特許第6442017号(P6442017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6442017
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】使い捨て着用物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20181210BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   A61F13/49 319
   A61F13/49 410
   A61F13/51
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-187178(P2017-187178)
(22)【出願日】2017年9月27日
【審査請求日】2018年5月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦川 航
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−228177(JP,A)
【文献】 特表2004−532758(JP,A)
【文献】 特許第4934835(JP,B2)
【文献】 特表2014−520589(JP,A)
【文献】 特許第4508885(JP,B2)
【文献】 特開2017−064225(JP,A)
【文献】 特開平06−327713(JP,A)
【文献】 特開平06−327714(JP,A)
【文献】 特開2017−064222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布からなる第1シート層と、不織布からなる第2シート層との間に、熱可塑性樹脂の弾性シートが積層され、前記第1シート層及び第2シート層が、間隔を空けて配列された多数の接合部で前記弾性シートに形成された貫通孔を通じて接合された、積層伸縮構造を備えており、
前記接合部では、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか一方のシート層及び前記弾性シートは溶融固化し、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか他方のシート層における少なくとも前記弾性シート側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記接合部で、前記一方のシート層の溶融固化物及び前記弾性シートの溶融固化物を介して接合されており、
前記第1シート層及び第2シート層の繊維目付けは、10〜25g/m2であり、
前記第1シート層及び第2シート層の構成繊維の繊度は、1.〜2.5dtexであり、
前記一方のシート層の構成繊維の繊度は、前記他方のシート層の構成繊維の繊度の1/2.5〜1/1.7倍である、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
【請求項2】
不織布からなる第1シート層と、不織布からなる第2シート層との間に、熱可塑性樹脂の弾性シートが積層され、前記第1シート層及び第2シート層が、間隔を空けて配列された多数の接合部で前記弾性シートに形成された貫通孔を通じて接合された、積層伸縮構造を備えており、
前記接合部では、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか一方のシート層及び前記弾性シートは溶融固化し、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか他方のシート層における少なくとも前記弾性シート側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、
前記他方のシート層は、前記弾性シート側の面を形成する溶融層と、前記弾性シート側と反対側の面を形成する非溶融層とを有する積層不織布であり、
前記接合部では、前記他方のシート層における前記溶融層は溶融固化し、前記他方のシート層における前記非溶融層は溶融固化しておらず、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記接合部で、前記一方のシート層の溶融固化物、前記弾性シートの溶融固化物、及び前記他方のシート層における前記溶融層の溶融固化物を介して接合されている、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
【請求項3】
前記溶融層の構成繊維の繊度は、前記非溶融層の構成繊維の繊度の1/2.5〜1/1.7倍である、
請求項2記載の使い捨て着用物品。
【請求項4】
前記他方のシート層は、製品における外部に露出する面を形成している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
【請求項5】
前記他方のシート層は、製品における肌側に露出する面を形成している、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
【請求項6】
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備えた、パンツタイプ使い捨て着用物品であって、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、前記積層伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の使い捨て着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性シートの表裏を不織布でカバーした積層伸縮構造を備えた使い捨て着用物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品においては、身体表面へのフィット性を向上するために、脚周りや胴周り等の適所に伸縮性を付与することが一般的である。伸縮性を付与するための手法としては、従来、糸ゴム等の細長状の弾性部材を長手方向に伸長した状態で多数並べて固定する手法が広く採用されているが、面的なフィット性に優れるものとして、弾性シートを伸縮性の付与方向に伸長した状態で取り付ける手法も提案されている。(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この弾性シートをシート層で挟んだ積層伸縮構造は、伸縮領域が不織布からなる第1シート層と、不織布からなる第2シート層との間に弾性シートが積層されてなるとともに、弾性シートがそれらの表面に沿う伸縮方向に伸長された状態で、第1シート層及び第2シート層が、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の接合部で、弾性シートに形成された貫通孔を通じて接合されてなるものである。この積層伸縮構造は、面的なフィット性に優れるのはもちろん、第1シート層及び第2シート層と弾性シートとの接合が無く、かつ第1シート層及び第2シート層の接合も極めて少ないため非常に柔軟であり、また、弾性シートの貫通孔が通気性向上にも寄与するという利点がある。
【0004】
特に、特許文献1記載のもののように、第1シート層及び第2シート層が、弾性シートの溶融固化物を介して接合されていると、高い通気性と高い剥離強度とを両立できるため好ましい。特に、第1シート層及び第2シート層が溶融する構造は、剥離強度を高いものとするには好ましい。
【0005】
しかしながら、接合部で第1シート層及び第2シート層が溶融すると、積層伸縮構造全体としての硬質化を避けることができず、剥離強度と柔軟性との両立が困難であった。また、接合部で第1シート層及び第2シート層が溶融すると、積層伸縮構造の表裏どちらの面にも溶融固化した部分が露出し、見栄えだけでなく、肌触りも悪化するという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−189826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、剥離強度及び柔軟性に優れる積層伸縮構造を備えた使い捨て着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明の代表的態様は次のとおりである。
<第1の態様>
不織布からなる第1シート層と、不織布からなる第2シート層との間に、弾性シートが積層され、前記第1シート層及び第2シート層が、間隔を空けて配列された多数の接合部で前記弾性シートに形成された貫通孔を通じて接合された、積層伸縮構造を備えており、
前記接合部では、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか一方のシート層及び前記弾性シートは溶融固化し、前記第1シート層及び第2シート層のいずれか他方のシート層における少なくとも前記弾性シート側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記接合部で、前記一方のシート層の溶融固化物及び前記弾性シートの溶融固化物を介して接合されている、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
【0009】
(作用効果)
本態様では、接合部では、第1シート層及び第2シート層のいずれか一方のシート層及び弾性シートは溶融固化し、その溶融固化物を介して第1シート層及び第2シート層が接合されるため、弾性シートの溶融固化物のみで第1シート層及び第2シート層を接合するものと比べて剥離強度が高いものとなる。また、接合部では、他方のシート層における少なくとも弾性シート側と反対側の面を形成する層は溶融固化していないため、両方のシート層の全体が溶融固化するものと比較して、積層伸縮構造全体としての柔軟性に優れるとともに、他方のシート層における少なくとも弾性シート側と反対側の面を形成する層が溶融固化せず、溶融固化物が溶融固化しない繊維層により被覆されるため、他方のシート層側における見栄えや肌触りの悪化を防止できる。
なお、「他方のシート層における少なくとも前記弾性シート側と反対側の面を形成する層」とは、他方のシート層における厚み方向の一部を意味する場合と、他方のシート層における厚み方向の全体を意味する場合の両者を含む。また、用語「溶融」には、繊維全体が溶融することはもちろん、繊維の芯(複合繊維における芯だけでなく単成分繊維の中心部分を含む)は残るがその周囲部分(複合繊維における鞘だけでなく単成分繊維の表層側の部分を含む)は溶融することも含む。
【0010】
<第2の態様>
前記他方のシートは、前記弾性シート側の面を形成する溶融層と、前記弾性シート側と反対側の面を形成する非溶融層とを有する積層不織布であり、
前記接合部では、前記他方のシート層における前記溶融層は溶融固化し、前記他方のシート層における前記非溶融層は溶融固化しておらず、
前記第1シート層及び第2シート層は、前記接合部で、前記一方のシート層の溶融固化物、前記弾性シートの溶融固化物、及び前記他方のシート層における前記溶融層の溶融固化物を介して接合されている、
第1の態様の使い捨て着用物品。
【0011】
(作用効果)
他方のシート層の全体が溶融固化しない態様は、柔軟性及び見栄えの点で優れるものであるが、第2の態様のように、第1シート層及び第2シート層の両方が溶融固化すると、接合部の接合がより強固となる。しかも、第2シート層の全体が溶融固化するのではなく、弾性シート側と反対側の面を含む層が非溶融層となるため、両方のシート層の全体が溶融固化するものと比較して、柔軟性、見栄え、肌触りに優れるものとなる。
なお、積層不織布とは、公知の方法(化学的接着、物理的交絡、又は物理的接着)により層間の繊維同士の結合が図られているものである。
【0012】
<第3の態様>
前記溶融層の構成繊維の繊度は、前記非溶融層の構成繊維の繊度の1/2.5〜1/1.7倍である、
第2の態様の使い捨て着用物品。
【0013】
(作用効果)
このように、溶融層及び非溶融層において構成繊維の繊度に十分な差を持たせることにより、溶融層の構成繊維の比表面積が相対的に高く、溶融しやすくなるとともに、非溶融層の構成繊維が相対的に嵩高く、潰れにくくなる。よって、製造容易性に優れるものとなる。
【0014】
<第4の態様>
前記他方のシート層は、製品における外部に露出する面を形成している、
第1〜3のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
【0015】
(作用効果)
他方のシート層における少なくとも弾性シート側と反対側の面を形成する層が溶融固化しないため、他方のシート層が製品における外部に露出する面を形成していると、製品外面の見栄えや肌触りの悪化を防止できる。
【0016】
<第5の態様>
前記他方のシートは、製品における肌側に露出する面を形成している、
第1〜3のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
【0017】
(作用効果)
他方のシート層における少なくとも弾性シート側と反対側の面を形成する層が溶融固化しないため、他方のシート層が製品における肌側に露出する面を形成していると、製品内面の肌触りの悪化を防止できる。
【0018】
<第6の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備えた、パンツタイプ使い捨て着用物品であって、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、少なくとも前後方向の一部の範囲における前記サイドシール部間に対応する幅方向範囲にわたり、前記積層伸縮構造を、その伸縮方向が幅方向となるように備えている、
第1〜5のいずれか1つの態様の使い捨て着用物品。
【0019】
(作用効果)
パンツタイプ使い捨て着用物品は、使い捨て着用物品の中でも、より下着に近いものとされている反面、フィット性を確保するために広範囲に伸縮領域を設けることが一般的となっており、剥離強度及び柔軟性の両立が特に重要なものである。よって、上述の積層伸縮構造はこのようなパンツタイプ使い捨て着用物品に適している。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、剥離強度及び柔軟性に優れる積層伸縮構造を備えた使い捨て着用物品となる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
図2】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
図3】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部のみ示す平面図である。
図4】(a)は図1のC−C断面図、(b)は図1のE−E断面図である。
図5図1のA−A断面図である。
図6図1のB−B断面図である。
図7】(a)は伸縮領域の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
図8】サンプルの伸縮領域の(a)平面方向からの顕微鏡写真のトレース図、(b)平面方向からの高倍率顕微鏡写真のトレース図、(c)斜視方向からの高倍率顕微鏡写真のトレース図である。
図9】(a)は伸縮領域の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
図10】サンプルの伸縮領域の(a)平面方向からの顕微鏡写真のトレース図、(b)平面方向からの高倍率顕微鏡写真のトレース図、(c)斜視方向からの高倍率顕微鏡写真のトレース図である。
図11】(a)は非伸縮領域の要部平面図、(b)は(a)のD−D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。
図12】サンプルの非伸縮領域の写真のトレース図である。
図13】非伸縮領域の要部拡大平面図である。
図14】接合部の各種配列例を示す平面図である。
図15】展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
図16】(a)は図15のC−C断面図、(b)は図15のE−E断面図である。
図17】ある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。
図18】ある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。
図19】超音波シール装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、パンツタイプ使い捨ておむつの例を引いて、積層伸縮構造を備えた使い捨て着用物品について詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
図1図6はパンツタイプ使い捨ておむつを示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性のトップシート11と液不透過性シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向LD(縦方向)の中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0023】
(内装体の構造例)
内装体10は、図4図6に示すように、トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図1に示されるようにほぼ長方形とすることが一般的である。
【0024】
吸収体13の表側(肌側)を覆う液透過性のトップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏側まで延在している。
【0025】
吸収体13の裏側(非肌当接側)を覆う液不透過性シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0026】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
【0027】
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されている。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない無吸収体側部17が形成される。
【0028】
液不透過性シート12は、トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0029】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザー90が形成されている。この立体ギャザー90は、図5及び図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部91と、この固定部91から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部上まで延在する本体部92と、本体部92の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面(図示例ではトップシート11)の側部にホットメルト接着剤95b等により固定されて形成された倒伏部分93と、この倒伏部分93間が非固定とされて形成された自由部分94とを有している。これらの各部は、不織布などのシートを折り返して二重シートとしたギャザーシート95により形成されている。ギャザーシート95は、内装体10の前後方向全体にわたり取り付けられており、倒伏部分93は無吸収体側部17よりも前側及び後側に設けられ、自由部分94は無吸収体側部17の前後両側に延在されている。また、二重のギャザーシート95間には、自由部分の先端部等に細長状のギャザー弾性部材96が配設されている。ギャザー弾性部材96は、製品状態において図5に示すように、弾性収縮力により自由部分94を立ち上げるためのものである。
【0030】
図5及び図6に示される立体ギャザー90は、本体部92が折り返されていない例であるが、本体部における付け根側の部分が幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分が幅方向外側に向かって斜めに起立する(図示略)とするなど、公知のあらゆる構造を採用することができる。
【0031】
ギャザー弾性部材96としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材96としては、図示例のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0032】
前述のギャザーシート95を構成する素材繊維もトップシート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート95については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロライド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0033】
図3図6に示すように、内装体10はその裏面が、内外固定領域10B(斜線領域)において、外装体20の内面に対してホットメルト接着剤等により接合される。この内外固定領域10Bは、適宜定めることができ、内装体10の幅方向WDのほぼ全体とすることもできるが、幅方向両端部は外装体20に固定しないことが好ましい。
【0034】
(外装体の構造例)
外装体20は吸収体13の側縁より側方まで延在されている。外装体20は図示例のように股間部において外装体20の側縁が内装体10の側縁より幅方向中央側に位置していても、また幅方向外側に位置していても良い。また、外装体20は、サイドシール部21と対応する前後方向範囲である胴周り部Tと、前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tの間の前後方向範囲である中間部Lとを有する。そして、図示例の外装体20では、その中間部Lの前後方向中間を除いて、図2及び図4図6に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に弾性シート30が積層されるとともに、図7に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、間隔を空けて配列された多数の接合部40で弾性シート30を貫通する貫通孔31を通じて接合された、伸縮方向EDが幅方向WDとされた積層伸縮構造20Xを有している。第1シート層20A及び第2シート層20Bは、弾性シート30の貫通孔31を通じてではなく、弾性シート30を介して間接的に接合されていても良い。外装体20の平面形状は、中間部Lの幅方向両側縁がそれぞれ脚開口を形成するように凹状の脚周りライン29により形成されており、全体として砂時計に似た形状をなしている。外装体20は、前身頃F及び後身頃Bで個別に形成し、両者が股間部で前後方向LDに離間するように配置しても良い。
【0035】
図1及び図2に示す例は、積層伸縮構造20Xがウエスト端部領域23まで延在されている例であるが、ウエスト端部領域23に積層伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部領域23の締め付けが不十分になる等、必要に応じて、図15及び図16に示すようにウエスト端部領域23には積層伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造を設けることもできる。ウエスト部弾性部材24は、前後方向LDに間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状の弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。図示しないが、ウエスト端部領域23に弾性シート30を設けるとともに、弾性シート30と重なる位置に細長状のウエスト部弾性部材24を設け、両方の弾性部材による伸縮構造とすることもできる。また、図示例では、外装体20における脚開口の縁部分には、脚開口に沿って延びる細長状の弾性部材は設けられていないが、当該縁部分における弾性シート30と重なる位置に、又は当該縁部分の弾性シート30に代えて、細長状の弾性部材を設けることもできる。
【0036】
他の例としては、図示しないが、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには積層伸縮構造20Xを設けないものとしたり、前身頃Fの胴周り部T内から中間部Lを経て後身頃Bの胴周り部T内まで前後方向LDに連続的に伸縮構造20Xを設けたり、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ積層伸縮構造20Xを設けたりすること等、適宜の変形も可能である。
【0037】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、シート状のものであれば特に限定無く使用できるが、通気性及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示例のように、ウエスト端部領域23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性シート30を介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する構成材を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性シート30を介在させることができる。もちろん、前後方向LDの全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性シート30を介在させることもできる。
【0038】
弾性シート30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する熱可塑性樹脂製のシートであれば、弾性(エラスティック)フィルムの他、伸縮不織布であってもよい。また、弾性シート30としては、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、幅方向WD(伸縮方向ED、MD方向)における引張強度が8〜25N/35mm、前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD、CD方向)における引張強度が5〜20N/35mm、幅方向WDにおける引張伸度が450〜1050%、及び前後方向LDにおける引張伸度が450〜1400%の弾性シート30であると好ましい。弾性シート30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
【0039】
個々の接合部40及び貫通孔31の自然長状態での形状は、適宜定めることができるが、真円形(図7図8参照)、楕円形、三角形、長方形(図9図12参照)、ひし形(図13(b)参照)等の多角形、あるいは凸レンズ形(図13(a)参照)、凹レンズ形(図13(c)参照)、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々の接合部の寸法は特に限定されないが、最大長さは0.5〜3.0mm、特に0.7〜1.1mmとするのが好ましく、最大幅40xは0.1〜3.0mm、特に伸縮方向と直交する方向XDに長い形状の場合には0.1〜1.1mmとするのが好ましい。
【0040】
個々の接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎると接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々の接合部40の面積は0.14〜3.5mm2程度とすることが好ましい。個々の貫通孔31の開口の面積は、貫通孔31を介して接合部40が形成されるため接合部40以上であれば良いが、接合部40の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、貫通孔31の開口の面積は、弾性シート30単独の状態ではなく第1シート層20A及び第2シート層20Bと一体化した状態で、かつ自然長の状態における値を意味し、貫通孔31の開口の面積が、弾性シート30の表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
【0041】
接合部40及び貫通孔31の平面配列は適宜定めることができるが、規則的に繰り返される平面配列が好ましく、図14(a)に示すような斜方格子状や、図14(b)に示すような六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、図14(c)に示すような正方格子状、図14(d)に示すような矩形格子状、図14(e)に示すような平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる配列)状等(これらが伸縮方向EDに対して90度未満の角度で傾斜したものを含む)のように規則的に繰り返されるものの他、接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。
【0042】
接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は、弾性シート30に形成された貫通孔31を通じて接合される場合、少なくとも接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bは弾性シート30と接合されていないことが望ましい。
【0043】
図17及び図18に示すように、接合部40では、第1シート層20A及び弾性シート30は溶融固化し、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、接合部40で、第1シート層20Aの溶融固化物m1及び弾性シート30の溶融固化物m2を介して接合される。
【0044】
つまり、接合部40では、第1シート層20A及び弾性シート30は溶融固化し、その溶融固化物m1,m2を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合されるため、弾性シート30の溶融固化物m2のみで第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合するものと比べて剥離強度が高いものとなる。この場合、弾性シート30の溶融固化物m2は、図17に示すように接合部40における第2シート層20Bの繊維間に完全に浸透(同図(a)(b))していても、一部のみ浸透(同図(c))していてもよい。また、第1シート層20Aの溶融固化物m1は、第2シート層20Bの繊維間に浸透していなくても(同図(a)(c))、一部浸透(同図(b))していてもよい。
【0045】
また、接合部40では、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層は溶融固化していないため、両方のシート層20A,20Bの全体が溶融固化するものと比較して、積層伸縮構造20X全体としての柔軟性に優れるとともに、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層が溶融固化しないため、第2シート層20B側における見栄え(溶融固化物が溶融固化しない繊維層により被覆される)や肌触りの悪化を防止できる。特に図示例では、第2シート層20Bは製品における外部に露出する面を形成するため、製品外面の見栄えや肌触りの悪化を防止できる。
【0046】
接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に弾性シート30を介在させた状態で、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による接合手段により接合位置を加圧及び加熱することにより行うことができる。図19に示す積層伸縮構造の製造装置は、その一例である。すなわち、この積層伸縮構造の製造装置では、接合部40の形成に際して、外面に接合部40のパターンで形成した突起部60aを有するアンビルロール60と超音波ホーン61との間に、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bを送り込む。この際、例えば上流側の弾性シート30の送り込み駆動ロール63及びニップロール62による送り込み移送速度を、アンビルロール60及び超音波ホーン61以降の移送速度よりも遅くすることにより、送り込み駆動ロール63及びニップロール62によるニップ位置からアンビルロール60及び超音波ホーン61によるシール位置までの経路で、弾性シート30をMD方向(マシン方向、流れ方向)に所定の伸長率まで伸長する。この弾性シート30の伸長率は、アンビルロール60及び送り込み駆動ロール63の速度差を選択することにより設定することができ、例えば300%〜500%程度とすることができる。62はニップロールである。アンビルロール60と超音波ホーン61との間に送り込まれた、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bは、この順に積層した状態で、突起部60aと超音波ホーン61との間で加圧しつつ、超音波ホーン61の超音波振動エネルギーにより加熱し、第1シート層20A及び弾性シート30は溶融し、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層は溶融しないことによって、弾性シート30に貫通孔31を形成するのと同時に、その貫通孔31を通じて第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する。したがって、この場合にはアンビルロール60の突起部60aの大きさ、形状、離間間隔、ロール長方向及びロール周方向の配置パターンなどを選定することにより、接合部40の面積率を選択することができる。
【0047】
貫通孔31が形成される理由は必ずしも明確ではないが、弾性シート30におけるアンビルロール60の突起部60aと対応する部分が溶融して周囲から離脱することにより開孔するものと考えられる。この際、弾性シート30における、伸縮方向EDに並ぶ隣接貫通孔31の間の部分は、図7(a)、図9(a)及び図11(a)に示すように、貫通孔31により伸縮方向両側の部分から切断され、収縮方向両側の支えを失うことになるため、収縮方向と直交する方向の連続性を保ちうる範囲で、伸縮方向EDと直交する方向XDの中央側ほど伸縮方向中央側に釣り合うまで収縮し、貫通孔31が伸縮方向EDに拡大する。そして、後述する伸縮領域80のように弾性シート30が伸縮方向EDに沿って直線的に連続する部分が残るパターンで接合部40を形成すると、図7(a)及び図9(a)に示すように、個別の製品に切断すること等により自然長状態まで収縮するときに、貫通孔31の拡大部分の伸縮方向EDの長さは、貫通孔31と接合部40との間に隙間ができなくなるまで収縮することとなる。一方、後述する非伸縮領域70のように弾性シート30が伸縮方向EDに沿って直線的に連続する部分がないパターンで接合部40を形成すると、図11(a)に示すように、個別の製品に切断すること等により自然長状態まで収縮するときにほとんど収縮しないため、貫通孔31と接合部40との間に隙間が大きく残されることとなる。
【0048】
第1シート層20A及び弾性シート30を溶融固化させ、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層を溶融固化させないために、
(a)第1シート層20Aの構成繊維の融点を第2シート層20Bの構成繊維の融点よりも低くすること、
(b)第1シート層20Aの繊維目付けを第2シート層20Bの繊維目付けよりも低くすること、及び
(c)第1シート層20Aの構成繊維の繊度を第2シート層20Bの構成繊維の繊度よりも低くすること、
の少なくとも一つを採用することができる。
繊維目付けや繊度に十分な差がある場合、加熱温度、加熱時間によって、第1シート層20Aは溶融に十分なエネルギーを受けさせ、第2シート層20Bには溶融に不十分なエネルギーしか受けさせないことができ、それによって、第1シート層20A及び弾性シート30を溶融固化させ、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層を溶融固化させないことが可能となる。特に上記(a)と上記(b)及び(c)の少なくとも一方とを組み合わせると好ましい。
【0049】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成繊維の融点(複合繊維の場合には融点が低い方の成分の融点)は85〜190℃程度、特に150〜190℃程度のものが好ましく、弾性シート30の融点は80〜180℃程度、特に85〜145℃程度のものが好ましい。そして、第1シート層20Aの構成繊維の融点を第2シート層20Bの構成繊維の融点よりも低くする場合、第1シート層20Aの構成繊維融点と第2シート層20Bの構成繊維融点との差は60〜90℃程度であるのが好ましい。
【0050】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維目付けは、10〜25g/m2程度とするのが好ましい。そして、第1シート層20Aの繊維目付けを第2シート層20Bの繊維目付けよりも低くする場合、第1シート層20Aの繊維目付けは第2シート層20Bの繊維目付けの1/5〜1/1.7倍程度であるのが好ましい。
【0051】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成繊維の繊度は、1.5〜2.5dtex程度とするのが好ましい。そして、第1シート層20Aの構成繊維の繊度を第2シート層20Bの構成繊維の繊度よりも低くする場合、第1シート層20Aの構成繊維の繊度は第2シート層20Bの構成繊維の繊度の1/2.5〜1/1.7倍程度であるのが好ましい。このように、第1シート層20A及び第2シート層20Bにおいて構成繊維の繊度に十分な差を持たせることにより、第1シート層20Aの構成繊維の比表面積が相対的に高く、溶融しやすくなるとともに、第2シート層20Bの構成繊維が相対的に嵩高く、潰れにくくなる。よって、製造容易性に優れるものとなる。
【0052】
一例としては、第1シート層20Aとして、繊度1.0dtex、目付け13g/m2のスパンボンド不織布を用い、第2シート層20Bとして、繊度2.0dtex、目付け17g/m2のスパンボンド不織布を用いる組み合わせを例示できる。他の例としては、第1シート層20Aとして、繊度2.0dtex、目付け13g/m2のスパンボンド不織布を用い、第2シート層20Bとして、繊度2.0dtex、目付け17g/m2のエアスルー不織布を用いる組み合わせを例示できる。
【0053】
第1シート層20A及び第2シート層20Bは、それぞれ単層の不織布(厚み方向に繊維の材質、目付け、繊度等がほとんど変化しない不織布)でも、複数の不織布層を有する積層不織布でもよい。積層不織布は、公知の方法(化学的接着、物理的交絡、又は物理的接着)により層間の繊維同士の結合が図られているものである。
【0054】
第2シート層20Bの全体が溶融固化しない態様は、柔軟性及び見栄えの点で優れるものであるが、第2シート層20Bを、弾性シート30側の面を形成する溶融層MLと、弾性シート30側と反対側の面を形成する非溶融層ULとを有する積層不織布とするのも好ましい。つまり、接合部40では、第2シート層20Bにおける溶融層MLは溶融固化させ、第2シート層20Bにおける非溶融層ULは溶融固化させず、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、接合部40で、第1シート層20Aの溶融固化物m1、弾性シート30の溶融固化物m2、及び第2シート層20Bにおける溶融層MLの溶融固化物m3を介して接合されていると、接合部40の接合がより強固となる。しかも、第2シート層20Bの全体が溶融固化するのではなく、弾性シート30側と反対側の面を含む層が非溶融層ULとなるため、両方のシート層20A,20Bの全体が溶融固化するものと比較して、柔軟性、見栄え、肌触りに優れるものとなる。
【0055】
この場合、図18(a)に示すように、第2シート層20Bにおける溶融層MLの溶融固化物m3は非溶融層ULに浸透していなくても、また図18(b)に示すように浸透していてもよい。
【0056】
溶融層MLを溶融固化させ、非溶融層UL溶融固化させないために、
(a)溶融層MLの構成繊維の融点を非溶融層ULの構成繊維の融点よりも低くすること、
(b)溶融層MLの繊維目付けを非溶融層ULの繊維目付けよりも低くすること、及び
(c)溶融層MLの構成繊維の繊度を非溶融層ULの構成繊維の繊度よりも低くすること、
の少なくとも一つを採用することができる。
繊維目付けや繊度に十分な差がある場合、加熱温度、加熱時間によって、溶融層MLは溶融に十分なエネルギーを受けさせ、非溶融層ULには溶融に不十分なエネルギーしか受けさせないことができ、それによって上述の溶融固化が可能となる。特に上記(a)と上記(b)及び(c)の少なくとも一方とを組み合わせると好ましい。
【0057】
溶融層ML及び非溶融層ULの構成繊維の融点(複合繊維の場合には融点が低い方の成分の融点)は85〜190℃程度、特に150〜190℃程度のものが好ましい。そして、溶融層MLの構成繊維の融点を非溶融層ULの構成繊維の融点よりも低くする場合、溶融層MLの構成繊維融点と非溶融層ULの構成繊維融点との差は60〜90℃程度であるのが好ましい。
【0058】
溶融層ML及び非溶融層ULの繊維目付けは、それぞれ7〜20g/m2程度とするのが好ましい。そして、溶融層MLの繊維目付けを非溶融層ULの繊維目付けよりも低くする場合、溶融層MLの繊維目付けは非溶融層ULの繊維目付けの1/2.5〜1/1.7倍程度であるのが好ましい。
【0059】
溶融層ML及び非溶融層ULの構成繊維の繊度は、1.0〜2.5dtex程度とするのが好ましい。そして、溶融層MLの構成繊維の繊度を非溶融層ULの構成繊維の繊度よりも低くする場合、溶融層MLの構成繊維の繊度は非溶融層ULの構成繊維の繊度の1/2.5〜1/1.2倍程度であるのが好ましい。このように、溶融層ML及び非溶融層ULにおいて構成繊維の繊度に十分な差を持たせることにより、溶融層MLの構成繊維の比表面積が相対的に高く、溶融しやすくなるとともに、非溶融層ULの構成繊維が相対的に嵩高く、潰れにくくなる。よって、製造容易性に優れるものとなる。
【0060】
第2シート層20Bにおける溶融層ML及び非溶融層ULの厚みはそれぞれ適宜定めることができるが、通常の場合、第2シート層20Bにおける溶融層MLの厚みは0.3〜1.0mm程度とすることが好ましい。また、第2シート層20Bにおける非溶融層ULの厚みは0.7〜2.0mm程度とすることが好ましい。また、溶融層MLの厚みは非溶融層ULの厚みの1/3〜1/1.5倍であることが好ましい。
【0061】
一例としては、溶融層が、繊度1.0dtex、目付け7g/m2のスパンボンド層であり、非溶融層が、繊度1.8dtex、目付け13g/m2のスパンボンド層である積層不織布を第2シート層に用いることができる。他の例としては、溶融層が、繊度1.5dtex、目付け10g/m2のスパンボンド層であり、非溶融層が、繊度1.5dtex、目付け20g/m2のスパンボンド層である積層不織布を第2シート層に用いることができる。
【0062】
なお、図17及び図18では、第1シート層20Aの溶融固化物m1、弾性シート30の溶融固化物m2、及び第2シート層20Bにおける溶融層MLの溶融固化物m3が混じり合っていない(又は食い込んでいない)が、部分的又は全体的に、ある程度まで混じり合って(食い込んで)いてもよい。
【0063】
図17及び図18に示す例とは反対に、接合部40では、第2シート層20B及び弾性シート30は溶融固化し、第1シート層20Aにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、接合部40で、第2シート層20Bの溶融固化物及び弾性シート30の溶融固化物を介して接合されているのも好ましい(図示略)。この場合、製品における肌側に露出する面を形成する第1シート層20Aは、少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層が溶融固化しないため、製品内面の肌触りの悪化を防止できる。
【0064】
(伸縮領域)
外装体20における積層伸縮構造20Xを有する領域は、幅方向WDに伸縮可能な伸縮領域を有している。伸縮領域80では、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有しており、かつ弾性シート30の収縮力により幅方向WDに収縮しているとともに、幅方向WDに伸長可能となっている。より具体的には、弾性シート30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD)にそれぞれ間隔を空けて、弾性シート30の貫通孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数の接合部40を形成することにより、積層伸縮構造20Xを形成するとともに、伸縮領域80では弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有するように貫通孔31を配置することによって、このような伸縮性を付与することができる。
【0065】
伸縮領域80は、自然長状態では、図7(d)及び図9(d)に示すように、接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、前後方向LDに延びる収縮皺25が形成され、図7(c)及び図9(c)に示すように、幅方向WDにある程度伸長した装着状態でも、収縮皺25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示例のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくとも接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性シート30と接合されていないと、装着状態を想定した図7(c)及び図9(d)及び第1シート層20A及び第2シート層20Bの展開状態を想定した図7(a)(b)及び図9(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性シート30における貫通孔31と、接合部40との間に隙間が形成され、弾性シート30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。また、図7(d)及び図9(d)に示す自然長状態では、弾性シート30の収縮により貫通孔31がすぼまり、貫通孔31と接合部40との間に隙間がほとんど形成されない。なお、装着状態及び自然長状態の収縮皺25の状態は、図8及び図10にも現れている。
【0066】
伸縮領域80の幅方向WDの弾性限界伸びは200%以上(好ましくは265〜295%)とすることが望ましい。伸縮領域80の弾性限界伸びは、製造時の弾性シート30の伸長率によってほぼ決まるがこれを基本として、幅方向WDの収縮を阻害する要因により低下する。このような阻害要因の主なものは、幅方向WDにおいて単位長さ当たりに占める接合部40の長さ40xの割合であり、この割合が大きくなるほど弾性限界伸びが低下する。通常の場合、接合部40の長さ40xは接合部40の面積率と相関があるため、伸縮領域80の弾性限界伸びは接合部40の面積率により調整できる。
【0067】
伸縮領域80の伸長応力は、主に弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32の幅32wの総和により調整することができる。弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32の幅32wは、当該連続する部分32の両側縁に接する貫通孔31の、前後方向LDの間隔31dに等しく、当該貫通孔31の間隔31dは、前後方向LDにおける貫通孔31の長さ31yと、前後方向LDにおける接合部40の長さ40yとが等しいとき(前述の貫通孔31及び接合部40の同時形成手法を採用する場合等)には、当該連続する部分の両側縁に接する接合部40の、前後方向LDの間隔40dに等しい。よって、この場合には、前後方向LDにおいて単位長さ当たりに占める接合部40の長さ40yの割合により、伸縮領域80の伸長応力を調整することができ、通常の場合、接合部40の長さ40yは接合部40の面積率と相関があるため、伸縮領域80の伸長応力は接合部40の長さは接合部40の面積率により調整できる。伸縮領域80の伸長応力は、弾性限界の50%まで伸長したときの伸長応力を目安とすることができる。
【0068】
伸縮領域80における接合部40の面積率及び個々の接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
接合部40の面積:0.14〜3.5mm2(特に0.14〜1.0mm2
接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
【0069】
このように、伸縮領域80の弾性限界伸び及び伸長応力は接合部40の面積により調整できるため、図15に示すように、伸縮領域80内に接合部40の面積率が異なる複数の領域を設け、部位に応じてフィット性を変化させることができる。図15に示す例では、前身頃Fにおける脚の付け根に沿って斜め方向に延びる領域81、及び脚開口の縁部領域82は、それ以外の領域と比べて接合部40の面積率が高く、従って伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。また、後身頃Bにおける腸骨対向領域83、及び脚開口の縁部領域82も、それ以外の領域と比べて接合部40の面積率が高く、したがって伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。
【0070】
(非伸縮領域)
外装体20における積層伸縮構造20Xを有する領域には、図15に示すように、伸縮領域80の少なくとも幅方向一方側に非伸縮領域70を設けることができる。伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示例のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内外固定領域10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を非伸縮領域70とするのは好ましい。もちろん、吸収体13と重なる領域からその幅方向WD又は前後方向LDに位置する吸収体13と重ならない領域にかけて非伸縮領域70を設けることもでき、吸収体13と重ならない領域にのみ非伸縮領域70を設けることもできる。
【0071】
非伸縮領域70は、弾性シート30は幅方向WDに連続するものの、貫通孔31の存在により幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有しない領域とされている。したがって、弾性シート30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LDにそれぞれ間隔を空けて、弾性シート30の貫通孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数の接合部40を形成することにより、伸縮領域80及び非伸縮領域70の両者を含む積層伸縮構造20X全体を形成するとしても、図11に示すように、非伸縮領域70では、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続しないため、弾性シート30の収縮力が第1シート層20A及び第2シート層20Bにほとんど作用せず、伸縮性がほぼ消失し、弾性限界伸びは100%に近くなるのである。そしてこのような非伸縮領域70では、第1シート層20A及び第2シート層20Bが間隔を空けて配列された多数の接合部40で接合されており、接合部40が連続的とならないため、柔軟性の低下は防止される。換言すれば、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続しない部分の有無により伸縮領域80及び非伸縮領域70を形成することができる。また、非伸縮領域70でも弾性シート30の連続性が残っており、図12からも分かるように、弾性シート30の独立切断片が残ることもなく、また皺も形成されないため、極めて見栄えが良く、かつ貫通孔31による厚み方向の通気性が確保される。非伸縮領域70は、幅方向WDの弾性限界伸びが120%以下(好ましくは110%以下、より好ましくは100%)であると好ましい。
【0072】
非伸縮領域70における弾性シート30における貫通孔31の配列パターンは適宜定めることができるが、図11に示すように千鳥状配置とし、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eが貫通孔31の前後方向LDの長さ31yより短いパターンとすると、弾性シート30の連続性を維持しつつ幅方向WDの直線連続性をほぼ完全に無くすことができ、見栄えも図12に示すように好ましいものとなる。この場合、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fが貫通孔31の幅方向WDの長さ31xより短いとがより好ましい。
【0073】
通常の場合、中でも弾性シート30を幅方向WDに4倍に伸長したときの伸長応力が4〜12N/35mmのものである場合、非伸縮領域70を幅方向WDに弾性限界まで伸ばした状態で、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eが0.4〜2.7mm、かつ貫通孔31の前後方向LDの長さ31yが0.5〜3.0mm、特に0.7〜1.1mmであると好ましい。また、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fが、貫通孔31の前後方向LDの長さ31yの0.5〜2倍、特に1〜1.2倍であると好ましく、貫通孔31の幅方向WDの長さ31xが、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fの1.1〜1.8倍、特に1.1〜1.4倍であると好ましい。なお、非伸縮領域70を幅方向WDに弾性限界まで伸ばした状態(換言すれば第1シート層20A及び第2シート層20Bが完全に展開した状態)では、貫通孔31の幅方向WDの中心間隔31fは接合部40の幅方向WDの中心間隔40fに等しく、貫通孔31の前後方向LDの中心間隔31eは接合部40の前後方向LDの中心間隔40eに等しく、貫通孔31の前後方向LDの長さ31yは接合部40の前後方向LDの長さ40yに等しい。
【0074】
非伸縮領域70では、接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bと弾性シート30とが接合されておらず、かつ自然長の状態で接合部40の幅方向両側に弾性シート30の貫通孔31の周縁及び接合部40が離間されて形成された隙間を有していると、弾性シート30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により常に通気性が付加されるため好ましい。前述の貫通孔31及び接合部40の同時形成手法を採用する場合には、接合部40の形状等に関係なく、自然にこの状態になる。
【0075】
個々の接合部40及び貫通孔31の自然長状態での形状は、特に限定されないが、柔軟性の観点からは面積が小さいことが望ましく、弾性シート30の幅方向WDの直線連続性をなくすためには、前後方向LDに長い形状であることが望ましいため、前後方向LDに長い楕円形、長方形(図11図13(d)参照)、ひし形(図13(b)参照)、凸レンズ形(図13(a)参照)、凹レンズ形(図13(c)参照)とすることが好ましい。ただし、ひし形のように角が鋭角であると、弾性シート30が破断しやすい。これに対して、凸レンズ形は接合部40の溶着が安定するため好ましく、凹レンズ形は面積をより小さくできる点で好ましい。
【0076】
非伸縮領域における接合部40の面積率及び個々の接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とすると、各接合部40の面積が小さくかつ接合部40の面積率が低いことにより非伸縮領域70が硬くならいためが好ましい。
接合部40の面積:0.10〜0.75mm2(特に0.10〜0.35mm2
接合部40の面積率:4〜13%(特に5〜10%)
【0077】
このように、非伸縮領域70の弾性限界伸びは、貫通孔31の配列パターンや、個々の貫通孔31の寸法及び中心間隔により変化させることができる。よって、図示しないが、これらを伸縮領域80内の複数個所、又は複数の非伸縮領域70間で異ならしめることもできる。例えば、前身頃Fの非伸縮領域70における弾性限界伸びを後身頃Bの非伸縮領域70における弾性限界伸びよりも大きくするのも好ましい。
【0078】
非伸縮領域70は、伸縮領域と同様に幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有するものの、接合部の面積率が伸縮領域よりも高いことにより弾性限界伸びが著しく低く、具体的には130%以下とされている構造、従来の糸ゴムを用いる伸縮構造のように幅方向WDに一か所又は複数個所で切断する構造等、他の伸縮性を殺す構造を採用することもできる。
【0079】
(その他)
上述の積層伸縮構造20Xは、パンツタイプ使い捨ておむつだけでなく、テープタイプ使い捨ておむつの胴周りやファスニングテープ、吸収性物品全般に汎用されている立体ギャザー、平面ギャザー等、他の伸縮部等にも適用することができ、その適用部位に応じて、伸縮方向を幅方向、前後方向、又は幅方向及び前後方向の両方向としたりすることも可能である。
【0080】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前身頃」「後身頃」は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を境としてそれぞれ前側及び後側の部分を意味する。また、股間部は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を含む前後方向範囲を意味し、吸収体が括れ部を有する場合には当該括れ部を有する部分の前後方向範囲を意味する。
・「弾性限界伸び」とは、伸縮方向EDにおける弾性限界(換言すれば第1シート層及び第2シート層が完全に展開した状態)の伸びを意味し、弾性限界時の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものである。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域80、非伸縮領域70、主伸縮部分、緩衝伸縮部分)における対象部分(例えば接合部40、貫通孔31の開口、通気孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に伸縮構造を有する領域における「面積率」とは、伸縮方向EDに弾性限界まで伸ばした状態の面積率を意味するものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられている場合では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)又は型式K−4(測定範囲0〜50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「引張強度」及び「引張伸度(破断伸び)」は、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とする以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPHAGS−G100Nを用いることができる。
・「伸長応力」とは、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験により、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/35mm)を意味し、伸長の程度は試験対象により適宜決定することができる。試験片は幅35mm、長さ80mm以上の長方形状とすることが好ましいが、幅35mmの試験片を切り出すことができない場合には、切り出し可能な幅で試験片を作成し、測定値を幅35mmに換算した値とする。また、対象領域が小さく、十分な試験片を採取できない場合であっても、伸長応力の大小を比較するのであれば、適宜小さい試験片でも同寸法の試験片を用いる限り少なくとも比較は可能である。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPHAGS−G100Nを用いることができる。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、上述の積層伸縮構造を有するものである限り、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ、パッドタイプ等の各種使い捨ておむつ、生理用ナプキン、スイミングや水遊び用の使い捨て着用物品等、使い捨て着用物品全般に利用できるものである。
【符号の説明】
【0082】
10…内装体、10B…内外固定領域、11…トップシート、12…液不透過性シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、17…無吸収体側部、20…外装体、20A…第1シート層、20B…第2シート層、20C…折り返し部分、20X…積層伸縮構造、20Y…非積層伸縮構造領域、21…サイドシール部、23…ウエスト端部領域、24…ウエスト部弾性部材、25…収縮皺、29…脚周りライン、30…弾性シート、31…貫通孔、40…接合部、70…非伸縮領域、80…伸縮領域、90…立体ギャザー、93…倒伏部分、94…自由部分、95…ギャザーシート、96…ギャザー弾性部材、B…後身頃、ED…伸縮方向、F…前身頃、L…中間部、LD…前後方向、T…胴周り部、WD…幅方向、m1…第1シート層20Aの溶融固化物、m2…弾性シート30の溶融固化物、ML…溶融層、UL…非溶融層、m3…溶融層MLの溶融固化物。
【要約】
【課題】剥離強度・柔軟性に優れる積層伸縮構造を備えた使い捨て着用物品を提供する。
【解決手段】上記課題は、不織布からなる第1シート層20Aと、不織布からなる第2シート層20Bとの間に、熱可塑性樹脂の弾性シート30が積層され、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、間隔を空けて配列された多数の接合部40で弾性シート30に形成された貫通孔31を通じて接合された、積層伸縮構造20Xを備えており、接合部40では、第1シート層20A及び弾性シート30は溶融固化し、第2シート層20Bにおける少なくとも弾性シート30側と反対側の面を形成する層は溶融固化しておらず、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、接合部40で、第1シート層20Aの溶融固化物m1及び弾性シート30の溶融固化物m2を介して接合されている、ことを特徴とする使い捨て着用物品により解決される。
【選択図】図17
図1
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