特許第6442468号(P6442468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6442468一体となった空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442468
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】一体となった空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/06 20060101AFI20181210BHJP
   F02C 7/16 20060101ALI20181210BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20181210BHJP
   F01D 25/20 20060101ALI20181210BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20181210BHJP
   F02K 3/06 20060101ALI20181210BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20181210BHJP
   F28F 1/16 20060101ALI20181210BHJP
   F28F 13/12 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   F02C7/06 E
   F02C7/16 Z
   F02C7/18 E
   F01D25/20 B
   F01D25/16 H
   F02K3/06
   F28D7/16 F
   F28F1/16 A
   F28F13/12 A
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-241766(P2016-241766)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-120080(P2017-120080A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】14/980,879
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・イーアイ・ハシン・セノウン
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−082169(JP,A)
【文献】 特表2010−522842(JP,A)
【文献】 米国特許第08967958(US,B2)
【文献】 特表2011−521152(JP,A)
【文献】 特開2014−111930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/06
F01D 25/16
F01D 25/20
F02C 7/16
F02C 7/18
F02K 3/06
F28D 7/16
F28F 1/16
F28F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却される流体の流れを第1の入口(208)から第1の出口(210)に送るように構成された第1の内部流路(206)と、
第1の冷却材の流れを第2の入口(214)から第2の出口(216)に送るように構成された第2の内部流路(212)と、
表面に近接して第2の冷却材の流れを受けるように構成された外部流路(156)と、
を備え、
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路と前記外部流路との間に配置される、
熱交換器組立体(200)。
【請求項2】
前記第1の内部流路及び前記第2の内部流路は、対向流である、請求項1に記載の熱交換器組立体。
【請求項3】
前記外部流路は、複数の金属フィンを含む、請求項1または2に記載の熱交換器組立体。
【請求項4】
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路と前記外部流路との間にバッファを提供する、請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器組立体。
【請求項5】
前記冷却される流体の流れは、オイルを含む、請求項1から4のいずれかに記載の熱交換器組立体。
【請求項6】
前記第1の冷却材は、燃料を含む、請求項1から5のいずれかに記載の熱交換器組立体。
【請求項7】
前記第2の冷却材は、空気を含む、請求項1から6のいずれかに記載の熱交換器組立体。
【請求項8】
3経路熱交換器を用いて流体を冷却する方法であって、
1又はそれ以上の冷却される流体の流れを熱交換器組立体(200)の第1の内部流路(206)を通して送るステップと、
1又はそれ以上の冷却流体の流れを前記熱交換器組立体の第2の内部流路(212)を通して送るステップと、
前記熱交換器の外部流路(156)に近接して空気の流れを送るステップと、
を含み、
前記熱交換器は、流体ストリームに近接して延びる複数のフィン部材(204)を含み、
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路及び前記複数のフィン部材に熱結合され、
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路と前記外部流路との間に配置される、
方法。
【請求項9】
前記1又はそれ以上の冷却される流体の流れを熱交換器組立体の第1の内部流路を通して送るステップは、1又はそれ以上のオイルの流れを前記熱交換器組立体の前記第1の内部流路に送るステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1又はそれ以上の冷却流体の流れを前記熱交換器組立体の第2の内部流路を通して送るステップは、1又はそれ以上の燃料の流れを前記熱交換器組立体の前記第2の内部流路に送るステップを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記熱交換器の外部流路に近接して空気の流れを送るステップは、前記空気の流れ内に延びる複数のフィン部材に近接してファン排出空気の流れを送るステップを含む、請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
バイパスダクトを含むファン組立体(114)と、
熱交換器組立体(200)を含むコアエンジン(116)と、
を備えるガスタービンエンジンであって、
前記熱交換器組立体は、
冷却される流体の流れを第1の入口(208)から第1の出口(210)に送るように構成された第1の内部流路(206)と、
前記第1の内部流路と熱連通するように結合され、第2の冷却材の流れを第1の入口(214)から第1の出口(216)に送るように構成された第2の内部流路(212)と、
表面に近接して空気の流れを受けるように構成された外部流路(156)と、
を含み、
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路と前記外部流路との間に配置される、
ガスタービンエンジン。
【請求項13】
前記第1の内部流路及び前記第2の内部流路は、対向流である、請求項12に記載のガスタービンエンジン。
【請求項14】
前記外部流路は、複数の金属フィンを含む、請求項12または13に記載のガスタービンエンジン。
【請求項15】
前記第1の内部流路は、前記第2の内部流路と前記外部流路との間にバッファを提供する、請求項12から14のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項16】
前記熱交換器組立体は、前記コアエンジンの半径方向外面上に配置される、請求項12から15のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
前記コアエンジンを少なくとも部分的に囲む固定環状ケーシングをさらに備え、前記熱交換器組立体は、前記環状ケーシングの半径方向内面上に配置される、請求項12から16のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【請求項18】
前記冷却される流体の流れは、オイルを含む、請求項12から17のいずれかに記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、全体的に、ガスタービンに関し、より詳細には、ガスタービンエンジン内のオイルを冷却しかつ可燃性冷却材及び酸化冷却材の分離を維持するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも一部の公知のガスタービンエンジンは、ガスタービンエンジンの構成要素を冷却及び潤滑するように構成された1つ又はそれ以上のオイル冷却システムを含む。一部のガスタービンエンジンは、空気対オイル(air−oil)表面冷却器及び/又は燃料対オイル(fuel−oil)熱交換器を含む。空気対オイル熱交換器は、ナセルの半径方向内側面に取り付けられ、ファン空気を用いて、空気対オイル熱交換器を通って流れるオイルを冷却する。空気対オイル表面冷却器は、バイパス空気流通路に突出するフィンを含み、比較的低温のファン空気と熱交換を行う。
【0003】
航空機エンジンの燃料は、多くの場合、加熱されて燃料内の水分が凍結するのを防止し、燃料の燃焼を改善する。幾つかのガスタービンエンジンにおいては、燃料を加熱するために、比較的高温のオイルが用いられる。燃料を加熱するために、空気は通常用いられない。燃料対オイル熱交換器における漏れにより、燃料と酸素がエンジン内で互いに接触することがある。空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器を分離すると、エンジン内の貴重なスペースを取り、エンジンに重量が加わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8967958号明細書
【発明の概要】
【0005】
1つの態様において、熱交換器組立体は、冷却される流体の流れを第1の入口から第1の出口に送るように構成された第1の内部流路を含む。また、熱交換器組立体は、第1の冷却材の流れを第1の入口から第1の出口に送るように構成された第2の内部流路を含む。熱交換器組立体は、外部流路の表面に近接して第2の冷却材の流れを受けるように構成された外部流路をさらに含む。
【0006】
別の態様において、作動流体を冷却する方法は、1又はそれ以上の冷却される流体の流れを熱交換器組立体の第1の内部流路を通して送るステップを含む。また、本方法は、1又はそれ以上の冷却流体の流れを熱交換器組立体の第2の内部流路に送るステップを含む。さらに、本方法は、熱交換器の外部流路に近接して空気の流れを送るステップを含む。熱交換器は、流体ストリームに近接して延びる複数のフィン部材を含む。第1の内部流路は、第2の内部流路及び複数のフィン部材に熱結合される
さらに別の態様において、ガスタービンエンジンは、バイパスダクトを含むファン組立体を含む。また、ガスタービンエンジンは、熱交換器組立体を含むコアエンジンを含む。熱交換器組立体は、冷却される流体の流れを第1の入口から第1の出口に送るように構成された第1の内部流路を含む。ガスタービンエンジンは、第1の内部流路と熱連通するように結合され、第2の冷却材の流れを第1の入口から第1の出口に流すように構成された第2の内部流路をさらに含む。また、熱交換器組立体は、外部流路の表面に近接して空気の流れを受けるように構成された外部流路を含む。
【0007】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、同様の参照番号が図面全体を通じて同じ部品を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より十分に理解されるであろう。
【0008】
図1−5は、本明細書に記載の方法及び装置の例示的な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ガスタービンエンジンの概略図。
図2】一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器の概略図。
図3図2の一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器の概略的な軸方向図。
図4】対向流構成に構成された図2に示す一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器の概略的な半径方向図。
図5】並行流構成に構成された図2に示す一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器の概略的半径方向図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
種々の実施形態の特定の特徴は一部の図面で示され、他の図面では示されない場合があるが、これは便宜上のことに過ぎない。何れの図面のあらゆる特徴も、他の何れかの図面の何れかの特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【0011】
別途指示されていない限り、本明細書で示される図面は、本開示の実施形態の特徴を例証するものとする。これらの特徴は、本開示の1つ又はそれ以上の実施形態を含む幅広い種類のシステムで適用可能であると考えられる。従って、図面は、本明細書で開示される実施形態の実施に必要とされる当業者には公知の従来の全ての特徴を含むことを意図するものではない。
【0012】
以下の本明細書及び請求項において、幾つかの用語を参照するが、これらは以下の意味を有すると定義される。
【0013】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、前後関係から明らかに別の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0014】
「任意」又は「場合により」とは、それに続いて記載されている事象又は状況が起こってもよいし起こらなくてもよいことを意味し、その記載はその事象が起こる場合と起こらない場合を含む。
【0015】
本明細書及び請求項全体を通じてここで使用される近似表現は、関連する基本的機能の変更をもたらすことなく、許容範囲内で変わることのできるあらゆる定量的表現を修飾するのに適用することができる。従って、「約」及び「実質的に」などの1又は複数の用語により修飾される値は、指定される厳密な値に限定されるものではない。少なくとも場合によっては、近似表現は、値を測定するための計器の精度に対応することができる。ここで、及び明細書及び請求項全体を通じて、範囲限界は組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、このような範囲は前後関係又は表現がそうでないことを示していない限り、識別され、ここに包含される部分範囲全てを含む。
【0016】
以下の詳細な説明は、限定ではなく例証として、本開示の実施形態について例示する。本開示は、航空機エンジン内のオイルを冷却するための方法及びシステムに対して一般的に応用されることが想定される。
【0017】
本明細書で説明される熱交換器組立体の実施形態は、ガスタービンエンジン内のオイルを冷却する。熱交換器組立体は、ナセルの半径方向内側面上に配置された一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器を含む。一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器は、熱交換器を通して燃料を送るための第1の流路と、熱交換器を通してオイルを送るための第2の流路と、熱交換器の外側フィン付き面に近接した空気を配向するための第3の流路とを含む。熱交換器は、ファンバイパスダクト内のファン空気と熱交換を行うこと、及び燃料と熱交換を行うことによって、オイルを冷却する。例示的な実施形態において、熱交換器は、ファンバイパスダクト内のファン空気及び燃料により同時にオイルを冷却するように構成される。熱交換器は、熱交換器の表面上に配置された複数のフィンを含み、この複数のフィンは、ファンバイパスダクト内に突出する。オイル及び燃料は、熱交換器内に含まれる1つ又はそれ以上の導管を通って流れる。オイル導管は、熱交換器内の燃料の流れと熱交換器を通過する空気の流れの間の分離を維持するように、熱交換器の表面と燃料導管との間で熱交換器の中に配置される。例示的な実施形態において、オイル導管及び燃料導管は、対向流構成で流れるように構成される。
【0018】
作動中、熱交換器は、エンジンから比較的高温のオイルと、燃料ポンンプから比較的低温の燃料とを受け取る。ファンバイパスダクト内のファン空気は、複数のフィンと熱交換し、複数のフィンは、オイルと熱交換する。燃料は同時に、オイルと熱交換する。オイルは、単一の熱交換器内で、同時にファン空気及び燃料により冷却される。熱交換器は、加熱された燃料及び冷却されたオイルをエンジンに戻す。代替的な実施形態において、オイル導管及び燃料導管は、並行流構成で流れるように構成される。別の代替的な実施形態において、熱交換器はエンジンの半径方向外側面上に配置される。
【0019】
本明細書で説明される熱交換器組立体は、ガスタービンエンジン内のオイルを冷却する公知の方法に優る利点を提供する。より具体的には、一部の公知の熱交換器システムは、空気及び燃料によりオイルを冷却するために、別個の熱交換器組立体を使用する。本明細書で説明される熱交換器システムは、空気及び燃料の冷却を組み合わせて、熱交換器システム及び航空機エンジンの重量の低減を容易にする単一の熱交換器組立体にする。燃料導管とファンバイパスダクトとの間にオイル導管を配置することにより、空気と燃料との間にバッファがもたらされる。
【0020】
図1は、本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンの概略断面図である。例示的な実施形態において、ガスタービンエンジンは、本明細書で「ターボファンエンジン110」と呼ばれる高バイパスターボファンジェットエンジン110である。図1に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参照として与えられる長手方向中心線112に対して平行に延びる)、及び半径方向Rを定める。一般に、ターボファン110は、ファンセクション114と、該ファンセクション114の下流側に配置されるコアタービンエンジン116とを含む。
【0021】
概略的に示された例示的なコアタービンエンジン116は、環状入口120を定める実質的に管状の外側ケーシング118を含む。外側ケーシング118は、直列流れ関係で、ブースタ又は低圧(LP)圧縮機122及び高圧(HP)圧縮機124を含む圧縮機セクションと、燃焼セクション126と、高圧(HP)タービン128及び低圧(LP)タービン130を含むタービンセクションと、ジェット排気ノズルセクション132とを収容する。高圧(HP)シャフト又はスプール134は、HPタービン128をHP圧縮機124に駆動可能に接続する。低圧(LP)シャフト又はスプール136は、LPタービン130をLP圧縮機122に駆動可能に接続する。圧縮セクション、燃焼セクション126、タービンセクション、及びノズルセクション132は協働してコア空気流路137を定める。
【0022】
図示の実施形態に関して、ファンセクション114は、相隔たった様式でディスク142に結合された複数のファンブレード140を有する可変ピッチファン138を含む。図示のように、ファンブレード140は、概して半径方向Rに沿ってディスク142から外向きに延びる。各々のファンブレード140は、ファンブレード140が、該ファンブレード140のピッチを一体となって協働して変えるように構成された適切なピッチ変更機構144に作動可能に結合されることにより、ピッチ軸線Pを中心にしてディスク142に対して回転可能である。ファンブレード140、ディスク142及びピッチ変更機構144は、出力ギアボックス146を横切るLPシャフト136により長手方向軸線112の周りに共に回転可能である。出力ギアボックス146は、LPシャフト136に対してファン138の回転速度をより効率的なファン速度に調整するための複数のギアを含む。
【0023】
図1の例示的な実施形態をさらに参照すると、ディスク142は、複数のファンブレード140を通る空気流を促進するために空力的な輪郭を有する回転可能な前方ハブ148によって覆われる。さらに、例示的なファンセクション114は、ファン138及び/又はコアタービンエンジン116の少なくとも一部を円周方向に囲む環状ファンケーシング又は外側ナセル150を含む。ナセル150は、半径方向内側面151を含む。ナセル150は、複数の円周方向に離間配置された出口ガイドベーン152によってコアタービンエンジン116に対して支持されるように構成できることを理解されたい。さらに、ナセル150の下流側セクション154は、コアタービンエンジン116の外側部分の上に延びて、これらの間にバイパス空気流通路156を定めることができる。複数の一体式の空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器157が、バイパス空気流通路156内のナセル150の半径方向内側面151上に配置される。代替的な実施形態において、複数の一体式の空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器159が、バイパス空気流通路156内の外側ケーシング118の外側半径方向面151上に配置される。
【0024】
ターボファンエンジン110の作動中、所定量の空気158がナセル150及び/又はファンセクション114の関連した入口160を通ってターボファン110に流入する。所定量の空気158がファンブレード140を通過すると、矢印162で示される空気158の第1の部分は、バイパス空気流通路156に配向され又は送られ、矢印164で示される空気158の第2の部分は、コア空気流路137に、より具体的には、LP圧縮機122に配向され又は送られる。空気の第1の部分162と空気の第2の部分164との比は、一般的にバイパス比として知られている。空気の第2の部分164の圧力は、HP圧縮機124を通して燃焼セクション126に送られる際に増大し、そこで燃料と混合されて燃焼して燃焼ガス166を与える。空気の第1の部分162は、バイパス空気通路156内のナセル150の半径方向内側面151の上に配置された一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器を用いて熱交換が行われる。別の実施形態において、空気の第1の部分162は、バイパス空気通路156内の外側ケーシング118の半径方向外側面161の上に配置された一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器を用いて熱交換が行われる。
【0025】
燃焼ガス166は、HPタービン128を通して送られ、そこで熱及び/又は運動エネルギーの一部が、外側ケーシング118に結合されたHPタービンステータベーン168、及び、HPシャフト又はスプール134に結合されたHPタービンロータブレード170の連続する段を介して、燃焼ガス166から抽出され、従って、HPシャフト又はスプール134を回転させ、それによりHP圧縮機124の動作が支援される。次に、燃焼ガス166は、LPタービン130を通して送られ、そこで熱及び運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング118に結合されたLPタービンステータベーン172、及び、LPシャフト又はスプール136に結合されたLPタービンロータブレード174の連続する段を介して、燃焼ガス166から抽出され、従って、LPシャフト又はスプール136を回転させ、それによりLP圧縮機122の動作及び/又はファン138の回転が支援される。
【0026】
その後、燃焼ガス166は、コアタービンエンジン116のジェット排気ノズルセクション132を通して送られて推進スラストを与える。同時に、空気の第1の部分162の圧力は、空気の第1の部分162がターボファン110のファンノズル排気セクション176から排出される前にバイパス空気流流路156を通して送られる際に大幅に増大し、これも推進スラストを与える。HPタービン128、LPタービン130及びジェット排気ノズルセクション132は、少なくとも部分的に、コアタービンエンジン116を通して燃焼ガス166を送るための高温ガス経路178を定める。
【0027】
しかしながら、図1に示される例示的なターボファンエンジン110は、単なる例証に過ぎず、他の例示的な実施形態においては、ターボファンエンジン110は、他の何れかの適切な構成を有してもよいことを理解されたい。また、さらに他の例示的な実施形態において、本開示の態様を他の何れかの適切なガスタービンエンジンに組み込むこともできることも理解されたい。例えば、他の例示的な実施形態において、本開示の態様は、例えばターボプロップエンジンに組み込むことができる。
【0028】
図2は、熱交換器組立体200の概略図である。例示的な実施形態において、熱交換器組立体200は、一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器を含む。熱交換器組立体200は、半径方向内側面151(図1に示される)上に配置される。また、熱交換器組立体200は、表面202上に配置され、バイパス空気流通路156(図1に示される)内に延びる複数のフィン部材204を含む。複数の第1の内部流路206が、熱交換器組立体200の中に配置される。熱交換器組立体200は、オイルを受けるように構成され、第1の内部流路206と流体連通して結合された複数の第1の内部流路入口208を含む。また、熱交換器組立体200は、第1の内部流路206と流体連通して結合された複数の第1の内部流路出口210を含む。複数の第2の内部流路212が、熱交換器組立体200内に配置される。熱交換器組立体200は、燃料を受けように構成され、第2の内部流路212と流体連通して結合された複数の第2の内部流路入口214を含む。また、熱交換器組立体200は、第2の内部流路212と流体連通して結合された複数の第2の内部流路出口216を含む。第1の内部流路206は、第2の内部流路212に対して半径方向内側に配置される。
【0029】
作動中、バイパス空気流通路156(図1に示される)内の空気の第1の部分162(図1に示される)は、表面202に近接して流れるように構成され、フィン部材204と熱を交換するように構成される。第1の内部流路入口208は、オイルの流れを受けるように構成される。第1の内部流路入口208は、オイルの流れを第1の内部流路206に送給するように構成される。第1の内部流路206内のオイルは、第2の内部流路212内の燃料と熱を交換し、かつ、バイパス空気流通路156(図1に示される)内の空気の第1の部分162と熱を交換するように構成される。第1の内部流路206は、オイルを第1の内部流路210に送給するように構成され、この第1の内部流路210は、オイルをコアタービンエンジン116(図1に示される)に送給するように構成される。
【0030】
第2の内部流路入口214は、燃料の流れを受けように構成される。第2の内部流路入口214は、燃料の流れを第2の内部流路212に送るように構成される。第2の内部流路212内の燃料は、第1の内部流路206内のオイルと熱を交換するように構成される。第2の内部流路212は、燃料を第2の流路出口216に送給するように構成され、第2の流路出口126は、燃料をコアタービンエンジン116(図1に示される)に送るように構成される。
【0031】
図3は、図2に示される一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器組立体200の概略的軸方向図である。第1の内部流路206は、熱交換器組立体200の中に表面202と第2の内部流路212との間に配置される。第2の内部流路212から表面202に向かって燃料が漏れる場合、第1の内部流路206はバッファとして働き、漏れ燃料がバイパス空気流通路156(図1に示される)に到達するのを阻止する。
【0032】
図4は、対向流構成で構成された、図2に示される一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器組立体200の概略的半径方向図である。第1の内部流路206は、矢印402で示される第1の方向にオイルを流すように構成される。第2の内部流路212は、矢印404で示される第2の方向に燃料を流すように構成される。第1の方向402は、第2の方向404と反対である。
【0033】
図5は、並行流構成で構成された、図2に示される一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器組立体200の概略的半径方向図である。第1の内部流路206は、矢印502で示される第1の方向にオイルを流すように構成される。第2の内部流路212は、矢印504で示される第2の方向に燃料を流すように構成される。第1の方向502は、第2の方向504と実質的に同じ方向である。
【0034】
代替的な実施形態において、一体式の空気対オイル及び燃料対オイル熱交換器組立体200は、バイパス空気流通路156内の外側ケーシング118の半径方向外側面161上に配置される。
【0035】
上述の熱交換器組立体は、ガスタービンエンジン内のオイルを冷却するための効率的な方法を提供する。具体的には、上述の熱交換器システムは、空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器を一体化して単一の熱交換器にする。空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器を一体化して単一の熱交換器にすることにより、航空機エンジンの部品の数が減り、エンジンの複雑さが低減する。従って、空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器を一体化して単一の熱交換器にすることにより、エンジンの重量が低減する。さらに、燃料導管とバイパス空気流通路との間にオイル導管を配置することにより、燃料と空気との間にバリアが生成される。空気と燃料との間にバリアを形成すると、一方から他方への漏洩の可能性が低くなる。
【0036】
上記には一体式の空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器表面冷却器の例示的な実施形態が詳細に説明される。一体式の空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器、並びにそうしたシステム及び装置を作動させる方法は、本明細書に説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成要素及び/又は方法のステップは、本明細書で説明される他の構成要素及び/又はステップと独立して及びこれらとは別個に利用することができる。例えば、本方法は、オイル冷却を必要とする他のシステムと共に用いることもでき、本明細書で説明されるようなシステム及び方法のみによる実施に限定されるものではない。どちらかと言えば、例示的な実施形態は、現在のところ、一体式の空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器を収容して対応するように構成されている多くの他の機械用途に関連して実装して利用することができる。
【0037】
空気及び燃料によりオイルを冷却するための例示的な方法及び装置は、上記に詳細に説明される。図示される装置は、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものではないが、むしろ、各々の構成要素は、本明細書で説明される他の構成要素とは独立に、かつ、それらとは別個に利用することができる。各々のシステム構成要素を他のシステム構成要素と一緒に使用することができる。
【0038】
本明細書は最良の形態を含む実施例を使用して、実施形態を開示し、また当業者が、あらゆる装置又はシステムを製作し且つ使用しまたあらゆる組込み方法を実行することを含む実施形態の実施を行なうことを可能にもする。本開示の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0039】
110 ターボファンエンジン
112 長手方向軸線
114 ファンセクション
116 コアタービンエンジン
118 外側ケーシング
120 環状入口
122 低圧圧縮機
124 高圧圧縮機
126 燃焼セクション
128 高圧タービン
130 低圧タービン
132 ジェット排気ノズルセクション
134 高圧シャフト又はスプール
136 低圧シャフト又はスプール
137 コア空気流路
138 可変ピッチファン
140 ファンブレード
142 ディスク
144 ピッチ変更機構
146 出力ギアボックス
148 前方ハブ
150 ナセル
151 半径方向内側面
152 出口ガイドベーン
154 下流側セクション
156 バイパス空気流通路
157 空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器
158 所定量の空気
159 空気対オイル冷却器及び燃料対オイル冷却器熱交換器
160 関連した入口
161 半径方向外側面
162 空気の第1の部分
164 空気の第2の部分
166 燃焼ガス
168 高圧タービンステータベーン
170 高圧タービンロータブレード
172 低圧タービンステータベーン
174 低圧タービンロータブレード
176 ファンノズル排気セクション
178 交換ガス経路
200 熱交換器組立体
202 表面
204 フィン部材
206 第1の内部流路
208 第1の内部流路入口
210 第1の内部流路出口
212 第2の内部流路
214 第2の内部流路入口
216 第2の内部流路出口
402 第1の方向
404 第2の方向
502 第1の方向
504 第2の方向
図1
図2
図3
図4
図5