特許第6442561号(P6442561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6442561撚りによる閉ループケーブルの製造方法、対応するケーブルおよびこの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442561
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】撚りによる閉ループケーブルの製造方法、対応するケーブルおよびこの使用
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/18 20060101AFI20181210BHJP
   D07B 9/00 20060101ALI20181210BHJP
   D07B 1/06 20060101ALI20181210BHJP
【FI】
   D07B1/18
   D07B9/00
   D07B1/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-102340(P2017-102340)
(22)【出願日】2017年5月24日
(62)【分割の表示】特願2015-524818(P2015-524818)の分割
【原出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2017-179689(P2017-179689A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2017年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】512309635
【氏名又は名称】アルセロールミタル・ワイヤ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・クータ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・クルトブラス
(72)【発明者】
【氏名】ピエール−フランソワ・バロン
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−147829(JP,A)
【文献】 特開平03−157539(JP,A)
【文献】 特開昭64−017780(JP,A)
【文献】 特開2011−132620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/18
D07B 1/06
D07B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループケーブルの作製方法であって、前記ケーブルがコアと前記コアの周囲にらせん状に巻きつけられた金属ストランドとを備えており、前記ケーブルの両端を、前記ストランドの各々の末端により撚り結節部が形成されている撚り領域に接続し、次に、該コアを局所的に除去した後、該末端を前記ケーブル内部に挿入し、このとき、続いて、ポリマーを用いて各撚り領域をオーバーモールディングし、前記ケーブルが、中心核とストランドが挿入される部分間に均一に分布させたフィンとを備えたユニット式コアを含むものであり、撚り領域のオーバーモールディングが該撚り領域内の該フィンを再構築する機能を果たすことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚り(splicing)による閉ループケーブルの作製方法に関し、また、得られる閉ループ、より詳しくは、これらに限定されないが、引っ張り用(hauling)または運搬−引っ張り用ケーブルが使用されるケーブル輸送設備に組み込まれることが意図される閉ループに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる閉ループケーブルを作製するためには、この両端を連接する機能を果たす撚り(splice)を作製することが必要である。かかる撚りは、各ケーブル末端からのストランドの半分を再配置することにより対合領域の両側でケーブルを閉じ、従って連接すること、および次いで、整列ストランドの各ペア間に結節部を作製すること、次いで、結節ストランドの各々を、ケーブルの事前に局所的に除去したコアの対応する撚り領域の箇所に挿入することを伴う。
【0003】
本発明との関連において、撚り領域は、撚り結節部と、この結節部と直に隣接している2箇所のケーブル部分とを含む領域を意味していると理解されたい。該領域に沿って2つの結節ストランドがケーブルコアの空間内に差し込まれている。
【0004】
従って、当該技術分野の水準によれば、撚りは不可避的に局所的に幾何学的不規則部を含み、これにより、特に:
ケーブルを構成し、ペア様式で採用される整列ストランド間に作製された結節部付近、
前述の結節部の片側の外側ストランド間の遊びの部分の分布部付近(該領域に沿って、結節ストランドがコアの定位置に差し込まれる。);
またはこのような差し込み領域の各々の末端
に種々のレベルの振動が発生する。
【0005】
実際、設備の各ローラー上を移動する撚り領域では、数ミリメートルの幅に達し得る移動が起こる。従って、わかるであろうが、ケーブルの通過速度によっては、設備の各ローラーは、撚りの幾何学的不規則部が通過するたびに一連の散発移動に影響されるか、または周期的振動(この周波数は、場合に応じて、数十ヘルツまたはさらには場合によっては数百ヘルツになり得る。)によって動かされるかのいずれかがみられる。
【0006】
このような振動は、その発生は当該技術分野の水準による引っ張り用または運搬−引っ張り用ケーブルの撚りには内在性であるが、環境を破壊する(例えば、住宅地付近での騒音の発生)および/または一部の構成部材、特に、ケーブル自体、もしくはケーブルループが使用されるデバイスの構成部材の磨耗もしくは疲労を加速させるようなものであり得る。
【0007】
この状況は、人間または材料のいずれかに対して、非常に高い使用率で頻繁に操作され、耐用年数が一般的に数十年であるケーブル輸送設備において特にみられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、この領域で発生する振動をかなり大きく低減するため、またはさらには完全に解消するため、およびこのケーブルの寿命を長くするために、幾何学的規則性が高い撚りを有する閉ループケーブルを得るための撚り方法を提案することにより、このような不都合点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明の主題は、閉ループケーブルの作製方法であって、前記ケーブルがコアと前記コアの周囲にらせん状に巻きつけられた金属ストランドとを備えており、ここで、前記ケーブルの両端を、前記ストランドの各々の末端により撚り結節部が形成されている撚り領域に接続し、次に、該コアを局所的に除去した後、該末端を前記ケーブル内部に差し込み、このとき、続いて、ポリマーを用いて各撚り領域をオーバーモールディングする方法である。
【0010】
本発明による方法は、さらに、単独または組合せで採用される以下の特徴:
オーバーモールディングが、ストランドの上部がポリマーで被覆されないように部分的に行われる;
オーバーモールディングを行う前に、各撚り領域のストランド間の既存の遊びの部分を均一に分布させる;
遊びの部分を、この目的のために成形されたスペーサーを各ストランド間に挿入することにより分布させる;
スペーサーは、オーバーモールディングを行った後、ポリマーを定位置に保持する外表面を有する;
撚り結節部の片側のコアの定位置に差し込まれるストランドの末端を、該末端を該ケーブル内部に差し込んだら該末端と該コアとの間に空隙が存在するように短くし、後でオーバーモールディング中に該空隙にポリマーが充填される;
オーバーモールディングを、二成分型熱硬化性ポリマーを用いて行う
オーバーモールディングを、円筒型内容積を有する金型を用いて行う;
ケーブル内部に挿入する前に、ストランドの末端を、ポリマーを用いてオーバーモールディングすることによりドレッシング(dress)する;
ケーブルが、中心核とストランドが挿入される部分間に均一に分布させたフィンとを備えたユニット式コアを含むものであり、撚り領域のオーバーモールディングが該撚り領域内の該フィンを再構築する機能を果たす、
が組み込まれたものであり得る。
【0011】
本発明の別の主題は、閉ループケーブルの作製方法であって、前記ケーブルがコアと前記コアの周囲にらせん状に巻きつけられた金属ストランドとを備えており、ここで、前記ケーブルの両端を、前記ストランドの各々の末端により撚り結節部が形成されている撚り領域に接続し、次に、該コアを局所的に除去した後、該末端を前記ケーブル内部に差し込み、前記ストランドの末端を、前記ケーブル内部に挿入する前に、ポリマーを用いてオーバーモールディングすることによりドレッシングする方法である。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明に従って得られる閉ループケーブルである。
【0013】
本発明の別の主題は、純粋な引っ張り用ケーブルまたは運搬−引っ張り用ケーブルとしての本発明による閉ループケーブルの使用からなる。
【0014】
本発明は、一例として示したにすぎず、以下の説明を使用し、添付の図面を参照することにより、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】撚り前に切断したケーブルの斜視図である。
図2】本発明による方法に使用され得る遊びの部分の分布用スペーサーの斜視図である。
図3図2に相当する分布スペーサーが挿入されたケーブルの断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明による閉ループケーブルの作製方法は、鋼線で構成された数本の外側ストランドを担持しているユニット式コアを備えた引っ張り用ケーブルの撚りのために好都合に使用され得、ここで、このようなストランドの数はほとんどの場合で6本であり、本出願人の名義での特許出願PCT/FR12/000152に従って作製され、この出願書類に関して限定ではなく例示として以下に記載する。
【0017】
本発明との関連において、閉ループはケーブルの一端を同ケーブル他端に撚りをすることにより得られる無限ループを示し、ここで、この両端は面同士で合わされる。この用語は、具体的には、例えばスリングなどの末端ループを有するケーブルを包含しない。
【0018】
従って、本質的に、撚りは、各々においてストランドが偶数の場合では、一方のストランドの半数を他方のストランドと置き換えること(逆も同様)により、および整列ストランドの各ペア間に結節部を事前に作製した後、ストランドの末端を、事前にコアを除去した領域内の該ケーブル内部に挿入することにより、ケーブルの両端を「対合すること」からなるものである。ストランドが奇数の場合は、連接する一方のケーブル末端において、一方を他方より多くの数のストランドを置き換え、このとき、各末端で置き換えるストランドの2つの数は、ケーブル内のストランドの数の半分に等しい値を含む連続する2つの整数に対応する。整列ストランドのペア間の結節部の製作のため、および程度は低いがケーブル内部への結節ストランドの差し込みのため、多かれ少なかれ種々の直径の局所的増大が生じ、これは公称ケーブル直径の10%にまで達することがあり得、現在の当該技術分野の水準ではこの値を超えないことが要求されている。
【0019】
全撚り作業には、一般的におよそ10名の作業者が必要とされる。
【0020】
詳細には、撚りによる閉ループケーブルの作製は、各末端の結合によって連接する必要があるケーブルの2つの領域の作製から伝統的な方法で始める。この結合は、一般的には、2つのケーブル末端の「対合」のための領域を厳密に配置するため、それぞれが撚り領域の推定長さの中央に配置される金属ワイヤの補助を伴って行われる。当業者には、特にケーブル直径に基づいてこの長さをどのようにして決定するかがわかるであろう。リフト設備では、撚りの全長は公称ケーブル直径の1200倍である。従って54mm直径のケーブルでは、これはほぼ65mの長さになる。
【0021】
結合が行われたら、2つのケーブル末端の対合を、1つ以上のケーブル巻き線に対して行い、次いで、撚り中、2つのケーブル末端の移動(あれば)を回避するためにソフトジョー(soft jaw)を対合領域上に配置し;2つの結び目を取り出し、各ケーブル末端から1つおきのストランドの巻きつけを解くとともに、これを他方のケーブル末端からの整列ストランドで置き換え、これを、各結節部の位置に対してスプライサーによって選択された位置まで行い(両方のケーブル末端に対して)、次いで、コアの定位置に各ストランドの末端への差し込みが意図される長さに沿ってまっすぐにする。
【0022】
次いで、整列ストランドペアの存在だけ多くの撚り結節部を形成するため、整列ストランドの各々を他方のケーブル末端からの整列ストランドに結節する。全長にわたって形成されるこのような結節部の分布において、各結節部は一般的に隣の結節部と数メートル離れているため、事前に選択した厳密な位置に従うことが重要である。
【0023】
次いで、各撚り結節部の片側で、各ストランド末端を該ケーブル内部に差し込み、ここで、対応するケーブル部分に沿って意図的に事前に除去しておいたコアと置き換えられる。
【0024】
外側ストランドが良好な支持を有するように、コアの定位置に差し込まれたストランドは、一般的に、接合しておいた接着性の布地からなるドレッシング材で被覆されなければならない。
【0025】
次に、出願PCT/FR12/000152に従って作製され、図1に示すケーブル1を参照されたい。これは、6つのフィン4が延在し、この間に6つのストランド3が挿入されたユニット式コア2を含むものであることがわかるであろう。ストランド3は、慣用的には、中心ワイヤの周囲にらせん状に巻きつけられた種々の直径のワイヤのアセンブリで構成されたものであり得る。これは、好ましくは金属、より具体的に好ましくはスチールである。ケーブルのコアの中心部に、さらにストランドが含まれていてもよい。このストランドは、慣用的には、中心ワイヤの周囲にらせん状に巻きつけられた種々の直径のワイヤのアセンブリで構成されたものであり得る。これは、好ましくは金属、より具体的に好ましくはスチールである。最後に、ケーブルのコアはまた、コア内に長手方向に挿入された繊維、金属製またはそうでないものを含むものであってもよい。
【0026】
ケーブル1は、末端に、ケーブルがガイドローラー上および一般的に、該ケーブルが使用される設備の巻き取り部材上を通過することによって発生する振動および騒音を最小限にする目的のための実質的に円筒型外表面を有する。
【0027】
コア2およびフィン4の使用のため、隣接するストランド3間の中心間の間隔は従って、この型のケーブルでは、当該技術分野の水準による慣用的な構成の引っ張り用または運搬−引っ張り用ケーブルの場合より大きくなることがわかっている。
【0028】
結果として、同等の金属セクションでは、ケーブル1の通常の部分の直径は、慣用的な構成の引っ張り用または運搬−引っ張り用ケーブルのものよりわずかに大きいことがわかっており、これにより、ループが張力下に置かれると、慣用的な構成の引っ張り用または運搬−引っ張り用ケーブルに対して撚りを行った場合に可能であることとは反対に、ペア様式の整列ストランド間の仕上げ結節部において、撚り領域外の張力下のケーブルのものに近いか、またはさらには等しい直径を得ることが可能である。
【0029】
撚りの幾何学的規則性をさらに改善するため、本発明の一態様は、ポリマー、例えば二成分型熱硬化性ポリマー、例えば、適切な等級のポリウレタンが使用された各撚り領域にオーバーモールディング工程を加えることからなる。本発明の別の態様は、より詳細に説明するが、整列ストランド間にペア様式で作製される結節部の反対側の差し込み対象の各ストランド周囲にオーバーモールディング工程を加えることからなる。本発明の各態様は別々に実施しても組み合わせて実施してもよく、特に、差し込まれる各ストランドのオーバーモールディングは、当該技術分野の水準による運搬または運搬−引っ張り用ケーブルの撚り中、好都合に使用され得る。
【0030】
各撚り領域のオーバーモールディングのため、可能な限り最も円筒型の表面が、各撚り領域の全長上にかくして再構成され、これによりケーブルの幾何学的規則性が改善され、従ってその性能が改善され得る。
【0031】
撚り領域をオーバーモールディングすることにより、この型の製品に特徴的な実質的に円筒型表面を得るためにこの領域のフィン4ができる限り多く再構築され得、従って、撚り領域の各点において、この領域の該面幾何構造が通常の部分のケーブルのものと同等または非常に近くなることが保証され得る。
【0032】
好ましい一実施形態では、撚り領域は、ストランドの上側部分がこのポリマーによって被覆されないように部分的にオーバーモールディングされ、これによりこの直径の増大が回避される。
【0033】
好ましい一実施形態では、ペア様式の整列ストランドの各々が事前に除去したコアの定位置に差し込まれる各撚り領域において、対応する結節部が作製されたら、撚り領域のオーバーモールディングに進む前に、隣接するストランド間に遊びの部分を均一に分布させる。
【0034】
この均一な分布は、例えば、遊びの部分の分布用スペーサーまたは一例を示す図2(また、2本のストランド3間へのこの挿入を示したものであり得る図3)に示され得るものなどの二重のど部(throat)スペーサー5を均一な間隔で必要なだけ互いに近接して挿入することにより、前述の領域の各々に沿って好都合に得られ得る。例えば、スペーサーは10から25cmごとに挿入され得る。
【0035】
スペーサー5は、以下の機能性部分:
空間を設けようとする隣接するストランド間への挿入をより容易にするための下部の二重面取り部、および
中央部分の両側ののど部、ここで、これらののど部の各々は隣接する2本のストランドの一方に受容されることが意図され、これらによって、前述の2本のストランド間への対応するスペーサーの挟持が得られるように空間が設けられる、
を備えたものであり得る。
【0036】
好ましい一実施形態では、スペーサー5が、さらに、側面図が台形の形状を有する2つの傾斜末端を備えたものであり得、この場合、この小寸法部は前述の二重面取り部側に位置し、この結果、各スペーサーは、本発明による撚り領域のオーバーモールディング部を保持するための継手を構成する。
【0037】
スペーサーは、充分に硬質で経時的に耐久性のある材質、例えば、ケーブルを構成するワイヤのスチールほど硬質でない金属またはポリマー(圧縮強度および/または耐磨耗性を増大させること、または他には潤滑特性を付与することが意図された充填剤を含むものであれ、そうでなかれ)で構成される。
【0038】
さらに、当該技術分野の水準において、差し込まれる各ストランドは、事前に除去したコアの定位置に差し込まれたら長手方向に当該差し込み領域に隣接するケーブル長さの残存コア部分と接触する状態で可能な限り正確に入るように、完全に差し込まれる前に必要な長さに切断される。
【0039】
しかしながら、差し込まれるストランドの長さを厳密性に切断することにあらゆる注意を払っても所望の長さに正確に切断することは非常に困難であり、この結果、切断がわずかに長すぎた場合は、配設時に詰まったようになるか、もしくは切断が短すぎた場合は、数ミリメートルまでに至り得る長さにわたって外側ストランドの支持が不足し、ケーブル直径の局所的縮小がもたらされるか、またはさらには、隣接する外側ストランド間の接触が多かれ少なかれ激しくなり、これによりこの領域において多くの破断ワイヤの早期出現がもたらされ得るかのいずれかとなる。
【0040】
好ましい一実施形態では、差し込まれるストランドは、選択により、事前に除去したコアの定位置への差し込みに利用され得る空間よりもわずかに(例えば、数ミリメートル)短い長さに切断される。
【0041】
従って、差し込まれたストランドの末端にかくしてもたらされる小容積部は、対応する撚り領域のオーバーモールディングのためのポリマーの注入時における完全な充填に容易に利用可能になり、従って、コアの定位置に差し込まれたストランドの末端付近の外側ストランドの最適な支持をもたらす機能が果たされる。
【0042】
別の好ましい一実施形態では、ストランドの末端をドレッシングする工程が、特定のドレッシング材を、差し込まれる各ストランドの周囲にペア様式の整列ストランド間に作製される結節部の両側に配置することにより、当該技術分野の水準よりもさらに大きく改善され得る。
【0043】
この特定のドレッシング材は、各ストランドの周囲への適格な物質のオーバーモールディングによって得られる。この目的には、二成分型熱硬化型ポリマー、例えば、好適な等級のポリウレタン(この硬化前の流動性は、ドレッシングされるストランドの全長の周囲に固定しておいた金型に容易に充填されるのに充分である必要がある。)が特に使用され得る。
【0044】
さらに、オーバーモールディングに使用される物質は、撚りが作製されたらオーバーモールディングされるドレッシング材に負荷されるストランドによる圧力を経時的に支持するための硬度および最終機械的強度を有するものであるのがよい。
【0045】
撚り領域のための金型を伴う場合であれ、ドレッシング材のオーバーモールディングのための金型を伴う場合であれ、使用される金型は1つ以上のパーツを有するものであり得る。従って、これらは、例えば、単一の円筒型内部容積内に金型が形成されるようにこれらをしっかり連結させることが意図された側方末端フランジが設けられた対向するトレイの形態に作製され得、好ましくは円筒型内部容積を画定する。
【0046】
このようなオーバーモールディングに使用されるポリマー材料は、例えば、二成分型熱硬化性ポリマー(適切な等級のポリウレタンなど)であり得る。
【0047】
また、液相ポリマーの注入を可能にする孔を金型の上部に作製してもよい。
【0048】
さらに、金型は、上記の種々の型のオーバーモールディングに使用され得る二成分型熱硬化性ポリマーの硬化および固化を加速させることが意図された加熱システムを備えたものであってもよい。この加熱システムは、このような金型に一体化された部分であってもよく、または他には金型自体の周囲に配置される加熱システムからなるものであってもよい。
【0049】
コアの定位置に挿入されるストランドをオーバーモールディングすることが意図された金型は、好ましくは、オーバーモールディングがその周囲に同心的になることが確実になるようにオーバーモールディングされるストランドをセンタリングするためのスパイクまたはスタッズを備えている。
【0050】
撚り領域のオーバーモールディングが意図された金型には、オーバーモールディング用のポリマーの流し込みの際の気密性を確実にするが、オーバーモールディング物質がわずかに流出することが許容されるようにケーブルの外側ストランドの各々と接触するようにすることが意図された可撓性物質(例えば、適当な硬度のポリマー)が設けられ得る。
【0051】
本発明による閉ループケーブルは、より具体的には、純粋な引っ張り用ケーブルとして組み込まれることが意図されたものであるか、または人間をケーブルによって輸送するための設備(ゴンドラリフトもしくはロープウェイなど)における運搬−引っ張り用ケーブルである。
【0052】
このような用途以外に、本発明による閉ループケーブルは多くの他の用途、例えば都市交通システムなどに使用され得、従って前述の使用に限定されない。
【0053】
本発明による方法を出願PCT/FR12/000152によるケーブルを用いて優先的に説明したが、他の引っ張り用または運搬−引っ張り用ケーブル型の撚りへの適用ももちろん可能であり、また、かくして形成されるケーブルの寿命を改善するためにも適合しているとともに、この撚りの不可避的な幾何学的不規則部も一部低減されることは言うまでもない。従って、これもまた本発明に包含される。
【0054】
最後に、本発明による方法は、すべての点で整合規格EN 12927−3(Safety requirements for cableways installation designed to carry persons.Cables.Part 3:Splicing of 6−strand hauling,carrying hauling and towing cables)を満たす撚りを作製するために有用であることに注意されたい。
図1
図2
図3