(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442004
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】加圧ヘッド及びこれを含むインゴット切断装置
(51)【国際特許分類】
B28D 5/04 20060101AFI20181210BHJP
B28D 7/00 20060101ALI20181210BHJP
B28D 1/22 20060101ALI20181210BHJP
B24B 27/06 20060101ALN20181210BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20181210BHJP
【FI】
B28D5/04 C
B28D7/00
B28D1/22
!B24B27/06
!H01L21/304 611W
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-132439(P2017-132439)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2018-83410(P2018-83410A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2017年7月6日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0156597
(32)【優先日】2016年11月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511097289
【氏名又は名称】エスケー シルトロン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ス・イン
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−213110(JP,A)
【文献】
特開2003−001624(JP,A)
【文献】
特開2013−086261(JP,A)
【文献】
特開2005−103683(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/117294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/04
B28D 7/00
B28D 1/22
B24B 27/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インゴット切断装置の加圧ヘッドにおいて、
前記加圧ヘッドの各部に対して別途の圧力制御が可能になるように圧縮空気を供給する空圧供給ポートが複数個形成されたヘッド本体;
前記ヘッド本体の下端に前記空圧供給ポートに対応する位置に設置され、各空圧供給ポートによって供給される圧縮空気によってインゴット側面に圧力を加える加圧手段;
前記各加圧手段の下面に設置されて各複数個の加圧手段の間の圧力偏差を調節する空圧補正手段;
前記空圧補正手段の下側面に接触されるように設置され、その下面がインゴット側面に直接接触加圧する接着板;及び
前記ヘッド本体、加圧手段、空圧補正手段、接着板を結合させて支持する結合支持手段を含む加圧ヘッド。
【請求項2】
前記加圧手段は前記加圧ヘッドの中心から半径方向に同心円状に配置され、
前記各加圧手段には前記空圧供給ポートが繋がれて圧縮空気を供給する、請求項1に記載の加圧ヘッド。
【請求項3】
前記加圧ヘッドの中央に配置された前記加圧手段の上端は圧縮空気が投入され得る溝が中央に形成され、下端は上端に対して広い円形の板状を成し、
前記ヘッド本体には各加圧手段の上端部が挿入される同心形の凹凸部が形成され、前記各加圧手段の下端はお互いに密接された位置に置かれる、請求項2に記載の加圧ヘッド。
【請求項4】
前記各加圧手段上端の外側面には圧縮空気が漏れることを防止するための密閉手段が具備され、前記ヘッド本体の凹凸部と前記加圧手段の上端との接触部を通じて圧縮空気の流出を防止する、請求項3に記載の加圧ヘッド。
【請求項5】
前記密閉手段はゴムパッキングである、請求項4に記載の加圧ヘッド。
【請求項6】
前記空圧補正手段は前記各加圧手段の下面に密着設置されて各部分間の圧力偏差を補正する空圧風船;及び
前記各空圧風船の下側面に密着されて弾性を有する材質に形成された弾性シートを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加圧ヘッド。
【請求項7】
前記弾性シートの下側に配置されて、前記弾性シートをカバーする追加シートをさらに含む、請求項6に記載の加圧ヘッド。
【請求項8】
前記加圧手段として、複数の加圧ブロックを備え、各前記加圧ブロックの円周方向に沿って、空気流動溝が形成され、
前記空気流動溝の下側には空気流動ホールが形成されて、前記空圧風船に圧縮空気を供給する、請求項6または7に記載の加圧ヘッド。
【請求項9】
インゴットを切断するワイヤ、ワイヤを支持するローラー及びローラー支持部を含むインゴット切断装置において、
下部面に前記インゴットが付着され、本体内部に冷却バー挿入溝が形成されたビーム;
前記ビームの上面に付着されてインゴットを上下に移動させるワークプレート;及び
前記切断するインゴットの側面部に配置される、第1項〜8項のいずれか一項の加圧ヘッドを含むインゴット切断装置。
【請求項10】
前記加圧ヘッドは、前記インゴットの切断工程で発生するインゴットの熱膨脹を制御する、請求項9に記載のインゴット切断装置。
【請求項11】
前記加圧ヘッドは側面部に圧力伝達部を含んで、前記圧力伝達部は前記インゴット切断装置の本体部に結合される、請求項9または10に記載のインゴット切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インゴット加圧装置及びこれを含むインゴット切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ウェハー製造工程においては、結晶成長工程で成長されたインゴットをウェハー形態に切断するスライシング(Slicing)工程を遂行しているが、このようなスライシング工程には、代表的にワイヤソーイング(Wire Sawing)工程がある。
【0003】
このようなワイヤソーイング工程を通じてウェハーの平坦度を向上させることができ、具体的にはウェハーの反り(warp、bow)の程度を制御することができる。
【0004】
ワイヤソーイング工程は、インゴットをワイヤに接触させて多量のウェハー形態に切断する工程である。
【0005】
ワイヤソーイング工程に使用されるワイヤソーイング装置は、インゴットを支持するプレートとワイヤを巻いているローラーを具備している。
【0006】
したがって、ワイヤソーイング工程は、インゴットを支持しているプレートをローラーに巻かれたワイヤ方向に相対運動させることによって、インゴットがウェハー形態に切断される。
【0007】
ワイヤソーイングを通じたインゴットの切断工程中のインゴット自体の熱膨脹、切断工程中にワイヤに供給されるスラリー(slurry)、ワイヤの往復運動ができるようにワイヤ巻かれたローラー(roller)を回転させるスピンドル(spindle)、及びインゴットを固定させるプレートの熱膨脹によって、スライシングされたウェハーの品質が決定され得る。
【0008】
図1は、従来技術によるワイヤソーイング装置が図示された図面であり、
図2は、従来技術によるインゴット切断形状が図示された図面である。
【0009】
従来のワイヤソーイング装置101は、インゴットを切断するためのワイヤ102、ワイヤ102を巻いているローラー103(ワイヤガイド)、ワイヤ102に張力を付与するための張力付与手段104、切断するインゴット移動手段105、切断時にスラリーを供給するスラリー供給手段106で構成されている。
【0010】
ワイヤ102は、一方のワイヤリール107から続けて送り出され、トラバーサー108を介入させてパウダークラッチ(定トルクモーター)109やダンサーローラー(デッドウエート)などからなる張力付与手段104を経て、ローラー103に巻かれる。ワイヤ102は、ローラー103に300〜400回程度巻かれた後、一方の張力付与手段104’を経てワイヤリール107’に巻かれる。
【0011】
また、溝付ローラー103は、鉄鋼材円筒の周りにポリウレタン樹脂を被せ、その表面に一定のピッチで溝を形成したローラーであり、巻かれたワイヤ102が駆動用モーター110によって決定された周期で往復方向に駆動することができる。
【0012】
また、インゴットの切断時には、インゴット移動手段105によって、インゴットは、ローラー103に巻かれたワイヤ102に移動することができる。
【0013】
そして、ローラー103に巻かれたワイヤ102の近くにはノズル115が設置されていて、切断時にスラリータンク116から、ローラー103及びワイヤ102にスラリーを供給することができる。また、スラリータンク116にはスラリーチラー117が接続されていて、供給するスラリーの温度を調整することができる。
【0014】
このようなワイヤソーイング装置101を利用することによって、ワイヤ102に張力付与手段104を利用して適当な張力を与え、駆動用モーター110によって、ワイヤ102を往復方向に走行させながらインゴットをスライシングする。
【0015】
このように前記スライシング工程を進行中に、インゴットを支持するフレーム、インゴット及びローラー部から切断熱による膨脹が発生する。それぞれの部位から発生する熱膨脹によって、切断されるインゴットのシード(seed)側部とテール(tail)側部が変形されてウェハーの平坦度が低下され、ウェハーの切断面の形状が均一にならない問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、ワイヤソーイング工程の中で切断されるインゴットから発生する熱膨脹を制御することができるインゴット加圧装置を含むインゴット切断装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本実施例による加圧ヘッドは、インゴット切断装置の加圧ヘッドにおいて、前記加圧ヘッドの各部に対して別途の圧力制御が可能になるように圧縮空気を供給する空圧供給ポートが複数個形成されたヘッド本体;前記ヘッド本体の下端に前記空圧供給ポートに対応する位置に設置され、各空圧供給ポートによって供給される圧縮空気によってインゴット側面に圧力を加える加圧手段;前記各加圧手段の下面に設置されて各複数個の加圧手段の間の圧力偏差を調節する空圧補正手段;前記空圧補正手段の下側面に接触されるように設置され、その下面がインゴット側面に直接接触加圧する接着板;及び前記ヘッド本体、加圧手段、空圧補正手段、接着板を結合させて支持する結合支持手段を含むことができる。
【0018】
前記加圧手段は、前記加圧ヘッドの中心から半径方向に同心円状に配置され、前記各加圧手段には前記空圧供給ポートが連結されて圧縮空気を供給することができる。
【0019】
前記加圧ヘッドの中央に配置された前記加圧手段の上端は、圧縮空気が投入され得る溝が中央に形成され、下端は上端に対して広い円形の板状を成し、前記周辺の加圧手段の上端部の上面には圧縮空気が投入され得るように円周に沿って空気流動溝が形成され、下端は上端に対して広い円板形状を成し、前記ヘッド本体には各加圧手段の上端部が挿入される同心形の凹凸部が形成され、前記各加圧手段の下端は互いに密接された位置に置かれることができる。
【0020】
前記各加圧手段の上端の外側面には、圧縮空気が漏れることを防止するための密閉手段が具備され、前記ヘッド本体の凹凸部と前記加圧手段の上端との接触部を通じて圧縮空気の流出を防止することができる。
【0021】
前記密閉手段は、ゴムパッキングであり得る。
【0022】
前記空圧補正手段は、前記各加圧手段の下面に密着設置されて各部分間の圧力偏差を補正する空圧風船;及び前記各空圧風船の下側面に密着されて弾性を有する材質で形成された弾性シートを含むことができる。
【0023】
前記弾性シートの下側に配置され、前記弾性シートをカバーする追加シートをさらに含むことができる。
【0024】
前記空気流動溝の下側には空気流動ホールが形成され、前記空圧風船に圧縮空気を供給することができる。
【0025】
他の実施例によるインゴット切断装置は、インゴットを切断するワイヤ、ワイヤを支持するローラー及びローラー支持部を含むインゴット切断装置において、下部面に前記インゴットが付着され、本体内部に冷却バー挿入溝が形成されたビーム;前記ビームの上面に付着されてインゴットを上下に移動させるワークプレート;及び前記切断されるインゴットの側面部に配置される前述した加圧ヘッドを含むことができる。
【0026】
前記加圧ヘッドは、前記インゴットの切断工程から発生するインゴットの熱膨脹を制御することができる。
【0027】
前記加圧ヘッドは、側面部に圧力伝達部を含み、前記圧力伝達部は、前記インゴット切断装置の本体部に結合され得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、前記のような構成によってインゴット切断工程においてインゴット側面に加えられる圧力を部分別に制御することができる。
【0029】
したがって、インゴット加圧装置及び加圧ヘッドが具備されることによって、ワイヤソーイング工程中に切断されるインゴットの反り(warp、bow)の程度が悪化されることを防止することができ、切断面の形状を制御することができる。
【0030】
また、切断するウェハー面を高平坦化できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、従来技術によるインゴット切断装置の工程状態が図示された図面。
【
図2】
図2は、従来技術によるインゴット切断時のウェハー反り方向を図示したグラフ。
【
図3】
図3は、本実施例によるインゴット切断装置の断面図。
【
図4】
図4は、本実施例による加圧ヘッドの断面図。
【
図5】
図5は、本実施例による加圧ヘッドの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本実施例について添付図面を参照して詳察する。ただし、本実施例が有する発明の思想の範囲は本実施例が開示する事項から定められるべきであり、本実施例が有する発明の思想は提案される実施例に対して構成要素の追加、削除、変更などの実施変形を含むと言える。
【0033】
図3は、本実施例によるインゴット切断装置の断面図である。
【0034】
本実施例のインゴット切断装置10は、
図3に図示されたように、ビーム11、ワークプレート12、テーブル13、本体部14、ローラー部15、加圧ヘッド20及び圧力伝達部16を含むことができる。ビーム11の下部面にインゴットIが付着されることができ、ビーム11の本体内部に冷却バー挿入溝が形成され得る。
【0035】
ワークプレート12は、ビーム11の上面に付着され、ビーム11の上側からインゴットIが付着されたビーム11を支持し、インゴットIを上下に移動させることができる。
【0036】
テーブル13は、インゴットI及びワークプレート12を上下に移動させることができ、本体部14はテーブル13の一側面からテーブル13を支持することができる。
【0037】
ローラー部15は、ローラーを含むことができ、ローラーにはワイヤが巻かれることができる。
【0038】
加圧ヘッド20は、切断されるインゴットIの側面部に配置され得、圧力伝達部16は加圧ヘッド20に圧力を伝達することができる。
【0039】
前記インゴットの側面から圧力を提供する加圧ヘッド20は、ヘッド本体21、加圧手段25、27、29、空圧補正手段、接着板23及び結合支持手段を含むことができる。
【0040】
図4は、本実施例による加圧ヘッドの断面図であり、
図5は、本実施例による加圧ヘッドの分解斜視図である。
【0041】
図4は、
図5に図示されたように、本実施例の加圧ヘッドはインゴット側面に圧力を加えることができ、インゴット側面に加えられる圧力を各部分別に調節することができる。
【0042】
本実施例の加圧ヘッド20は、加圧ヘッド20を複数個の部分に分割して各部分に圧力調節が別途に行われるようにすることができる。
【0043】
本実施例の加圧ヘッド20は、全体的に厚い円板形状を成し、上半部のヘッド本体21と、それに連結されてインゴットを加圧する加圧手段を含むことができる。そして、加圧ヘッド20の下側面にはインゴットの側面が接着される接着板23が具備され得る。
【0044】
本実施例の加圧ヘッド20は、各部位別圧力調節が可能でなければならないため、加圧手段として複数個の加圧ブロック25、27、29を具備することができ、ヘッド本体21には、前記各加圧ブロック25、27、29に圧縮空気を供給するための空圧供給手段として空圧供給ポート31、33、35が内部に設置され得る。
【0045】
本実施例の空圧供給ポート31、33、35は、加圧力の測定と制御が各加圧ブロック25、27、29に対して別途に行われるように別途の圧力制御手段を具備することができる。
【0046】
本実施例の加圧手段は、加圧ヘッド20の中心から半径方向に同心円を成す3個の加圧ブロック25、27、29からなることができるが実施例において加圧手段の個数はこれに限定されない。
【0047】
加圧ヘッド20の中心に位置した第1加圧ブロック25の上側には、空圧供給ポート31から圧縮空気を収容するように筒状の溝25aが形成されていてシリンダー形状を成すことができる。そして、下端部の加圧板25bは、広い面積を平らに加圧することができるように上端部に比べて面積の広い円板形状を成すことができる。
【0048】
第1加圧ブロック25を放射方向外側で取り囲む同心円形状の第2加圧ブロック27と第2加圧ブロック27を取り囲む第3加圧ブロック29の上端部上面には、空圧供給ポート31、33、35から圧縮空気を収容するように各加圧ブロックの円周方向に沿って空気流動溝27a、29aが形成されて空気流路を形成することができる。
【0049】
また、第2及び第3加圧ブロック27、29の上端部は、シリンダー形状の断面を成し、下端部の加圧板27b、29bは、幅の広い同心円板形状を成すことができる。
【0050】
本実施例においては、複数個の加圧ブロックの加圧板25b、27b、29bは、互いに密接な位置に置かれていて、各加圧ブロック25、27、29の間にすき間が生じてインゴット側面に加えられる圧力偏差が生じることを防止することができる。
【0051】
そして、ヘッド本体21の下端部には、第1、第2及び第3加圧ブロック25、27、29の上端部が挿入され得るように同心円状の凹凸部が形成され得る。
【0052】
ヘッド本体21と加圧ブロック25、27、29の接触部を通じて圧縮空気が漏れることを防止するために、第1、第2及び第3加圧ブロック25、27、29上端部両側面とヘッド本体21の間には、空圧供給ポート31、33、35から投入される圧縮空気が漏れることを阻むための密閉手段37が具備され得る。
【0053】
本実施例は、密閉手段37として、オーリングやクォードリングのようなゴム材質のリング形状シーリングが、加圧ブロック25、27、29上端部とヘッド本体21が接触する円周面に沿って密着されるように設置され得る。
【0054】
一方、各加圧板25b、27b、29bの下側面には、加圧ブロック25、27、29に加えられる圧力偏差を減らすようにする空圧補正手段が具備されるが、本実施例の空圧補正手段は、加圧ブロックの下側面に付着される空圧風船40と、空圧風船40の下側面に密着設置される弾性シート41を含むことができる。
【0055】
本実施例の空圧風船40は、圧縮空気によって膨らまされて下端の接着板23を加圧して加圧ブロック25、27、29の境界の圧力差が線形的に変化するように補正する。このために加圧ブロック25、27、29の空気流動溝25a、27a、29aから下方には前記空圧風船40に連通される空気流動ホール43が形成されて加圧ブロック25、27、29を加圧する一部の空気が空圧風船40を膨らますために使用され得る構造を成すことができる。
【0056】
本実施例の弾性シート41は、空圧風船の下側面に密着されるように設置され得、加圧ブロック25、27、29から加えられる圧力を支えるように一定強度が維持される物質であり得、各ブロック間の圧力差を補正することができるように弾性力がある物質からなることができる。したがって、本実施例の弾性シート41は、弾性がある物質である樹脂材質からなることができる。
【0057】
また、実施例による弾性シート41の下側には、前記各弾性シート41をカバーする追加シート57がさらに具備され得る。
【0058】
前述した加圧手段などから加えられる圧力の偏差が前記の追加シート57の表面で均らされ得る。
【0059】
前記加圧ヘッド20の下側面に設置されてウェハーと接着される平板である接着板23は、高度の平坦度を維持しながら所望の線形変形ができる一定の厚さの金属円板に形成され得る。
【0060】
本実施例においては、前記加圧手段、空圧補正手段、接着板23をヘッド本体21に結合させて支持されるようにする結合支持手段が具備され得る。本実施例の結合支持手段は、加圧手段と空圧補正手段を外側から支持し、接着板23が掛けられるように内周面に段差部51が形成された円筒状フレーム50として具備され得るが、結合支持手段の形状はこれに限定されない。
【0061】
そして、本実施例の接着板23は、円筒状フレーム50の段差部51に掛けられるように枠部分に段差のあるフランジ23aが形成され得る。接着板23が円筒状フレーム50に掛けられるように置かれると、接着板23の下面と円筒状フレーム50の下面は同一平面上に置かれることができる。
【0062】
また、本実施例においては、接着板23の枠部分を通じて研磨液や汚染物質が侵透することを防止するために圧縮空気を直接接着板23に供給して空気圧力による浄化(air purge)が可能な構造を成すことができる。このために本実施例のヘッド本体21には接着板23に直接圧縮空気が到逹するようにする別途の空圧供給ポート55が形成され得る。
【0063】
次に、前記のような構成を有する本実施例のインゴット切断装置の加圧ヘッドの作用を説明する。
【0064】
前記のような構成の加圧ヘッド20を具備したワイヤソーイング装置を利用してインゴットを切断する場合には、インゴット側面を接着板23に密着させた状態でワイヤ方向にインゴットを移動させながらウェハー形態に切断されるようにすることができる。
【0065】
この場合、切断工程中に、各空圧供給ポートでは別途の制御手段を通じて互いに異なる状態の圧縮空気を加圧手段である各加圧ブロック25、27、29に供給し、加圧ブロック25、27、29は、供給される圧縮空気の圧力によって接着板23を圧迫してインゴットの側面部を加圧することができる。
【0066】
特に、インゴットが切断される切断深さによって加圧ブロック25、27、29に供給される圧縮空気を別途に制御することができる。インゴット切断工程初期には、インゴット下端部に対応する第3加圧ブロック29部分の圧力を減らしながら、インゴット切断工程中期には、第2加圧ブロック27部分の圧力を減らし、インゴット切断工程後期には、第1加圧ブロック25部分の圧力を減らしながら加圧ヘッドから発生する圧力を除去してウェハー部分の破損を最小化して膨脹部の圧力を制御することができる。
【0067】
また、空気流動ホールを通じて空圧風船は膨らまされて下側の接着版を加圧することができる。各空圧風船の間に空圧差がある場合にも空圧風船40の下側面に具備された弾性シート41が段差を補正し、各弾性シート41は、加圧ブロック25、27、29及び空圧風船の境界での圧力段差を補正してこれを線形的に変形されるように制御することができる。
【0068】
また、弾性シート41の下端に追加で薄膜(図示せず)が設置され得るが、前記薄膜は、各境界での圧力の差をさらに線形的に変形されるように補正する。
【0069】
切断工程の全過程にわたって各加圧手段の加圧力が別途に制御されるので、使用者の意図によってインゴット側面部の各部分に対して加圧程度が異なるようにしたり、切断過程で高平坦度を有するウェハーの製作が可能になる。
【0070】
そして、空圧供給ポート55を通じて圧縮空気が直接接着板23に供給されるため、圧縮空気の噴射圧力によって研磨液が接着板23の枠を通じて加圧ヘッド20内部に流入されることを防止することができるようになる。
【0071】
本発明の権利範囲は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求範囲に記載された事項によって決められ、特許請求範囲に記載された事項と同一性範囲で当業者が行った多様な変形と改作を含むことは自明である。
【符号の説明】
【0072】
10:インゴット切断装置 11:ビーム
12:ワークプレート 13:テーブル
14:本体部 15:ローラー部
16:圧力伝達部 20:加圧ヘッド
21:ヘッド本体 23:接着板
25:第1加圧ブロック 27:第2加圧ブロック
29:第3加圧ブロック 31、33、35:空圧供給ポート
37:密閉手段 40:空圧風船
41:弾性シート 43:空気流動ホール
50:フレーム 51:段差部
55:空圧供給ポート 57:追加シート