特許第6442425号(P6442425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442425
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】スロットル弁開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/02 20060101AFI20181210BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   F02D9/02 351G
   F02D29/02 K
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-44061(P2016-44061)
(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-160810(P2017-160810A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】宇野 巧
【審査官】 田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−157134(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1479891(EP,A2)
【文献】 特開平8−319840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00 − 11/10
F02D13/00 − 29/06
F16K31/00 − 31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された内燃機関に対する吸気通路の一部を有するスロットルボデーと、
前記スロットルボデーに対して弁軸まわりに回動可能に配設され、前記吸気通路を開閉する板状のスロットル弁と、
前記スロットルボデーの外部において、前記スロットル弁の前記弁軸と所定の距離離間した位置で当該弁軸と平行に伸びるガイド軸と、
前記スロットル弁の前記弁軸と、前記ガイド軸とを連結するクランクアームと、
前記吸気通路に沿った所定方向に往復移動可能に配設され、前記所定方向への移動に伴って前記スロットル弁を開閉する為のスロットル駆動カムと、
アクセルペダルの操作量に応じた移動量で、前記スロットル駆動カムを所定方向に移動させるケーブルと、を有し、
前記スロットル駆動カムは、
前記ガイド軸が挿入されると共に、当該スロットル駆動カムの所定方向への移動に伴って前記ガイド軸を循環させるように案内するカム溝を有し、
前記カム溝は、
前記吸気通路を前記スロットル弁が全閉している状態における前記ガイド軸の初期位置から、前記吸気通路を前記スロットル弁が全開している全開位置を介して、前記アクセルペダルの操作量が最大となるフルストローク位置までを接続すると共に、前記所定方向に対して交差する第1方向へ伸びる第1溝と、
前記第1溝の端部から、前記アクセルペダルの操作量が最大で、且つ、前記吸気通路を前記スロットル弁が全閉している状態の前記ガイド軸の出力制限位置までを接続すると共に、前記所定方向に対して前記第1方向とは異なる角度で交差する第2方向へ伸びる第2溝と、
前記第2溝の端部と、前記第1溝における前記初期位置とを接続すると共に、前記所定方向に沿って直線状に伸びる第3溝と、を有する
ことを特徴とするスロットル弁開閉制御装置。
【請求項2】
前記カム溝は、
前記第3溝から前記第1溝へ向かう前記ガイド軸の移動を許容すると共に、前記第1溝から前記第3溝へと向かう前記ガイド軸の移動を制限する移動制限部を、前記第1溝と前記第3溝の接続部分に有している
ことを特徴とする請求項1記載のスロットル弁開閉制御装置。
【請求項3】
前記第1溝は、
当該第1溝を移動する前記ガイド軸の動きに変化を加える報知機構部を、前記全開位置に有している
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスロットル弁開閉制御装置。
【請求項4】
車両に搭載された内燃機関に対する吸気通路の一部を有するスロットルボデーと、
前記スロットルボデーに対して弁軸まわりに回動可能に配設され、前記吸気通路を開閉する板状のスロットル弁と、
アクセルペダルの操作量に応じて、前記スロットル弁を回動させる為のケーブルと、
前記スロットルボデーの外方において前記弁軸の一端部に固定されると共に、前記ケーブルが連結されるスロットルドラムと、を有し、
前記スロットルドラムは、
前記スロットル弁の回動に伴って、前記ケーブルをガイドするケーブルガイド部を外周部に有し、
前記ケーブルガイド部は、
前記吸気通路を前記スロットル弁によって全閉した状態から全開する状態までを含む回動範囲に対し、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、所定の第1回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第1ガイド部と、
前記アクセルペダルの操作量が最大で、且つ、前記吸気通路を前記スロットル弁によって全閉した状態となるまでの回動範囲に対し、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第2ガイド部と、を有する
ことを特徴とするスロットル弁開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル弁を開閉することによって内燃機関に対する吸気量を制御するスロットル弁開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブレーキペダルと、アクセルペダルとの踏み間違いに起因する車両の衝突事故が多く発生している。これらの事故は、ブレーキペダルと、アクセルペダルとの機能及び特性に起因するものと考えられる。一般に、ブレーキペダルを踏み込みフルストロークさせると、制動力が車両に付与され、車両を確実に制動させる。一方、アクセルペダルを踏み込みフルストロークさせると、スロットル弁が動作して、スロットル装置の吸気通路が全開になる為、車両の内燃機関の出力が増大して、車両の急発進が生じてしまう。即ち、運転者としては、車両に制動力を付与するつもりが急発進してしまうため、このような事故を発生させてしまうと考えられる。
【0003】
又、このような場合、運転者は、車両を停止するつもりで急発進してしまったことで、パニックを引き起こしてしまうことが想定される。パニック状態にある運転者は、身体的に硬直してしまい、アクセルペダルを離してブレーキペダルを踏み直す等の対応を迅速にとれない場合が多い。
【0004】
このような事故による損害を低減する観点から、車両の状況に応じてスロットル弁の開度を制御する方法が考えられている。例えば、特許文献1には、内燃機関のスロットル弁制御装置に関する発明が記載されている。具体的に説明すると、特許文献1に記載の内燃機関のスロットル弁制御装置は、車両の前方に位置する物体を検出するレーザセンサと、アクセルペダルのアクセル開度を検出するアクセルセンサとを有して構成されている。
【0005】
そして、特許文献1に記載の内燃機関のスロットル弁制御装置は、レーザセンサ及びアクセルセンサからの信号に基づいて、前方障害物が有り且つアクセルペダルが大きく踏み込まれるという非加速条件が成立したときに、アクセルペダルの踏み間違いであると判断し、スロットル弁を強制的に閉じるべくアクチュエータを駆動制御している。これにより、当該内燃機関のスロットル弁制御装置は、内燃機関の出力を低下させて、踏み間違いによる急発進を抑制することができる為、急発進に起因する事故の損害を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−256170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の内燃機関のスロットル弁制御装置は、アクセルペダル等の踏み間違いを判断する為に、アクセルセンサやレーザセンサの各種センサ、プログラム及びコントローラが必要となる。これに伴って、当該内燃機関のスロットル弁制御装置は、その構造の複雑化を招き、製造コスト等を増大させてしまう。
【0008】
又、特許文献1に記載の内燃機関のスロットル弁制御装置によれば、アクセルセンサ、レーザセンサからの信号を処理してコントローラ等で制御する構成である為、電子制御式のスロットル装置にしか適用することはできず、機械式のスロットル装置には適用することはできなかった。
【0009】
本発明は、スロットル弁を開閉することによって内燃機関に対する吸気量を制御するスロットル弁開閉制御装置に関し、機械的構成によるスロットル弁の開閉制御によって、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得るスロットル弁開閉制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係るスロットル弁開閉制御装置は、車両に搭載された内燃機関に対する吸気通路の一部を有するスロットルボデーと、前記スロットルボデーに対して弁軸まわりに回動可能に配設され、前記吸気通路を開閉する板状のスロットル弁と、前記スロットルボデーの外部において、前記スロットル弁の前記弁軸と所定の距離離間した位置で当該弁軸と平行に伸びるガイド軸と、前記スロットル弁の前記弁軸と、前記ガイド軸とを連結するクランクアームと、前記吸気通路に沿った所定方向に往復移動可能に配設され、前記所定方向への移動に伴って前記スロットル弁を開閉する為のスロットル駆動カムと、アクセルペダルの操作量に応じた移動量で、前記スロットル駆動カムを所定方向に移動させるケーブルと、を有し、前記スロットル駆動カムは、前記ガイド軸が挿入されると共に、当該スロットル駆動カムの所定方向への移動に伴って前記ガイド軸を循環させるように案内するカム溝を有し、前記カム溝は、前記吸気通路を前記スロットル弁が全閉している状態における前記ガイド軸の初期位置から、前記吸気通路を前記スロットル弁が全開している全開位置を介して、前記アクセルペダルの操作量が最大となるフルストローク位置までを接続すると共に、前記所定方向に対して交差する第1方向へ伸びる第1溝と、前記第1溝の端部から、前記アクセルペダルの操作量が最大で、且つ、前記吸気通路を前記スロットル弁が全閉している状態の前記ガイド軸の出力制限位置までを接続すると共に、前記所定方向に対して前記第1方向とは異なる角度で交差する第2方向へ伸びる第2溝と、前記第2溝の端部と、前記第1溝における前記初期位置とを接続すると共に、前記所定方向に沿って直線状に伸びる第3溝と、を有することを特徴とする。
【0011】
当該スロットル弁開閉制御装置は、スロットルボデーと、スロットル弁と、ガイド軸と、クランクアームと、スロットル駆動カムと、ケーブルとを有して構成されており、アクセルペダルの操作量に応じた移動量をもって、ケーブルを介して、スロットル駆動カムを所定方向に移動させることで、スロットル弁によって吸気通路を開閉可能に構成されている。当該スロットル弁開閉制御装置において、スロットル駆動カムは、カム溝を有しており、当該カム溝は、初期位置から全開位置を介してフルストローク位置までを接続する第1溝と、第1溝の端部から出力制限位置までを接続する第2溝と、前記第2溝の端部と、前記第1溝における前記初期位置とを接続する第3溝とを有している。
【0012】
従って、当該スロットル弁開閉制御装置によれば、アクセルペダルの操作によってスロットル駆動カムを移動させ、第1溝に沿ってガイド軸を移動させると、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル弁の開度が増大していき、全開状態となり得る。そして、更にアクセルペダルを操作してスロットル駆動カムをフルストローク量で移動させると、ガイド軸は、第1溝から第2溝へと移動し、第2溝の内部を出力制限位置へ向かう。当該スロットル弁開閉制御装置は、アクセルペダルがフルストロークで操作された場合に、この第2溝の内部においてガイド軸を移動させることで、スロットル弁の開度を全開から全閉へと変更させて、内燃機関の出力を低下させることができる。即ち、当該スロットル弁開閉制御装置によれば、踏み間違いによりアクセルペダルをフルストロークさせた場合でも、スロットル弁の開度を全開から全閉として内燃機関の出力を低下させて、踏み間違いによる事故の損害を低減させ得る。又、このような事態において、内燃機関の出力を低下させることで、パニック状態にある運転者が冷静さを取り戻す期間をつくりだすことができ、もって、事故の発生を回避する為に必要な対応を、運転者にとらせ得る。
【0013】
その後、アクセルペダルを操作してスロットル駆動カムを元の位置に移動させると、ガイド軸は、第2溝から第3溝へと移動し、第3溝の内部を介して初期位置へ向かう。この第3溝の内部におけるガイド軸の移動によって初期状態に戻る為、当該スロットル弁開閉制御装置は、アクセルペダルを離して再度踏み込んだ場合に、第1溝に沿ってガイド軸を移動させることができるので、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル弁の開度を増大させ得る。このように、当該スロットル弁開閉制御装置は、カム溝を有するスロットル駆動カムと、ガイド軸と、クランクアームといった機械的構成によるスロットル弁の開閉制御によって、踏み間違い時における内燃機関の出力を制御することができ、もって、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る。
【0014】
又、本発明の他の側面に係るスロットル弁開閉制御装置は、請求項1記載のスロットル弁開閉制御装置であって、前記カム溝は、前記第3溝から前記第1溝へ向かう前記ガイド軸の移動を許容すると共に、前記第1溝から前記第3溝へと向かう前記ガイド軸の移動を制限する移動制限部を、前記第1溝と前記第3溝の接続部分に有していることを特徴とする。
【0015】
当該スロットル弁開閉制御装置において、カム溝における前記第1溝と前記第3溝の接続部分には、移動制限部が形成されており、当該移動制限部は、前記第3溝から前記第1溝へ向かう前記ガイド軸の移動を許容すると共に、前記第1溝から前記第3溝へと向かう前記ガイド軸の移動を制限する。これにより、当該スロットル弁開閉制御装置によれば、初期状態からアクセルペダルを踏み込んだ場合に、ガイド軸は、移動制限部の制限によって、第1溝の初期位置から第3溝へ移動することはなく、第1溝に沿って移動させることができ、もって、アクセルペダルの操作量に応じて、スロットル弁の開度を増減させることができる。又、ガイド軸が第3溝から第1溝へと向かう場合の移動は、移動制限部による制限を受けずに許容される為、当該スロットル弁開閉制御装置は、アクセルペダルをフルストロークし、且つスロットル弁によって吸気通路を全閉した状態から、アクセルペダルを操作すると、確実に初期状態にリセットすることができる。
【0016】
本発明の他の側面に係るスロットル弁開閉制御装置は、請求項1又は請求項2記載のスロットル弁開閉制御装置であって、前記第1溝は、当該第1溝を移動する前記ガイド軸の動きに変化を加える報知機構部を、前記全開位置に有していることを特徴とする。
【0017】
当該スロットル弁開閉制御装置において、前記第1溝における全開位置には、報知機構部が形成されており、当該報知機構部は、当該第1溝を移動する前記ガイド軸の動きに変化(例えば、ガイド軸の動きに対する抵抗等)を加えるように構成されている。ガイド軸の動きに変化が生じると、運転者は、ケーブル及びアクセルペダルを介して、その変化を捉えることができる。即ち、当該スロットル弁開閉制御装置は、ガイド軸が全開位置に位置し、スロットル弁が吸気通路を全開していることを、報知機構部によって運転者に報知することができる。当該スロットル弁開閉装置では、アクセルペダルをフルストロークさせた場合には、内燃機関の出力を低下させてしまう為、運転者は、スロットル弁が全開であることを把握することができれば、それ以上踏み込むことはなく、内燃機関の出力を適切な範囲内に調整することができる。
【0018】
又、本発明の一側面に係るスロットル弁開閉制御装置は、車両に搭載された内燃機関に対する吸気通路の一部を有するスロットルボデーと、前記スロットルボデーに対して弁軸まわりに回動可能に配設され、前記吸気通路を開閉する板状のスロットル弁と、アクセルペダルの操作量に応じて、前記スロットル弁を回動させる為のケーブルと、前記スロットルボデーの外方において前記弁軸の一端部に固定されると共に、前記ケーブルが連結されるスロットルドラムと、を有し、前記スロットルドラムは、前記スロットル弁の回動に伴って、前記ケーブルをガイドするケーブルガイド部を外周部に有し、前記ケーブルガイド部は、前記吸気通路を前記スロットル弁によって全閉した状態から全開する状態までを含む回動範囲に対し、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、所定の第1回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第1ガイド部と、前記アクセルペダルの操作量が最大で、且つ、前記吸気通路を前記スロットル弁によって全閉した状態となるまでの回動範囲に対し、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第2ガイド部と、を有することを特徴とする。
【0019】
当該スロットル弁開閉制御装置は、スロットルボデーと、スロットル弁と、ケーブルと、スロットルドラムとを有して構成されており、アクセルペダルの操作量に応じた移動量をもって、ケーブルを移動させることによって、スロットルドラムを介して、吸気通路内部のスロットル弁を開閉可能に構成されている。そして、当該スロットル弁開閉制御装置において、前記スロットルドラムの外周部には、ケーブルガイド部が形成されており、ケーブルガイド部は、前記スロットル弁の回動に伴って、前記ケーブルをガイドする。ケーブルガイド部は、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、所定の第1回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第1ガイド部と、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸を回動させるように形成された第2ガイド部とを有して構成されている。
【0020】
従って、当該スロットル弁開閉制御装置によれば、スロットル弁の全閉から全開となるまでの範囲では、スロットルドラムの回動に関して、第1ガイド部からケーブルが引き出されていく。即ち、当該スロットル弁開閉制御装置は、アクセルペダルの操作量に応じて、スロットル弁の開度を増減させることができる。そして、前記アクセルペダルの操作量が最大で、且つ、前記吸気通路を前記スロットル弁によって全閉した状態となるまでの回動範囲においては、第2ガイド部からケーブルが引き出される。この時、第2ガイド部は、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸を回動させるように形成されている為、スロットル弁は、急速に吸気通路を全閉する。
【0021】
この結果、当該スロットル弁開閉制御装置によれば、踏み間違いによりアクセルペダルをフルストロークさせた場合でも、スロットル弁の開度を全開から全閉に変化させて内燃機関の出力を低下させることができるので、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る。又、このような事態において、内燃機関の出力を低下させることで、パニック状態にある運転者が冷静さを取り戻す期間をつくりだすことができ、もって、事故の発生を回避する為に必要な対応を、運転者にとらせ得る。このように、当該スロットル弁開閉制御装置は、第1ガイド部及び第2ガイド部を有するスロットルドラムといった機械的構成によるスロットル弁の開閉制御によって、踏み間違い時における内燃機関の出力を制御することができ、もって、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る
【発明の効果】
【0022】
この発明は、スロットルボデーと、スロットル弁と、ガイド軸と、クランクアームと、スロットル駆動カムと、ケーブルとを有して構成されており、アクセルペダルの操作量に応じた移動量をもって、ケーブルを介して、スロットル駆動カムを所定方向に移動させることで、スロットル弁によって吸気通路を開閉可能に構成されている。スロットル駆動カムはカム溝を有しており、当該カム溝は、第1溝と、第2溝と、第3溝とを有している。アクセルペダルを操作してスロットル駆動カムをフルストローク量で移動させると、ガイド軸は、第1溝から第2溝へと移動し、第2溝の内部を出力制限位置へ向かう。アクセルペダルがフルストロークで操作された場合に、ガイド軸を第2溝に沿って迅速に移動させることで、スロットル弁の開度を全開から全閉へと変更させて、内燃機関の出力を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るスロットル装置の外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係るスロットル装置の内部構成を示す断面図である。
図3図2におけるカム機構部の内部とスロットル弁の状態を示す説明図である。
図4】第1実施形態に係るスロットル装置の全開状態における内部構成を示す断面図である。
図5図4におけるカム機構部の内部とスロットル弁の状態を示す説明図である。
図6】第1実施形態に係るスロットル装置において、全開状態を超えるストローク量で動作した状態の内部構成を示す断面図である。
図7図6におけるカム機構部の内部とスロットル弁の状態を示す説明図である。
図8】第1実施形態に係るスロットル装置のフルストローク状態における内部構成を示す断面図である。
図9図8におけるカム機構部の内部とスロットル弁の状態を示す説明図である。
図10】第1実施形態に係るスロットル装置において、初期状態に移行する場合の内部構成を示す断面図である。
図11図10におけるカム機構部の内部とスロットル弁の状態を示す説明図である。
図12】スロットルケーブルのストローク量とスロットル開度の関係を示すグラフである。
図13】第2実施形態に係るスロットル装置の外観斜視図である。
図14】第2実施形態に係るスロットル装置の初期状態を示す説明図である。
図15】第2実施形態に係るスロットル装置の全開状態を示す説明図である。
図16】第2実施形態に係るスロットル装置のフルストローク状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るスロットル弁開閉制御装置を、スロットル装置1に適用した実施形態(第1実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、図1においては、スロットル装置1におけるスロットルボデー5の内部構造を破線で示している。
【0025】
(スロットル装置の概略構成)
先ず、第1実施形態に係るスロットル装置1の概略構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。第1実施形態に係るスロットル装置1は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関における燃焼室に吸入される空気量(吸気量)を制御するための装置であり、スロットルボデー5と、スロットル弁10と、スロットルリターンスプリング20と、カム機構部25とを有している。
【0026】
当該スロットル装置1は、アクセルペダル(図示せず)の操作量に応じて、スロットルケーブルCを移動させることによって、スロットルボデー5の吸気通路6を、スロットル弁10によって開閉可能に構成されている。
【0027】
スロットルボデー5は、スロットル装置1における外郭を構成し、車両における吸気管路であるエアインテーク(図示せず)とインテークマニホールド(図示せず)の間に配設されている。スロットルボデー5は、略円筒状を為すように形成されており、車両における吸気管路の一部を構成する吸気通路6を有している。吸気通路6は、エアインテークから取得された空気を、インテークマニホールドへと導く。
【0028】
スロットル弁10は、吸気通路6の流路断面とほぼ同じ直径の円板を有するバタフライバルブによって構成されており、スロットルボデー5に支持された弁軸11を中心に回転可能に配設されている。スロットル弁10は、スロットルボデー5における吸気通路6の内側において、吸気通路6に直交するように配設された弁軸11まわりに回転させることにより、吸気通路6の開閉を行うことができるように構成されている。スロットル弁10は、アクセルペダルの踏込み操作に応じたスロットルケーブルCの作用によって、弁軸11まわりに所定の開方向(図3における反時計回り)へ回動し、スロットル開度を向上させる。
【0029】
スロットルリターンスプリング20は、スロットル弁10によって吸気通路6を閉塞するように、スロットル弁10及び弁軸11等を、閉方向(図3における時計回り)に付勢している。従って、アクセルペダルから運転者の足が離れた場合、スロットル弁10は、スロットルリターンスプリング20の付勢力に従って、弁軸11まわりに閉方向に回動する。
【0030】
ここで、本実施形態において、スロットル弁10の全閉状態とは、吸気通路6における吸気の流路断面積が最小となる状態のことを意味し、例えば、図3図9に示すように、略直線状に伸びる吸気通路6の流路方向に対して、円板状のスロットル弁10が略鉛直をなしている状態である。一方、スロットル弁10の全開状態とは、吸気通路6における吸気の流路断面積が最大となる状態のことを意味し、例えば、図5に示すように、略直線状に伸びる吸気通路6の流路方向に対して、円板状のスロットル弁10が略平行である状態である。
【0031】
そして、カム機構部25は、アクセルペダルの操作量に対応するスロットルケーブルCのストローク量に従って、スロットル弁10を回動させる為の機械的構成であり、スロットルボデー5の一側面に対して固設されている。当該カム機構部25は、箱状のカムハウジング30の内部に、スロットルケーブルCが接続されたスロットル駆動カム35等を収容して構成されており(図2参照)、スロットルケーブルCをストロークさせて、スロットル駆動カム35を移動させることによって、スロットル弁10の開度を変化させている。
【0032】
(スロットル装置の内部構造)
次に、第1実施形態に係るスロットル装置1の内部構造に関し、特に、スロットル弁10の構成及びカム機構部25の構成について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図2図4図6図8図10は、第1実施形態に係るスロットル装置1を、弁軸11の軸心を含む断面で、水平方向に切断した様子を示す模式的な断面図である。そして、図3図5図7図9図11は、夫々、図2図4図6図8図10に示す状態のスロットル装置1について、スロットル弁10の姿勢と、カム機構部25の内部におけるスロットル駆動カム35の位置との関係を示す為の模式的な説明図である。
【0033】
上述したように、第1実施形態に係るスロットル弁10は、吸気通路6の内部において弁軸11まわりに回動可能に配設されている。当該弁軸11は、吸気通路6の断面における直径に沿って、吸気通路6を横断するように回動可能に配設されており、当該弁軸11におけるカム機構部25側の一端部は、スロットルボデー5の外部へ伸び出している。
【0034】
図2図3に示すように、当該弁軸11の一端部には、ガイド軸12及びクランクアーム15が形成されており、ガイド軸12及びクランクアーム15は、スロットルボデー5の外部であって、カム機構部25を構成するカムハウジング30の内部に配置される。ガイド軸12は、スロットル弁10の弁軸11から所定距離離間した位置において、弁軸11の軸心方向と平行に伸びるように形成されている。そして、クランクアーム15は、スロットルボデー5の外部に突出している弁軸11の一端部と、ガイド軸12におけるスロットルボデー5側の端部とを連結している。
【0035】
そして、図2に示すように、ガイド軸12は、摺動部材13と、付勢部材14とを有して構成されている。摺動部材13は、ガイド軸12の本体部分に対して所定距離分だけ摺動可能に配設されている。付勢部材14は、ガイド軸12の本体部分における外周部分において、摺動部材13とクランクアーム15との間に配設されており、摺動部材13に対して付勢力を付与している。即ち、ガイド軸12は、クランクアーム15との接続部分からの軸長を、所定の範囲で伸縮可能に構成されており、本発明における移動規制部の一部を構成している。
【0036】
そして、第1実施形態に係るカム機構部25は、箱体状に形成されたカムハウジング30内部に、スロットル弁10を開閉する為のスロットル駆動カム35と、カムリターンスプリング45とを収容して構成されている。スロットル駆動カム35には、スロットルケーブルCが接続された状態で、カムハウジング30の内部に配設されている。従って、スロットル駆動カム35は、アクセルペダルの操作に応じてスロットルケーブルCをストロークさせることで、カムハウジング30の内部を、吸気通路6に沿った後方向(図2図3中、右方向)へ移動し得る。
【0037】
カムリターンスプリング45は、カムハウジング30の内部において、スロットルケーブルCが接続されたスロットル駆動カム35の一側面と、それに対向するカムハウジング30の内壁面との間に配設されており、スロットルケーブルCの張力による移動方向とは逆方向の付勢力を、スロットル駆動カム35に付与している。従って、アクセルペダルに対して何等の操作も行われず、スロットルケーブルCの張力が作用していない場合、スロットル駆動カム35は、カムリターンスプリング45の付勢力によって、カムハウジング30の内部を、吸気通路6に沿った前方向(図2図3中、左方向)へ移動する。
【0038】
図2図3に示すように、スロットル駆動カム35におけるスロットルボデー5側の一側面には、カム溝40が略三角形状を描くように形成されている。当該カム溝40には、スロットル弁10のガイド軸12が挿入されており、当該カム溝40は、第1溝41と、第2溝42と、第3溝43とを有して構成されており、カムハウジング30の内部におけるスロットル駆動カム35の往復移動に伴って、前記ガイド軸12を循環させるように案内する。
【0039】
前記第1溝41は、吸気通路6に沿ったスロットル駆動カム35のスライド移動方向に対して、所定角度(例えば、スライド移動方向に対して35°程度)をもって交差するように略直線状に伸びている。図3に示すように、当該第1溝41の一端部は、上下方向に関して、弁軸11の位置よりも下方に位置しており、ガイド軸12の初期位置Piに一致している。ガイド軸12の初期位置Piとは、アクセルペダルの踏込み操作がなされていない(即ち、スロットルケーブルCのストローク量が0である)状態で、且つ、スロットル弁10によって吸気通路6を全閉している場合のガイド軸12の位置を意味する。
【0040】
そして、第1溝41の他端部は、上下方向に関して、弁軸11の位置よりも上方に位置しており、ガイド軸12のフルストローク位置Pfと一致している(図6図7参照)。ガイド軸12のフルストローク位置Pfは、前記アクセルペダルの操作量が最大で、スロットルケーブルCのストローク量が最大の第2ストローク量Lbである場合のガイド軸12の位置を示す。
【0041】
アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量を増大させると、ガイド軸12は、スロットル駆動カム35のスライド移動に伴い、初期位置Piからフルストローク位置Pfへ向かって移動していく。この時、クランクアーム15を介して弁軸11と連結されたガイド軸12は、上下方向に関して、弁軸11の下方から上方へと移動していく為、スロットル駆動カム35のスライド移動は、スロットル弁10の回動動作に変換される。これにより、第1実施形態に係るスロットル装置1においては、アクセルペダルの踏込み操作に基づくスロットルケーブルCのストローク量に従って、スロットル弁10の開度を調整することができる。
【0042】
第1溝41における下面には、報知用凹部41Aが浅く窪んで形成されており、当該報知用凹部41Aは、本発明における報知機構部に相当する。報知用凹部41Aは、第1溝41における下面の内、初期位置Piからフルストローク位置Pfへと向かう途上に形成されており、ガイド軸12の全開位置Poと一致している。ガイド軸12の全開位置Poは、アクセルペダルが所定量踏み込まれた(即ち、スロットルケーブルCのストローク量が所定の第1ストローク量Laである)状態で、スロットル弁10によって吸気通路6を全開している場合のガイド軸12の位置を意味する。
【0043】
従って、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が第1ストローク量Laとなると、吸気通路6を全開しているスロットル弁10のガイド軸12は、報知用凹部41Aの内部に進入する。この場合に、ガイド軸12を報知用凹部41Aの外部へ移動させる為には、スロットルケーブルCのストローク量が多く必要となり、アクセルペダルの操作量を、それ以前より多くする必要がある。このアクセルペダルの操作感覚の相違は、踏込み操作を行う運転者に直接的に伝達される為、報知用凹部41Aは、スロットル装置1が全開状態であることを運転者に報知し得る。
【0044】
そして、第2溝42は、ガイド軸12のフルストローク位置Pfを含む第1溝41の他端部に接続されており、吸気通路6に沿ったスロットル駆動カム35のスライド移動方向に対して、所定角度(例えば、スライド移動方向に対して90°程度)をもって交差するように、第1溝41の他端部から下方に向かって伸びている。
【0045】
第2溝42の下端部は、上下方向に関して、弁軸11の位置よりも下方に位置し、ガイド軸12の出力制限位置Prと一致している(図8図9参照)。ガイド軸12の出力制限位置Prは、前記アクセルペダルの操作量が最大(即ち、スロットルケーブルCのストローク量が第2ストローク量Lb)で、且つ、スロットル弁10によって吸気通路6を全閉している場合のガイド軸12の位置を示す。
【0046】
フルストローク状態(図6図7参照)までアクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が第2ストローク量Lbとなると、ガイド軸12は、第1溝41の他端部(即ち、第2溝42の上端部)に到達する。ここで、図9等に示すように、第2溝42の幅寸法は、カム溝40を構成する第1溝41及び第3溝43よりも広く形成されており、第1溝41の他端部から下方に伸びている。従って、ガイド軸12は。第2溝42の上端部に到達すると、スロットルリターンスプリング20の付勢力に従って、第2溝42を弁軸11まわりに下方へ回動して、即座に出力制限位置Prに至る。
【0047】
これにより、アクセルペダルの踏込み操作によって、スロットル駆動カム35のストローク量が第2ストローク量Lbでスライド移動されると、ガイド軸12が、第2溝42内部において、出力制限位置Prへ即座に移動する。これにより、第1実施形態に係るスロットル装置1のスロットル弁10は、吸気通路6を急速に全閉することになり、内燃機関の出力を一気に低下させることができる。
【0048】
従って、当該スロットル装置1が搭載された車両において、ブレーキペダルと踏み間違えて、アクセルペダルをフルストロークで踏込んだ場合に、内燃機関の出力を急速に低下させることができるので、車両の急発進に起因する事故を回避したり、当該事故による損害を低減したりすることができる。
【0049】
又、内燃機関の出力を急速に低下させると、踏み間違いから事故の発生までに要する時間を長期化することができる。これにより、踏み間違いによってパニック状態に陥った運転者が落ち着く為の時間を稼ぐことができ、当該運転者が冷静な対応(例えば、ブレーキペダルの迅速な踏み直しや、事故発生時における適切な対応)をとることが期待できる。
【0050】
そして、第3溝43は、スロットル駆動カム35のスライド移動方向に沿って、略直線状に伸びており、第2溝42の下端部と、第1溝41の一端部(初期位置Pi)と接続している。アクセルペダルから運転者が足を離し、スロットル駆動カム35がカムリターンスプリング45の付勢力によって前方向へ移動する際に、当該第3溝43は、出力制限位置Prに位置するガイド軸12を、初期位置Piへ案内する。
【0051】
当該第3溝43は、移動制限部43Aと、テーパ面43Bとを有している。テーパ面43Bは、図2図10等において破線で示すように第3溝43の一側面であり、出力制限位置Pr(第2溝42の下端部)から初期位置Pi(第1溝41の一端部)へ近づくにつれて、第3溝43の深さが浅くなるように傾斜している。尚、第1溝41及び第2溝42の深さは、第3溝43とは異なり、最大の軸長に伸びた状態のガイド軸12が移動可能な深さで、一定である。
【0052】
第3溝43の内部を、ガイド軸12が出力制限位置Prから初期位置Piへ移動する際に、摺動部材13はテーパ面43Bと接触する為、当該摺動部材13は、付勢部材14の付勢力に抗して、ガイド軸12の本体部分に対して摺動する(図10参照)。これにより、ガイド軸12の軸長は、第3溝43内部を、出力制限位置Prから初期位置Piへ移動するにつれて縮んでいく。
【0053】
第3溝43の端部と、第1溝41の一端部との接続部分には、移動制限部43Aが形成されている。移動制限部43Aは、テーパ面43Bによって浅くなった第3溝43と、所定の深さを有する第1溝41とによって構成される段差部分である。上述したように、第3溝43から第1溝41へガイド軸12が移動する場合、ガイド軸12の軸長は、第3溝43のテーパ面43Bによって縮んでいく為、移動制限部43Aを構成する段差の影響を受けることなく、第1溝41へ移動し得る。
【0054】
一方、第1溝41における初期位置Piからガイド軸12が移動する場合について考察する。第1溝41の初期位置Piに位置する場合、ガイド軸12は、付勢部材14の付勢力によって摺動部材13が摺動する為、最大の軸長となっている。この為、テーパ面43Bによって浅くなっている第3溝43との接続部分において、ガイド軸12が、移動制限部43Aを構成する段差と接触する。即ち、移動制限部43Aは、第1溝41から第3溝43へ向かう場合のガイド軸12の移動を制限している。
【0055】
従って、当該スロットル装置1においては、図2図3に示す初期状態から、アクセルペダルの踏込み操作を行い、スロットルケーブルCによりスロットル駆動カム35を移動させた場合に、ガイド軸12が、第1溝41の初期位置Piから第3溝43の内部へ移動することはなく、第1溝41に沿って移動していく。第1溝41に沿ったガイド軸12の移動は、スロットル弁10の弁軸11まわりの回動動作に対応する為、スロットル装置1は、アクセルペダルの踏込み操作に連動して、スロットル開度の制御を実現し得る。
【0056】
(スロットルケーブルのストローク量と、スロットル開度との関係性)
続いて、第1実施形態に係るスロットル装置1において、スロットルケーブルのストローク量と、スロットル開度との関係性について、図12を参照しつつ詳細に説明する。
【0057】
上述のように構成されたスロットル装置1において、アクセルペダルを踏み込んでいき、スロットルケーブルCのストローク量を0から第1ストローク量Laまで変化させた場合について説明する。尚、スロットルケーブルCのストローク量が0である状態とは、アクセルペダルを踏み込んでいない状態(所謂、初期状態)を意味し、図2図3に示す状態である。
【0058】
図2図3に示す状態から、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量を0から増大させていくと、カムハウジング30の内部において、スロットル駆動カム35が、カムリターンスプリング45の付勢力に抗して、後方向へスライド移動する。このスロットル駆動カム35のスライド移動に伴い、スロットル弁10のガイド軸12は、初期位置Piからカム溝40の内部を移動していく。この時、ガイド軸12は、第3溝43の移動制限部43Aによる制限を受ける為、カム溝40の第3溝43へ進入することはなく、第1溝41に沿って移動していく。
【0059】
ガイド軸12が第1溝41に沿って移動していくことで、弁軸11とガイド軸12の相対的な位置関係が変化していくことになる為、スロットル弁10は、第1溝41に沿ったガイド軸12の移動に連動して回動する。これにより、図12に示すように、第1実施形態に係るスロットル装置1におけるスロットル開度は、スロットルケーブルCのストローク量(即ち、アクセルペダルの踏込み量)に連動して増大していく。
【0060】
アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が第1ストローク量になった時点で、スロットル弁10は、略直線状に伸びる吸気通路6の流路方向に対して、円板状のスロットル弁10が略平行である状態(図4図5参照)となる。図12に示すように、スロットルケーブルCのストローク量が第1ストローク量になった時点で、スロットル開度は最大を示す。
【0061】
この状態から、アクセルペダルを更に踏込んでフルストロークさせ、スロットルケーブルCのストローク量を第1ストローク量Laから第2ストローク量Lbに増大させると、カムハウジング30の内部において、スロットル駆動カム35が、カムリターンスプリング45の付勢力に抗して、更に後方向へスライド移動する。スロットル駆動カム35のスライド移動に伴い、スロットル弁10のガイド軸12は、報知用凹部41Aから抜け出して、フルストローク位置Pfに至る。第2溝42内に進入すると、ガイド軸12は、スロットルリターンスプリング20の付勢力によって、第2溝42の下端にあたる出力制限位置Prへと急速に移動する。
【0062】
ガイド軸12が第2溝42の内部を上方から下方へ急速に移動することで、弁軸11とガイド軸12の相対的な位置関係が初期状態に戻ることになる為、スロットル弁10は、弁軸11まわりに回動して、吸気通路6を全閉する。これにより、図12に示すように、第1実施形態に係るスロットル装置1におけるスロットル開度は、スロットルケーブルCのストローク量が第2ストローク量Lb(即ち、アクセルペダルの踏込み量が最大)になった時点で、急速に低下して全閉状態となる。
【0063】
図12からわかるように、当該スロットル装置1が搭載された車両において、ブレーキペダルと踏み間違えて、アクセルペダルをフルストロークで踏込んだ場合には、内燃機関の出力を急速に低下させることができる。これにより、当該スロットル装置1によれば、車両の急発進に起因する事故を回避したり、当該事故による損害を低減したりすることができる。
【0064】
又、内燃機関の出力を急速に低下させると、踏み間違いから事故の発生までに要する時間を長期化することができる。即ち、踏み間違いによってパニック状態に陥った運転者が落ち着く為の時間を稼ぐことができ、当該運転者が冷静な対応(例えば、ブレーキペダルの迅速な踏み直しや、事故発生時における適切な対応)をとることが期待できる。
【0065】
尚、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCをフルストローク(即ち、第2ストローク量Lbでストローク)させた後、運転者がアクセルペダルから足を離すと、スロットル駆動カム35は、カムリターンスプリング45の付勢力によって、カムハウジング30内部を前方側へスライド移動する。従って、スロットルケーブルCのストローク量は、第2ストローク量Lbから0へ戻る。この時、ガイド軸12は、スロットル駆動カム35の前方向へのスライド移動に伴い、第3溝43を通って、初期位置Piに戻る。図8図11及び図2図3に示すように、ガイド軸12が第3溝43を通る過程で、弁軸11とガイド軸12との相対的な位置関係が変化することはないので、スロットル弁10は全閉状態を維持する。
【0066】
以上説明したように、第1実施形態に係るスロットル装置1は、スロットルボデー5と、スロットル弁10と、ガイド軸12と、クランクアーム15と、スロットル駆動カム35と、スロットルケーブルCとを有して構成されている。スロットル装置1は、アクセルペダルの操作量に応じた移動量をもって、スロットルケーブルCを介して、スロットル駆動カム35を所定方向にスライド移動させることで、スロットル弁10によって吸気通路6を開閉可能に構成されている。第1実施形態において、スロットル駆動カム35は、カム溝40を有しており、当該カム溝40は、初期位置Piから全開位置Poを介してフルストローク位置Pfまでを接続する第1溝41と、第1溝41の端部から出力制限位置Prまでを接続する第2溝42と、前記第2溝42の端部と前記第1溝41における前記初期位置Piとを接続する第3溝43とを有している。
【0067】
第1実施形態に係るスロットル装置1によれば、アクセルペダルの操作によってスロットル駆動カム35を移動させ、第1溝41に沿ってガイド軸12を移動させると、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル弁10の開度が増大していき、全開状態となり得る(図12参照)。そして、更にアクセルペダルを操作してスロットル駆動カム35をフルストローク量(第2ストローク量Lb)で移動させると、ガイド軸12は、第1溝41から第2溝42へと移動し、第2溝42の内部を出力制限位置Prへ向かう。当該スロットル装置1は、アクセルペダルがフルストロークで操作された場合に、この第2溝42の内部においてガイド軸12を移動させることで、スロットル弁10の開度を全開から全閉へと変更させて、内燃機関の出力を低下させることができる。即ち、当該スロットル装置1によれば、踏み間違いによりアクセルペダルをフルストロークさせた場合でも、スロットル弁10の開度を全開から全閉として内燃機関の出力を低下させることができるので、踏み間違いによる事故の損害を低減させ得る。又、このような事態において、内燃機関の出力を低下させることで、パニック状態にある運転者が冷静さを取り戻す期間をつくりだすことができ、もって、事故の発生を回避する為に必要な対応を、運転者にとらせ得る。
【0068】
その後、当該スロットル装置1において、アクセルペダルを操作してスロットル駆動カム35を元の位置に移動させると、ガイド軸12は、第2溝42から第3溝43へと移動し、第3溝43の内部を介して初期位置Piへ向かう。この第3溝43の内部におけるガイド軸12の移動によって初期状態に戻る為、当該スロットル装置1は、アクセルペダルを離して再度踏み込んだ場合に、第1溝41に沿ってガイド軸12を移動させることができ、アクセルペダルの操作量に応じてスロットル弁の開度を増大させ得る。このように、当該スロットル装置1は、カム溝40を有するスロットル駆動カム35を含むカム機構部25と、スロットル弁10の弁軸11に固設されたガイド軸12及びクランクアーム15といった機械的構成によるスロットル弁10の開閉制御によって、踏み間違い時における内燃機関の出力を制御することができ、もって、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る
【0069】
第1実施形態に係るスロットル装置1において、カム溝40における前記第1溝41と前記第3溝43の接続部分には、移動制限部43Aが形成されており、スロットル弁10のガイド軸12は、摺動部材13と付勢部材14により伸縮可能に構成されている。ガイド軸12が第3溝43から第1溝41へ向かう場合、ガイド軸12は、第3溝43のテーパ面43Bとの協働により縮み、移動制限部43Aの制限を受けることなく、第1溝41における初期位置Piに至る。一方、第1溝41における初期位置Piに位置する場合、ガイド軸12は、付勢部材14の付勢力によって伸長している為、移動制限部43Aを構成する段差と接触して、第1溝41から第3溝43へ移動することはできない。
【0070】
従って、当該スロットル装置1によれば、アクセルペダルの操作量に応じて、確実に、第1溝41に沿ってガイド軸12を移動させることができるので、スロットル弁10の開度を増減させることができる。又、ガイド軸12が第3溝43から第1溝41へと向かう場合の移動は、移動制限部43Aによる制限を受けずに許容される為、当該スロットル装置1は、アクセルペダルをフルストロークし、且つスロットル弁10によって吸気通路6を全閉した状態から、アクセルペダルを操作すると、確実に初期状態(図2図3参照)にリセットされる。
【0071】
第1実施形態に係るスロットル装置1において、前記第1溝41の下面には、報知用凹部41Aが形成されている。報知用凹部41Aの内部には、第1溝41を移動して、全開位置Poに到達したガイド軸12が進入する。これにより、第1溝41を移動するガイド軸12の動きが、報知用凹部41Aの存在によって変化する為、運転者は、スロットルケーブルC及びアクセルペダルを介して、その変化を捉えることができる。
【0072】
即ち、当該スロットル装置1によれば、ガイド軸12が全開位置Poに位置し、スロットル弁10が吸気通路6を全開していることを、報知用凹部41Aによるガイド軸12の動きの変化によって運転者に報知することができる。当該スロットル装置1では、アクセルペダルをフルストロークさせた場合には、内燃機関の出力を低下させてしまう為、運転者は、スロットル弁10が全開であることを把握することができれば、それ以上踏み込むことはなく、内燃機関の出力を適切な範囲内に調整することができる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、上述した第1実施形態と異なる実施形態(第2実施形態)に係るスロットル装置1の概略構成について、図13を参照しつつ詳細に説明する。尚、第2実施形態に係るスロットル装置1は、弁軸11の一端部に配設される機械的構成を除き、上述した第1実施形態に係るスロットル装置1と同様の構成を有している。従って、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成についての説明を省略し、相違する構成について詳細に説明する。
【0074】
(第2実施形態に係るスロットル装置の概略構成)
図13に示すように、第2実施形態に係るスロットル装置1は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関における燃焼室に吸入される空気量(吸気量)を制御するための装置であり、スロットルボデー5と、スロットル弁10と、スロットルリターンスプリング20と、スロットルドラム50とを有している。当該スロットル装置1は、アクセルペダルの操作量に応じてスロットルケーブルCを移動させることによって、スロットルドラム50を介して、スロットル弁10を回動させ、スロットルボデー5の吸気通路6を開閉可能に構成されている。
【0075】
第2実施形態に係るスロットル装置1において、スロットルドラム50は、スロットルボデー5の一側面側の外方において、弁軸11の端部に固設されており、当該スロットルドラム50には、アクセルペダルの操作量に応じたストローク量で移動するスロットルケーブルCの端部が連結されている。即ち、第2実施形態に係るスロットル装置1では、スロットルドラム50は、アクセルペダルの操作量に対応するスロットルケーブルCのストローク量に従って、スロットル弁10を回動させる為の機械的構成に相当する。
【0076】
スロットルドラム50の外周部分には、ケーブルガイド部51が形成されている。そして、当該ケーブルガイド部51には、スロットルドラム50に連結されたスロットルケーブルCが、スロットル弁10及びスロットルドラム50の回動に伴って掛け回される。従って、第2実施形態に係るスロットル装置1において、運転者がアクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCをストロークさせると、スロットルドラム50は、スロットルケーブルCによって引かれて、弁軸11まわりに、開方向(図14図16における反時計回り)に回動する。この回動に連動して、スロットル弁10は、吸気通路6内部において回動し、スロットル開度を増大させる。
【0077】
尚、第2実施形態に係るスロットル装置1において、スロットルリターンスプリング20は、スロットルボデー5の一側面とスロットルドラム50の間に配設されており(図13参照)、スロットル弁10によって吸気通路6を閉塞するように、スロットル弁10及び弁軸11等を、閉方向(図14図16における時計回り)に付勢している。従って、アクセルペダルから運転者の足が離れた場合、スロットル弁10、弁軸11及びスロットルドラム50は、スロットルリターンスプリング20の付勢力に従って、弁軸11まわりに閉方向に回動する。
【0078】
そして、第2実施形態において、スロットルドラム50のケーブルガイド部51は、第1ガイド部52と、第2ガイド部53とを有して構成されている。第1ガイド部52は、スロットルドラム50におけるケーブルガイド部51の内、所定の第1曲率半径による円弧を描くように形成された部分である。当該第1ガイド部52は、スロットル弁10の初期状態から全開状態までを含む回動範囲に対応するように形成されている。
【0079】
尚、スロットル弁10の初期状態とは、アクセルペダルの踏み込まれておらず、スロットルケーブルCのストローク量が0であって、且つ、スロットル弁10が吸気通路6を全閉している状態(例えば、図14参照)を意味する。そして、スロットル弁10の全開状態とは、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が所定量(即ち、第1ストローク量La)であって、スロットル弁10が吸気通路6を全開している状態(例えば、図15参照)を意味する。図14図15に示すように、スロットル弁10の初期状態から全開状態までを含む回動範囲とは、約90°程度である。
【0080】
従って、スロットル弁10の初期状態から全開状態までを含む回動範囲においては、スロットル弁10及びスロットルドラム50は、スロットルケーブルCが所定のストローク量でストロークする毎に、第1曲率半径の円弧に対応する第1回動量で回動する。
【0081】
そして、第2ガイド部53は、スロットルドラム50におけるケーブルガイド部51の内、前記第1曲率半径よりも小さな第2曲率半径による円弧を描くように形成された部分である。当該第2ガイド部53は、スロットル弁10の全開状態からフルストローク状態までの回動範囲に対応するように形成されている。
【0082】
尚、スロットル弁10のフルストローク状態とは、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が最大量(即ち、第2ストローク量Lb)であって、スロットル弁10が吸気通路6を全閉している状態(例えば、図16参照)を意味する。図15図16に示すように、スロットル弁10の全開状態からフルストローク状態までの回動範囲とは、約90°程度である。
【0083】
従って、スロットル弁10の全開状態からフルストローク状態までの回動範囲においては、スロットル弁10及びスロットルドラム50は、スロットルケーブルCが所定のストローク量でストロークする毎に、第1曲率半径よりも小さな第2曲率半径の円弧に対応する第2回動量で回動する。ここで、第2回動量は、第1曲率半径よりも十分に小さい第2曲率半径の円弧に対応している為、第1回動量よりも大きな回動量となる。
【0084】
即ち、スロットル弁10の全開状態からフルストローク状態までの回動範囲において、スロットル弁10の初期状態から全開状態までを含む回動範囲と同じ感覚で、アクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、スロットル弁10は急速に回動して、全開状態からフルストローク状態となる。従って、第2実施形態に係るスロットル装置1においては、ブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違え、スロットルケーブルCをフルストロークさせた場合、スロットルドラム50という機械的構成によって、スロットル弁10を迅速に全閉させること(図16参照)ができ、踏み間違いに起因する事故による損害を低減することができる。
【0085】
(第2実施形態におけるスロットルケーブルのストローク量とスロットル開度の関係)
続いて、第2実施形態に係るスロットル装置1において、スロットルケーブルCのストローク量と、スロットル開度との関係性について詳細に説明する。
【0086】
上述のように構成された第2実施形態に係るスロットル装置1において、アクセルペダルを踏み込んでいき、スロットルケーブルCのストローク量を0から第1ストローク量Laまで変化させた場合について説明する。尚、スロットルケーブルCのストローク量が0である状態とは、アクセルペダルを踏み込んでいない状態(所謂、初期状態)を意味し、図14に示す状態である。
【0087】
図14に示す状態から、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量を0から増大させていくと、スロットル弁10及びスロットルドラム50は、スロットルケーブルCの所定ストローク量毎に、第1ガイド部52の円弧に対応する第1回動量をもって回動する。従って、第2実施形態に係るスロットル装置1においても、スロットル開度は、スロットルケーブルCのストローク量(即ち、アクセルペダルの踏込み量)に連動して増大していく。
【0088】
こうして、アクセルペダルを踏み込み、スロットルケーブルCのストローク量が第1ストローク量になった時点で、スロットル弁10は、略直線状に伸びる吸気通路6の流路方向に対して、円板状のスロットル弁10が略平行である状態(図15参照)となる。第2実施形態においても、スロットルケーブルCのストローク量が第1ストローク量になった時点で、スロットル開度は最大を示す。
【0089】
そして、アクセルペダルを更に踏込んでフルストロークさせ、スロットルケーブルCのストローク量を第1ストローク量Laから第2ストローク量Lbに増大させていくと、スロットル弁10及びスロットルドラム50は、スロットルケーブルCの所定ストローク量毎に、第2ガイド部53の円弧に対応する第2回動量をもって回動する。既に説明したように、第2回動量は、第1回動量よりも大きい為、初期状態(図14参照)から全開状態(図15参照)になるまでのストローク量よりも少ないストローク量で、スロットル弁10によって、吸気通路6を全閉する。これにより、第2実施形態に係るスロットル装置1においても、スロットル開度は、スロットルケーブルCのストローク量が第2ストローク量Lb(即ち、アクセルペダルの踏込み量が最大)になった時点で、急速に低下して全閉状態となる。即ち、第2実施形態に係るスロットル装置1においても、スロットルケーブルCのストローク量に対するスロットル開度の関係性は、第1実施形態と同様の特徴(図12参照)を示す。
【0090】
第2実施形態に係るスロットル装置1が搭載された車両においても、ブレーキペダルと踏み間違えて、アクセルペダルをフルストロークで踏込んだ場合には、内燃機関の出力を急速に低下させることができる。これにより、当該スロットル装置1によれば、車両の急発進に起因する事故を回避したり、当該事故による損害を低減したりすることができる。
【0091】
又、内燃機関の出力を急速に低下させると、踏み間違いから事故の発生までに要する時間を長期化することができる。即ち、踏み間違いによってパニック状態に陥った運転者が落ち着く為の時間を稼ぐことができ、当該運転者が冷静な対応(例えば、ブレーキペダルの迅速な踏み直しや、事故発生時における適切な対応)をとることが期待できる。
【0092】
以上説明したように、第2実施形態に係るスロットル装置1は、スロットルボデー5と、スロットル弁10と、スロットルドラム50と、スロットルケーブルCとを有して構成されている。当該スロットル装置1は、アクセルペダルの操作量に応じた移動量をもって、スロットルケーブルCを介して、スロットルドラム50を回動させて、スロットル弁10によって吸気通路6を開閉可能に構成されている。当該スロットル装置1において、スロットルドラム50の外周部には、ケーブルガイド部51が形成されており、ケーブルガイド部51は、スロットル弁10の回動に伴って、スロットルケーブルCをガイドする。ケーブルガイド部51は、スロットルケーブルCの所定ストローク量に対して、所定の第1回動量で弁軸11を回動させるように形成された第1ガイド部52と、スロットルケーブルCの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸11を回動させるように形成された第2ガイド部53とを有して構成されている。
【0093】
従って、第2実施形態に係るスロットル装置1によれば、スロットル弁10の初期状態(図14参照)から全開状態(図15参照)となるまでの範囲では、スロットルドラム50の回動に関して、第1ガイド部52からスロットルケーブルCが引き出されていく。即ち、当該スロットル装置1は、アクセルペダルの操作量に応じて、スロットル弁10の開度を増減させることができる。そして、スロットル弁10の全開状態からフルストローク状態(図16参照)となるまでの回動範囲においては、第2ガイド部53からスロットルケーブルCが引き出される。この時、第2ガイド部53は、スロットルケーブルCの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸11を回動させるように形成されている為、スロットル弁10は、急速に吸気通路6を全閉する。
【0094】
この結果、第2実施形態に係るスロットル装置1によれば、踏み間違いによりアクセルペダルをフルストロークさせた場合でも、スロットル弁10の開度を全開から全閉に変化させて内燃機関の出力を低下させることができるので、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る。又、このような事態において、内燃機関の出力を低下させることで、パニック状態にある運転者が冷静さを取り戻す期間をつくりだすことができ、もって、事故の発生を回避する為に必要な対応を、運転者にとらせ得る。このように、当該スロットル装置1は、第1ガイド部52及び第2ガイド部53を有するスロットルドラム50といった機械的構成によるスロットル弁10の開閉制御によって、踏み間違い時における内燃機関の出力を制御でき、もって、踏み間違いに起因する事故の損害を低減させ得る。
【0095】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した実施形態においては、スロットルケーブルCは、アクセルペダルと直接的に接続された態様であったが、アクセルペダルの操作と連動してストロークする構成であれば、直接的に接続されていなくてもよい。例えば、アクセルペダルの操作量を検出するセンサと、センサにより検出したアクセルペダルの操作量に基づく制御信号によって、スロットルケーブルCのストローク動作を行うアクチュエータを有する構成とすることも可能である。
【0096】
そして、第1実施形態におけるスロットル駆動カム35のカム溝40は、図3図5等に示すように、弁軸11より上方に、第1溝41と第2溝42との接続部分が位置し、弁軸11より下方に、第2溝42と第3溝43との接続部分及び第3溝43と第1溝41との接続部分が位置するような態様であったが、この態様に限定されるものではない。例えば、第1実施形態に係るカム溝40と上下反転した態様(つまり、弁軸11より下方に、第1溝41と第2溝42との接続部分が位置し、弁軸11より上方に、第2溝42と第3溝43との接続部分及び第3溝43と第1溝41との接続部分が位置する態様)とすることができる。
【0097】
又、第1実施形態におけるカム溝40の第2溝42は、スロットル駆動カム35のスライド移動方法に対して直交するように伸びる直線状で、且つ、幅の広い溝として形成していたが、この態様に限定されるものではない。第2溝42は、フルストローク位置Pfから出力制限位置Prへのガイド軸12の移動を妨げることのない形状であれば、種々の態様を採用することができる。例えば、第2溝42の形状を、フルストローク位置Pfから出力制限位置Prへ向かって、弁軸11まわりに回動するガイド軸12の軌跡に沿った円弧状に形成してもよい。
【0098】
そして、第1実施形態においては、本発明に係る報知機構部として、報知用凹部41Aを、第1溝41の下面を窪ませることによって形成していたが、この態様に限定されるものではない。本発明に係る報知機構部は、ガイド軸12の動きに変化を加えることによって、ガイド軸12が全開位置Poに到達したことを報知できる機構であればよい。第1溝41における全開位置Poに相当する部分を、ガイド軸12が通過する際に抵抗を付与する構成(例えば、ガイド軸12の外形とほぼ同じ幅寸法とする構成)としてもよい。
【0099】
又、本発明に係る移動制限部は、第1実施形態における移動制限部43Aに限定されるものではない。本発明に係る移動制限部は、第3溝43から第1溝41へと向かうガイド軸12の移動を許容すると共に、第1溝41から第3溝43へと向かうガイド軸12の移動を制限可能な構成であれば、種々の態様を採用することができる。
【0100】
そして、第2実施形態においては、スロットルドラム50の第1ガイド部52を、第1曲率半径の円弧を描くように形成し、第2ガイド部53を、第2曲率半径の円弧を描くように形成していたが、本発明に係る第1ガイド部及び第2ガイド部は、この態様に限定されるものではない。本発明に係る第1ガイド部は、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、所定の第1回動量で前記弁軸を回動させるように形成されていれば、種々の態様を採用し得る。同様に、本発明に係る第2ガイド部は、前記ケーブルの所定ストローク量に対して、前記第1回動量よりも大きな第2回動量で前記弁軸を回動させるように形成されていれば、種々の態様を採用し得る。
【符号の説明】
【0101】
1 スロットル装置
5 スロットルボデー
6 吸気通路
10 スロットル弁
11 弁軸
12 ガイド軸
15 クランクアーム
25 カム機構部
35 スロットル駆動カム
40 カム溝
41 第1溝
41A 報知用凹部
42 第2溝
43 第3溝
43A 移動制限部
43B テーパ面
45 カムリターンスプリング
C スロットルケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16