【実施例】
【0033】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0034】
本実施例は、ブロー成形機を用いて樹脂製の板状体(具体的には、敷板)を製造する樹脂製敷板の製造方法に係るものである。
【0035】
まず、本実施例で使用するブロー成形機について説明する。
【0036】
本実施例で使用するブロー成形機は、一般的なブロー成形に用いられるブロー成形機であり、筒状の熱可塑性樹脂部材2(以下、この筒状に形成された熱可塑性樹脂部材2をパリソン2と称す)を押し出す押出機1と、押出機1から押し出された熱可塑性樹脂部材2を挟み込んで押し潰すピンチ装置3とを備えた構成としている。
【0037】
具体的には、ピンチ装置3は、
揺動腕部13の内側に突設される押出機1から押し出されたパリソン2の直径(幅方向両端部間寸法)よりも長い長さの棒状体から成る一対の挟込部4を備え、この挟込部4をパリソン2が通過できる間隔をおいて水平方向に対向配設すると共に相対接近離反移動自在に設けて開閉動作自在に設けた構成とし、押出機1から連続的に押し出されるパリソン2をこの一対の挟込部4の
対向する帯状垂直平面に形成される挟み込み面4Aの相対接近移動による閉じ動作で挟み込んでパリソン2を押し潰して対向面同士が貼り合わせられるように重合した一の重合部5を形成し、この一の重合部5を形成した後の一対の挟込部4の相対離反移動による開き動作から次の閉じ動作の間にパリソン2が下方に移動し、一対の挟込部4の次の閉じ動作で一の重合部5の上側箇所を挟み込んで他の重合部5を一の重合部5の上方に次々と形成する構成としている。
【0038】
更に具体的に説明すると、本実施例では、図示するように、押出機1から押し出されたパリソン2に多数の重合部5を形成する際に、重合部5を連続状態、具体的には、先に形成した下側の一の重合部5の上端部と、この一の重合部5の上側に形成される二の重合部5の下端部とがオーバーラップするように挟込部4で挟み込み、次に、同様にこの二の重合部5の上側に形成される三の重合部5の下端部とがオーバーラップするように挟込部4で挟み込み、前記操作を繰り返し行い、この上側と下側との夫々の重合部5の端部同士をオーバーラップさせながら挟込部4で挟み込んで隙間なく連続的にパリソン2に重合部5を次々と形成してゆく構成としている。
【0039】
即ち、通常のブロー成形機のピンチ装置(通常のブロー成形を行う際のピンチ装置)は、押出機1から押し出されたパリソンの下端を挟み込んでこのパリソンを袋状にする際に用いるもので、1成形サイクルで一度動作する設定となっているが、本実施例では、ピンチ装置3の挟み込み動作を連続的に繰り返し行う設定に変更し、次々とパリソン2を挟み込んで多数の重合部5を形成するように構成している。
【0040】
即ち、本実施例のブロー成形機は、挟込部4の閉じ動作完了後から次の閉じ動作完了までの間の押出機1のパリソン2の押し出し量(長さ)を、ピンチ装置3の挟込部4の上下(鉛直)方向寸法よりやや少なく押し出されるように設定し、重合部5と重合部5とをオーバーラップさせて隙間を生じさせることなくピンチ装置3でパリソン2を押し潰してゆき、このパリソン2全体に連続した重合部5を形成し、このパリソン2を後述する板状体形成金型7で本型締め(プレス成形)する前にほぼ均一な板状の熱可塑性樹脂部材2に形成する構成としている。
【0041】
また、本実施例に用いるブロー成形機は、押出機1から押し出したパリソン2の内部(筒内)の空気を吸引する吸引手段を備えたものを用いている。
【0042】
具体的には、吸引手段は、押出機1に設けた吸引部9(吸引孔)と、この吸引部9に接続された吸引装置10(真空ポンプ)とから成る構成とし、吸引部9は、押出機1の底部に環状に設けられたパリソン押出し口11(パリソン押出し溝)の内側に設けられ、パリソン押出し口11から押し出されるパリソン2の筒内を吸引装置10により吸引する構成としている。
【0043】
即ち、本実施例のブロー成形機は、押出機1(パリソン押出し口11)から押し出されたパリソン2内を吸引部9を通じて吸引装置10で吸引しながらピンチ装置3で挟み込むことで、重合部5の熱可塑性樹脂部材2同士が重合する重合面の間への空気の介在を可及的に低減し、成形品の斑の発生を抑制するように構成している。
【0044】
また、本実施例のブロー成形機に取り付ける板状体形成金型7は、通常のブロー成形用の金型を取り付けるブロー成形金型取り付け部6に取り付ける構成とし、ピンチ装置3の挟み込により板状に形成された板状熱可塑性樹脂部材2を両側から挟み込んで挟圧(プレス)する構成としている。
【0045】
また、本実施例の板状体形成金型7は、熱可塑性樹脂部材2を敷板12に形成する構成とし、対向する板状体形成金型7の一方若しくは双方の熱可塑性樹脂部材2に圧接する圧接面(プレス面)に凹凸部を設け、成形される敷板12の表面に滑り止め用の凹凸模様8を形成するように構成している。
【0046】
次に上述したブロー成形機を用いて樹脂製板状体、具体的には、敷板12を製造する際の製造方法について説明する。
【0047】
本実施例のブロー成形機を用いた敷板の製造方法は、通常のブロー成形と同様、ブロー成形機の上部に設けられた押出機1から下方に向かって筒状に形成した溶融状態の熱可塑性樹脂部材2、所謂パリソン2を押し出す。
【0048】
この押出機1から押し出したパリソン2を、押出機1の下方に設けられ開閉動作を繰り返すピンチ装置3の一対の挟込部4間を通過させ、吸引部9を介して吸引装置10(真空ポンプ)によりパリソン2内の空気を吸引しながら一対の挟込部4で次々とパリソン2の異なる位置を挟み込んでゆき、このパリソン2に多数の重合部5を形成する。
【0049】
具体的には、一対の挟込部4の一の閉じ動作でパリソン2を挟み込んで押し潰し一の重合部5を形成し、この一の閉じ動作後の開き動作から次の閉じ動作(二の閉じ動作)の間にパリソン2が下方に移動し、次の閉じ動作(二の閉じ動作)で一の閉じ動作で形成した一の重合部5の上方を挟み込んで同様にパリソン2を押し潰してこの一の重合部5の上方に二の重合部5を形成し、この動作を所定回数繰り返し行い、パリソン2の移動方向、即ち上下方向に沿って次々と所定数の重合部5を形成する。
【0050】
パリソン2に所定数の重合部5を形成し、板状のパリソン2を形成したら、一旦押出機1、ピンチ装置3及び吸引装置10の稼働を停止し、板状体形成金型7間に垂下する板状の熱可塑性樹脂部材2を板状体形成金型7で挟圧(プレス)しながら、冷却して熱可塑性樹脂部材2を固化する。
【0051】
尚、通常のブロー成形では、金型でプレスした状態でブロー処理(内部に空気を送り込む処理)を行うが、本実施例は、ブローせず、挟圧したままの状態で冷却して熱可塑性樹脂部材2を固化する。
【0052】
そして、この板状体形成金型7で挟圧した熱可塑性樹脂部材2の冷却・固化が終了したら板状体形成金型7を開いて成形品の敷板12を取出し、再び、押出機1、ピンチ装置3及び吸引装置10を稼働させて同様の作業を繰り返す。
【0053】
このように、本実施例は、押出機1から押し出されたパリソン2をピンチ装置3で挟み込んで多数の重合部5を形成する際に、この重合部5を連続状態、具体的には、先に形成した下側の重合部5の上端部と、この下側の重合部5の上側に形成される上側の重合部5の下端部とがオーバーラップするように次々と挟込部4で挟み込んで重合部5を連続的に形成することで、空気溜まりを作ることなく板状の熱可塑性樹脂部材2を形成することができ、敷板12に成形した際に、斑、寄り皺、反り(歪み)等の外観上の不具合が生じず精度の良い敷板12となる。
【0054】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。