均一且つ正確に圧密化する手段、変形又は繊維除去のリスクなしにプリフォーム部分を正確に裁断する手段、及び操作者に対する負傷のリスクを制限する手段を組み入れている点において卓越している。こうして、本発明の切断テーブルによって、繊維プリフォームを裁断し、再現性の問題を制限することがより容易になる。
【0008】
切断テーブルは、天板の上方で鉛直に取り付けられたアクチュエータを含んでよく、アクチュエータは、切断テンプレートに圧密圧力を加えるために切断テンプレートを受容するように構成されている。
【0009】
各犠牲板は天板上にインデキシング・スクリュによって締め付けるのに適するようにしてよい。天板の凹部は、2つの被裁断プリフォーム部分に共通する輪郭線に相当するプロフィールを有してよい。
【0010】
切断テンプレートが、切断テンプレートをプリフォーム上に位置決めするための少なくとも2つのインデキシング・フィンガを有していると有利である。同様に、切断テンプレートが切断工具の通過を容易にするために、面取りされたエッジを有していると有利である。最後に、切断テンプレートが、プリフォームが裁断されている間のプリフォームの保持を最適化する目的で、切断テンプレートの周囲に圧密化リップを有していると有利である。
【0011】
天板は回転式であり、円形であり、水平であり、そして凹部を備えた頂面を含むことが好ましく、これにより操作者の切断作業を容易にする。
【0012】
本発明の別の目的は、上記切断テーブルによって繊維プリフォームを裁断する方法であって、この方法が、
プリフォーム部分のうちの一方を切断テーブル内の凹部内に平らに位置決めしながら、切断テーブルの天板上に裁断のためにプリフォームを配置し、
2つのプリフォーム部分の間に犠牲板を配置し、切断テーブルの天板にこれらの犠牲板を締め付け、
切断テーブルの天板の凹部に位置決めされていないプリフォーム部分上に切断テンプレートを配置し、
切断テンプレートに圧密圧力を加え、
切断テンプレートによって覆われたプリフォーム部分を、テンプレートの輪郭線の周りで裁断し、そして、
他方のプリフォーム部分上で上記段階を繰り返すことを含む、方法を提供することである。
【0013】
この方法は、両プリフォーム部分の輪郭線を包含する共通の輪郭線の周りで、プリフォームをウォータージェットによって前切断する事前段階を含んでよい。
【0014】
非制限的な特徴を有する実施態様を示す添付の図面を参照しながら、本発明の他の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、本発明が用いる繊維プリフォームの一例を上方及び下方から見た状態で示す概略図である。
図1B図1Bは、本発明が用いる繊維プリフォームの一例を上方及び下方から見た状態で示す概略図である。
図1C図1Cは、図1Aの繊維プリフォームのIC−IC線で示す断面図である。
図2図2は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図3図3は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図4図4は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図5図5は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図6図6は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図7図7は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図8図8は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図9図9は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図10図10は、図1A〜1Cの繊維プリフォームに適用される本発明の切断方法の種々の段階を示す図である。
図11図11は、本発明の切断テーブルのための切断テンプレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、三次元(3D)織りによって得られた、2つの部分を有する繊維プリフォームを裁断することであって、2つの部分が、少なくとも1つの隔離ゾーンによって互いに結合され、異なる形状の輪郭線を有している、繊維プリフォームを裁断することに関する。このような繊維プリフォームは、単独の平織りプリフォームから複雑な形状の複合材料部品を形成するのを可能にする。
【0017】
非制限的な用途例は、航空機タービンエンジンのためのファンブレード・プラットフォームを製作する際に繊維プリフォーム、例えば図1A〜1Cに示されたプリフォームを使用する例である。
【0018】
これらの図面は、3D織りによって得られる繊維プリフォーム10であって、成形し、樹脂を注入し、又はマトリックスで緻密化し、そして場合によっては機械加工を施した後、ファンブレード・プラットフォームを得るのに役立つ、繊維プリフォーム10を示す概略図である。
【0019】
「3D織り(3D weaving)」という用語は、プリフォームの縦糸が波状軌道に追従することによって、隔離ゾーンを除いて、異なる横糸層に属する横糸を連結することを意味するものと理解されるべきであり、3D織り、具体的にはインターロック織りは表面の2D織りを含み得ることが理解される。国際公開第2006/136755号パンフレットに記載されているように、種々の3D織り、例えばインターロック織り、多重繻子織り、多重平織りを用いることができる。
【0020】
繊維プリフォーム10はその厚さ方向に2つの区別可能な部分、つまり上側部分12と下側部分14とを有している。これらの部分のそれぞれは複数の重なり合った糸層によって形成されており、そして単独の繊維構造を形成するように、隔離ゾーン16によって互いに結合されている。この隔離ゾーン16内では、繊維プリフォームの上側部分の糸層は、下側部分の糸層と連結されている(逆も同じ)。
【0021】
さらに、繊維プリフォームの部分12及び14は、異なる輪郭線を有する。図1Aは、プリフォームの上側部分12(陰影付き)の輪郭線12aを示しているのに対して、図1Bは、プリフォームの下側部分14の輪郭線14aを示している(上側部分のプロフィールは破線で描かれている)。
【0022】
図2〜11を参照しながら、このような繊維プリフォームを得ることを可能にする本発明の切断方法の種々の段階を続いて説明する。
【0023】
切断方法の最初の段階は、3D織りによって、図2に示されているような繊維構造20を形成することである。この繊維構造は(厚さ方向で)2つの区別可能な部分から形成されている。これらの部分は所定の隔離ゾーン22によって一体化されている。この図では、繊維構造を形成する糸の縦糸方向及び横糸方向と、構造が織られる時の構造の進行方向Fとを見ることができる。
【0024】
この繊維構造から出発して、後続の段階は、得ようとする両繊維プリフォーム部分の輪郭線を包含する共通の輪郭線Cに沿って、繊維構造をウォータージェットによって前切断することにある。この作業は、図3に示された前切断プリフォーム30を得ることを可能にする。この前切断プリフォームは、予め調製された隔離ゾーン16によって互いに結合された(厚さ方向の)2つの区別可能な部分を有する。
【0025】
このように前切断されたプリフォーム30を、図4に概略的に示されているように、本発明による切断テーブル100に位置決めする。
【0026】
この切断テーブル100は具体的にはスタンド102を含む。このスタンド102には水平の天板104が、鉛直方向軸線A−Aを中心として回転するように取り付けられている。天板104は、凹部108を備えた頂面106を有している。凹部108は、被裁断プリフォーム部分のうちの一方を平らに受容するようになっている。これを目的として、凹部108は、被裁断プリフォーム部分の両方に共通の輪郭線Cに相当するプロフィールを有する。
【0027】
図4に示された例では、切断テーブルの天板104の凹部108内に位置決めされたプリフォーム30の部分32は、裁断後に繊維プリフォームの下側部分を形成するようになる部分である。
【0028】
次いで、2つのプリフォーム部分の間に裁断のために犠牲板110(この例では2枚)を介入させる。これらの犠牲板110は、前切断済のプリフォーム30の隔離ゾーン16の輪郭線と合致し、これらは天板の凹部内に位置決めされたプリフォーム部分32を保護するのに役立つ。
【0029】
犠牲板110をこうして切断テーブル上に位置決めしたら、これらの犠牲板を例えばそれぞれ2つのインデキシング・スクリュ112によって、切断テーブルの天板104に締め付け(図6)、ひいては犠牲板が適切な切断操作中に動くことを防止する。
【0030】
次の段階は図7に示されており、繊維プリフォームの、切断テーブルの天板の凹部内に位置決めされていない部分34に切断テンプレート114を当て付けることにあり、この例における切断テンプレートは、裁断済プリフォームの上側部分12の輪郭線に相当する輪郭線114aを有する。
【0031】
切断テンプレート114は、犠牲板110に対して2つのインデキシング・フィンガ116を有することにより、切断テンプレートが前切断済プリフォーム30上に適切に位置決めされることを保証すると有利である。
【0032】
その後、切断テンプレート114上に圧密圧力を加えることによって、プリフォームの繊維が切断テンプレートの周縁で保持されるのを可能にし、これにより、適切な切断操作中に繊維が動くことを防止する。
【0033】
これを目的として、切断テンプレート114は、切断テーブルの天板104の上方で鉛直に取り付けられたアクチュエータ118の自由端に水平に締め付けられている。切断テンプレート上にアクチュエータによって加えられる圧密圧力は典型的には3バール〜5バールである。
【0034】
切断テンプレートが当て付けられると、切断テンプレートの輪郭線に沿ってプリフォーム部分34を裁断し始めることができる。この裁断は、それ自体周知の様々な方法で、例えば鋼又はセラミックから成る刃を使用して手で行うことができる。
【0035】
図7に示された例では、繊維プリフォーム部分34の陰影付きゾーンは、この段階中に切り離されるべきゾーンに相当する。注目すべきなのは、鉛直方向軸線A−Aを中心として切断テーブルの天板104を回転させることにより、操作者は切断ゾーンに常にアクセスできるので、この切断段階はより容易になる点である。
【0036】
切断が完了すると、繊維プリフォーム30の部分34は、図1A〜1Cに示された裁断済プリフォーム10の上側部分12に相当する。次いで、切断テンプレートを切断テーブルから取り外し、プリフォーム30を上記テーブルと同様の別の切断テーブル100’に移す(図8及び9)。この切断テーブル100’は具体的には、丁度裁断されたばかりのプリフォーム部分34の輪郭線に相当するプロフィールの凹部108’を備えた天板104’を有している。
【0037】
繊維プリフォーム30をこうして切断テーブル100’上に、その上側部分12が天板104’の凹部108’内に位置決めされた状態で置く。
【0038】
次いで、プリフォーム部分34を裁断する場合と同様に操作を行う。具体的に言えば、同じ犠牲板110を天板104’に取り付けて締め付け、そして別の切断テンプレート114’を被裁断プリフォーム部分32に当て付ける。この切断テンプレートの輪郭114’aは裁断済プリフォームの下側部分12の輪郭線に相当する(図10)。アクチュエータ118’によって圧密圧力を加えた後、このような他の切断テンプレート114’の輪郭線の周りで繊維プリフォーム部分32を裁断し始めることができる。図10の例では、繊維プリフォーム部分32の陰影付きゾーンは、切り離されるゾーンに相当する。
【0039】
繊維プリフォーム30の部分32は裁断されると、図1A〜1Cに示された裁断済プリフォーム10の下側部分14に相当する。次いで切断テンプレート114’及び犠牲板110を取り外すことにより、繊維プリフォームが取り出されるのを可能にする。このとき、繊維プリフォームは、図1A〜1Cに示されたプリフォームに相当する。
【0040】
図11に示されているような本発明の別の有利な構成では、切断テンプレート114及び114’のぞれぞれが、切刃122の通過を容易にするための面取りされたエッジ120を有している。典型的には、この面取りされたエッジ120は、鉛直方向切断線と約45°の角度αを成すことができる。
【0041】
やはり図11に示されているような本発明の別の有利な構成では、切断テンプレート114及び114’のそれぞれは、プリフォームが裁断されている間のプリフォーム30の保持を最適化する目的で、切断テンプレートの周囲に圧密化リップ124を有している。従って、このような圧密化リップ124(例えば約5ミリメートル(mm)の幅を有する)の存在は、切断のためのゾーンの周りに位置するゾーンへの加圧を制限するのに役立つ。
図1A
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11