(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442191
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】巻線香支持具及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
A47G33/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-170002(P2014-170002)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-43084(P2016-43084A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502176144
【氏名又は名称】木下 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】木下 昌宏
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−008599(JP,A)
【文献】
特開2004−160040(JP,A)
【文献】
実開平04−064283(JP,U)
【文献】
実開昭60−086184(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3130540(JP,U)
【文献】
特開2006−247355(JP,A)
【文献】
特開2000−325003(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1347678(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灰受け皿を含む基台と、
前記基台に連結する支持体と、
巻線香に付けるべき錘と、を備え、
前記支持体は、
前記基台上の仮想鉛直軸の周りに配置され上方へ向かうのに伴って前記仮想鉛直軸から遠ざかるように外方へ開く3つ以上の巻線香支持部を含み、それにより、中心部に前記錘が付された巻線香を、前記3つ以上の巻線香支持部において逆円錐状に支持する巻線香支持具。
【請求項2】
前記巻線香に着脱自在に取り付け可能であり、前記錘を吊り下げ可能な治具をさらに備える、請求項1に記載の巻線香支持具。
【請求項3】
灰受け皿を含む基台と、
前記基台に連結する支持体と、を備え、
前記支持体は、
前記基台上の仮想鉛直軸の周りに配置され上方へ向かうのに伴って前記仮想鉛直軸から遠ざかるように外方へ開く3つ以上の巻線香支持部を含み、それにより、中心部に錘が付された巻線香を、前記3つ以上の巻線香支持部において逆円錐状に支持し、
前記支持体の前記3つ以上の巻線香支持部の各々は、前記仮想鉛直軸に対して外方へ開く角度が、10度から30度の範囲である、巻線香支持具。
【請求項4】
灰受け皿を含む基台と、
前記基台に連結する支持体と、を備え、
前記支持体は、
前記基台上の仮想鉛直軸の周りに配置され上方へ向かうのに伴って前記仮想鉛直軸から遠ざかるように外方へ開く3つ以上の巻線香支持部を含み、それにより、中心部に錘が付された巻線香を、前記3つ以上の巻線香支持部において逆円錐状に支持し、
前記支持体は、支持体本体部と、前記3つ以上の巻線香支持部において前記支持体本体部を覆う断熱材とを有する、巻線香支持具。
【請求項5】
前記支持体本体部が、前記仮想鉛直軸の周りに配置された3本以上の金属棒である請求項4に記載の巻線香支持具。
【請求項6】
前記支持体の本体部をなす前記3本以上の金属棒の各々は、前記基台に連結されている下端部へ向かうのに伴い前記仮想鉛直軸から遠ざかるように、前記下端部の付近において略「S」字状に屈曲している、請求項5に記載の巻線香支持具。
【請求項7】
前記基台は、前記3本以上の金属棒の前記下端部が差し込まれることにより、前記支持体を保持する3個以上の保持用孔が形成された支持体保持部材を、さらに含む、請求項5または6に記載の巻線香支持具。
【請求項8】
前記支持体保持部材は、磁石を有し、当該磁石の磁力により前記灰受け皿に着脱可能に取り付けられている、請求項7に記載の巻線香支持具。
【請求項9】
巻線香の中心部に錘を取り付けることと、
前記錘が取り付けられた前記巻線香を、請求項1から8のいずれかに記載の巻線香支持具の前記3つ以上の巻線香支持部の間に載置することにより、前記支持体に逆円錐状に支持させることと、
支持された前記巻線香の上端に着火することと、を備える巻線香支持具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線香を支持する巻線香支持具及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻線香は、特許文献1に記載の通り、明治時代に考案されたものであり、葬儀の日から49日の間、仏壇等で線香の火を絶やさないように、長時間点火時間を維持できるようにしたものである。現代では、葬儀社が葬儀の場において業として使用することも多いものである。かかる巻線香を支持する器具である巻線香支持具として、従来、特許文献1及び2に開示されるものが知られている。特許文献1に開示される巻線香支持具は、巻線香の中心部を吊り下げることにより、巻線香を釣り鐘状に支持するものである。特許文献2に開示される巻線香支持具は、巻線香の中心部を下方から支えるとともに、周辺の垂れ下がり部を支える傾斜ガイドを有するものである。
【0003】
特許文献1、2に開示される従来の巻線香支持具は、いずれも中心部を支えるものであるから、巻線香が全体として釣り鐘状を成すように支持される。中心から周縁に至るほど下方に向かう形状であるので、巻線香への着火は下端になされ、燃焼は下方から上方へ向かうこととなる。本来の線香の概念からは逆の用法となっていた。また、巻線香の下端は、灰受け皿に近いため、巻線香を装着した後に下端へ着火することは容易ではなく、着火した後に装着するのが通常の用法となっており、安全性の点から好ましいものではなかった。さらに、特許文献1のように吊り下げ型では、巻線香の安定性が良くないという問題点があった。特許文献2のように、傾斜ガイドを有するものでも、乾燥した季節等においては、巻線香が下方へ垂れにくいので、傾斜ガイドに接触して安定して支持されるためには、装着前に巻線香をほぐしておく必要があった。また、巻線香が釣り鐘状を成すので、巻線香の全体が見えない、という美観上の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3130540号公報
【特許文献2】特開2004−160040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、装着前にほぐす手間を要することなく巻線香を安定して支持することができ、巻線香を装着した後に着火することができ、燃焼が上方から下方へ向かうという線香本来の姿を実現し、従来とは異なる斬新な美観を実現する巻線香支持具を提供することを目的とする。また、当該巻線香支持具の特徴を生かす使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、巻線香支持具であって、灰受け皿を含む基台と、前記基台に連結する支持体と、を備えている。前記支持体は、前記基台上の仮想鉛直軸の周りに配置され上方へ向かうのに伴って前記仮想鉛直軸から遠ざかるように外方へ開く3つ以上の巻線香支持部を含み、それにより、中心部に錘が付された巻線香を、前記3つ以上の巻線香支持部において逆円錐状に支持する。
【0007】
この構成によれば、中心部に錘が付された巻線香を、中心部が下方に周縁部が上方に位置する逆円錐状の螺旋形となるように、支持体により支持することができる。巻線香の中心部に錘を付して使用されるので、乾燥した状態でも装着前にほぐす手間を要することなく、巻線香の上端付近から下端付近まで、巻線香支持部との接触が保たれた安定的した状態で、巻線香を支持することができる。また、逆円錐状をなす巻線香の内面が視覚上強調され、従来にはない斬新な美観を呈する。巻線香の周縁部が上方に位置するので、巻線香を巻線香支持具に装着した後に、上端に着火することができる。装着前に着火することを要しないので、安全性が向上する。また、巻線香の上端から下方へ燃焼が進行するので、線香本来の姿が実現する。
【0008】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様による巻線香支持具であって、前記支持体は、支持体本体部と、前記3つ以上の巻線香支持部において前記支持体本体部を覆う断熱材とを有するものである。
【0009】
この構成によれば、支持体本体部に断熱性の材料を選ぶことなく、巻線香の燃焼が中途で消失することを防止できる。
【0010】
本発明のうち第3の態様によるものは、第2の態様による巻線香支持具であって、前記支持体本体部が、前記仮想鉛直軸の周りに配置された3本以上の金属棒であるものである。
この構成によれば、金属棒により、巻線香を挟み込む方向に適度な弾性が支持体に付与される。それにより、巻線香を支持するときの金属棒の傾斜の度合いを、弾性変形により調節することが可能となる。また、巻線香支持部において、金属棒が断熱材により被覆されているので、巻線香の燃焼が金属棒によって消失することを防ぐことができる。
【0011】
本発明のうち第4の態様によるものは、第3の態様による巻線香支持具であって、前記支持体の本体部をなす前記3本以上の金属棒の各々は、前記基台に連結されている下端部へ向かうのに伴い前記仮想鉛直軸から遠ざかるように、前記下端部の付近において略「S」字状に屈曲しているものである。
【0012】
この構成によれば、3本以上の金属棒の基台への連結部が互いに離れていても、巻線香に触れる巻線香支持部の下端を、仮想鉛直軸に近接させることができる。それにより、逆円錐状となる巻線香の下端付近まで触れるようにして、巻線香を支持体により支持することができる。
【0013】
本発明のうち第5の態様によるものは、第3又は第4の態様による巻線香支持具であって、前記基台は、前記3本以上の金属棒の前記下端部が差し込まれることにより、前記支持体を保持する3個以上の保持用孔が形成された支持体保持部材を、さらに含むものである。
【0014】
この構成によれば、支持体保持部材の保持用孔に、金属棒の下端部を挿入することにより、支持体を基台に簡単に連結することができる。
【0015】
本発明のうち第6の態様によるものは、第5の態様による巻線香支持具であって、前記支持体保持部材は、磁石を有し、当該磁石の磁力により前記灰受け皿に着脱可能に取り付けられているものである。
【0016】
この構成によれば、支持体保持部材が灰受け皿に着脱可能であるので、灰受け皿に溜まった灰の廃棄が容易である。
【0017】
本発明のうち第7の態様によるものは、第1から第6のいずれかの態様による巻線香支持具であって、前記支持体の前記3つ以上の巻線香支持部の各々は、前記仮想鉛直軸に対して外方へ開く角度が、10度から30度の範囲であるものである。
【0018】
この構成によれば、巻線香を逆円錐状に立てている、という美観が顕著となる。また、開きの角度に適度な下限があるので、巻線香を過度に引き延ばすことなく、巻線香の上端付近から下端付近まで、支持体との接触を保つことができる。
【0019】
本発明のうち第8の態様によるものは、第1から第7のいずれかの態様による巻線香支持具であって、前記巻線香に付けるべき前記錘をさらに備えるものである。
この構成によれば、錘を別途準備することなく、巻線香支持具に備わる錘を巻線香に取り付けることにより、使用に供することができる。
【0020】
本発明のうち第9の態様によるものは、第8の態様による巻線香支持具であって、 前記巻線香に着脱自在に取り付け可能であり、前記錘を吊り下げ可能な治具をさらに備えるものである。
この構成によれば、治具がさらに備わるので、釣り糸が付されていない巻線香にも、錘を容易に取り付けることが可能となる。
【0021】
本発明のうち第10の態様によるものは、巻線香支持具の使用方法であって、巻線香の中心部に錘を取り付けることと、前記錘が取り付けられた前記巻線香を、第1から第9のいずれかの態様による巻線香支持具の前記3つ以上の巻線香支持部の間に載置することにより、前記支持体に逆円錐状に支持させることと、支持された前記巻線香の上端に着火することと、を備える。
【0022】
この構成によれば、本願発明による巻線香支持具を用いて、巻線香を逆円錐状となるように、安定的に支持することができる。巻線香を支持させた後に、着火するので、安全性が向上する。また、巻線香の上端に着火することにより、燃焼を上端から下方へ進行させることができ、線香本来の姿を実現させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、装着前にほぐす手間を要することなく巻線香を安定して支持することができ、巻線香を装着した後に着火することができ、燃焼が上方から下方へ向かうという線香本来の姿を実現し、従来とは異なる斬新な美観を実現する巻線香支持具が得られる。また、当該巻線香支持具の特徴を生かす使用方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施の形態による巻線香支持具の構成を、使用形態とともに例示する斜視図である。
【
図2】
図1の巻線香支持具の支柱と支柱保持部材との接続部の構成を例示する斜視図である。
【
図3】
図1の巻線香支持具に支持される巻線香と錘との接続部の構成を例示する斜視図である。
【
図4】
図1の巻線香支持具に支持される巻線香と錘との接続部の別の構成を例示する斜視図である。
【
図5】本発明の別の実施の形態による巻線香支持具の構成の概略を例示する斜視図である。
【
図6】本発明のさらに別の実施の形態による巻線香支持具の構成の概略を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態による巻線香支持具の構成を、使用形態とともに例示する斜視図である。この巻線香支持具101は、基台1と、基台1に立設された3本の支柱7と、巻線香に取り付けられる錘13とを有している。基台1は、灰受け皿3と、灰受け皿3の上面中央部に固定された支柱保持部材5とを有している。灰受け皿3は、例えば金属製であり、支柱保持部材5は、例えば難燃性プラスチック製である。3本の支柱7は、仮想鉛直軸20の周りに回転対称状となるように支柱保持部材5に保持される。3本の支柱は、下端部付近である脚部を除いた主要部において、下方へ向かうのに伴って仮想鉛直軸20に近接するように、言い換えると上方へ向かうのに伴って仮想鉛直軸20から遠ざかり、外方へ開くように傾斜している。3本の支柱7は、傾斜した主要部において、中心部に錘13が吊り下げられた巻線香10を、逆円錐状の螺旋形となるように支持する。3本の支柱7は、本発明の支持体の具体例に相当し、各支柱7の主要部の仮想鉛直軸20に面する部位、すなわち巻線香10を支持する部位は、本発明の巻線香支持部の具体例に相当する。支柱保持部材5は、本発明の支持体保持部材の具体例に相当する。
【0026】
支柱7は、本体部をなす金属棒9と、金属棒9を被覆する断熱材11とを有する。断熱材11は、支柱7の主要部において、金属棒9を覆っている。金属棒9は例えば鉄製であり、断熱材11は例えばカーボンフェルト不燃繊維である。不燃繊維は金属棒9を直接に覆うように取り付けても良く、あるいは、金属棒9に芯材となるプラスチック製等の板が取り付けられ、この芯材の周面を覆うように不燃繊維が接着されてもよい。金属棒9は適度に弾性変形させることができ、それにより、支柱7の主要部の傾斜角に、弾性変形による適度な広がりを持たせることができる。その結果、長時間の使用に伴い断熱材11の損耗があった場合においても、巻線香10を適切な高さに支持することが可能となる。
【0027】
支柱7の金属棒9は、一例として
図2に示すように、脚部が屈曲している。すなわち、金属棒9の脚部は、胴部に近い側が仮想鉛直軸20に近く、支柱保持部材5に接続される側が仮想鉛直軸20から遠くなるように、略「S」字状に屈曲している。それにより、支柱保持部材5により3本の金属棒9を、互いに間隔をおいて保持しつつも、支柱7の主要部の下端を、仮想鉛直軸20に十分に近接させることを可能にしている。すなわち、逆円錐状となった巻線香10の下端まで支柱7が触れることを可能にしている。支柱保持部材5の上面には保持用孔6が形成されており、この保持用孔6に金属棒9の下端部を挿入することにより、支柱7が支柱保持部材5に保持されている。金属棒9と保持用孔6とは、例えば接着材により固着されてもよく、取り外して分解することが可能なように、接着材無しで差し込まれたままであってもよい。
【0028】
支柱保持部材5は、磁石の磁力により、灰受け皿3に着脱自在に取り付けられてもよい。それにより、灰受け皿3に溜まった灰を廃棄するときに、支柱保持部材5を取り外すことができ、灰の廃棄が容易となる。例えば、支柱保持部材5の底面に磁石を取り付け、灰受け皿3の主材料を鉄などの磁性体とすることにより、支柱保持部材5を磁力により灰受け皿3に吸着させることができる。
【0029】
錘13は例えば金属製であり、一例として
図3に示すように、球状体と、球状体に取り付けられたフックとを有している。巻線香10には、中心部に釣り糸15が付されて市販されているものがあり、この釣り糸15にフックを掛けることにより、容易に錘13を巻線香10に吊すことができる。あるいは、釣り糸15の無い巻線香10の中心部に錘13を取り付けるための治具を使用することも可能である。
図4は、その一例を示す。
図4に例示する治具17は、つるまきバネ構造部と、その両端から延びるフック部とを有する、金属線スプリングの形態を成している。
図4のうち(a)は使用形態を同時に例示する治具17の斜視図であり、(b)は治具17の正面図であり、(c)は治具17の側面図である。治具17はつるまきバネ構造部によって一対のフック部に付与される、外側に広がろうとする弾性力により、巻線香10の中心部に着脱自在に、かつ安定的に取り付けることができる。この治具17のつるまきバネ構造部に、錘13のフックを掛けることにより、巻線香10に錘13を吊すことができる。あるいは、錘13と治具17とは、不可分に連結していてもよい。
【0030】
以上のように、巻線香支持具101は、従来技術とは異なり、巻線香10を逆円錐状の螺旋形となるように支持するので、従来に無い斬新な美観を呈する。特に、斜め上方からの視線において、螺旋形の巻線香10の全体が目に映るという従来に無い美観を奏する。また、従来技術とは異なり、巻線香10の上端に着火することができるので、巻線香10を巻線香支持具101に装着した後に、着火することができ、安全性が向上する。また、燃焼は上端から下方へ向かって進行するので、線香本来の姿が実現する。さらに、錘13を使用することになるので、乾燥した気候においても、巻線香10を事前にほぐすことなく、上端付近から下端付近まで、支柱7との接触が保たれた安定的した状態で、巻線香10を支持することができる。また、巻線香10が安定して支持されるので、燃焼させつつ安全に持ち運ぶことができる。また、エアーコンディショナー等による風の影響を受けにくい。
【0031】
支柱7の主要部の傾斜角は、好ましくは仮想鉛直軸20に対して10度〜30度の範囲である。この角度範囲であれば、巻線香10を逆円錐状に立てている、という美観が顕著となる。また、傾斜角が10度以上であるので、巻線香10を過度に引き延ばすことなく、巻線香10の上端付近から下端付近まで、支柱7との接触を保つことができる。
【0032】
図5に巻線香支持具102として例示するように、支柱7に代えて、他の形態の部材、例えば基台21上に起立する板状体27を配置することも可能である。この場合であっても、仮想鉛直軸20に面し、巻線香10(図示略)に触れる板状体27の表面部分、すなわち巻線香支持部は、仮想鉛直軸20の周りに対称となるように配置され、かつ上方に向かうのに伴って外方に開くように形成される。それにより、巻線香支持具101と同様に、巻線香10を逆円錐状の螺旋形となるように支持することが可能となる。また、好ましくは、板状体27のうち、巻線香10に触れる表面は、断熱材31で覆われる。
【0033】
図5の巻線香支持具102においても、支持体は板状体27として、3つに分割して基台21上に配置されている。これに対して、
図6に巻線香支持具103として例示するように、支持体として例えば、基台41にその中心から離れて立設される1本の柱状体43と、基台41の中心寄りに位置するようにこの柱状体43の頂部に連結し、水平な姿勢の環状体45と、この環状体45の内周面に連結し、環状体45の中心を通過する仮想鉛直軸20の周りに配置され、かつ上方に向かうのに伴って外方に開くように形成される3本の棒状体47と、を有する構造のものを実施することも可能である。各棒状体47のうち、仮想鉛直軸20に面し、巻線香支持部を成す部分は、断熱材で覆われていても良い。
【0034】
上記の実施の形態では、巻線香支持部は直線状であったが、本発明は、巻線香支持部が直線状ではない形態を採ることも可能である。巻線香支持部は、上方へ向かうほど仮想鉛直軸20から遠ざかるように、外方へ開く形状であれば、例えば、緩やかな螺旋を描く形状であっても良い。例えば、
図6の例において、3本の棒状体47が螺旋を描くように、緩やかにねじれた形状をなしてもよい。このように巻線香支持部が直線状ではない形態においても、巻線香支持部が仮想鉛直軸20に対して外方へ開く望ましい角度は、上記の通り10度から30度の範囲である。
【符号の説明】
【0035】
1、21、41 基台
3 灰受け皿
5 支柱保持部材(支持体保持部材)
6 保持用孔
7 支柱(支持体)
9 金属棒
10 巻線香
11、31 断熱材
13 錘
15 釣り糸
17 治具
20 仮想鉛直軸
43 柱状体(支持体)
45 環状体(支持体)
47 棒状体(支持体)
101、102、103 巻線香支持具