特許第6442225号(P6442225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442225
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】物体検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/46 20060101AFI20181210BHJP
   G01S 15/93 20060101ALI20181210BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   G01S15/46
   G01S15/93
   B60R21/00 991
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-215097(P2014-215097)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-80647(P2016-80647A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】福万 真澄
(72)【発明者】
【氏名】大林 幹生
(72)【発明者】
【氏名】貴田 明宏
【審査官】 大▲瀬▼ 裕久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−089077(JP,A)
【文献】 特開2014−093039(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/167680(WO,A1)
【文献】 特開昭62−119487(JP,A)
【文献】 米国特許第06396435(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00−19/55
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
探査波を送信し前記探査波の反射波を物体の検知情報として受信する複数の物体検知センサ(20)を備える移動体(30)に適用され、前記検知情報に基づいて前記移動体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置(10)であって、
前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサと同一のセンサが受信した反射波である直接波により前記物体を検知する第1検知手段と、
前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサとは異なるセンサが受信した反射波である間接波により前記物体を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段及び前記第2検知手段の検知結果に基づいて、三角測量の原理により前記物体の位置情報を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段により算出した前記位置情報が前記移動体の進路領域内にある場合に、前記位置情報のうち前記移動体の進行方向に直交する方向の位置情報である横位置情報と、前記位置算出手段により算出した位置情報の信頼度とに基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定する接触判定手段と、
を備え
前記接触判定手段は、前記信頼度に基づいて、前記横位置情報の検知ばらつきが生じるばらつき範囲を設定し、該設定したばらつき範囲と前記進路領域との位置関係に基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定することを特徴とする物体検知装置。
【請求項2】
前記接触判定手段は、前回の演算周期までに前記物体が前記移動体の接触対象であると判定した場合に、該判定した後の演算周期において、前記信頼度に対する前記ばらつき範囲を判定前よりも小さく設定する請求項に記載の物体検知装置。
【請求項3】
探査波を送信し前記探査波の反射波を物体の検知情報として受信する複数の物体検知センサ(20)を備える移動体(30)に適用され、前記検知情報に基づいて前記移動体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置(10)であって、
前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサと同一のセンサが受信した反射波である直接波により前記物体を検知する第1検知手段と、
前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサとは異なるセンサが受信した反射波である間接波により前記物体を検知する第2検知手段と、
前記第1検知手段及び前記第2検知手段の検知結果に基づいて、三角測量の原理により前記物体の位置情報を算出する位置算出手段と、
前記位置算出手段により算出した前記位置情報が前記移動体の進路領域内にある場合に、前記位置情報のうち前記移動体の進行方向に直交する方向の位置情報である横位置情報と、前記位置算出手段により算出した位置情報の信頼度とに基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定する接触判定手段と、
を備え
前記進路領域は、前記移動体の右側方及び左側方から前記移動体の進行方向に延びる左右の線(L11、L12)に挟まれた領域であり、
前記接触判定手段は、前記進路領域が前記信頼度に応じた縮小率で前記移動体の進行方向に直交する方向における前記移動体の中心線(31)に向かう方向に前記進路領域よりも縮小した領域を縮小範囲として前記進路領域内に設定し、該設定した前記縮小範囲と前記横位置情報との位置関係に基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定することを特徴とする物体検知装置。
【請求項4】
前記接触判定手段は、前回の演算周期までに前記物体が前記移動体の接触対象であると判定した場合に、該判定した後の演算周期において、前記信頼度に対する前記縮小範囲を判定前よりも大きく設定する請求項に記載の物体検知装置。
【請求項5】
前記反射波の受信時刻に基づいて前記移動体と前記物体との距離を算出する距離算出手段を備え、
前記接触判定手段は、前記位置算出手段により算出した前記位置情報が前記移動体の進路領域内にある場合に、前記横位置情報、前記信頼度及び前記距離算出手段により算出した距離に基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定する請求項1〜のいずれか一項に記載の物体検知装置。
【請求項6】
前記物体検知センサは、前記探査波として超音波を送信する超音波センサである請求項1〜のいずれか一項に記載の物体検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の物体を検知する物体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサ等の測距センサを車両に搭載し、車両周辺に存在する先行車両や歩行者、障害物等の物体を検知するとともに、その物体の検知結果に基づいて車両の走行安全性を向上させるための各種制御、例えば、制動装置の作動や、運転者への報知等を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の物体検知装置では、複数個の測距センサを車両に搭載し、三角測量の原理により物体の車幅方向における位置を算出している。また、物体の車幅方向の位置が車幅の範囲内である場合には物体検知と判定し、物体の車幅方向の位置が車幅の範囲を超えた場合には物体非検知と判定している。こうした制御により、接触するおそれの少ない位置に存在する物体を誤検知することを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−89077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
測距センサを用いて物体を検知する場合、物体の形状や周囲の環境によって音波の反射が変わり、反射のばらつきにより物体の検知位置にばらつきが生じることがある。そのため、三角測量により算出した物体位置は車両進路領域内であるにも関わらず、実際には物体が車両進路領域外に存在していることが生じ得る。かかる場合、検知した物体に対して、例えば接触回避のための制御を行う必要がないにも関わらず、該制御が不要に作動してしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、実際には接触しない位置に存在する物体を接触対象として誤検知することを防止することができる物体検知装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0008】
本発明は、探査波を送信し前記探査波の反射波を物体の検知情報として受信する複数の物体検知センサ(20)を備える移動体(30)に適用され、前記検知情報に基づいて前記移動体の周囲に存在する物体を検知する物体検知装置(10)に関する。
【0009】
の構成は、前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサと同一のセンサが受信した反射波である直接波により前記物体を検知する第1検知手段と、前記複数の物体検知センサのうち前記探査波を送信したセンサとは異なるセンサが受信した反射波である間接波により前記物体を検知する第2検知手段と、前記第1検知手段及び前記第2検知手段の検知結果に基づいて、三角測量の原理により前記物体の位置情報を算出する位置算出手段と、前記位置算出手段により算出した前記位置情報が前記移動体の進路領域内にある場合に、前記位置情報のうち前記移動体の進行方向に直交する方向の位置情報である横位置情報と、前記位置算出手段により算出した位置情報の信頼度とに基づいて、前記物体が前記移動体の接触対象か否かを判定する接触判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
物体位置の検知ばらつきが大きい場合、実際には移動体に接触しない位置に存在しているにも関わらず、移動体の進路領域内の位置に検知されることで、例えば物体との接触を回避するための制御が不要に作動してしまうことが考えられる。ここで、物体位置の信頼度が低いほど、移動体の進行方向に直交する方向(幅方向)の検知ばらつきが大きくなっている可能性があり、移動体の進路領域内に物体が検知されている場合であっても、移動体と接触する位置に実際に存在しているか否かが不確かである。この点に着目し、上記構成とすることにより、実際には移動体と接触するおそれが少ない位置に存在する物体を接触対象と判断することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】物体検知装置の概略構成を示す図。
図2】物体位置の算出方法を説明するための図。
図3】第1実施形態の物体接触判定処理の概要を表す図。
図4】第1実施形態の物体接触判定処理の処理手順を示すフローチャート。
図5】信頼レベル判定カウンタと誤差幅との関係を示す図。
図6】物体との検知距離と誤差幅との関係を示す図。
図7】第2実施形態の物体接触判定処理の概要を表す図。
図8】第2実施形態の物体接触判定処理の処理手順を示すフローチャート。
図9】信頼レベル判定カウンタと縮小角度との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、移動体に搭載される物体検知装置として具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る物体検知装置は、移動体としての車両に搭載された車載装置であり、物体検知センサとしての測距センサから物体の検知情報を受信することにより、車両の周囲に存在する物体(例えば、他の車両や道路構造物等)を検知する。まずは、本実施形態に係る車両の物体検知システムの概略構成について図1を用いて説明する。
【0013】
図1において、測距センサ20は、例えば超音波センサであり、20〜100kHzの超音波を探査波として送信する機能と、物体から反射した探査波を反射波として受信する機能とを有している。本実施形態では、車両前部(例えば前方バンパ)に、車両30の進行方向に直交する方向である車幅方向に並ぶようにして、4つのセンサが所定の間隔を開けて取り付けられている。具体的には、測距センサ20は、車幅の中心線31の近傍に、中心線31に対して対称位置に取り付けられた2つのセンタセンサ(第1センタセンサ21,第2センタセンサ22)と、車両30の左コーナ及び右コーナにそれぞれ取り付けられたコーナセンサ23,24とを備えている。なお、車両30には、車両後部(例えば後方バンパ)にも測距センサ20が取り付けられているが、センサの取り付け位置及び機能は車両前部のセンサと同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0014】
測距センサ20の各々には、自らが送信した探査波の反射波(直接波)を受信可能なエリアとして直接検知範囲40が設定されており、隣り合う2つの測距センサ20の直接検知範囲40の一部が重複するように測距センサ20が取り付けられている。なお、図1では、2つのセンタセンサ21,22の直接検知範囲41,42のみを図示しているが、コーナセンサ23,24についても直接検知範囲40が設定されており、かつ隣り合うセンサ同士で互いの直接検知範囲40の一部が重複している。測距センサ20には、反射波の振幅の閾値が設定されており、閾値以上の振幅の反射波を測距センサ20が受信した場合に、反射波の受信時刻を含む検知情報を、物体検知装置としてのECU10に送信する。
【0015】
ECU10は、CPU、各種メモリ等から構成されたマイコンを主体として構成され、測距センサ20から受信した物体の検知情報に基づいて、車両周辺の物体50の有無を検知する。具体的には、ECU10は、測距センサ20に制御信号を出力し、所定時間間隔(例えば、数百ミリ秒間隔)で測距センサ20から超音波を送信するよう指令する。また、ECU10は、測距センサ20から受信した物体の検知情報により、車両周辺に物体が存在するか否かを判断する。そして、車両周辺に物体50が存在すると判断した場合には、車両30が物体50に接触しないように、接触回避制御として車両30の操舵角制御や減速制御を行ったり、あるいは車両30の運転者に対して警報音による報知を行ったりする。
【0016】
測距センサ20は、ECU10からの送信指令に伴い、予め設定された順序に従って各センサ21〜24から所定の時間間隔で超音波を送信する。本実施形態では、ECU10からの指令に伴い、まず第1センタセンサ21から超音波を送信し、続いて第2センタセンサ22、最後に2つのコーナセンサ23,34の順に超音波を送信する。なお、各センサ21〜24からの探査波は、互いに干渉しない時間間隔で送信されるようになっている。また、本実施形態では、超音波の送信後、測距センサ20で最初に受信した反射波のみを有効とし、2回目以降に受信する反射波については無効としている。
【0017】
ECU10は、測距センサ20から受信した物体の検知情報を用い、三角測量の原理を利用して、車両30に対する物体50の相対的な位置(座標)を算出する。三角測量の原理は、公知のとおり、既知の2点間の距離、及び既知の2点のそれぞれと測定点との距離を測定することで測定点の座標を算出するものである。この原理により、ECU10は、直接検知範囲40が重複する2つの測距センサ20の間の距離、及び測距センサ20の各々と物体50との距離を用いて、車幅方向における物体50の推定位置を算出する。
【0018】
図2は、物体50の検知位置の算出方法を説明する図であり、2つのセンタセンサ21,22と、各センサ21,22の前方に位置する物体50とを平面視で表している。なお、図2では、第1センタセンサ21を、探査波を送信して直接波を受信する直接検知センサとし、第2センタセンサ22を、他のセンサが送信した超音波の反射波(間接波)を受信する間接検知センサとしている。直接検知センサ及び間接検知センサは、三角測量を行う2つのセンサである。
【0019】
ECU10は、2つのセンタセンサ21,22を結ぶ直線をX軸とし、センタセンサ21,22の中間を通り、かつX軸に垂直な直線をY軸とした座標系を設定し、その座標系のX座標(x)及びY座標(y)を物体50の検知位置として算出する。具体的には、ECU10は、直接検知センサ(図2では第1センタセンサ21)から探査波25を送信させる。そして、探査波25が反射して直接波26としてセンサで受信されると、その受信された直接波26に基づいて、第1センタセンサ21から物体50までの距離L1を算出する。また、探査波25の反射波が間接波27としてセンサで受信されると、その受信された間接波27に基づいて、第2センタセンサ22から物体50までの距離L2を算出する。
【0020】
X軸とY軸との交点である原点Oと第1センタセンサ21との距離、及び原点Oと第2センタセンサ22との距離は等しく、この距離dは予めECU10に記憶されている。また、ECU10は、第1センタセンサ21が直接波26を受信した時刻、及び、第2センタセンサ22が間接波27を受信した時刻から、第1センタセンサ21が探査波25を送信した時刻を減算した時間を、それぞれ第1時間t1、第2時間t2として算出する。このとき、第1時間t1に音速を乗算した値が第1距離L1の2倍の値であり、第2時間t2に音速を乗算した値が第1距離L1と第2距離L2との合計の値である。ECU10は、センタセンサ21,22間の距離2d、第1時間t1、及び第2時間t2を用いて三角測量の演算を行うことにより、物体50の座標(x,y)を算出する。
【0021】
なお、図2では、第1センタセンサ21が直接検知センサ、第2センタセンサ22が間接検知センサである場合を一例に挙げて説明したが、4つのセンサ21〜24の間で隣り合う2つのセンサの全ての組み合わせで、直接検知センサ及び間接検知センサの組み合わせが成立する。これにより、第1センタセンサ21及び第2センタセンサ22の組み合わせに限らず、他の全ての組み合わせでも同様に、直接波及び間接波を用いた三角測量の原理により物体の検知位置の演算が行われる。また、車両後部の測距センサ20についても同様に、隣り合う2つのセンサの全ての組み合わせで、三角測量の原理により、車両周辺に存在する物体の検知位置が算出される。物体50の座標(x、y)のうちのX座標が「横位置情報」に相当する。
【0022】
ECU10は、測距センサ20で同一の物体を検知した回数に基づいて、物体が存在することの確からしさを表す指標としての信頼レベル判定カウンタNを設定している。本実施形態では、センサごとに信頼レベル判定カウンタNの増減が行われるようになっており、同一センサによる同一物体の検知回数が多いほど、カウンタ値が大きい値に(信頼レベルが高い側に)設定される。そして、信頼レベル判定カウンタNが閾値を超えた場合に、センサ20で検知した位置に制御対象の物体有りと確定され、接触回避制御の介入が許可される。また、前回の演算周期で検知された物体と、今回の演算周期で検知された物体とが別物体であると判断された場合には、信頼レベル判定カウンタNがリセットされる。信頼レベル判定カウンタNが「物体位置の信頼度」に相当する。
【0023】
ここで、自車進路外に存在する物体は自車両30と接触の可能性がなく、こうした物体については接触回避制御の対象から外すことにより、接触回避制御の不要作動を回避することが望ましい。その一方で、測距センサ20では、物体の形状や周囲の環境によって音波の反射が変わり、間違った位置に物体を検知することがある。そのため、センサ20による物体の検知位置は車両進路領域内であるにも関わらず、実際には物体が車両進路領域外に存在していることが生じ得る。かかる場合、検知した物体に対して接触回避のための制御を行う必要がないにも関わらず、該制御が不要に作動してしまう。
【0024】
そこで本実施形態では、測距センサ20で検知した物体の位置が車両進路領域内にある場合に、センサ20により検知した物体の横位置xと、その物体位置の確からしさ(信頼度)とに基づいて、検知した物体が、車両30との接触の対象となる物体であるか否かを判定する接触判定処理を実行する。そして、車両30との接触の対象となる物体であると判定された場合には、接触回避のための制御を実行し、そうでない場合には接触回避のための制御対象から除外するようにしている。
【0025】
具体的には、まず、センサ20で検知した物体位置の信頼度に基づいて、物体の横位置xの検知ばらつきの幅である誤差幅Wを算出する。そして、センサ20で検知した物体の横位置xと誤差幅Wとに基づいて横位置xのばらつき範囲Pを設定し、設定したばらつき範囲Pと車両進路領域との位置関係に基づいて、検知した物体が車両30との接触の対象となる物体であるか否かを判定する。
【0026】
図3は、本実施形態の接触判定処理の概要を表す図である。図3中、L11及びL12の二点鎖線は、それぞれ車両30の右側方及び左側方から車両進行方向に延びる線であり、車両進路領域Sの境界線を示している。図中の物体51〜53について、物体51及び物体52は車両30からの距離が同じであり、物体53はそれよりも遠くに位置している。また、物体51は、物体52や物体53よりも信頼レベル判定カウンタNの値が大きく、物体位置の信頼度が高くなっている。
【0027】
まず、車両前方に物体51が存在している場合について考える。この場合、物体51の現在の信頼レベル判定カウンタNの値に応じて誤差幅W1を設定するとともに、物体51の横位置x1を中心とする左右方向(車幅方向)に、横位置x1のばらつきが生じる範囲として、誤差幅W1に応じたばらつき範囲P1を設定する。このとき、信頼レベル判定カウンタNの値が大きいほど、物体がその位置に存在していることが確からしいと判断でき、よって誤差幅Wとしては小さい値が設定される。これにより、信頼レベル判定カウンタNの値が大きいほど、ばらつき範囲Pとして左右方向に狭い範囲が設定される。物体51では、横位置xのばらつき範囲Pの全体が車両進路領域S内に収まっており、この場合には物体51を車両30の接触対象であると判断し、車両30との接触回避のための制御対象と確定する。
【0028】
これに対し、物体52の信頼レベル判定カウンタNの値は物体51よりも小さく、この場合には、物体の横位置xの検知ばらつきとして、物体51の誤差幅W1よりも大きい誤差幅W2を設定する。これにより、ばらつき範囲Pとしては、物体51のばらつき範囲P1よりも左右方向に広い範囲P2が設定される。図3において、物体52では、横位置xのばらつき範囲P2の一部が車両進路領域S外に出ている。この場合には物体52を車両30の接触対象であると判断せず、この段階では接触回避制御の制御対象から除外する。
【0029】
また本実施形態では、物体までの検知距離が長いほど、誤差幅Wとして大きい値を設定している。ここで、物体の形状に対する検知ばらつきは、物体までの距離が近くなるに従って小さくなる。ところが、車両30が停止している状態で物体が検知され続けた場合、検知回数の増加に伴い信頼レベル判定カウンタNが上昇し続け、その結果、車両30から遠い位置に物体が存在しているにも関わらず、物体位置の信頼度が高いと判断されることになる。そこで本実施形態では、信頼レベル判定カウンタNの値に加え、物体までの検知距離を考慮して誤差幅Wを設定することとしている。
【0030】
具体的には、物体53に対しては、物体の横位置xの検知ばらつきとして、物体51や物体52よりも大きい誤差幅W3を設定する。これにより、ばらつき範囲Pとしては、物体51及び物体52のばらつき範囲よりも左右方向に広い範囲P3が設定される。図3において、物体53のばらつき範囲P3の一部が車両進路領域S外に出ているため、物体53は車両30の接触対象とは判断せず、接触回避制御の制御対象から除外する。
【0031】
次に、本実施形態の物体接触判定処理の処理手順について図4のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU10により所定の演算周期で実行される。
【0032】
図4において、ステップS101では、今回の探査波の送信で三角測量が成立したか否かを判定する。ここでは、測距センサ20から探査波の送信後、所定の待機期間内に直接波及び間接波の受信があった場合に肯定判定される。所定の待機期間は、探査波を送信してから反射波を受信するまでの待ち時間であり、例えば数十msecが設定されている。ステップS101で肯定判定された場合にはステップS102へ進み、受信した直接波及び間接波の検知情報に基づいて、三角測量の原理により物体検知位置を算出する(位置算出手段)。この処理では、図2の算出方法に従って物体検知位置としての座標(x,y)を算出する。
【0033】
続くステップS103では、今回の演算周期で検知した物体が前回の演算周期で検知した物体と同一の物体であるか否かを判定する。同一物体か否かの判定は、例えば前周期までの物体の検知位置の履歴に基づき予測した次回の物体位置と、今回の物体検知位置との位置関係を比較し、予測位置と検知位置とのずれ量が所定値以下である場合に同一物体であると判定する。同一物体であればステップS104へ進む。
【0034】
ステップS104では、センサ20で検知した物体の位置(物体検知位置)が車両進路領域内か否かを判定する。車両進路領域外であれば、ステップS105へ進み、今回検知した物体は車両30に接触するおそれのない物体、つまり接触回避制御の対象外であると判定する。
【0035】
一方、物体検知位置が車両進路領域内である場合にはステップS106へ進み、今回検知の物体に対して前回の演算周期までに接触対象の物体であると判定した履歴(判定履歴)があるか否かを判定する。前回の演算周期までに接触対象の物体であると判定していなければステップS107へ進み、物体位置の信頼度及び物体までの距離Dに基づいて、物体の横位置xの誤差幅Wを算出する。なお、物体位置の信頼度としては、信頼レベル判定カウンタNの値を用いる。物体までの距離Dは、測距センサ20の検知結果による演算値である。
【0036】
本実施形態では、信頼レベル判定カウンタNと距離Dと誤差幅Wとの関係を表す2次元マップが誤差幅設定用マップとして予め定めて記憶してある。誤差幅設定用マップとしては、接触対象の判定履歴なしの場合に用いる第1マップと、接触対象の判定履歴有りの場合に用いる第2マップとが設定されている。ステップS107では、第1マップを選択して誤差幅Wを算出する。
【0037】
図5に信頼レベル判定カウンタNと誤差幅Wとの関係、図6に物体までの検知距離Dと誤差幅Wとの関係を模式的に表す。まず、図5について、第1マップ及び第2マップのいずれも、信頼レベル判定カウンタNの値が大きいほど(物体位置の信頼度が高いほど)、誤差幅Wが小さく設定されるようになっている。また、第2マップについて、信頼レベル判定カウンタNが所定値Ni以上(物体の信頼度が所定以上)では、信頼度に対する誤差幅Wを第1マップよりも小さく設定している。つまり、今回検知の物体に対して前回の演算周期までに接触対象であると一旦判定した後では、物体位置の信頼度が十分に高い状況において誤差幅Wを小さく設定することで、判定結果の頻繁な切り替わりを抑制するようにしている。また、距離Dと誤差幅Wとの関係については、第1マップと第2マップで同じであり、図6に示すように、距離Dが大きいほど、誤差幅Wが大きく設定されるようになっている。
【0038】
図4の説明に戻り、ステップ108では、物体の横位置xと誤差幅Wとに基づいて横位置xのばらつき範囲Pを設定し、ばらつき範囲Pが車両進路領域内に含まれるか否かを判定する。ここでは、ばらつき範囲Pの全体が車両進路領域内に収まる場合に肯定判定される。そして、ばらつき範囲Pの一部でも車両進路領域から外れる場合には、ステップS105へ進み、今回検知した物体について、車両30の接触対象と判断せず、ここでは接触回避制御の対象外とする。一方、ばらつき範囲Pが車両進路領域内に含まれる場合には、ステップS109へ進み、今回検知した物体を車両30の接触対象、つまり接触回避制御の対象と判定する。
【0039】
なお、ばらつき範囲Pが車両進路領域内に含まれるか否かを判定する処理では、ばらつき範囲Pの左右方向における境界値のX座標のみを算出し、該算出した左右方向の2つのX座標が共に車両進路領域内の座標である場合に肯定判定する構成としてもよい。
【0040】
また、ステップS109で接触対象と判定されると、その後、同一の物体を検知している限りステップS106で肯定判定されてステップS110へ進む。ステップS110では、第2マップを用いて、物体位置の信頼度及び距離Dに基づき誤差幅Wを算出する。そして、ステップS108以降の処理を実行する。
【0041】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0042】
物体位置の信頼度に基づいて誤差幅Wを算出し、物体の横位置xと誤差幅Wとに基づき設定される横位置xのばらつき範囲Pと、車両進路領域との位置関係に基づいて、検知した物体が車両30の接触対象か否かを判定する構成とした。物体の信頼度(信頼レベル判定カウンタN)に応じて物体の横位置xの検知ばらつきが異なり、その検知ばらつきに応じて横位置xのばらつき範囲Pの大きさが変化する。その点に着目し、横位置xのばらつき範囲Pと車両進路領域との位置関係を比較する構成とすることにより、車両30と接触しない物体について、センサ20の誤検知により接触対象と判断することを抑制することができる。
【0043】
物体位置の信頼度だけでなく、物体との距離Dをパラメータに用いて誤差幅Wを設定する構成とした。こうした構成によれば、車両停止状態において物体が車両30の接触対象か否かを適切に判断することができる。
【0044】
今回検知の物体が、前回の演算周期までに車両30の接触対象であると判定済みの場合には、それ以降の演算周期において、物体位置の信頼度に対する横位置xのばらつき範囲Pを小さく設定する構成とした。具体的には、今回検知の物体が、前回の演算周期までに車両30の接触対象であると判定済みの場合には、誤差幅設定用マップとして第2マップを用いて誤差幅Wを算出することで、信頼レベル判定カウンタNが所定値Ni以上であることを条件に、信頼度に対する誤差幅Wを小さく設定するようにした。こうした構成によれば、今回検知の物体に対して、前回の演算周期までに接触対象であると一旦判定された後では、物体の信頼度が十分に高い状況において、判定結果の頻繁な切り替わりを抑制することができる。
【0045】
超音波センサは、車両進行方向の検知誤差は小さいのに対し、車幅方向の演算誤差が比較的大きく、物体位置を間違った位置に演算することが十分にある。したがって、測距センサ20として超音波センサを備えるシステムに適用することにより、間違った位置を演算した場合にも、その間違った位置情報に基づき、本来、接触回避制御の制御対象外である物体に対して、不要な接触回避制御が行われることを好適に抑制することができる。
【0046】
(第2実施形態)
【0047】
次に、物体検知装置として具体化した第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態の物体接触判定処理では、センサ20で検知した物体位置の信頼度に応じた縮小率で車両進路領域Sを車幅方向に縮小した縮小範囲Kを設定し、該設定した縮小範囲Kと、物体の横位置xとの位置関係に基づいて、測距センサ20により検知した物体が車両30の接触対象か否かを判定する。
【0048】
図7は、本実施形態の物体接触判定処理の概要を表す図である。図7中、L11及びL12の二点鎖線は、それぞれ車両30の右側方及び左側方から車両進行方向に延びる線であり、車両進路領域Sの境界線となっている。
【0049】
本実施形態では、物体54の現在の信頼レベル判定カウンタNの値に応じて、車両進路領域Sを車幅方向に縮小する縮小率を設定する。本実施形態では、境界線L11,L12を車両30の中心線31の方向に傾ける傾きとしての縮小角度θによって縮小率を設定しており、境界線L11,L12を縮小角度θで傾斜させた傾斜線K1,K2で挟まれた領域が縮小範囲Kとなる。このとき、信頼レベル判定カウンタNが大きいほど、縮小率として小さい値が設定され、縮小範囲Kとしては大きい範囲が設定される。そして、物体54の位置が縮小範囲K内にあれば、物体54を車両30の接触対象と判断して接触回避制御の制御対象とする。一方、物体54の位置が縮小範囲Kから外れている場合には、物体54を車両30の接触対象とは判断せず、接触回避制御の制御対象から除外する。
【0050】
ここで、物体54の現在の信頼レベル判定カウンタNが第1カウンタ値Nhである場合と、第1カウンタ値Nhよりも低い第2カウンタ値Nlである場合について考える。信頼レベル判定カウンタNが第1カウンタ値Nhである場合には、縮小角度として傾きθaが設定され、第2カウンタ値Nlである場合には、θaよりも大きい傾きθb(θa<θb)が設定される。図7において、物体54は、傾きθaでの縮小範囲、つまり傾斜線K1,K1で挟まれた領域に物体54があり、この場合には、物体54を車両30の接触対象と判断する。これに対し、物体54は、傾きθbでの縮小範囲K、つまり傾斜線K2,K2で挟まれた領域からは外れており、この場合には、物体54を車両30の接触対象から除外する。
【0051】
なお、境界線L11,L12を車両30の中心線31の方向に傾ける傾きによって縮小率を設定することにより、物体までの距離Dに応じて縮小範囲Kを設定することが可能になる。具体的には、距離Dが大きいほど、車両進路領域を車幅方向において縮小することができ、これにより車両30から離間しているほど車両30の接触対象の物体と判定されにくくなる。
【0052】
次に、本実施形態の物体接触判定処理の処理手順について図8のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU10により所定の演算周期で実行される。なお、図8の説明では、上記図4と同じ処理については図8のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0053】
図8において、ステップS201〜S206では、上記図4のステップS101〜S106と同じ処理を実行する。ステップS206で肯定判定された場合、ステップS207へ進み、物体位置の信頼度に基づいて縮小角度θを設定する。本実施形態では、信頼レベル判定カウンタNと縮小角度θとの関係を表すマップが縮小率設定用マップとして予め定めて記憶してある。縮小率設定用マップとしては、接触対象の判定履歴なしの場合に用いる第1マップと、接触対象の判定履歴有りの場合に用いる第2マップとが設定されている。ステップS207では、第1マップを選択して縮小角度θを設定する。
【0054】
図9に信頼レベル判定カウンタNと縮小角度θとの関係を示す。図9において、第1マップ及び第2マップのいずれも、信頼レベル判定カウンタNの値が大きいほど(物体位置の信頼度が高いほど)、縮小角度θが小さく設定されるようになっている。また、第2マップについて、信頼レベル判定カウンタNが所定値Ni以上(物体位置の信頼度が所定以上)では、信頼度に対する縮小角度θを第1マップよりも小さく設定されるようにし、これにより判定結果の頻繁な切り替わりを抑制するようにしている。
【0055】
図8の説明に戻り、ステップ208では、車両進路領域の境界線L11,L12を縮小角度θで傾斜させた傾斜線(K1,K2)で挟まれた領域を縮小範囲Kに設定し、今回の演算周期で算出した物体検知位置が縮小範囲K内にあるか否かを判定する。そして、今回の物体検知位置が縮小範囲Kから外れている場合には、ステップS205へ進み、今回検知の物体を車両30の接触対象と判断せず、接触回避制御の対象から除外する。一方、今回の物体検知位置が縮小範囲K内にあると判定された場合には、ステップS209へ進み、今回検知の物体を車両30の接触対象、つまり接触回避制御の対象と判定する。
【0056】
また、ステップS209で接触対象と判定されると、その後、同一の物体を検知している限りステップS206で肯定判定され、ステップS210へ進む。ステップS210では、第2マップを用いて、物体位置の信頼度に基づき縮小角度θを設定する。そして、ステップS208以降の処理を実行する。
【0057】
以上詳述した第2実施形態によれば、物体の信頼度に応じた縮小率で車両進路領域Sを車幅方向に縮小した縮小範囲Kを設定し、該設定した縮小範囲Kと、物体の横位置xとの位置関係に基づいて、検知した物体が車両30の接触対象か否かを判定する構成とした。つまり、本実施形態では、物体のばらつき範囲Pを求める代わりに、車両進路領域Sを物体位置の信頼度に応じて縮小することにより、車両30と接触しない物体について、センサ20の誤検知により接触対象と判断することを抑制することができる。
【0058】
今回検知の物体が、前回の演算周期までに車両30の接触対象であると判定済みである場合には、該判定前よりも縮小範囲Kを大きく設定する構成とした。具体的には、今回検知の物体が、前回の演算周期までに車両30の接触対象であると判定済みの場合には、第2マップを用いて縮小角度θを算出することで、信頼レベル判定カウンタNが所定値Ni以上であることを条件に、信頼度に対する縮小角度θが小さく設定されるようにした。こうした構成によれば、今回検知の物体に対して、前回の演算周期までに接触対象であると一旦判定された後では、物体の信頼度が十分に高い状況において判定結果の頻繁な切り替わりを抑制することができる。
【0059】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0060】
・上記第1実施形態では、物体位置の信頼度及び物体までの距離Dに基づいて誤差幅Wを算出したが、物体位置の信頼度のみに基づいて誤差幅Wを設定する構成としてもよい。また、第2実施形態において、縮小角度θに代えて、境界線L11,L12を車両30の中心線31の方向にスライドさせるスライド幅により縮小範囲Kを設定してもよい。この場合、物体位置の信頼度が低いほどスライド幅を大きくする構成とするとよい。
【0061】
・車両30の周囲の外気環境に関するパラメータである外気環境パラメータに基づいて、誤差幅W及び車両進路領域の車幅方向の縮小率を可変に設定する構成としてもよい。測距センサ20から送信された超音波の反射は、外気温度や湿度、風の強さなどの車両周囲の環境に応じて変化し、これに応じて物体検知の誤差も相違する。具体的には、外気温度が高いほど反射が弱くなり、湿度が高いほど反射が弱くなり、風が強いほど反射が弱くなる傾向にあり、これに応じて物体検知の誤差も大きくなる傾向にある。この点に着目し、上記構成とすることにより、外気環境による検知ばらつきによる誤判定を好適に抑制することができる。
【0062】
・上記実施形態では、接触判定手段について、センサ20で実際に検知した物体の位置が車両進路領域内である場合に、物体の横位置x(センサ検出値)及び位置情報の信頼度に基づいて、その物体が接触対象か否かを判定する構成としたが、センサ20で実際に検知した物体の位置に代えて、前回までの物体の検知結果に基づき予測した次回の物体の位置を用いる構成としてもよい。つまり、次回の物体の予測位置が車両進路領域内である場合に、物体の横位置x(この場合は予測値)及び位置情報の信頼度に基づいて、その物体が接触対象か否かを判定する構成とする。こうした構成の場合、センサ20による物体の検知周期よりも短い演算周期で物体との接触回避判定を行うことが可能となる。
【0063】
・上記実施形態では、誤差幅W及び車両進路領域の車幅方向の縮小率を設定する際に、判定履歴があるか否かで異なるマップを用いたが、同一のマップを用いてもよい。
【0064】
・物体位置の信頼度を表す指標である信頼レベル判定カウンタNについて、センサごとにカウンタ値の増減が行われるようにしたが、信頼レベル判定カウンタNを全てのセンサで共通のカウンタとしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、物体検知センサとしての測距センサ20を車両30の前部及び後部に備える場合について説明したが、センサの取り付け位置はこれに限らず、例えば、車両30の前後に代えて又はこれに加えて、車両30の左右の側面部に備えていてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、測距センサ20として、探査波に超音波を用いて物体を検出する超音波センサを備える構成に適用したが、探査波を送信し、該送信した探査波の反射波を受信することで物体を検知するセンサであればよく、例えば探査波に電磁波を用いて物体を検出するミリ波レーダやレーザレーダ等を採用してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、車両に搭載された物体検知装置を一例に挙げて説明したが、例えば、鉄道車両、船舶、航空機、ロボット等の移動体に搭載することもできる。
【符号の説明】
【0068】
10…ECU(物体検知装置、第1検知手段、第2検知手段、位置算出手段、接触判定手段、距離算出手段)、20…測距センサ(物体検知センサ)、21,22…センタセンサ、23,24…コーナセンサ、25…探査波、26…直接波、27…間接波、30…車両(移動体)、50…物体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9