【実施例】
【0112】
実施例A
粒子複合潤滑剤の第一の態様について説明する。この複合潤滑剤は、ヒュームドシリカのナノ粒子で部分的に被覆された脂肪質のモノアミドワックスからなる離散粒子と脂肪質のビスアミドワックスからなる離散粒子の混合物を含む。特に、それは脂肪質のモノアミドワックスとしてのエルクアミドと脂肪質のビスアミドワックスとしてのエチレンビスステアラミドの混合物を含む。この複合潤滑剤において、脂肪質のモノアミドワックスの濃度は約10重量%と約60重量%の間で変化する。この実施例において、エルクアミドを周囲の湿気から保護するために、溶融し、噴霧微粉化工程を行い、そして0.5重量%のヒュームドシリカのナノ粒子で少なくとも部分的に被覆することによって生成した実質的に球形のエルクアミド粒子(
図1)を用いた。このヒュームドシリカで被覆された粒子は、約63μmの平均粒径と、全ての粒子が約250μmよりも小さな直径を有することによって特徴づけられた。
【0113】
この実施例において、全ての粉末混合物は、Rio Tinto Metal Powdersによって製造された水アトマイズ法によるスチール粉末であるATOMET 1001HPを用いて調製した。各々の粉末混合物を1.8重量%の銅、0.7重量%の天然黒鉛、および0.7重量%の潤滑剤と混合した。この実施例において試験を行った粒子複合潤滑剤(混合物ID-1(識別番号-1))は、ヒュームドシリカのナノ粒子で被覆した40重量%のエルクアミド粒子と脂肪質のビスアミドワックスとしての60重量%のAcrawax(アクラワックス、登録商標)Cの粒子を含んでいた。
【0114】
二つの鉄系粉末混合物を基準として用いた。鉄系粉末混合物の第一のものはKenolube(ケノルーブ)P11を含み(混合物ID-2)、そして鉄系粉末混合物の第二のものはアトマイズ化した(微粒化した)Acrawax Cを含んでいた(混合物ID-3)。Kenolube P11とAcrawax Cは市販されている周知の潤滑剤であり、PM工業において広く用いられている。Acrawax Cはアミドワックスであり、特に、約5〜7μmの平均粒径を有するN,N’-エチレンビスステアラミドであり、そしてKenolube P11は22.5重量%のステアリン酸亜鉛と77.5重量%のアミドワックスの組成物である。下の表1は鉄系粉末混合物の圧縮性能と突き出し性能(取り出し性能)についての評価を記述したものである。
【0115】
【表1】
【0116】
見掛けの密度と流動速度を、それぞれMPIF標準規格4および3に従ってホール流量計を用いて測定した(金属粉末と粉末冶金製品のためのMPIF標準試験法−2012年版、ニュージャージー州、プリンストン(米国):金属粉末工業連盟;2012、150p)。圧縮と突き出しの挙動を、カナダ国立研究機関(カナダ、ブーシャーヴィル)において150トンの機械プレスを用いて評価した。プレスは歪ゲージを備えていて、このゲージは圧縮と突き出しの全工程を通して上部パンチと下部パンチに加わった圧力を記録することができる。差し渡しが25.4mmで12.7mmの高さを有していて、心部のピンの直径が14.2mmのリングを、炭化タングステンのダイの上で1分間当り5個の成形品について圧縮した。成形品は4.54のM/Q比を有していて、一方、MPIF標準60に従って製造した標準のTRS棒は約1.4のM/Q比を有していた。完全な圧縮性曲線を得るために、485、620、715および825MPaの四つの圧力で成形品をプレスした。
【0117】
下の表2および
図3〜6において示す結果は、混合物ID-1について、Acrawax C(混合物ID-3)およびKenolube P11(混合物ID-2)と近似する圧縮性を示した。混合物ID-1についての突き出し性能はKenolube P11(混合物ID-2)と近似したが、しかし、Acrawax C(混合物ID-3)よりもかなり良好であった。
【0118】
【表2】
【0119】
実施例B
この実施例においては、温度と湿度の高い環境に対する二つの鉄系粉末混合物の耐性を、Thomasらが確立した手順(2009年)に従って測定した(Thomas, Y.;St-Laurent, S.;Pelletier, S;Gelinas, C.「潤滑化した粉末冶金混合物の流動性に及ぼす大気の湿度と温度の影響について」、粉末冶金および粒状材料の進歩、ラスベガス、2009年6月28日〜7月1日、MPIF、プリンストン(米国、ニュージャージー州))。AT-1001HPのベース粉末を主成分とし、0.6重量%の天然黒鉛、0.3重量%のMnSおよび0.8重量%の潤滑剤を含有するサンプルを調製した。それらの混合物を下の表3に記載する。
【0120】
【表3】
【0121】
高度に吸湿性の潤滑剤は状態調節期間の後には流動せず、一方、非吸湿性の潤滑剤はそれらの流動性を維持すると予想される。この試験を行うために、小さなVタイプのブレンダーを備えたブルーM気候制御室の中に1キログラム(kg)の鉄系粉末混合物のサンプルを置いた。各々の粉末配合物をブレンダーの中に置き、ブレンダーをほぼ1時間にわたって開放した。この時間の長さは、粉末混合物が周囲の環境と平衡に達するために必要である。この試験のために、気候制御室を60℃の温度および60%の相対湿度(RH)に設定した。この時間の後、ブレンダーを閉鎖し、粉末混合物を30分間混合し、その後、サンプルを捕集した。サンプルの捕集が完了した後、ブレンダーを24時間にわたって作動させた。この時間が終了したら、別のサンプルを捕集した。最初のサンプル(30分の混合時間の後に捕集したサンプル)について、流動速度と見掛けの密度を測定した。最後のサンプルについても、24時間の静止時間の後に測定を行った。
【0122】
結果を
図7と
図8に示す。混合物ID-4とID-5における両方の潤滑剤は、温熱と高湿度の雰囲気に短時間晒した後に良好なホール流動速度を有していた。このことは、測定できる程度の流動をすでに示していた混合物ID-6の場合は示されなかった。このことは、粉末混合物にヒュームドシリカを混合しても、高湿度の環境に晒すことに対して混合物を保護することができない、ということを示す。一方、高湿度に長時間晒した後に、ヒュームドシリカで被覆したエルクアミド粒子を使用することによる利益を示すほどに流動する混合物は、混合物ID-4だけである。見掛けの密度に関して、高湿度の雰囲気に長時間晒した後に、混合物ID-4についてはわずかに高い値が得られたが、一方、混合物ID-5については見掛けの密度のかなりの低下が観察された。従って、被覆したエルクアミドは湿気に晒すことに対して良好な保護を与える。
【0123】
実施例C
この実施例においては、粒子複合潤滑剤の別の態様について説明する。これにおいて、複合潤滑剤は二つの成分の混合物を含む。特に、それは脂肪質アミドのワックスとしてのエルクアミドと非極性ワックスであるモンタン酸エステルのワックスとの混合物を含み、後者はエルクアミドが水と結合する傾向を低下させるためのものである。この複合潤滑剤において、モンタン酸エステルワックスの濃度は約0.5重量%から約90重量%の間で変化する。二つのワックスが実質的に均一に混合するように、混合物を加熱し、溶融させ、そしてブレンドし、次いで、噴霧微粒化させて実質的に球形の粒子にする。噴霧微粒化の工程の間に、ヒュームドシリカのナノ粒子のコーティングまたはその他の酸化物が粒子の上に付着することができる。例えば、(これに限定はされないが)噴霧微粒化した粒子へのコーティングとして付加されるヒュームドシリカの量は、(粒子が被覆されていないときの)約0%から約2重量%の間で変化させることができる。
【0124】
この実施例において、全ての粉末混合物は、Rio Tinto Metal Powdersによって製造された水アトマイズ法によるスチール粉末であるATOMET 1001HPを用いて調製した。各々の粉末混合物を1.8重量%の銅、0.7重量%の天然黒鉛、および0.7重量%の潤滑剤と混合した。
【0125】
表4は、圧縮と突き出しの性能について評価した粉末混合物について説明している。混合物ID-7は、ヒュームドシリカのナノ粒子で被覆した40重量%のエルクアミドの離散粒子とビスアミドワックスとしての60重量%のAcrawax Cの離散粒子を含んでいた。エルクアミドの粒子は霧化させて、0.5重量%のヒュームドシリカのナノ粒子で被覆した。ヒュームドシリカの被覆粒子は、約63μmの平均粒径を有し、そして全ての粒子が約250μmよりも小さな直径を有すると特徴づけられた。混合物ID-8はエルクアミドとモンタン酸エステルワックスを溶融させてから噴霧微粒化した混合物からなる50重量%の離散粒子を含み、重量比が40%のエルクアミドと60%のモンタン酸エステルワックスであった。エルクアミドとモンタン酸エステルワックスの粒子は、約56μmの平均粒径を有していて、粒子の99%が約160μmよりも小さいと特徴づけられた。残りの50重量%は離散した微粒化EBS粒子から成り、これは約35μmよりも小さな直径を有していた。粉末混合物を基準として用いたが、これは微粒化したAcrawax Cを含んでいた(混合物ID-9)。
【0126】
【表4】
【0127】
実施例Aについて上で説明したようにして、見掛けの密度、流動速度、および圧縮と突き出しの挙動を測定し、評価した。
【0128】
このモンタン酸エステルワックスを含む粒子複合潤滑剤と混合した鉄系粉末を含む冶金用粉末組成物は、表5と
図9〜13に示すように、良好な圧縮と突き出しの性能および流動性を示した。これについて、以下でさらに詳しく説明する。
【0129】
混合物ID-7と混合物ID-8の両者は近似する圧縮性を有し、Acrawax Cを含む混合物ID-9とも圧縮性が近似している。しかし、両者とも本発明の潤滑剤を含む混合物ID-7とID-8はかなり低い突き出し圧力を示すことにより、Acrawax Cよりもかなり良い性能を有する。
【0130】
流動速度と見掛けの密度についての結果を
図13に記載する。モンタン酸エステルワックスとエルクアミドの混合物を溶融させてから噴霧微粒化した粒子と35μmよりも小さな微粒化EBSの粒子とを含む複合潤滑剤は、最も良好な流動性を有する混合物となった。混合物ID-8は、被覆したエルクアミド粒子とAcrawax Cを含む混合物ID-7よりもかなり良好な流動性を有し、またAcrawax Cだけを含む混合物ID-9よりもかなり良好な流動挙動を示す。一方、モンタン酸エステルとエルクアミドの複合潤滑剤を含む混合物ID-8の見掛けの密度は最も大きく、他の二つの鉄系粉末混合物であるID-7およびID-9よりもわずかに大きい。
【0131】
【表5】
【0132】
実施例D
この四つ目の実施例においては、複合潤滑剤の別の態様について説明する。この複合潤滑剤は二つの成分の混合物を含み、そして特に、脂肪質アミドのワックスとしてのエチレンビスステアラミド(EBS)とモンタン酸エステルのワックスとの混合物を含む。この実施例において、モンタン酸エステルワックスの濃度は50重量%と10重量%のいずれかである。実施例Cについて説明したように、二つのワックスが実質的に均一に混合するように、両成分の混合物を加熱して溶融させ、そしてブレンドし、次いで、噴霧微粒化させて実質的に球形の粒子にする。潤滑剤の性能を適切に比較することができるように、球形の粒子を近似する粒径(約40μmから50μmまでの平均粒径で、全ての粒子が約250μmよりも小さな直径を有する)を有する純粋なEBSと純粋なモンタン酸エステルワックスからも製造した。
【0133】
この実施例において、全ての粉末混合物は、Rio Tinto Metal Powdersによって製造された水アトマイズ法によるスチール粉末であるATOMET 1001HPを用いて調製した。工業上の混合条件をシミュレートするために、Vブレンダーの中で40℃〜50℃の温度において、それぞれを1.8重量%の銅、0.7重量%の天然黒鉛、および0.7重量%の潤滑剤と混合した。下の表6は、圧縮と突き出しの性能について評価した鉄系粉末の混合物について説明している。第一の鉄粉末混合物(混合物ID-10)は、50%のEBSと50%のモンタン酸エステルワックスの混合物を最初に溶融させ、さらに噴霧微粒化させた粒子複合潤滑剤を含んでいた。第二の粉末混合物は、50%のEBS球形粒子と50%のモンタン酸エステルワックスの球形粒子との混合物を含んでいた(混合物ID-11)。他の二つの粉末混合物(混合物ID-12および混合物ID-13)は、この実施例において前に説明した純粋なモンタン酸エステルワックスとEBS潤滑剤のいずれかを含んでいた。別の混合物(混合物ID-16)は、90%のEBSと10%のモンタン酸エステルワックスの混合物を最初に溶融させ、さらに噴霧微粒化させた粒子複合潤滑剤を含んでいた。
【0134】
二つの鉄系粉末混合物も基準として用いた。第一のもの(混合物ID-14)はKenolube P11を含み、そして第二のもの(混合物ID-15)はアトマイズ化した(微粒化した)Acrawax Cを含んでいた。Kenolube P11とAcrawax Cの両者は市販されている周知の潤滑剤であり、PM工業において広く用いられている。Acrawax Cはアミドワックスであって、特に、N,N’-エチレンビスステアラミドであり、そしてKenolube P11は22.5重量%のステアリン酸亜鉛と77.5重量%のアミドワックスの組成物である。
【0135】
【表6】
【0136】
見掛けの密度、流動速度、および圧縮と突き出しの挙動を、実施例Aについて上で説明したようにして測定し、評価した。
【0137】
結果を
図14〜18に示す。本発明の複合潤滑剤は、離散粒子のものと溶融させてから噴霧微粒化させた粒子のものの両者とも、優れた圧縮と突き出しの性能を有する。モンタン酸エステルワックスの存在(混合物ID-10および混合物ID-11)は、近似する粒径分布を有するEBSワックス(混合物ID-13)を使用するのと比較して、圧縮性の増大を可能にした。
【0138】
モンタン酸エステルワックスとEBSワックスの離散粒子の組み合わせ(混合物ID-11)を用いると、複合潤滑剤はAcrawax C(混合物ID-15)に近似する圧縮性を有する(
図14)。しかし、突き出し性能はかなり改善される(
図15〜17)。溶融させ、さらに噴霧微粒化させた粒子(混合物ID-10)は、離散粒子(混合物ID-11)に近似する突き出し性能を有するが、しかし、より高い圧縮性を有し、Kenolube(混合物ID-14)および純粋なモンタン酸エステルワックス(混合物ID-12)で得られたのと近似している。
【0139】
図18は、成形品を圧縮ダイから突き出した(取り出した)後の成形品のスプリングバック(戻り)を示す。Kenolube(混合物ID-14)は最も高いスプリングバックを示し、純粋なモンタン酸エステルワックス(混合物ID-12)は二番目に高い。モンタン酸エステルワックスとEBSワックスの離散粒子の組み合わせ(混合物ID-11)を用いるとスプリングバックをわずかに低減することができるが、しかし、溶融させ、さらに噴霧微粒化させた粒子(混合物ID-10)は、高い圧縮圧力においてEBSワックス(混合物ID-13)およびAcrawax C(混合物ID-15)に匹敵するレベルまでスプリングバックを低減させることができる。
【0140】
流動速度と見掛けの密度についての結果を
図19で説明する。10重量%と50重量%のいずれかのモンタンワックスを含む複合潤滑剤は、純粋なモンタンワックス(混合物ID-12)または純粋なEBS(混合物ID-13)よりも良好な流動挙動を鉄粉末混合物であるID-10およびID-16に与えることができる。この複合潤滑剤を含む粉末混合物の見掛けの密度は、純粋なEBSを含む混合物(混合物ID-13)に近似している。
【0141】
幾つかの選択的な態様と実施例について、ここで記述して例証した。上で説明した本発明の態様は典型的なものにすぎない。当業者であれば、個々の態様の特徴点および構成要素の可能な組み合わせと変形を認識できるだろう。当業者であればさらに、各態様のいずれも、ここで開示された他の態様と任意に組み合わせた形で提供することができる、ということを認識できるだろう。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具現化することができる、ということを理解されたい。従って、ここでの実施例と態様は、あらゆる点で例示的なものであって限定的なものではないと考えるべきであり、また本発明はここで示した詳細には限定されない。よって、特定の態様について例示して説明したが、本発明の精神から著しく逸脱することなく、多数の変形が想起される。従って、本発明の範囲は添付する特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
(1) 粉末冶金のための粒子複合潤滑剤であって、少なくとも約90重量%の脂肪質の一次モノアミドワックスを含んでいて、脂肪質のビスアミドワックスを実質的に含まず、そして金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子、および、脂肪質のビスアミドワックスを含んでいる第二の金属ステアリン酸塩非含有離散粒子、
を含む、上記粒子複合潤滑剤。
(2) 粒子複合潤滑剤は約10重量%と約60重量%の間の第一の離散粒子を含む、(1)に記載の粒子複合潤滑剤。
(3) 粒子複合潤滑剤は約40重量%と約90重量%の間の第二の離散粒子を含む、(1)または(2)に記載の粒子複合潤滑剤。
(4) 第一の離散粒子は本質的に、金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された脂肪質の一次モノアミドワックスから成る、(1)〜(3)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(5) 第一の離散粒子は、金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された脂肪質の一次モノアミドワックスから成る、(1)〜(3)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(6) 第二の離散粒子は少なくとも約50重量%の脂肪質のビスアミドワックスと約10重量%未満の脂肪質の一次モノアミドワックスをさらに含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(7) 第二の離散粒子は少なくとも約90重量%の脂肪質のビスアミドワックスをさらに含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(8) 第二の離散粒子は本質的に脂肪質のビスアミドワックスから成る、(1)〜(5)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(9) 第二の離散粒子の脂肪質のビスアミドワックスは少なくとも2種の脂肪質のビスアミドワックスを含む、(1)〜(8)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(10) 脂肪質の一次モノアミドワックスは12〜24個の炭素の脂肪酸のモノアミドである、(1)〜(9)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(11) モノアミドはラウラミド、パルミトアミド、ステアラミド、アラキドアミド、ベヘンアミド、オレアミド、エルクアミド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、(10に記載の粒子複合潤滑剤。
(12) 金属酸化物のナノ粒子は酸化鉄、TiO
2、Al
2O
3、SnO
2、SiO
2、CeO
2、および酸化インジウムチタンのナノ粒子、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(13) 金属酸化物のナノ粒子はヒュームドシリカのナノ粒子を含む、(1)〜(11)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(14) 第一の離散粒子は約5重量%未満の金属酸化物のナノ粒子を含む、(1)〜(13)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(15) 第一の離散粒子は約250μmよりも小さい、(1)〜(14)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(16) 少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子は約15μmと約100μmの間の平均粒径を有する、(1)〜(15)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(17) 少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子のD99は約80μmと約220μmの間である、(1)〜(16)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(18) 脂肪質のビスアミドワックスはメチレンビスオレアミド、メチレンビスステアラミド、エチレンビスオレアミド、ヘキシレンビスステアラミド、およびエチレンビスステアラミド(EBS)、およびこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸ビスアミドである、(1)〜(17)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(19) 第二の離散粒子は約50μmよりも小さな平均粒径を有する、(1)〜(18)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(20) 第二の離散粒子のD99は約200μmよりも小さい、(1)〜(19)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(21) 第二の離散粒子は実質的に金属を含まない、(1)〜(20)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(22) 第一の離散粒子はエルクアミドの粒子を含み、金属酸化物のナノ粒子はヒュームドシリカのナノ粒子を含み、そして第二の離散粒子はエチレンビスステアラミドの粒子を含む、(1)に記載の粒子複合潤滑剤。
(23) 粒子複合潤滑剤は、約10重量%と約60重量%の間のエルクアミドの粒子と約40重量%と約90重量%の間のエチレンビスステアラミドの粒子を含む、(22)に記載の粒子複合潤滑剤。
(24) エルクアミドの粒子は約60μmの平均粒径と約175μmよりも小さな直径を有する、(22)または(23)に記載の粒子複合潤滑剤。
(25) (1)〜(24)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤を約0.1重量%と約5重量%の間の範囲にある濃度で混合した金属をベースとする粉末を含む冶金用粉末組成物。
(26) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(25)に記載の冶金用粉末組成物。
(27) 粉末冶金のための粉末組成物を製造するための方法であって、(1)〜(24)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤を粉末組成物の全重量に基づいて約0.1重量%と約5重量%の間の範囲にある濃度で金属をベースとする粉末に添加することを含む、前記方法。
(28) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(27)に記載の方法。
(29) 粉末冶金のための粒子複合潤滑剤であって、脂肪質の一次モノアミドワックスを含んでいて、脂肪質のビスアミドワックスを実質的に含まず、そして金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子(この少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子は約15μmと約100μmの間の平均粒径を有する)と、脂肪質のビスアミドワックスを含んでいて、約50μmよりも小さな平均粒径を有する第二の金属ステアリン酸塩非含有離散粒子とを含む、前記粒子複合潤滑剤。
(30) 少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子は約25μmと約75μmの間の平均粒径を有する、(29)に記載の粒子複合潤滑剤。
(31) 少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子のD99は約80μmと約220μmの間である、(29)または(30)に記載の粒子複合潤滑剤。
(32) 少なくとも部分的に被覆された第一の離散粒子のD99は約115μmと約180μmの間である、(29)〜(30)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(33) 第二の離散粒子は約15μmよりも小さな平均粒径を有する、(29)〜(32)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(34) 第二の離散粒子のD99は約200μmよりも小さい、(29)〜(33)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(35) 第二の離散粒子のD99は約150μmよりも小さい、(29)〜(33)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(36) 第一の離散粒子は少なくとも約90重量%の脂肪質の一次モノアミドワックスを含む、(29)〜(35)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(37) 粒子複合潤滑剤は約10重量%と約60重量%の間の第一の離散粒子を含む、(29)〜(36)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(38) 粒子複合潤滑剤は約40重量%と約90重量%の間の第二の離散粒子を含む、(29)〜(37)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(39) 第一の離散粒子は本質的に、金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された脂肪質の一次モノアミドワックスから成る、(29)〜(38)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(40) 第一の離散粒子は、金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆された脂肪質の一次モノアミドワックスから成る、(29)〜(38)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(41) 第二の離散粒子はさらに、少なくとも約50重量%の脂肪質のビスアミドワックスと約10重量%未満の脂肪質の一次モノアミドワックスを含む、(29)〜(40)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(42) 第二の離散粒子はさらに、少なくとも約90重量%の脂肪質のビスアミドワックスを含む、(29)〜(40)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(43) 第二の離散粒子は本質的に脂肪質のビスアミドワックスから成る、(29)〜(40)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(44) 第二の離散粒子は実質的に金属を含まない、(29)〜(43)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(45) 脂肪質の一次モノアミドワックスは12〜24個の炭素の脂肪酸のモノアミドである、(29)〜(44)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(46) モノアミドはラウラミド、パルミトアミド、ステアラミド、アラキドアミド、ベヘンアミド、オレアミド、エルクアミド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、(45)に記載の粒子複合潤滑剤。
(47) 金属酸化物のナノ粒子は酸化鉄、TiO
2、Al
2O
3、SnO
2、SiO
2、CeO
2、および酸化インジウムチタンのナノ粒子、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つを含む、(29)〜(46)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(48) 金属酸化物のナノ粒子はヒュームドシリカのナノ粒子を含む、(29)〜(46)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(49) 第一の離散粒子は約5重量%未満の金属酸化物のナノ粒子を含む、(29)〜(48)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(50) 第一の離散粒子は約250μmよりも小さい、(29)〜(49)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(51) 脂肪質のビスアミドワックスはメチレンビスオレアミド、メチレンビスステアラミド、エチレンビスオレアミド、ヘキシレンビスステアラミド、およびエチレンビスステアラミド(EBS)、およびこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸ビスアミドである、(29)〜(50)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(52) 第二の離散粒子は約50μmよりも小さな平均粒径を有する、(29)〜(51)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(53) 第一の離散粒子はエルクアミドの粒子を含み、金属酸化物のナノ粒子はヒュームドシリカのナノ粒子を含み、そして第二の離散粒子はエチレンビスステアラミドの粒子を含む、(29)に記載の粒子複合潤滑剤。
(54) 粒子複合潤滑剤は、約10重量%と約60重量%の間のエルクアミドの粒子と約40重量%と約90重量%の間のエチレンビスステアラミドの粒子を含む、(53)に記載の粒子複合潤滑剤。
(55) エルクアミドの粒子は約60μmの平均粒径と約175μmよりも小さな直径を有する、(53)または(54)に記載の粒子複合潤滑剤。
(56) 約0.1重量%と約5重量%の間の範囲にある濃度の(29)〜(44)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤と混合した金属をベースとする粉末を含む冶金用粉末組成物。
(57) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(56)に記載の冶金用粉末組成物。
(58) 粉末冶金のための粉末組成物を製造するための方法であって、(29)〜(44)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤を粉末組成物の全重量に基づいて約0.1重量%と約5重量%の間の範囲にある濃度で金属をベースとする粉末に添加することを含む、前記方法。
(59) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(58)に記載の方法。
(60) 粉末冶金のための粒子複合潤滑剤であって、モンタン酸エステルワックスと少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスを含み、脂肪質のアミドワックスは脂肪質のモノアミドワックスと脂肪質のビスアミドワックスのうちの少なくとも一つを含む、前記粒子複合潤滑剤。
(61) モンタン酸エステルワックスを含む第一の離散粒子を含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(62) 第一の離散粒子はさらに脂肪質のモノアミドワックスを含み、そしてその脂肪質のモノアミドワックスは脂肪質の一次モノアミドワックスを含む、(61)に記載の粒子複合潤滑剤。
(63) さらに第二の離散粒子を含み、その第二の離散粒子は、脂肪質のビスアミドワックス、脂肪質のモノアミドワックス、グリセリド、モンタン酸エステルワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機質で金属を含まない粉末潤滑剤を含む、(61)または(62)に記載の粒子複合潤滑剤。
(64) 脂肪質のビスアミドワックスを含む第二の離散粒子をさらに含む、(61)または(62)に記載の粒子複合潤滑剤。
(65) 第二の離散粒子はさらにモンタン酸エステルワックスを含む、(64)に記載の粒子複合潤滑剤。
(66) 第一の離散粒子は金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(62)〜(65)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(67) 第一の離散粒子はさらに脂肪質のビスアミドワックスを含む、(61)に記載の粒子複合潤滑剤。
(68) 脂肪質のビスアミドワックス、脂肪質のモノアミドワックス、グリセリド、モンタン酸エステルワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機質で金属を含まない粉末潤滑剤を含む第二の離散粒子をさらに含む、(67)に記載の粒子複合潤滑剤。
(69) 脂肪質のモノアミドワックスを含む第二の離散粒子をさらに含み、その脂肪質のモノアミドワックスは脂肪質の一次モノアミドワックスを含む、(67)に記載の粒子複合潤滑剤。
(70) 第二の離散粒子は金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(69)に記載の粒子複合潤滑剤。
(71) 第一の離散粒子と第二の離散粒子を含み、第一の離散粒子はモンタン酸エステルワックスとエルクアミドを含む脂肪質のモノアミドワックスとを含み、そして第二の離散粒子はエチレンビスステアラミドを含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(72) 第一の離散粒子は金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(71)に記載の粒子複合潤滑剤。
(73) 第二の離散粒子はさらにモンタン酸エステルワックスを含む、(71)または(72)に記載の粒子複合潤滑剤。
(74) モンタン酸エステルワックスとエチレンビスステアラミドを含む脂肪質のビスアミドワックスとを含む第一の離散粒子を含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(75) エルクアミドを含む第二の離散粒子をさらに含む、(74)に記載の粒子複合潤滑剤。
(76) 第二の離散粒子は金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(75)に記載の粒子複合潤滑剤。
(77) 第二の離散粒子はさらにモンタン酸エステルワックスを含む、(75)または(76)に記載の粒子複合潤滑剤。
(78) 粒子複合潤滑剤には第二の離散粒子が含まれていない、(74)に記載の粒子複合潤滑剤。
(79) モンタン酸エステルワックスとエルクアミドを含む脂肪質のモノアミドワックスとを含む第一の離散粒子を含み、そして第二の離散粒子を含まない、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(80) 第一の離散粒子は金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(79)に記載の粒子複合潤滑剤。
(81) モンタン酸エステルワックスを含む第一の離散粒子と少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスを含む第二の離散粒子とを含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(82) 脂肪質のビスアミドワックス、脂肪質のモノアミドワックス、グリセリド、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機質で金属を含まない粉末潤滑剤を含む第三の離散粒子をさらに含む、(81)に記載の粒子複合潤滑剤。
(83) 粒子複合潤滑剤はステアリン酸塩を含まない、(60)〜(70)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(84) 約10重量%と約99.5重量%の間の少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスを含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(85) 約0.5重量%と約90重量%の間のモンタン酸エステルワックスを含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(86) 粒子複合潤滑剤の残りの部分は少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスを含む、(85)に記載の粒子複合潤滑剤。
(87) 残りの部分は金属酸化物のナノ粒子のコーティングを含む、(86)に記載の粒子複合潤滑剤。
(88) 少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスは、一次モノアミドワックス、二次モノアミドワックス、ビスアミドワックス、およびこれらの混合物からなる群から選択される、(60)〜(85)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(89) 脂肪質のアミドワックスは、ラウラミド、パルミトアミド、ステアラミド、オレアミド、アラキドアミド、ベヘンアミド、エルクアミド、ステアリルステアラミド、ステアリルオレアミド、ステアリルエルクアミド、オレイルパルミトアミド、オレイルステアラミド、エルシルステアラミド、エルシルエルクアミド、エチレンビスステアラミド、エチレンビスオレアミド、ヘキサメチレンビスステアラミド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、(60)〜(88)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(90) 粒子複合潤滑剤は、少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスとモンタン酸エステルワックスを溶融させ、次いで、少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスとモンタン酸エステルワックスを冷却および粉砕して離散した粒子にすることによって得られる、(60)〜(89)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(91) 粒子複合潤滑剤は、少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスとモンタン酸エステルワックスを溶融させ、次いで、少なくとも一つの脂肪質のアミドワックスとモンタン酸エステルワックスを霧化して離散した粒子にすることによって得られる、(60)〜(89)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(92) モンタン酸エステルワックスを含む第一の離散粒子と脂肪質のアミドワックスを含む第二の離散粒子とを含む、(60)に記載の粒子複合潤滑剤。
(93) 脂肪質のアミドワックスの第二の離散粒子は、金属酸化物のナノ粒子で少なくとも部分的に被覆されている、(92)に記載の粒子複合潤滑剤。
(94) 金属酸化物のナノ粒子はヒュームドシリカのナノ粒子を含む、(93)に記載の粒子複合潤滑剤。
(95) 脂肪質のビスアミドワックス、脂肪質のモノアミドワックス、グリセリド、モンタン酸エステルワックス、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機質で金属を含まない粉末潤滑剤を含む第三の離散粒子をさらに含む、(92)〜(94)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤。
(96) (60)〜(95)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤と混合した金属をベースとする粉末を含む冶金用粉末組成物。
(97) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(96)に記載の冶金用粉末組成物。
(98) 粉末冶金のための粉末組成物を製造するための方法であって、(60)〜(95)のいずれかに記載の粒子複合潤滑剤を粉末組成物の全重量に基づいて約0.1重量%と約5重量%の間の範囲にある濃度で金属をベースとする粉末に添加することを含む、前記方法。
(99) 金属をベースとする粉末は鉄をベースとする粉末である、(98)に記載の方法。