(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)アクリル酸ポリマーから選ばれるアニオン性ポリマーの含有量に対する前記(B)両性界面活性剤の含有量の比((B)の含有量/(A)の含有量)が、1より大きいことを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤を振とうにより混合発泡させる毛髪化粧料組成物であって、前記複数の剤は、(A)アクリル酸ポリマーから選ばれるアニオン性ポリマーの1種以上を含有する酸性の剤が含まれ、かつ、複数の剤の混合物はアルカリ性となり、更には(B)両性界面活性剤を含有する毛髪化粧料組成物である。
【0017】
[毛髪化粧料組成物]
本発明の毛髪化粧料組成物とは、使用時に複数の剤を混合発泡させ、泡状の毛髪化粧料組成物として毛髪に適用するものである。毛髪化粧料組成物の具体例としては、酸化染毛剤等の染毛剤、毛髪脱色・脱染剤等が挙げられる。
【0018】
酸化染毛剤は、アルカリ剤と酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合して、酸化染料を酸化剤により発色させて毛髪を染色させるものである。ここで、アルカリ剤は、毛髪を膨張させて、染料や酸化剤の浸透を促進する機能を有し、酸化剤は、酸化染料を酸化する機能の他、毛髪の内部のメラニンを分解する機能を有している。
【0019】
毛髪脱色・脱染剤は、第1剤に酸化染料を含まず、毛髪を脱色するものである。毛髪脱色剤は、毛髪中のメラニンを酸化分解することにより毛髪を脱色するものであり、毛髪脱染剤は、染毛した毛髪から染料とメラニンを脱色するものである。
【0020】
染毛剤、毛髪脱色剤又は毛髪脱染剤は、上記のように、第1剤及び第2剤からなる2剤式のものが代表的であるが、3剤以上からなる多剤式であってもよい。
【0021】
[振とうによる混合発泡]
本発明において、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤は、振とうにより混合発泡され、泡状の毛髪化粧料組成物を形成する。この混合発泡には、複数の剤を混合した後に、混合物を振とうして発泡してもよいし、複数の剤の混合と発泡を同時に進行するように振とうしてもよい。
【0022】
「振とう」とは、毛髪化粧料組成物を構成する剤に流れを起こさせる操作であり、より好ましくは、乱流、対流等のランダムな流れを起こさせる操作である。
当該振とうの手法は特に限定されず、例えば、容器を振って発泡する操作、撹拌により気体を混合して発泡する操作、複数の剤を混合することにより発泡性材料から気体を発生する操作等が挙げられる。使用の簡便性の観点から、容器を振って発泡する操作が好ましい。
なお、上記「複数の剤を混合することにより発泡性材料から気体を発生する操作」には、酸性の剤と、炭酸塩等を含む剤とを混合することにより二酸化炭素を発生させて発泡する操作等を含む概念である。
【0023】
振とうによる混合発泡操作では、振とうの手法にあわせて、容器や撹拌用具を使用することができる。例えば、上記の特許文献1に開示するような、複数の剤を投入して振とうすることができる開閉可能な密閉容器を使用することができる。また、上記の特許文献2に開示するような、複数の剤を投入するためのコップ状の容器と、この容器に投入された複数の剤をかき混ぜて混合発泡させるためのヘラ状の撹拌用具等を使用することができる。
【0024】
泡状の毛髪化粧料組成物を毛髪へ適用する手法としては、特に制限されないが、例えば、手袋を着用した手やヘラ等の掬い取り具により容器から泡状の毛髪化粧料組成物を取り出して適用する手法や、容器を傾けて泡状の毛髪化粧料組成物を毛髪に乗せて適用する手法等が挙げられる。
更に、手袋を着用した手、コーム(櫛)、刷毛等で毛髪へ展延してもよい。また、毛髪上で再度泡立ててもよい。
【0025】
なお、本発明は、上記の方法によって混合発泡した泡状の毛髪化粧料組成物を毛髪へ適用する染毛方法、毛髪脱色方法、毛髪脱染方法も開示するものである。泡質に優れ、保形性が良好な泡は、泡量について目分量が効くという利点や、泡が垂れ落ちにくいという利点がある。また、泡量が多くなると、毛髪量の多い場合にも均等に適用することができるという利点がある。
【0026】
[毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤]
本発明の毛髪化粧料組成物は、酸性の剤(例えば、酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤の第2剤)を含む複数の剤で構成され、これらの複数の剤の混合後はアルカリ性となるものである。酸性の剤のpHは、特に限定されないが、例えば、pH1〜7の範囲内、特にpH2〜6の範囲内であることが好ましい。
【0027】
酸性の剤を含む複数の剤を混合後にアルカリ性とするためには、複数の剤の中には、別にアルカリ性の剤(例えば、酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤の第1剤)を構成する必要がある。アルカリ性の剤のpH値は、特に限定されないが、pH7を超えpH13までの範囲内、特にpH8〜12の範囲内であることが好ましい。
【0028】
複数の剤の混合により毛髪化粧料組成物をアルカリ性とした際のpH値は、特に限定されないが、pH7を超えpH13までの範囲内、特にpH8〜11の範囲内であることが好ましい。
【0029】
また、本発明の毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤には、上記「酸性の剤」、「アルカリ性の剤」のほか、必要に応じて「その他の剤」を設けてもよい。
【0030】
毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤の剤型は、特に制限されないが、例えば、液状、粉末状、顆粒状、粒状、錠剤等が挙げられる。複数の剤の全ての剤を粉末状等の固体状の剤型とする場合には、水に溶解させてから振とうによる混合発泡に供すればよい。
【0031】
混合性に優れるという観点から、複数の剤の各剤が液状であることが好ましい。液状の剤としては、それぞれ水を基材とする溶液状、乳液状、ジェル状、クリーム状等の剤が例示される。これらの液状の剤の25℃における粘度は、混合性や発泡性に優れるという観点から、5000mPa・s以下であることが好ましく、2000mPa・s以下であることが更に好ましい。毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤は、良好な混合性を得るという観点から、各剤が同じタイプの液状の剤であることが好ましく、更には25℃における粘度の差が、1000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることが特に好ましい。
【0032】
25℃における粘度の測定方法は、B型粘度計(東機産業社製)を用いて測定する。粘度が250〜1000mPa・sの範囲の場合には、ロータ2号、30rpm、1分の条件で測定する。ロータ2号、30rpm、1分の条件において粘度が250mPa・s未満である場合には、粘度は、ロータ1号、60rpm、1分の条件で測定した結果を採用する。ロータ2号、30rpm、1分の条件において粘度が1000mPa・sを超える場合には、ロータ3号、12rpm、1分の条件で測定した結果を採用する。なお、本発明において、すべての粘度の測定方法は、この方法に従って行う。
【0033】
以下に、各剤に含まれる成分について詳細に説明する。なお、含有量については、特に断りがない場合には、毛髪化粧料組成物に対する含有量を意味する。
【0034】
[酸性の剤に含有する成分]
本発明の毛髪化粧料組成物における「酸性の剤」は、(A)アクリル酸ポリマーから選ばれるアニオン性ポリマー(以下、「アニオン性アクリル酸ポリマー」という。)の1種以上を含有する。本発明におけるアニオン性アクリル酸ポリマーは、酸性の剤中では低粘度であるか、あるいは粘性を示さないが、アルカリ性下では増粘するという特性を持つ。
【0035】
毛髪化粧料組成物を酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤として利用する際には、「酸性の剤」は、酸化剤を含有する第2剤として利用されることが好ましい。酸化染毛剤や毛髪脱色剤の第2剤は、酸化剤の働きにより毛髪に含まれるメラニンを脱色するという作用を有している。毛髪脱染剤の第2剤は酸化剤に加えて酸化助剤を含有し、毛髪に含まれるメラニンの脱色と、酸化染料重合体の分解とを行う。
なお、酸化剤については、[酸性の剤に含有する成分]の項に記載するが、酸化染料と別の剤に配合すればよく、酸性の剤とは別の剤に配合してもよい。
【0036】
((A)アニオン性アクリル酸ポリマー)
アニオン性アクリル酸ポリマーとは、モノマーとしてアクリル酸モノマーを含み、更に、分子内にカチオン性基よりもアニオン性基を多く有するものである。アニオン性アクリル酸ポリマーとしては、アクリル酸モノマーのみからなるホモポリマーも、アクリル酸モノマーと他種モノマーからなるアニオン性のコポリマーも包含される。しかし、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体(商品名マーコート280)や塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体(商品名マーコート3330)のように、共重合により分子内にアニオン性基よりもカチオン性基を多く有するコポリマーを包含しない。又、アクリル酸モノマーを含まないメタクリル酸ポリマーも包含しない。
【0037】
アニオン性アクリル酸ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(以下、「POE」という。)アルキルエーテル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸POEアルキルエーテル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸POEアルキルエーテルクロスポリマー、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。なお、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。また、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の双方を意味する。
【0038】
具体的には、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸POEセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸POEステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸POEべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/イタコン酸POEステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/イタコン酸POEセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル/メタクリル酸POEステアリルエーテルクロスポリマー、アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー等を例示することができる。
【0039】
なお、上記アニオン性アクリル酸ポリマーは、市販品を用いることもできる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、例えば、アキュリン33(アクリル酸アルキルコポリマー)(ローム・アンド・ハース社製)、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸POEアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、アキュリン22((アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー)、アキュリン28((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー)(いずれもローム・アンド・ハース社製)等を例示することができる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸POEアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、ストラクチャー2001((アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー)、ストラクチャー3001((アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマー)(いずれもアクゾノーベル社製)等を例示することができる。(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸POEアルキルエーテルクロスポリマーの市販品としては、例えば、アキュリン88((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー)(ローム・アンド・ハース社製)、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/ネオデカン酸ビニルクロスポリマーの市販品としては、例えば、アキュリン38((アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー)を例示できる。カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えばカーボポール(日光ケミカルズ社製)等を例示することができる。
【0040】
好ましいアニオン性アクリル酸ポリマーとしては、例えば、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー(商品名:アキュリン22)、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー(商品名:ストラクチャー2001)、アクリル酸アルキルコポリマー(商品名:アキュリン33)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール)である。
【0041】
アニオン性アクリル酸ポリマーの重合度あるいは分子量は特段に限定されないが、例えば、1%水溶液濃度でpH8において5000mPa・s以上の粘度を示す重合度あるいは分子量のものを好ましく用いることができる。
【0042】
酸性の剤におけるアニオン性アクリル酸ポリマーの含有量も、特段には限定されないが、複数の剤の混合後における増粘効果を考慮すると、使用時(複数の剤の混合時)において0.01〜3質量%の範囲内となる含有量、より好ましくは0.05〜2.5質量%の範囲内となる含有量、特に好ましくは0.1〜2質量%の範囲内となる含有量である。
【0043】
(酸化剤)
酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及びピロリン酸塩の過酸化水素 付加物等が例示される。又、酸化助剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩が例示される。これらの中でも、過酸化水素が好ましい。
【0044】
酸性の剤における酸化剤の含有量は特段に限定されないが、例えば0.1〜15質量%、より好ましくは2〜9質量%である。第2剤が酸化剤として過酸化水素を含有する場合、その安定性を向上させる安定化剤として、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、りん酸、クエン酸、又はその塩等を酸性の剤に配合することが好ましい。
【0045】
[アルカリ性の剤に含有する成分]
毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤の混合物をアルカリ性とするために、複数の剤の中にアルカリ性の剤を含ませる。アルカリ性の剤としては、酸化染毛剤や毛髪脱色・脱染剤の第1剤を例示できる。酸化染毛剤や毛髪脱色剤の第1剤は少なくともアルカリ剤を含有し、酸化染毛剤の第1剤においては更に酸化染料を含有する。アルカリ剤は、酸性の剤に含有される酸化剤の作用を促進することにより、毛髪の脱色効果又は脱染効果を向上させる働きをする。酸化染料は、染料中間体からなり、又は染料中間体とカプラーからなるもので、毛髪の内部において酸化剤の作用により酸化染料重合体を形成し、発色する。酸化染毛剤には、染毛色調を調整するため、更に直接染料を配合することがある。
なお、酸化染料、直接染料については、[アルカリ性の剤に含有する成分]の項に記載するが、アルカリ性の剤と別の剤に配合してもよい。
【0046】
(アルカリ剤)
アルカリ剤としては、アンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、塩基性アミノ酸等が例示される。具体的には、アルカノールアミンとしてはモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が例示され、ケイ酸塩としてはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムが例示され、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムが例示され、炭酸水素塩としては炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムが例示され、メタケイ酸塩としてはメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウムが例示され、硫酸塩としては硫酸アンモニウムが例示され、塩化物としては塩化アンモニウムが例示され、リン酸塩としてはリン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウムが例示され、塩基性アミノ酸としてはアルギニン、リジン及びそれらの塩が例示される。これらの中でも、アンモニア及びアンモニウム塩が好ましい。
【0047】
アルカリ性の剤におけるアルカリ剤の含有量は限定されないが、例えば、複数の剤の混合時において0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
【0048】
(酸化染料)
酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料である。酸化染料には、自身の酸化により発色する染料中間体と、染料中間体との組み合わせにより種々の色調となるカプラーがある。
【0049】
染料中間体は、主としてo−又はp−のフェニレンジアミン類あるいはアミノフェノール類である染料先駆物質であり、通常、それ自体は無色か又は弱く着色した化合物である。
具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン(p−トルイレンジアミン)、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、o−クロル−p−フェニレンジアミン、4−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4−ジアミノフェノール及びそれらの塩類等が例示される。
【0050】
カプラーとしては、主としてm−のジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的にはレゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェニール、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸及びそれらの塩等が例示される。
【0051】
酸化染料には、上記した各化合物の酸付加塩等が含まれる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の無機酸の付加塩、酢酸塩等の有機酸の付加塩が挙げられる。染料の保存安定性の観点から、酸化染料の酸付加塩を配合することが好ましい。
【0052】
これらの酸化染料は、所望する色調に応じて1種又は2種以上を選択して使用することができる。
毛髪化粧料組成物に対する酸化染料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0053】
(直接染料)
本発明の直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着又は浸透して染毛する染料である。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等がある。これら直接染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
【0054】
上記酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0055】
上記塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0056】
上記天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナ等を例示できる。
【0057】
上記ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩等を例示できる。
【0058】
上記HC染料としては、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0059】
上記分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
【0060】
毛髪化粧料組成物に対する直接染料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0061】
[複数の剤のいずれかに含有する成分]
以下に記載する成分は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれかに配合されるものである。
【0062】
((B)両性界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤のいずれかに(B)両性界面活性剤を含有する。(B)両性界面活性剤は、(A)アニオン性アクリル酸ポリマーの含有量が少ない場合には、アニオン性アクリル酸ポリマーの泡質改善効果に対して補助的に作用し、毛髪化粧料組成物の泡質を高めることができる。また、意外なことに、(A)アニオン性アクリル酸ポリマーの含有量が多い場合には、アニオン性アクリル酸ポリマーの含有量の増加に伴い、泡量が減少するという作用を抑制して、泡量を増加するという効果が認められる。
すなわち、(B)両性界面活性剤を含有することにより、(A)アニオン性アクリル酸ポリマーの含有量の広い範囲にわたって、泡質と泡量のいずれの性能にも優れた毛髪化粧料組成物を提供することができる。
【0063】
本発明で用いられる(B)両性界面活性剤としては、(b1)アミノ酸型両性界面活性剤、(b2)ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
(b1)アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエチル−N'−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエトキシエチル−N'−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシメトキシエチル−N'−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。
(b2)ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
【0064】
(B)両性界面活性剤は、2種以上含有することが好ましい。特に、(b1)アミノ酸型両性界面活性剤から選ばれる1種以上、及び、(b2)ベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上を併用することにより、本発明の効果をさらに高めることができる。
【0065】
両性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜3質量%、さらに好ましくは0.01〜2.5質量%である。
【0066】
また、(A)アニオン性アクリル酸ポリマーと(B)両性界面活性剤の含有量の比((B)の含有量/(A)の含有量)は、1より大きいことが好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。
【0067】
なお、(B)両性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれの剤に配合してもよいが、アルカリ性の剤である第1剤に配合することが好ましい。
【0068】
((C)ポリプロピレングリコール骨格を有するノニオン性界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤のいずれかに(C)ポリプロピレングリコール骨格を有するノニオン性界面活性剤(以下、「PPGノニオン性界面活性剤」という。)を含有することが好ましい。
PPGノニオン性界面活性剤は、泡質の向上、泡量の増加という本発明の効果を更に高める作用を有する。また、高級アルコール等の成分の低温下における析出を防止するという作用も有している。
【0069】
PPGノニオン性界面活性剤は、ポリプロピレングリコール基を有するノニオン性界面活性剤である。
例えば、POP(ポリ)グリセリルエーテル、POE・POP(ポリ)グリセリルエーテルや、POE・POPアルキルエーテル、POE・POPグリコール等が挙げられる。
なお、POEは「ポリオキシエチレン」、POPは「ポリオキシプロピレン」の略である。
【0070】
POP(ポリ)グリセリルエーテル、POE・POP(ポリ)グリセリルエーテルの具体例としては、PPG−8グリセリル、PPG−10グリセリル、PPG−16グリセリル、PPG−50グリセリル、PPG−70グリセリル、PPG−9ジグリセリル、PPG−14ジグリセリル、POE(24)POP(24)グリセリルエーテル等が挙げられる。
【0071】
POE・POPアルキルエーテルの具体例としては、POE・POPブチルエーテル、POE・POPラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPステアリルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0072】
POE・POPグリコールの具体例としては、POE(3)・POP(17)グリコール、POE(20)・POP(20)グリコール、POE(54)・POP(39)グリコール、POE(160)・POP(30)グリコール、POE(120)・POP(40)グリコール、POE(196)・POP(67)グリコール、POE(23)・POP(17)グリコール、POE(5)・POP(35)グリコール、POE(12)・POP(35)グリコール、POE(30)・POP(35)グリコール、POE(150)・POP(35)グリコール、POE(200)・POP(70)グリコール等が挙げられる。
上記のPPGノニオン性界面活性剤は、1又は2種以上使用することができる。
【0073】
PPGノニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.1〜5.0質量%である。
【0074】
PPGノニオン性界面活性剤は、好ましくは、POP(ポリ)グリセリルエーテルであり、更に好ましくは、POPグリセリルエーテル、POPジグリセリルエーテルであり、特に好ましくは、POPジグリセリルエーテルである。
PPGノニオン性界面活性剤の全量に対するPOPジグリセリルエーテルの含有量は、好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。
【0075】
なお、PPGノニオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれの剤に配合してもよいが、アルカリ性の剤である第1剤に配合することが好ましい。更には、高級アルコールを含有する剤に配合することが好ましい。
【0076】
(その他の界面活性剤)
本発明の毛髪化粧料組成物は、複数の剤のいずれかにアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、上記(C)PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤を含有してもよい。
【0077】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤として、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニル エーテルカルボン酸塩、α−スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0078】
より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示され、1又は2種以上を使用することができる。
【0079】
アニオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%である。
【0080】
なお、アニオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれの剤に配合してもよいが、酸性の剤に配合することが好ましい。アニオン性界面活性剤は、酸性の剤に配合しても保存安定性に問題がなく、かつ、複数の剤を振とうにより混合発泡させた際に良好な泡質を実現できる。
【0081】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤は、泡状とした毛髪化粧料組成物を毛髪に適用した際、毛髪の感触を向上させる。
カチオン性界面活性剤としては塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が例示され、1又は2種以上を使用することができる。
起泡時の泡量、泡質に優れるという観点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0082】
カチオン性界面活性剤の含有量は、特段に限定されないが、例えば、複数の剤の混合時において0.01〜5質量%の範囲内となる含有量、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲内となる含有量である。
【0083】
なお、カチオン性界面活性剤は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれの剤に配合してもよいが、酸性の剤に含まれるアニオン性アクリル酸ポリマーとコンプレックスを形成する恐れがあるため、酸性の剤とは別の剤に配合することが好ましい。
【0084】
((C)PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤)
(C)PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤としては、例えば、エーテル型とエステル型のものとを例示できる。
エーテル型ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル(ベヘネス)、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、及びPOEオクチルフェニルエーテルを例示できる。
【0085】
エステル型ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルを例示できる。
【0086】
また、PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルポリグルコシドが挙げられる。アルキルポリグルコシドとは、糖と脂肪アルコールのエーテル化物であり、糖の縮合度は、1〜2であることが好ましい。アルキル鎖長は、8〜16であることが好ましい。例えば、アルキル(8〜16)グルコシドが挙げられる。
【0087】
PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤としては、HLB10以上のものを使用することが好ましく、HLB10以上のエーテル型のものを使用することが特に好ましい。
【0088】
PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤の含有量は特段に限定されないが、例えば、好ましくは複数の剤の混合時において0.01〜20質量%の範囲内となるような含有量、特に好ましくは0.1〜10質量%の範囲内となるような含有量である。
【0089】
また、PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤は、酸性の剤と、酸性の剤以外の剤にも配合することが好ましい。これにより、特に優れた泡量及び泡質を得ることができる。
更には、PPGノニオン性界面活性剤以外のノニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤と共に使用することが好ましい。ノニオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤との相乗作用により、複数の剤を振とうにより混合発泡させた際に、良好な泡質で、泡の硬さも良好な泡を実現できる。
【0090】
(その他の成分)
本発明の毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤には、上記の成分以外、例えばカチオン性高分子、可溶化剤、油性成分、多価アルコール、水溶性高分子化合物(アニオン性アクリル酸ポリマー及びカチオン性高分子以外)、糖、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート化剤等を任意に配合することができる。その内のいくつかを以下に具体的に述べる。
【0091】
(カチオン性高分子)
カチオン性高分子は、泡状とした毛髪化粧料組成物を毛髪に適用した際、毛髪の感触を向上させる。カチオン性高分子としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等が例示される。
【0092】
より具体的には、カチオン化セルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム−10、例えばレオガードG、同GP;ライオン社、ポリマーJR−125、同JR−400、同JR−30M、同LR−400、同LR−30M;Amerchol社)、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム−4、例えばセルコートH−100、同L−200;アクゾノーベル社)等が例示される。
【0093】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)〔ポリクオタニウム−6(POLYQUATERNIUM-6)、例えばマーコート100(MERQUAT 100);ルーブリゾール社〕、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体〔ポリクオタニウム−22(POLYQUATERNIUM-22)、例えばマーコート280(MERQUAT 280);ルーブリゾール社〕、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体〔ポリクオタニウム−39(POLYQUATERNIUM-39)、例えばマーコートプラス3331(MERQUAT PLUS 3331);ルーブリゾール社〕等が例示される。
【0094】
4級化ポリビニルピロリドンとしては、ビニルピロリドン(VP)とメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩〔ポリクオタニウム−11(POLYQUATERNIUM-11)、例えばガフコート734(GAFQUAT 734)、同755;アイエスピー・ジャパン社〕等が例示される。
以上のカチオン性ポリマーの内、洗い流し時の感触向上という面から、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウムが特に好ましい。
【0095】
カチオン性高分子の含有量は、特段に限定されないが、例えば、複数の剤の混合時において0.01〜3質量%の範囲内となる含有量、より好ましくは0.1〜1質量%の範囲内となる含有量である。
【0096】
なお、カチオン性高分子は、毛髪化粧料組成物を構成する複数の剤のいずれの剤に配合してもよいが、酸性の剤に含まれるアニオン性アクリル酸ポリマーとコンプレックスを形成する恐れがあるため、酸性の剤とは別の剤に配合することが好ましい。
【0097】
(可溶化剤)
可溶化剤は、毛髪化粧料組成物の各剤を液状にするために配合される。可溶化剤としては水や有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としてはエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、p−メチルベンジルアルコール、α−フェニルエタノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、N−アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が例示される。特に水が好ましく使用される。混合時の水の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
【0098】
(油性成分)
油性成分としては油脂、ロウ類、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類、炭化水素等が例示される。
【0099】
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等が例示される。
【0100】
ロウ類としては、ミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ等が例示される。
【0101】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、ラノリンアルコール等が例示される。
【0102】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が例示される。
【0103】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が例示される。
【0104】
エステル類としては、アジピン酸ジイソブチル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等が例示される。
【0105】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコン)、ジメチルポリシロキサンにポリエーテル鎖が結合したポリエーテル変性シリコーン、ヒドロキシ末端基を有するジメチルポリシロキサン(INCI名:ジメチコノール)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン等が例示される。
【0106】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、具体的には、PEG−11メチルエーテルジメチコン、PEG/PPG−20/6ジメチコン、PEG−10ジメチコン、PEG−12ジメチコン、PEG−10メチルエーテルジメチコン、PEG17ジメチコン等が挙げられる。この成分は市販成分を使用しても良く、具体的にはそれぞれ商品名シリコーンKF6011(信越シリコーン社製)、ABIL B88183(Goldschmidt社製)、シリコーンSH3771M(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、シリコーンSS−2801(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、Silsoft895(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)を挙げることができる。このポリエーテル変性シリコーンは単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0107】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(INCI名:トリメチルシリルアモジメチコン)等が例示される。
【0108】
炭化水素としては、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が例示される。
【0109】
(多価アルコール)
多価アルコールとしてはグリコール類、グリセリン類が挙げられ、グリコール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が、グリセリン類としてはグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が例示される。
【0110】
(糖)
糖としては、単糖類として、グルコース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボース、フルクトース、リブロース、リキソース等、二糖類として、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マルトース、セロビオース等、糖アルコール類として、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、マルチトール、ソルビトール、ポリデキストロース等、また、その他イノシトール、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ、黒砂糖抽出物等が挙げられる。
糖は泡質を向上する効果があり、その中でもハチミツは、特に優れた効果が認められた。
【0111】
(水溶性高分子化合物)
水溶性高分子化合物としては、前記したアニオン性アクリル酸ポリマー、カチオン性高分子を除く、アニオン性、非イオン性及び両性の高分子化合物を使用することができる。例えば、ヒドロキシエチルセルロース等が例示される。
【実施例】
【0112】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0113】
〔第1剤及び第2剤の調製〕
表1〜3に示す組成の液状の第1剤及び第2剤を以下に記載する調製法に従って調製した。
第1剤:精製水の一部に溶解した染料液と、アルカリ剤以外の各成分を80℃の条件下にて混合した。次に、プロペラ撹拌機にて撹拌しながら常温まで冷却後、染料液とアルカリ剤を加えた。
第2剤:酸化剤以外の各成分を混合し、プロペラ撹拌機にて撹拌を行ったあと、酸化剤を加えた。
【0114】
〔泡状の毛髪化粧料組成物の調製〕
第1剤40mL及び第2剤80mLを容器本体に投入し、蓋体を装着して液密に閉塞した。次に、振り幅30cmとして容器を上下に30回振とうし、実施例1〜12、及び比較例1〜4に係る泡状の毛髪化粧料組成物を調製した。
振とう混合用の容器としては、底部よりも開口部が拡径した形状を有する有底筒状の容器本体(開口部の内径は8.5cm、底部の内径は7cm、高さ14cm)と、当該容器本体の開口部を液密に閉塞する半球状の蓋体とを備える容器を使用した。容器本体の容量は600mLであり、開口部を蓋体で閉塞した状態の容器全体の容量は770mLである。また、当該容器は透明であり、容器の外から容器の中を視認できるものを使用した。なお、この容器の形状は、国際公開第2011/151880号の
図1〜2に開示の容器と同様である。
【0115】
〔毛髪化粧料組成物の評価〕
以上の実施例1〜12、及び比較例1〜4に係る毛髪化粧料組成物を用いて、以下の評価項目について評価を行った。
【0116】
(泡質)
振とう操作によって形成された泡について、保形性の観点から、複数剤を振とうして混合発泡する形式の毛髪化粧料組成物についての専門性を備えるパネラーが評価した。評価基準は以下のとおりである。各例について5回の試験を行い、評価点の平均値を小数第1位で四捨五入し、整数で評価結果を得た。評価結果は各表中の「泡質」欄に記載した。
−評価基準−
容器本体から、3cm四方ほどの量の泡をニトリル手袋をした手ですくい取り、10秒間静止した。当該静止時間後に、泡のきめ細かさと、泡の保形成として形の崩れやすさを目視にて評価し、続いて掬った泡を指1本で10円ほどの大きさの円を描くようにかき回し、弾力性についても評価することで、これらを総合的に「泡質」の評価とした。
5: 泡のきめ細かさ、保形成、弾力性の何れもが非常に優れている。
4: 泡のきめ細かさ、保形成、弾力性の何れもが優れている。
3: 泡のきめ細かさ、保形成、弾力性の何れもが良好である。
2: 泡のきめ細かさ、保形成、弾力性のうち1乃至2の項目が不十分である。
1: 泡のきめ細かさ、保形成、弾力性の何れもが不十分である。
【0117】
(泡量)
振とう操作後、容器を25℃下で1分間静置し、蓋体側に付着していた泡も容器本体内に集めた。その後、蓋体を外し、容器本体内の泡の量を目視で確認した。評価基準は以下のとおりである。各例について5回の試験を行い、評価点の平均値を小数第1位で四捨五入し、整数で評価結果を得た。評価結果は各表中の「泡量」欄に記載した。
−評価基準−
5: 容器本体を満たす泡量であり、泡が溢れ出ることもなかった。
4: 容器本体の約4/5を満たす泡量であった。
3: 容器本体の約3/5を満たす泡量であった。
2: 容器本体の約2/5を満たす泡量であった。
1: 混合液がそのまま残っており、殆ど泡立つことが認められなかった。
【0118】
(第1剤における高級アルコールの析出)
各例に係る第1剤をガラス瓶中に5℃、1週間保存したときに結晶が現れるかどうかを目視で確認した。評価基準は以下のとおりである。各例について同じ条件の3つの瓶の状態を観察して、それらを総合的に判断して妥当な評価ランクを決定した。評価結果は、各表中の「第1剤中の析出」欄に記載した。
−評価基準−
○:結晶がない
×:結晶が見られる
【0119】
【表1】
※混合果実抽出液:「オレンジ果汁、リンゴ果汁、レモン果汁、モモ果汁、濃グリセリン」
【0120】
表1の比較例1〜4を見ると、アニオン性アクリル酸ポリマーを0.5質量%配合した場合には、泡量において優れた効果が認められるが、泡質において十分な評価を得ることができない。また、アニオン性アクリル酸ポリマーの配合量を増加すると、泡質の向上が認められるが、泡量の評価は低下するという現象が認められる。
一方、両性界面活性剤を配合した実施例1〜5では、アニオン性アクリル酸ポリマーを多量に配合したにも関わらず、泡量において優れた効果が認められる。すなわち、両性界面活性剤は、多量のアニオン性アクリル酸ポリマーが泡量を低下するという作用を抑制する効果を有しているといえる。また、両性界面活性剤には、泡質を向上する効果も認められる。
【0121】
さらに、実施例1〜5を見ると、アミノ酸型両性界面活性剤とベタイン型両性界面活性剤を併用することにより、泡質の評価において、より高い効果が認められる。
【0122】
【表2】
※混合果実抽出液:「オレンジ果汁、リンゴ果汁、レモン果汁、モモ果汁、濃グリセリン」
【0123】
表2の実施例6〜9では、両性界面活性剤の効果を発揮するために有効な含有量を検討した。その結果、アニオン性アクリル酸ポリマーの含有量に対する両性界面活性剤の含有量の比が、1より大きいと十分な効果が認められ、1.5より大きいと特に優れた効果を発揮することが認められた。
【0124】
【表3】
※混合果実抽出液:「オレンジ果汁、リンゴ果汁、レモン果汁、モモ果汁、濃グリセリン」
【0125】
表3の実施例10〜12では、更にノニオン性界面活性剤の効果について検討した。その結果、ノニオン性界面活性剤として、POPジグリセリルエーテル及びPOPグリセリルエーテルを含有すると、泡質及び泡量の評価において、特に優れた効果が認められた。
【0126】
また、POPジグリセリルエーテル及びPOPグリセリルエーテルは、第1剤を低温下で保存した際に、高級アルコール等の析出を抑制するという効果も有している。
【0127】
更には、ポリプロピレングリコール骨格を有するノニオン性界面活性剤のうち、POPジグリセリルエーテルの含有量が高いほど、泡質の評価において、特に優れた効果が認められる。