(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の特色及び利点は、例証的実施形態への参照によって本明細書において例証及び説明される。例証的実施形態のこの説明は、添付の図面と併せて読み取られることを意図するものであり、これらの図面は書面の説明全体の一部と見なされるべきである。本明細書に開示される実施形態の説明において、方向または配向に対する任意の言及は、単に説明の簡便性のために意図されるものであり、本発明の範囲を制限することをいかなる方法においても意図するものではない。「下部」、「上部」、「水平」、「鉛直」、「上方」、「下方」、「上」、「下」、「頂部」、及び「底部」等の相対的な用語、ならびにそれらの派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、考察中の図面において説明されるような、または示されるような名目上の配向を指すように解釈されるべきである。これらの相対的用語は、単に説明の簡便性のためのものであり、装置が、用語によって示される厳密な特定の配向で構築または運転されることを必要とするわけではない。「取り付け」、「添着」、「接続」、「連結」、「相互接続」、及び類似のもの等の用語は、明示的に別途記載されない限り、構造が直接的、または介在構造を通して間接的に、互いに固定または取り付けられる関係性、ならびに移動可能または固定式の、取り付けまたは関係性の両方を指す。したがって、本開示は明示的に、単独で、または特色の他の組み合わせで存在し得る特色の、ある可能な非制限的組み合わせを例証するそのような例証的実施形態に制限されるべきではない。
【0028】
図1〜15を参照すると、本開示に従う核反応炉格納システム100が示される。本システム100は概して、格納容器−エンクロージャアセンブリ200−300を集合的に画定する、格納容器200等の内側格納構造と、外側格納エンクロージャ構造(CES)300とを含む。格納容器200及び格納エンクロージャ構造(CES)300は、鉛直方向に細長く配向されており、鉛直軸VAを画定する。
【0029】
一実施形態において、本格納容器−エンクロージャアセンブリ200−300は、地表面よりも下方の地盤に少なくとも部分的には埋められるように構成される(
図6〜8も参照)。本格納容器−エンクロージャアセンブリ200−300は、底板302と、この板から立ち上がって上部基礎マット304を形成する、鉛直方向に延在する側壁303とから構成されるコンクリート基礎301によって支持されてもよい。側壁303は、示されるように格納容器200を円周方向に封入し得、格納容器の下部は側壁の内部に位置付けられ得る。一部の実施形態において、側壁303は、底板302(最初に流し込まれ、据え付けられ得る)上への格納容器200の配置後に流し込まれ、それにより基礎内に格納容器200の下部を完全に包埋してもよい。一部の実施形態において、基礎壁303は、本格納容器−エンクロージャアセンブリ200−300のための、投射物の衝撃(例えば、墜落する飛行機等)からの追加的な保護を提供するために、示されるように地表面より下で終結してもよい。基礎301は、限定されるものではないが、多角形(例えば、矩形、六角形、円形等)を含む、上部平面図における任意の好適な構成を有し得る。
【0030】
一実施形態において、格納容器200の重量は格納容器が上に載る底板302によって主に支持され得、格納エンクロージャ構造(CES)300は、基礎301の側壁303の頂上に形成される基礎マット304によって支持され得る。他の好適な容器及び格納エンクロージャ構造(CES)支持配列が使用されてもよい。
【0031】
図1〜15を引き続き参照すると、本格納構造容器200は、外径D1を画定する円形横断面を伴う中空の円筒シェル204と、頂部ヘッド206と、底部ヘッド208とを含む、細長い容器であり得る。一実施形態において、本格納容器200(すなわち、シェル及びヘッド)は、容易に溶接可能である好適に強固かつ延性の金属板及び棒材(例えば、低炭素鋼)から作製され得る。一実施形態において、低炭素鋼シェル204は、少なくとも1インチの厚さを有し得る。様々な合金を含む、対応する適当な厚さの他の好適な金属性材料が使用されてもよい。
【0032】
頂部ヘッド206は、頂部ヘッドの下端または底部に配置される第1の環状フランジ212と、シェルの上端または頂部に配置される第2の嵌合環状フランジ214とから構成されるフランジ継手210を介して、シェル204に取り付けられ得る。フランジ継手210は、ボルト継手であってもよく、このボルト継手は、隣接するフランジ212と214との間で作製される、円周方向に延在する環状漏れ止め溶接で、組み立て後に任意に更に漏れ止め溶接されてもよい。
【0033】
格納容器200の頂部ヘッド206は、構造強度(すなわち、内圧保持及び外部衝撃抵抗性)を付与するためのASME(米国機械学会)のドーム型フランジ皿型ヘッドであってもよいが、平坦頂部ヘッドを含む他の可能な構成が使用されてもよい。底部ヘッド208は、類似にドーム型皿型ヘッドであるか、あるいは他の可能な実施形態においては平坦であってもよい。格納容器の一構造において、底部ヘッド208は、シェルの直径に整合するヘッドの統合式直線フランジ(SF)部分を介して、シェル204の下部または下端に直接溶接されてもよい。一実施形態において、格納容器200の底部は、本明細書において更に説明されるように、基礎301の板302上の格納容器の安定化及びその水平支持の提供に役立つような、リブ付きの支持台208aまたは底部ヘッド208に取り付けられる類似の構造を含んでもよい。
【0034】
一部の実施形態において、格納容器シェル204の頂部216は、格納容器内部の機器、燃料等を動かすためのポール起重機(図示せず)を支持及び収容するためのハウジングを形成する、シェルの直径方向に拡大された区分であってもよい。この頂部216は、格納容器の周囲の正に内部への起重機の接近を提供し、格納容器200の周囲に非常に近い機器の配置を可能にし、格納容器構造を小型にすることになる。それ故に、一構成において、格納容器200の地表面上の部分は、キノコ型の構造に似る場合がある。
【0035】
可能な一実施形態において、格納容器200の拡大された頂部216は、隣接する格納容器シェル204の下部218の残部の外径D1よりも大きい外径D2を有し得る。非制限的な一実施例において、頂部216は、シェル204の下部218の直径D1よりもおよそ10フィート大きい直径D2を有し得る。シェル204の頂部216は、作業空間のためのゆとりを伴ってポール起重機を収容するために選択される好適な高さH2を有してもよく、この高さH2は、格納容器200の総高H1の50%未満であり得る。非制限的な一実施形態において、200フィートの格納容器の総高H1と比較して、格納容器200の頂部およそ10フィート(H2)は、拡大された直径の頂部216で形成され得る。格納容器200の頂部216は、格納容器の頂部ヘッド206へのフランジ接続におけるフランジ214での上端で終結し得る。
【0036】
一実施形態において、格納容器200の直径方向に拡大された頂部216は、(略)半径方向の間隙または二次環状部330を提供するために、格納エンクロージャ構造(CES)の内径D3よりも小さい直径D2を有する(例えば、
図4を参照)。これは、格納エンクロージャ構造(CES)への投射物の衝撃の到来の際に、格納エンクロージャ構造(CES)300と格納容器頂部216との間に空間のクッションまたは緩衝領域を提供する。更に、環状部330は、本明細書において更に説明されるように、格納エンクロージャ構造(CES)から蒸気及び/または空気を排出するために、一次環状部313(格納エンクロージャ構造(CES)300のシェルと格納容器200との間)と、格納エンクロージャ構造(CES)ドーム316と格納容器200の頂部ヘッド206との間のヘッド空間318との間に、流路を更に有意に作り出す。したがって、二次環状部330は、一次環状部313及びヘッド空間318と流体連通し、このヘッド空間318は一方で、ドーム316を貫通する通気孔317と流体連通する。一実施形態において、二次環状部330は、一次環状部313よりも小さい(略)半径方向の幅を有する。
【0037】
図1〜4を参照すると、格納エンクロージャ構造(CES)300は、一部の実施形態において2つの(略)半径方向に距離を空けて配置され、かつ相互接続される同心シェル310(内側)及び311(外側)によって形成され、それらの間の環状空間内に設置された無筋コンクリートまたは鉄筋コンクリート312を伴う側壁320を有する二重壁構造であり得る。同心シェル310、311は、例えば、限定されるものではないが、容易に溶接可能である延性の金属板(例えば、低炭素鋼)等の任意の好適に強固な材料で作製され得る。様々な合金を含む、他の好適な金属性材料が使用されてもよい。一実施形態において、限定されるものではないが、二重壁格納エンクロージャ構造(CES)300は、旅客機からの衝撃等の高エネルギー投射物の衝撃に耐える適切な能力を確保する、6フィート以上の厚さのコンクリート312を有してもよい。
【0038】
格納エンクロージャ構造(CES)300は、格納容器シェル204を取り囲み、シェル204から(略)半径方向に離間され、それにより一次環状部313を作り出す。環状部313は一実施形態において水で充填されて、格納容器内部での熱エネルギー放出事態の場合において格納容器200から熱を受け取り放散するためのヒートシンクを作り出す。この水充填環状リザーバは好ましくは、一実施形態において、コンクリート基礎301の上に置かれる格納容器シェル204の上部の周囲で完全に360度円周方向に延在する。
図4は、外部(略)半径方向フィン221を明確さのためにこの図においては伴わない、水充填環状部313の断面を示す。一実施形態において、環状部313は、底端314の基礎マット304から、ほぼ格納エンクロージャ構造(CES)300の同心シェル310、311の頂端315まで水で充填されて、格納容器シェル204と格納エンクロージャ構造(CES)の内シェル310との間に環状冷却水リザーバを形成する。この環状リザーバは、一部の実施形態において、アルミニウム、ステンレス鋼、または腐食保護のための好適な保存剤等の、好適な耐食材料でコーティングされるか、または覆われる。代表的な一実施例において、限定されるものではないが、環状部313は幅約10フィート、かつ高さ約100フィートであってもよい。
【0039】
一実施形態において、格納エンクロージャ構造(CES)300は、好適な厚さであり、墜落する飛行機及び他の入射する投射物に対して強化するように補強されている鋼製ドーム316を含む。ドーム316は、頑強なフランジ継手318によって、シェル310、311に取り外し可能に締結され得る。一実施形態において、格納エンクロージャ構造(CES)300は、全ての露出する地表面上の部分を、格納エンクロージャ構造(CES)300によって完全に包囲されており、この格納エンクロージャ構造(CES)300は、飛行機の災害または同等の投射物に対する格納容器のための保護を提供して、格納容器を包囲する環状部313内の水塊の構造的統合性を保存するために好ましくは充分に高い。一実施形態において、示されるように、格納エンクロージャ構造(CES)300は、基礎マット304の頂部までの距離の実質的な部分にわたって、地表面よりも鉛直方向下方に延在する。
【0040】
格納エンクロージャ構造(CES)300は更に、水蒸気の大気への流出、漏出、排出を可能にするために、ドーム316の真下のヘッド空間318及び水充填環状部313と流体連通する、少なくとも1つの雨除け通気孔317を含んでもよい。一実施形態において、通気孔317は、ドーム316の中央に配置されてもよい。他の実施形態において、複数の通気孔が、ドーム316の周囲に(略)半径方向に距離を空けて提供されてもよい。一部の実施形態において、通気孔317は、格納エンクロージャ構造(CES)から蒸気を漏出させるが、水の進入を最小化する任意の好適な構成の雨除けによって覆われる、短い配管部分で形成されてもよい。
【0041】
一部の可能な実施形態において、ドーム316と格納容器200の頂部ヘッド206との間のヘッド空間318は、墜落する(落下する)投射物(例えば、旅客機等)から格納エンクロージャ構造(CES)ドーム316にかかる衝撃荷重を最小化するためのエネルギー吸収材料または構造で充填されてもよい。一実施例において、複数の敷き詰められた波状または波型の変形可能なアルミニウム板が、ヘッド空間の一部または全てにおいて配置されて、クランプルゾーンを形成し、これがドーム316への衝撃力を吸収及び放散するのに役立つことになる。
【0042】
主に
図1〜5及び8〜17を参照すると、基礎マット304より下方のコンクリート基礎301内の格納容器200の埋められた部分は、外部の特色を伴わない簡素なシェル204を有してもよい。しかしながら、基礎マット304より上方の格納容器シェル204の部分は、本格納容器−エンクロージャアセンブリ200−300の鉛直軸VAに対して(略)平行な軸方向に延在する、複数の縦方向の外部(略)半径方向リブまたはフィン220を含み得る。外部縦方向フィン220は、格納容器シェル204の周囲に円周方向に距離を空けて配置され、格納容器から(略)半径方向外向きに延在する。
【0043】
リブ220は、限定されるものではないが、(1)格納容器シェル204を硬化すること、(2)震動事象の発生の際に環状部313内の水リザーブの過剰な「液面揺動」を防止すること、ならびに(3)格納容器内での流体蒸気放出事象の状況下で、伝熱「フィン」として有意に振る舞って、シェル204を通じた環状部313の環境への伝導によって吸収された熱を放散することを含む、多数の有利な機能を提供する。
【0044】
したがって、伝熱有効性を最大化するための一実施形態において、本明細書において更に説明されるように、縦方向フィン220は、格納容器200の有効伝熱表面(すなわち、コンクリート基礎中に埋められていない部分)を覆う水充填環状部313の略全高にわたって鉛直方向に延在して、格納容器200から水リザーバに熱を伝える。一実施形態において、外部縦方向フィン220は、格納容器200の大径頂部216の下側もしくは底部において、またはその近くで終結する上部水平端220aと、コンクリート基礎301の基礎マット304において、またはその近くで終結する下部水平端220bとを有する。一実施形態において、外部縦方向フィン220は、格納容器のシェルの総高の2分の1以上である高さH3を有してもよい。
【0045】
一実施形態において、縦方向フィン220の上部水平端220aは、格納容器200または他の構造に永続的に取り付けられて(例えば、溶接されて)いない遊離端である。縦方向フィン220の下部水平端220bの少なくとも一部は、格納容器シェル204の外面に溶接される水平円周方向リブ222に当接して接触し、その上に載って、縦方向フィン220の重量を支持し、縦方向リブとシェルとの溶接への応力を最小化するのに役立ち得る。円周方向リブ222の形状は環状であり、格納容器シェル204の外周の周囲全体で完全に360度延在し得る。一実施形態において、円周方向リブ222は、縦方向フィン220の荷重を基礎に伝える、コンクリート基礎301の基礎マット304上に載るように配置される。縦方向フィン220は、円周方向リブ222の外周縁を越えて外向きに突出する横方向の範囲または幅を有し得る。したがって、この実施形態において、各リブ220の下部水平端220bの内側部分のみが、円周方向リブ222に接触する。他の可能な実施形態において、円周方向リブ222は、各縦方向リブ220の下部水平端220bの略全体が円周方向リブ222上に載るように、(略)半径方向外向きに十分に遠くまで延在し得る。一部の実施形態において、下部水平端220bは、縦方向フィン220を更に強化及び硬化するために円周方向リブ222に溶接されてもよい。
【0046】
外部縦方向フィン220は、鋼(例えば、低炭素鋼)、または合金を含む他の好適な金属性材料で作製されてもよく、フィンはそれぞれ、縦方向に延在する側面のうちの1つで格納容器シェル204の外側に溶接される。各リブ220の反対側の縦方向に延在する側面は、格納エンクロージャ構造(CES)300の内シェル310の内側に近接して位置するが、放熱フィンとして振る舞うリブの伝熱表面を最大化するために、好ましくは内シェル310の内側に永続的に添着はされない。一実施形態において、外部縦方向フィン220は、示されるように、格納容器200の大径頂部216を越えて(略)半径方向外向きに延在する。代表的な一実施例において、限定されるものではないが、鋼リブ220は約1インチの厚さを有し得る。他の好適なリブの厚さが、適切に使用され得る。したがって、一部の実施形態において、リブ220は、リブの厚さの10倍を超える半径方向幅を有する。
【0047】
一実施形態において、縦方向フィン220は、
図2〜3及び5において最良に示されるように、格納容器シェル204に対して斜角A1で配向される。この配向は、格納容器200の円周周囲で360度延在するクランプルゾーンを形成して、外側格納エンクロージャ構造(CES)300と協働して機能することで投射物の衝撃に良好に抵抗する。したがって、格納エンクロージャ構造(CES)シェル210、211の内向きの変形を引き起こす衝撃は縦方向フィン220を屈曲させ、縦方向フィン220はその過程で、格納容器シェル204に対して90度に配向されるリブでは起こる可能性があった内部格納容器シェル204の破断、及び内部格納容器シェル204への直接的な伝達を好ましくは伴わずに、衝撃力を分散させる。他の可能な実施形態において、格納エンクロージャ構造(CES)300の構造及び他の因子に応じて、格納容器シェル204に対するリブ220の垂直な配列が、適切であり得る。
【0048】
一実施形態において、
図6〜8を参照すると、外部(略)半径方向のフィン220を有し、それにより投射物の衝撃から保護される格納容器シェル204の一部は、格納エンクロージャ構造(CES)300の地表面、または僅かに地表面より下方での投射物の打撃に対する保護を提供するために、地表面より下方に延在してもよい。したがって、フィン220がその下端で終結する、基礎301の鉛直方向に延在する側壁303の頂部に形成される基礎マット304は、核反応炉格納システムの衝撃抵抗性を向上させるために、地表面の数フィート下方に位置付けられてもよい。
【0049】
一実施形態において、格納容器200は任意に、シェル204の内面に取り付けられる、複数の円周方向に離間された内部(略)半径方向フィン221を含んでもよい(
図2及び3において破線で示される)。内部フィン221は、格納容器シェル204から(略)半径方向内向きに延在し、好適な高さの鉛直方向で縦方向に延在する。一実施形態において、内部(略)半径方向フィン221は、水充填環状部313の高さと略同延の高さを有してもよく、基礎マット304からほぼシェル204の頂部まで延在してもよい。一実施形態において、限定されるものではないが、内部フィン221は、格納容器シェル204に対して略直交して(すなわち、90度に)配向されてもよい。他の好適な角度及び斜めの配向が使用されてもよい。内部フィンは、利用可能な伝熱表面積の増加と、外部衝撃(例えば投射物)、または格納施設昇圧事象(例えば、LOCAもしくは反応炉緊急停止)の場合における格納容器200内での内部圧力増加に対する、格納容器シェルの構造的補強との両方を行うように機能する。一実施形態において、限定されるものではないが、内部フィン221は鋼で作製されてもよい。
【0050】
図1〜15を参照すると、複数の鉛直構造支柱331は、シェル204を越えて(略)半径方向外向きに片側のみ固定して突出する周辺側面を有する、格納容器200の直径方向により大きい頂部216を支持するのに役立つように、格納容器シェル204の外面に取り付けられてもよい。支柱331は、格納容器シェル204の周囲で円周方向に距離を空けて配置される。一実施形態において、支柱331は、鋼の中空構造部材、例えば限定されるものではないが、断面がC字型の部材(すなわち構造用チャネル)で形成されてもよく、この中空構造部材は格納容器シェル204の外面に溶接される。チャネルの2つの平行な脚部は、連続溶接またはステッチ溶接等の断続溶接のいずれかを用いて、各支柱331の高さにわたって格納容器シェル204に鉛直方向に溶接されてもよい。
【0051】
支柱331は、ポール起重機を収容する格納容器の大径頂部216の底部/下側から鉛直方向下向きに延在し、支柱の上端でそこに溶接されてもよい。支柱331の底端は、格納施設の埋められた部分付近でコンクリート基礎301の基礎マット304に係合する円周方向リブ222上に載置されるか、または溶接される。柱331は、静荷重、または起重機及び格納容器300の頂部216からの重量の一部を基礎に伝えるのに役立つ。一実施形態において、支柱内部の中空空間は、硬化、及び静荷重または重量の更なる支持に役立つように、コンクリート(鉄筋ありまたは鉄筋なし)で充填されてもよい。他の可能な実施形態において、充填されたまたは充填されていない箱型梁、I型梁、管形、山形等を含む他の構造用鋼の形状が使用されてもよい。縦方向フィン220は、リブ220としての伝熱の役割よりもむしろ構造的役割を果たす支柱331よりも、(略)半径方向で外向きに更に延在してもよい。ある特定の実施形態において、リブ220は、支柱の(略)半径方向幅の少なくとも2倍である(略)半径方向幅を有する。
【0052】
図11〜
図15は、格納容器200の様々な断面(縦断面及び横断面の両方)を格納容器200内に示される機器と共に示す。一実施形態において、格納容器200は、Holtec InternationalのSMR−160等の小型モジュール式反応炉(SMR)システムの一部であってもよい。機器は概して、ウェットウェル504内に配置され、かつ核燃料炉心を内部に収容し一次冷却材を循環させる内側空間を画定する、核反応炉容器500と、反応炉に流体連結され、ランキン発電サイクルの一部を形成し得る二次冷却材を循環させる蒸気発生器502とを含み得る。そのようなシステムは、例えば2013年10月25日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US13/66777号において記載され、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の付属品及び機器が、完全な蒸気発生システムを作り出すために提供され得る。
【0054】
ここで主に
図2〜3、
図16、及び
図18を参照すると、格納容器200は更に、放熱器導管610(HDD)の離散的なセットまたはアレイを備える補助放熱システム340を含んでもよい。一実施形態において、補助放熱システム340及び関連付けられる放熱器導管610は、下において更に詳細に記載され、
図22及び23において示される受動的反応炉炉心冷却システムの一部を形成し得る。
【0055】
放熱器導管610は、格納容器シェル204の円周の周囲で円周方向に距離を空けて配置される複数の内部縦方向導管341(すなわち、流管路)を含む。導管341は、鉛直軸VAに対して平行に鉛直方向に延在し、一実施形態においてシェル204の内面に取り付けられる。導管341は、鋼等の金属で作製されてもよく、シェル204の内側に溶接される。可能な一構成において、限定されるものではないが、導管341は、チャネルまたはパイプ/管の平行な脚部がそれぞれ、その全高にわたってシェル204にシーム溶接されて、密封された鉛直方向の流管路を画定するように、鉛直方向に配向されたC字型の構造用チャネル(断面)、または配置されるパイプ/管の半断面で構成されてもよい。それ故に、この実施形態における放熱器導管内の流体(液相または蒸気相)は、反応炉格納容器200に直接接触して、容器を通り環状リザーバ(一次環状部313)内の水への伝熱を最大化し、これが反応炉格納容器200及び放熱器導管に関するヒートシンクを形成する。導管内で運ばれる流体が内側格納容器シェル204の少なくとも一部に接触して、水充填環状部313に熱を伝えるのであれば、他の好適な形状及び構成の放熱器導管341が、この形式の構造について提供されてもよい。
【0056】
可能ではあるが、好ましさが低い許容可能な他の実施形態において、放熱器導管341は、内側格納容器シェル204に溶接される、完全に管状の壁に囲まれた流管路(例えば、円周方向管またはパイプの半断面ではなく全断面)から形成され得る。これらの形式の構造において、導管内で運ばれる流体は、まず導管の壁を通じて反応炉格納容器シェル204に、次いで水充填環状部313に間接的に熱を伝えることになる。
【0057】
導管を通って流れる流体を冷却するために必要とされる伝熱表面積に応じて、任意の好適な数及び配列の導管341が提供されてもよい。導管341は格納容器シェル204の内側に均一に、または不均一に距離を空けて配置されてもよく、一部の実施形態においては、グループ化された導管の群が格納容器の周りに円周方向に分散されてもよい。導管341は、導管で運搬される流体の流量と伝熱の考慮事項とに応じて、任意の好適な断面寸法を有してもよい。
【0058】
導管341の開口上端及び開口下端341a、341bはそれぞれ、共通の上部入口リングヘッダ343及び下部出口リングヘッダ344に流体接続される。一次環状部313内に外部縦方向フィン220を有する格納容器の部分により画定される動的伝熱ゾーンにおいて、導管341内部を鉛直方向に流れる流体と格納容器のシェル204との間での熱の伝達を最大化するために、環状形状のリングヘッダ343、344が、鉛直方向に距離を置いて配置され、格納容器200の内側に好適な高さで位置付けられる。一次水充填環状部313を伝熱に利用するために、上部リングヘッダ及び下部リングヘッダ343、344はそれぞれ、環状部の頂部及び底部に隣接して、かつその付近で格納容器シェル204の内側に配置されてもよい。
【0059】
一実施形態において、リングヘッダ343、344はそれぞれ、示される様式で格納容器シェル204の内面に直接溶接される、示されるような弓状に湾曲した鋼パイプの半断面で形成されてもよい。他の実施形態において、リングヘッダ343、344は、シェル204の内側で支持され、かつこの内側に任意の好適な手段で取り付けられる弓状に湾曲した配管の全断面で形成されてもよい。
【0060】
一実施形態において、放熱システム340は、放射性物質の崩壊熱を反応炉炉心から排除するために、格納容器200内部の水塊から発生し得る蒸気の源に流体接続される。導管341で封入された格納施設表面は、外部縦方向フィン220及び水充填環状部313を介して冷却するために導管内部の蒸気の潜熱を格納容器200のシェル204に伝導する伝熱表面としての役割を果たす。運転時には、蒸気は入口リングヘッダ343に入り、ヘッダを貫通する導管341の開口入口端に分配される。蒸気は導管341に入り、格納容器シェル204の内側の高さにわたって導管341内を下向きに流れ、蒸気(蒸発気)から液体への相変化を経る。凝縮した蒸気は重力により導管内を流下し、下部リングヘッダ344により収集され、一実施形態においてこの蒸気は、好ましくは同じく重力により下部リングヘッダ344から蒸気の源に戻される。前述の工程においては、ポンプが関与しないか、または必要とされないことに留意されたい。
【0061】
ある特定の実施形態において、放熱器導管610の2つ以上のセットまたはアレイが提供され、容器によって画定される格納空間内の内側格納容器200の内部表面上に配列され得ることが理解されるであろう。
【0063】
本開示の別の態様によれば、一次環状部313内の水インベントリが、何らかの理由で、反応炉に関連する熱的事象(例えば、LOCAまたは反応炉緊急停止)中に枯渇した場合に、格納容器200の自然対流による空気冷却を開始するように、二次または予備受動的空気冷却システム400が提供される。
図8を参照すると、空気冷却システム400は、一次環状部313内において格納容器200の周りに円周方向に距離を空けて配置される複数の鉛直方向の吸気路401で構成されてもよい。各空気路401は、格納エンクロージャ構造(CES)300の側壁320を貫通し、かつ周囲冷却空気を引き込むために外部の大気に開口した入口402を含む。入口402は好ましくは、格納エンクロージャ構造の側壁320の上端付近に位置付けられる。空気路401は、環状部313の内部を鉛直方向下向きに延在し、管路の開口した底端から空気が漏出できるように、基礎の基礎マット304よりも少し上方(例えば、およそ1フィート)で終結する。
【0064】
空気路401を使用することにより、環状部313との協働で自然対流冷却空気流路が確立される。一次環状部313内の冷却水インベントリが熱的事象の際に蒸発によって枯渇した場合には、環状部内部の空気が格納容器200によって加熱され続けるため、自然対流によって空気冷却が自動的に開始する。加熱された空気は、一次環状部313内を上昇し、二次環状部330を通過してヘッド空間318に入り、通気孔317を通って格納エンクロージャ構造(CES)300のドーム316を出る(
図8の流れ方向矢印を参照)。上昇する加熱された空気は、空気路401を通して外部環境を下向きに引き込むのに充分な一次環状部313底部に向かう気圧の低下を作り出し、それにより、加熱された格納容器200を冷却し続ける自然な空気循環パターンを作り出す。有利なことに、この受動的空気冷却システム及び循環は、無期限にわたって続いて、格納容器200を冷却し得る。
【0065】
一次環状部313は、格納容器200の内部で発生する熱に対する最終ヒートシンクとして振る舞うことに留意されたい。この環状リザーバ内の水はまた、(先に説明した)全ての起重機鉛直支柱331の温度を本質的に同じ温度で維持するように振る舞い、したがって格納容器200のより大きな部分216に載置される起重機用レール(図示せず)の水平度を常に確保する。
【0066】
ここで、熱交換器としての反応炉格納システム100の運転について最初に
図19を参照しながら簡潔に説明する。この図は、本システムにより実施される動的な伝熱及び排除プロセスを説明する上での明確性のために、本明細書で説明した付属品及び構造の全てを伴わない反応炉格納システム100の簡略化された図表示である。
【0067】
冷却材喪失事故(LOCA)の場合、高エネルギー流体または液体冷却材(典型的には水であり得る)は、格納容器200により形成された格納環境内に流入する。液体は瞬時に減圧沸騰して蒸気となり、蒸気は格納施設内部の空気と混合し、(格納施設のシェルが環状部313内の水により更に低温になるので)格納容器200の側壁またはシェル204の内面へ移動する。次いで蒸気は、格納構造の金属に対して潜熱を失うことにより、鉛直方向のシェル壁上で凝縮し、この格納構造の金属は一方で、縦方向フィン220と環状部内部のシェル204の露出した部分とを通して、環状部313内の水に熱を排除する。環状部313内の水は加熱され、最終的には蒸発して蒸気を形成するが、この蒸気は環状部内を上昇し、格納エンクロージャ構造(CES)300から出て、二次環状部330、ヘッド空間318、及び最後には通気孔317を通って大気へと至る。
【0068】
環状部313内の水リザーバは格納容器環境の外部に位置するため、一部の実施形態においては、水の蒸発損失を補うために利用可能であれば、外部手段を用いて水インベントリを簡単に補充し得る。しかしながら、補充水が提供されないか、または利用可能でない場合、環状部313内の水柱の高さは低下し始める。環状部313内の水位が低下するにつれて、格納容器200は水位よりも上方の環状部内の空気も加熱し始め、それにより空気に一部の熱を排除し、この空気は上昇し、通気孔317を通じて格納エンクロージャ構造(CES)300から水蒸気と共に排出される。水位が充分に低下して、それにより空気路401の開口した底端が水位線よりも上方に露出するとき(例えば、
図8を参照)、新鮮な外部の周囲空気が上に記載されるように空気路401から引き込まれ、格納容器200を冷却し続ける自然対流空気循環パターンを開始することになる。
【0069】
一実施形態において、十分な放熱を保証するために必要なわけではないが、環状部313内への水補充のために、設備(例えば、入水口ライン)が格納エンクロージャ構造(CES)300を貫通して提供される。この環状リザーバ内の水インベントリの塊は、水インベントリが枯渇した時点で格納施設が空気冷却のみで全てのその熱を排除できるように、格納容器200内で生成される崩壊熱が充分に減少するような大きさとされる。本格納容器200は好ましくは、熱エネルギーを迅速に排除することによって、格納容器内部での蒸気混合物の圧力及び温度を(設計制限内に)制限するのに十分な排熱能力を有する。
【0070】
全電源喪失の場合、反応炉炉心は強制的に「緊急停止」され、受動的炉心冷却システムが、本明細書で既に説明した放熱システム340の上部入口リングヘッダ343(例えば、
図16及び
図18を参照)に蒸気が導かれる形態で炉心の崩壊熱を排除する。次いで、内部縦方向導管341網を通って下向きに流れる蒸気は、放熱導管内に封入された格納容器シェル204の内面に接触して、格納構造の金属に潜熱を排除することにより凝縮し、この格納構造の金属は一方で、縦方向フィン220により提供される伝熱補助を介して環状部内の水へ熱を排除する。環状リザーバ(一次環状部313)内の水は、加熱されて最終的には蒸発する。格納容器200は、顕熱加熱により、更に蒸発と空気冷却との組み合わせにより、更に最終的には本明細書に記載されるように自然対流空気冷却のみにより、環状部に熱を排除する。上述したように、反応炉格納システム100は、環状部313内の有効な水インベントリが完全に枯渇した時点で崩壊熱を排除するのに空気冷却のみで充分であるように設計及び構成される。
【0071】
これらの前述のシナリオの両方において、プラントを稼働状態に戻すための代替手段が利用可能になるまで、排熱は無期限に続けることができる。システムが無期限に運転するのみならず、この運転は、いかなるポンプの使用または作業員による介入を伴わない完全に受動的なものである。
【0073】
本発明の別の態様によれば、ポンプ及びモータへのいかなる依存及びそれらの欠点を伴わない、反応炉停止(例えば「緊急停止」)の際に反応炉の崩壊熱を排除するための受動的重力駆動核反応炉冷却システムが提供される。一実施形態において、受動的核反応炉停止冷却システム600は、
図21〜23に概略的に示される構成要素を含む、浸漬束状冷却システム602(SBCS)を備え得る。
【0074】
浸漬束状冷却システム602は、好ましくは、3つの主要部分またはサブシステム、すなわち(i)浸漬束状熱交換器620(SBHX)と、(ii)格納構造の内壁に一体的に接続される放熱器導管610(HDD)の離散的なセットまたはアレイ(上で詳細に説明した)と、(iii)本明細書で更に説明されるような、過熱器または反応炉圧力容器500を伴う蒸気発生器502と、から構成される、閉鎖ループ加圧流システムである。蒸気及び凝縮液流路は、下に説明されるように、これらの構成要素の間に確立される。浸漬束状冷却システム602は、蒸気発生器内の二次蒸気を活用して、電力の動作可能な源の不在下で無期限に継続し得る反応炉停止の際の閉鎖ループプロセス内で、燃料炉心によって発生する熱エネルギーを抽出するように構成される。
【0075】
蒸気発生器502については、2013年4月25日に出願された国際PCT出願第PCT/US13/38289号においてより完全に説明されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載され、本出願の
図11、12、及び24において示されるように、蒸気発生器502は、浸漬束状熱交換器620と同様に鉛直方向に配向され、軸方向に細長くてもよい。蒸気発生器502は、重力駆動受動的流手段によって反応炉の崩壊熱を一次冷却材から抽出するように構成される、鉛直に積み重ねて配列される管状熱交換器のセットから構成されてもよい。
【0076】
タービン発電所(T−G)設備によって生成される利用可能な給電による反応炉及び発電所の通常運転中の、反応炉容器及び蒸気発生器を通る一次冷却材(液体水)ならびに二次冷却材(液体給水及び蒸気)の循環流ループを、本明細書の
図24に示す。流体連結された蒸気発生器502と反応炉容器500との間の一次冷却材流は、本考察の目的に関する第1の閉鎖流ループを形成する。一実施形態において、一次冷却材流は、核燃料炉心501によって反応炉容器500内で加熱されるにつれて、冷却材の温度及び対応する密度の変化に応じて重力によって推進され、タービン発電機設備を駆動するランキンサイクルの二次冷却材ループに熱が伝えられるにつれて、蒸気発生器502内で冷却される。一次冷却材の変化する異なる密度(すなわち、熱い−低密度、及び冷たい−高密度)によって作り出される圧力ヘッドは、流れ方向矢印によって示されるように、反応炉容器−蒸気発生容器システムを通る流れまたは循環を誘発する。
【0077】
概して、第1の閉鎖流ループに関して、一次冷却材は核燃料炉心501によって加熱され、立上がり柱224中を上向きに流れる。反応炉容器500からの一次冷却材は次いで、反応炉容器500と蒸気発生器502との間の一次冷却材流体連結部273を通って流れ、蒸気発生器に入る。一次冷却材は、中央に配置される立上がりパイプ337内を、蒸気発生器の頂部の加圧器380まで上向きに流れる。一次冷却材は方向を逆転し、蒸気発生器502の管側を通って下に流れ、流体連結部273を通って反応炉容器500に戻り、ここで一次冷却材は環状下降管222に入って一次冷却材流ループを完成させる。
【0078】
蒸気発生器502は、3つの鉛直方向に積み重ねられた伝熱部分、下から上に向かって予熱器部分351、蒸気発生器部分352、及び過熱器部分350を含み得る(例えば、
図11、12、及び24を参照)。二次冷却材は、蒸気発生器502容器のシェル側を流れる。ランキンサイクルのタービン発電機(T−G)設備からの液体給水形態である二次冷却材は、予熱器部分351の底部において蒸気発生器に入り、蒸気発生器部分352を通って上向きに流れ、蒸気に変換される。蒸気は過熱器部分350内まで上向きに流れ、過熱状態に達する。そこから過熱された蒸気は抽出され、T−G設備に流れて電力を生産する。
【0079】
ここで
図21〜23を参照すると、浸漬束状熱交換器620は、縦軸LAを画定し、内部空洞626と、シェルの対向端624、627上の向かい合う頂部ヘッド及び底部ヘッド622、623とを画定する円筒シェル625を有する、圧力容器621を含む。ヘッド622、623は、平坦、球状、半球状等を含む、任意の好適な形式及び構成であり得る。内部空洞626は、完全に頂部ヘッド及び底部ヘッド622、623の間において延在する。圧力容器621は、形状が軸方向に細長く、示されるように一実施形態において重力流を促進するために鉛直配向を有する。好ましくは、熱交換器620は、格納構造200の内側容器202の内部で、反応炉容器500の上方、かつ蒸気発生器502に比較的近接して載置及び配置される。熱交換器620と蒸気発生器502との近接した連結は、蒸気及び凝縮液配管の連長を最小化し(
図11及び13も参照されたい)、水平空間を節約し、それにより反応炉容器500、蒸気発生器502、及び熱交換器を収容するために格納容器200について必要とされる直径を最小化する。内側格納容器200からの熱交換器620を載置及び支持するための任意の好適な構造用基礎650が、好ましくは容器内の構造用鋼、及び/またはコンクリート基盤もしくは床から、熱交換器の重量を適切に支持するように提供されてもよい。
【0080】
冷却水W(液体)のリザーブまたはインベントリ(すなわち、容積)は、本明細書において更に説明されるような反応炉停止事象の際に二次冷却材を冷却するためのヒートシンクとして作動する、熱交換器圧力容器621内に保持される。したがって、冷却水Wは、停止中の二次冷却材の初期温度よりも低い初期温度を有する三次冷却材のヒートシンクとして働く。
【0081】
浸漬束状熱交換器620は、
図21に示されるように、内部に配置される比較的小さい熱交換器管束630を収容する、相対的に大きい円筒形の圧力容器621であってもよい。一実施例において、限定されるものではないが、圧力容器621はおよそ10フィートの外径とおよそ20フィートの高さを有し得るが、一方でその中に収容される管束630は、横断形状が円形であり、およそ4フィートの直径と圧力容器の高さよりも低い高さとを有し得る。他の好適な寸法が提供され得る。したがって、この実施形態の管束630は、圧力容器621の空洞626全体を実質的に充填するわけではない。
【0082】
好ましくは、管束630は、頂端624及び頂部ヘッド622よりも底端627及び底部ヘッド623に近く位置付けられ得る(例えば、
図21を参照されたい)。この位置付けは、管束630が、圧力容器621内に貯蔵される液体水Wのインベントリ中に、その高さの大部分、または好ましくはその全てが実質的に浸漬するままであることを確保するのに役立つ。したがって、一部の実施形態において、管束630は、全ての側面及び部分において液体凝縮液によって完全に包囲され、その中に浸漬する。管束630は、束の真下に充分な水深を提供して容器のシェル側上における管束の真下の流れを許容するように、持ち上げられ、熱交換器圧力容器625の底部ヘッド623の上方に距離を空けて配置されてもよい。管束アセンブリ630をしっかりと支持するための、圧力容器625内部の構造用支持及び受けの任意の好適な配列が使用され得る。
【0083】
圧力容器621は、蒸気発生器502から予測される蒸気圧力及び運転圧力に耐えることができる任意の好適な金属で作製され得る。一部の実施形態において、圧力容器621は、限定されるものではないがステンレス鋼等の耐食材料で形成され得る。他の耐食金属性材料が使用されてもよい。
【0084】
管束630は、圧力容器621の空洞626内に配置される。非制限的な一構成において、管束630アセンブリは、頂部管板632を画定する入口流プレナム631と、底部管板634を画定し、頂部管板から距離を空けて配置される出口流プレナム633と、頂部及び底部管板の間で延在し、それらに流体連結する複数の管635とを含んでもよい。管板632、634はそれぞれ、複数の流れ開口部636、637をそれぞれ含み、これらは入口流プレナム及び出口流プレナム631、633、ならびに管635と流体連通する。流路の運転及び説明において、流れは入口流プレナム631に入り、開口部636を通って管635の一方の端部に入り、管635の反対側の端部から開口部637を通って出口プレナム633へ出て、出口プレナムを離れる。
【0085】
一実施形態において、管束630の管635は、示されるように、軸方向に細長く、鉛直方向に配向されてもよい。しかしながら、水平配向、及び水平と鉛直との間の角度のついた配向等の、他の配向が可能である。管635は、限定されるものではないが、直線式、螺旋状の渦巻き式(例えば
図21を参照)もしくは別の曲線式構成等の曲線式、または他の適切な形状を含む、任意の好適な形状を有し得る。好ましい一実施形態において、管は、利用可能な伝熱表面積を最大化する曲線式の形状を、同じ表面積を有する直線式の管ほどの高さを必要とすることなしに有し得る。任意の好適な直径の管、及び管の配列/パターンが使用されてもよい。例えば、管635の単一または複数の列が提供されてもよく、この数は熱交換器620についての伝熱要件に少なくとも部分的に依存する。一実施形態において、管束630は、横断面においてほぼ円形の形状を有し得る。
【0086】
管635は、所与の用途にとって好適な伝導性伝熱特性を有する、任意の好適な、好ましくは耐食金属から形成されてもよい。使用され得る管の材料の、いくつかの非制限的な例としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、耐食鋼合金、Inconel(登録商標)、Monel(登録商標)、またはその他が挙げられる。
【0087】
入口及び出口流プレナム631及び633はそれぞれ、圧力境界及び開口内側プレナムを形成する、任意の好適な形状の実質的に中空の外側体を備える。管板632、634は、任意の好適な厚さと、平面及び弓形を含む面内の形状(例えば、プレナムがパイプ部分のような形状の場合)、ならびに上部平面における形状(例えば、丸い断面の管束については円形)とを有し得る。管板及びプレナムは、任意の好適な耐食金属または金属合金で形成されてもよく、これらのいくつかの例については、管635にとって可能な材料に関して上述した。
【0088】
浸漬束状熱交換器620は、
図22及び23に示される好適な蒸気及び凝縮液配管603によって、蒸気発生器502、反応炉容器500、及び放熱器導管610と、様々な方法で流体相互接続及び流体連結され得る。配管603は、これらの図において示される流路を確立するように構成される。配管及び材料の任意の好適な形式が配管603について使用されてもよく、これは配管の連続が、凝縮液または蒸気の運搬、ならびに予測されるそれらの関連付けられる使用温度及び圧力のためのものであるかどうかに部分的に依存し得る。一部の実施形態において、例えば限定されるものではないが、配管は好ましくは、ステンレス鋼または鋼合金等の耐食金属で作製され得る。適切な配管及びバルブ等の関連する付属品を選択及び設計することは、十分に当業者の領域内である。とりわけ、
図22及び23において示される重力駆動である流路を確立するために、ポンプは全く関与していない。
【0089】
ここで、反応炉冷却システム600の運転について簡潔に説明する。全電源喪失等の想定される反応炉停止事象、またはターボ発電機からの発電が中止され、通常の非安全動的システムが利用不能である類似の事象の際、主蒸気及び主給水隔離バルブ(図示せず)がまず閉鎖されて、蒸気発生器502をランキンサイクルの更なる格納発電部分から隔離する。したがって、隔離バルブは、蒸気発生器502からタービン発電機(T−G)設備への蒸気流を遮断し、蒸気発生器へ戻る給水流は、更なる精緻化を伴わない当業者に公知の様式でT−G設備から戻される。余剰蒸気はまず、主隔離バルブを閉鎖する前に大気中に廃棄され得る。主隔離バルブの閉鎖が、反応炉炉心冷却システム600を活性化する。本冷却システム600を採用するための2つの潜在的な運転シナリオまたは方法が、下において更に詳細に開示及び説明され、これらは受動的に(すなわち電力を伴わずに)停止事象の際の反応炉を冷却し続けて、浸漬束状冷却システム602を用いて崩壊熱を除去する。
【0090】
図22に示される反応炉を冷却するための第1の運転シナリオまたは方法において、(今しがた停止した反応炉から発生する残留崩壊熱による)蒸気発生器容器の上半分のシェル側における蒸気発生器502内で生成された蒸気は、抽出され、浸漬束状熱交換器620へ送られ、ここで蒸気は浸漬束状熱交換器620の管635の内部で凝縮する(
図21も参照されたい)。凝縮する蒸気は、その潜熱を、管束630を包囲する浸漬束状熱交換器圧力容器621のシェル側に貯蔵される水W(三次冷却材)の容積またはインベントリに与える。
【0091】
一実施形態において、管束630は熱交換器620内部の水Wのインベントリに完全に浸漬し、それによりこの水が、蒸気を凝縮するための冷媒を管635の外部において提供する。一実施形態において、管束630は好ましくは、全ての側面において水Wで管束を均等に包囲して、束内の全ての管635の均一な冷却を促進するために、浸漬束状熱交換器620の軸方向中心線と一致する縦軸LAの付近に配置され得る。しかしながら、管束の他の載置位置も可能である。蒸気の流入及び収集された凝縮液の流出は、バルブ、配管、または運転に関して電気もしくは別の動力源に依存しない他の流れ制御装置(例えば、開口部等)の適切な設計によって、受動的に制御及び維持され得る。
【0092】
熱交換器管束630の管側において、蒸気発生器502から抽出される蒸気は、任意の便宜的な場所において熱交換器圧力容器621に入り得る。一実施形態において、蒸気入口配管603は、横方向に圧力容器シェル625を貫通してもよく、配管は、熱交換器圧力容器621の内部で、配管が流体連結される管束630の入口プレナム631まで延在してもよい。限定されるものではないが、頂部ヘッド622を通る蒸気入口等の、他の場所が使用されてもよい。
【0093】
管束630の下部プレナム633において収集された凝縮液は次いで、自然重力流のみによって、配管603を介して蒸気発生器502のシェル側に戻される。凝縮液出口配管503は、熱交換器圧力容器621の底部627に向かう、またはその大体の付近に配置されてもよく、浸漬束状熱交換器620に供給される、蒸気発生器からの蒸気の抽出点(例えば過熱器部分350)よりも低い注入点(例えば予熱器351部分)において蒸気発生器502内に再導入される。第2の閉鎖流ループは、蒸気発生器502と、浸漬束状熱交換器620の管側(すなわち、管束630)との間に確立される。適切な配管が、下部プレナム633と容器のシェル625との間で圧力容器621の内部に通されてもよく、これは次いで蒸気発生器503に接続される凝縮液出口配管503に連結される。
【0094】
図22に示される第1の運転シナリオまたは方法を引き続き参照すると、浸漬束状熱交換器圧力容器621のシェル側の管635の外部の水Wのインベントリ(管束630の管側の凝縮液から流体隔離及び分離される)は、管束内部の蒸気を凝縮することにより加熱され、管束はその熱を水に伝える。水Wは、反応炉停止事象の際、二次冷却材を冷却するためのヒートシンクとして振る舞う。したがって、水Wは、停止中の二次冷却材の初期温度よりも低い初期温度を有する三次冷却材として働く。水Wは、反応炉停止プロセスの際、漸進的に加熱される。ある期間の後、水Wは、水インベントリの一部が蒸気に変換される沸点温度に達する。蒸気は、頂部ヘッド622の真下の圧力容器621内の水位線Lより上方に形成される蒸気空間に蓄積される。
【0095】
管束630内部で二次冷却材蒸気を凝縮するための冷却流体を提供する、水W(三次冷却材)のインベントリを冷却するために、シェル側に蓄積された蒸気は抽出され、好適な配管603を介して、上に詳細に説明された補助放熱システム340の放熱器導管610へ通される。蒸気は放熱器導管610を通って流れ、既に説明された様式で凝縮される。特に、環状リザーバ(一次環状部313)内の水は、三次冷却材蒸気の温度よりも低い温度を有し、リザーバに熱を伝える三次冷却材蒸気を凝縮させるためにヒートシンクを形成する。次いで、凝縮液は、好適な配管603を介して浸漬束状熱交換器620に戻され、圧力容器621のシェル側に入り、ここで凝縮液は水Wのインベントリ内に再導入される。この冷却システムは、実質的に水位を維持して、管束630を水位線Lより下の水W中に浸漬させ続けるのに役立つ。このシステムは更に、放熱器導管610を用いて蒸気及び凝縮液の第3の閉鎖流ループを形成して、蒸気を凝縮し、この第3の閉鎖流ループは、浸漬束状熱交換器620の管側及び蒸気発生器502において形成される第2の閉鎖流ループとは別個であり、それから隔離される。要するに、本明細書に記載される第1及び第2の閉鎖流ループは、それぞれ、一次冷却材及び二次冷却材を冷却するように機能する。第3の閉鎖流ループは、浸漬束状熱交換器620の冷却流体を冷却し(すなわち、水Wのインベントリにより形成される水のヒートシンク)、これは管束630に関する二次冷却材の冷却に間接的に寄与する。
【0096】
図23に示される反応炉を冷却するための代替的な第2の運転シナリオまたは方法において、反応炉容器500内の一次冷却材は、反応炉崩壊熱により蒸気発生器502内で生成され続ける蒸気を用いるよりもむしろ、浸漬束状熱交換器620によって直接冷却される。このプロセス配列において、蒸気及び給水隔離バルブが閉鎖された時点で、反応炉圧力容器の立上がり柱224(「ホットレグ」)からの熱い一次冷却材は、配管603を介して、浸漬束状熱交換器620の管束630の管側に直接通される(
図23及び24を参照されたい)。一次冷却材は、管635内部を下向きに流れながら、
図22に示され上に説明された様式に非常に類似する様式で、浸漬束状熱交換器620内のシェル側水Wにその熱を排除することによって冷却されることになる。差異は、一次冷却材がこの冷却プロセス全体の間、及び反応炉容器500を通って循環するときも、常時実質的に液体状態のままである点である。この冷却は、浸漬束状熱交換器620への入口における高温の一次冷却材と、熱交換器の出口における低温の一次冷却材との間の密度の差異によって作り出される浮力ヘッドによる自然循環を作り出す。より低温の一次冷却材は、好適な配管603を介して通され、反応炉容器500の環状下降管222領域(「コールドレグ」)に再導入される。浸漬束状熱交換器620の反応炉容器500に対してより高い高さと、一次冷却材を熱交換器に通す配管603の大きさとは、炉心からの熱を熱交換器内のシェル側水Wに排除するための適切な自然循環流の存在を確保するように設計され得る。
【0097】
上に記載された反応炉を冷却するための第1及び第2の方法の両方において、浸漬束状熱交換器620の空洞626内の水Wの量は、好ましくは、崩壊熱の発生がその最大の段階にある、想定される反応炉停止事象の初期相において、シェル側水の顕熱加熱を通じて、(一次冷却材を介して)反応炉炉心からの崩壊熱を除去するのに充分な量である。これは、貯蔵容積及び浸漬束状熱交換器圧力容器621の大きさを適切にサイズ決定することによって部分的には達成され得る。
【0098】
反応炉冷却システム600、及び格納構造の空気冷却システム400の運転上の相互作用について簡潔に説明する。上に説明された通り、熱交換器620の管側630の内部の蒸気を凝縮する際に使用されない熱の残りは、水Wのインベントリを加熱することによる熱交換器のシェル側における蒸気の生成に繋がる。このシェル側蒸気は、放熱器導管610に通され、ここで蒸気はその潜熱を格納構造(例えば、内側格納容器200)に排除することにより凝縮する。格納容器200は、格納構造と、本明細書に記載される受動的反応炉格納保護システムの格納エンクロージャ構造300との間の環状部313内の水に(そして最終的には最終ヒートシンクまたは大気に)熱を排除する。放熱器導管610からの凝縮した蒸気は次いで、収集多岐管(
図16及び18に示される下部出口リングヘッダ344)に流し戻され、この収集多岐管は一方で、凝縮液を浸漬束状熱交換器520に重力のみによって送り返す。内側格納容器200と外側格納エンクロージャ構造300との間の環状部313内の冷却水インベントリが蒸発すると、露出した内側格納容器200は、環状部を現在占有している空気に自然対流によって熱を排除する。空気の新鮮な供給は、一次環状部313内に、格納容器200周囲で円周方向に距離を空けて配置される吸気路401によって(吸引作用で)提供される(例えば、
図16及び前述の説明を参照されたい)。いったん環状部313内の全ての水が蒸発すると、格納容器200は、空気冷却のみによって熱を排除し続けることになる。長期間の水冷却(反応炉崩壊熱の相当な部分を除去する)の後の空気冷却は、全ての崩壊熱を除去するのに充分である。浸漬束状冷却システム602は閉鎖ループ自然流システムであるため、冷却プロセスは無期限に継続することができる。
【0099】
前述の2つの方法の変形及び組み合わせが、無動力反応炉停止事象の際に反応炉を受動的に冷却するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0100】
前述の説明及び図面はいくつかの例示的システムを表しているが、添付の特許請求の範囲の等価物の趣旨、ならびに範囲及び種類から逸脱することなく、本発明に様々な追加、修正、及び置換を行ってもよいことが理解されるであろう。特に、本発明の趣旨または本質的な特徴から逸脱することなく、他の形態、構造、配列、比率、大きさで、他の要素、材料、及び構成要素を用いて本発明を具体化し得ることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書に記載される方法/プロセスにおける多数の変形を作成してもよい。当業者であれば更に、本発明の原理から逸脱することなく特定の環境及び運転要件に特に適合する、本発明の実施に際して使用される構造、配列、比率、大きさ、材料、及び構成要素、ならびにその他の多くの修正を伴って本発明が使用され得ることを認識するであろう。それ故に、現在開示されている実施形態は、あらゆる点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物により定義され、前述の記載または実施形態に制限されるものではない。むしろ、添付の特許請求の範囲は、本発明の他の変形形態及び実施形態を含むように広義に解釈されるべきであり、これらの形態は本発明の等価物の範囲及び種類から逸脱することなく当業者によって作成され得る。