特許第6442313号(P6442313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442313
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】結露水案内板及び貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   F25D21/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-21059(P2015-21059)
(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公開番号】特開2016-142507(P2016-142507A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勝城
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛一
(72)【発明者】
【氏名】安部 道也
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−227453(JP,A)
【文献】 特開平04−251180(JP,A)
【文献】 特開2005−164146(JP,A)
【文献】 実開昭50−041165(JP,U)
【文献】 実開昭58−159476(JP,U)
【文献】 実開昭60−029908(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
F16B 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に開口した箱状をなし、外側周りを流通する冷気により内部が冷却される貯蔵室における天井面に対し、所定の間隔を保ちつつ向かい合う形で前記貯蔵室の内部に配され、前側から後側に向かって下るように傾斜する板状をなし、前記天井面と対向する上面及びその反対側の下面に付着した結露水を後側に案内し、一部が前記下面から露出する固定部を利用して前記天井面に固定される貯蔵庫用の結露水案内板であって、
前記下面には、前記固定部の前側から前記固定部に向かう結露水を前記固定部から離すための案内部が設けられていることを特徴とする結露水案内板。
【請求項2】
前記案内部は、前記固定部よりも前側に離れた位置において、前記固定部と前後方向で重なり、かつ前側から後側に亘って前記固定部から離されている請求項1に記載の結露水案内板。
【請求項3】
前記案内部は、前記下面側から前記上面側に窪んだ凹溝からなる請求項1又は請求項2に記載の結露水案内板。
【請求項4】
前記案内部は、前記下面から下方に盛り上がった凸部からなる請求項1又は請求項2に記載の結露水案内板。
【請求項5】
前記案内部は、メッシュ状に加工されたメッシュ部からなる請求項1又は請求項2に記載の結露水案内板。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の結露水案内板を備える貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結露水案内板及び貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品を乾燥させずに長期に亘って保存できる貯蔵庫として、恒温高湿庫が知られている(例えば、特許文献1,2)。この種の恒温高湿庫は、前側に開口した断熱箱体からなる本体と、その本体内に配設される前側に開口した熱良導性の箱体からなる貯蔵室と、冷気を供給する冷気供給装置を備えている。
【0003】
本体と貯蔵室との間には貯蔵室の周りを囲むような空間が設けられており、その空間が、冷気供給装置より供給される冷気を流通させる冷気通路として利用されている。恒温高湿庫では、いわゆる間接冷却方式が採用されており、冷気通路を流通する冷気が貯蔵室の壁面を冷却することで、貯蔵室内が間接的に冷却される。
【0004】
この種の恒温高湿庫では、貯蔵室の壁面と、貯蔵室内の空気との温度差が大きいと、貯蔵室内の空気が露点温度以下に冷やされて、その空気中の水分が貯蔵室の壁面で結露することがある。例えば、貯蔵室内の天井面に付着した水滴は、落下して貯蔵室内の収容物に当たり、収容物を汚す虞がある。そのため、特許文献1,2に示されるように、貯蔵室内において、天井面に対して間隔を保ちつつ天井面を覆うように結露水案内板が取り付けられている。
【0005】
結露水案内板は、前側から後側に向かって下るように傾斜した状態で貯蔵室内に設置されているため、天井面から落下した水滴が、結露水案内板の上面で受けられると、水滴は、自重で貯蔵室の後側に流れるように移動する。
【0006】
ところで、貯蔵室内の水分は、結露水案内板の下面でも結露する。そのため、下面に付着した結露水は、結露水案内板の傾斜に従いつつ下面を伝って貯蔵室の後側へ移動することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−227453号公報
【特許文献2】特開平4−251180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
貯蔵室内において、結露水案内板は、リベット等の固定部を利用して天井面に取り外し可能な状態で取り付けられている。その際、結露水案内板の下面からは、固定部の端部(例えば、リベットの頭部)が突き出した状態で露出することになる。
【0009】
このように、固定部の端部が結露水案内板の下面から露出していると、結露水案内板の下面を伝って移動する水滴が、前記端部に突き当り、前記端部に集まってしまうことがあった。そのように集まった水滴は、最終的には大きな滴となって前記端部から貯蔵室内へ落下するため、衛生管理上の問題等が発生する虞があった。
【0010】
また、固定部の端部に付着した水滴が固定部を介して冷やされ、前記端部で氷結してしまうことがあった。水滴が前記端部で氷結すると、結露水案内板の取り外し時に、固定部を天井面から取り外す等の操作を行えない等の問題があった。
【0011】
本発明の目的は、貯蔵庫における貯蔵室の天井面に固定される結露水案内板の下面を伝って移動する水滴が、結露水案内板の固定部に集まることを抑制する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る結露水案内板は、前側に開口した箱状をなし、外側周りを流通する冷気により内部が冷却される貯蔵室における天井面に対し、所定の間隔を保ちつつ向かい合う形で前記貯蔵室の内部に配され、前側から後側に向かって下るように傾斜する板状をなし、前記天井面と対向する上面及びその反対側の下面に付着した結露水を後側に案内し、一部が前記下面から露出する固定部を利用して前記天井面に固定される貯蔵庫用の結露水案内板であって、前記下面には、前側から前記固定部に向かう前記下面に付着した結露水を前記固定部から離すための案内部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
前記結露水案内板において、前記案内部は、前記固定部よりも前側に離れた位置において、前記固定部と前後方向で重なり、かつ前側から後側に亘って前記固定部から離されているものであってもよい。
【0014】
前記結露水案内板において、前記下面側から前記上面側に窪んだ凹溝からなるものであってもよい。
【0015】
前記結露水案内板において、前記案内部は、前記下面から下方に盛り上がった凸部からなるものであってもよい。
【0016】
前記結露水案内板において、前記案内部は、メッシュ状に加工されたメッシュ部からなるものであってもよい。
【0017】
また、本発明に係る貯蔵庫は、前記結露水案内板を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、貯蔵庫における貯蔵室の天井面に固定される結露水案内板の下面を伝って移動する水滴が、結露水案内板の固定部分に集まることを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係る恒温高湿庫の側断面図
図2】恒温高湿庫の庫内を冷却する冷気供給装置の構成を模式的に表した説明図
図3】下面側から見た結露水案内板の平面図
図4】結露水案内板の右側面図
図5図3に示される案内部付近の拡大平面図
図6図5のA−A線断面図
図7】実施形態2に係る結露水案内板の案内部付近の断面図
図8】実施形態3に係る結露水案内板の案内部付近の断面図
図9】実施形態4に係る結露水案内板の案内部付近の拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を図1図6を参照しつつ説明する。本実施形態では、結露水案内板6を備えるテーブル型の恒温高湿庫(貯蔵庫の一例)1について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態1に係る恒温高湿庫1の側断面図であり、図2は、恒温高湿庫1の庫内を冷却する冷気供給装置5の構成を模式的に表した説明図である。
【0022】
恒温高湿庫1は、正面側(前側)に開口した断熱箱体からなり、上面2Aをテーブル面として利用可能な本体部2を備えている。本体部2は、正面側(前側)に開口した外箱21と、外箱21と同じように正面側(前側)に開口しつつ、外箱21との間に所定の間隔を保ちつつ外箱21内に収納される形で組み付けられる内箱22と、外箱21と内箱22との間にある間隔を充填する発泡ウレタン等の断熱材23とを備えている。なお、本体部2は、底面2Bの四隅に配された複数の脚3によって支持される。
【0023】
本体部2の内部(内箱22の内部)には、本体部2と同じように正面側(前側)に開口した箱体からなる貯蔵室4が、本体部2との間に間隔を保ちつつ本体部2内に収納される形で組み付けられている。貯蔵室4は、ステンレス等の熱良導性金属板が箱状に加工されたものからなり、上方に配される天井部41と、下方に配される床部42と、後方に配される背面部43と、左右方向に配される2つの側面部44,44とを備えている。貯蔵室4の内側に形成される空間R1は、生鮮食品等の保存対象物を収容するために利用される。
【0024】
本体部2の前側には、出入口として利用される開口部24があり、その開口部24を開放及び閉塞するための断熱扉Dが、ヒンジ(不図示)を介して左右方向に回動する形で取り付けられている。なお、貯蔵室4の開口部45は、本体部2の開口部24よりも奥側(後側)に配されつつ、本体部2の内壁(内箱22)に密着している。
【0025】
また、貯蔵室4と本体部2との間に形成される空間R2は、恒温高湿庫1が備える冷気供給装置5より供給される冷気を流通させるための冷気流通路R2として利用される。
【0026】
冷気供給装置5は、恒温高湿庫1を正面から見て、貯蔵室4の左側に隣接する形で配設されている。なお、図2には、正面から見た本体部2及び貯蔵室4の模式的な断面構成が示されている。そして更に図2には、それらの左側に、冷気供給装置5の構成が模式的に示されている。冷気流通路R2は、主として、貯蔵室4を正面から見た際に、貯蔵室4の周りを取り囲むように形成されている。また、冷気流通路R2は、図1に示されるように、貯蔵室4の背面部43と、本体部2の背面側の壁との間にも形成されている。
【0027】
冷気供給装置5は、図2に示されるように、箱状の本体部2の左側壁の内面に配設した冷却器として機能する蒸発器51と、本体部2外に配設されつつ、蒸発器51に接続されて蒸発器51と共に冷凍回路を構成する圧縮機52と、凝縮器53と、ドライヤ54と、減圧手段としてのキャピラリーチューブ55及びホットガス弁56と、凝縮器53を空冷する電動ファン57と、本体部2内に組み付けられて蒸発器51を覆うカバー58と、カバー58の上方に設けた開口部に配設された電動送風ファン59とを備えている。
【0028】
冷気供給装置5が作動すると、電動送風ファン59によって蒸発器51を通過した冷気は、図2中の矢印で示されるように、主として、貯蔵室4の天井部41の外壁面に沿って流れたのち、右側の側面部44の外壁面又は背面部43の外壁面に沿って下降する。そして更に、冷気は、床部42の外壁面に沿って流れることで、左側の側壁部44の外壁面側に配される蒸発器51へ戻される。
【0029】
このようにして冷気供給装置5により、冷気が冷気流通路R2を循環し、その循環する冷気を利用して、貯蔵室4の壁面が冷却される。そして、貯蔵室4の内部(空間R1)は、壁面から間接的に冷却される。
【0030】
このような間接冷却方式の恒温高湿庫1において、貯蔵室4の天井部41を内壁面(天井面)側から覆う形で、結露水案内板6が天井部41に取り付けられている。結露水案内板6は、天井部41の内壁面(天井面)に付着した結露水が落下した際に、その水滴を、上面61側で受けると共に、その水滴が貯蔵室4の前側から後側に伝わせて案内する機能を備えている。
【0031】
なお、貯蔵室4の天井部41は、図1に示されるように、貯蔵室4の前側から後側(背面側)に向って、緩やかに下るような形で傾斜している。そして、結露水案内板6は、天井部41との間に隙間R3を形成しながら、天井部41と同じように、貯蔵室4の前側から後側(背面側)に向って緩やかに下るような形で傾斜している。
【0032】
図3は、下面62側から見た結露水案内板6の平面図であり、図4は、結露水案内板6の右側面図である。結露水案内板6は、例えば、ステンレス等の金属製板材を加工したものからなり、図3及び図4に示されるように、全体的には、概ね平坦な板状をなしている。なお、図3の上側が、恒温高湿庫1の前側に対応し、その下側が恒温高湿庫1の後側に対応する。また、図4の上側が、恒温高湿庫1の上側に対応し、その下側が恒温高湿庫1の下側に対応する。
【0033】
結露水案内板6は、天井部41を覆うように、貯蔵庫4の前側から後側(背面側)に向って延びた平面視略矩形状の案内板本体部63と、案内板本体部63(結露水案内板6)を天井部41に取り付ける際に利用される案内板本体部63を貫通する形で設けられた取付孔64と、案内板本体部63(結露水案内板6)の下面(内壁面)62側に設けられる結露水の移動方向を案内するための案内部65とを備えている。
【0034】
結露水案内板6は、メインテナンス等の目的で、適宜、天井部41から取り外せるように、リベット(固定部の一例)7を利用して天井部41に取り付けられている。リベット7は、案内板本体部63(結露水案内板6)の前側寄りの位置に設けられた取付孔64を貫通しつつ、先端が天井部41に挿し込まれた状態で、結露水案内板6(案内板本体部63)を保持する。リベット7の後端は、結露水案内板6の下面62から下方に向かって突出した状態で露出している。
【0035】
リベット7は、図1に示されるように、天井部41のうち、貯蔵室4の前面側寄りの部分に取り付けられる。なお、結露水案内板6の後端は、貯蔵室4の背面部43に取り付けられているブラケット(不図示)に載せられている。
【0036】
案内部65は、固定部7(取付孔64)の前側から固定部7(取付孔64)側に向って下面62を伝いつつ移動する結露水を案内して、その結露水を固定部7(取付孔64)から離す機能を備えている。
【0037】
図5は、図3に示される案内部65付近の拡大平面図であり、図6は、図5のA−A線断面図である。案内部65は、下面62側から上面61側に窪んだ凹溝からなる。案内部65は、内側に凹溝が形成されるように下面62側から上面61側に向って膨らむように盛り上がった形となっている。
【0038】
また、案内部65は、固定部7(取付孔64)よりも前側に離れた位置において、固定部7(取付孔64)と前後方向で重なり、かつ前側から後側に亘って固定部7(取付孔64)から離された形をなしている。
【0039】
案内部65は、固定部7(取付孔64)の前側を斜めに横切る直線的な長手状の凹溝からなる。案内部65の前端65aは、前後方向において、固定部7(取付孔64)よりも前側の位置であり、かつ左右方向において、固定部7(取付孔64)よりも左側の位置に配されている。また、案内部65の後端65bは、前後方向において、固定部7(取付孔64)と同じ位置又は後側の位置であり、かつ左右方向において、固定部7(取付孔64)よりも右側の位置に配されている。
【0040】
固定部7(取付孔64)の前側の下面62に付着した水滴(結露水)8が、固定部7(取付孔64)側に向って移動すると(図5の矢印81参照)、その水滴8は、案内部65に到達する。案内部65に到達した水滴8は、そのまま固定部7(取付孔64)側に向って進むことなく、案内部65の形状(特に、前側の縁部65cや後側の縁部65d等の縁部)に沿って進むことにより、固定部7(取付孔64)を通り過ぎる(図5の矢印82参照)。案内部65の後端65bに達した水滴8は、固定部7(取付孔64)から離された状態で、前側から後側に向うように下面62を伝いながら移動することになる。
【0041】
その後、水滴8が結露水案内板6(案内板本体部63)の後端まで到達すると、その水滴8は、背面部43に移って背面部43を伝いながら下方に移動する等して、貯蔵室4の床部42に到達し、最終的に、貯蔵室4の床部42に設けられた排水パイプ(不図示)を介して庫外に排出される。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、恒温高湿庫(貯蔵庫)1における貯蔵室4の天井部41の下面(天井面)に固定される結露水案内板6の下面62を伝って移動する水滴(結露水)が、結露水案内板の下面62から露出する固定部7の一部に集まることが抑制される。
【0043】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2に係る結露水案内板6Aについて、図7を参照しつつ説明する。図7は、実施形態2に係る結露水案内板6Aの案内部65A付近の断面図である。本実施形態の結露水案内板6Aは、案内板本体部63Aの下面62Aに、凹溝状の案内部65Aが実施形態1の案内部65と同じ位置に、設けられている。この案内部65Aは、案内板本体部63Aの厚みを薄くするように、下面62A側を凹溝状に削ることで設けられたものである。そのため、案内板本体部63Aの上面61Aには、実施形態1のような膨らみが形成されていない。本発明では、結露水案内板6Aの案内部65Aとして、このような凹溝状のものを用いてもよい。
【0044】
なお、実施形態1の案内部65は、案内板本体部63の厚みに関係なく、所定の深さの凹溝を用いることができるため、そのような観点からは、施形態1の案内部65の方が、実施形態2の案内部65Aよりも、好ましいと言える。
【0045】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3に係る結露水案内板6Bについて、図8を参照しつつ説明する。図8は、実施形態3に係る結露水案内板6Bの案内部65B付近の断面図である。本実施形態の結露水案内板6Bは、実施形態1の案内部65と同じ位置に、案内板本体部63Bの下面62Bから下方に盛り上がった長手状の凸部からなる案内部65Bが設けられている。なお、結露水案内板6Bの上面61Bには、案内部65Bに対応する位置に、凹溝状の窪みが形成されている。下面62Bに付着した結露水が前側から後側に移動して案内部65Bに到達すると、長手状の凸部に沿ってリベット等の固定部7から離れて、結露水案内板6Bの前側から後側へ移動することになる。
【0046】
なお、凸部の下面62Bからの高さは、下面62Bから突出する形で露出する固定部7の一部よりも、低い方が好ましい。下面62Bからの高さが高くなり過ぎると、案内部65Bにおいて、結露水が集まって落下する等の問題が生じる場合がある。本発明では、結露水案内板6Bの案内部65Bとして、このような凸部からなるものを用いてもよい。
【0047】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4に係る結露水案内板6Cについて、図9を参照しつつ説明する。図9は、実施形態4に係る結露水案内板6Cの案内部65C付近の拡大平面図である。本実施形態の結露水案内板6Cは、案内板本体部63Cの下面62Cに、実施形態1の案内部65と同じ位置に、メッシュ状(網目状)に加工されたメッシュ部(金網)からなる案内部65Cが形成されている。下面62Cに付着した結露水が前側から後側に移動して案内部65Cに到達すると、案内部65Cに沿って移動し、リベット等の固定部7から離れて固定部7(取付孔64C)を通り過ぎる。本発明では、結露水案内板6Cの案内部65Cとして、このようなメッシュ部からなるものを用いてもよい。
【0048】
<水案内性能の評価>
上記実施形態1〜4の各結露水案内板6,6A,6B,6Cについて、水案内性能の評価試験を行った。評価試験の内容は以下の通りである。先ず、実施形態1に示されるように、貯蔵室内の上方の正規位置に結露水案内板を配設し、その結露水案内板(案内板本体部)の下面のうち、案内部の前側に水滴を付着させた。その後、結露水案内板(案内板本体部)の下面及び案内部を伝って移動する水滴を目視で観察し、案内部の水案内性能の評価を行った。水案内性能は、水滴が案内部を伝ってスムーズに案内部の後側に移動するか否か、及び水滴が案内部から落下したか否か等によって判断した。
【0049】
評価の結果、実施形態4の案内部65Cが、最も水案内性能に優れることが確かめられた。また、実施形態1の案内部65と、実施形態3の案内部65Bとを比べた場合、実施形態1の案内部65の方が水案内性能に優れること(水滴を落下させずにスムーズに後側に移動させること)が確かめられた。
【0050】
なお、コスト的な観点からは、実施形態1の案内部65及び実施形態3の案内部65Bが他の案内部よりも好ましい。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
(1)上記各実施形態では、結露水案内板を天井部に固定する固定部としてリベットを利用したが、本発明はこれに限られず、リベット以外の固定部を利用してもよい。
【0053】
(2)貯蔵室の天井部に取り付けられる結露水案内板は、1枚のみであってもよいし、2枚以上であってもよい。
【0054】
(3)他の実施形態においては、一次冷却されたブライン(不凍液)の冷熱を介して貯蔵室が二次冷却される構成の貯蔵庫であってもよい。
【0055】
(4)上記各実施形態では、案内部は、直線状をなしていたが、本発明の目的を損なわない限り、曲線状等の他の形状であってもよい。
【0056】
(5)他の実施形態においては、案内部として、案内板本体部を厚み方向に貫通する孔部を利用してもよい。例えば、実施形態1の案内部65を縁取るように、案内板本体部を刳り抜いて形成される貫通状の孔部を、案内部として用いてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…恒温高湿庫(貯蔵庫)、2…本体部、3…脚、4…貯蔵室、5…冷気供給装置、6…結露水案内板、61…上面、62…下面、64…取付孔、65…案内部、7…固定部、8…水滴(結露水)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9