特許第6442533号(P6442533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6442533ニトロソ化合物の処理方法および処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442533
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】ニトロソ化合物の処理方法および処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20181210BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20181210BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20181210BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20181210BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20181210BHJP
   C07C 213/00 20060101ALI20181210BHJP
   C07C 215/08 20060101ALI20181210BHJP
   C07C 243/06 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   B01D53/62ZAB
   B01D53/14 220
   B01D53/96
   B01D53/78
   B01D53/14 210
   C01B32/50
   C07C213/00
   C07C215/08
   C07C243/06
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-568211(P2016-568211)
(86)(22)【出願日】2015年1月7日
(86)【国際出願番号】JP2015050280
(87)【国際公開番号】WO2016110965
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】横山 公一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英治
(72)【発明者】
【氏名】島村 潤
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−292618(JP,A)
【文献】 特開昭54−022329(JP,A)
【文献】 特許第6151993(JP,B2)
【文献】 特開昭54−041826(JP,A)
【文献】 特表2014−526380(JP,A)
【文献】 特開平08−089756(JP,A)
【文献】 特表2012−520167(JP,A)
【文献】 特表2006−527153(JP,A)
【文献】 特開2011−115724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−53/18
B01D 53/34−53/96
C01B 32/50
C07B 31/00−61/00
C07B 63/00−63/04
C07C 1/00−409/44
B01J 10/00−12/02
B01J 14/00−19/32
B01B 1/00− 1/08
B01D 1/00− 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニトロソ化合物を含む被処理液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、前記ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記被処理液中に存在するようにし、
次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記被処理液を加熱することを含み、
被処理液が、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収するために用いられたアミン類水溶液をリクレーミングした際に得られる残液である
ニトロソ化合物の分解方法。
【請求項2】
ハロゲン化水素が、塩化水素、臭化水素、およびヨウ化水素からなる群より選ばれる少なくともひとつである、請求項1に記載のニトロソ化合物の分解方法。
【請求項3】
被処理液が塩基性の場合、加熱の前に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸および硝酸からなる群より選ばれる少なくとも一つで被処理液を中和することをさらに含む、請求項1または2に記載のニトロソ化合物の分解方法。
【請求項4】
二酸化炭素を含む被処理ガスとアミン類を含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、
CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、
工程(V)の際に得られる残液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、該残液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記残液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記残液を加熱してアミン類を回収する工程(IIIb)、および
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の残部および/または工程(IIIb)で回収されたアミン類を工程(I)に供給する工程(IV)
を有する被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。
【請求項5】
燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収するために用いられたアミン類水溶液をリクレーミングするためのリクレーミング装置、
リクレーミング装置に残ったニトロソ化合物を含む被処理液を加熱してニトロソ化合物を分解するための反応槽、
反応槽の気相部に搬送用ガスを導入するためのガス流路、
前記分解で生成する分解ガスを反応槽から排出するためのガス路、
分解ガスを冷やして水蒸気を凝縮させるための冷却器、および
分解ガス中のハロゲンガスを回収するためのハロゲン回収装置
を有するニトロソ化合物分解処理装置。
【請求項6】
前記ハロゲン回収装置が、アルカリ金属の水酸化物、マグネシウムの水酸化物、およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくともひとつを含む水溶液にて、ハロゲンガスを吸収するものである、請求項に記載のニトロソ化合物分解処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロソ化合物を分解処理する方法、ニトロソ化合物の分解処理装置、並びに被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法に関する。より詳細に、本発明は、ボイラなどの燃焼装置から排出されるガス中の二酸化炭素の回収に用いられたCO2吸収液中またはリクレーミングで該CO2吸収液中の熱安定性塩をアミン類に転化した際に残るリクレーマ残液中に含まれているアミン類由来のニトロソ化合物を低温度で高効率にて分解してアミン類にすることができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所等においては化石燃料を燃焼させるので、二酸化炭素(CO2)が大量に発生する。二酸化炭素は、温暖化原因物質の一つとして、その排出量の抑制が各国で進められている。二酸化炭素を回収する方法として、現在、最も実用化に近い方法としてアルカノールアミンなどのアミン類を含む液による吸収方法が知られている(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
燃焼排ガスは、CO2以外に、HCl(塩化水素)、NOx(窒素酸化物)、SOx(硫黄酸化物)等の酸性ガス成分; 酸素、窒素、水蒸気などを含んでいる。この燃焼排ガスをアミン類を含むCO2吸収液に接触させると、CO2の他に酸性ガス成分もCO2吸収液に吸収される。酸性ガス成分がアミン類と結合すると無機酸塩を形成する。例えば、HClは塩酸塩を、NOxは硝酸塩を、SO2は硫酸塩を形成する。また、アミン類の分解によって副生するギ酸、蓚酸、酢酸などの有機酸がアミン類と結合すると有機酸塩を形成する。このような有機酸塩や無機酸塩などは熱的に安定な塩(以後、熱安定性塩(Heat Stable Salt)ということがある。)である。熱安定性塩は、金属を腐食させたり、CO2の吸収能力を低下させたりする。このような熱安定性塩は、リクレーミングなどによって除去されている。
【0004】
アミン類を含むCO2吸収液は、燃焼排ガスからの二酸化炭素の回収に使用している間に、アミン類の一部がニトロソ化することがある。また、リクレーミングでCO2吸収液中の熱安定性塩をアミン類に転化した際に残るリクレーマ残液には、熱安定性塩と、回収しきれなかったアミン類と、アミン類のニトロソ化によって生成するニトロソ化合物とが含まれている。
ところで、アミン類に由来するニトロソ化合物は、由来元のアミン類に比べて二酸化炭素の吸収が低く、二酸化炭素の回収効率を低下させるので、係るニトロソ化合物を除去する検討が種々行われている。例えば、特許文献2は、ニトロソアミンを含む組成物に電磁エネルギを照射することによって分解する方法を開示している。また、特許文献3は、ニトロソアミンを加熱して分解する方法を開示している。多くのニトロソアミン類は元のアミン類に比べて沸点が高い。例えば、ジメチルアミン(沸点7.0℃)のニトロソ化で生成するN−ニトロソジメチルアミンの沸点は151〜154℃であり、ジエチルアミン(沸点55.5℃)のニトロソ化で生成するN−ニトロソジエチルアミンの沸点は177℃である。アミン類のニトロソ化物は、熱分解のために高い温度で加熱する必要がある。アミン類のニトロソ化物の熱分解法においては、CO2吸収液の主成分であるアミン類も一緒に熱分解してしまうので、アミン類の損失が多い。アミン類の再生のためにイオン交換樹脂法または電気透析法を採用している二酸化炭素回収装置においては、高温度に加熱するための設備がないので、従来のニトロソ化合物の熱分解法を実施するためには高温度に加熱するための設備が必要である。アミン類の再生のために蒸留法を採用している二酸化炭素回収装置においては、リクレーミング装置から排出されるリクレーマ残液に含まれるニトロソ化合物を低コストで処理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3529855号
【特許文献2】WO2013/043802
【特許文献3】WO2012/104137
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ボイラなどの燃焼装置から排出されるガス中の二酸化炭素の回収に用いられたCO2吸収液中またはリクレーミングで該CO2吸収液中の熱安定性塩をアミン類に転化した際に残るリクレーマ残液中に含まれているアミン類由来のニトロソ化合物を低温度で高効率にて分解してアミン類にすることができる方法を提供することである。
本発明の別の目的は、CO2吸収能力を有するアミン類の消費が少ない二酸化炭素の回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記目的を達成するために検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
【0008】
〔1〕ニトロソ化合物を含む被処理液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、前記ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記被処理液中に存在するようにし、
次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記被処理液を加熱することを含む、
ニトロソ化合物の分解方法。
〔2〕ハロゲン化水素が、塩化水素、臭化水素、およびヨウ化水素からなる群より選ばれる少なくともひとつである、〔1〕に記載のニトロソ化物の分解方法。
〔3〕被処理液が、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収するために用いられたアミン類水溶液をリクレーミングした際に得られる残液である、〔1〕または〔2〕に記載のニトロソ化合物の分解方法。
〔4〕被処理液が塩基性の場合、加熱の前に、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸および硝酸からなる群より選ばれる少なくとも一つで被処理液を中和することをさらに含む、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載のニトロソ化合物の分解方法。
【0009】
〔5〕二酸化炭素を含む被処理ガスとアミン類を含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、
CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の一部にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、該CO2リーン吸収液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記CO2リーン吸収液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記CO2リーン吸収液を加熱する工程(IIIa)、および
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の残部および/または工程(IIIa)で加熱されたCO2リーン吸収液を工程(I)に供給する工程(IV)
を有する被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。
【0010】
〔6〕二酸化炭素を含む被処理ガスとアミン類を含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、
CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、
工程(V)の際に得られる残液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、該残液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記残液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記残液を加熱してアミン類を回収する工程(IIIb)、および
工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の残部および/または工程(IIIb)で回収されたアミン類を工程(I)に供給する工程(IV)
を有する被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法。
【0011】
〔7〕ニトロソ化合物を含む被処理液を該ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素の存在下にて常圧下75℃以上水の沸点以下の温度にて加熱してニトロソ化合物を分解するための反応槽、 反応槽の気相部に搬送用ガスを導入して前記分解で生成する分解ガスを反応槽から排出するためのガス路、 分解ガスを冷やして水蒸気を凝縮させるための冷却器、および 分解ガス中のハロゲンガスを回収するためのハロゲン回収装置を有するニトロソ化合物分解処理装置。
〔8〕前記ハロゲン回収装置が、アルカリ金属の水酸化物、マグネシウムの水酸化物、およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくともひとつを含む水溶液にて、ハロゲンガスを吸収するものである、〔7〕に記載のニトロソ化合物分解処理装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法によれば、ボイラなどの燃焼装置から排出されるガス中の二酸化炭素の回収に用いられたCO2吸収液中またはリクレーミングで該CO2吸収液中の熱安定性塩をアミン類に転化した際に得られるリクレーマ残液中に含まれているアミン類由来のニトロソ化合物を低温度で高効率にて分解してアミン類にすることができる。
本発明の方法によれば、二酸化炭素の回収において失われるアミン類の量を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ニトロソ化合物の分解方法を実施するための装置の一実施形態を示す図である。
図2】ニトロソ化合物の分解方法を実施するための装置の一実施形態を示す図である。
図3】本発明の二酸化炭素回収方法を実施するための装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係るニトロソ化合物の分解方法は、ニトロソ化合物を含む被処理液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、前記ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記被処理液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記被処理液を加熱することを含むものである。
【0015】
ニトロソ化合物は、ニトロ化合物の還元またはアミン類のニトロソ化によって得られる。これらのうち、アミン類のニトロソ化によって得られるニトロソ化合物が本発明に好適である。
アミン類としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンなどが挙げられる。
一級アミンとしては、モノメタノールアミン、モノエタノールアミンなどのモノアルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミンなどのアルキルアミンなどが挙げられる。
二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、t−ブチルエチルアミン、ジブチルアミンなどのジアルキルアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミンなどのジアルカノールアミン;N−メチル−N−(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)アミン、N−エチル−N−(ヒドロキシブチル)アミン、N−イソプロピル−N−(ヒドロキシエチル)アミン、N−メチル−N−(ヒドロキシプロピル)アミンなどのN−アルキル−N−(ヒドロキシアルキル)アミン;ヘプタメチレンイミン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリンなどの環状アミンなどが挙げられる。
三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミンなどのトリアルカノールアミン;キヌクリジン、ピリジンなどの環状アミンなどが挙げられる。
これらのうち、アルカノールアミン類が好ましく、N−ヒドロキシアルキルアミン、N−アルキル−N−ヒドロキシアルキルアミンがより好ましい。
【0016】
本発明に用いられる被処理液に含まれるニトロソ化合物としては、一級アミン(RNH2)の酸化などで生成するR−N=Oで表されるニトロソ化合物〔ニトロソアルカン類〕、一級アミン(RNH2)または二級アミン(R2NH)と亜硝酸との反応などで生成するRNH−N=OまたはR2N−N=Oで表されるN−ニトロソ化合物〔N−ニトロソアミン類〕などが挙げられる。但し、Rはアルキル基、ヒドロキシアルキル基などのN−置換基である。R−N=Oで表されるニトロソ化合物はRが一級アルキル基または二級アルキル基であるときオキシムに変異していることもあるが、本発明ではこれら互変異体もニトロソ化合物に含める。また、ニトロソアルカンは二量体になっていることもあるが、本発明ではこの二量体もニトロソ化合物に含める。RNH−N=Oで表されるN−ニトロソアミンは不安定な物質で室温において分解しジアゾヒドロキシドに変異するが、本発明ではこの互変異体もニトロソ化合物に含める。
【0017】
ニトロソ化合物の具体例としては、N−ニトロソジエタノールアミン、N−ニトロソヘプタメチレンイミン、N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジエチルアミン、N−ニトロソメチルヒドロキシエチルアミン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ニトロソアミン、N−tert−ブチル−N−エチルニトロソアミン、N−ニトロソジブチルアミン、N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)ニトロソアミン、N−ブチル−N−(4−ヒドロキシブチル)ニトロソアミン、N−ニトロソモルホリンなどが挙げられる。これらのうち、本発明に係る方法の分解対象として水に溶解又は混和するニトロソ化合物が好適に用いられる。
【0018】
このようなニトロソ化合物を含む被処理液としては、燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収するために用いられたアミン類水溶液(以下、CO2吸収液ということがある。)、該CO2吸収液から熱安定性塩を除去する操作(リクレーミング)を行った際に得られる残液(以下、リクレーマ残液ということがある。)が好適に用いられる。CO2吸収液は、主成分としてのアミン類と、不純物としてのニトロソ化合物とを少なくとも含む水溶液である。リクレーマ残液は、熱安定性塩と、回収しきれなかったアミン類と、アミン類のニトロソ化によって生成するニトロソ化合物とを含む水溶液である。
【0019】
ニトロソ化合物の沸点はアミン類の沸点よりも高い場合が多いので、被処理液からアミン類を留去してニトロソ化合物を濃縮しておいてから本発明の分解方法を行うことが好ましい。被処理液中のアミン類が少量であれば該アミン類との反応によって消費されるハロゲン化水素の量が減り、添加するべきハロゲン化水素酸の量を減らすことができる。また、ニトロソ化合物を分解させるための加熱によって無用に分解されるアミン類を減らすことができる。また、被処理液中の水の量も減らしておくことが好ましい。後述するように副生するハロゲン化ニトロシルが水と反応して亜硝酸を生成し、この亜硝酸が再びアミン類をニトロソ化させることがあるからである。
【0020】
本発明に用いられるハロゲン化水素を含む水溶液(ハロゲン化水素酸)としては、塩化水素の水溶液(塩酸)、臭化水素の水溶液(臭化水素酸)、およびヨウ化水素の水溶液(ヨウ化水素酸)からなる群より選ばれる少なくとも一つが挙げられる。
被処理液に添加されるハロゲン化水素酸の量は、ニトロソ基1モルに対して、2モル以上20モル以下、好ましくは3モル以上20モル以下で、液中にハロゲン化水素が理論的に存在するようになる量である。なお、ニトロソ基の量には互変異体の量を含む。また、被処理液がアミン類などの塩基を含有している場合、添加されたハロゲン化水素の一部が塩基との反応によって消費される。被処理液に添加されるハロゲン化水素酸の量は、この消費量を勘案して決定される。
ハロゲン化水素の存在量を上記の範囲とすることによって、ニトロソ化合物から再生するアミン類がハロゲン化水素と反応して熱安定性塩を生成し、ニトロソ化合物から再生したアミン類の無用な熱分解を防止できる。
また、被処理液のpHは、5未満であることが好ましく、3未満であることがより好ましく、2未満であることがさらに好ましい。塩基を添加してリクレーミングを行った際に得られる残液などのように塩基性を示す被処理液を用いる場合は、加熱の前に、被処理液を中和することが好ましい。中和には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸および硝酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。中和反応によって発熱するので加温のためのエネルギを節約できる。
【0021】
ニトロソ化合物の分解は、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度に加熱することによって行われる。本発明によるニトロソ化合物の分解過程の詳細は定かでないが、例えば、下式に示すような化学反応で分解されていると推測する。この分解によってニトロソ化合物を元のアミン類に再生することができる。
【0022】
【化1】
【0023】
この分解反応で副生するYNO(ハロゲン化ニトロシル)は、水との反応によって亜硝酸を副生することがある。また、ハロゲン化ニトロシルは、沸点が、例えば塩化ニトロシルは−6.4℃であり、アミン類より低い場合が多いので、ニトロソ化合物を分解させるための加熱温度を調整することによってハロゲン化ニトロシルを気化させて除去することができる。
【0024】
被処理液に含まれているアミン類のうちハロゲン化水素と反応して熱安定性塩を生成したものは、ニトロソ化合物を分解させるための加熱によっても分解しない。しかし、熱安定性塩化していないアミン類は、ニトロソ化合物を分解させるための加熱によって多少分解するので、加熱温度はできるだけ低い温度で行うことが好ましいが、低すぎると分解反応速度が遅くなる。よって、加熱温度は、75℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上で、且つ水の沸点(約100℃)以下、好ましくは水の沸点未満である。
【0025】
本発明の第一実施形態に係る被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法は、二酸化炭素を含む被処理ガスとアミン類を含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、 CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、 工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の一部にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、該CO2リーン吸収液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記CO2リーン吸収液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記CO2リーン吸収液を加熱する工程(IIIa)、および 工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の残部および/または工程(IIIa)で加熱されたCO2リーン吸収液を工程(I)に供給する工程(IV)を有するものである。
【0026】
本発明の第二実施形態に係る被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法は、二酸化炭素を含む被処理ガスとアミン類を含むCO2リーン吸収液とを接触させて、二酸化炭素をCO2リーン吸収液に吸収させてCO2リッチ吸収液を得る工程(I)、 CO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させてCO2リーン吸収液に再生する工程(II)、 工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の一部をリクレーミングして熱安定性塩を除去する工程(V)、 工程(V)の際に得られる残液にハロゲン化水素を含む水溶液を添加して、該残液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が前記残液中に存在するようにし、次いで、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて前記残液を加熱してアミン類を回収する工程(IIIb)、および 工程(II)で再生されたCO2リーン吸収液の残部および/または工程(IIIb)で回収されたアミン類を工程(I)に供給する工程(IV)を有するものである。
【0027】
本発明の実施形態に係る被処理ガス中の二酸化炭素を回収する方法は、例えば、図3に示すような装置にて行うことができる。
本発明において、工程(I)、工程(II)および工程(IV)は、通常、連続的に且つ同時に行われる。
工程(I):被処理ガス11はブロワ12にてCO2吸収塔1の底部3に供給され、充填層2を上昇し、頂部から処理済みガス4として放出される。被処理ガス11はその圧力が常圧以上になっていてもよいし、常圧であってもよい。被処理ガス11の温度は100℃以下が好ましい。充填層2の上部にアミン類を含むCO2リーン吸収液がノズル6から降り注がれ、充填層2にて被処理ガスと接触し、被処理ガス中の二酸化炭素を吸収し、CO2吸収塔の底部10に溜まる。底部10に溜まった液は、二酸化炭素を豊富に含み、CO2リッチ吸収液と呼ばれる。
【0028】
工程(II):底部10から抜き出されたCO2リッチ吸収液は熱交換器22にて加熱されて再生塔(CO2脱離塔)13の充填層15の上部にノズル14から降り注がれる。注がれた液は充填層15を下降し、CO2脱離塔の底部に溜まる。CO2脱離塔の底部に溜まる液は、後述するように、二酸化炭素の含有量が少なく、CO2リーン吸収液と呼ばれる。塔底にはリボイラ23が設置されている。リボイラで気化された蒸気が充填層15を上昇し、充填層15を下降するCO2リッチ吸収液を加熱して二酸化炭素を脱離させる。脱離した二酸化炭素は、水洗部26にてミスト除去され、CO2脱離塔の頂部から排出される。さらに分離器17にて水が回収され、二酸化炭素は管18にて次工程に送られ、回収した水はCO2脱離塔の水洗部26またはCO2吸収塔の頂部のノズル9に供給される。
【0029】
工程(IV):CO2脱離塔の底部に溜まったCO2リーン吸収液は熱交換器22にて冷却されて、CO2吸収塔1に戻される。
【0030】
本発明の第一実施形態において、工程(IIIa)は、連続的に常時行ってもよいが、CO2吸収液のCO2吸収能力が低下してきたときに行うことが、省エネルギの観点から好ましい。
また、本発明の第二実施形態において、工程(V)および工程(IIIb)は、連続的に常時行ってもよいが、CO2吸収液のCO2吸収能力が低下してきたときに行うことが、省エネルギの観点から好ましい。
【0031】
CO2吸収液のCO2吸収能力の低下は、既に述べたとおり、CO2吸収液中の熱安定性塩および/またはニトロソ化合物の量の増加によって引き起こされる。CO2吸収液中の熱安定性塩およびニトロソ化合物の量は公知の方法で測定することができる。
【0032】
CO2吸収液中の熱安定性塩の量が比較的に少なく、CO2吸収液中のニトロソ化合物の量が比較的に多い場合、工程(IIIa)を行うことができる。
工程(IIIa):例えば、図3に示す装置におけるCO2脱離塔の底部からCO2リーン吸収液の一部を排出する。排出したCO2リーン吸収液を後述するようなニトロソ化合物分解処理装置に移送して、該装置にてニトロソ化合物を分解させることができる。
別の方法として、図3に示す装置においてバルブ30を開くとリクレーミング装置24の伝熱管に水蒸気が送られる。CO2脱離塔13の底部から抜き出されたCO2リーン吸収液がリクレーミング装置24の伝熱管にて加熱される。そして、CO2リーン吸収液に含まれるアミン類および水は気化しCO2脱離塔に戻される。熱安定性塩およびニトロソ化合物は濃縮される。濃縮された液にハロゲン化水素酸を供給して、濃縮液を該CO2リーン吸収液に含まれるニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素の存在下に加熱する。このようにすると、ニトロソ化合物がニトロソ化前のアミン類に再生される。なお、加熱は、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度で行う。ここで、被処理液の濃縮後、ハロゲン化水素酸の供給及び常圧での加熱処理中、例えば、該装置24と脱離塔13との間の配管のバルブ31,32を閉止することにより、リクレーミング装置24をCO2脱離塔13から独立させるのが望ましい。装置24内の気液のCO2脱離塔13への移動が防止される。この際、リクレーミング装置24内のガスは後述の実施例のように廃ガス処理を行った後に排気しても良いし、処理済みガス4と共に大気中に放出してもよい。上記処理終了後は、閉止したバルブ31,32を開放し、通常のリクレーミング操作に戻すことができ、ハロゲン化アミン塩を含む被処理液をアミンに再生できる。
【0033】
工程(VI):工程(IIIa)で加熱された濃縮液に熱安定性塩が残っている場合はスラッジとしてリクレーミング装置24からバルブ33を開いて取り出すか、またはリクレーミング(工程(V))を行う。
【0034】
CO2吸収液中の熱安定性塩の量が比較的に多い場合、工程(V)を行うことができる。
リクレーミング(工程(V))は、例えば、以下のようにして行われる。リクレーミング装置24内にある熱安定性塩の残存しているCO2リーン吸収液にアルカリ成分(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩など)を添加し加熱して熱安定性塩をアミン類に再生する。再生されたアミン類は気化させてCO2脱離塔に戻すことができる。
工程(IIIb):工程(V)の際に得られる残液をリクレーミング装置24から排出する。排出した残液を以下に説明するようなニトロソ化合物分解処理装置に移送して、ニトロソ化合物を分解させることができる。
【0035】
本発明の一実施形態に係るニトロソ化合物分解処理装置は、ニトロソ化合物を含む被処理液(前記の残液など)を該ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素の存在下にて常圧下75℃以上水の沸点以下の温度にて加熱してニトロソ化合物を分解するための反応槽、 反応槽の気相部に搬送用ガスを導入して前記分解で生成する分解ガスを反応槽から排出するためのガス路、 分解ガスを冷やして水蒸気を凝縮させるための冷却器、および 分解ガス中のハロゲンガスを回収するためのハロゲン回収装置を有するものである。搬送用ガスは、ハロゲンガスと反応しないガスであれば特に制限されない。例えば、窒素ガス、空気などが挙げられる。ハロゲン化水素は反応槽に入れた被処理液にハロゲン化水素酸を添加することによって供給することができる。冷却器では凝縮水を反応槽に還流させることができる。
【0036】
ハロゲン回収装置は、公知のガス吸収装置を採用することができる。ガス吸収に使用する液(以下、ハロゲン吸収液ということがある。)としては、アルカリ金属の水酸化物、マグネシウムの水酸化物、およびアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくともひとつを含む水溶液が好ましい。また、分解ガス中にNOなどが含まれている場合は、脱硝処理をして大気に排出することが好ましい。
【0037】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0038】
実施例で使用した装置は一例であり、本発明の範囲を制限するものではない。例えば、加熱用の恒温水槽、反応槽としてのフラスコ、ハロゲンガス回収装置としてのインピンジャ等は、他の同機能の機器を使用しても同様の結果を得ることができる。
【0039】
ニトロソ化合物の量は、GC(ガスクロマトグラフ)−TEA(熱エネルギ分析)装置(Ellutia製 TEA−800)で測定した。
アミン化合物の量はイオンクロマトグラフ(DIONEX製 ICS−1500)で測定した。なお、アミン化合物の量は塩化アミンをアミン化合物に質量換算した量を含む。
【0040】
実施例1
図2に示す装置を使用して実験を行った。
ジエタノールアミン(C411NO2,以下DEA,分子量105g/mol,沸点268.8℃(昭和化学社MSDSによる))76.5質量%、水13.5質量%、およびニトロソジエタノールアミン(C41023,以下NDEA,分子量134g/mol)10質量%を含有する被処理液を用意した。
ハロゲン化水素酸としては塩酸(HCl濃度36質量%)を用意した。
フラスコ303に被処理液10gと塩酸9.65g(DEA1モルに対して1モルとなる質量とNDEA1モルに対して3モルとなる質量との合計)とを入れた。該フラスコを恒温水槽301aに設置した。フラスコに冷却器306を取り付けて、20℃の水305を循環させた。また、フラスコ303の気相部に搬送用ガス304として空気(露点20℃)を0.2NL/minで供給した。さらに希釈用ガス311として空気をT字管309にて2NL/minで供給した。
インピンジャ312に0.1NのNaOH水溶液を入れた。T字管を経由して排出されたガスをインピンジャ312に通した。
【0041】
恒温水槽301aの温度を95℃に設定し、被処理液を24時間加熱して、分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが1.6mgに、DEA7.65gが8.43gに変化していた。NDEAが99.8%分解された。
【0042】
実施例2
塩酸(HCl濃度36質量%)の量を8.89g(DEA1モルに対して1モルとなる質量とNDEA1モルに対して2モルとなる質量との合計)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが54mgに、DEA7.65gが8.39gに変化していた。NDEAが94.6%分解された。
【0043】
実施例3
塩酸(HCl濃度36質量%)の量を22.50g(DEA1モルに対して1モルとなる量とNDEA1モルに対して20モルとなる量との合計)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが1.3mgに、DEA7.65gが8.43gに変化していた。NDEAが99.9%分解された。
【0044】
実施例4
塩酸9.65gを臭化水素酸(HBr濃度48質量%)14.80g(DEA1モルに対して1モルとなる質量とNDEA1モルに対して2モルとなる質量との合計)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが1.6mgに、DEA7.65gが8.43gに変化していた。NDEAが99.9%分解された。
【0045】
比較例1
塩酸の量を0gに変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を試みた。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEAおよびDEAの質量に変化が無かった。NDEAは全く分解されていなかった。
【0046】
比較例2
塩酸(HCl濃度36質量%)の量を7.38g(DEA1モルに対して1モルとなる質量)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEAおよびDEAの質量に変化が無かった。NDEAは全く分解されていなかった。添加した塩酸は中和反応にすべて消費されてしまった。
【0047】
比較例3
塩酸の量を8.13g(DEA1モルに対して1モルとなる質量とNDEA1モルに対して1モルとなる質量との合計)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが0.5gに、DEA7.65gが8.04gに変化していた。NDEAが50%分解された。
【0048】
比較例4
恒温水槽301aの設定温度を70℃に変更した以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEAおよびDEAの質量に変化が無かった。NDEAは全く分解されていなかった。
【0049】
比較例5
塩酸9.65gを硫酸(H2SO4濃度98質量%)4.77g(DEA1モルに対して0.5モルとなる質量とNDEA1モルに対して1.5モルとなる質量との合計)に変えた以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEAおよびDEAの質量に変化が無かった。NDEAは全く分解されていなかった。
【0050】
実施例5
恒温水槽301aの設定温度を80℃に変更した以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが0.3gに、DEA7.65gが8.20gに変化していた。NDEAが70%分解された。
【0051】
実施例6
塩酸9.65gを硫酸(H2SO4濃度98質量%)3.65g(DEA1モルに対して0.5モルとなる質量)と塩酸2.27g(NDEA1モルに対して3モルとなる質量)に変え、被処理液に、先ず硫酸を添加し、その後に塩酸を添加した以外は実施例1と同じ手法で分解反応を行った。フラスコに残る液の質量および組成を測定した。NDEA1.0gが1.6mgに、DEA7.65gが8.43gに変化していた。NDEAが99.8%分解された。硫酸の添加によって被処理液が中和された。
【0052】
実施例7
図1に示す装置を使用して実験を行った。
DEA765g、水135gおよびNDEA100gからなる被処理液を用意した。
ハロゲン化水素酸としては塩酸(HCl濃度36質量%)を用意した。
内容積10Lの反応槽301に被処理液1000gと、塩酸(DEA1モルに対して1モルとなる質量とNDEA1モルに対して3モルとなる質量との合計)965gとを入れた。反応槽301の気相部に搬送用ガス304として空気(露点20℃)を20NL/minで供給した。さらに希釈用ガス311として空気を200NL/minで供給した。
ハロゲン吸収塔313の底部にガスを導入して、充填層314の上部から0.1NのNaOH水溶液を降り注いだ。
【0053】
反応槽の温度を95℃に設定し、被処理液を24時間加熱して、分解反応を行った。反応槽に残る液の質量および組成を測定した。NDEA100gが160mgに、DEA765gが825gに変化していた。NDEAが99.8%分解された。スケールアップした場合でも、実施例1の実験結果が再現された。ハロゲン吸収塔313の頂部から排出されるガスにはハロゲンガスがほとんど含まれていなかった。
【0054】
これらの結果が示すとおり、ニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が存在するようにして、常圧下、75℃以上水の沸点以下の温度にて加熱すると、ニトロソ化合物が高率で分解してアミン類に転化できる。
アミン類を含有する被処理液ではアミン類の中和で消費されるハロゲン化水素の量を勘案して添加することが必要である(比較例2および3)。また、アミン類の中和が硫酸などで行われた場合でもニトロソ化合物中のニトロソ基1モルに対して2モル以上20モル以下のハロゲン化水素が存在するようにしてあれば、ニトロソ化合物が高率で分解してアミン類に転化できる。
本発明の方法は加熱温度が75℃以上水の沸点以下という低い温度であるので、電気透析法やイオン交換膜法によるアミン再生を採用している二酸化炭素回収装置において本発明の方法を採用すれば、追加の装置を設置しなくても、ニトロソ化合物からアミン類を高率で回収することができる。
【符号の説明】
【0055】
301a,301b:恒温水槽、 302:被処理液、 303:フラスコ、
304:搬送用ガス、 305:冷却水、 306:冷却器、 307:熱電対、
308:水、 309:T字管、 310:密栓、 311:希釈用ガス、
312:インピンジャ、 301:反応槽、 313:ハロゲン吸収塔、
314:充填層、 315:ポンプ、 316:ハロゲン吸収液
図1
図2
図3