特許第6442556号(P6442556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6442556-大サイズナット用の回転防止装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442556
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】大サイズナット用の回転防止装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 39/10 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   F16B39/10 D
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-93669(P2017-93669)
(22)【出願日】2017年5月10日
(62)【分割の表示】特願2014-520703(P2014-520703)の分割
【原出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2017-150673(P2017-150673A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年6月1日
(31)【優先権主張番号】1156707
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルベ・ジヌー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジェラール・エドモン・ジョリー
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ジャン−ルイ・ロベール・トリー
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−225213(JP,A)
【文献】 実開昭56−025823(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00− 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄部分(12)上で締め付けられた位置にあるナット(11)用の回転防止装置(10)であって、
ナット(11)の一方の端部に設けられた複数の上側切欠部(13)であって、ナット(11)の長手方向軸に沿って延びる、前記上側切欠部(13)と、
雄部分(12)の1つの周辺ゾーン(15)内に設けられた複数の下側切欠部(14)であって、雄部分(12)の長手方向軸(X)に沿って延び、前記下側(14)および上側(13)の切欠部が、ナット(11)が雄部分(12)上で締め付けられた位置にあるときに少なくとも部分的に重複する、前記下側切欠部(14)と、
雄部分の周辺ゾーンの内側に取り付けられるリング(16)であって、雄部分(12)の下側切欠部(14)の1つ、およびナット(11)の上側切欠部(13)の1つの両方内に収容される少なくとも1つの係止手段(17)を備えるリング(16)とを備え、
雄部分(12)は、少なくとも周辺ゾーン(15)では中空であることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
係止手段(17)が、長いフィンガ(17)であることを特徴とする、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
リング(16)が、少なくとも2本の短いフィンガ(18)をさらに備え、各々の短いフィンガ(18)が下側切欠部(14)内に収容されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
リング(16)が、4本の短いフィンガ(18)を備え、各々の短いフィンガ(18)が下側切欠部(14)内に収容されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
下側切欠部(14)の数が、上側切欠部(13)の数に対して素であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項6】
下側切欠部(14)および上側切欠部(13)が、同じ長さを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
雄部分(12)の円周方向に沿った下側切欠部(14)の幅と、ナット(11)の円周方向に沿った上側切欠部(13)の幅が、同じであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
下側切欠部(14)の基部および上側切欠部(13)の基部が、ナット(11)が締め付けられた位置にあるときに長手方向軸(X)に沿って位置合わせされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
上側切欠部(13)および下側切欠部(14)だけが、ナット(11)が締め付けられた位置にあるときに係止手段(17)を受け入れるように配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の、雄部分(12)上で締め付けられた位置にあるナット(11)用の回転防止装置(10)を備える航空機エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄部分上に締め付けられたナット、たとえば航空機エンジンのタービンブレード上に締め付けられたナット用の回転防止装置に関する。本発明の技術分野は、一般的に言えば、大径のナット用の回転防止装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
雄部分に締め付けた後のナットの回転を防止するために、回転防止装置が組み込まれなければならない。従来技術の小サイズの特定のナットは、自己係止具を有するが、自己係止具は、大サイズのナットには適用されない。実際、自己係止具は、15.875ミリメートル直径の4ナット上でのみ利用可能である。
【0003】
したがって、従来技術の特定の解決策は、フィンガと切欠部の間の共同による回転防止機能を提案している。たとえば、CFM56航空機エンジン上では、タービンブレード上に締め付けられたナットの回転防止機能は、タービンブレードの内側に位置する通気管を介して確実にされる。実際に、フィンガは、通気管上に取り付けられ、ナットおよびブレードの切欠部内に収容され、そのために、ナットがブレード周りを回転することを防止する。通気管は複数の場所において心出しされているため、フィンガの傾斜は不可能である。
【0004】
しかし、特定の航空機エンジン、たとえばSilverCrestは、タービンブレードの内側に通気管を有さず、より一般的には、雄部分は、必ずしも雄部分の内側にフィンガを取り付けるべき部分を有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主題は、雄部分上に締め付けられた大サイズのナット用の回転防止装置であって、一部分が事前に雄部分の内側に取り付けられなければならないこと、およびフィンガが前記部分上に固定されることを必要としない、回転防止装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、したがって本質的には、少なくとも周囲ゾーンにおいて中空である前記雄部分上で締め付けられた位置にあるナット用の回転防止装置であって:
・ナットの一方の端部に設けられた複数の上側切欠部であって、ナットの長手方向軸に沿って延びる、前記上側切欠部と、
・雄部分の周辺ゾーン内に設けられた複数の下側切欠部であって、雄部分の長手方向軸に沿って延び、前記下側および上側の切欠部が、ナットが雄部分上で締め付けられた位置にあるときに少なくとも部分的に重複する、前記下側切欠部と、
・雄部分の周辺ゾーンの内側に取り付けられるリングであって、雄部分の下側切欠部の1つおよびナットの上側切欠部の1つの両方内に収容される少なくとも1本の長いフィンガを備える、前記リングと、
を備えることを特徴とする装置に関する。
【0007】
本発明の装置により、リングの長いフィンガが、ナットの回転を防止する。
【0008】
先行の段落において述べられた主要特性以外に、本発明による環状シュラウドは、以下の中の1つまたは複数の相補的な特性を有することができ、これらの特性は、個々にまたはその技術的に可能な組み合わせにしたがって考慮される:
・リングは、下側切欠部の1つ内に各々が収容される少なくとも2本の短いフィンガをさらに備える。短いフィンガは、リングの釣り合いをとり、これが傾斜するのを止める。
・リングは、下側切欠部内に各々が収容される4本の短いフィンガを備える。この数は、リングのバランスをとることを最適化することを可能にする。
・下側切欠部の数は、上側切欠部の数に対して素である。したがって、上側切欠部が下側切欠部と位置合わせされるナットの位置の組み合わせの数は、最大化され、それによって、下側切欠部を上側切欠部に位置合わせする間にかかる過剰トルクを低減し、したがって構造に負担をかけない。
・下側切欠部および上側切欠部は、同じ長さを有する。リングの位置は、そのためにより安定的である。
・下側切欠部および上側切欠部は、同じ幅を有する。回転防止装置は、そのために、リングと切欠部の間に隙間が存在しないので最適化される。
・下側切欠部の基部および上側切欠部の基部は、ナットが締め付けられた位置にあるときに長手方向軸に沿って位置合わせされる。リングの位置は、そのためにより安定的である。
・上側切欠部および下側切欠部だけが、ナットが締め付けられた位置にあるときに長いフィンガを受け入れるように配置される。
【0009】
第2の態様によれば、本発明は、本発明による、雄部分上で締め付けられた位置にあるナット用の回転防止装置を備える航空機エンジンに関する。
【0010】
本発明およびそのさまざまな適用分野は、後続の説明を読み取り、これに付随する図を検討することによってより良好に理解されるであろう。
【0011】
図は、表示目的のためにのみ提示され、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による、航空機エンジンのタービンブレード上に締め付けられたナット用の回転防止装置の概略図である。
図2図1の装置に使用されるリングの概略図である。
図3図1の装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および図3は、本発明の実施形態による、航空機エンジンのタービンブレード12上に締め付けられたナット11用の回転防止装置10の概略図である。このブレード12/ナット11組立体では、ナット11は雌部分を構成し、ブレード12は雄部分を構成する。ブレード12は、円筒状であり、長手方向軸Xに沿って延びる。ブレード12上で締め付けられた位置にあるナットもまた、X軸と合流される、長手方向軸に沿って延びる。さらには、ブレード12は、少なくとも周辺ゾーン15では中空である。
【0014】
ブレード12は、下側切欠部14と呼ばれる複数の切欠部を備える。下側切欠部14は、ブレード12の周辺ゾーン15内に設けられ、長さLiにわたって長手方向軸Xに沿って延びる。ナット11もまた、上側切欠部13と呼ばれる複数の切欠部を備える。上側切欠部13は、ナット11の一方の端部上に設けられ、長さLsにわたってナット11の長手方向軸に沿って延びる。下側切欠部14の数は、上側切欠部13の数と先験的には等しくないが、説明された非限定的な実施形態では、上側切欠部13および下側切欠部14は、同じ長さLi、Ls、および同じ幅を有する。
【0015】
ブレード12上のナット11の締め付けられた位置では、下側切欠部14および上側切欠部13は、重複しており、少なくとも1つの上側切欠部13は、下側切欠部14と位置合わせされる。重複は、上側切欠部13によって下側切欠部14を部分的にまたは完全に覆うこと、および下側切欠部14の基部を上側切欠部13の基部と長手方向軸Xに沿って位置合わせすることを意味するとされる。
【0016】
ナット11がブレード12上の締め付けられた位置にあるとき、リング16が、ブレード12の内側に取り付けられる。リング16の直径は、リングが、ブレード12の周辺ゾーン15の内部形状を抱えるようなものである。リングは、位置合わせされた下側切欠部14および上側切欠部13内に収容される長いフィンガ17を備える。長いフィンガ17は、そのためにブレード12上のナット11の回転を防止する。
【0017】
有利には、下側切欠部14の数は、上側切欠部13に対して素である。したがって、上側切欠部13が下側切欠部14と位置合わせされるナット11の位置の組み合わせの数は、最大化され、それによって下側切欠部14と上側切欠部13の位置合わせ中にかかる過剰トルクが低減され、したがって構造に負担をかけない。
【0018】
説明された非限定的な実施形態では、リング16は、ブレード12の4つの下側切欠部14内に収容される4本の短いフィンガ18をさらに備える。短いフィンガ18は、下側切欠部14内に収容されるだけに必要な十分な長さを有する。これらの短いフィンガ18は、一方では、リングがブレード12内で傾斜することを防止することを可能にする。そのため、2本の短いフィンガ18が、傾斜防止機能を確実にするのに十分であることが留意される。さらには、リング16上の短いフィンガ18の数および位置の、図2で表されたような賢明な決定により、リング16の釣り合いをとることが可能になり、それにより、可能性のある不釣り合いを修正するために余分な重量が加えられる必要はない。
【0019】
選択される短いフィンガ18の数および位置は、組立体の形状、特に長いフィンガ17の長さによって決まる。
【0020】
本発明は、例として本明細書の上記で説明される。当業者は、特に、切欠部のサイズおよび数、フィンガの数および配置に関して、本発明による装置15のさまざまな変形形態を加えることができるが、本発明の範囲をこえないものとすることが理解される。
図1
図2
図3