特許第6441936号(P6441936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6441936電磁放射を送信及び受信するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6441936
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】電磁放射を送信及び受信するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3581 20140101AFI20181210BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20181210BHJP
   H04B 10/2513 20130101ALI20181210BHJP
【FI】
   G01N21/3581
   G02B6/42
   H04B10/2513
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-540513(P2016-540513)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公表番号】特表2017-515091(P2017-515091A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2014070729
(87)【国際公開番号】WO2015112284
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】61/917,151
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505409166
【氏名又は名称】ピコメトリクス、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストロング、ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】スタック、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン、スティーブン
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−522151(JP,A)
【文献】 特開2013−068528(JP,A)
【文献】 特表2004−500582(JP,A)
【文献】 特表2005−524864(JP,A)
【文献】 特開2006−313140(JP,A)
【文献】 特表2009−540546(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0179528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
G02B 6/42
H04B 10/2513
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射を送信及び受信するためのシステムであって、
光パルスをポンプ・パルスとプローブ・パルスに分離するように構成されたビーム・スプリッタであって、前記ポンプ・パルスはポンプ・パルスの焦点スポットを有し、前記プローブ・パルスはプローブ・パルスの焦点スポットを有する、前記ビーム・スプリッタと、
送信器スイッチ及び受信器スイッチを有するトランシーバであって、前記ポンプ・パルスが、前記送信器スイッチに向けられ、前記プローブ・パルスが前記受信器スイッチに向けられる、前記トランシーバとを備え、
前記ポンプ・パルスが前記送信器スイッチに達すると、電磁放射が前記トランシーバから発せられ、前記プローブ・パルスが前記受信器スイッチに達すると、前記電磁放射を検出し、
前記トランシーバにより放射された前記電磁放射をサンプルに向けるとともに、前記サンプルからの前記電磁放射を前記トランシーバに向けるように構成された、半球レンズを備え、
前記ビーム・スプリッタは、前記ポンプ・パルスの焦点スポット及び前記プローブ・パルスの焦点スポットを、前記送信器スイッチと前記受信器スイッチとの間の間隔に等しい分だけ分離するように構成された、システム。
【請求項2】
単一の光ファイバをさらに備え、前記光パルスが、前記単一の光ファイバを介して前記ビーム・スプリッタに提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記単一の光ファイバが、偏波保持ファイバである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ポンプ・パルス及び前記プローブ・パルスが、前記偏波保持ファイバ中にあるとき、直交的に偏光される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光パルスが前記単一の光ファイバを通って伝播するとき引き起こされる前記光パルスの分散を補償するために、前記単一の光ファイバと光通信する分散補償器をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記電磁放射がテラヘルツ放射である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記テラヘルツ放射が、連続的な波形のテラヘルツ放射又はパルス化テラヘルツ放射のいずれかである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記送信器スイッチと受信器スイッチが互いに分離される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記送信器スイッチと受信器スイッチが、1マイクロメータから1ミリメータの距離だけ互いに分離される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記送信器スイッチと受信器スイッチが、それぞれアンテナを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記送信器スイッチ用の前記アンテナが、前記受信器スイッチ用の前記アンテナに対して垂直である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記送信器スイッチと受信器スイッチが、単一のアンテナを利用する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記送信器スイッチと受信器スイッチが、ハイパス・キャパシタによって互いに電気的に隔離される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ビーム・スプリッタが、複屈折ウィンドウである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記複屈折ウィンドウが、オルトバナジン酸イットリウム又はカルサイトのいずれかから作製される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記単一の光ファイバからの前記光パルスを集束するために、前記単一の光ファイバと前記ビーム・スプリッタとの間に位置する光集束部をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項17】
前記光集束部が、グリン・レンズである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
記トランシーバが、前記半球レンズの平面側に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信器スイッチが、前記送信器スイッチによって発せられ、標本から反射される前記電磁放射の少なくとも一部を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
第2のトランシーバをさらに備え、前記第2のトランシーバが、前記送信器スイッチによって発せられ、標本を通る前記電磁放射の少なくとも一部を受信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許明細書は、2013年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/917,151号の出願日の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の資金援助による研究又は開発
本発明は、契約NNX12CA81Cに基づき米航空宇宙局(NASA)により授与された米国政府の助成を用いてなされた。米国政府は、本発明における一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、電磁放射を送信及び受信するためのトランシーバに関し、より詳細には、テラヘルツ放射を送信及び受信するためのトランシーバに関する。
【背景技術】
【0004】
高速光パルスが光伝導スイッチに達して半導体中に電子正孔対を生成することにより、得られる電荷キャリアが放射アンテナの光伝導部の間を流れると、テラヘルツ・パルスが装置によって生成され得る。次いで、これにより、アンテナから電磁パルスを発する。半導体内の深い準位のトラップによりキャリアのトラップ速度が速くなるため、光パルスが取り除かれると電荷キャリア集団はすぐに消える。これにより、超高速テラヘルツ電磁応答が生じる。使用される典型的な半導体は、低温成長ガリウム砒素、低温成長インジウム・ガリウム砒素、及び記載の特性をもつ適した他の材料を含む。半導体材料は、典型的に、入射する光パルスを効率的に吸収するのに適切なエネルギーの直接バンド・ギャップを用いて設計される。
【0005】
発せられたテラヘルツ電磁放射を検出する受信アンテナは、構造及び寸法において送信アンテナと類似することが多い。受信アンテナと送信アンテナとの主な相違点は、受信アンテナが、アンテナの光伝導性ギャップ又はスイッチで小さなしかし測定可能な電界を形成する入射電磁放射を受信することである。この電界から得られる課された電圧バイアスは、受信アンテナの光伝導スイッチを閉じ誘導電流を測定することによって、読み取られる。
【0006】
これらのテラヘルツ・システムは、通常、ポンププローブ法の操作を使用する。基本的には、2つのアンテナが使用される。送信アンテナは、光パルスを用いて「ポンピング」され、テラヘルツ放射を発する。受信アンテナは、第1のパルスから精密に時間を遅延した第2のパルスによって「プローブ」される(probed)。この時間遅延は、テラヘルツ波の開始から様々な遅延時間で、対象物により改変された後テラヘルツ波をサンプリングできるように、可変であることが多い。得られる全波形は、ポンプ・パルスと比較してプローブ・パルスの遅延時間をスキャンすることによって再現され得る。
【0007】
図1を参照すると、先行技術のシステム10は、知られたポンプ・プローブ・システムを示す。その主な構成部品として、このシステム10は、テラヘルツ放射14を送信するための送信器12、及び送信器12によって発せられるテラヘルツ放射14の一部18を受信するための受信器16を含む。テラヘルツ放射を送信及び受信するためのモジュールの実例は、米国特許第6,816,647号において開示されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
送信器12及び受信器16を励起するために使用される光パルスは、単一モード光ファイバとすることができる光ファイバ20及び22によって提供される。レンズ24は、テラヘルツ放射26をプレート又は標本28に向ける。プレート又は標本28は、テラヘルツ放射30をペリクル32へ反射し、次に、反射した放射30を受信器16に向けて反射する。これらのモジュールは、ピグテイル型のファイバであり、短(10−14〜10−12秒)光パルスを高速光伝導スイッチに送達する。送信器12の事例では、短光パルスが、テラヘルツ(1010〜10−13ヘルツ)放射のパルス26を発生させるために、スイッチを作動させる。このシステムは、送信と受信のテラヘルツ・ビームのビーム経路を重ねるために、ペリクル32などの部分反射ビーム・スプリッタを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,816,647号
【特許文献2】米国特許第6,320,191号
【特許文献3】米国特許第8,436,310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この構成に伴う1つの問題は、送信信号及び返信信号がペリクル32に当たるとき、テラヘルツ出力の約75%が失われることである。送信信号は、ペリクル32に最初に当たるときその信号の半分を失う。半分は、プローブされるプレート又は標本28へ向かってペリクル32を通過するが、他の半分は、離れるように反射して失われる。返信信号30も同じ損失に遭遇するが、それは、半分がペリクル32によって受信器16へ向かって反射され、他の半分は、ペリクル32を通過し、送信器12に届き、失われるからである。さらに、システム10の構成は、かさばり、高価であり、位置合せが困難でもある。ファイバ20及び22は、送信器12及び受信器16へパルスを送達するのに長さを一致させる必要もある。これらのファイバ20及び22は、温度変化、振動効果、又は、ねじり若しくは引張によって課された単純な応力によって引き起こされるタイミング変動が、一方のファイバに対して他方のファイバよりも多く加えられるという点において、問題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
電磁放射を送信及び受信するためのシステムについて説明する。このシステムは、ビーム・スプリッタ及びトランシーバを含む。ビーム・スプリッタは、光パルスをポンプ・パルスとプローブ・パルスに分離するように構成される。トランシーバは、送信器スイッチ及び受信器スイッチを含むことができる。ポンプ・パルスは、送信器スイッチに向けられ、プローブ・パルスは受信器スイッチに向けられる。ポンプ・パルスが送信器スイッチに達すると、電磁放射がトランシーバから発せられる。電磁放射は、パルス化波形又は連続的な波形のいずれかのテラヘルツ放射とすることができる。
【0012】
光パルスは、単一の光ファイバを介してビーム・スプリッタに提供され得る。単一の光ファイバは、偏波保持ファイバとすることができる。光パルスが偏波保持ファイバ中にあるとき、ポンプ・パルス及びプローブ・パルスは、直交的に偏光され得る。
【0013】
送信器スイッチと受信器スイッチは、一般に、互いに分離され得る。送信器スイッチと受信器スイッチは、それぞれ別々のアンテナを有することができ、又は単一のアンテナを共有することができる。単一のアンテナを利用する場合、送信器スイッチと受信器スイッチは、ハイパス・キャパシタによって互いに電気的に隔離され得る。
【0014】
システムは、反射型構成で使用されてよく、送信器は、それが送信し標本から反射された放射の少なくとも一部を受信する。ただし、システムは、2つのトランシーバが使用され、それぞれが標本の対抗面に位置されるような、透過的な構成でも使用され得る。第1のトランシーバは、標本を通して第2のトランシーバへ電磁放射を送ることになるが、第2のトランシーバは、標本を通して第1のトランシーバに電磁放射を送ることになる。
【0015】
本発明のさらなる目的、特徴、利点は、本明細書に添付されその一部を形成する図面及び特許請求の範囲を参照しながら以降の説明を精査した後に、当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】テラヘルツ放射を送信及び受信するための先行技術のシステムを示す図である。
図2】電磁放射を送り受け取るためのシステムを示す図である。
図3】電磁放射を送り受け取るためのトランシーバのより詳細な図である。
図4】2つのアンテナを有するトランシーバのより詳細な図である。
図5図4のトランシーバの2つのアンテナのクローズアップ図である。
図6】半分の送信器アンテナと受信器アンテナの間に配置されたガード・バンド又はシールドでの変形形態をもつ2つのアンテナを有するトランシーバのより詳細な図である。
図7】単一のアンテナを有するトランシーバのクローズアップ図である。
図8】直交的に配置されたアンテナを有するトランシーバを示す図である。
図9図8の直交的に配置されたアンテナのクローズアップ図である。
図10A】ビーム・スプリッタを示す図である。
図10B】ビーム・スプリッタを示す図である。
図11】放射を送り受け取るためのシステムに設置されたトランシーバの一実施例の詳細な図である。
図12】放射を送り受け取るためのシステムに設置されたトランシーバの一実施例の詳細な図である。
図13】放射を送り受け取るためのシステムに設置されたトランシーバの一実施例の詳細な図である。
図14図13で開示されたシステムの側面図である。
図15】トランシーバに提供されるポンプ・パルス及びプローブ・パルスのより詳細な図である。
図16】電磁放射を送り受け取るためのシステムを示す図であり、このシステムは透過型構成で使用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2及び図3を参照すると、電磁放射を送り受け取るためのシステム110が示される。その主な構成部品として、システム110は、光パルス114を出力するように構成されたレーザ源112を含む。これらの光パルス114は、ポンプ及びプローブ光遅延システムに提供され、ビーム・コンバイナを使用して合成され得、その出力は、ポンプ・パルスとプローブ・パルスとを分離するビーム・スプリッタ116に提供される。光パルス114は、光ファイバ118を使用してビーム・スプリッタに提供され得る。一般に、光ファイバ118は、偏波保持光ファイバとすることができるが、単一モード光ファイバでもよい。光パルスは、独立した、直交偏光ポンプ及びプローブ・レーザ・パルスを含むことができる。
【0018】
光ファイバ118が利用される事例では、光パルス114が光ファイバ118を通って伝播するとき引き起こされる光パルス114の分散を補償するために、前置分散補償器117が使用され得る。前置分散補償器の実例は、米国特許第6,320,191号において示され説明されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
ただし、光パルス114は、光ファイバ118を介したものだけではなく他の手段を通してビーム・スプリッタ116に提供され得ることが理解されるべきである。例えば、光パルス114は、自由空間、又は自由空間と光ファイバの組合せを介してビーム・スプリッタ116に提供され得る。ファイバ118が利用される事例では、光パルス114が、2つの別々の構成部品である、直交的に配列されたポンプ・パルス及びプローブ・パルスを有する。これにより、2つの別個の光パルスがファイバ118に提供され得る。
【0020】
ビーム・スプリッタ116は、光パルス114をポンプ・パルス120とプローブ・パルス122に分割する。トランシーバ124は、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122を受信する。後により詳細に説明するように、トランシーバ124は、送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128を含む。直交偏光ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122が、ファイバ118を出て、復調され、又は、複屈折ウィンドウとなり得るビーム・スプリッタ116によって空間的に分離され、これにより2つのパルス120と122が、送信器スイッチ126と受信器スイッチ128にそれぞれ向けられると、トランシーバ124が作動され得る。
【0021】
トランシーバ124は、レーザ発光を光伝導性のスイッチ又はアンテナの「ギャップ」に集中させるのに適したレンズをもち、1つ又は複数の光ファイバ・ケーブルが挿入され、アンテナに安全に近接して取り付けられることを可能にし得る。さらに、この実施では、信号処理を増幅し実行するための電子装置が、モジュール内部に取り付けられる。
【0022】
ファイバ118を出る第1のレーザ・パルスであるポンプ・パルス120は、送信器アンテナ・システムに統合された送信器スイッチ126に向けられ、ハイパー半球レンズ129を介してテラヘルツ・パルス130を発する。ファイバを出る第2のパルスであるプローブ・パルス122は、これも送信器アンテナ・システムを用いて統合された受信器スイッチ128に向けられる。プレート又は標本132から反射した後、ハイパー半球レンズ129を介してトランシーバ124に戻ったテラヘルツ送信信号130の一部134は、トランシーバ124によって受信され、プローブ・パルス122を用いて励起されると、受信器スイッチ128によって検出され、又はサンプリングされる。
【0023】
送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128は、トランシーバ・アンテナ・システム124に統合され、空間的に分離され、並びに電気的及び光学的にも互いに隔離される。スイッチ126と128との間の好ましい間隔は、短くてレーザ波長(〜1μm)から、長くて最短の測定可能なテラヘルツ波長(基板の屈折率が3.5と仮定して基板上で〜25μm)の範囲とすることができる。範囲をこの間隔にすると、クロス・トークを回避するのに良好なポンプ−プローブ隔離が可能となり、一方、送信したテラヘルツ信号130と受信したテラヘルツ信号134が、基本的に重なったビーム経路に沿って歪みなく伝播することができる。ビーム・スプリッタ116は、スイッチ間の間隔に等しい分だけ2つの焦点スポットを分離する厚さに製作される。
【0024】
直交偏光ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122は、光ファイバの偏光ビーム・コンバイナ115を使用して、ファイバ118の入力端部119で予め合成され得る。ファイバ118の出力端部121から出た後、パルスは、ビーム・スプリッタ116に入り、これにより直交偏光パルス列が2つの並行ビームであるポンプ・パルス120とプローブ・パルス122に分割される。ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122は、集束されると、2つの空間的に分離されたスポットを形成する。2つではなく単一のファイバ118の使用により、引張又はねじり、振動、温度ドリフトなどによるファイバの応力を含む環境要因から起こり得る、ポンプ・パルス120とプローブ・パルス122との間のタイミング・エラーがなくなる。光パルス120及び122が、トランスデューサを作動させるために空間的に隔離され得るが、異なる波長又は他の非直交偏光状態を使用してビームを分離することも可能である。
【0025】
スイッチ126及び128を形成する光伝導性ギャップは、アンテナの中央部で統合され得る。光伝導スイッチ126及び128は、典型的に、レーザ・パルスによって作動されるときに起こるような、スイッチが「開」又はオフ状態のとき高抵抗となり、スイッチが「閉」又はオン状態のとき高伝導となるように設計された高速半導体材料のギャップを形成する1セットの電極を備える。半導体材料は、スイッチの光開始式オン状態の時間幅をサブピコ秒の時間幅に制限するような非常に短時間のキャリア・ライフタイムを特徴とする。
【0026】
ただし、システム110は、光伝導性並びに電気光学的テラヘルツ発生器及びサンプリング・システムに適用可能であることが理解されるべきである。例えば、システム110は、光伝導性テラヘルツ・サンプリング・ゲートをもつ電気光学的テラヘルツ発生器、若しくは電気光学的サンプリング・ゲートをもつ光伝導性テラヘルツ発生器を利用し、又は光伝導性テラヘルツ発生器及びサンプリング・ゲートを有し、又は電気光学的テラヘルツ発生器とサンプリング・ゲートを有することができる。トランシーバ124が、従来型アンテナ(すなわち、ダイポール、又はスパイラルなど)を備える必要はない。例えば、送信器が、電気光学結晶内でテラヘルツ・パルスを発生させるためのチェレンコフ法に基づき、サンプリング光パルスを入射テラヘルツ信号と共同で伝播させることによってテラヘルツ信号をプローブするために受信器に同じ結晶を使用させることが可能である。
【0027】
さらに、光ファイバ118を使用すると、柔軟性のあるアンビリカルの光ファイバ118を設けることによって動きが自由になり、パルス114をレーザ源112からトランシーバ124まで導くことができる。通例最も使用される光パルス列源は、ファイバ・レーザなので、こうしたレーザをレーザ源112として使用することは可能である。トランシーバ124は、ノイズを低減するためにできる限り光伝導アンテナに接近する増幅電子装置を含むことができ、アンビリカルはまた、典型的に、電力を供給し、システムの残りの部分に得られる電気信号を伝導するために電気伝導体を有する。アンテナ組立体はまた、種々のレンズ組立体(典型的なシリコン・ハイパー半球レンズ又はポリマー・レンズ)を含むことが多い。パルスの精密なタイミング及びパルス長の制御により、より高解像度の結果が得られる。こういうものとして、2つの光パルスが、その直交偏光された光経路に沿って移動するとき、2つの光パルスの分散に対処するために、何らかの形の分散補償が、必要となることが多い。
【0028】
図4及び図5を参照すると、図4に、トランシーバ124の一部であるトランシーバ・チップ125の一実例を示す。ここでは、空間的に分離され電気的に隔離された送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128の、2つの半分のボウタイ・アンテナの中央部を示す。図5に最も良く示されるように、送信器アンテナ126が、上側のボウタイの半分であり、受信器アンテナ128は、下側のボウタイ・アンテナの半分である。先に述べたように、ポンプ・パルス120とプローブ・パルス122は、それぞれ送信スイッチ126と受信器スイッチ128上に集束される。アンテナ136と138との間ひいては送信器スイッチ126と受信器スイッチ128との間の分離間隔は、10マイクロメータ程度である。これらの光伝導性ギャップは、1マイクロメータ程度である。
【0029】
これらが近接近しているという前提では、2つの半分のボウタイは、テラヘルツ周波数の単一のアンテナとして実行する。したがって、光波長とテラヘルツ波長とが1000倍の差があることによって、送信器スイッチ126と受信器スイッチ128が、テラヘルツ性能の大幅な劣化なしに、物理的に分離され、並びに電気的及び光学的に隔離され得る。図6を参照すると、グレーで示されたさらなる隔離が、半分の送信器アンテナと受信器アンテナとの間に配置されたガード・バンド及びシールドによって提供され得る。半分の送信器アンテナと受信器アンテナとの間に配置されたガード・バンド又はシールドの変形形態は、本明細書で説明した他の実例に等しく適用可能である。これにより、高利得増幅器は、送信器スイッチ126によって飽和されることなしに、受信器スイッチ128に組み込まれ得る。送信器スイッチ126は、最初のテラヘルツ・パルスを発生させるためにそのギャップの両側に印加される比較的大きな直流バイアスを有する。送信器スイッチ126と受信器スイッチ128とを隔離することによって、受信器スイッチ128の両側に直流電圧を印加しないで、受信器スイッチ128から、ショット・ノイズ及びレーザゆらぎノイズをなくし、可能な最も高い信号対ノイズ比をもたらす。2つのアンテナ126及び128は、二元的な送信器若しくは二元的な受信器、又は1つの送信器と1つの受信器の組合せとして構成され得ることにも留意されたい。
【0030】
図7にトランシーバ・チップ125の別の実例を示す。示されているのは、1つのアンテナ・ギャップ中に統合された空間的に分離され電気的に隔離された送信スイッチ126と受信器スイッチ128をもつ、フルサイズの単一のボウタイ・テラヘルツ・アンテナ140である。送信器スイッチ126用のバイアスは、誘電層の両側及び光伝導性ギャップ間に印加される。バイアス構成に応じて、スイッチの片側又は両側が隔離され得る。ここで、図7は両側が隔離されたものである。図4及び図5におけるように、2つのスイッチ126と128との間の分離間隔は、10マイクロメータ程度であるが、これらの光伝導性ギャップは、1マイクロメータ程度である。
【0031】
送信器バイアス・パッドの寸法は、寄生損失を低減するために小さくしておく。バイアスが印加され、ポンプ・パルス120が光伝導性ギャップに達すると共に、ギャップの伝導性が、数十オームまで降下し、サブピコ秒の電気パルスが、絶縁層を通ってアンテナ140に結合する。次いで、アンテナ140が、通常通り放射して、テラヘルツ・パルスを送信する。受信器スイッチ128は、先の説明と同様に実行する。送信スイッチ126中に統合される結合キャパシタが、十分に小さい場合、受信器スイッチによって測定される信号は、実質上歪みがない。送信スイッチ126及び受信器スイッチ128は、ハイパス・キャパシタ142及び144によって互いに電気的に隔離され得る。
【0032】
図8及び図9を参照すると、トランシーバ・チップ125の別の実例が示される。ここで、送信器スイッチ126用のアンテナ146は、受信器スイッチ128用のアンテナ148に対して垂直である。絶縁層150は、アンテナ146と148との間に置かれる。基本的には、アンテナ146と148とは、互いに90度である。これは、ポンプ・パルス120が受信器アンテナ148に対して垂直である、偏光テラヘルツ・パルスを作り出すことを意味する。テラヘルツ・ビームがその直交偏光状態から変化するまで、受信器アンテナ148によって何も受信される可能性はない。
【0033】
これは、テラヘルツ・パルスが、プラスチック、木製製品、又は他のいずれかのテラヘルツ透過性媒体の応力又は疲労によって引き起こされるような、複屈折媒体を通って伝播する場合に可能性がある。こうした実例では、部品又は材料の欠陥を判断するために、複屈折の変化の検出及び画像することが可能であろう。アンテナ146及び148が、共通の中心点を共有し、スイッチ126及び128は、十分近くに接近してポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122に適切に位置合せされている限りは、この直交的構成は、歪みなく機能することができる。さらに、アンテナ146と148との間の相対的角度(ひいては偏波)は、位置合せされた直交偏光状態に限定されない。アンテナ146とアンテナ148との間のいずれの相対的角度も可能となり得る。また、2つのアンテナ146及び148は、2つの送信器若しくは2つの受信器、又は1つの送信器と1つの受信器の組合せとして構成され得る。
【0034】
図10A及び図10Bを参照すると、ビーム・スプリッタ116のより詳細な図が与えられる。図10Aは、偏光されたポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122とビーム・スプリッタ116との間の関係を示す概念図である。ビーム・スプリッタ116は、複屈折結晶とすることができる。ビーム・スプリッタ116用の好ましい結晶は、オルトバナジン酸イットリウム(YVO)であるが、カルサイトなどの他の材料も同様に使用され得る。
【0035】
光ファイバ118が、偏波保持光ファイバである場合、光ファイバ118により、光パルスの直線的な偏光状態を保持しながら直線的に偏光された光パルスが伝播することができる。偏波保持光ファイバは、直交偏光状態をサポートしながら互いに垂直に配向された速い及び遅い軸を有する。ファイバ118の入力端部の偏光ビーム・コンバイナを使用することによって、2つの別々の偏波保持ファイバを組み合わせて第3の偏波保持ファイバにすることが可能である。次いで、2つの別々のファイバを伝播する偏光されたパルスは、組み合わされて単一ファイバ118になり、独立的に伝播し、互いに対して直交的に偏光され得る。次いで、この単一ファイバ118は、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122の両方の送達をサポートすることができる。別の実施例では、アンテナ136及び138が、タイトにパックされ、したがって2つの別々のファイバ又は二元コアを有する単一ファイバを使用して作動され得る限り、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122は、直交式でなくともよい。
【0036】
ファイバ118の出力端部121で、ビーム・スプリッタ116が、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122に対応する2つの偏光状態を分離するために使用される。ビーム・スプリッタ116の特殊な軸に沿って偏光されたパルスを通常の軸に沿って偏光されたパルスから横方向に変位させることによって、ビーム・スプリッタ116は、2つの直交偏光レーザ・パルス120と122とを分離する。ビーム・スプリッタ116で使用される結晶の厚さは、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122の焦点ポイントの変位を決定する一要因である。ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122の焦点ポイントは、送信器スイッチ126と受信器スイッチ128との間隔に一致するように設定される。
【0037】
ビーム・スプリッタ116は、ファイバ118の出力端部121と送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128との間に配置される。この領域には、ギャップ寸法の程度のスポット・サイズにまで2つのビームを集束させる光集束部152も含まれる。したがって、光は、ファイバ118を出ると、2つのビーム120と122とを集束し分離するように共に働く光集束部152及びビーム・スプリッタ116にかけられる。光集束部152及びビーム・スプリッタ116の程度は、決定的なものではない。一実例では、ビーム・スプリッタ116は、光集束部152と送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128との間に位置される。光集束部152は、図10Bに示すようにグリン・レンズとすることができ、又は図10Aに示すように光ファイバ118と統合され得る。
【0038】
波長などの偏光以外の、2つのパルス120と122とを分離する代替の方法が、可能である。加えて、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122は時間で分離されるので、これらが時間的に隔離されるときは2つのパルス120と122とを必ずしも物理的に隔離する必要がない。ポンプ・パルス120が、先に述べたようにアンテナでプローブ・パルス122から物理的に分離されない場合、両方のパルス・ストリームは、両方のアンテナに影響を与える。これは、テラヘルツ・パルスが送信器スイッチ126から送り出されるとき、受信器スイッチ128が「アクティブ」であることを意味し、一方、分離したアンテナからテラヘルツ・パルスが伝搬する時間は、テラヘルツ・エネルギーがノイズとして検出されるために受信器スイッチ128にほとんど到達していないことを意味する。簡単に言えば、アンテナでの2つの光パルス120と122との分離については、1つの知られた実施を説明するものである。
【0039】
図11図15に、トランシーバ124を示す。図11に最も良く示すが、トランシーバ・チップ125は、シリコン・ハイパー半球レンズ129の平面側に取り付けられて示される。図12に、トランシーバ・チップ125をトランシーバ回路に電気接続するために使用されるアルミナ遷移キャリア154を示す。ビーム・スプリッタ116も示される。ビーム・スプリッタ116を回転させることができると、ポンプ・パルス120及びプローブ・パルス122の2つのレーザ・スポットを、送信器スイッチ126及び受信器スイッチ128上に精密に位置合せすることが可能になる。或いは、ビーム・スプリッタ116がまた、別々の構成部品である必要がなく、トランシーバ・チップ125の基板上に統合され得る。
【0040】
図13に、コバール・モジュール前壁158に取り付けられた、ハイパー半球レンズ129上のトランシーバ組立体124を示す。図14は、図13の側面図であるが、好ましくはグリン・レンズである光集束部152、ビーム・スプリッタ116、及びトランシーバ・チップ125間の関係を示す。図15に示す拡大図は、2つの直交偏光ビーム120及び122が、トランシーバ・チップ125に到達するとき、グリン・レンズ152によってどのように集束されるか、また、ビーム・スプリッタ116によってどのように横方向に分離されるかについて示す。ポンプ・パルス120が、最初に到達して、送信器スイッチ126に届き、プローブ・パルス122は、2番目に到達して、受信器スイッチ128に届く。得られる組立体は、発せられたテラヘルツ放射を視準し又はほぼ視準し効率を改善するために、スイッチ126及び128の光伝導性トランスデューサが、実際にイマージョン・ハイパー半球シリコン・レンズ129の焦点ポイントに近接して置かれるように、取り付けられる。
【0041】
これは、テラヘルツ波長より短い波長の光放射を使用して達成される。これにより、光放射が、空間的に分離されて、次いで複数のテラヘルツ信号を生成及び/又は測定するために使用される複数の隔離されたビーム120と122になることが可能になり、そのそれぞれが、テラヘルツ生成スイッチ126及び受信スイッチ128を作動させているような、放射の光波長(1つ又は複数)より十分に寸法が長い波長又は波長の分布を有し、それによって、全ての複数のテラヘルツ信号が共通のビーム経路を共有することができる。
【0042】
図16を参照すると、2つ又はそれ以上のトランシーバを1つの測定構成で使用することも可能である。トランシーバ160は、基本的にトランシーバ124を複製したシステムであり、トランシーバ124の説明が応用可能なので詳細について説明しない。この実例では、トランシーバ160が、トランシーバ124と同じレーザ源112を受信し共有する。ビーム・スプリッタ116に類似したビーム・スプリッタ162は、光パルス118をファイバ164から受信し、光パルスをポンプ・パルス166とプローブ・パルス168に分離する。トランシーバ124と同様に、ポンプ・パルス166は、送信器スイッチ170に提供されるが、プローブ・パルス168は、受信器スイッチ172に提供される。
【0043】
実例として、トランシーバ124は、受信器スイッチ128によって受信される部分176を用いてテラヘルツ・パルス174を放射することができ、及び/又は、部分178は、試験中に、標本180を通して標本180の反対側の第2のトランシーバ160に位置する受信器スイッチ172に送信され得る。この第2の測定は、送信モードでなされる。この構成を用いて、テラヘルツ・データの反射と送信の両方が、標本180から同時に得られ得る。同時に逆の測定のセットも可能である。すなわち、この構成の第2のトランシーバ160が、テラヘルツ・パルス182を放射することもできる。このパルス182は、第1のトランシーバ124によって送信モードで、及び第2のトランシーバ160によって反射モードで測定され得る。総計で、送信で2つ及び反射で2つの4つの測定が、標本166の同じポイントから同時になされ得るであろう。
【0044】
こういうものとして、送信器スイッチ及び受信器スイッチを作動させるために使用される全ての光パルスが、同じレーザ源に起因し、したがって正確に同期するので、1つのシステムから別のシステムへとテラヘルツ信号を生成し受信するいずれの組合せも可能である。本発明を用いて、標本のどちら側にも取り付けられる2つのトランシーバを有するペリクル構成を使用することも可能である。この構成を用いて、標本を測定するために様々なテラヘルツ偏光が使用され得る。
【0045】
得られるシステムは、2つの別々のアンテナ・システムを使用する典型的なシステムに対していくつかの利点を与える。第1に、必要とされる材料を少なくしてコストを削減し、システムの実施を単純化する。組合せ装置用には、1つのモジュール、ハイパー半球レンズ・システム、光ファイバ、電子アンビリカルなどだけが、必要となる。別の利点は、システムが反射測定用に使用される場合、2つの別々のアンテナ・モジュールから成るシステムは、送信アンテナ及び受信アンテナが同じ物理位置にあることができないという事実を克服するために、典型的にテラヘルツ・ビーム中のペリクルの使用を必要とする、ということである。
【0046】
ペリクルが存在すると、テラヘルツ・エネルギーの損失が生じ、システムに複雑さが加わる。こうしたシステムの2つの別々のモジュールは、システムを通るテラヘルツ信号を最大にするような位置合せも必要とする。ここに提示したシステムは、送信器及び受信器が同じテラヘルツ電磁経路中にあるので、ペリクルを取り除いて、損失及び位置合せの要件を低減する。米国特許第8,436,310号で検討された利点は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
当業者には容易に明らかであるように、上記の説明は、本発明の原理の実施の例証を意図するものである。本説明は、本発明が、以降の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨を逸脱することなく、改変、変形及び変更を受け入れられるという点で、本発明の範囲又は適用性を限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16