特許第6442016号(P6442016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6442016低価炭化水素ストリームの軽質オレフィンへの接触転化プロセス
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  • 特許6442016-低価炭化水素ストリームの軽質オレフィンへの接触転化プロセス 図000015
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442016
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】低価炭化水素ストリームの軽質オレフィンへの接触転化プロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 11/18 20060101AFI20181210BHJP
   C10G 11/05 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 38/12 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 29/90 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20181210BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   C10G11/18
   C10G11/05
   B01J38/12 C
   B01J29/90 M
   B01J29/40 M
   B01J29/08 M
   B01J29/80 M
【請求項の数】28
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-178249(P2017-178249)
(22)【出願日】2017年9月15日
(62)【分割の表示】特願2014-557169(P2014-557169)の分割
【原出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2018-48326(P2018-48326A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年10月12日
(31)【優先権主張番号】406/MUM/2012
(32)【優先日】2012年2月14日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513202971
【氏名又は名称】リライアンス インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RELIANCE INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】マンダル,シュクマル
(72)【発明者】
【氏名】ヤダブ,マノジ
(72)【発明者】
【氏名】パレック,アミットクマール
(72)【発明者】
【氏名】ダス,アジト クマール
(72)【発明者】
【氏名】ジャグステ,スハンギ
(72)【発明者】
【氏名】チンサラ,プラビーン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラビチャンドラン,ゴパル
(72)【発明者】
【氏名】マーヴェ,マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】サプレ,アジット
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240523(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0187059(US,A1)
【文献】 特開昭62−179592(JP,A)
【文献】 特許第2509314(JP,B2)
【文献】 特許第2786287(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、軽質オレフィンを得るためのプロセス:
i. 圧力が0.5から3 barの範囲に保たれたライザーを持つ、酸性固体FCC触媒が投入され、予熱され、少なくとも3つの温度ゾーンをもつクラッキング反応器を用意する段階。第一の温度ゾーンはライザーの底部にあり、650-750℃の範囲にある温度におかれ、第二で中間の温度ゾーンは、第一のゾーンの上にある温度が580-650℃の範囲に変動するゾーンであり、第三のゾーンはライザーの最上部であって温度は500-620℃の範囲から上の温度である;
ii. C4炭化水素や他のパラフィン系のストリームを含む第一の炭化水素供給物を第一のゾーンに重量空間速度0.2-50/hrで供給し、オレフィン系ナフサのストリームを含む第二の炭化水素供給物を第二のゾーンに重量空間速度5-100/hrで供給し、重質炭化水素を含む第三の炭化水素供給物を第三のゾーンに重量空間速度40-200/hrで供給する段階。
iii. 第一、第二、第三の炭化水素供給物を段階的にクラッキングする段階。クラッキングは、第三のゾーンにオキシジェネート供給物を投入し、これを気化することと、使用したFCC触媒に生じたコークスを再生器で、650-750℃の温度で空気などのガスを含む酸素の存在下で燃焼させることにより高温の触媒再生し、この高温の再生触媒を再生器よりライザーへ供給することにより発生する熱に補助され、それにより軽質オレフィンを得ることができる。
【請求項2】
請求項1のプロセスであって、第一の供給物はC4炭化水素、C4-C6パラフィンからなる群から選択した少なくとも一つを含むもの。
【請求項3】
請求項1のプロセスであって、第二の供給物は炭素を5-12持つオレフィン系ナフサを含むもの。
【請求項4】
請求項1のプロセスであって、第三の供給物は軽油、真空精製油、常圧・真空精製残油、スラリー油、分解可能なサイクル油、重原油からなる群から選択した少なくとも一つの重質炭化水素を含むもの。
【請求項5】
請求項1のプロセスであって、オキシジェネート供給物はメタノール、エタノール、エーテルからなる群から少なくとも一つを選択した化合物を含むもの。
【請求項6】
請求項1のプロセスであって、上記C4炭化水素ストリームの重量比は全供給物に対して10-30wt%の範囲にあるもの。
【請求項7】
請求項6のプロセスであって、C4炭化水素ストリームにおけるオレフィンの含有は30-80Vol%の範囲にあるもの。
【請求項8】
請求項1のプロセスであって、上記C4-C6パラフィン系ストリームの重量比は全供給物に対して5-30wt%の範囲にあるもの。
【請求項9】
請求項1のプロセスであって、5-12の炭素を持つオレフィン系ナフサを含む第二の供給物の重量比は全供給物に対して20-95wt%の範囲にあるもの。
【請求項10】
請求項1のプロセスであって、第三の供給物の重量比は全供給物に対して0wt%を超え25wt%以下の範囲にあるもの。
【請求項11】
請求項1のプロセスであって、オキシジェネート供給物の量は全供給物に対して0wt%を超え66wt%以下の範囲にあるもの。
【請求項12】
請求項1のプロセスであって、第三の供給物とオキシジェネート供給物は2つの離れた注入点から第三のゾーンに供給されるもの。
【請求項13】
請求項1のプロセスであって、オキシジェネート供給物の滞留時間は、オキシジェネート供給物の流量のみに基づき、0.5秒であるもの。
【請求項14】
請求項1のプロセスであって、オキシジェネート供給物はエチレンおよびプロピレンに転化されるもの。
【請求項15】
請求項1のプロセスであって、炭化水素供給物の分解についての反応性に応じて、第一、第二、第三のゾーンはさらに少なくとも一つのサブゾーンに分割されているもの。
【請求項16】
請求項1のプロセスであって、クラッキングのプロセスに、使用したFCC触媒を接触分解ガスのストリームから分離する段階が含まれるもの。
【請求項17】
請求項1のプロセスであって、使用したFCC触媒を再生器において焙焼する段階に高温の再生された触媒を取得し、圧力が0.5から3barの範囲にあるライザーにおける炭化水素供給物の吸熱反応が必要とする熱量に匹敵する熱を生産する段階が含まれるもの。
【請求項18】
請求項1のプロセスであって、クラッキングのプロセスにさらに再生された触媒を反応器で再利用する段階が含まれるもの。
【請求項19】
請求項1のプロセスであって、USY、REUSY、Betaからなる群の中の少なくとも一つおよびこれらの組み合わせの大細孔ゼオライトを選択したもの含むFCC触媒の提供が含まれるもの。
【請求項20】
請求項19のプロセスであって、FCC触媒が少なくとも一つの大細孔ゼオライトと、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、SAPO-11からなる群から選択した少なくとも一つの中細孔ゼオライトおよびこれらの組み合わせが含まれる添加物を組み合わせたものを含むもの。
【請求項21】
請求項20のプロセスであって、ZSM-5添加物と大細孔ゼオライトの重量比は、それぞれ5-60wt%、0wt%を超え35wt%以下の範囲にあるもの。
【請求項22】
請求項20のプロセスであって、ZSM-5ゼオライトはリン酸により安定化されたゼオライトであって、シリカとアルミナの比が20から80にあるもの。
【請求項23】
請求項19のプロセスであって、FCC触媒は、Ca、Mg、Srからなる群から少なくとも一つを選択した、ないしはこれらの組み合わせであるアルカリ土類金属によりドープされた少なくとも一つの大細孔ゼオライトを含むもの。
【請求項24】
請求項23のプロセスであって、アルカリ土類金属の質量比は500-2000ppmの範囲にあるもの。
【請求項25】
請求項1のプロセスであって、軽質オレフィンには、プロピレンおよびエチレンが含まれ、それぞれ20wt%以上および6wt%以上を得ることができるもの。
【請求項26】
請求項1のプロセスであって、ライザーに投入される前の炭化水素供給物の予熱の段階が含まれるもの。
【請求項27】
請求項1のプロセスであって、プロセスが炭化水素供給物の予熱、供給流量の調節、供給物の蒸気による希釈からなる群から少なくとも一つを選択した段階により制御されているもの。
【請求項28】
請求項1又は11のプロセスであって、オキシジェネート供給物の量は全供給物に対して20-40wt%の範囲にあるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、炭化水素を原料とした軽質オレフィン生産のための、大きな生産量を可能とする流動接触分解に関する、軽量オレフィンの生産量をさらに改善するためのものである。
【背景技術】
【0002】
エチレンやプロピレンなどの軽質オレフィンの生産量拡大については、その需要の増加に伴って広範囲における努力が見られる。本明細書では、「軽質オレフィン」とはエチレン、プロピレンを指し、ブチレンは含めない。一般的には、プロピレンおよびエチレンはガソリン、ディーゼルなどの流動接触分解(FCC)による燃料製造における副産物として生産される(プロピレンが4 - 6 wt%、エチレンが2 - 3 wt%)。プロピレンは、石油化学原料を得るためのFCC反応生成物より分離される。しかし、FCC生成物からのエチレンの分離は、生産量が少量となるために経済的利点が少ない。このため、エチレンは石油精製所自体の燃料として使用される。一方、1990年代以降、いくつかのFCC装置はより過酷度を高めた運転により新原料の10から12 wt% のプロピレンが得られるようになっている。さらなるプロピレン生産量の増加のため、FCCに関する多様なプロセスが開発されてきている。これらのうちいくつかは、依然運用されている。
【0003】
先行技術
特許US 4980053は、深度接触分解法(DCC)と呼ばれるプロセスを開示している。予熱された炭化水素原料は加熱された触媒によって反応器でクラックされ、軽質オレフィンが生産される。反応生成気体は、エチレン、プロピレン、ブチレンや他の構成物に分離される。
このプロセスは5から10秒の接触時間を要するため、乾性ガスなどの好ましくない物質が比較的大量に発生する。
【0004】
特許US 5846402は液化石油ガスや3から4の炭素をもつ軽質オレフィンの高収率生産のための重炭化水素原料の接触転化について開示している。原材料のクラッキングは高速ライザー反応器において接触分解に適したとされる条件の元で行われる。この条件には、触媒対オイルの比が大きく、ライザーの温度が高いことが含まれる。上記米国特許の開示に沿った触媒は、超安定Y型ゼオライト、高選択性ペンタシルゼオライトおよびアクティブなマトリクスからなる固体酸触媒である。US 5846402はシングルライザー構成の反応器で非常な高過酷度下における高分子量の炭化水素のクラッキング技法を開示している。
【0005】
さらに、特許US 7491315はデュアルライザー構成の反応器で炭化水素のクラッキングを行うプロセスを開示している。減圧軽油のような高分子量炭化水素を第一のライザーにおいて比較的低い過酷度の下で接触分解する。第一のライザーで得られた軽ナフサおよびC4ストリームは、第二のライザーで、非常に高い過酷度の下、再度のクラッキングを行う。接触分解触媒は普通のFCC触媒とZSM-5触媒を組み合わせたものである。特許US 7491315が開示しているプロセスは、熱収支のとれたプロセスで、触媒に蓄積したコークスの燃焼により熱を発生させ、利用している。しかし、熱収支への考慮のより、余計なコークスの前駆物質がライザーに投入されてしまう。デュアルライザー方式の主な欠点は、第一のライザーに追加されている第二のライザー反応器のためにもう一つの触媒循環経路が必要となり、そのための投資コストや設置場所が必要となることである。
【0006】
Mehlberg et. al.は特許出願US 2010/0168488でデュアルライザー方式の反応器により複数の原材料のクラッキングを行うプロセスを開示している。2つの反応容器をもつ方式の選択は、C3-C5の範囲にあるオレフィン生産のバランスをとるためとしている。一方、2つの個別の反応器は2つの独立したライザーやそのガス配管など、機材をすべて2重に設置されなければならず、投資が高額となる。開示には、特別にプロピレン生産を意図した、ZSM-5を使用した、低価なナフサ原材料の軽質オレフィンへの高過酷度下の転化プロセスも示されている。軽質の原材料ではZSM-5ベースの触媒における、接触によるコークス発生が少なくなる。しかし、このプロセスはライザーでの吸熱クラッキングにおける熱の需要を満たすために外部熱源を必要とする。一般的に、熱の確保のため、製造される重油に加え、燃焼用の燃料油が再生器に投入される。しかし、再生器における連続的な余計な燃料の燃焼は触媒の熱水失活を加速する。さらに、原料の一部が連続的に熱確保のための燃焼に回され、プロセスの経済性にいくらかの影響を与える。特許US 7601663は非常な高温に置かれたライザーによる、ZSM-5ゼオライトベースの触媒を用いた直留ナフサの軽質オレフィンへの接触分解について開示している。原料を別に設けた炉で予熱し、また再生器で燃料を燃焼させることで熱バランスを維持しているが、このことは熱水失活を大きくし、触媒の再生に関する要求は厳しいものとなる。
【0007】
特許US 5171921は、リンを含むZSM-5ゼオライト触媒を用いてC3-C20炭化水素を軽質オレフィンに転化する新しいプロセスを開示している。このプロセスでは、触媒におけるコークスの発生は非常に少なく、吸熱分解に必要な熱は部分的には原料の予熱と再生器における燃料の連続燃焼によって得られている。
【0008】
さらに、特許US 7867378はエタノールと炭化水素の段階的接触分解について開示している。反応器の最初の部分でエタノールはエチレンに転化し、シングルライザー内の部分で炭化水素は軽質オレフィンに転化する。通常、ライザー底部の温度および圧力は非常に高く、エタノールはオーバークラッキングにより軽質ガスに分解してしまう。ライザー底部の過酷度が低い場合は、炭化水素の軽質オレフィンへの転化は少なくなる。
【0009】
また、特許US 5981819は、Clausユニットなどで使用されているものと同様の断熱固定層を用い、ZSM-5触媒を使用してC4ストリームを軽質オレフィンへ転化するプロセス(Propylurプロセス)について開示している。
【0010】
軽質オレフィン、つまりプロピレンおよびエチレンの製造には、上記の既存技術によるプロセス以外に、メタノールの転化プロセスも用いられている。このような転化プロセスの特徴として高発熱性があり、その程度はメタノールの転化レートによる。多くの場合、固定床の反応器が用いられ、反応器の設計は熱の制御と除去により左右される。固定床であるから、周期的な触媒再生プロセスが必要である。
【0011】
特許US 4627911は熱収支ゼロのクラッキングプロセスについて開示している。発熱プロセスであるメタノールのクラッキングと吸熱プロセスである軽油のクラッキングを組み合わせて熱収支バランスをとっている。この開示に沿ったプロセスは触媒の再生なしに実行されている。しかし、このプロセスでは、好ましくは軽油のクラッキングの前にメタノールを投入することで触媒を加熱する必要がある。また、ライザーへの滞留時間を6から15秒以上と長くする必要があり、単位時間当たりの重量空間速度(WHSV)が概ね毎時25と低くなってしまう。一方、得られる軽質オレフィンの量を最大にするには、ライザーでの滞留時間を抑えてH移動反応を最低限にする必要がある。さらに、高温(550℃以上)によるメタノールのオーバークラッキングにより好ましくない乾性ガスが発生する。
【0012】
Bernhard Lucke et al. (Microporous and Mesoporous Materials 29(1999)145-157) はZSM-5ゼオライトベースの触媒と固定床によるC4/N-ヘキサン/ナフサおよびメタノールの同時転化方法について開示している。適切な質量の分配によれば、炭化水素の吸熱分解とメタノールの発熱分解の組み合わせにより熱的な持続性を保って軽質オレフィンが生産される。しかし、炭化水素とメタノール双方の同時供給は、メタノールの100%の転化につながるが、炭化水素は少ししか転化されない。Bernhardはさらに過酷度を高めた反応による炭化水素の転化を増加させることができるとしているが、オレフィンをメタンにオーバークラックしてしまう。高温と滞留時間が長いことによりメタノールもより軽量なメタンに分解されてしまっていることが想定される。このように、炭化水素とメタノール双方の供給はメタノールにとっても、炭化水素にとっても最適な転化は行われないしオレフィンの最適な選択性も確保できない。
【0013】
以上から、本開示は、既存技術の欠点である、2重化された反応器の使用や希望するオレフィンの生産が自由にできないこと、また触媒の失活の問題などを解決した、多様な炭化水素を原料とし、シングルライザーによって軽質オレフィンの高い生産量が得られる、接触分解による転化プロセスを提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題
本開示の一つの課題は、先行技術の問題を一つないしは複数改善し、またはその少なくとも有用な代替方法を提供することである。
【0015】
本開示のもう一つの課題は、適切なコストでより高い生産量を確保できる、原材料である炭化水素から軽質オレフィンを生産する接触分解プロセスを提供することである。
【0016】
本開示のさらなる課題は、炭化水素を原材料とした接触分解プロセスであって、原材料が複数の、多様な分解特性をもつ炭化水素を含んでいる接触分解プロセスを提供することである。
【0017】
本開示のもう一つの課題は、炭化水素を原材料とした接触分解プロセスであって、接触分解が単一のライザーにおいて、熱収支のとれた状態で行われる接触分解プロセスを提供することである。
加えて、本開示のもう一つの課題は、適切なコストでより高い軽質オレフィンの生産量を確保できる、熱収支のとれた接触分解プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
概要
本開示は、熱収支のとれた接触分解プロセスおよび低価な炭化水素材料の接触分解において、原材料はC4から残留物までを含む多様なものであり、単一ライザーを使用して、高、中、低過酷度ゾーンに分かれた段階的マルチゾーン接触分解プロセスによる高い軽質オレフィン、特にプロピレンおよびエチレンの生産量を確保できる触媒が提供される。(i) 段階的に処理されるC4から残留物までの原材料の吸熱分解反応とメタノールの発熱分解反応の組み合わせ (ii) コークス発生が少ない材料、すなわちC4からナフサまでの処理とコークス発生の多い材料、すなわち残留物やスラリー油などの処理の組み合わせであり、別途の再生器により産出したコークスを燃焼して熱バランスの要件を充足するもの、 以上2つの選択肢のいずれか、ないしは両方により、すべてのセクションにおける反応の全体においてほぼ完全な吸熱、発熱の熱収支バランスを実現する。プロセスは、PCT出願PCT/IN2011/000599に開示されている高い安定度を持つZSM-5またはUSY、ReUSYベースのFCC触媒と組み合わせたインド特許出願1955/MUM/2011によるアルカリ金属修飾ZSM-5を使用する。各ゾーンの制御はゾーンに流入する材料の予熱、流量、炭化水素ストリームに対する蒸気による希釈を加減して行い、加えて、反応器の設計変更によりライザーの直径や長さおよび炭化水素と希釈蒸気の注入を適切に選択することにより、各ゾーンにおいて好ましい重量空間速度(WHSV)を達成する。
【0019】
本開示によれば、以下の段階を含む、軽質オレフィンを得るためのプロセスであって、比較的高い生産量を確保できるものが提供される:
i. 圧力が0.5から3 barの範囲に保たれたライザーを持つ、酸性固体FCC触媒が投入され、予熱され、少なくとも3つの温度ゾーンをもつクラッキング反応器を用意する段階,第一の温度ゾーンはライザーの底部にあり、650 - 750℃ の範囲にある温度におかれ、第二で中間の温度ゾーンは、第一のゾーンの上にある温度が580 - 650℃ の範囲に変動するゾーンであり、第三のゾーンはライザーの最上部であって温度は500 - 620℃の範囲から上の温度である;
ii. C4炭化水素や他のパラフィン系のストリームを含む第一の炭化水素供給物を第一のゾーンに重量空間速度0.2 - 50 / hrで供給し、オレフィン系ナフサのストリームを含む第二の炭化水素供給物を第二のゾーンに重量空間速度5 - 100 / hrで供給し、重質炭化水素を含む第三の炭化水素供給物を第三のゾーンに重量空間速度40 - 200 / hrで供給する段階;
iii. 第一、第二、第三の炭化水素供給物を段階的にクラッキングする段階;
クラッキングは、(a) 第三のゾーンにオキシジェネート供給物を投入し、これを気化する、または (b) 使用したFCC触媒に生じたコークスを再生器で、650 - 750℃の温度で酸素の存在下で燃焼させることにより高温のガスを発生し、このガスを再生器よりライザーへ供給する、以上の2つからなる群から少なくとも一つを選択した発熱反応により発生する熱に補助され、それにより比較的高い生産量を確保して軽質オレフィンを得ることができる。
【0020】
標準として、第一の供給物はC4炭化水素、C4-C6パラフィンからなる群から選択した少なくとも一つを含む; 第二の供給物は炭素を5 - 12持つオレフィン系ナフサを含み、第三の供給物は軽油、真空精製油、常圧・真空精製残油、スラリー油、分解可能なサイクル油、重原油からなる群から選択した少なくとも一つの重質炭化水素を含む。
標準として、オキシジェネート供給物はメタノール、エタノール、エーテルからなる群から少なくとも一つを選択した化合物を含む。
【0021】
具体的には、上記C4炭化水素ストリームの重量比は全供給物に対して10 - 30 wt%の範囲にある; C4炭化水素ストリームにおけるオレフィンの含有は30 - 80 Vol% の範囲にある。上記C4-C6パラフィン系ストリームの重量比は全供給物に対して5 - 30 wt%の範囲にある; 5 - 12の炭素を持つオレフィン系ナフサを含む第二の供給物の重量比は全供給物に対して20 - 95 wt% の範囲にある; 第三の供給物の重量比は全供給物に対して0 - 25 wt% の範囲にある; 加えて、オキシジェネート供給物の量は全供給物に対して0 - 66 wt% の範囲にある。
【0022】
標準として、第三の供給物とオキシジェネート供給物は2つの離れた注入点から第三のゾーンに供給される。オキシジェネート供給物の滞留時間は、オキシジェネート供給物の流量のみに基づき、好ましくは0.5秒である。
【0023】
本開示のある実施形態によれば、炭化水素供給物の分解についての反応性に応じて、第一、第二、第三のゾーンはさらに少なくとも一つのサブゾーンに分割されている。
【0024】
具体的には、クラッキングのプロセスは使用したFCC触媒を接触分解ガスのストリームから分離する段階、使用したFCC触媒を再生器において焙焼する段階、高温の再生触媒を巡回させる段階とそれにより吸熱分解反応が必要とする熱や圧力とほぼ等価の熱をライザーに与える段階を含む。
【0025】
本開示のもう一つの実施形態によれば、クラッキングのプロセスは再生された触媒を反応器にリサイクルする段階を含む。
【0026】
具体的には、本開示には、USY、REUSY、USY、Betaからなる群の中の少なくとも一つおよびこれらの組み合わせの大細孔ゼオライトを選択したもの含むFCC触媒の提供が含まれる。標準として、FCC触媒は少なくとも一つの大細孔ゼオライトと、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-22、SAPO-11からなる群から選択した少なくとも一つの中細孔ゼオライトおよびこれらの組み合わせが含まれる添加物を組み合わせたものを含む, ZSM-5添加物と大細孔ゼオライトの重量比は、それぞれ5 - 60 wt%、0 - 35 wt% の範囲にある。具体的には、ZSM-5ゼオライトはリン酸により安定化されたゼオライトであって、シリカとアルミナの比が20から80に、好ましくは30 - 40にあるものである。または、FCC触媒は、Ca、Mg、Srからなる群から少なくとも一つを選択した、ないしはこれらの組み合わせであるアルカリ土類金属によりドープされた少なくとも一つの大細孔ゼオライトを含む。アルカリ土類金属の質量比は500 - 2000 ppm の範囲にある。
【0027】
本開示によれば、軽質オレフィンには、プロピレンおよびエチレンが含まれ、それぞれ20 wt% 以上および6 wt% 以上を得ることができる。
【0028】
本開示のもうひとつの実施形態によれば、プロセスにはライザーに投入される前の炭化水素供給物の予熱の段階が含まれる。
【0029】
本開示のさらなる別の実施形態によれば、プロセスは炭化水素供給物の予熱、供給流量の調節、供給物の蒸気による希釈からなる群から少なくとも一つを選択した段階により制御されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は本開示による熱収支のバランスのとれた接触分解プロセスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細説明
本開示の内容は添付の図表と共に示す実施形態の説明でさらに明確なものとするが、これらの図表は本開示の範囲を限定するものではない。また実施形態およびその説明は、本開示の好ましい実施例と応用を説明するのみのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0032】
ここに示す図表およびその説明は単に解説のためのみのものであり、本開示を例示するだけであって、本開示の範囲を限定するものでは全くない。
【0033】
このようにして、本開示によれば単一のライザーを用い、炭化水素を原材料とした接触分解による軽質オレフィンの改善された製造プロセスが提供される。本開示による炭化水素供給物から軽質オレフィンを得る改善された製造方法では、単一のライザーにおいて熱的に持続可能性ある条件下で生産が行われる。
【0034】
本開示においては、「熱収支のとれた」という表現は、吸熱接触分解に必要とされる熱の要求がオキシジェネートの発熱分解反応から放出される熱ないしは触媒表面に蓄積したコークスの燃焼を触媒再生時に行うことにより賄われる、熱的にバランスのとれた接触分解反応を言う。
【0035】
本開示においては、「新供給物」という表現は、転化のために反応ゾーンに投入された炭化水素供給物であって、反応ゾーンにおけるいかなる再利用物をも含まないものを言う。
【0036】
本開示においては、「ライザー」という表現は、流動接触分解プロセスで使用される反応器の一部分を言う。
【0037】
本開示においては、「分解困難」という表現は、オレフィン系C4炭化水素ストリームおよびパラフィン系C4-C6炭化水素ストリームの分解性を言う。
【0038】
本開示においては、「通常の分解性」とは、オレフィン系ナフサストリーム(C5-C12)の分解性をいう。
【0039】
本開示においては、「分解容易」という表現は、軽油、真空精製油、常圧・真空精製残油、スラリー油、分解可能なサイクル油、重原油およびメタノール、エタノール、エーテルなどのオキシジェネートの分解性を言う。
【0040】
本開示によるプロセスは、熱収支のとれた分解プロセスであって、炭化水素供給物の吸熱分解における熱の必要を、同一のライザーで同時に吸熱分解、発熱分解を行うことで賄うものである。または、分解触媒の表面に蓄積したコークスを再生器において燃焼することで吸熱分解に必要な熱を得て、熱収支のとれた状態を確保する。本開示に沿った炭化水素供給物の熱収支のとれた接触分解による転化は、標準として、単一のライザーにおいて、炭化水素供給物の種類と比率、触媒、温度、圧力、ライザーの様相を含む分解反応の条件を軽質オレフィン生産に最適なものに設定して、生産量を改善する。
【0041】
以上に示した、単一のライザーでの熱収支のとれた分解反応によって生産量を高めて軽質オレフィンの生産を行う目的は、炭化水素供給物を段階的に分解することにより実現される。段階的な分解では、異なる分解特性を持つ多様な炭化水素供給物が段階的に接触分解される。炭化水素供給物の段階的な分解は、その進行の全体で熱収支のバランスが維持される方法で行われる。
【0042】
以上に示したように、接触分解の進行中における熱収支のとれた状態は、標準として、同一のライザーで吸熱分解と発熱分解を行うことないしは触媒表面に蓄積したコークスを触媒再生器で燃焼させることにより維持する。このように、触媒再生ないしはコークス燃焼において生産される熱は、原材料の吸熱分解に利用される。
【0043】
標準として、本開示によるプロセスでは、分解特性として分解困難、通常の分解性、分解容易とされる原材料が使用される。分解困難または通常の分解性とされる原材料は、コークスの生成が少ない原材料であり、一方、分解容易な原材料は通常コークスの生成が多いか、分解において発熱を伴うものである。
【0044】
標準として、分解困難な原材料には、オレフィン系C4炭化水素、4から6の炭素をもつパラフィンからなる群から少なくとも一つを選択した炭化水素供給物が含まれる。
【0045】
標準として、通常の分解性をもつ原材料には、5 - 12 の炭素を持つオレフィン系ナフサストリームが含まれる。
【0046】
標準として、多くのコークスが生成される原材料で分解容易なものは、軽油、真空精製油、常圧・真空精製残油、スラリー油、分解可能なサイクル油、重原油からなる群から少なくとも一つを選択した重炭化水素である。
【0047】
本開示における炭化水素供給物にはさらに発熱分解のためのオキシジェネートが含まれる。標準として、オキシジェネートには、メタノール、エタノール、エーテルからなる群から少なくとも一つを選択したものが含まれる。
【0048】
本開示に沿った炭化水素供給物の段階的な分解は、単一のライザーにおいて行われる。単一のライザーは、炭化水素供給物の段階的な分解のために複数のゾーンをもつ。複数ゾーンをもつライザーには、高、中、低過酷度のゾーンが含まれ、分解困難、通常の分解性、分解容易な原材料の分解を行う。
【0049】
本開示による段階的接触分解プロセスは、以下さらに熱収支のとれた分解プロセスの略図(添付図表の図1)を参照して説明する。本開示に沿った段階的接触分解プロセスで使用されるシステムには、反応セクション100と101、再生セクション105と106、製品分離セクション110が含まれる。
【0050】
反応セクションにはライザー101および反応器100が含まれる。異なる分解特性を持つ原材料は、個別に、段階的に、詳しくはコークス生成の少ないものから多いもの、ないしは、分解困難なものから分解容易なものの順番で単一のライザーの個別の分解ゾーンに投入される。
【0051】
本開示に沿った熱収支のとれた分解プロセスには、(i) C4炭化水素から重炭化水素までの吸熱分解反応と段階的に続けられるオキシジェネートの発熱反応 (ii) 触媒表面に蓄積したコークスの反応器における燃焼により熱を供給する、C4炭化水素から重炭化水素までの吸熱分解反応からなる群から少なくとも一つを選択した反応が含まれる。
【0052】
段階的接触分解には、ライザー底部のC4炭化水素ストリームの分解102、C4ストリームの注入部102上部における4 - 6の炭素を持つパラフィン系ストリームの分解117、パラフィン系C4-C6ストリーム注入部上部におけるオレフィン系ナフサなど、主に5−12の炭素を持つオレフィン系ストリームの分解121、および、ライザー上部におけるメタノールの分解122またはコークスを多く生成する材料の分解123が含まれる。
【0053】
ライザー底部から注入されるC4炭化水素供給物は、標準として、炭化水素の新供給物である。ある実施形態によれば、軽質オレフィンの生産量を最大に増やすため、本開示による段階的接触分解プロセスで生成され、再利用されるC4炭化水素供給物115がC4炭化水素ストリームの新供給物と共に注入されている。再利用されるC4炭化水素供給物115は、再利用されるC4炭化水素供給物115がオレフィンを少なくとも30 vol% 以上含有している時のみC4炭化水素ストリームの新供給物102と混合される。他の実施形態によれば、C4炭化水素ストリームの新供給物102またはC4炭化水素ストリームの新供給物102と再利用されるC4炭化水素供給物115の混合物はライザー底部への注入の前に蒸気により希釈されている。
【0054】
C4再利用ストリーム115を含むC4ストリーム102はライザー底部で分解される。C4炭化水素の分解は、標準として、適切な温度、圧力の分解条件のもと、材料をFCC触媒に接触させて行う。ライザー底部のC4炭化水素供給物の分解は、標準として、650 - 750℃の温度で、好ましくは660 - 680℃の温度で行う。重量空間速度(WHSV)は、標準として、0.2 - 50/hrの範囲に維持され、好ましくは1 - 25/hrに維持される。さらに好ましくは、1 - 10/hrに維持される。
【0055】
4から6の炭素を持つパラフィン系ストリーム117は高い過酷度におかれるライザー底部のC4注入部の上に投入される。パラフィン系C4-C6ストリーム117は、標準として、C4ストリーム102から蒸気滞留時間1 - 1.5秒に相当する距離に注入される。ライザーに投入されるパラフィン系C4-C6ストリーム117の質量比は、全部の新供給物の質量に対し5 - 30 wt% の範囲にある。初留点(IBP)は35 - 50℃、終点は200 - 221℃の範囲にある。適切なパラフィン系ストリームは20 vol %以下の芳香族成分を持ち、好ましくは10 vol% 以下である。
【0056】
4から6の炭素を持つパラフィン系ストリーム117は、その新供給物を注入する。他の実施形態においては、4から6の炭素を持つパラフィン系ストリーム117は本開示の分離タンク110から得られ、再利用されるナフサのストリーム118と共に注入されている。
【0057】
パラフィン系C4-C6ストリーム117の分解は、原材料を630 - 690℃ の温度、好ましくは650 - 680℃の温度 でFCC触媒に接触させることで行う。パラフィン系の分解のWHSVは、標準として、5 - 100 / hrの範囲に保たれ、好ましくは50 - 80 / hrの範囲に保たれる。
【0058】
パラフィン系C4-C6ストリームの投入後に、そのC4-C6投入点から上方の、同ストリーム(C4-C6)117の滞留時間1 - 1.5秒を確保できる点から5 - 12の炭素を持つオレフィン系ナフサストリームが注入される。ライザーに投入されるオレフィン系ナフサストリーム(C5-C12)121の質量比は全新供給物に対して20 - 95 wt%、好ましくは50 - 95 wt% の範囲にある。
【0059】
C5-C12オレフィン系ナフサストリームのオレフィン含有量は30 - 70vol%の範囲にあり、好ましくは45 - 55 vol% の範囲にある。通常の分解性から分解容易の範囲にある材料、すなわち、5 - 12の炭素を持つオレフィン系ナフサストリーム121の分解は、580 - 650℃の温度で行われる。オレフィン系ナフサ供給物の接触分解中の重量空間速度は5 - 100 / hr の範囲にある。
【0060】
多量のコークスを生成する材料、すなわち重炭化水素は、低い過酷度に置かれているライザー上部に、5 - 12の炭素を持つオレフィン系ナフサストリーム121の注入点の上方に投入される。多量のコークスを生成する材料の分解は、標準として、500 - 620℃ 好ましくは570 - 620℃の温度で、WHSVが40 - 200 / hrの範囲で行われる。ライザー上部から注入される、多量のコークスを生成する重炭化水素ストリーム123の質量比は全新供給物に対して0 - 25 wt% の範囲、さらに好ましくは10 - 15 wt% の範囲にある。多量のコークスを生成する材料は、新供給物である。他の実施形態によれば、分離タンク110から得られ、再利用されるCSOストリーム119が多量のコークスを生成する材料と共に注入されている。
【0061】
ある実施形態によれば、本開示による熱収支のとれた段階的接触分解には、C4から重炭化水素までの炭化水素供給物の吸熱分解に必要な熱を供給するため、オキシジェネート供給物の発熱分解が含まれる。本開示に沿って使用されるオキシジェネート供給物は、標準として、メタノール、エタノール、エーテルからなる群から少なくとも一つを選択したものを含む。
【0062】
好ましくは、全新供給物に対して20 - 40 wt% の分量のメタノール122を低い過酷度に置かれているライザー上部に注入する。メタノール122は多量のコークスを生成する重炭化水素ストリーム123と共に、標準としてオレフィン系ナフサストリームの注入点より上にある、重炭化水素の注入点と同じ高さの点から注入する。単一のライザーの低過酷度ゾーンには2つの個別の注入点であって、重炭化水素供給物とオキシジェネートを別々に注入する、同じ高さにある点が含まれる。オキシジェネート供給物の滞留時間はオキシジェネート供給物の流量のみに基づき、標準として0.5秒に保たれる。
【0063】
重炭化水素供給物とメタノールの重量比は、標準として、0 - 1の範囲にある。オキシジェネート供給物の分解は低い過酷度で、ライザー上部で行われ、分解の条件には温度500 - 620℃、好ましくは500 - 600℃および重量空間速度40 - 200 / hrが含まれる。ライザー上部の圧力は0.5 - 3.0 bar (g) の範囲にある。
【0064】
本開示に沿った単一のライザーの各過酷度ゾーンは、各供給物の分解性に応じて一つ以上のサブゾーンにさらに分割されている。各ゾーンにおける制御は各ゾーンに投入される原材料の予熱温度および蒸気による希釈の度合いを変化させて行う。各ゾーンにおける適切なWHSVは、ライザーの直径、長さ、炭化水素と希釈蒸気の注入により調整する。
【0065】
反応セクション100から流出する出力気相は、使用済み触媒を分離し、導管109を通じて分離セクション110へと送られる。分離セクション110には、分留塔およびガス濃縮セクションが含まれる。さらに分解物は乾性ガス111、エチレン112、プロピレン113、C4 116、ナフサ120、ライトサイクルオイル(LCO)114および清澄スラリーオイル(CSO)124などの様々な製品に分離される。これらのストリームの他に、C4 ストリームの一部または全部115は、導管を通じて新供給物のC4 102と共にライザー底部に注入されて再利用され、C2およびC3オレフィン製品の生産量を増加する。ナフサストリームの一部または全部118も導管を通じて新供給物のパラフィン系C4-C6 ストリーム117と共に注入されて再利用され、プロセスシステム全体に追加の転化が提供される。CSOストリームの一部または全部119は導管を通じて新供給物の重炭化水素123と共に注入され、触媒への追加のコークス蓄積を行って熱の需要を充足することにより再利用される。
【0066】
反応器100から回収された使用済みの触媒は、使用済み触媒直立管104を通じて回収セクションに送られ、再生セクションに投入される。再生セクションには燃焼器106と再生容器105が含まれる。再生セクションでは、触媒は温度650 - 750℃、圧力1から3bar(g)で空気107などの気体を含んだ酸素と接触させ、蓄積したコークスを除去する。酸素を含んだ気体は、導管107を通じて再生器に注入され、燃焼ガスは導管108を通じて再生器より出る。再生された高温の触媒は、再生済み触媒直立管103を通じて再生器からライザーへと移る。使用済み触媒の再生で発生した熱は、以降、再生された触媒が材料に接触する際、材料の過熱に利用される。本開示に沿った段階的接触分解プロセスは標準として、エチレン、プロピレンを含む軽質オレフィンをそれぞれ6 wt%、20 wt% 以上の分量生産することができる。
【0067】
本開示に沿って熱収支のとれた条件下で炭化水素供給物の分解に使用される触媒は、標準として、少なくとも一つのペンタシル型ゼオライトを含み、加えてUSY、REUSY、betaのうち少なくとも一つ、ないしはこれらの組み合わせを含むFCC触媒である。本開示に沿って使用されるFCC触媒は、さらに、修飾ZSMを含む。修飾ZSMはリン酸により安定化されたゼオライトであって、シリカとアルミナの比が20から80に、好ましくは30 - 40にあるものである。標準として、ペンタシル型ゼオライトの質量比は5 - 60 wt% の範囲にあり、好ましくは20 - 30 wt%の範囲にある。FCC触媒の選択性は、Ca、Mg、Srからなる群から少なくとも一つを選択した、ないしはこれらの組み合わせであるアルカリ土類金属によりペンタシル型ゼオライトをドープすることによりさらに向上する。触媒活性を妨げないアルカリ土類金属の質量比は500 - 20000 ppm の範囲に、より好ましくは500 - 10000 ppm の範囲にある。
【0068】
本開示に沿った接触分解プロセスで使用されるFCC触媒は我々のインド特許出願1955/MUM/2011およびPCT出願PCT/IN2011/000599に開示されているプロセスによる触媒を使用するが、一方、市販のZSM-5またはUSY、ReUSYベースのFCC触媒を使用することもできる。
【0069】
本開示の実施形態およびその機能や利点の詳細は、以下の実施例をもって説明されるが、これらの実施例は本特許を限定するものではない。既知の技術や部品、処理方法の説明は、実施例の明確な説明を不必要に損なうことのないように省略する。以下に示した実施例は、単に理解を容易にするためのものであり、また、専門の者が本開示の内容を実現することを可能とするためのものである。このように、実施例は実施形態の範囲を限定するものと解されてはならない。
【実施例】
【0070】
実施例:
本開示によって、段階的なマルチゾーン、多種材料対応の熱収支のとれた接触分解プロセスが提供される。プロセスには、単一のライザーにおける段階的なマルチゾーン反応セクションが含まれる。反応セクションは、オレフィン系、パラフィン系ナフサストリームを含むC4から残留物までの多様な供給物に対応する高、中、低過酷度のゾーンに分割されている。供給物は、分割性により分割困難、通常の分割性、分割容易に分けられる(熱収支のとれた接触転化プロセスTNC2の略図である図1を参照)。各ゾーンの制御はゾーンに流入する材料の予熱、流量、炭化水素ストリームの蒸気による希釈を加減して行い、加えて、反応器の設計変更によりライザーの直径や長さおよび炭化水素と希釈蒸気の注入を適切に選択することにより、各ゾーンにおいて好ましい重量空間速度(WHSV)を達成する。
【0071】
様々な実施例で使用している多様な原材料の性質を表1に示す。
【表1】
【0072】
例1
この例では軽質コーカーナフサLCNの吸熱分解とメタノールの発熱分解を組み合わせ、熱水失活させたZSM-5を使用した触媒の再生を含んだ熱収支の原理を説明する。新しいZSM-5の物理化学的性質を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
上記のZSM-5を、個別に800℃、大気圧、20時間で、100% 蒸気を用いて熱水失活させた。この熱水失活したZSM-5 10 gmを固定床流通式マイクロリアクターに投入し、リアクターを電気加熱して触媒床を620℃に維持した。表1に示すLCNを流通式リアクターで分解した。流通時間(TOS)は30秒、温度は620℃、大気圧で行った。気相の滞留時間は0.5秒以下であった。分解の直後、窒素により、触媒床からストリッピング可能なすべての炭化水素と分解ガスを分離し、これらを収集して冷却、分析した。触媒のコークスは、空気中で750℃で燃焼させ、排煙をオンラインのIRアナライザーにより計測した。収集された液体は標準的なSIMDISTアナライザーで分析した。この実験でLCNより派生した生成物を表3の列1に示す。
【0075】
以上に示したものと同様に、もう一つの実験を行い、しかしこちらでは触媒に蓄積したコークスの燃焼は行わなかった。ストリッピング後、使用済み触媒床でメタノールの分解を行った。TOSは30秒、温度は620℃、大気圧で行い、気相の滞留時間は0.5秒以下であった。メタノール発の生成物を表3の列2に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
上記データーはLCNクラック後、コークスがいくらか付着している使用済み触媒であってもメタノールを選択的にクラックするには十分な活性を持っていることを示している。このようにして、LCNおよびメタノールの段階的クラッキングは、高温下であっても、より良好なメタノールによるオレフィン産出を可能としている。LCNによるコークスの生成(概ね2.09 wt%)は予熱、気化、分解の全熱量を賄うために必要な量である5.7 wt%(材料に対し)より少ない。LCNが必要とする正味の熱量は346 kcal/kgである。メタノールの分解による発熱とコークス(材料に対し0.7 wt%)の燃焼による熱は、予熱とメタノールの蒸発には十分である。正味の熱の余剰はメタノール1 kgあたり192.2 kcalである。メタノール1.4 kgの分解で余剰となる熱はLCN 1 kgを予熱し、気化し、分解するのに十分である。このようにして、熱収支のとれたプロセスとするには、1 kgのLCN分解において1.4 kgのメタノールを同時に分解することが必要である。この時想定される産出物を表3の列3に示す。このようにして、LCNはメタノールの分解に続いてその分解を行う。この時、滞留時間は1秒以下である。再生器においてLCNおよびメタノールのクラッキングで触媒に蓄積したコークスの燃焼により発生する熱もプロセスの熱の需要充足に貢献する。
【0078】
【表4】
【0079】
例2
この例では、同量の熱水失活させてZSM-5と超高安定Y-ゼオライトベースのFCC触媒からなる混合触媒によるLCNの吸熱分解熱と清澄スラリーオイル(CSO)などの重質供給物の分解を組み合わせた場合における収支のバランスについて説明する。CSOは真空精製軽油のクラッキングにおいてFCCユニットから由来する。この実験では、ZSM-5は表2に示すものが使用された。一方のFCC触媒の物理化学的性質を表5に示す。
【0080】
【表5】
LCNと清澄スラリーオイル(CSO)は別々に、同量のZSM-5とFCC触媒の存在下で固定床流通式リアクターで分解され、表6に示す生成物が得られた。
【0081】
【表6】
【0082】
LCNによるコークスの生成(概ね2.41wt%)は予熱、気化、分解の全熱量を賄うために必要な量である5.7 wt%(材料に対し)より少ない。表7に示すように、LCNが必要とする正味の熱量は242 kcal/kgである。熱収支のバランスをとるためのコークスは重質サイクルオイルのクラッキングにより、10.72 wt% が得られる。重質供給物から得られたコークスの燃焼によって発生する熱は、重質供給物の予熱と気化に十分である。正味の熱の余剰は、重質供給物1 kgにつき490 kcalである。重質供給物0.495 kgの分解で余剰となる熱はLCN 1kgを予熱し、気化し、分解するのに十分である。このようにして、LCNの分解を重質供給物の分解と組み合わせることにより、外部の熱を得るために再生器で別の燃料の燃焼を行うことを必要としない、熱収支のとれたプロセスとすることができる。
【0083】
【表7】
【0084】
例3
この例では、材料の分解性に応じた段階的クラッキングの原理を説明する。LCNとn-ヘキサン供給物を別々に、違った温度で、例1に示したZSM-5ゼオライトベースの触媒の存在下で固定床流通式マイクロリアクターで分解した。この時の生成物のパターンを表8に示す。表8によれば、LCNおよびn-ヘキサンが同じ620℃の条件で分解された時は、LCNは多くのプロピレン、エチレンを産出し、コークスや乾性ガスが少ないのに対し、n-ヘキサンはプロピレンおよびエチレンの産出は少ない。反応の過酷度を高める(反応温度を675℃にする)と、分解困難であるn-ヘキサンからのプロピレンおよびエチレン産出が改善するが、分解容易なLCN由来の乾性ガスやコークスなどの好まざる産出物の量が、軽質オレフィンの増加に比べて有意に増えてしまう。このように、軽質オレフィンの生産量を最大にし、コークスや乾性ガスなど好ましくないものの産出を最小にするには、分解特性が違う原材料は、各々に最も適した過酷度をもつ別々の場所に投じるべきである。このようなことは、単一ライザーでは、n-ヘキサンに続いてLCNをライザーの別々の部位で分解する段階的クラッキングにより可能である。プロセスの詳細説明の項に示した通り、ライザー底部の温度は650 - 750℃の範囲にあり、触媒は最も高い活性を持っている。これにより、ライザー底部はC4ストリーム、C4-C6飽和炭化水素など、分解困難とされる材料を投入するのに適した場所である。概していえば、ライザー底部の触媒の高活性および高過酷度ゾーンは、単一ライザーのシンプルなシステムに分解困難な炭化水素材料をクラッキングするための柔軟性を与えているといえる。
【0085】
【表8】
【0086】
例4
この例では、原料の注入を同時にするのではなく、段階的注入が大切であることについて説明する。軽質な材料のクラッキングでは少量のコークスしか生成しないため、軽質な材料のクラッキングを行い、熱収支のバランスをとるためには、大量のコークスを産出する(重質な)供給物が必要である。単一ライザーでは、重質な材料を軽質なものより先に注入した場合と、同一の場所に同時に注入した場合では、重質な材料のクラッキングによるコークスにより触媒は失活し、軽質材料のクラッキングの効率を低下させ、最終的には全体の産出量に影響する。例1に示した実験装置と同様のものを使用し、LCNおよびCSOのクラッキングのデーターを600℃の反応温度で、大気圧で、触媒対オイル比を13.33、TOSを30秒で取得した。結果を表9にまとめた。さらに、LCNとCSOを同じ比率で混合し、上記の反応条件をそのままにして、同時に反応器に投入した。この場合の結果は、列3に示すような、LCNとCSOを個別に処理した場合の平均値となることが期待されるが、しかし表9が示す通り、同時投入ではプロピレンの産出量は段階的投入より少ない。加えて、全体の転化も同時投入では下がっている。断っておくべきこととして、段階的投入であっても順序が逆の場合、すなわちCSOクラッキングを先に、LCNを後にした場合は、同時投入よりさらに悪い産出パターンとなることである。これらのことにより、コークス生成が多い(重質)材料はライザーの最後の部分に投じなければならないことがわかる。
【0087】
【表9】
【0088】
例5
この例では、単一ライザーで様々な分解特性を持つ材料を扱い、しかも軽質オレフィンの生産を最大のものにするには触媒の最適な配合が必要であることを説明する。
先行技術によれば、LCNやn-ヘキサンなどの軽質材料の転化ではZSM-5ゼオライトベースの触媒はプロピレンの最も高い生産量を提供する一方、清澄スラリーオイル(CSO)などの重質材料ではY-ゼオライトベースの触媒がより多い量の転化を可能とする。ZSM-5とY-ゼオライトの最適な配合を見つけるため、LCN、n-ヘキサン、CSOの三つの供給物の分解を行った。それぞれで、ZSM-5 50 wt% Y-ゼオライト 45 wt% およびZSM-5 25 wt% とY-ゼオライト22.5 wt% の混合ベースの触媒を使用した。ZSM-5とUSYベースの触媒の標準的な性質は、ここまでの例に示されている。例1と同様の実験装置を用いて、他の実験を行った。表10に示すように、LCNやn-ヘキサンのような軽質材料では、軽質オレフィンの生産および転化は50 wt% ZSM-5と25 wt% ZSM-5+22.5 wt% Y-ゼオライト混合で同様の結果となったが、45 wt% Y-ゼオライトでは以上3種類の触媒配合のうち最低の結果となった。重質なCSOでは、45 wt% Y-ゼオライトで最大の転化結果が得られたが軽質オレフィン生産量では25 wt% ZSM-5+22.5 wt% Y-ゼオライト混合より低くなった。CSOを材料とした時では50 wt% ZSM-5が最低の転化と生産量となった。軽質材料の場合は、軽質オレフィン生産量では45 wt% Y-ゼオライトと25 wt% ZSM-5+22.5 wt% Y-ゼオライト混合でほぼ同様であり、後者が45 wt% Y-ゼオライトの場合より良い。CSOでも、25 wt% ZSM-5+22.5 wt% Y-ゼオライト混合が軽質オレフィン生産量で最も良い結果を出したが、転化レートでは45 wt% Y-ゼオライトを下回った。このように、触媒の配合はライザーに投じられる材料の構成に応じて選択されるべきである。
【0089】
【表10】
【0090】
例6
この例は、軽質オレフィン生産量増加のためのZSM-5ゼオライトベースの触媒の性能を説明する。3つの異なるZSM-5ベースの触媒、すなわち(i) 例1で示した市販のZSM-5触媒 (ii) PCT 特許出願PCT/IN2011/000599に開示されている、超高安定をもつZSM-5ゼオライトベースの触媒 (iii) インド特許出願1955/MUM/2011に開示されているアルカリ金属修飾ZSM-5が、例1に示した実験装置において評価された。LCNについてのそれぞれの触媒の性能を表11に示す。市販のZSM-5に比べ、超高安定性を持つZSM-5ベース触媒が軽質オレフィン生産量では最高の結果となった。アルカリ金属をドープした市販ZSM-5触媒は軽質オレフィン生産量では通常の市販ZSM-5と同等の結果だが、乾性ガスの発生が低減している。このように、高過酷度下で乾性ガスの産出を抑えてC3オレフィンの生産量を最大にするために、アルカリ金属修飾の市販ZSM-5を使用することができる。
【0091】
【表11】
【0092】
例7
この例では、これまでの例におけるCSOの代わりに、別の重質炭化水素供給物を使用する場合について説明する。金属の含有が多く、TAN値が高く、粘度が高くまたAPI値が低いことから処理が困難な原油は、「オポチュニティークルード」と呼ばれる。このような純度の低い原油は、他の原油にくらべ、低価格で流通している。国際的に知られているMangla、DOBA、DARなどの原料油を例1に示した実験装置でFCC平均触媒(Ecat)を使用し、600℃、大気圧、TOS30秒、触媒対オイル比13.33で分解した。Ecatの主な物理化学的性質および多様な材料のクラッキングデーターを表12、表12A にそれぞれ示す。
【0093】
【表12】
【0094】
表12A が示すように、本開示の方法によりCSOの代わりにこれらの原油を処理すると、熱収支のバランス上必要なコークスが得られるだけでなく、全体的な生成物のプロフィールが改善する。CSOに比べ、コークスの生成は概ね同等であるが、しかしLPG、プロピレン、ガソリンの産出はより大きい。このことにより、CSOの代わりとして不純物の多いオポチュニティークルードを処理することをより有益なものと見ることができる。
【0095】
【表13】
【産業上の利用可能性】
【0096】
技術的利点
本開示の技術的利点は、以下を含んだ、改善された生産量をもたらす炭化水素供給物の軽質オレフィンへの接触転化プロセスを提供する点にある:
1. 様々な分解特性をもつ炭化水素供給物、つまり、分解困難、通常の分解性、分解容易な炭化水素供給物を段階的に接触分解する;
2. 多様な炭化水素供給物を単一のライザーで段階的に接触分解する。単一のライザーは、複数のゾーンに分割されて段階的なクラッキングを行う;さらに
3. 接触分解プロセス全体において常時熱収支のとれた状態であること。熱収支のバランスは単一のライザーにおいて段階的に炭化水素供給物分解し、ないしは、段階的に複数ゾーンをもつライザーでの分解に続いて触媒表面に蓄積したコークスの燃焼を行って吸熱反応に必要な熱を取得する。
【0097】
本仕様書全体で使用されている"含む"("comprise"/"comprises"/"comprising")なる言葉もしくはその変形は、陳述された要素、整数またはステップの包含を暗示するが、その他の要素、整数またはステップの除外を暗示しないと理解される。
"少なくとも"/"少なくともひとつ"("at least"/"at least one")なる表現の使用は、使用を1つまたはそれ以上の望ましい目的または結果を得るか達成するため、公開特許の具体化中に入れてもよいので、1つまたはそれ以上の要素または成分あるいは数量の使用を示唆する。
【0098】
「数値が範囲によって表示されている場合すべてにおいて、表示された範囲の上限数値の上10%および加減数値の下10%までは本開示の範囲に含まれる」。
【0099】
ここで示されたさまざまな物理パラメータ、寸法、量の数値は近似値にすぎず、本発明とその請求項では、そこに示された物理パラメータ、容積、量の数値よりも高い値も、相反する記述がない限りは、許容されることが予想される。
【0100】
本明細書に含まれる文書、材料、デバイス、論文などに関するすべての考察は、本発明説明を整えるためのみの目的で行われている。これにより本発明の一部または全部が既存技術の一部を構成していることを認めている、ないしは本発明の日付以前から通常一般の知識として存在していたことを認めているとみなすべきものではない。
【0101】
特定の実施例は、現行の知識をもとに、簡単にその変更や適用を行い、基本的概念から出発することなく、即にその広い応用ができるよう、また、類推による理解を深めることのできるよう、発明の性質を全般的に示したものである。本文で使用した表現や用語は説明を目的とするもので、限定を目的としないことを理解すべきである。さらに、実施例は、好ましい物を取り上げてはいるが、技能ある者は、それら実施例に変更を加えて、実施例の意図と適用範囲を継承しつつその応用ができることを認識できるであろう。
図1