特許第6442273号(P6442273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6442273-シート供給装置および供給方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442273
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】シート供給装置および供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/42 20060101AFI20181210BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20181210BHJP
   B65C 9/18 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B65C9/42
   H01L21/68 N
   B65C9/18
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-258855(P2014-258855)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-117521(P2016-117521A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】上道 厚史
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−193405(JP,A)
【文献】 特開2005−280822(JP,A)
【文献】 特開平03−014442(JP,A)
【文献】 特開2012−176775(JP,A)
【文献】 特開昭62−146133(JP,A)
【文献】 米国特許第03169895(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 1/00−11/06
H01L21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反に第1繰出力を付与して当該原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段で繰り出される原反を折曲部によって折り曲げることで、前記原反から前記貼付用シートを剥離する剥離手段とを備え、
前記折曲部よりも前記原反の繰出方向下流側の位置で、前記貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて当該原反に前記第1繰出力とは別の第2繰出力を付与するシート送り手段を有することを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記シート送り手段は、前記第2繰出力の大きさを調整する第2繰出力調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反に第1繰出力を付与して当該原反を繰り出す工程と、
前記繰り出される原反を折り曲げることで、前記原反から前記貼付用シートを剥離する工程と、
前記原反を折り曲げた折曲部よりも当該原反の繰出方向下流側の位置で、前記貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて当該原反に前記第1繰出力とは別の第2繰出力を付与する工程とを備えていることを特徴とするシート供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート供給装置および供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来の装置では、上部押圧ローラおよび下部押圧ローラによって、剥離板(剥離手段)の先端部(折曲部)に近接した位置で、ラベル連続体および帯状台紙をそれぞれ剥離手段との間で挟持することで、剥離手段の折曲部で折り曲げられる帯状台紙にテンションを持続させ、薄厚で剛性が低いラベルを剥離できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−182396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の装置に、閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反が採用されると、図1のAAで示した図の二点鎖線で示すように、剥離手段の折曲部で、貼付用シートが剥離された接着シートが剥離シートから剥がれてしまう現象(以下、「トンネリング現象」という場合がある)が発生する場合がある。このようなトンネリング現象は、接着シートと剥離シートとの巻回径や折曲径の相違が起因しており、巻回された原反が当該巻回から解かれたときや、原反がローラやガイド等によって折り曲げられたときに発生し易い。そして、このようなトンネリング現象を放置して原反を繰り出し続けると、当該トンネリング現象を起こしている接着シート部分がどんどん大きくなり、当該接着シート部分が貼付ローラ(押圧手段)と半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という場合がある)(被着体)との間に入ってしまい、貼付用シートの貼付不良や被着体の損傷等を招来するという不都合がある。
【0005】
そこで、トンネリング現象を抑制するために、特許文献1に記載のニップローラ20を回転駆動させ、剥離手段の折曲部よりも原反の繰出方向下流側の当該原反に繰出力を付与することが考えられる。しかしながら、このような構成では、剥離手段の折曲部よりも繰出方向下流側の原反に余計な張力が付与されるため、当該原反が切断してしまう場合がある。ここで、特許文献1に記載のニップローラ20の原反を挟み込むニップ力を小さくして、当該ニップローラ20が原反上を空回りして当該原反に余計な張力が付与されることを防止することも考えられる。しかしながら、このような構成では、例えばシート貼付装置がクリンルームで使用されているような場合、原反がニップローラ20によって擦れて発生した塵埃でクリンルームを汚染してしまうという不都合がある。
【0006】
本発明の目的は、トンネリング現象を抑制することができるシート供給装置および供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のシート供給装置は、閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反に第1繰出力を付与して当該原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段で繰り出される原反を折曲部によって折り曲げることで、前記原反から前記貼付用シートを剥離する剥離手段とを備え、前記折曲部よりも前記原反の繰出方向下流側の位置で、前記貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて当該原反に前記第1繰出力とは別の第2繰出力を付与するシート送り手段を有する、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明のシート供給装置では、前記シート送り手段は、前記第2繰出力の大きさを調整する第2繰出力調整手段を有する、ことが好ましい。
【0009】
一方、本発明のシート供給方法は、閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反に第1繰出力を付与して当該原反を繰り出す工程と、前記繰り出される原反を折り曲げることで、前記原反から前記貼付用シートを剥離する工程と、前記原反を折り曲げた折曲部よりも当該原反の繰出方向下流側の位置で、前記貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて当該原反に前記第1繰出力とは別の第2繰出力を付与する工程とを備えている、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、折曲部よりも原反の繰出方向下流側の位置で、貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて当該原反に第1繰出力とは別の第2繰出力を付与するため、トンネリング現象を抑制することができる。また、貼付用シートが剥離された接着シートの他方の面に当接手段を断続的に当接させて第2繰出力を付与するため、従来に比べて原反が切断したり、塵埃が発生したりすることを低減することができる。
【0011】
この際、シート送り手段が第2繰出力調整手段を有すれば、原反に第2繰出力を確実に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態において、X軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向であって図1中紙面に直交する手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0014】
図1において、シート貼付装置10は、閉ループ状の切込CUの内側が貼付用シートSSとされた接着シートASの一方の面AS1に帯状の剥離シートRLが仮着された原反RSに第1繰出力を付与して当該原反RSを繰り出す繰出手段20と、繰出手段20で繰り出される原反RSを折曲部31によって折り曲げることで、原反RSから貼付用シートSSを剥離する剥離手段としての剥離板30と、折曲部31よりも原反RSの繰出方向下流側の位置で、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの他方の面AS2に当接手段41を断続的に当接させて当該原反RSに第1繰出力とは別の第2繰出力を付与するシート送り手段40と、光学センサや撮像手段等により構成され、トンネリング現象TPを検知可能な検知手段50と、剥離板30で剥離された貼付用シートSSを被着体としてのウエハWFの被着面に押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ60と、ウエハWFを支持し、当該ウエハWFと押圧ローラ60とを相対移動させる支持手段70とを備えている。なお、本実施形態の繰出手段20と剥離板30とシート送り手段40とで本願発明のシート供給装置が構成される。
【0015】
繰出手段20は、原反RSを支持する支持ローラ21と、原反RSを案内する複数のガイドローラ22と、駆動機器としての回動モータ23Aによって駆動する駆動ローラ23と、剥離シートRLおよび貼付用シートSSが剥離された接着シートASを駆動ローラ23との間に挟み込むピンチローラ24と、図示しない駆動機器によって駆動し、剥離シートRLおよび貼付用シートSSが剥離された接着シートASを回収する回収ローラ25とを備えている。
【0016】
シート送り手段40は、当接手段41と、第2繰出力の大きさを調整する第2繰出力調整手段42と、当接手段41による接着シートASへの断続的な接触を補助するとともに、当接手段41と接着シートASとの接触面積を効率的に増大させて原反RSに第2繰出力をより確実に付与する断続接触補助手段43とを備えている。
当接手段41は、回動アーム44の一端側に出力軸41Bが支持され、偏芯して回転する駆動機器としての偏芯モータローラ41Aを備え、当該偏芯モータローラ41Aの表面には、貼付用シートSSが剥離された接着シートASとの抵抗が大きくなる凹凸や接着材等の抵抗増大手段が設けられている。
第2繰出力調整手段42は、回動アーム44の他端側を出力軸42Bで支持し、剥離板30の裏面32に支持された駆動機器としての回動モータ42Aを備えている。
断続接触補助手段43は、剥離板30の裏面32に支持されたブラケット43Aに回転可能に支持されたローラ43Bを備えている。
【0017】
支持手段70は、駆動機器としてのリニアモータ71のスライダ71Aに支持されるとともに、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段に連通された支持面72Aを有するテーブル72を備えている。
【0018】
以上のシート貼付装置10において、ウエハWFに貼付用シートSSを貼付する手順について説明する。
先ず、作業者が原反RSを図1に示すようにセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の入力手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、第2繰出力調整手段42が回動モータ42Aを駆動し、図1のAAで示した図の実線および二点鎖線で示すように、折曲部31とローラ43Bとの間に位置する原反RS(以下「調整部原反RS」という場合がある)を偏芯モータローラ41Aで断続的に押し上げる量(高さ)が所定量となるように、当該偏芯モータローラ41Aの位置を調整する。なお、調整部原反RSを偏芯モータローラ41Aで押し上げる量が多いと第2繰出力が大きくなり、押し上げる量が少ないと第2繰出力が小さくなる。調整部原反RSを偏芯モータローラ41Aで押し上げる量は、作業者が任意に決定することができる。次いで、繰出手段20が回動モータ23Aおよび図示しない駆動機器を駆動し、原反RSに第1繰出力を付与して当該原反RSを第1速度で繰り出すとともに、当接手段41が偏芯モータローラ41Aを駆動し、当該偏芯モータローラ41Aを第1速度よりも速い第2速度で回転させて原反RSに第2繰出力を付与する。このとき、偏芯モータローラ41Aは、原反RSとの速度差により当該原反RSに対して空回りしながら所定の張力である第2繰出力を当該原反RSに付与することとなる。そして、剥離板30上に位置する先頭の貼付用シートSSの繰出方向先端部が折曲部31によって所定量剥離されたことが図示しない検知手段に検知されると、繰出手段20および当接手段41が回動モータ23A、図示しない駆動機器および偏芯モータローラ41Aの駆動を停止し、スタンバイ状態となる。なお、スタンバイ状態のときに、当接手段41は、偏芯モータローラ41Aの駆動を停止してもしなくてもよい。
【0019】
そして、人手または多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が支持面72A上にウエハWFを載置すると、支持手段70が図示しない吸引手段を駆動し、ウエハWFを吸着保持した後、リニアモータ71を駆動し、テーブル72を図1中実線で示す初期位置から左方向に搬送する。そして、ウエハWFが所定の位置に到達したことが図示しない検知手段に検知されると、繰出手段20が回動モータ23Aおよび図示しない駆動機器を駆動し、ウエハWFの搬送速度に合わせた第1速度で原反RSを繰り出す。このときも上述と同様にして、当接手段41が偏芯モータローラ41Aを駆動し、当該偏芯モータローラ41Aを第2速度で回転させて原反RSに第2繰出力を付与する。すなわち、偏芯モータローラ41Aは、図1のAAで示した図の実線で示すように、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの他方の面AS2に当接したときに第2繰出力を付与し、他方の面AS2に当接しないときに第2繰出力を付与しない。これにより、トンネリング現象TPの発生を抑制しつつ、貼付用シートSSが剥離シートRLから剥離され、押圧ローラ60によってウエハWFに押圧されて貼付される。そして、剥離板30上に位置する次の貼付用シートSSの繰出方向先端部が折曲部31によって所定量剥離されたことが図示しない検知手段に検知されると、繰出手段20および当接手段41が回動モータ23A、図示しない駆動機器および偏芯モータローラ41Aの駆動を停止し、再びスタンバイ状態となる。
ウエハWFに貼付用シートSSが貼付され、テーブル72が所定の位置に到達すると、支持手段70がリニアモータ71および図示しない吸引手段の駆動を停止し、人手または図示しない搬送手段によってウエハWFが次工程へ搬送され、テーブル72を初期位置に復帰させ、以降上述と同様の動作が繰り返される。
【0020】
ここで、上述のようなシート貼付装置10による貼付動作において、万が一トンネリング現象TPが発生した場合、検知手段50がこのトンネリング現象TPを検知することができる。検知手段50がトンネリング現象TPを検知すると、当接手段41が偏芯モータローラ41Aを駆動し、当該偏芯モータローラ41Aを第2速度よりも速い第3速度で回転させて原反RSに第2繰出力を付与してもよい。また、検知手段50がトンネリング現象TPを検知すると、第2繰出力調整手段42が回動モータ42Aを駆動し、回動アーム44を時計回転方向に回動させて調整部原反RSを偏芯モータローラ41Aで押し上げる量を多くして第2繰出力を大きくしてもよい。さらに、検知手段50がトンネリング現象TPを検知すると、当接手段41が第2速度または第3速度で原反RSに第2繰出力を付与するとともに、第2繰出力調整手段42が偏芯モータローラ41Aで調整部原反RSを押し上げる量を多くして第2繰出力を大きくしてもよい。これにより、トンネリング現象TPを起こしている接着シートASを強制的に駆動ローラ23方向に送って当該トンネリング現象TPを解消することができる。このような制御は、検知手段50がトンネリング現象TPを検知しなくても、繰出手段20が貼付用シートSSを繰り出す度に行ってもよく、この場合、検知手段50を省略することができる。
【0021】
以上のような実施形態によれば、折曲部31よりも原反RSの繰出方向下流側の位置で、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの他方の面AS2に当接手段41を断続的に当接させて原反RSに第1繰出力とは別の第2繰出力を付与するため、トンネリング現象TPを抑制することができる。また、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの他方の面AS2に当接手段41を断続的に当接させて第2繰出力を付与するため、従来に比べて原反RSが切断したり、塵埃が発生したりすることを低減することができる。
【0022】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0023】
繰出手段20は、接着シートASに切込CUが形成されていない原反を支持ローラ21で支持し、図1中二点鎖線で示すように、折曲部31までの間で例えば切断手段としてのロータリカッタ80で接着シートに切込を形成するように構成してもよい。なお、切断手段としては、ダイカッタ、レーザカッタ、駆動機器にカッタ刃を支持させたもの等なんら限定されることはない。
第1速度、第2速度および第3速度は、どの速度が1番速くてもよいし、どの速度が2番目に速くてもよいし、どの速度が1番遅くてもよいし、全て同じ速度でもよいし、いずれか2つの速度が同じ速度でもよい。
【0024】
剥離手段は、丸棒やローラ等で構成してもよい。
【0025】
シート送り手段40は、当接手段として空気や単体ガス等の気体や、水や混合液等の液体を採用することができる上、偏芯モータローラ41A、気体および液体を適宜組み合わせて当接手段としてもよい。
シート送り手段40は、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの他方の面AS2に断続的に当接する偏芯モータローラ41Aに加え、調整部原反RSが押し上げられたときのみに、当該押し上げられた部位に位置する剥離シートRL部分に当接し、偏芯モータローラ41Aとともに原反RSに第2繰出力を付与する受け部材を備えてもよい。受け部材は、駆動機器としてのモータローラ、駆動機器としての回動モータにより回転駆動するローラや、ブラケットに回転可能に支持されたローラ等で構成してもよい。受け部材を構成するローラは、スポンジやゴム等の弾性部材で構成されてもよいし、偏芯してまたは偏芯せずに回転してもよいし、ばねや樹脂等の弾性部材等により押し上げられた原反RSと共に移動可能に構成されていてもよい。また、受け部材は、回転しなくてもよい。
当接手段は、駆動機器としての回動モータによって偏芯して回転駆動するローラ等でもよく、原反RSに第2繰出力を付与可能なものであれば何でもよい。
当接手段は、貼付用シートSSが剥離された接着シートASの少なくとも一部に断続的に接すればよい。
当接手段は、ベルトやブラシローラあるいはカム構造物等で構成してもよい。
当接手段が偏芯せずに回転するローラの場合、ローラを駆動しつつ、第2繰出力調整手段42が回動アーム44を剥離板30に対し離間接近させることで、貼付用シートSSが剥離された接着シートASに断続的に接して第2繰出力を付与してもよい。
当接手段は、抵抗増大手段がなくてもよい。
第2繰出力調整手段42は、出力軸で偏芯モータローラ41Aを剥離板30に対して接離可能に支持する駆動機器としての直動モータや、偏芯モータローラ41Aを剥離板30に近づく方向に付勢するばねや弾性部材等で構成してもよい。
断続接触補助手段43は、出力軸でローラ43Bを剥離板30に対して接離可能に支持する駆動機器としての直動モータを採用してもよい。
断続接触補助手段43は、ローラ43Bの代わりに、ベルトやブラシローラあるいは、剥離板30の裏面32に支持された回転することのないブレード材等で構成していてもよい。
第2繰出力調整手段42や断続接触補助手段43はなくてもよく、偏芯モータローラ41Aが一定の面積で貼付用シートSSが剥離された接着シートASに接する構成でもよい。
【0026】
検知手段は、リミットスイッチや圧力センサ等の接触型のセンサであってもよい。
検知手段50は、なくてもよく、この場合、トンネリング現象TPが発生したことを認識した作業者がシート送り手段40を操作して、上述と同様の動作を行うようにしてもよい。
【0027】
押圧手段は、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用することができ、エア噴き付けにより押圧する構成も採用することができる。
押圧手段は、剥離手段で剥離された貼付用シートSSを保持する保持手段と、当該保持手段をウエハWF方向に移動させることで貼付用シートSSをウエハWFに押圧して貼付する駆動機器とを備えたものでもよい。
【0028】
支持手段は、ウエハWFを停止させておき繰出手段20および押圧ローラ60を移動させてもよいし、ウエハWFと繰出手段20および押圧ローラ60との両方を移動させてもよい。
折曲部31と偏芯モータローラ41Aとの間に位置する調整部原反RSの張力を検出する光学センサや圧力センサ等の張力検出手段を設け、この張力検出結果を基に第2繰出力調整手段42が第2繰出力の調整を行ってもよい。
【0029】
本発明における接着シートAS、貼付用シートSSおよび被着体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートASおよび貼付用シートSSは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASが採用された場合は、貼付用シートSSを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプ等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASおよび貼付用シートSSは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体としては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASや貼付用シートSSを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
【0030】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、繰出手段は、閉ループ状の切込の内側が貼付用シートとされた接着シートの一方の面に帯状の剥離シートが仮着された原反に第1繰出力を付与して当該原反を繰り出し可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0031】
20…繰出手段
30…剥離板(剥離手段)
31…折曲部
40…シート送り手段
41…当接手段
42…第2繰出力調整手段
AS…接着シート
AS1…一方の面
AS2…他方の面
CU…切込
RL…剥離シート
RS…原反
SS…貼付用シート
図1