(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442238
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ヘッドランプ用レーザ光学系
(51)【国際特許分類】
F21S 41/16 20180101AFI20181210BHJP
H01S 5/022 20060101ALI20181210BHJP
F21S 41/176 20180101ALI20181210BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20181210BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20181210BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20181210BHJP
【FI】
F21S41/16
H01S5/022
F21S41/176
F21S41/25
F21W102:13
F21Y115:30
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-228758(P2014-228758)
(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-72205(P2016-72205A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0129161
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 直 秀
【審査官】
河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−174520(JP,A)
【文献】
特開2010−198805(JP,A)
【文献】
特開2012−038452(JP,A)
【文献】
特開2012−243727(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012223854(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードと、
前記レーザダイオードから出力されたレーザビームを拡散させるとともに、前記レーザビームの幅および高さを所望の形状に特定できるように、表面にマイクロパターンが形成されたパターンフィルムと、
前記パターンフィルムを通して拡散したレーザビームが通過するようにフィルムホールが形成された反射フィルムと、
前記反射フィルムを通過したレーザビームと反応して白色光を出力するもので、フィルム状に形成された蛍光体フィルムと、
前記蛍光体フィルムを透過した白色光を集光して前方に照射する非球面レンズとを含み、
前記レーザダイオードから前記非球面レンズまで一列に配置され、
前記パターンフィルムと前記反射フィルムとが互いに対面するように結合される後方ホルダと、
前記反射フィルムの前方に前記蛍光体フィルムが位置するように前記蛍光体フィルムが結合される前方ホルダと、
前記後方ホルダおよび前記前方ホルダを連結する複数のホルダブラケットとをさらに含むことを特徴とするヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項2】
前記蛍光体フィルムと対面する前記反射フィルムの前面に結合されたもので、前記蛍光体フィルムに励起されずに後方に散乱したレーザビームをさらに前方に再反射させて、光効率を向上させる反射コーティングをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項3】
前記マイクロパターンは、ロービームの実現のために、楕円形突起から形成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項4】
前記マイクロパターンは、ハイビームの実現のために、正円形突起から形成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項5】
前記フィルムホールは、前記マイクロパターンの形状と同じ形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項6】
前記ロービームを実現する場合、前記蛍光体フィルムと対面するように前記前方ホルダに結合されるもので、カットオフラインが形成されたシールドをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【請求項7】
前記反射コーティングは、前記レーザダイオードの非点灯時に蒸着による隠し(hidden)効果を実現できるように、銀色からなる銀反射コーティングであることを特徴とする請求項2に記載のヘッドランプ用レーザ光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプ用レーザ光学系に係り、より詳しくは、光損失の最小化によって光効率を増大させるとともに、光学系のサイズの縮小によってデザイン自由度を高めることのできるヘッドランプ用レーザ光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のヘッドランプ(前照灯)は、運転者の前方の視界確保のために前方を照明するランプであって、通常、ハロゲン、HID(High Intensity Discharge)、又はLEDダイオードを光源として用いる。
しかし、ハロゲン、HID、LEDダイオードなどは消費電力が高いので、光効率が低い欠点があり、特に、光源とレンズを含む光学系全体のサイズが大きく、デザイン自由度が低く、重量が重いという欠点がある。
最近は、環境に優しく、かつ寿命が長く、また、光効率が高いレーザダイオードを光源として用いるヘッドランプの開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
従来のヘッドランプ用レーザ光学系は、
図1に示したとおり、ブルー(blue)の波長帯のレーザビームを生成するレーザダイオード1と、レーザダイオード1から出力された光と反応して白色光を出力するイエロー(yellow)蛍光体2と、イエロー蛍光体2から出力された白色光を前方に反射させる反射体3と、反射体3の前方に位置し、反射体3により反射した白色光を集光および拡散して前方に照射する非球面レンズ4と、ロービームの実現のために、反射体3と非球面レンズ4との間に位置するシールド5とを含む構成となっている。
しかし、従来のレーザ光学系は、レーザダイオード1から出力された光がイエロー蛍光体2に入射して励起された後、反射体3の反射によって非球面レンズ4がある前方に出力される構成であり、反射体3の前方は白色光の出射のために開口しており、これによって、レーザダイオード1から出力された光が蛍光体2に励起された後、反射体3の外部に出射する光損失区間A1が発生し、全体的に光学系の光損失が大きくなり、光効率が減少する欠点がある。
【0004】
つまり、従来の構造は、白色光の前方出射のために反射体3を用いる構成であり、反射体3を用いると、反射体3の外部に白色光が出射する光損失区間A1が発生するため、全体的に光学系の光損失が大きくなり、光効率が減少する欠点があった。
また、体積の大きい反射体3を用いるため、重量が重くなり、光学系のサイズも大きくなることによってデザイン自由度が小さくなり、さらに、コストが上昇するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−224053号公報
【特許文献2】特開2014−157842号公報
【特許文献3】特開2012−009354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、レーザダイオードから出力されたレーザビームが蛍光体に励起された後、直接非球面レンズに出射することで、従来使用されていた反射体を用いない構成にすることにより、反射体の使用に伴う光損失区間を無くすことができ、光損失の最小化および光効率の向上を図り、特に、光学系のサイズの縮小を図ることで重量減少とコスト低減、およびデザイン自由度を高めることのできるヘッドランプ用レーザ光学系を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のヘッドランプ用レーザ光学系は、レーザダイオードと、レーザダイオードから出力されたレーザビームを拡散させるとともに、レーザビームの幅および高さを所望の形状に特定できるように、表面にマイクロパターンが形成されたパターンフィルムと、パターンフィルムを通して拡散したレーザビームが通過するようにフィルムホールが形成された反射フィルムと、反射フィルムを通過したレーザビームと反応して白色光を出力するもので、フィルム状に形成された蛍光体フィルムと、蛍光体フィルムを透過した白色光を集光して前方に照射する非球面レンズとを含み、レーザダイオードから非球面レンズまで一列に配置されたことを特徴とする。
【0008】
パターンフィルムと反射フィルムとが互いに対面するように結合される後方ホルダと、反射フィルムの前方に蛍光体フィルムが位置するように蛍光体フィルムが結合される前方ホルダと、後方ホルダおよび前方ホルダを連結する複数のホルダブラケットとをさらに含むことを特徴とする。
蛍光体フィルムと対面する反射フィルムの前面に結合されたもので、蛍光体フィルムに励起されずに後方に散乱したレーザビームをさらに前方に再反射させて、光効率を向上させる反射コーティングをさらに含むことを特徴とする。
マイクロパターンは、ロービームの実現のために、楕円形突起から形成されたことを特徴とする。
【0009】
マイクロパターンは、ハイビームの実現のために、正円形突起から形成されたことを特徴とする。
フィルムホールは、マイクロパターンの形状と同じ形状に形成されたことを特徴とする。
【0010】
ロービームを実現する場合、蛍光体フィルムと対面するように前方ホルダに結合されるもので、カットオフラインが形成されたシールドをさらに含むことを特徴とする。
反射コーティングは、レーザダイオードの非点灯時に蒸着による隠し(hidden)効果を実現できるように、銀色からなる銀反射コーティングであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、レーザダイオードから出力されたレーザビームが蛍光体フィルムに励起された後、白色光が直接非球面レンズを通して前方に出力される構成にすることにより、光学系の光損失を最小化することが可能になり、これにより、光効率の増大を図ることができ、また、光学系のサイズの縮小によって重量減少およびコスト低減を図ることができ、さらに、デザイン自由度を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来のヘッドランプ用レーザ光学系を説明するための図である。
【
図2】本発明に係るヘッドランプ用レーザ光学系の斜視図である。
【
図3】本発明に係るヘッドランプ用レーザ光学系の分解斜視図である。
【
図4】本発明に係るマイクロパターンを説明するための図である。
【
図5】本発明に係る楕円形突起から形成されるマイクロパターンの図である。
【
図6】本発明に係る正円形突起から形成されるマイクロパターンの図である。
【
図7】本発明に係る反射フィルムおよび反射コーティングを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を基に、本発明の好ましい実施形態に係るヘッドランプ用レーザ光学系について説明する。
本発明に係るヘッドランプ用レーザ光学系は、
図2〜
図7に示したとおり、ブルー(blue)の波長(通常、450nm帯の短波長)帯のレーザビームL1を生成するレーザダイオード10と、レーザダイオード10から出力されたレーザビームL1を拡散させるとともに、レーザビームの幅および高さを所望の形状に特定できるように、表面にマイクロパターン21が形成されたパターンフィルム20と、パターンフィルム20を通して拡散したレーザビームL2が通過するようにフィルムホール31が形成された反射フィルム30と、反射フィルム30を通過したレーザビームと反応して白色光L3を出力するもので、フィルム状に形成された蛍光体フィルム40と、蛍光体フィルム40を透過した白色光を集光して前方に照射する非球面レンズ50とを含み、レーザダイオード10から非球面レンズ50まで一列に配置された構造が特徴である。
ここで、パターンフィルム20と反射フィルム30および蛍光体フィルム40は、ホルダを介して固定されて設けられ、ホルダは、光学系をなすハウジングに固定されて設けられることから、ホルダは、パターンフィルム20と反射フィルム30とが互いに対面するように結合される後方ホルダ60と、反射フィルム30の前方に蛍光体フィルムが位置するように蛍光体フィルム40が結合される前方ホルダ70と、後方ホルダ60および前方ホルダ70を連結する複数のホルダブラケット80とから構成される。
【0014】
また、本発明は、蛍光体フィルム40と対面する反射フィルム30の前面に結合されたもので、レーザダイオード10の点灯時に蛍光体フィルム40に励起されずに後方に散乱したレーザビームをさらに前方に再反射させて、光効率を向上させる反射コーティング90をさらに含む(
図7のL4参照)。
つまり、レーザダイオード10から出力されたレーザビームL1は、パターンフィルム20を通過しながら特定形状に拡散したレーザビームL2となり、拡散したレーザビームL2は、反射フィルム30のフィルムホール31を通過した後、大部分が蛍光体フィルム40に励起されて、白色光L3を出力する。
しかし、一部の拡散したレーザビームL2は蛍光体フィルム40に励起されずに反射フィルム30のある後方に散乱する現象が発生する。本発明に係る反射コーティング90は、後方に散乱したレーザビームをさらに蛍光体フィルム40に再反射させる役割を果たすもので、これによって後方に散乱したレーザビームによる光損失を大きく低減できる。追加的に光量の確保が可能になることにより、全体的なヘッドランプの光効率を大きく向上させることができる。
【0015】
一方、本発明に係る反射コーティング90は、レーザダイオード10の非点灯時に蒸着による隠し(hidden)効果を実現することにより、ランプの高級感を実現するのに大きく役立てるものが好ましい。反射コーティング90は、銀反射コーティングであることが好ましい。
本発明に係るマイクロパターン21は、ロービームの実現の際には、
図5のとおり、左右に長い形状の楕円形突起21aから形成されるか、またはハイビームの実現の際には、
図6のとおり、正円形突起21bから形成されてよい。
そして、反射フィルム30に形成されたフィルムホール31は、マイクロパターン21のパターン形状と同じ形状に形成されたものが好ましく、これによって特定形状のビームパターンを形成することができる。
【0016】
一方、本発明に係る光学系を用いてロービームを実現しようとする場合には、カットオフライン101が形成されたシールド100をさらに含む。シールド100は、蛍光体フィルム40と対面するように前方ホルダ70の前面部に一体に結合される。
しかし、本発明に係る光学系を用いてハイビームを実現する場合、シールド100は適用しないことを原則とする。
また、本発明に係るヘッドランプ用レーザ光学系は、図面に示していないが、レーザダイオード10への電流供給を制御するPCB基板と、レーザダイオード10と蛍光体フィルム40で発生した熱を外部に伝達して放熱するヒートシンクなどをさらに含んで構成される。
【0017】
以上説明したとおり、本発明に係るヘッドランプ用レーザ光学系は、レーザダイオード10から出力されたレーザビームが蛍光体フィルム40に励起された後、白色光として直接非球面レンズ50を通して前方に出力される構成で、従来使用されていた反射体を用いないため、反射体の使用に伴う光損失区間を無くすことができ、これによって光損失の最小化および光効率の向上を図ることができる。
また、本発明は、反射体を用いないため、すべての構成要素が一列に位置する構成で、これによって光学系のサイズの縮小が可能になり、重量減少とコスト低減、およびデザイン自由度を高めることができる。
【0018】
さらに、本発明は、蛍光体フィルム40に励起されずに後方に散乱した一部のレーザビームが反射コーティング90によって蛍光体フィルム40に再反射して、蛍光体フィルム40によって励起された後、白色光として出力されることから、後方に散乱したレーザビームによる光損失を大きく低減できる。これによって追加的に光量の確保が可能になり、その結果、全体的なヘッドランプの光効率を大きく向上させることができる。
またさらに、本発明に係る反射コーティング90は、レーザダイオード10の非点灯時に蒸着による隠し(hidden)効果を実現することにより、ヘッドランプの高級感を実現するのに大きく役立てる利点もある。
【0019】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0020】
1,10:レーザダイオード
2:イエロー蛍光体
3:反射体
4,50:非球面レンズ
5,100:シールド
20:パターンフィルム
21:マイクロパターン
21a:楕円形突起
21b:正円形突起
30:反射フィルム
31:フィルムホール
40:蛍光体フィルム
60:後方ホルダ
70:前方ホルダ
80:ホルダブラケット
90:反射コーティング
101:カットオフライン
A1:光損失区間
L1:レーザビーム
L2:拡散したレーザビーム
L3:白色光
L4:再反射されたレーザビーム