特許第6442303号(P6442303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442303
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   E04H17/14 102Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-16387(P2015-16387)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-141950(P2016-141950A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】エスアールジータカミヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 章好
(72)【発明者】
【氏名】三川 達巳
(72)【発明者】
【氏名】大野 俊
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−008347(JP,U)
【文献】 特開平09−032364(JP,A)
【文献】 実開昭60−075503(JP,U)
【文献】 実開昭62−118831(JP,U)
【文献】 実公平01−040597(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0127482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 − 17/26
E04B 1/00
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向への長さを有する横桟と、それぞれが上下方向の長さを有し、前記横桟の長さ方向に間隔をあけて並設されている複数本の縦格子とを含んで構成され、前記横桟に、この横桟の長さ方向に延びていて、前記縦格子の側に突出しているリブ部が形成されているフェンスにおいて、
それぞれの前記縦格子の長さ方向の端部には、前記リブ部が挿入されているスリットが形成され、前記リブ部と、前記縦格子の長さ方向の端部とのうち、一方に孔部が形成されているとともに、他方に突起が形成されており、この突起が前記孔部に挿入されることにより前記横桟の前記リブ部と前記縦格子の長さ方向の端部とが結合され、
前記縦格子は中空部材となっており、前記スリットは、前記縦格子の長さ方向の端部の外周囲部の両側に2個形成され、
それぞれの前記縦格子の側面には、前記横桟の長さ方向に突出し、前記スリットに挿入された前記リブ部とこのリブ部の厚さ方向に対面しているヒレ部が形成され、
前記ヒレ部は前記縦格子の側面に、前記リブ部の厚さ方向に間隔をあけかつ前記スリットを間に挟んで一対形成されており、これらのヒレ部の間に、前記スリットに挿入された前記リブ部が挿入され、
前記一対のヒレ部は、前記横桟の長さ方向における前記縦格子の両側の側面に形成され、
前記孔部は前記リブ部に設けられていて、このリブ部の厚さ方向に貫通した貫通孔部となっており、前記突起は、前記一対の前記ヒレ部のそれぞれを前記リブ部の外側から打圧することでこれらのヒレ部の一部を膨出変形させて前記貫通孔部に前記リブ部の厚さ方向両側から圧入状態で挿入された突起となっていることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
請求項1に記載のフェンスにおいて、前記縦格子の本体は、平面視で略四角形の柱状となっていることを特徴とするフェンス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフェンスにおいて、前記縦格子は、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き成形品であることを特徴とするフェンス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のフェンスにおいて、前記横桟には、上側の上横桟と下側の下横桟とがあり、それぞれの前記縦格子はこれらの上横桟と下横桟との間に配置され、それぞれの前記縦格子に形成されている前記ヒレ部は、前記縦格子の全長に渡って設けられているとともに、前記スリットは前記縦格子の長さ方向の両端部に形成されていることを特徴とするフェンス。
【請求項5】
請求項4に記載のフェンスにおいて、前記下横桟は、上横桟と同じものを上下逆にしたものになっていることを特徴とするフェンス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横桟と縦格子とを含んで構成されるフェンスに係り、例えば、住宅等の建物の敷地の隣地境界箇所や道路との境界箇所等に設置されるフェンスに利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、住宅等の建物の敷地の隣地境界箇所や道路との境界箇所等に設置されるフェンスが示されており、このフェンスは、水平方向への長さを有する横桟と、それぞれが上下方向の長さを有し、横桟の長さ方向に間隔をあけて並設されている複数本の縦格子とを含んで構成されており、横桟には、この横桟の長さ方向に延びていて、縦格子の側に突出しているリブ部が形成されている。そして、このリブ部には、中空部材となっているそれぞれの縦格子の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝が形成され、この切り欠き溝に縦格子の長さ方向の端部を挿入した後に、縦格子の側面を潰し加工することにより、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とが結合されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平1−40597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の従来のフェンスによると、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを結合するためには、横桟のリブ部に、それぞれの縦格子の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝を形成しなければならず、これらの切り欠き溝は、縦格子の長さ方向の端部の寸法に応じた幅寸法、すなわち、縦格子が上述のように中空部材となっている場合には、それぞれの縦格子の長さ方向の端部の外周囲部の厚さと対応した細幅の幅寸法で形成しなければならず、また、切り欠き溝は、縦格子の本数に応じた個数が必要となるため、切り欠き溝の加工作業のために多くの手間と時間がかかることになる。
【0005】
本発明の目的は、横桟のリブ部に、それぞれの縦格子の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝を形成する必要がなく、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを簡単な構造及び作業により結合することができるようになるフェンスを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフェンスは、水平方向への長さを有する横桟と、それぞれが上下方向の長さを有し、前記横桟の長さ方向に間隔をあけて並設されている複数本の縦格子とを含んで構成され、前記横桟に、この横桟の長さ方向に延びていて、前記縦格子の側に突出しているリブ部が形成されているフェンスにおいて、それぞれの前記縦格子の長さ方向の端部には、前記リブ部が挿入されているスリットが形成され、前記リブ部と、前記縦格子の長さ方向の端部とのうち、一方に孔部が形成されているとともに、他方に突起が形成されており、この突起が前記孔部に挿入されることにより前記横桟の前記リブ部と前記縦格子の長さ方向の端部とが結合されていることを特徴とするものである。
【0007】
以上の本発明に係るフェンスでは、それぞれの縦格子の長さ方向の端部には、横桟のリブ部が挿入されているスリットが形成されており、また、リブ部と、縦格子の長さ方向の端部とのうち、一方に孔部が形成されていて、他方に突起が形成されており、この突起が孔部に挿入されることにより横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とが結合されているため、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを結合するために、横桟のリブ部に、それぞれの縦格子の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝を形成する必要がなく、このため、簡単な構造及び作業により、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを結合できるようになる。
【0008】
以上の本発明において、横桟のリブ部と、縦格子の長さ方向の端部とのうち、リブ部に孔部を形成し、縦格子の長さ方向の端部に突起を形成してもよく、あるいは、リブ部に突起を形成し、縦格子の長さ方向の端部に孔部を形成してもよい。
【0009】
また、本発明において、横桟のリブ部と、縦格子の長さ方向の端部とのうち、一方に形成された孔部に挿入するための突起を他方に形成することは、任意の作業や形態により行うことができ、その一例は、突起を、上記他方を打圧することにより形成することであり、他の例は、突起を、上記他方に溶接やねじ等で取り付けた突起部材とすることである。
【0010】
前者によると、突起を、上記他方を打圧することにより形成できるため、簡単な作業により突起を上記他方に設けることができるとともに、上記他方を打圧すると、この打圧作業により上記他方に形成された突起を上記一方に設けられている孔部に挿入することができるため、打圧作業という簡単な作業により、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを結合できる。
【0011】
以上の本発明において、縦格子は、中空部材でもよく、中実部材でもよい。縦格子が中空部材となっている場合には、この縦格子に設けられる前記スリットは、縦格子の長さ方向の端部の外周囲部の両側に2個形成されることになる。
【0012】
また、本発明において、それぞれの縦格子の側面に、横桟の長さ方向に突出し、前記スリットに挿入された前記リブ部とこのリブ部の厚さ方向に対面するヒレ部を形成し、このヒレ部に、前記孔部と前記突起とのうち、一方を形成してもよい。
【0013】
また、このようにそれぞれの縦格子の側面に、横桟の長さ方向に突出し、スリットに挿入されたリブ部とこのリブ部の厚さ方向に対面するヒレ部を形成し、このヒレ部に、孔部と突起とのうち、一方を形成する場合には、ヒレ部を縦格子の側面に、リブ部の厚さ方向に間隔をあけかつスリットを間に挟んで一対形成するようにし、これらのヒレ部の間に、スリットに挿入されたリブ部を挿入し、それぞれのヒレ部に形成した突起をリブ部に形成した孔部に挿入するようにしてもよい。
【0014】
これによると、横桟のリブ部が縦格子の一対のヒレ部により挟着され、また、それぞれのヒレ部に形成した突起をリブ部に形成した孔部に挿入するため、縦格子が横桟のリブ部の厚さ方向にずれることを防止しながら、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを大きな強度で結合できることになる。
【0015】
さらに、縦格子の側面に設ける一対のヒレ部を、横桟の長さ方向における縦格子の両側の側面に形成してもよい。
【0016】
これによると、縦格子が横桟のリブ部の厚さ方向にずれることを一層有効に防止しながら、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを一層大きな強度で結合できることになる。
【0017】
以上において、横桟のリブ部と、縦格子の長さ方向の端部とのうち、一方に形成される前記孔部は、貫通した貫通孔部でもよく、貫通していない不貫通孔部、言い換えると、窪み部や凹部でもよい。
【0018】
しかし、上述のように縦格子の側面に設けるヒレ部を、横桟のリブ部の厚さ方向に間隔をあけかつスリットを間に挟んで一対形成し、これらのヒレ部の間に、スリットに挿入されたリブ部を挿入し、それぞれのヒレ部に形成した突起をリブ部に形成した孔部に挿入するようにする場合には、孔部を、リブ部の厚さ方向に貫通した貫通孔部とすることが好ましい。
【0019】
これによると、リブ部の孔部がこのリブ部の厚さ方向に貫通した貫通孔部となるため、一対のヒレ部に形成した突起を挿入するための孔部を簡単な孔あけ作業により容易に設けることができる。
【0020】
また、本発明に係る横桟に、上側の上横桟と下側の下横桟とがあり、それぞれの縦格子はこれらの上横桟と下横桟との間に配置され、それぞれの縦格子の側面に形成する上述のヒレ部を、縦格子の全長に渡って設けてもよい。
【0021】
これによると、それぞれの縦格子は、同一の水平断面形状が縦格子の長さ方向に連続するものとなるため、これらの縦格子を、例えば、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き成形品として製造でき、縦格子を安価に製造することができる。
【0022】
また、横桟に形成するリブ部を横桟の全長に渡って設けた場合には、横桟は、同一の鉛直断面形状が横桟の長さ方向に連続するものとなるため、横桟も、例えば、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き成形品として製造でき、横桟を安価に製造することができる。
【0023】
以上説明した本発明に係るフェンスは、任意の目的のために任意の場所で用いることができ、その一例の場所は、住宅等の建物の敷地同士を区画する隣地境界箇所であり、他の場所は、住宅等の建物の敷地と道路との境界箇所であり、さらに、本発明に係るフェンスは、例えば、敷地内の植栽区域等を仕切るためにも用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、横桟のリブ部に、それぞれの縦格子の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝を形成する必要がなく、横桟のリブ部と縦格子の長さ方向の端部とを簡単な構造及び作業により結合できるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るフェンスの全体を示す一部省略の正面図である。
図2図2は、縦格子の全体正面図である。
図3図3は、縦格子の全体側面図である。
図4図4は、縦格子の一部を省略して示した拡大側面図である。
図5図5は、縦格子の上部の斜視図である。
図6図6は、縦格子の平面図である。
図7図7は、図4のS7−S7線断面図である。
図8図8は、横桟のリブ部を縦格子のスリットと一対のヒレ部の間とに挿入する作業を示す側断面図である。
図9図9は、一対のヒレ部を打圧することにより形成された突起をリブ部の孔部に挿入する作業を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係るフェンス1の一部が省略された全体正面図が示されており、このフェンス1は、それぞれ水平方向への長さを有する上側の上横桟2及び下側の下横桟3と、それぞれが上下方向の長さを有している縦格子4とを含んで構成され、上横桟2と下横桟3との間に配置されている複数本の縦格子4は、上横桟2及び下横桟3の長さ方向に間隔をあけて並設されている。パネル状となっているフェンス1には、図示しない2本の支柱が、水平方向の間隔をあけてブラケット等の取付具により取り付けられ、これらの支柱により、フェンス1は、例えば、住宅等の建物の敷地同士を区画する隣地境界箇所に設置される。
【0027】
図2及び図3には、縦格子4の全体正面図と全体側面図が示されており、また、図4には、縦格子4の一部を省略した拡大側面図が、図5には、縦格子4の上部の斜視図が、図6には、縦格子4の平面図が、それぞれ示されており、図7には、図4のS7−S7断面図が示されている。これらの図面から分かるように、それぞれの縦格子4は中空部材であり、内部が中空となっている縦格子4の本体4Aは、図6に示されているように、平面視で略四角形状の柱状となっており、この本体4Aの左右両側の側面には、言い換えると、上横桟2及び下横桟3の長さ方向における縦格子4の本体4Aの両側の側面には、これらの上横桟2及び下横桟3の長さ方向に突出しているヒレ部4Bが形成され、このヒレ部4Bは、本体4Aの左右両側の側面において、一対ずつ設けられている。また、このようなヒレ部4Bは、図4から分かるように、縦格子4の全長に渡って設けられ、さらに、一対のヒレ部4Bは、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bの厚さ方向に間隔をあけて設けられている(後述の図8及び図9を参照)。
【0028】
縦格子4の本体4Aは、内部が中空となっているため、この本体4Aは、縦格子4の外周囲部を形成しており、この外周囲部の左右両側に、言い換えると、中空の本体4Aの厚さを形成している肉部の左右両側に、図5及び図6で示されている2個のスリット5が形成されており、これらのスリット5は一対のヒレ部4Bの間に形成されているため、これらのヒレ部4Bによりスリット5は挟まれている。そして、スリット5は、図4に示されているように、縦格子4の長さ方向の両端部である上下両端部に設けられ、上側のスリット5は、縦格子4の上面から下方へ一定長さ分だけ延びており、下側のスリット5は、縦格子4の下面から上方へ一定長さ分だけ延びている。
【0029】
スリット5が設けられる前のそれぞれの縦格子4は、同一の水平断面形状が縦格子4の長さ方向である上下方向に連続するものになっているため、それぞれの縦格子4は、アルミ又はアルミ合金を押し出し成形又は引き抜き成形することにより製造された棒材を所定長さで切断することにより形成されており、この切断作業後に、スリット5が、縦格子4の本体4Aの上部と下部とに、一対のヒレ部4Bの間において切削加工に行うことにより形成される。
【0030】
このように縦格子4は、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き品であるため、多数の縦格子4を安価に製造することができる。
【0031】
図8には、図1に示されている上横桟2の鉛直断面が示されている。この上横桟2も中空部材であり、内部が中空となっている上横桟2の本体2Aの下部には、上横桟2の長さ方向に延びていて、縦格子4の側に、すなわち、下側に突出しているリブ部2Bが形成されている。そして、このリブ部2Bは、図1に示されているように、上横桟2の全長に渡って形成されている。また、図8に示されているように、リブ部2Bには孔部6が設けられ、この孔部6は、リブ部2Bの厚さ方向(上横桟2の長さ方向と直交する水平方向)に貫通した貫通孔部となっており、このような孔部6は、図1で示したそれぞれの縦格子4のヒレ部4Bと対応する箇所に形成されている。
【0032】
図8には、図1に示されている下横桟3の鉛直断面も示されている。この下横桟3は、上横桟2と同じものを上下逆にしたものであり、このため、下横桟3も中空部材であり、内部が中空となっている下横桟3の本体3Aの上部には、下横桟3の長さ方向に延びていて、縦格子4の側に、すなわち、上側に突出しているリブ部3Bが形成され、このリブ部3Bには、上横桟2のそれぞれの孔部6と同じ箇所において、貫通孔部となっている孔部6が複数個設けられている。
【0033】
このような孔部6がリブ部2B,3Bに設けられる前の上横桟2及び下横桟3は、同一の鉛直断面形状が上横桟2及び下横桟3の長さ方向である水平方向に連続するものになっているため、それぞれの上横桟2及び下横桟3も、アルミ又はアルミ合金を押し出し成形又は引き抜き成形することにより製造された棒材を所定長さで切断することにより形成されており、この切断作業後に、孔部6が、上横桟2のリブ部2Bと下横桟3のリブ部3Bに孔あけ加工により貫通孔部として形成される。
【0034】
このため、上横桟2及び下横桟3は、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き品であるため、これらの上横桟2及び下横桟3も安価に製造することができる。
【0035】
なお、それぞれの縦格子4の長さ方向の両端部である上下両端部に形成されているスリット5の水平方向の幅寸法は、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bの厚さ寸法と同じ又はこれよりも若干大きくなっているとともに、スリット5の上下長さ寸法は、リブ部2B,3Bの幅寸法であるこれらのリブ部2B,3Bの上下長さ寸法と同じ又はこれよりも若干長くなっている。
【0036】
図8図9は、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bに、それぞれの縦格子4の上下両端部を結合するための作業を示している。まず最初に、図8に示されているように、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bを、それぞれの縦格子4の上下両端部に形成されているスリット5に挿入するとともに、それぞれの縦格子4の左右両側の側面に一対ずつ設けられているヒレ部4Bの間にもリブ部2B,3Bを挿入する。これにより、それぞれのヒレ部4Bは、リブ部2B,3Bとこれらのリブ部2B,3Bの厚さ方向に対面することになり、それぞれのリブ部2B,3Bは、一対のヒレ部4Bによって挟着された状態になる。
【0037】
次いで、図9に示されているように、リブ部2B,3Bに設けられている孔部6と対応する箇所において、一対のヒレ部4Bに、プレス機等によるパンチ荷重Fをヒレ部4Bの外側から作用させるパンチ作業、すなわち、打圧作業を行い、これにより、ヒレ部4Bに、ヒレ部4Bの一部が膨出変形した突起7を形成し、打圧によって生じたこれらの突起7を、リブ部2B,3Bに形成されている孔部6にリブ部2B,3Bの厚さ方向両側から圧入状態で挿入する。
【0038】
このようなパンチ作業をそれぞれの縦格子4について行うことにより、上横桟2と下横桟3のリブ部2B,3Bとそれぞれの縦格子4の長さ方向の両端部とが結合されることになり、図1で示したフェンス1が製造されることになる。
【0039】
なお、図9では、上横桟2のリブ部2Bと下横桟3のリブ部3Bとに対して同時にパンチ作業を行うように示されているが、これらのパンチ作業は、もちろん時間をずらした個別作業として行ってもよい。
【0040】
以上説明した本実施形態によると、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bとそれぞれの縦格子4の長さ方向の両端部とを結合するために、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bに、それぞれの縦格子4の長さ方向の端部を挿入するための切り欠き溝を形成する必要がなく、このため、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bとそれぞれの縦格子4の長さ方向の両端部とを結合するための構造及び作業を簡単化することができる。
【0041】
また、本実施形態では、縦格子4のヒレ部4Bは、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bの厚さ方向に間隔をあけかつ縦格子4のスリット5を間に挟んで一対形成されており、このため、縦格子4に設けられるスリット5は、縦格子4の一対のヒレ部4Bの間に形成されているため、縦格子4にスリット5を切削作業で加工する作業を、切削具を一対のヒレ部4Bに案内させて行えることになり、このため、スリット5の加工作業を容易に行える。
【0042】
さらに、一対のヒレ部4Bの間には、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bが挿入されるため、縦格子4を、上横桟2及び下横桟3に対してリブ部2B,3Bの厚さ方向に位置決めすることができ、上横桟2及び下横桟3に対して縦格子4を正確な位置に配置することができる。
【0043】
すなわち、本実施形態によると、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bが縦格子4の一対のヒレ部4Bにより挟着されるため、縦格子4が上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bの厚さ方向にずれることを防止でき、このずれが防止された状態において、それぞれのヒレ部4Bに上述の突起7を形成するための前述の打圧作業を容易に行える。
【0044】
また、本実施形態では、それぞれのヒレ部4Bに打圧作業で形成した突起7をリブ部2B,3Bの孔部6に、リブ部2B,3Bの厚さ方向の両側から挿入するため、上横桟2及び下横桟3のリブ部2B,3Bと縦格子4の上下両端部の端部とを大きな強度で結合できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば、住宅等の建物の敷地の隣地境界箇所や道路との境界箇所等に設置されるフェンスに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 フェンス
2 上横桟
2A 本体
2B リブ部
3 下横桟
3A 本体
3B リブ部
4 縦格子
4A 本体
4B ヒレ部
5 スリット
6 貫通孔部となっている孔部
7 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9