(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の角度が0[度]を超えた前記第1の面及び前記第2の角度が0[度]を超えた前記第2の面の少なくとも一方が、前記見返しリングの全周に形成されている請求項1から4のうちいずれか1項に記載のソーラーセル付電子時計。
前記第1の面が、前記外側面における前記文字板側の端部から、前記外側面における前記文字板側とは反対側の端部まで形成されている請求項6又は7に記載のソーラーセル付電子時計。
前記第1の面が、前記文字板から前記高さ方向に離れるにしたがって前記文字板の前記中心部に近付くように一定の角度で傾斜している請求項6から8のうちいずれか1項に記載のソーラーセル付電子時計。
前記第1の面が、前記外側面における前記文字板側の端部から、前記外側面における所定の高さの位置までは形成されず、前記外側面における前記所定の高さの位置から前記文字板側とは反対側の端部までの間の少なくとも一部に形成されている請求項6から9のうちいずれか1項に記載のソーラーセル付電子時計。
前記第2の面が、前記中心部から離れるにしたがって前記高さ方向の下方に向かうように一定の角度で傾斜している請求項11から13のうちいずれか1項に記載のソーラーセル付電子時計。
前記第2の面が、前記底部における外周側の端部から所定の長さの位置までは形成されず、前記底部における前記所定の長さの位置から前記底部における内周側の端部までの間の少なくとも一部に形成されている請求項11から14のうちいずれか1項に記載のソーラーセル付電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る時計の表側(文字板側)を示す平面図、
図2は、
図1のV−V線断面図である。
【0029】
[実施形態1]
図1、
図2に示すように、本実施形態のソーラーセル付電子時計1は、時計ケース2の表側に風防ガラス4が取り付けられ、時計ケース2の裏側に裏蓋3が取り付けられている。時計ケース2の内部には、ムーブメント8が内蔵されている。時計ケース2の側面には、外部操作部材である竜頭10に固着された巻真が通る貫通穴が開口している。(巻真及び貫通穴は図示せず。)竜頭10を引き出すことにより、巻真がムーブメント8の内部の輪列(図示せず)に連結され、竜頭10の回転によって、ソーラーセル付電子時計1に必要な操作が可能に構成されている。
【0030】
竜頭10は、回転させることによりムーブメント8に設けられた電気的接点をオン・オフし、これにより竜頭10の回転操作を検出して、電気的にソーラーセル付電子時計1に必要な操作が可能に構成してもよい。
【0031】
風防ガラス4の内側には、文字板5が配置され、風防ガラス4と文字板5との間には、ムーブメント8によって駆動される指針6(時針6a、分針6b、秒針6c)が同軸上に配置されている。文字板5の外周近傍に、文字板5の中心部を囲むように見返しリング7が配置されている。見返しリング7の外側面7cの外側には、ソーラーセル11が配置されている。見返しリング7の底部の一部である下面7b(第2の面の一例)に対向する部分を有する平板状の異色部材12が文字板5の背面側に配置されている。
【0032】
異色部材12の背面には、ドーナツ状の中枠9が配置され、ムーブメント8が中枠9にはめ込まれる。ムーブメント8は、回路基板を内蔵し、この回路基板に電気的に接続された接続バネを有している。(回路基板及び接続バネは図示せず。)
異色部材12は、ソーラーセル11の受光面の色とは異なる色の部材であって、見返しリング7の装飾効果を高めるフィルムや塗料によって構成される。例えば、金属光沢調のフィルムや、ソーラーセル11の受光面の色とは異なるさまざまな色調のフィルムで構成しても良い。
【0033】
また、異色部材12を塗料で構成する場合は、見返しリング7の下面7bに直接塗料を塗装しても良いし、例えば、見返しリング7の下面7bに対向して配置された中枠9や、中枠9とは別の部材に塗料を塗装しても良い。いずれの場合も、見返しリング7の内側面7dや外側面7cを着色する場合よりも、さまざまな色調の顔料を含む塗料を用いることができ、色の選択に対する制約が少ない。
【0034】
つまり、見返しリング7の内側面7dや外側面7cを塗料で着色する場合には、ソーラーセル11で発電することができる程度の光透過率を有する塗料を用いる必要があるという制約がある。一方、異色部材12は、後述するように、その表面で反射する光を利用して見返しリング7に着色効果を付与するので、使用する塗料として光透過性という制約がない。
光透過性という制約がなければ、異色部材12として、遮光性の塗料なども用いることができる。このことは、異色部材12が塗料の場合に限らず、異色部材12として有色の部材を用いる場合も同様である。
【0035】
異色部材12は、その表面が、光を反射する反射面となっている。異色部材12を形成する塗料やフィルムが光を反射するものを用いて反射面を構成するか、または、塗料を塗装した部材の表面や異色部材を構成するフィルムの表面に、三角錐、半球、円柱などの光を反射する凹凸の微細パターンを形成することで反射面を構成しても良い。
【0036】
図3は、ソーラーセル11を示す斜視図である。ソーラーセル11は、ポリエチレンテレフタラートなどの樹脂からなるフィルム状のベース基板11aと、その上にアモルファスシリコン等の半導体材料を含むように形成された光発電層11bとを有する。ベース基板11aは、細長い帯状であり、可撓性を有する。ソーラーセル11は、長手方向の一端の下部に光発電層11bで発生する電力を取り出す端子としての電極11cを有する。
【0037】
ソーラーセル11の電極11cは、前述の接続バネと電気的に接続されることにより、ソーラーセル11からの発電電力がムーブメント8に供給される。ソーラーセル11は、光発電層11bが時計の中心を向くように中枠9に組み込まれる。なお、ソーラーセル11は可撓性を有しているので、
図3のようにリング状にした場合には元の直線状態に戻ろうとする張力が作用し、中枠9の内側に張り付く。
【0038】
図3のように、ソーラーセル11は、中枠9における内側の全周に張り付けて配置できる長さであるが、全周でなく、一部分に張り付けて配置しても良い。また、ソーラーセル11は、文字板5の表面に略垂直に配置されているが、文字板5に対して、傾いて配置されていても良い。
【0039】
図4は見返しリング7の部分断面図である。見返しリング7は、透明樹脂により成型されている。したがって、見返しリング7は光透過性を有する。見返しリング7の上面7aは文字板5の表面と平行である。見返しリング7の底部である下面7bは上面7aと平行である。見返しリング7の外側面7cの全体(第1の面の一例)は、全周が、下面7bの外側の端を基準に傾斜角度(第1の角度)θ(>0[度])で内側に傾斜している。
【0040】
この外側面7cは、文字板5から見返しリング7の高さ方向に離れるにつれて、文字板5の中心部側に近づく方向に一定の傾斜角度θで傾斜させて形成した傾斜面である。傾斜面は、外側面7cにおける文字板5側の端部(
図4における下側の端部)から、外側面7cにおける文字板5側とは反対側の端部(
図4における上側の端部)まで形成されている。つまり、傾斜面は外側面7cの全体に形成されている。外側面7cは平滑面である。
【0041】
見返しリング7の内側面7dは、文字板5の中心部を囲むように立ち上がる。見返しリング7の内側面7dの下側には、凹部7eを有し、文字板5の外周部に凹部7eが載置される。尚、
図4に示した見返しリング7は、上面7aと下面7bが平行である。
すなわち、下面7bの傾斜角度(文字板5の中心部から離れるにしたがって見返しリング7の高さ方向の下方に向かう傾斜に対応した角度(第2の角度)φは0[度]である。したがって、傾斜角度θと傾斜角度φとの和(=θ+φ)は、0[度]を超えている。
なお、上面7aと下面7bとを、必ずしも平行にする必要はない。また、上面7aは、平坦な面ではなく、凹凸が形成されていてもよい。
【0042】
見返しリング7は、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の空気よりも屈折率の大きな透明樹脂で形成するのが良い。また、内部に顔料をまぜた半透明でも良い。
【0043】
次に、
図5と
図6を用いて、見返しリング7を見たときに視認される色について説明する。
【0044】
図5は、外側面7cが文字板5に対して傾斜した本発明の見返しリングにおいて、見返しリング7の下面7bの背面にある異色部材12で反射する光の経路を説明するための図である。
【0045】
図5において、見返しリング7は、外側面7cの全体が文字板5の表面に対する法線Hから一定の傾斜角度θで見返しリング7の内側(文字板5の中心部に近付く方向)に傾斜している。L1i〜L3iは、異色部材12の地点Aにおいて異色部材12の表面に異なる向きで入射する光、L1〜L3は、異色部材12の地点Aにおいて異色部材12の表面でL1i〜L3iが反射した光である。地点Aで反射した光L1、光L2、光L3は、異色部材12の表面に対する出射角の大小関係が、光L3>光L2>光L1となっている。
【0046】
光には、ある面で反射する場合に、入射角度と反射角度とが等しくなる性質がある。
図5の場合、異色部材12の表面に入射して異色部材12の表面で反射する光は、異色部材12の表面に対する法線Hと異色部材12の表面に入射する光L1i〜L3iのそれぞれとが成す角度(入射角度θ1i〜θ3i)が、異色部材12の表面に対する法線Hと異色部材12の表面から反射する光L1〜L3のそれぞれとが成す角度(反射角度θ1o〜θ3o)に等しくなるように反射する。
【0047】
同様に、外側面7cに入射して外側面7cで反射する光は、外側面7cの法線と外側面7cに入射する光とが成す角度(入射角度)が、外側面7cの法線と外側面7cから反射する光とが成す角度(反射角度)に等しくなるように反射する。例えば、異色部材12の地点Aにおいて、光L1の反射角で反射するためには、地点Aへの光L1iの入射角が、光L2や光L3の場合の光L2iや光L3iの入射角と比較して小さな角度となる。
【0048】
このように、小さな入射角度の光は、多くの光が下面7bで反射せずに透過し、光を反射する異色部材12を設けることにより、下面7bに密接している異色部材12の表面で反射することとなる。光L1iのうち、ごくわずかの光は、異色部材12の表面まで透過せず、下面7bの表面で反射する。また、光L2i,L3iは、光L1iよりも入射角度が大きいため、異色部材12の表面まで透過せず、下面7bの表面で反射する光の割合が、入射角度の大きさに応じて増える。
【0049】
そして、異色部材12の表面で反射する光が異色部材12の色を反映し、異色部材12の表面まで到達せずに下面7bの表面で反射する光は、異色部材12の色を反映しない。但し、異色部材12の表面に入射し、後述するように見返しリング7内で反射して見返しリング7の内側面7dから出射するような入射角度で異色部材12の表面に入射する光は、下面7bの表面で反射する光の割合が小さいため、異色部材12の色を反映する光となる。
【0050】
また、傾斜面が形成された外側面7cとソーラーセル11との間には空気が存在し、見返しリング7は空気よりも屈折率が大きいため、外側面7cで光が反射する。すなわち、この場合は、空気が、見返しリング7を構成する材質よりも屈折率が小さな物質として、傾斜面とソーラーセル11との間に介在している。
【0051】
外側面7cでの入射角度と反射角度とが等しくなる光の性質に基づくと、
図5に示した見返しリング7の形状の場合には、地点Aから光L1の向きで外側面7cに向かう場合、光L1は全て、見返しリング7の内側面7dの上端部付近から、見返しリング7の内側に出射することとなる。尚、外側面7cに対する光L1の入射角度では、外側面7cで光L1が全反射すると仮定している。
【0052】
光L2は、外側面7cでの入射角度と反射角度とが等しくなる性質から外側面7cでの反射角が定まり、光L2の一部の光L2bが外側面7cで反射して、内側面7dの高さ方向における中央付近から見返しリング7の内側に出射することとなる。光L2の残りの光L2aは、外側面7cから外側に透過する。この光L2aは、ソーラーセル11による発電に寄与する光である。
【0053】
光L3は、外側面7cでの入射角度と反射角度とが等しくなる性質から外側面7cでの反射角度が定まり、光L3の一部の光L3bが外側面7cで反射して、内側面7dの高さ方向における下端部近傍から見返しリング7の内側に出射することとなる。光L3の残りの光L3aは、外側面7cから外側に透過する。この光L3aは、ソーラーセル11による発電に寄与する光である。異色部材12の表面で光を反射させることにより、光L2aや光L3a等のソーラーセル11の受光面に入射する光を増やし、ソーラーセル11による発電に寄与する光を生じさせることができる。
【0054】
また、一般に、ある面に入射する光は、その面への入射角度が大きくなるに従って反射量が増加するとともに透過量が減少し、その面への入射角度が小さくなるに従って反射量が減少するとともに透過量が増加する性質がある。この性質に基づくと、外側面7cへの入射角度の関係は、光L1>光L2>光L3であるため、外側面7cで反射して見返しリング7の内側へ出射する光の量は、光L1>光L2b>光L3bとなる。従って、見返しリング7を斜め上方から容易に見ることができる角度の光L1の光の量が多くなり、文字板5の表面に対して平行に近くなり、容易に視認できない角度の光L3bの光の量が少なくなる。
【0055】
異色部材12の表面で反射し、見返しリング7の内側に出射する光L1,光L2bは、異色部材12で反射する際に異色部材12の色を反映することとなる。従って、これらの光が見返しリング7の外側に出射して視認されると、見返しリング7が、異色部材12の色として視認される。光L3bは、光の量が少ないため、見返しリング7における異色部材12の色としての視認には、ほとんど寄与しない。
【0056】
光L1,光L2bに、異色部材12の色を確実に反映するためには、
図2に示したように、外側面7cに対し、ソーラーセル11の受光面を離間させるのが好ましい。仮に、ソーラーセル11の受光面の一部又は全体が、外側面7cに空気層を介さずに密接し、ソーラーセル11の受光面と見返しリング7とが、ほぼ同じ屈折率である場合、外側面7cに入射する光は、密接部分において外側面7cを透過してソーラーセル11の受光面で反射する。
この光が内側面7dから出射すると、ソーラーセル11の受光面の色が反映され、異色部材12の色が認識されにくくなる。但し、ソーラーセル11の受光面と見返しリング7とを互いに異なる屈折率にすれば、外側面7cでの光の透過を防いで、ソーラーセル11の受光面の色を反映させないようにすることができる。
【0057】
図6は、外側面が文字板に対して傾斜しない従来の見返しリングにおいて、見返しリングの下面の背面にある異色部材12で反射する光の経路を説明するための図である。
【0058】
図6に示した見返しリング7、文字板5、異色部材12は、見返しリング7の外側面7cが文字板5に対して傾斜しないこと以外は、
図5に示したものと同一の条件である。すなわち、見返しリング7における外側面7c以外の形状、異色部材12における地点Aの位置や、光L1〜L3の地点Aでの反射角は、
図5に示したものと同じである。
【0059】
ある面における光の入射角と反射角とが等しくなる性質に基づいて、光L1〜L3の経路を
図6に示す。
図6に示した見返しリング7の形状の場合には、地点Aから光L1は、上面7aに向かい、見返しリング7の上面7aにおける横方向の左側付近から、見返しリング7の上側に出射することとなる。
【0060】
光L2は、外側面7cでの入射角と反射角とが等しくなる性質から外側面7cでの反射角が定まり、上面7aの横方向における中央付近から見返しリング7の内側に出射することとなる。尚、光L2は、外側面7cで全反射すると仮定している。
【0061】
光L3は、外側面7cでの入射角と反射角とが等しくなる性質から外側面7cでの反射角度が定まり、光L3の一部の光L3bは、外側面7cで反射して、上面7aの横方向における右端部近傍から見返しリング7の上側に出射することとなる。光L3の残りの光L3aは、外側面7cを透過する。
【0062】
図5のように、見返しリング7の外側面7cが傾斜している場合には、見返しリング7の内側面7dから光L1,光L2b,光L3bが出射するのに対し、
図6のように、見返しリング7の外側面7cが、内側に傾斜しない場合には、光L1,光L2,光L3bのように、上面7aから見返しリング7の上側へ出射しやすくなる。
【0063】
すなわち、見返しリング7の外側面7cを、見返しリング7の内側に傾斜する形状に形成することにより、異色部材12で反射し、外側面7cに入射する光を、内側面7dに向けて反射させ、見返しリング7の内側へ出射しやすくできる。
【0064】
見返しリング7の上面7aの上には、
図2及び
図6に示すように、時計ケース2が配置される。従って、見返しリング7を斜め上方から見ると、
図5に示した見返しリング7の場合は、光L1,光L2b,光L3bが、時計ケース2が存在しない範囲を通過して視認側まで到達するが、
図6に示した見返しリング7の場合は、光L1,光L2,光L3bが、時計ケース2の背面に向かい、時計ケース2に遮られて視認側には到達しない。
【0065】
図2,
図5,
図6に示したソーラーセル付電子時計1は、見返しリング7の上面7aの上に時計ケース2が位置する構成であるが、見返しリング7の上面7aの上に、時計ケース2以外で光を遮光する部材が配置されている場合でも、
図6に示した見返しリング7は、光L1,光L2,光L3bが視認側には到達しない。
【0066】
図5に示した見返しリング7の場合であっても、異色部材12から反射した光のすべてが、内側面7dに向かって反射するのではなく、地点Aよりも文字板5側に位置する地点から外側面7cの上端部近傍に向かう光のように、上面7aに到達するものもある。しかし、
図6に示した見返しリング7と比較すると、
図5に示した見返しリング7は、異色部材12の各点から反射して、外側面7cに向かう光の多くは内側面7dから出射することとなる。
【0067】
この外側面7cの傾斜の有無の違いにより、
図5に示した見返しリング7は、見返しリング7の色が異色部材12の色のように視認され、
図6に示した見返しリング7は、暗い色に視認される。
【0068】
次に、
図7と
図8を用いて、見返しリング7の外側面7cで反射して視認側に到達する光と、見返しリング7の外側面7cの臨界角との関係について説明する。
【0069】
尚、臨界角は、屈折率が大きな物質から小さな物質に光が入射するときに、全反射が起きる最も小さな入射角である。
【0070】
図7は、外側面7cが文字板5の法線Hを基準に内側に傾斜角度θで傾斜した本願の見返しリングの場合の図、
図8は、外側面7cが傾斜しない従来の見返しリングの場合の図であり、これらは、見返しリングの外側面の傾斜角度だけが異なる。
【0071】
図7と
図8に示すθRは、見返しリング7の外側面7cにおけるB点の臨界角を示す。
図7と
図8の外側面7cは、傾斜角度θが異なるだけで、他の条件は同じであるから、B点の法線に対して、
図7、
図8のどちらも同じ臨界角θRとなる。
【0072】
図7に示すように、臨界角θRと時計ケース2の端部Pの間には、角度θKの範囲の開きがあるのに対し、
図8の場合は、臨界角θRの範囲内に時計ケース2の端部Pが位置する。
図7の場合は、光Lのように、臨界角θRを越える反射角度θ1の光が、見返しリング7の斜め上方から視認できる範囲に反射するのに対し、
図8の場合は、上面7aを覆う時計ケース2の長さIが、
図7の場合と同じであるにもかかわらず、臨界角θRを越える反射角度θ1の光Lが、時計ケース2に遮られてしまう。
【0073】
図8の場合は、臨界角θRの範囲内で、異色部材12から外側面7cに向かい、外側面7cで反射して、臨界角θRの範囲内で外側面7cから見返しリング7の内側に出射される光も存在する。しかし、このような光は、外側面7cの臨界角θRよりも小さな入射角度及び反射角度の光であるため、外側面7cで反射する光の量がごくわずかとなり、これに伴って、外側面7cで反射して見返しリング7の内側に出射する光量もごくわずかとなる。
【0074】
従って、このような光は、見返しリング7を異色部材12の色として視認させる効果が得られにくい。このように、臨界角θRの範囲内において、異色部材12から外側面7cに入射する光の多くは、外側面7cを透過してソーラーセル11に向かって出射する。従って、この光が、ソーラーセル11で反射し、外側面7c及び内側面7dを透過して視認側に向かい、ソーラーセル11の受光面の色が反映され、見返しリング7は、暗い色に視認されることとなる。
【0075】
すなわち、臨界角θRが、時計ケース2の端部Pから見返しリング7の内側に離れるほど、斜め上方から見返しリング7の外側面7cを見たときに、異色部材12を反映した光が、視認側に届きやすくなる。この現象は、外側面7cのB点に限ったことではなく、外側面7cの各点で生じる。
図5に示したように、見返しリング7の外側面7cを内側に傾けることによって、臨界角θRを時計ケース2の端部Pから見返しリング7の内側に遠ざけることができる。
【0076】
また、見返しリング7の形状や時計ケース2の形状によっては、外側面7cが文字板5の面に垂直な
図8の見返しリング7の場合でも、時計ケース2の端部Pと臨界角θRとの間に開きができることもある。
この場合は、外側面7cが文字板5の面に垂直であっても、わずかな範囲ではあるが、斜め上方から見返しリング7の外側面7cを見たときに、異色部材12からの光が、視認側に届くことになる。そして、この条件で、外側面7cを傾斜角度θだけ傾斜させることにより、さらに、傾斜角度θだけ広い視野範囲で、異色部材12の色が視認されることとなる。
【0077】
従って、見返しリング7の形状や、時計ケース2が上面7aを覆う範囲によって、斜め上方から見返しリング7を見たときの異色部材12の色の見え方は変わってくるが、外側面7cの傾斜条件以外が同じであれば、外側面7cを傾斜させた方が、異色部材12の色が、傾斜角度θの範囲だけ視認されやすくなる。
【0078】
このように、見返しリング7の外側面7cを、見返しリング7の内側に傾斜する形状に形成することにより、時計ケース2に遮られずに斜め上方に到達する光が増え、斜め上方から視認したときに、見返しリング7が、異色部材12の色に視認されやすくなる。
【0079】
また、異色部材12で反射した光の一部がソーラーセル11の受光面に入射することで、時計駆動に十分な発電量を得ることができる。
例えば見返しリング7の内側面7d又は外側面7cに光透過性の着色部材を内側面7d又は外側面7cに設けた場合には、内側面7dや外側面7cの透過率が光透過性の着色部材によって低下し、ソーラーセル11に到達する光量が減って発電効率も低下する。
これに対し、本実施形態の見返しリング7によれば、透過率が低下するような光透過性の着色部材を内側面7d又は外側面7cに設ける必要がないため、ソーラーセル11の受光面に入射する光の光量を増大させることができ、ソーラーセルの発電効率を向上させることができる。
【0080】
下記の表1は、透明なポリカーボネート樹脂で成形した
図5に示す形状の見返しリング7及び時計ケース2において、外側面7cの傾斜角度θを、それぞれ、10°、15°、20°、25°、30°の5種類に形成し、斜め上方から複数の視認角度で見返しリング7を見た場合の外観状態を評価した表である。
【0081】
【表1】
なお、視認角度は、文字板5の表面に対する法線との角度が15°,45°,75°の3段階であり、表1中の×印、△印、○印、◎印は次の判定基準に基づいている。
×・・・・45°以上の視認角度では、異色部材12の色が視認しにくい。
△・・・・75°以上の視認角度では異色部材12の色が視認しにくい。
○・・・・ほぼすべての視認角度で異色部材12の色が視認できる。
◎・・・・すべての視認角度で異色部材12の色が視認できる。
【0082】
表1の結果を基に、外側面7cの傾斜角度θは20°〜30°が好適な範囲である。
ただし、傾斜角度θが20°未満の範囲であっても0°を超えている範囲で、傾斜角度θが0°以下の場合に比べて、視認角度45°未満の範囲で、異色部材12の色を視認し易くなる。
【0083】
よって、外側面7cが文字板5の法線を基準に傾斜角度θで内側に傾斜している見返しリング7は、異色部材12で反射し、外側面7cで反射して異色部材12の色が反映された光を傾斜角度θ分だけ、見返しリング7の内側に傾けて出射させることができる。これにより、見返しリング7を装飾しなくても、見返しリング7は、異色部材12の色が視認されることで、装飾効果を付与することができる。
また、見返しリング7は光が透過する透明樹脂で成型されているため、見返しリング7に入射した光は、見返しリング7の外側に配置されたソーラーセル11に光を導光することができ、時計駆動に十分な発電量を得られることとなる。
【0084】
[実施形態1の変形例]
次に、
図9Aから
図12を用いて、本発明におけるソーラーセル付電子時計の変形例を説明する。
図9A、
図9B、
図9C及び
図9Dは、見返しリング7の外側面7cの形状が異なるソーラーセル付電子時計の変形例である。
図9A〜
図9Dに示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜
図5及び
図7に示したものと異なるのは、見返しリング7における外側面7cの形状だけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0085】
図9Aは、外側面7cを、外側に膨らんだ曲面状に傾斜させて形成し、
図9Bは、外側面7cを、傾斜角度が異なる複数の傾斜面に形成し、
図9Cは、外側面7cの上側だけを傾斜面に形成し、
図9Dは、外側面7cの下側だけを傾斜面に形成した例である。
【0086】
図9Aに示す見返しリング7は、下面7bから断面高さが3分の1の付近である地点Cまでは、外側面7cが見返しリング7の外側に傾斜しているが、外側面7cにおける地点Cよりも上の部分は、見返しリング7の内側に傾斜している。
このように、外側面7cの斜面を曲面に形成しても、地点Aから反射する光L1〜L3を、外側面7cで反射させて見返しリング7の内側に向かって出射させることができる。特に、
図9Aに示す見返しリング7の場合は、外側面7cが曲面であるため、外側面7cで反射する光を内側面7dの範囲内に集中させるように、外側面7cにおける光の反射角度を調整することが容易である。
【0087】
図9Bに示す見返しリング7は、外側面7cに傾斜角度が異なる3つの傾斜面が形成されている。3つの傾斜面は、下面7bから地点Dの間の傾斜面と、地点Dから地点Eの間の傾斜面と、地点E点から上面7aの間の傾斜面である。
この例では、文字板5の表面に対する法線Hを基準にして、傾斜角度θの大小関係が、下面7bから地点Dの間の傾斜面<地点Dから地点Eの間の傾斜面<地点E点から上面7aの間の傾斜面、となるように、各傾斜面が形成されている。いずれの傾斜面も、見返しリング7の内側に傾斜している。
【0088】
このように、外側面7cに、互いに傾斜角度θが異なる複数の傾斜面を形成することで、地点Aから反射する光L1〜L3を、外側面7cで反射させて見返しリング7の内側に向かって出射させることもできる。そして、
図9Bに示す見返しリング7の場合は、外側面7cが曲面に近い形状となるため、
図9Aに示す見返しリング7と同様に、外側面7cで反射する光を内側面7dの範囲内に集中させるように、外側面7cにおける光の反射角度を調整することが容易である。
【0089】
図9Cに示す見返しリング7は、外側面7cの一部に傾斜面が形成されている。下面7bから地点Fまでは傾斜せず(傾斜角度θ=0[度])、地点Fと上面7aの間が傾斜している。すなわち、外側面7cにおける文字板5側の端部から、所定の高さの位置である地点Fまでは傾斜面が形成されず、所定の高さの位置である地点Fから外側面7cにおける文字板5側とは反対側の端部との間に傾斜面が形成されている。
【0090】
このように、外側面7cの断面における上側だけに傾斜面を形成しても、地点Aから反射する光L1〜L3を、外側面7cで反射させて見返しリング7の内側に向かって出射させることができる。特に、
図9Cに示す見返しリング7の場合は、下面7bと外側面7cとが成す角度が直角であり、この部分の角度が90度未満である
図5等に示した見返しリング7と比較して、外側面7cの下端の部分が破損しにくくなり、見返しリング7の耐衝撃性が向上する。
【0091】
なお、
図9Cに示す見返しリング7は、次に説明する
図7Dに示す見返しリング7のように、外側面7cにおける文字板5側とは反対側の端部の近傍が傾斜しない構成とすることもできる。
すなわち、
図9Cに示す見返しリング7は、外側面7cにおける文字板5側の端部から、所定の高さの位置である地点Fまでは傾斜面が形成されず、所定の高さの位置である地点Fから外側面7cにおける文字板5側とは反対側の端部との間の少なくとも一部に傾斜面を形成することができる。
【0092】
図9Dに示す見返しリング7も、外側面7cの一部に傾斜面が形成されている。この見返しリング7は、下面7bと地点Gの間が傾斜し、地点Gと上面7aの間は傾斜していない。すなわち、外側面7cにおける文字板5側の端部から、所定の高さ位置である地点Gまでの間に傾斜面が形成され、所定の高さ位置である地点Gから外側面7cにおける文字板5側とは反対側の端部との間に傾斜面が形成されている。
このように、外側面7cにおける断面方向の下側だけに傾斜面を形成しても、地点Aから反射する光L1〜L3を、外側面7cで反射させて見返しリング7の内側に向かって出射させることができる。
【0093】
特に、
図9Dに示す見返しリング7の場合は、後述するように、文字板5から風防ガラス4までの奥行きの長さが、実際の長さよりも短く感じられる視覚効果が得られる。
【0094】
このように、外側面7cの傾斜面の形状を工夫することにより、地点Aに限らず、内側面7dのそれぞれの部分で反射して内側面7dから出射する光の角度や位置を、細かく調整することができる。
【0095】
次に、
図9Dに示した見返しリング7によって得られる効果を、
図5に示した見返しリングの場合と比較して説明する。
図10Aは
図5に示す見返しリング7において、下面7bの地点Mから異色部材12で反射した光L4〜L6の経路を示し、
図10Bは、
図9Dに示す見返しリング7において、下面7bの地点Mから異色部材12で反射した光L4〜L6の経路を示している。
【0096】
光L4〜L6は、異色部材12における地点Mで異なる向きに反射した光である。尚、地点Mで反射する光L4〜L6は、見返しリング7の外部から地点Mに入射する光(図示を省略)が反射したものである。地点Mで反射した光L4、光L5、光L6と異色部材12の表面に対する法線Hと成す出射角度の大小関係は、光L6>光L5>光L4となっている。
【0097】
図10Bは、
図10Aと、上面7aの幅及び下面7bの幅は同一で、外側面7cの下面7bから地点Gまでが傾斜し、上面7aから地点Gまでが傾斜しない構成である。そのため、
図10Bは、外側面7cに形成された傾斜面の上端が、
図5よりも、文字板5側に位置するため、外側面7cの傾斜角度αが
図5の傾斜角度θよりも大きくなる。
【0098】
図10Aの光L4〜L6の経路と
図10Bの光L4〜L6の経路を比較すると、
図10Bは、外側面7cの傾斜面で反射した光は、光L5、光L6のように、内側面7dから出射する。これに対し、
図10Bの光L4のように、上面7aからGまでの傾斜しない面で反射した光は、上面7aの方向に反射し、見返しリング7の上面7aの上面7aに配置される時計ケース2によって遮光される。従って、
図10Bは、
図10Aよりも、見返しリング7の内側面7dにおける上部付近から出射する光が少なくなる。
【0099】
よって、
図10Bの見返しリング7の内側面7dを視認すると、
図10Aよりも、見返しリング7の上部付近が暗く見えることとなり、暗く見える上部付近を見返しリング7と認識できず、見返しリング7が実際の高さ(寸法)よりも、低いと錯覚することとなる。これにより、文字板5から風防ガラス4までの奥行きの長さ(寸法)が、実際の長さよりも短く感じられる視覚効果が得られる。
【0100】
尚、
図10Bに示す見返しリング7は、外側面7cの傾斜面の傾斜角度αが
図10Aに示す見返しリング7の傾斜角度θよりも大きいため、外側面7cの傾斜面で反射した光は、光L5、光L6のように、
図10Aの場合よりも、内側面7dの低い位置から文字板5の表面方向に出射することとなる。これによって、見返しリング7の上部付近において、より広い範囲が暗く見え、文字板5から風防ガラス4までの奥行きの長さが、実際の長さよりも短く感じられる視覚効果をさらに高めることができる。
【0101】
図11に示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜
図5及び
図7に示したものと異なるのは、見返しリング7に支持凸部7fを一体に形成したことだけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。支持凸部7fは、見返しリング7の外側面7cからソーラーセル11側に突き出し、12時、3時、6時、9時位置などの複数個に形成されている。支持凸部7fは、所定の厚さを有する板状であり、側面から見た形状が直角三角形であって、ソーラーセル11に底辺が対向し、外側面7cに斜辺が対向し、異色部材12に鋭角の部分が隣接する。
【0102】
支持凸部7fにより、時計ケース2の側面からの衝撃により、ソーラーセル11が変形して見返しリング7側へ突出した状態となることを防ぐことができる。さらに、風防ガラス4及び裏蓋3などの上下方向の衝撃が加わったときに、見返しリング7に加わる衝撃を複数の支持凸部7fに分散して、見返しリング7の破壊を防ぐことができる。
また、支持凸部7fが設けられている部分では、
図6に示した外側面7cが傾斜しない場合と同様な光の反射となり、斜め上方から見返しリング7を視認したときに、他の部分と視認される色が異なることから、12時、3時、6時、9時位置の時字を表すなど、情報表示として利用することが可能になる。
【0103】
図12に示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜
図5及び
図7に示したものと異なるのは、見返しリング7とソーラーセルとの間にリング13を配置したことだけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。リング13は、見返しリング7の外側面7cの全周を囲むように配置された環状形状であって、透明な部材である。
リング13の断面形状は直角三角形であり、ソーラーセル11に底辺が対向し、傾斜面である外側面7cに斜辺が対向し、異色部材12に鋭角の部分が隣接するように配置される。リング13は、外側面7cと対向する面が、外側面7cに密接し、ソーラーセル11と対向する支持面13aは、ソーラーセル11と密接するか、又は、わずかな間隙が設けられる。
【0104】
リング13は見返しリング7よりも屈折率が小さい。例えば、見返しリング7がポリカーボネートで形成されている場合、リング13は、これよりも屈折率の小さなアクリル樹脂等によって形成することができる。このように、見返しリング7の外側面7cに形成された傾斜面に密接する部材は、その屈折率が見返しリング7の屈折率よりも小さいことが、見返しリング7の内部から外側面7cに入射した光を外側面7cで反射させるための条件となる。
【0105】
すなわち、この場合は、リング13が、見返しリング7よりも屈折率が小さな部材として、傾斜面とソーラーセル11との間に介在している。仮に、リング13が外側面7cに形成された傾斜面とは密着せず、わずかな隙間がある場合は、傾斜面とソーラーセル11との間に、見返しリング7よりも屈折率が小さな物質として、空気が介在することとなる。
【0106】
図12に示したソーラーセル付電子時計は、時計ケース2の側面から衝撃が加えられた場合に、リング13の支持面13aにより、ソーラーセル11が見返しリング7側に動いて突出した状態となることを防ぐことができる。また、リング13は、見返しリング7とは屈折率が異なる部材で構成されており、見返しリング7の内部から見返しリング7の外側面7cに入射する光は、
図5に示した見返しリングと同様に、外側面7cで反射する。リング13の屈折率に応じて外側面7cの臨界角が変わる。
【0107】
図13は、文字板5の上に見返しリング7を載置したソーラーセル付電子時計の変形例である。
【0108】
図13に示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜5及び
図7に示したものと異なるのは、見返しリング7における下面7bを平坦に形成し、文字板5の外周部分を見返しリング7の外側面7cの下端部まで延ばし、下面7bを文字板5の表面に載置して、文字板5を異色部材として用いた点であり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0109】
この構成の場合は、見返しリング7の下に位置する文字板5が、異色部材として機能する。従って、文字板5における下面7bに対向する部分を、所望の色にすることにより、この色を、斜め上方から見返しリング7をみたときに視認させることができる。もちろん、文字板5は、下面7bに対向する部分と、これ以外の部分とを同じ色で構成しても良い。
【0110】
尚、本発明において、異色部材12の色を見返しリング7の内側面7dに反映させるためには、異色部材12は、
図5に示したように、見返しリング7の下面7bに密接していることが好ましい。その理由を、
図14を用いて説明する。
図14に示したソーラーセル付電子時計が、
図1〜
図5及び
図7に示したものと異なるのは、異色部材12が見返しリング7の下面7bから離間していることだけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0111】
図14に示すように、見返しリング7の下面7bと異色部材12とが離間すると、見返しリング7の外側面7cに近い地点Zで反射する光L7のように、異色部材12の表面で反射し、見返しリング7の下面7bと異色部材12との間から、外側面7cの外側に出射する光が存在する。これにより、下面7bと異色部材12との間から出射する光の量に応じて、見返しリング7における内側面7dから出射する光が減り、内側面7dから出射する光が異色部材12の色を反映しにくくなる。但し、意図的に見返しリング7の下面7bから異色部材12を離間させ、異色部材12の色を反映する光の量を調節することも可能である。
【0112】
また、見返しリング7の下面7bが平滑面の場合、見返しリング7の外部から入射して異色部材12で反射する光に、異色部材12の色を最も良く反映できる。下面7bの表面を粗面にすると、見返しリング7の外部から下面7bに入射した光が散乱し、外側面7cに反射しにくくなったり、見返しリング7が白く濁ったりする。但し、この場合も、目的とする効果に応じて、下面7bを粗面にしても良いし、意図的に、外側面7cに反射する光に白濁の効果を取り入れても良い。
【0113】
また、異色部材12の色は、単一色に限らず、複数色を用いたり、グラデーションを用いたりしても良い。
【0114】
さらに、異色部材12における12時、3時、6時、9時位置の部分に、内側面7d側から外側面7c側に延びる所定の幅の線を、異色部材12の他の部分とは異なる色で形成することにより、見返しリング7を斜め上方から視認したときに、この線を時字として認識させるように構成することもできる。このように、異色部材12の色を部分的に異ならせることにより、時字以外のインデックスや、ソーラーセル付電子時計で用いられるインデックス以外の情報を表示しても良い。
【0115】
さらに、下面7bを、文字板5に対して傾斜する斜面に形成し、この斜面に異色部材12を平行に配置して、下面7bから外側面7cに反射する光の角度を変えることにより、見返しリング7の内側に出射される光の角度を制御することも可能である。
【0116】
[見返しリングの成形の際のゲートについて]
図15Aは、
図2〜
図5に示した見返しリング7を射出成形等で成形するに際して、材料の注入口となるゲート7gの設置位置の一例を示す
図5相当の図であり、
図15Bは、
図15Aに示した見返しリング7からフランジ7zを除去した状態を示す図である。
上述した実施形態や変形例の見返しリング7は、外側面7cを内側に傾斜させて形成している。したがって、
図5に示したように、見返しリング7の上面7aは下面7bに比べて半径方向の幅が狭くなっている。
【0117】
本発明ではない従来の見返しリングは、外側面の内側への傾斜が無いため、上面は下面と同等の幅を有していて、この上面に、射出成形等で必要とされるゲートが設けられている。上面にゲートが設けられるのは、例えば
図2に示すように、上面は時計ケース2によって覆われることで、ゲートに生じる痕跡を隠すことができ、痕跡による外観品質の低下を防止することができるためである。
他の面、すなわち、内側面7d、外側面7c及び下面7bは、視認される面であったり、光Lの入出射面、反射面であったりする。このため、ゲートに生じる痕跡が視認されて目立ちやすい部位や、光の経路への影響で生じる色むら等が視認され易い部位に、ゲートを設けると、見返しリング7の外観品質が低下する。
【0118】
本実施形態における見返しリング7は、上述したように上面7aの幅が狭いため、上面7aにゲートを直接設置するのは困難な場合がある。
そこで、本実施形態における見返しリング7は、
図15Aに示すように、上面7aを含む上部7xから半径方向の内側に延びたフランジ7zを形成し、このフランジ7zにゲート7gを設けることができる。この場合、
図15Aに示すように、上部7xにフランジ7zを有する見返しリング7が形成され、その後、
図15Bに示すように、フランジ7zを除去することにより、実施形態の見返しリング7を形成することができる。
【0119】
図16Aは、
図2〜
図5に示した見返しリング7を射出成形等で成形するに際して、材料の注入口となるゲート7gの設置位置の他の例を示す
図5相当の図であり、
図16Bは、
図16Aに示した見返しリング7から延長部分7y及びフランジ7zを除去した状態を示す図である。
また、本実施形態における見返しリング7は、
図16Aに示すように、上面7aを高さ方向に延長した延長部分7yを形成するとともに、その延長部分7yから半径方向の内側に延びたフランジ7zを形成し、このフランジ7zにゲート7gを設けることもできる。この場合、
図16Aに示すように、延長部分7y及びフランジ7zを有する見返しリング7が形成され、その後、
図16Bに示すように、延長部分7y及びフランジ7zを除去することにより、実施形態の見返しリング7を形成することができる。
【0120】
仮に、フランジ部7zを除去した後に、見返しリング7の内側面7dにおける上端部にわずかな痕跡が残ったとしても、そのすぐ上に時計ケース2があるため、目立ちにくい。
また、フランジ部7zを除去しやすいように、見返しリング7の内側面7dを、文字板5の法線に一致するように鉛直に形成することも可能である。
【0121】
図17は、ゲート7gの設置位置の他の例を示す
図15相当の図である。見返しリング7の成形の際に必要とされるゲート7gの設置位置としては、上述した
図15,16に示した例に限定されない。
すなわち、ゲート7gは、
図17に示すように、時計ケース2に覆われるため反射への寄与が少ない外側面7cの上部7uに設置してもよい。また、文字板5の外周部分が載置される凹部7eの、文字板5の表面に対向する表面対向面7vが長い場合には、その表面対向面7vに設置してもよい。同様に、文字板5の外周部分が載置される凹部7eの、文字板5の外周端面に対向する端面対向面7wが長い場合は、その端面対向面7wに設置してもよい。
【0122】
[実施形態2]
上述した実施形態1における見返しリング7は、外側面7cの全部又は一部が、文字板5の内側に傾斜(傾斜角度θ>0[度])した例であるが、本発明に係るソーラーセル付電子時計の見返しリングは、この形態に限定されない。
すなわち、見返しリング7の内側面7dから見返しリング7の内部に入射した光は、
図5に示すように、見返しリング7の内部で、下面7bと外側面7cとの2つの面で反射して内側面7dから出射する。実施形態1は、反射面となる2面のうち外側面7cを傾斜角度θで傾斜させることで、2つの反射面(外側面7cと下面7b)が交差する角度を鋭角(90-θ)[度]に形成している。
【0123】
つまり、本発明における見返しリングは、これら2つの反射面が交差する角度を鋭角に構成することで、課題を解決するということもできる。したがって、本発明における見返しリングは、2つの反射面のうち下面を傾斜させてもよいし、外側面と下面との両方を傾斜させてもよい。
図18は、本発明の実施形態2に係るソーラーセル付電子時計20を示す
図2相当の図、
図19は、
図18のソーラーセル付電子時計20における見返しリング17を示す
図5相当の図である。
図18に示したソーラーセル付電子時計20は、見返しリング17が実施形態1のソーラーセル付電子時計1における見返しリング7と異なる以外は、基本的に同じ構成である。したがって、同じ構成に関する説明は省略する。
【0124】
実施形態2の見返しリング17は、
図19に示すように、外側面17cが、文字板5の法線Hに一致するように鉛直に形成されている。すなわち、見返しリング17の外側面17cの全体の傾斜角度θ(
図5参照)は0[度]である。
一方、見返しリング17の底部の一部である下面17bは、文字板5の中心部から離れるにしたがって見返しリング17の高さ方向の下方に向かう傾斜角度φ(第2の角度)が、0[度]を超える一定の値となっている。下面17bは、文字板5の外周における側面から外側面17cに至るまで形成されている。
【0125】
したがって、下面17bは、
図18に示すように、文字板5の表(おもて)面5aよりも下方に位置する。
また、傾斜角度θと傾斜角度φの和は、0[度]を超えている。この結果、見返しリング17の内部で光の反射面となる2つの面(外側面17cと下面17b)が交差する角度は鋭角(90-(φ+θ)=90-φ)[度]に設定されている。
下面17bには、外側から下面17bに対向して異色部材12が設けられている。
【0126】
図20は、見返しリング17の内側面17dから見返しリング17の内部に光L1が入射した場合の光L1の進行方向を示す模式図である。
見返しリング17に対して内側面17dから入射した光L1は、実施形態1において説明したように、下面17bを透過し異色部材12で反射し異色部材の色を反映した光と下面17bで反射し異色部材の色を反映しない光となる。下面17bへの入射角度が小さくなると異色部材12で反射する光の割合が大きくなり、下面17bへの入射角度が大きくなると下面17bで反射する光の割合が大きくなる。
【0127】
異色部材12で反射した光も下面17bで反射した光も外側面17cに入射する。
ここで、外側面17cと下面17bとの交差する角度が鋭角であり外側面17cの傾斜角度が0[度]であることにより、鋭角ではない従来の直角の場合、すなわち下面17bが傾斜していないものに比べて、異色部材12又は下面17bで反射して外側面17cに入射する光の入射角度が小さくなることにより、外側面17cで反射する光の角度が小さくなるため、外側面17cで反射した光は上面17aよりも内側面17dに向かい易くなる。
この作用は、外側面17cへの入射角度が大きい光ほど顕著になり、下面17bへの入射角度が小さいほど外側面17cへの入射角度が大きくなるため、異色部材12の色を反映した光は、内側面17dから出射し易くなる。
【0128】
一方、下面17bへの入射角度が大きいほど外側面17cへの入射角度が小さくなるため、異色部材12の色を反映しない光は外側面17cを透過して、ソーラーセル11(
図18参照)による発電に寄与する光となる。
したがって、見返しリング17によれば、実施形態1における見返しリング7と同様の作用、効果、すなわち異色部材12で反射し外側面17cに入射する光を、内側面17dに向けて反射させ見返しリング17の内側へ出射しやすくできる、という効果を得ることができる。
【0129】
なお、下面17bが文字板5の表面5aよりも下方に位置するため、風防ガラス4から文字板5の表面5aまでの高さ方向の見かけの寸法に対して、見返しリング17の外側面17cの側での高さ方向の寸法を大きくすることができ、ソーラーセル11へ供給する光を増大させることができる。
【0130】
[実施形態2の変形例]
図21は、底部に凹部17eが形成された変形例の見返しリング17を示す図である。
図18〜
図20に示した見返しリング17は、底部の下面17bの内側の端部が、文字板5の表面5aと同じ高さ位置に形成されたものであるが、底部に、実施形態1における見返しリング7の凹部7eと同様の凹部17eを形成してもよい。
変形例の見返しリング17の凹部17eは、
図21に示すように、文字板5の外周部が収容される部分である。
【0131】
凹部17eは、見返しリング17の高さ方向に関して、文字板5の厚さ分だけ凹んで形成されている。したがって、変形例の見返しリング17は、下面17bの内側の端部が、文字板5の裏面5bと同じ高さ位置に形成されている。
このように形成された変形例の見返しリング17は、下面17bの傾斜、及び下面17bと外側面17cとが交差する鋭角の角度、という基本的な構成は実施形態2における見返しリング17と同じである。したがって、変形例の見返しリング17によっても、異色部材12で反射し外側面17cに入射する光を、内側面17dに向けて反射させ見返しリング17の内側へ出射しやすくできる、という効果を得ることができる。
【0132】
また、下面17bが文字板5の裏面5bよりも下方に位置するため、風防ガラス4から文字板5の表面5aまでの高さ方向の見かけの寸法に対して、見返しリング17の外側面17cの側での高さ方向の寸法をさらに大きくすることができ、ソーラーセル11へ供給する光を一層増大させることができる。
【0133】
図22A、
図22B、
図22C及び
図22Dは、見返しリング17の下面17bの形状が異なるソーラーセル付電子時計の変形例を示す図である。
図22A〜
図22Dに示したソーラーセル付電子時計における見返しリング17が、
図21に示したものと異なるのは、見返しリング17における下面17bの形状だけであり、これ以外の構成は同一であるため説明を省略する。
【0134】
図22Aは、下面17bを、下方側に膨らんだ曲面状に傾斜させて形成し、
図22Bは、下面17bを、傾斜角度が異なる複数の傾斜面で形成し、
図22Cは、下面17bの内側だけを傾斜面に形成し、
図22Dは、下面17bの外側だけを傾斜面に形成した例である。
【0135】
図22Aに示す見返しリング17は、下面17bの傾斜角度φが、内側から外側に向かうにしたがって小さくなる曲面で形成されている。このように構成された下面17bを有する見返しリング17は、内側面17dから入射した光L1が反射する下面17bの位置が、外側(外側面17cに近い側)にずれるにしたがって、下面17bに対する入射角度が小さくなり、異色部材12で反射する割合が増加する。
【0136】
しかも、光L1が反射する下面17bの位置が、外側(外側面17cに近い側)にずれるにしたがって、異色部材12で反射した光の外側面17cへの入射角度が大きくなる。これに伴い、下面17bの傾斜角度φが内側から外側に向かうにしたがって小さくならない場合よりも、外側面17cでの反射位置が上側にずれる。
これにより、異色部材12で反射した光が内側面17dから出射する範囲を、内側面17dの上側に集中させるように、光の反射角度を調整することが容易である。
【0137】
図22Bに示す見返しリング17は、下面17bの傾斜角度φが、内側から外側に向かうにしたがって順次小さくなる3つの傾斜面で形成されている。
このように構成された下面17bを有する見返しリング17は、内側面17dから入射した光L1が反射する下面17bの位置が、傾斜角度φの小さい外側(外側面17cに近い側)にずれるにしたがって、下面17bに対する入射角度が小さくなり、異色部材12で反射する割合が増加する。
【0138】
しかも、光L1が反射する下面17bの位置が、外側(外側面17cに近い側)にずれるにしたがって、異色部材12で反射した光の外側面17cへの入射角度が大きくなる。
これにより、異色部材12で反射した光が内側面17dから出射する範囲を、内側面17dの上側に集中させるように、光の反射角度を調整することが容易である。
【0139】
図22Cに示す見返しリング17は、下面17bの外側部分(外周側の)端部から所定の長さの位置までの範囲の部分)が傾斜せず(傾斜角度φ=0[度])、それよりも内側で、凹部17eまでの範囲が傾斜角度φ(>0[度])で傾斜している。
このように構成された下面17bを有する見返しリング17は、下面17bの外側部分と外側面17cとは直角に交差しているため、この交差した角部分は、角部分が鋭角となっている他の変形例に比べて、破損しにくくなり、見返しリング17の耐衝撃性が向上する。
【0140】
なお、
図22Cに示す見返しリング17は、次に説明する
図22Dに示す見返しリング17のように、下面17bの内側における文字板5の近傍が傾斜しない構成とすることもできる。
すなわち、
図22Cに示す見返しリング17は、下面17bの外側部分端部から所定の長さの位置までの範囲の部分が傾斜せず、それよりも内側で、凹部17eまでの範囲の少なくとも一部に傾斜面を形成することができる。
【0141】
図22Dに示す見返しリング17は、下面17bの内側の部分が傾斜せず(傾斜角度φ=0[度])、それよりも外側で、外側面17cに隣接する部分までの範囲が傾斜角度φ(>0[度])で傾斜している。
ここで、
図22Dに示す見返しリング17は、
図21に示した見返しリング17よりも、傾斜角度φで傾斜する範囲が狭くなる。したがって、
図22Dに示す見返しリング17における外側面17cの下端部の位置が、
図21に示した見返しリング17と高さ方向に同じ位置にある場合は、
図22Dに示した見返しリング17bの方が、下面17bの傾斜角度が大きくなる。
【0142】
このように構成された下面17bを有する見返しリング17は、内側面17dから入射した光L1が反射する下面17bの位置が、傾斜角度φが0[度]である内側のときは、下面17bに対する入射角度が小さくなり、外側面17cの上側の部分に反射される。そして、外側面17cの上側の部分に大きな入射角度で入射した光は上面17aに到達するため、内側面17dから出射しない。
【0143】
一方、内側面17dから入射した光L1が反射する下面17bの位置が、傾斜角度φ(>0)である外側であるときは、異色部材12で反射した光の外側面17cへの入射角度が、
図21に示した見返しリング17の場合よりも小さくなるとともに、外側面17cでの反射位置が下側にずれ、しかも、外側面17cで反射する光の反射角度も小さくなる。
したがって、外側面17cで反射された後に、内側面17dの、主に下側部分から出射する。
【0144】
このように、
図22Dに示した見返しリング17によると、見返しリング17の内側面17dにおける上側部分から出射する光が少なくなって暗く見えることとなり、暗く見える上側部分を見返しリング17と認識できず、見返しリング17が実際の高さ(寸法)よりも、低いと錯覚することになる。
これにより、文字板5から風防ガラス4(
図18参照)までの奥行きの長さ(寸法)が、実際の長さよりも短く感じられる視覚効果が得られる。
【0145】
[実施形態3]
上述した実施形態1,2及び各変形例の見返しリング7,17は、
図2,18に示すように、上面7a,17a(
図4、
図19参照)に時計ケース2が配置される形状に形成されている。しかし、本発明に係るソーラーセル付電子時計における見返しリングは、これら実施形態及び変形例に限定されない。
図23は、実施形態3の、見返しリング27を備えたソーラーセル付電子時計30の一部を示す図、
図24は、
図23における見返しリング27の詳細を示す図である。
図示の見返しリング27は、
図19に示した見返しリング17に対して、上面27aを含む上側の部分が、半径方向の、外側面27cよりも外側まで延びて、外側面27cから突出したフランジ27eを有している。
【0146】
そして、フランジ27eの上側は、上面27aとして、風防ガラス4に接し、フランジ27eの下側は、裏面27fとして時計ケース2の庇部2aに上側から接する。
見返しリング27の外側面27cから外方に突出したフランジ27eの裏面27fが時計ケース2の庇部2aに接する構成によると、見返しリング27の上面27aのうちフランジ27eよりも内側の部分は、見返しリング27の内部から出射する光が、不透明の時計ケース2によって遮られることが無い。
【0147】
したがって、実施形態1,2及び変形例の各見返しリング7,17においては、内部から上面7a,17aに到達していた、異色部材12の色を反映した反射光も、実施形態3の見返しリング27によれば、上面27aからも出射させることができる。これにより、上面27aにおいても、ソーラーセル11(
図23参照)の色を反映した光が視認されるのを防止することができる。
【0148】
しかも、見返しリング27は、上面27aから文字板5に略垂直に見返しリング27に入射した光の一部も、下面27bで外側面27cに反射させ、ソーラーセル11の発電に供することができ、ソーラーセルの発電効率を一層高めることができる。
なお、見返しリング27は、フランジ27eの外側の端面27gに、見返しリング27の成形に必要とされるゲートを配置することもできる。
【0149】
[実施形態4]
上述した実施形態1における見返しリング7は、外側面7cが傾斜角度θで傾斜したものであり、実施形態2における見返しリング17及び実施形態3における見返しリング27は、下面17b,27bが傾斜角度φで傾斜したものであるが、本発明に係るソーラーセル付電子時計における見返しリングは、外側面が傾斜角度θで傾斜し、かつ下面が傾斜角度φで傾斜したものであってもよい。
なお、一方の傾斜角度θ又は傾斜角度φが負の角度であってもよく、他方の傾斜角度φ又は傾斜角度θとの和(θ+φ)が0を超える正の値であればよい。
【0150】
また、一方の傾斜角度θ又は傾斜角度φを主たる傾斜角度として大きな値で設定し、他方の傾斜角度φ又は傾斜角度θを微調整用の小さな値で設定してもよい。特に、他の部材(文字板5やソーラーセル11など)との位置関係の制約等によって、一方の傾斜角度θ又は傾斜角度φを大きく確保することができない場合に、特に有効である。
図25A及び
図25Bは、外側面37cが傾斜角度θで傾斜し、下面37bが傾斜角度φ(>0[度])で傾斜した見返しリング37を示す図である。
【0151】
図25Aに示した見返しリング37は、詳しくは、外側面37cが、高さ方向に文字板5から離れるにしたがって文字板5の中心部に近付くように、内側に傾斜(θ>0[度])して形成されている。
一方、
図25Bに示した見返しリング37は、詳しくは、外側面37cが、高さ方向に文字板5から離れるにしたがって文字板5の中心部から遠ざかるように、外側に傾斜(θ<0[度])して形成されている。なお、
図25Bの見返しリング37は、傾斜角度θ(負の値)と傾斜角度φ(正の値)との和(θ+φ)は正の値となっている。
【0152】
このように形成された各見返しリング37も、外側面37cと下面37bとが交差する角度(90−(θ+φ))が鋭角となるため、上述した各実施形態1,2,3における見返しリング7,17,27と同様の作用、効果を発揮することができる。
なお、
図25Aや
図25Bのように、下面37bと外側面37cとの両方が、0度以外の傾斜角度φ,θで傾斜する場合に、いずれか一方の傾斜面又は両方の傾斜面を、
図9A〜
図9Dや
図22A〜
図22Dに示したいずれかの傾斜面で構成することも可能である。
【0153】
図26A及び
図26Bは、最外周面47cよりも内側に、文字板5の法線Hに対して傾斜角度θで傾斜した方向に延びる溝47hが形成された見返しリング47を示す図であり、
図26Aの見返しリング47は、最外周面47cが内側に傾斜した外形を有し、
図26Bの見返しリング47は、最外周面47cが傾斜していない外形を有する。
これらの見返しリング47においては、内側面47dから見返しリング47の内部に入射した光は、下面47b又は下面47bに対向した異色部材12で反射した後に、最外周面47cで反射する前に、溝47hの側壁面となる2つの面のうち内側(文字板5に近い側)に対応した面47jで反射する。
【0154】
つまり、これらの見返しリング47においては、本発明のソーラーセル付電子時計における見返しリングの外側面に対応する部分は、溝47hの内側の側壁の面47jであり、溝47hより図示の左側の部分47iは、外側面に相当する面47jの外部の別部材と評価することができる。
したがって、最外周面47cも下面47bも共に傾斜していない
図26Bの見返しリング47であっても、溝47hの内側の側壁の面47jが内側に傾斜していることにより、本発明のソーラーセル付電子時計における見返しリングの実施形態となる。
なお、見返しリング47は、溝47hの内側の側壁の面47jと下面47bとが交差する角度(90−θ)は鋭角となる。
【0155】
上述した各実施形態及び各変形例において、ソーラーセル11による発電量に余裕がある場合は、異色部材12による着色効果に加えて、見返しリング7,17,27,37,47に着色することも可能である。
例えば、見返しリング7,17,27,37,47における内側面7d,17d,27d,37d,47dや外側面7c,17c,27c,37c,47cに、透過率の高い塗料で着色したり、見返しリング7,17,27,37,47を透過率の高い有色の樹脂で成形したりしてもよい。これらによって、さらに、見返しリング7,17,27,37,47の装飾性を高めることができる。
【0156】
本出願は、2014年6月24日に日本国特許庁に出願された特願2014−128797に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。