(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の医療用チューブシール装置セット及び載置台について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の構成について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の正面図である。
図1(a)は載置面112〜117が上昇する前における医療用チューブシール装置セット1の正面図であり、
図1(b)は載置面112〜117が上昇した後における医療用チューブシール装置セット1の正面図である。
図2は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の平面図である。
図3は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の外観斜視図である。
【0026】
なお、以下の説明において、図に示すx軸に沿った方向が医療用チューブシール装置セット1の左右方向であり、図に示すy軸に沿った方向が医療用チューブシール装置セット1の前後方向であり、図に示すz軸(鉛直軸)に沿った方向が医療用チューブシール装置セット1の上下方向である。また、「水平面」とは、z軸に直交する平面であり、x軸及びy軸上に広がる面である。
【0027】
第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1は、
図1〜
図3に示すように、装置前面にチューブシール部20A〜20Hが配設された8台のチューブシール装置10A〜10Hと、各チューブシール部20A〜20Hが水平面に沿って直線状に配列されるようにして、8台のチューブシール装置10A〜10Hを載置可能に構成された載置台100とを備える。8台のチューブシール装置10A〜10Hは、医療用チューブシール装置セット1の左右方向に並設されている。
【0028】
次に、チューブシール装置10A〜10Hの構成について、
図4〜
図7を用いて説明する。以下では、8台のチューブシール装置10A〜10Hのうち正面最左位置にあるチューブシール装置10Aを例に、その構造を具体的に説明するが、他のチューブシール装置10B〜10Hも基本的には同様の構成である。
【0029】
図4は、チューブシール装置10Aの外観斜視図である。
図5は、チューブシール装置10Aの右側面図である。
図6は、チューブシール部20Aを説明するために示す図である。
図6(a)はチューブシール部20Aの構成を模式的に示す図であり、
図6(b)は一対の電極21A,22A間にチューブTを挿入した様子を模式的に示す図である。なお、
図6(a)及び
図6(b)においては、カバー部材25Aを取り外した状態で図示している。
図7は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1(主にチューブシール装置10A及び載置台100)の電気的構成を示すブロック図である。
【0030】
チューブシール装置10Aは、例えば高周波でチューブをシール(封止)する機能を有するチューブシーラーであって、
図4〜
図7に示すように、略直方体形状の筺体12Aと、筺体12Aの前面に配設されたチューブシール部20Aと、チューブシール部20Aにおける一対の電極21A,22A間にチューブが配置されたことを検知するための検知部30A,35Aと、電極21Aを移動させるための電極移動機構40Aと、チューブシール装置10A内の各部に電力を供給するための電源部70Aと、点灯部72Aと、各種制御を実行する制御部90Aとを備える。
【0031】
筺体12Aには、例えば外部記憶媒体としての外部メモリ(SDカードなど)を挿入可能なスロット部(図示せず。)が設けられている。
【0032】
チューブシール部20Aは、
図4〜
図6に示すように、一対の電極21A,22Aと、電極21A,22Aを支持する電極支持部23A,24Aと、電極21A,22Aを覆うように設けられたカバー部材25Aとを有する。
【0033】
一対の電極21A,22Aのうち電極21Aは可動電極であり、電極22Aは固定電極である。電極21A,22Aは筺体12Aの前面から張り出すように設けられており、チューブを挿入するためのスリット部26Aが設けられたカバー部材25Aによってカバーされている。
【0034】
スリット部26Aは、上方向に向けて開放された切れ込みからなり、上方向から電極21A,22A間にチューブを挿入可能に構成されている。図示による説明は省略するが、スリット部26Aの切れ込みの深さは左右で同じ大きさであるため、スリット部26Aの最下部27Aの位置も、左右で同じ高さにある。チューブシール部20Aは、スリット部26Aに挿入されたチューブを電極21A,22Aによって挟持した状態でシール溶着可能に構成されている。
【0035】
検知部30A,35Aは、筺体12Aの左右方向に沿って、電極21A,22Aの両脇に1つずつ配設されている。検知部30A,35Aは、
図6(b)に示すように、電極21Aの両脇に配設された発光素子31A,36Aと、電極22Aの両脇に配設された受光素子32A,37Aとからなり、発光素子31A,36Aと受光素子32A,37Aとがそれぞれ対向する位置に配置されている。検知部30A,35Aは、例えば透過型のフォトインタラプタであり、
図6(b)に示すように、電極21A,22A間に挿入されたチューブTによって発光素子31A,36Aからの光が遮断されたことを、受光素子32A,37Aが検知し、当該検知情報を制御部90Aに送るように構成されている。
【0036】
電極移動機構40Aは、例えば電動シリンダからなる。電極移動機構40Aによる直線運動が電極支持部23Aを介して電極21Aに伝達されることにより、電極21A,22Aを接近又は離隔させる方向に沿って、電極21Aを移動させるように構成されている。
【0037】
電源部70Aは、図示による説明は省略するが、外部の商用電源などから電源ケーブル等を介して交流電力を導き、内蔵するAC/DC変換部で変圧・整流・平滑などの処理を行って、チューブシール装置10Aの各部に電力を供給する。
【0038】
図4に示すように、筺体12Aの前面であってチューブシール部20Aの上方には、点灯部72Aが設けられている。点灯部72Aは、例えばLEDからなり、制御部90Aの制御によって複数色で発光及び明滅可能に構成されている。また、図示による説明は省略するが、筺体12Aの背面には、電源端子と、通信用端子と、載置面111上に載置したときに位置合わせするために用いる2つの位置決め孔と、載置面111上に載置したチューブシール装置10Aを固定するために用いる装置固定用ネジ孔とが設けられている。
【0039】
制御部90Aは、CPU(Central Processing Unit)又はCPUが搭載された回路基板によって構成されている。制御部90Aは、
図7に示すように、電極移動機構40Aの駆動を制御する電極移動制御部92Aと、電極に印加する高周波電流を制御することによりチューブシール部20Aのチューブシール動作を制御するチューブシール動作制御部94Aとを少なくとも有する。
【0040】
次に、載置台100の構成について、
図8〜
図10を用いて説明する。
図8は、第1実施形態に係る載置台100の外観斜視図である。
図8(a)は載置面112〜117が上昇する前における載置台100の外観斜視図であり、
図8(b)は載置面112〜117が上昇した後における載置台100の外観斜視図である。
図9は、第1実施形態に係る載置台100の正面図である。
図9(a)は載置面112〜117が上昇する前における載置台100の正面図であり、
図9(b)は載置面112〜117が上昇した後における載置台100の正面図である。
図10は、載置台100における載置面111〜118の高さを説明するために示す図である。なお、
図10においては、装置接続部121〜128の図示を省略している。
【0041】
載置台100は、
図7〜
図10に示すように、8台のチューブシール装置10A〜10Hの配置に合わせて短冊状に分割された8つの載置面111〜118と、載置面111〜118の後方に立設された装置接続部121〜128と、載置台100の左右両端部に設けられた取っ手120,129と、8台のチューブシール装置10A〜10H全体の電源のON/OFFを切り替えるための主電源スイッチ172と、載置面111〜118のうち6つの載置面112〜117を昇降させる昇降機構181〜186と、昇降機構181〜186による載置面112〜117の昇降動作を制御する主制御部190とを有する。
【0042】
載置面111〜118は、例えば金属板からなり、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、載置台100の中央部を境界として左右対称形(線対称)となるように配置されている。載置面111〜118のうち中央側に位置する載置面112〜117には、
図1(b)及び
図9(b)に示すように、昇降機構181〜186がそれぞれ配設されている。
【0043】
載置面112〜117が上昇した後の載置面111〜118は、
図8(b)に示すように、載置台100の左右両端部から中央部にかけて3段ずつ上るような階段状に形成されている。載置面111〜118の高さについて、
図10を用いて具体的に説明すると、載置面111の高さ(載置台100を例えば机上に置いた場合における机面から載置面111までの、z軸方向に沿った距離)をH1、載置面112の高さをH2というように、載置面111〜118の高さをH1〜H8としたとき、載置面111〜118の高さは、「H1=H8、H2=H7、H3=H6、H4=H5」を満たすとともに、「H1<H2<H3<H4」かつ「H5>H6>H7>H8」を満たすように設定されている。また、詳細については後述するが、載置面112〜117が上昇した後における載置面111〜118の高さは、チューブシール装置10A〜10Hにおける各一対の電極の位置を結ぶと、上方向に向かって凸となる仮想曲線VC(後述する
図11(b)参照。)が描かれるように設定されている。
【0044】
装置接続部121〜128には、電源用コネクタ131〜138と、通信用コネクタ141〜148と、位置決めピン151a,151b〜158a,158bと、装置固定用ネジ161〜168とがそれぞれ設けられている。これら各部は、チューブシール装置10A〜10Hの背面に設けられた電源端子、通信用端子、位置決め孔及び装置固定用ネジ孔と対応しており、8台のチューブシール装置10A〜10Hが載置面111〜118上に左右方向に沿って均等に並んで配置されるように構成されている。
【0045】
主電源スイッチ172は、載置台100の右後方(装置接続部128の壁面)に設けられている。主電源スイッチ172を操作することにより、8台のチューブシール装置10A〜10H全体を、電源ONの状態又は電源OFFの状態に切り替えることができる。
【0046】
昇降機構181〜186は、例えばピン式のエアシリンダからなり、ピンを上下動させることにより、各載置面112〜117を昇降させるように構成されている。昇降機構181〜186は、載置面112〜117の下面にそれぞれ4つずつ配設されている。
【0047】
主制御部190は、CPU(Central Processing Unit)又はCPUが搭載された回路基板によって構成されている。主制御部190は、チューブシール装置10A〜10Hの各制御部を統括制御する機能と、所定の条件が満たされたときに、昇降機構181〜186の制御を実行する機能を少なくとも有する。主制御部190によって昇降機構181〜186が制御される流れについて、
図11を用いてさらに詳細に説明する。
【0048】
図11は、第1実施形態における医療用チューブシール装置セット1を説明するために示す図である。
図11(a)はチューブ挿入前における各チューブシール部20A〜20Hの位置を模式的に示す図であり、
図11(b)はチューブ挿入後における各チューブシール部20A〜20Hの位置を模式的に示す図である。
なお、
図11(a)及び
図11(b)においては、本来は装置正面からは見えない電極及び検知部を、発明の理解を容易にするために実線で図示している。
【0049】
チューブが挿入される前の医療用チューブシール装置セット1においては、
図11(a)に示すように、8台のチューブシール装置10A〜10Hの各チューブシール部20A〜20H(電極21A〜21H)は、水平な仮想直線VLに沿って配置されている。チューブシール部20A〜20Hに対してチューブを挿入し、各チューブシール部20A〜20Hに配設されたいずれかの検知部で当該チューブの挿入が検知されると、まず、チューブシール装置の検知部から自身の制御部に対して、当該検知情報が送られることとなる。検知情報を受けた制御部は、当該情報を主制御部190に出力する。
【0050】
主制御部190は、チューブシール装置の制御部から当該情報を受けたことにともない、
図11(b)に示すように、チューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部が、他のチューブシール装置のチューブシール部に比べて、電極の位置が高くなるように、各昇降機構181〜186の制御を実行する。
【0051】
図11(b)に示す状態の各電極21A〜21Hの位置関係を具体的に説明すると、セット左端部に位置する電極21Aと、セット右端部に位置する電極21Hが、全体の電極21A〜21Hの中で最も低い高さに位置している。その次に高い位置にあるのが、チューブシール部20B,20Gの電極21B,21Gである。その次に高い位置にあるのが、チューブシール部20C,20Fの電極21C,21Fである。そして、全体の電極21A〜21Hの中で最も高い位置にあるのが、チューブシール部20D,20Eの電極21D,21Eである。これら電極21A〜21Hの位置を結ぶと、上方向に向かって凸となるように曲がった仮想曲線VCが描かれる。電極21A〜21Hと対向して電極22A〜22Hが位置することからいえば、図示による説明は省略するが、電極22A〜22Hの位置についても同様に、上方向に向かって凸となるように曲がった仮想曲線VCが描かれる。
【0052】
また、図示による説明は省略するが、チューブシール装置10A〜10Hのそれぞれにおいて、カバー部材に設けられたスリット部の形状が同じであることからすれば、スリット部の最下部の位置関係についても、上で述べた一対の電極と同様、チューブシール装置10A〜10Hにおける各スリット部の最下部(各カバー部材にある2つの最下部のうち左右いずれか一方)の位置を結ぶと、上方向に向かって凸となる仮想曲線VCが描かれることとなる。
【0053】
次に、比較例に係る医療用チューブシール装置セット8の構成と対比して、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の載置台100(載置面111〜118の高さ)をさらに詳しく説明する。
【0054】
図12は、比較例に係る医療用チューブシール装置セット8を説明するために示す図であって、チューブシール部20A〜20HにチューブTを挿入した一例を示す図である。
図13は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1を説明するために示す図であって、チューブシール部20A〜20HにチューブTを挿入した一例を示す図である。
なお、
図12及び
図13においては、本来は正面からは見えない電極及び検知部並びに挿入されたチューブを、発明の理解を容易にするために実線で示している。
【0055】
比較例に係る医療用チューブシール装置セット8は、基本的には第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するが、
図12に示すように、載置台800が、分割されていない(すなわち1つの平面からなる)載置面811を有するとともに、昇降機構を備えていない点で、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは異なる。
【0056】
比較例に係る医療用チューブシール装置セット8のチューブシール部20A〜20Hに対し、折れ癖等の付いたチューブTを挿入すると、チューブの浮きが発生してしまう場合がある(例えば
図12に示すチューブシール部20Dの位置を参照。)。その結果、チューブTの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするケースが起こり得る。
【0057】
なお、
図12に示すようにセット中央付近に折れ癖等が位置する場合、手元(セット左右方向両端部)から折れ癖等の位置までの距離が離れているため、手元でチューブTにテンションを加えたとしてもその力が折れ癖等の位置までは伝わりにくく、チューブの浮きが直りにくい。
【0058】
これに対し、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1によれば、中央寄りに配置されたチューブシール装置におけるチューブシール部の位置が、他のチューブシール装置におけるチューブシール部よりも高くなるように、載置台100の主制御部190が各昇降機構181〜186を制御するように構成されているため、各チューブシール部20A〜20H(各カバー部材のスリット部)にチューブTを挿入したときに、中央寄りに位置するチューブシール部(例えばチューブシール部20D,20E)において、チューブTがスリット部(スリット部の最下部)と接触し、チューブTに対して押付力が働くこととなる。これにより、折れ癖等の付いたチューブTを挿入した際、仮に医療用チューブシール装置セット1の中央付近に折れ癖等が位置することとなったとしても、チューブTに働く押付力によってチューブTの浮きを改善することができる(
図13参照。)。その結果、チューブの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするような、望ましくないケースの発生を抑制することができる。
【0059】
したがって、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1は、折れ癖等の付いたチューブであっても、円滑にシール溶着することができ、シール不良の発生も抑制することが可能なものとなる。
【0060】
第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1においては、チューブシール装置に配設された検知部が医療用チューブの挿入を検知すると、載置台100の主制御部190における所定の制御条件(載置面112〜117の昇降動作を開始する条件)が満たされるように構成されている。これにより、使用者がチューブシール装置10A〜10Hのスリット部にチューブを挿入したことをきっかけとして、主制御部190による昇降機構181〜186の制御が実行されることとなる。
【0061】
第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1においては、チューブシール部20A〜20Hの各電極の位置を結ぶと、上方向に向かって凸となる仮想曲線VCが描かれる。これにより、いずれのチューブシール部20A〜20Hにおいてもチューブがスリット部(スリット部の最下部)と接触し、チューブ全体にわたって押付力が働くようになる。その結果、チューブの浮きをより一層改善することができるようになり、チューブの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするような、望ましくないケースの発生をさらに抑制することが可能となる。
【0062】
第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1においては、8台のチューブシール装置10A〜10Hのそれぞれは、隣同士の配置が均等である。これにより、チューブの長手方向に沿って比較的均等な間隔でチューブをシール溶着することができ、長さの揃ったセグメントチューブ(交差適合試験などに用いられるサンプル体)を作成することが可能となる。
【0063】
第1実施形態に係る載置台100は、主制御部190が各昇降機構181〜186を上述したように制御するため、この載置台100を用いることによって、折れ癖等の付いたチューブであっても、円滑にシール溶着することができ、シール不良の発生も抑制することが可能となる。
【0064】
[第2実施形態]
図14は、第2実施形態に係る載置台200の正面図である。
図14(a)は載置面211,212が上昇する前における載置台200の正面図であり、
図14(b)は載置面211,212が上昇した後における載置台200の正面図である。
図15は、第2実施形態における医療用チューブシール装置セット2を説明するために示す図である。
図15(a)はチューブ挿入後における各チューブシール部20A〜20Hの位置を模式的に示す図であり、
図15(b)はチューブシール部20A〜20HにチューブTを挿入した一例を示す図である。
なお、
図15(a)及び
図15(b)において、本来は正面からは見えない電極及び検知部又は挿入されたチューブを、発明の理解を容易にするために実線で示している。また、第1実施形態で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0065】
第2実施形態に係る医療用チューブシール装置セット2は、基本的には第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するが、載置台の構成が、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは異なる。
【0066】
第2実施形態に係る医療用チューブシール装置セット2においては、
図14に示すように、載置台200は、2枚の板状に分割された載置面211,212と、載置面211,212の後方に立設された装置接続部221,222と、載置台200の左右両端部に設けられた取っ手120,129と、8台のチューブシール装置10A〜10H全体の電源のON/OFFを切り替えるための主電源スイッチ172と、載置面211,212を昇降させる昇降機構281,282と、昇降機構281,282による載置面211,212の昇降動作を制御する主制御部290(図示せず。)とを有する。
【0067】
昇降機構281,282は、各載置面211,212の下面であって、載置台200の中央部近傍に設けられている。
図14から明らかなように、昇降機構281,282によって各載置面211,212を上昇させると、各載置面211,212は、取っ手120,129側の端縁位置を軸として傾いた状態となる。すなわち、チューブ挿入後の載置面211,212は、載置台200の中央部において稜線Rを有する山状となるように形成されている。また、チューブ挿入後における載置面211,212の高さは、
図15(a)に示すように、チューブシール装置10A〜10Hにおける各一対の電極の位置を結ぶと、載置台200の左右方向中央位置(チューブシール部20D,20Eの間の位置)で交差する2本の仮想直線VL1,VL2が描かれるように設定されている。
【0068】
なお、装置接続部221,222については、第1実施形態で説明した装置接続部121〜128と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
このように、第2実施形態に係る医療用チューブシール装置セット2は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは、載置台の構成が異なるが、中央寄りに配置されたチューブシール装置におけるチューブシール部の位置が、他のチューブシール装置におけるチューブシール部よりも高くなるように、載置台200の主制御部290が各昇降機構281,282を制御するように構成されているため、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1の場合と同様に、各チューブシール部20A〜20H(各カバー部材のスリット部)にチューブTを挿入したときに、中央寄りに位置するチューブシール部(例えばチューブシール部20D,20E)において、チューブTがスリット部(スリット部の最下部)と接触し、チューブTに対して押付力が働くこととなる。これにより、折れ癖等の付いたチューブTを挿入した際、仮に医療用チューブシール装置セット2の中央付近に折れ癖等が位置することとなったとしても、チューブTに働く押付力によってチューブTの浮きを改善することができる(
図15(b)参照。)。その結果、チューブの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするような、望ましくないケースの発生を抑制することができる。
【0070】
第2実施形態に係る医療用チューブシール装置セット2は、載置台の構成が異なる点以外では、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0071】
[第3実施形態]
図16は、第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3の電気的構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0072】
第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3は、基本的には第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するが、モード切替スイッチを備える点及び制御部の機能が、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは異なる。
【0073】
第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3においては、
図16に示すように、載置台300には、「通常モード」と「山なりモード」のいずれか一方のモードに切り替えるためのモード切替スイッチ374が設けられている。「通常モード」とは、
図11(a)に示したように、8台のチューブシール装置10A〜10Hにおける各チューブシール部20A〜20H(電極21A〜21H)について、その水平位置が揃った状態となるモードのことをいう。「山なりモード」とは、
図11(b)に示したように、チューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部が、他のチューブシール装置のチューブシール部に比べて、電極の位置が高く配置された状態となるモードのことをいう。
【0074】
載置台300の主制御部390は、各昇降機構181〜186の制御を実行する機能として、第1実施形態で説明した「チューブの挿入の検知」を条件とするのではなく、「モード切替え」を条件としている。
【0075】
例えば、使用者がモード切替スイッチ374を操作して「山なりモード」を選択すると、主制御部390は、モードが切り替えられたことにともない、チューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部が、他のチューブシール装置のチューブシール部に比べて、電極の位置が高くなるように、各昇降機構181〜186の制御を実行する。
【0076】
このように、第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは、モード切替スイッチを備える点及び制御部の機能が異なるが、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様に、中央寄りに配置されたチューブシール装置におけるチューブシール部の位置が、他のチューブシール装置におけるチューブシール部よりも高くなるように、載置台300の主制御部390が各昇降機構181〜186を制御するように構成されているため、結果として、チューブの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするような、望ましくないケースの発生を抑制することができる。
【0077】
第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3においては、モード切替スイッチ374を「山なりモード」に切り替えると、載置台300の主制御部390における所定の制御条件(載置面の昇降動作を開始する条件)が満たされるように構成されている。これにより、使用者がモード切替スイッチ374を操作したことをきっかけとして、主制御部390による昇降機構181〜186の制御が実行されることとなる。
【0078】
第3実施形態に係る医療用チューブシール装置セット3は、モード切替スイッチを備える点及び制御部の機能が異なる点以外では、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0079】
[第4実施形態]
図17は、第4実施形態に係る医療用チューブシール装置セット4の電気的構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態で説明した部材と同一の部材については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
第4実施形態に係る医療用チューブシール装置セット4は、基本的には第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するが、制御部の機能が、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは異なる。
【0081】
載置台400の主制御部490は、各昇降機構181〜186の制御を実行する機能として、第1実施形態で説明した「チューブの挿入の検知」を条件とするのではなく、「主電源スイッチのON/OFF切替え」を条件としている。
【0082】
例えば、使用者が主電源スイッチ172をOFFからONに切り替えると、主制御部490は、電源がONに切り替えられたことにともない、チューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部が、他のチューブシール装置のチューブシール部に比べて、電極の位置が高くなるように、各昇降機構181〜186の制御を実行する。
【0083】
このように、第4実施形態に係る医療用チューブシール装置セット4は、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1とは、制御部の機能が異なるが、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様に、中央寄りに配置されたチューブシール装置におけるチューブシール部の位置が、他のチューブシール装置におけるチューブシール部よりも高くなるように、載置台400の主制御部490が各昇降機構181〜186を制御するように構成されているため、結果として、チューブの挿入が検知されずシール動作が行われなかったり、望ましい位置でシール溶着できなかったりするような、望ましくないケースの発生を抑制することができる。
【0084】
第4実施形態に係る医療用チューブシール装置セット4においては、主電源スイッチ172をOFFからONに切り替えると、載置台400の主制御部490における所定の制御条件(載置面の昇降動作を開始する条件)が満たされるように構成されている。これにより、使用者が主電源スイッチ172を操作したことをきっかけとして、主制御部490による昇降機構181〜186の制御が実行されることとなる。
【0085】
第4実施形態に係る医療用チューブシール装置セット4は、制御部の機能が異なる点以外では、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る医療用チューブシール装置セット1が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する。
【0086】
以上、本発明の医療用チューブシール装置セット及び載置台を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0087】
(1)上記実施形態においては、上方向からチューブを挿入するタイプのチューブシール装置を例示して、セット中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部(一対の電極)が高くなるように、各昇降機構の制御が実行される場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、下方向からチューブを挿入するタイプのチューブシール装置であれば、セット中央寄りに配置されたチューブシール装置のチューブシール部(一対の電極)が、他のチューブシール装置のチューブシール部(一対の電極)の位置よりも低くなるように、各昇降機構の制御が実行されることが好ましい。
【0088】
(2)上記実施形態においては、8台のチューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置された2台のチューブシール装置10D,10Eについて、一対の電極の高さ(カバー部材に設けられたスリット部の最下部の高さ)が同じとなるように、各昇降機構の制御が実行される場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2台のチューブシール装置10D,10Eのうちいずれか一方における一対の電極の高さ(スリット部の最下部の高さ)が最も高くなるように、各昇降機構の制御が実行されてもよいし、8台のチューブシール装置10A〜10Hのうち中央寄りに配置された3台又は4台のチューブシール装置について、一対の電極の高さ(スリット部の最下部の高さ)が同じとなるように、各昇降機構の制御が実行されてもよい。また、8台のチューブシール部における各一対の電極の位置関係(各スリット部の最下部の位置関係)について、上記実施形態では、セット中央位置(チューブシール装置10D,10Eの間)を通るz軸に対して線対称である場合を例示して説明したが、線対称となっていなくてもよい。
【0089】
(3)上記第1実施形態においては、チューブの挿入前後において、載置面112〜117の高さを変動させ、載置面111,118の高さを変動させないように構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、初めから載置面がある程度の高さに設定されているのであれば、左右方向両端部に位置する載置面の位置を下方に変動させるように構成してもよい。
【0090】
(4)上記実施形態においては、一対の電極のうち電極移動機構側に位置する電極が動くように構成されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電極移動機構とは反対側に位置する電極が動くように構成されていてもよいし、両方の電極が動くように構成されていてもよい。
【0091】
(5)上記実施形態においては、チューブシール部が、高周波でチューブを閉塞する機能を有する高周波チューブシーラーである場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波チューブシーラーや、インパルス加熱式チューブシーラーなどであってもよい。なお、上記実施形態においては、チューブシール部が高周波チューブシーラーであることから、一対の電極を備える場合を例示して説明したが、例えばチューブシール部が超音波チューブシーラーであれば、一対の電極に代えて超音波ホーンとアンビルを備えることとなり、インパルス加熱式チューブシーラーであれば、一対の電極に代えて一対のヒーター部を備えることとなる。
【0092】
(6)上記実施形態においては、検知部が透過型のフォトインタラプタである場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型のフォトリフレクタであってもよい。
【0093】
(7)上記実施形態においては、8台のチューブシール装置すべてに検知部が2つずつ配設されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、8台のチューブシール装置すべてにおいて、2つ以上の検知部が配設されていてもよいし、装置正面から見て電極の右側又は左側にのみ1つの検知部が配設されていてもよい。または、8台のチューブシール装置のうち、正面から見て右から偶数番目又は奇数番目に位置するチューブシール装置にのみ1つ又は2つ以上の検知部が配設されていてもよい。
【0094】
(8)上記実施形態においては、電極移動機構が電動シリンダからなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ソレノイドの駆動とバネ部材の付勢力を利用して電極を移動させる機構など、他の公知の手段を用いてもよいことは言うまでもない。
【0095】
(9)上記実施形態においては、昇降機構がピン式のエアシリンダからなる場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、他の構造からなるエアシリンダであってもよいし、電動シリンダやラック・アンド・ピニオン機構、ソレノイド等の他のアクチュエータを用いてもよい。また、空気圧式又は電動式のジャッキ機構を採用してもよい。
【0096】
(10)上記第1実施形態においては、昇降機構が、各載置面の下面に4つずつ配設されている場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、載置面を昇降させることが可能であれば、その数を増減させてもよい。
【0097】
(11)上記実施形態においては、チューブシール装置の数が8台である場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。3台以上のチューブシール装置を備える医療用チューブシール装置セットであっても、本発明を適用可能である。