特許第6442487号(P6442487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6442487制御された移送生体試料収集装置及び当該装置を用いる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442487
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】制御された移送生体試料収集装置及び当該装置を用いる方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20181210BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   G01N1/04 V
   G01N1/04 H
   G01N1/04 J
   G01N33/48 S
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-515707(P2016-515707)
(86)(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公表番号】特表2016-520201(P2016-520201A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】EP2014059894
(87)【国際公開番号】WO2014191207
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】1309772.0
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】398048914
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・ユーケイ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】タトネル,ピーター・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】セイモア,ゲラント
(72)【発明者】
【氏名】ポッツ,シェリル・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,アラン・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】トートレーラ,ステヴァン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】オグデン,サマンサ・ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ニール・ジョン
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−087567(JP,U)
【文献】 特開平06−109606(JP,A)
【文献】 特表2010−519507(JP,A)
【文献】 特表2005−512084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0161855(US,A1)
【文献】 特表2004−534944(JP,A)
【文献】 特開2006−226865(JP,A)
【文献】 特表平04−500001(JP,A)
【文献】 米国特許第06372516(US,B1)
【文献】 国際公開第2012/163788(WO,A1)
【文献】 特表2000−500671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 33/48−33/98
C12M 1/00− 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御された移送生体試料材料収集装置(10)であって、
本体(12)と、
前記本体に対して摺動可能な部分と、前記摺動可能な部分にヒンジ結合されたアーム(24)と、前記アームに固定された試料収集のためのパッドとを含む収集部材(20)と
を備え
前記摺動可能な部分が、生体材料乾燥した蓄積のための試料蓄積媒体(30)を支持し、
収集部材(20)は、生体試料の収集が可能である露出位置から、収集した試料の少なくとも一部の試料蓄積媒体(30)への移送を行うための移送位置へ、移動可能であり、
前記収集部材が、前記アームおよび前記摺動可能な部分が互いに折り畳まれた状態で前記移送位置に移動し、
体(12)又は収集部材(20)が、送位置に移動した前記収集部材(20)のアームを前記試料蓄積媒体(30)に向けて押し付けるランプ状突起であって、収集部材(20)が本体(12)内摺動して前記移送われるようにするためのランプ状突起(16)を含む収集装置(10)。
【請求項2】
ランプ状突起(16)は本体(12)上に形成され、アーム(24)はスロット(23)を含み、スロット(23)は、ランプ状突起(16)を受け入れ、それによって移送の後に試料蓄積媒体(30)及びパッド(28)を分離する、請求項記載の収集装置(10)。
【請求項3】
動可能な部分及び試料蓄積媒体(30)は、本体(12)内への一括した再挿入及び移送を行うためにアーム(24)と互いに折り畳まれた位置を採り得るように置可能である、請求項1記載の収集装置(10)。
【請求項4】
摺動可能な部分の移動の範囲は、本体(12)上の及び摺動可能な部分上の相補的停止形状によって制限される、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の収集装置(10)。
【請求項5】
試料蓄積媒体(30)は、摺動可能な部分から取り外し可能である、請求項1乃至請求項のいずれか1項記載の収集装置(10)。
【請求項6】
i)本体(12)及び前記本体に対して摺動可能な部分と、前記摺動可能な部分にヒンジ結合されたアーム(24)と、前記アームに固定された試料収集のためのパッドとを含む収集部材(20)を含む装置(10)であって、前記摺動可能な部分が、生体材料乾燥した蓄積のための試料蓄積媒体(30)を支持し、前記収集部材(20)は、生体試料の収集が可能である露出位置から、収集した試料の少なくとも一部の試料蓄積媒体(30)への移送を行うための移送位置へ、移動可能であり、前記収集部材が、前記アームおよび前記摺動可能な部分が折り畳まれた状態で前記移送位置に移動し、前記本体(12)又は前記収集部材(20)が、前記移送位置に移動した前記収集部材(20)のアームを前記試料蓄積媒体(30)に向けて押し付けるランプ状突起を含む装置(10)を設けるステップと、
ii)収集部材(20)のパッド上において生体試料を収集するステップと、
iii)収集部材(20)を、前記露出位置から前記移送位置移動させるステップであって、前記ランプ状突起が前記移送位置に移動した前記収集部材(20)のアームを前記試料蓄積媒体(30)に向けて押し付けるステップと、
含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、乾燥固体の移送及び蓄積媒体を用いる制御された移送生体収集装置、並びに、例えば遺伝子又はタンパク質の材料などの関心のある生体材料を一時的もしくは長期的な蓄積、及び/又はその後の分析に好適な形態で収集するための方法に関する。具体的には、本発明は、蓄積媒体及び検体収集面を有する可動試料収集部材を保持することによって、蓄積媒体への生体試料の移送を制御する試料採取装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
生体試料(血液など)の収集及び試料からの遺伝子解析のためのDNA抽出は、識別目的のために、父子鑑別のために、新生スクリーニングプログラムの遺伝子診断試験のために、疾病に対する素質の遺伝子分類のために、及び、薬剤感受性についての遺伝子特性評価のために、法医学及び医学界で広く用いられている。
【0003】
しかし、血液採取の侵襲性性質のために、代替的な非侵襲的方法が好まれるようになっている。現在の方法は、サイトブラシ、綿もしくは人工繊維のスワブ、うがい及びリンス方法、先端発泡体付きスワブ、並びに支持体付きセルロース濾紙収集技術(ボード方法として知られている)などの、多数の異なる装置のうちのいずれかを使用して、口腔内部から細胞粘膜をこすり取ることを含む。これらの方法は、時間のかかる多くの労力を要する抽出方法を必要とする。
【0004】
処理された蓄積媒体の法医学界への導入は、種々の試料からのDNAの収集及び抽出を著しく合理化した。1つのこのような処理された媒体は、ワットマン社(Whatman,Inc.)から商品名FTA(登録商標)として市販されており、米国特許第6627226号、米国特許第6447804号、米国特許第6294203号、米国特許第6168922号、米国特許第5976572号、米国特許第5972386号、米国特許第5939259号、及び米国特許第5756126号のうちの1以上に記載されている。その媒体は、ワットマン社のEasicollect(登録商標)として知られるプラスチック収集装置と共に使用され、米国特許第20100106057号(Harvey他)に記載されている。この公知の収集装置は、一端に頬面細胞収集器発泡パッドを有するアームを含み、このアームは頬面細胞を収集するように操作され、さらに、回動し、それによってそれらの細胞を発泡体パッドから装置の対向する端部に保持されたFTA媒体上に移送するように操作される。
【0005】
この技術は適切なものであるが、頬面細胞を一貫した再現性のある方法で処理された媒体へ移送することは、作業者の技能の問題であり、特に作業者がその装置をめったに使用することがない場合にはそれは理想的ではない。移送工程の正確な圧力及びタイミングが重要であり、移送が行われている間に露出した媒体が汚染されないことが重要である。
【0006】
装置設計の改良は、国際公開第2012/163788号(GEヘルスケア)に開示されたが、発明者らは、使いやすさ及び汚染の防止の観点からはさらなる改良が可能であることを理解している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/163788号
【発明の概要】
【0008】
本発明は、乾燥固体の蓄積及び移送媒体を用いる制御された移送生体収集装置、並びに、関心のある生体材料、すなわち試料(遺伝子又はタンパク質の材料であってもよい)を蓄積及び/又はその後の分析に好適な形態で収集するための方法に関する。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、制御された移送生体試料材料収集装置を提供し、本装置は、関心のある生体試料材料を収集するための試料収集部材を摺動可能に支持する本体を備え、本体は、生体材料の乾燥蓄積のための処理された媒体を収容し、収集部材は、収集した試料の少なくとも一部を生体試料の収集が可能である露出位置から媒体に移送する移送位置へ移動可能であり、本装置は、ハウジングが、媒体に対して収集部材を移送位置に圧入し、収集部材がハウジング内で摺動して移送を行うように動作可能なランプ部分を含むことを特徴とする。
【0010】
一実施形態では、収集部材は、摺動可能な部分が媒体を運ぶ、ハウジング内で摺動可能な部分を含む。
【0011】
一実施形態では、収集部材は、摺動可能な部分にヒンジ結合されたアームをさらに含み、アームは試料収集のための弾性パッドを運び、摺動可能な部分及びアームは、本体内を摺動し、互いにランプを横切って摺動して移送を行うように、互いに折り畳み可能である。
【0012】
一実施形態では、アームはスロットを含み、スロットはランプを受け入れ、それによって移送の後に媒体及びパッドを分離する。
【0013】
一実施形態では、摺動可能な部分及び媒体は、本体によって実質的に囲まれるように本体内に配置可能であって、その位置にある場合に、アームは露出位置を採ることが可能であり、摺動可能な部分及び媒体は、本体内への一括した再挿入及び移送を行うために、部分的に本体内にあるが、アームと互いに折り畳まれた位置を採り得るように、さらに配置可能である。
【0014】
一実施形態では、摺動可能な部分の移動の範囲は、本体上又は本体内での停止によって制限される。
【0015】
一実施形態では、媒体は、移送後に摺動可能な部分から取り外すことができる。
【0016】
本発明は、特許請求の範囲によってさらに特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1a】初期位置における特許請求される装置を示す本発明の好ましい実施形態の斜視図である。
図1b図1に示す装置の平面図である。
図1c図1bに示す装置の断面図である。
図1d図1bに示す装置の断面図である。
図2】異なる位置における図1aの装置のさらなる図である。
図3】異なる位置における図1aの装置のさらなる図である。
図4】異なる位置における図1aの装置のさらなる図である。
図5】異なる位置における図1aの装置のさらなる図である。
図6】異なる位置における図1aの装置のさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施形態を図1aに示す。分解可能な生物由来の検体を含む生体試料のための収集装置10を示しており、それは収集部材20を摺動可能に保持する本体12を備える。収集部材は、試料蓄積媒体30を支持するためのトレイ22の形態で試料蓄積部分を有する。本発明に適した蓄積媒体材料の例としては、#903(登録商標)ブランド紙(米国ニュージャージー州Florham Parkのワットマン社)などの未処理の濾紙、或いは処理されたフィルタ紙、FTA及びFTA溶出ブランド紙(米国ニュージャージー州Florham Parkのワットマン社)などの処理された濾紙が挙げられる。これらの処理された媒体は、上で参照した米国特許に記載されている。このような処理された媒体は、生体試料の収集、輸送及び蓄積のための簡素で安全な方法を提供する。また、それらは血液のような複雑な試料からDNAを分離することを容易にする化学物質を含む。処理された媒体又は未処理の媒体上に収集された試料は、蓄積のために乾燥され、長期間にわたって室温で保存することができる。
【0019】
収集部材20は、柔軟に成型されたプラスチックから形成されたヒンジ26によって、試料蓄積部分にヒンジ結合されたアーム24をさらに含む。アーム24の遠位端には、発泡ポリマー材料の弾性パッド28が固定されており、必要に応じて、試料収集器として働く。
【0020】
図1a及び図1bに示す位置では、関心のある領域の上をパッド28で拭き取る、又は他の方法で接触することにより生体試料を収集するために、例えば被検者の口腔の頬面から頬面細胞を収集するために使用する準備ができている。
【0021】
図1bは、装置10を示す平面図である。図1cは、装置10の図1bの線A−Aに沿った断面を示し、図1dは、線B−Bに沿った断面を示す。図1c及び図1dでより詳細に見ることができるように、トレイ22は、蓄積媒体30を保持しており、トレイ22は、媒体30及びアーム24と共に本体12内で摺動可能である。しかし、トレイは、本体12の開口部14と協働するトレイ22上に形成された移動止め21によって、所定の位置に弾性的に保持される。
【0022】
試料が収集されると、図2aに示すように、トレイがさらなる停止部材に接触するまで、収集部材20が本体12の外に引き出される。図2b、図2c及び図2dに、さらに詳細を示す。その位置では、媒体30が露出する。
【0023】
それから、図3a、図3b、図3c及び図3dに示すように、アーム24は媒体30に向かって折り畳まれる。この位置では、パッド28は、媒体30に軽く接触して、いくらかの生体試料材料を媒体に移送することができるが、確実ではない。アーム24が貫通スロット23を含むことに留意されたいが、その機能については後で詳細に説明する。
【0024】
それから、図4aに示すように、ユーザは、アームを折り畳んだままで収集部材20を本体12内に押し戻す。移動止め21が本体12の端部に接触すると、ユーザは抵抗を感じる。この位置で、本体12のランプ16は、パッド28に隣接したアーム24の背面を媒体30に向かって押し付けて、反復可能で一定の接触力を提供し、それによって媒体30上への生体材料の制御された移送が得られる。
【0025】
ユーザは、この位置で所定の時間、装置10を一時停止させる。時間よりもむしろ力が材料移送のより正確な予測因子であり、したがって一時停止時間は重要ではないことが分かっているが、5〜15秒であればうまくいき、約10秒がより好ましいことが判明している。
【0026】
それからユーザは、パッドが媒体30から持ち上がるまで、トレイ22を本体12内に完全に押し込む。貫通スロット23がランプ16と一致して、貫通スロットがランプ16を取り囲む場合に、この持ち上がりが発生する。この位置は、図5a、図5b、図5c、及び図5dに示してある。この位置では、相補的形状14及び21は、もう一度再び位置合わせされる。ユーザは、その後、蓄積したり、蓄積又はさらなる処理のために実験室に移送したりするために、図6a、図6b及び図6cに示すように、媒体30を取り外すことができ、或いは、さらに媒体30を含む装置全体について同じことを行うことができる。
【0027】
媒体が少なくとも1つの安定化試薬を含むことができるので、試料は輸送又は蓄積のために保存される。好適なこのような試薬としては、弱塩基、キレート剤、及び任意で尿酸もしくは尿酸塩の組合せ、或いは単にカオトロピック塩の単独又は界面活性剤との組合せの添加が挙げられる。組成物の「弱塩基」は、pHが約6〜10であり、好ましくはpHが約8〜9.5であるルイス塩基であってもよい。弱塩基の1つの機能は、例えば、組成物のpHを約6〜10、好ましくは約pH8.0〜9.5、例えばpH8.6に維持する緩衝液として作用する。したがって、本発明の組成物に適した弱塩基は、組成物の他の成分と併せて、約6〜10の組成物のpH、好ましくは約pH8.0〜9.5を提供することができる。本発明による好適な弱塩基としては、有機及び無機塩基が挙げられる。好適な無機弱塩基としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、又は炭酸カリウム)が挙げられる。好適な有機弱塩基としては、例えば、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)、エタノールアミン、トリエタノールアミン及びグリシン、並びに有機酸のアルカリ塩(例えば、クエン酸3ナトリウム)が挙げられる。好適な有機弱塩基は、弱い1価の有機塩基、例えばトリスである。トリスは遊離塩基であってもよいし、或いは塩、例えば炭酸塩であってもよい。
【0028】
好適なキレート剤は、強力なキレート剤である。「強力な」キレート剤とは、薬剤が、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)と同等又はより良好な親和性をもって、多価金属イオンに結合することを意味する。本発明による好適なキレート剤はEDTAである。
【0029】
アニオン性界面活性剤は、本発明において有用な界面活性剤の例である。好適なアニオン性界面活性剤は、強力なアニオン性界面活性剤である。本明細書では、「強力な」アニオン性界面活性剤は、1以上のアニオン基を含有する炭化水素部位、脂肪族、又は芳香族を含む。本発明に適した特に好適なアニオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ナトリウムラウリルサルコシネート(SLS)が挙げられる。好適な実施形態では、アニオン性界面活性剤は、外膜又はカプシドにタンパク質又は脂質を有する大部分の微生物、例えば真菌、細菌又はウイルスの不活性化を引き起こす。これは、人間に対して病原となる可能性があり、生体試料中に存在する微生物を含んでいる。
【0030】
また好ましくは、トレイ22から取り外された場合に、ユーザが装置を参照することなく材料が堆積された場所を知るように、蓄積媒体は、蓄積媒体の移送領域の周囲に配置された視覚描写(図6aの32)を有する。
【0031】
本装置10は、核酸、タンパク質、及びこれらの各断片などの分解可能な生物由来の検体などの試料を収集するために使用することができる。生体試料は、唾液、血液、血清、リンパ液、口腔細胞、粘膜細胞、脳脊髄液、精液、膣液、便、血漿、尿、細胞懸濁液、或いは細胞及びウイルスの懸濁液からなる群から選択することができる。
【0032】
好ましくは、本装置は、弾性タブの形態である保持手段によって、トレイ22が蓄積媒体30を取り外し可能に保持するように寸法が決められ、構成される。したがって、その後の処理又は蓄積のために、媒体30を装置10の残りの部分から分離することができる。タブの張力は、手動又は自動による取り出しを許容するが、媒体30の偶発的な損失を許容しない。
【0033】
頬面細胞の収集で使用される場合には、パッド28は、ヒトの口腔内に適合するように寸法が決められ、構成されるべきである。記録の保持及び追跡可能性のために、本装置は、媒体30だけでなく本体12にも識別ラベル(従来のバーコードなど)を備えるべきである。この目的のために、RFIDタグを使用することができる。
【0034】
装置の完全性を保証するために、本発明の装置は、他の装置要素を囲む滅菌外被を備えることもできる。好ましくは、それらの他の要素は、滅菌され、いかなる生体試料検体も含まない(例えば、医療グレードのプラスチックにより作られる)が、これは外被を封止した後に放射線照射などの通常の技術によって行うことができる。
【0035】
洗浄試薬又は緩衝液など、並びに蓄積システム又は容器などを含む関連する機器又は試薬の任意の組合せと共に、上記装置を組み込んだキットを作ることができる。この点に関して、本発明は、本明細書で定義された装置、並びにその後の試料分析のための洗浄試薬からなる群から選択される1以上の構成要素、緩衝液、蓄積システム及び容器を含むキットをさらに提供する。
【0036】
装置の使用例:
本装置は、以下の目的の生体試料収集に使用することができる。
【0037】
すなわち、犯罪データベースのための頬面細胞試料の収集、犯罪現場試料(すなわち、再水和血液、精液、唾液及び同液体試料)の収集、性的暴行試料の収集、集団遺伝学又は薬理ゲノム科学研究のための頬面試料の収集、個人の遺伝子IDアーカイブのための頬面試料の収集、食物由来の細菌又は寄生生物試料の収集、食肉トレーサビリティのための屠殺場における肉からの血液の収集、或いは獣医学的診断のための動物からの生体試料の収集である。
【0038】
一実施形態のみを図示しているが、変更、変形、追加、及び省略が本明細書で定義される本発明の範囲及び趣旨内において可能であることが、当業者には明らかであろう。
【0039】
例えば、ランプ16について説明し図示しているが、任意のランプ状突起、すなわち、収集部材20の摺動方向とランプ又は突起の表面との間の鋭角を形成する突起を用いることができる。図3cの角xで示すように、この鋭角は約30度であることが好ましい。ランプは本体12上に示しているが、アーム24にランプを装着させ、本体上に反作用面を有する同様の効果をもつ構成であってもよい。反作用面を越えてアームを摺動させることで、スロット23がアームを解放するのと同じように、移送位置からアームを解放することができる。「摺動」及び類似の用語は、直線的又は実質的に直線的な移動を意味する。
【0040】
成型されたプラスチックは、本体12及び収集部材20に好適な材料であるが、他の材料、例えば金属、例えばダイカストアルミニウム合金を用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 収集装置
12 本体
14 開口部
16 ランプ
20 収集部材
21 移動止め
22 トレイ
23 貫通スロット、保持手段、タブ
24 アーム
26 ヒンジ
28 弾性パッド
30 試料蓄積媒体
32 視覚描写
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4
図5
図6