特許第6442612号(P6442612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442612
(24)【登録日】2018年11月30日
(45)【発行日】2018年12月19日
(54)【発明の名称】メッキポットの上部ドロス除去装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/00 20060101AFI20181210BHJP
【FI】
   C23C2/00
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-533826(P2017-533826)
(86)(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公表番号】特表2018-506643(P2018-506643A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】KR2015014018
(87)【国際公開番号】WO2016105047
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0190171
(32)【優先日】2014年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0092927
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】クォン、 ヨン フン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、 テ イン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ヨン チェ
【審査官】 坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−530960(JP,A)
【文献】 特開平05−302157(JP,A)
【文献】 特表2014−501336(JP,A)
【文献】 特開2000−355748(JP,A)
【文献】 実開平05−085845(JP,U)
【文献】 実開平01−142447(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00− 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキポットに装着される第1ワイピング手段;
上記メッキポットに装着される第2ワイピング手段;および
上記メッキポットに装着される第3ワイピング手段を含み、
前記第1ワイピング手段は、前記メッキポットの長さ方向を基準として、スナウトとエアーナイフの間で、上記メッキポットの幅方向に直線往復移動可能に配置され、前記スナウトの前にある上部ドロスを上記メッキポットの両側に移送させ、
前記第2ワイピング手段は、前記メッキポットの長さ方向を基準として、前記エアーナイフの裏側で、上記メッキポットの幅方向を基準として一側に回動自在に配置されて前記第1ワイピング手段によって移送された上部ドロスを上記メッキポットの後方側壁付近に移送させ、
前記第3ワイピング手段は、前記メッキポットの長さ方向を基準として、前記エアーナイフの前方で前記メッキポットの幅方向を基準として他側に回動自在に配置され、前記エアーナイフ周辺の上部ドロスを上記メッキポットの側壁付近に移送させるメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項2】
前記第1ワイピング手段はマグネチックホイールを含む、請求項1に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項3】
前記第1ワイピング手段は前記マグネチックホイールを回転可能に支持する本体と、前記本体に結合されて前記マグネチックホイールを回転させる第1駆動部と、前記メッキポットの幅方向に配置されて前記本体が移動可能に結合されるガイドレールと前記本体に駆動力を提供する第2駆動部と、前記本体と結合して前記本体を昇降させる昇降部を含む、請求項2に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項4】
前記第2ワイピング手段は前記メッキポットの幅方向中心を通る仮想の基準線を基準としていずれか一側に配置され、前記第3ワイピング手段は前記基準線の他側に配置される、請求項1に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項5】
前記第2ワイピング手段は前記メッキポットの角に配置される、請求項4に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項6】
前記第3ワイピング手段は前記メッキポットの角に配置される、請求項5に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項7】
前記第2ワイピング手段と前記第3ワイピング手段はマグネチックホイールを含む、請求項1に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項8】
前記第2ワイピング手段および前記第3ワイピング手段は前記マグネチックホイールを回転可能に支持する第1本体と前記第1本体に結合して前記マグネチックホイールを回転させる第1駆動部と、前記第1本体に結合して前記マグネチックホイールが回動するように前記第1本体を回転させる第2駆動部を含む、請求項7に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項9】
前記第2ワイピング手段および前記第3ワイピング手段は前記第2駆動部を含む第2本体と前記第2本体を昇降させる昇降部をさらに含む、請求項8に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項10】
前記マグネチックホイールの軸方向と前記第1本体の軸方向は垂直である、請求項9に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項11】
前記第1駆動部の回転軸の軸方向と前記第2駆動部の回転軸の軸方向は垂直である、請求項10に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項12】
前記マグネチックホイールはシャフトと前記シャフトの外周面に結合されるマグネットを含む、請求項2に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項13】
前記マグネチックホイールを覆うハウジングを含む、請求項11に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項14】
前記ハウジングは前記マグネチックホイールを囲むフレーム形態で形成されて前記マグネチックホイールが回転可能に結合して前記第1本体に結合される本体と、前記本体の開放された上面に結合される上部カバーと、前記本体の開放された下面に結合される下部カバーを含む、請求項13に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項15】
前記下部カバーは前記マグネチックホイールの表面と対応する円筒面を含む、請求項14に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項16】
前記上部カバーおよび前記下部カバーはステンレス素材で構成される、請求項15に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項17】
前記第1本体と、第2本体と、第3本体は外部と連通する流入口と流出口をそれぞれ含み、
前記流入口に連結される供給管と前記供給管と連結されて前記供給管に冷却流体を供給する冷却流体供給部をさらに含む、請求項16に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【請求項18】
前記供給管はフレキシブルな素材で構成され、前記供給管の内部には冷却流体の渦流を誘導する渦流誘導手段を含む、請求項17に記載のメッキポットの上部ドロス除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメッキポットの上部ドロス除去装置に関するもので、さらに詳細には、連続溶融亜鉛メッキ工程でメッキポットの湯面に浮遊状態で存在するドロスを自動で除去するメッキポットの上部ドロス除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板は残留応力が除去されるように連続して加熱炉で熱処理されて適切な温度に維持された状態で、メッキポットの溶融亜鉛を通過させてメッキされる。鋼板はメッキポットに設けられたシンクロールとスタビライジングロールを通過した後、メッキポットの上部に配置されるエアーナイフを通る。鋼板のメッキ量はエアーナイフを通じて需要者の所望するメッキ量に調節される。
【0003】
鋼板がエアーナイフを通過する時、エアーナイフから噴射される高圧ガスと鋼板表面に付着した溶融亜鉛メッキ層の酸化作用によって亜鉛のスプラッシュだけでなく、メッキポットの湯面に亜鉛酸化物である上部ドロスが生成される。このような上部ドロスが移送する鋼板の表面に付着する場合、きずのような表面欠陥が誘発されるため、上部ドロスを効率的に除去することが非常に重要である。
【0004】
特に、160mpm以上の高速操業時には上部ドロスの生成量が急激に増加し、操業者は上部ドロスを手動で除去する作業に全体作業の60%〜70%以上を集中しなければならないため、操業性が顕著に低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記した問題点を解決するためのものであって、メッキポットの上部ドロスを作業者の手を経ることなく自動で除去できるメッキポットの上部ドロス除去装置を提供することをその目的とする。
【0006】
特に、ドロス除去用ロボットの作業半径が及ばないメッキポット領域で効果的にドロスを除去できるメッキポットの上部ドロス除去装置を提供することをその目的とする。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、メッキポットの前端領域と後端領域の間に配置されるスナウトとエアーナイフが配置されるメッキポットの上部ドロス除去装置であって、前記メッキポットに装着され、前記スナウトと前記エアーナイフの間で前記メッキポットの幅方向に移動可能に配置される第1ワイピング手段と、前記メッキポットに装着され、前記エアーナイフと前記第1ワイピング手段の間で回動可能に配置されて前記第1ワイピング手段によって移送された上部ドロスを前記後端領域に移送させる第2ワイピング手段と、前記メッキポットに装着され、前記エアーナイフと前記前端領域の間で回動可能に配置されて上部ドロスを前記前端領域に移送させる第3ワイピング手段を含むメッキポットの上部ドロス除去装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、前記第1ワイピング手段はマグネチックホイールを含むことができる。
【0010】
好ましくは、前記第1ワイピング手段は前記マグネチックホイールを回転可能に支持する本体と、前記本体に結合されて前記マグネチックホイールを回転させる第1駆動部と、前記メッキポットの幅方向に配置されて前記本体が移動可能に結合されるガイドレールと前記本体に駆動力を提供する第2駆動部と前記本体と結合して前記本体を昇降させる昇降部を含むことができる。
【0011】
好ましくは、前記第2ワイピング手段は前記メッキポットの幅方向中心を基準としていずれか一側に配置され、前記第3ワイピング手段は前記メッキポットの幅方向中心を基準として他側に配置され得る。
【0012】
好ましくは、前記第2ワイピング手段は前記メッキポットの角に配置され得る。
【0013】
好ましくは、前記第3ワイピング手段は前記メッキポットの角に配置され得る。
【0014】
好ましくは、前記第2ワイピング手段と前記第3ワイピング手段はマグネチックホイールを含むことができる。
【0015】
好ましくは、前記第2ワイピング手段および前記第3ワイピング手段は前記マグネチックホイールを回転可能に支持する第1本体と、前記第1本体に結合して前記マグネチックホイールを回転させる第1駆動部と、前記第1本体に結合して前記マグネチックホイールが回動するように前記第1本体を回転させる第2駆動部を含むことができる。
【0016】
好ましくは、前記第2ワイピング手段および前記第3ワイピング手段は前記第2駆動部を含む第2本体と前記第2本体を昇降させる昇降部をさらに含むことができる。
【0017】
好ましくは、前記マグネチックホイールの軸方向と前記第1本体の軸方向は垂直であり得る。
【0018】
好ましくは、前記第1駆動部の回転軸の軸方向と前記第2駆動部の回転軸の軸方向は垂直であり得る。
【0019】
好ましくは、前記マグネチックホイールはシャフトと前記シャフトの外周面に結合されるマグネットを含むことができる。
【0020】
好ましくは、前記マグネチックホイールを覆うハウジングを含むことができる。
【0021】
好ましくは、前記ハウジングは前記マグネチックホイールを囲むフレーム形態で形成され、前記マグネチックホイールが回転可能に結合されて前記第1本体に結合される本体と、前記本体の開放された上面に結合される上部カバーと、前記本体の開放された下面に結合される下部カバーを含むことができる。
【0022】
好ましくは、前記下部カバーは前記マグネチックホイールの表面と対応する円筒面を含むことができる。
【0023】
好ましくは、前記上部カバーおよび前記下部カバーは前記マグネチックホイールの浮力と抗力が透過されるステンレス素材で構成され得る。
【0024】
好ましくは、前記第1本体と、第2本体と、第3本体は外部と連通する流入口と流出口をそれぞれ含み、前記流入口に連結される供給管と前記供給管と連結されて前記供給管に冷却流体を供給する冷却流体供給部をさらに含むことができる。
【0025】
好ましくは、前記供給管はフレキシブルな素材で構成され、前記供給管の内部には冷却流体の渦流を誘導する渦流誘導手段を含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施例によれば、ドロス除去用ロボットの作業半径が及ばないメッキポット領域で上部ドロスを押し出すワイピング手段を具備して、ドロス除去用ロボットの作業半径が及ぶ領域に上部ドロスを移送させることによって、ドロスを効果的に除去する有利な効果を提供する。
【0027】
また、本発明の一実施例によれば、メッキポットの角に配置されて回動するように構成される第2ワイピング手段と第3ワイピング手段を具備してドロス除去用ロボットの作業半径が及ばないメッキポット領域で上部ドロスを効果的に除去する有利な効果を提供する。
【0028】
また、本発明の一実施例によれば、浮力または抗力を発生させるマグネチックホイールを利用することによって、上部ドロスを効果的に押し出すことができる有利な効果を提供する。
【0029】
また、本発明の一実施例によれば、マグネチックホイールを覆うものの、浮力と抗力を透過させるハウジングを具備することによって、メッキポットの亜鉛がマグネチックホイールの表面に付着することを防止する有利な効果を提供する。
【0030】
また、本発明の一実施例によれば、モーターを内部に含む本体の内部に冷却流体を供給する冷却手段を具備することによって、駆動部の内部温度を一定に維持してモーターの熱的損傷を防止する有利な効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】メッキポット内部の上部ドロスの分布を示した図面。
図2】本発明の好ましい一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置を図示した図面。
図3】第1ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面。
図4】第2ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面。
図5】第3ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面。
図6】マグネチックホイールを図示した図面。
図7図6に図示したマグネチックホイールの分解図。
図8】積層配列されたマグネットを図示した図面。
図9】第1ワイピング手段を図示した図面。
図10】第2ワイピング手段および第3ワイピング手段を図示した図面。
図11】マグネチックホイールのハウジングを図示した図面。
図12図11に図示したハウジングの分解図。
図13】冷却手段を図示した図面。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。本発明の目的、特定の長所および新規の特徴は添付された図面と関連する以下の詳細な説明と好ましい実施例からさらに明白となるであろう。そして、本明細書および特許請求の範囲で用いられた用語や単語は通常的であるか辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。そして、本発明を説明するにおいて、本発明の要旨を不要に曖昧にする可能性のある関連した公知技術に対する詳細な説明は省略する。
【0033】
第2、第1などのように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に用いられ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちのいずれの項目を含む。
【0034】
図1はメッキポット内部の上部ドロスの分布を示した図面である。
【0035】
図1を参照すれば、メッキポット10に分布された上部ドロスのうちエアーナイフ20の前方に位置したA領域に位置した上部ドロスやスナウト30の後方に位置した領域に位置した上部ドロスはドロス除去用ロボットによってドロス除去作業が可能である。しかし、図1のB、C、D領域はドロス除去のためのロボット作業が不可能である。図1のB、C、D領域はエアーナイフ、シンクロールスクレーパー、ポンプ、ポジショナーおよび配管などのような周辺設備の干渉によってロボットを設置することができないからである。
【0036】
そのため、図1のB、C、D領域では作業者が手動で上部ドロスを除去していた。メッキポットの周辺は460℃の高熱環境であるため、作業者は非常に危険な作業環境に露出されており、実際に安全事故も頻繁に発生する恐れがある状況である。
【0037】
そこで、本発明の一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置は、このような問題を根本的に解決しようと、ドロス除去用ロボットの作業半径が及ばない領域に位置した上部ドロスをドロス除去用ロボットの作業半径が及ぶ領域に移動させようと案出された装置である。
【0038】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置に関して詳細に説明する。
【0039】
図2は本発明の好ましい一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置を図示した図面であり、図3は第1ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面である。このような、図2および図3は本発明を概念的に明確に理解するために、主な特徴部分だけを明確に図示したものであり、その結果、図解の多様な変形が予想され、図面に図示された特定の形状によって本発明の範囲が制限される必要はない。
【0040】
図2および図3を参照すれば、本発明の好ましい一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置は第1ワイピング手段100と、第2ワイピング手段200と、第3ワイピング手段300を含むことができる。
【0041】
まず、本発明を説明するにおいて、図2に記載されたx軸方向はメッキポット10の幅方向と定義し、図2に記載されたy軸方向はメッキポット10の長さ方向と定義する。メッキポット10の長さ方向を基準として前方に位置したメッキポット10の前方の側壁付近をメッキポット10の前端領域(R1)と定義し、メッキポット10の長さ方向を基準として 後方に位置したメッキポット10の後方の側壁付近をメッキポット10の後端領域(R2)と定義する。
【0042】
第1ワイピング手段100はy軸方向を基準としてエアーナイフ20とスナウト30の間にメッキポット10のx軸方向に長く配置され得る。このような第1ワイピング手段100はx軸方向に直線往復移動してスナウト30の前にある上部ドロスをメッキポット10の両側に移送させる役割をする。
【0043】
第2ワイピング手段200はy軸方向を基準として第1ワイピング手段100とエアーナイフ20の間に配置され得る。そして、メッキポット10の幅方向(x軸方向)中心を通る仮想の垂直基準線(C)を基準として図面上左側に配置され得る。特に。第2ワイピング手段200はy軸方向を基準としてエアーナイフ20より第1ワイピング手段100に隣接して配置され、x軸方向を基準として第1ワイピング手段100の端部に隣接するように配置され得る。
【0044】
そして、第2ワイピング手段200は回転するように構成され、第1ワイピング手段100により移送された上部ドロスをメッキポット10の後端領域(R2)に案内する役割をする。
【0045】
メッキポット10の後端領域(R2)にはドロス除去用ロボットの作業半径が及ぶ領域であるためロボットを通じて自動で上部ドロスを除去することができる。
【0046】
第3ワイピング手段300はy軸方向を基準としてエアーナイフ20とメッキポット10の前端領域(R1)の間に配置され得る。そして、垂直基準線(C)を基準として図面上右側に配置され得る。特に。第3ワイピング手段300はy軸方向を基準として前端領域(R1)よりエアーナイフ20に隣接して配置され得、メッキポット10の右側の角付近に配置され得る。
【0047】
このような第1ワイピング手段100と第2ワイピング手段200と第3ワイピング手段300は、メッキポット10の上部ドロスをドロス除去用ロボットの作業半径が及ぶ領域である前端領域(R1)と後端領域(R2)に案内するものであって、具体的な作動状態は次のとおりである。
【0048】
図3を参照すれば、第1ワイピング手段100はメッキポット10の幅方向に直線移動してスナウト30とエアーナイフ20の間に位置した上部ドロスをメッキポット10の側面すなわち、第2ワイピング手段200が配置された位置に向かって押し出すことになる。第1ワイピング手段100は直線運動を繰り返して上部ドロスを第2ワイピング手段200側に押し出す作業を持続することができる。
【0049】
図4は第2ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面である。
【0050】
以後、例えば、図4に図示した通り、第2ワイピング手段200が時計回り方向に回動すると、第1ワイピング手段100により移送された上部ドロスを後端領域(R2)に押し出すことになる。第2ワイピング手段200により後端領域(R2)に押された上部ドロスはドロス除去用ロボットによって自動で除去され得る。
【0051】
図5は第3ワイピング手段によって上部ドロスが移送される状態を図示した図面である。
【0052】
一方、例えば、図5に図示した通り、第3ワイピング手段300が時計回り方向に回動すると、エアーナイフ20周辺の上部ドロスを前端領域(R1)に押し出すことになる。第3ワイピング手段300により前端領域(R1)に押された上部ドロスはドロス除去用ロボットによって自動で除去され得る。
【0053】
次いで、図面を参照して、第1ワイピング手段100と、第2ワイピング手段200と、第3ワイピング手段300の構成を具体的に説明する。
【0054】
図6はマグネチックホイールを図示した図面であり、図7図6に図示したマグネチックホイールの分解図であり、図8は積層配列されたマグネットを図示した図面である。
【0055】
第1ワイピング手段100と、第2ワイピング手段200と、第3ワイピング手段300はすべてマグネチックホイール110、210、310を含むことができる。
【0056】
図6および図7を参照すれば、マグネチックホイール110、210、310はシャフト(S)とシャフト(S)の外周面に結合されるマグネット(M)を含むことができる。マグネット(M)はN極とS極を有するマグネット(M)が交互にシャフト(S)に配置されて、高速回転する場合に発生する動電気力(Repulsive force and Drag force)を通じてメッキポット10の上部ドロスを押し出す役割をする。
【0057】
具体的に説明すると、図6および図7に図示した通り、マグネチックホイール110、210、310はホイールブロック11とシャフト12を含むことができる。ホイールブロック11は円筒形の回転体からなり、中心部にシャフト12が挿入され得るように中空が形成され得る。ホイールブロック11の外周面には凹状に形成されて長さ方向に長くスロットが形成され得る。このようなスロットはホイールブロック11の円周方向を基準として一定の間隔ごとに配置され得る。
【0058】
このようなスロットにマグネット21、22が差し込まれる。マグネット21、22は極性が異なる、すなわち、N極を有するマグネット21と、S極を有するマグネット22が円周方向に沿って交互に配置され得る。マグネット22には接着剤が塗布されて結合性を高めることができる。
【0059】
マグネット22を固定するためにホイールブロック11の外周面を囲むカバー14が設置され得る。また、ホイールブロック11の両側面にはマグネット22が抜けないように蓋13が結合され得る。一方、図7に図示した通り、極の異なるマグネット21、22が積層されて配置されることもある。
【0060】
このようなマグネチックホイール110、210、310が回転すると、浮力と抗力によって反磁性体である上部ドロスが削られながら上部ドロスを押し出すことになる。ここで浮力はメッキポット10の湯面に垂直に作用し抗力はメッキポット10の湯面に水平に作用する。
【0061】
図9は第1ワイピング手段を図示した図面である。
【0062】
図9を参照すれば、第1ワイピング手段100はマグネチックホイール110を支持する本体120と、第1駆動部130と、ガイドレール140と、第2駆動部150を含むことができる。
【0063】
第1駆動部130はマグネチックホイール110を回転させる役割をする。第1駆動部130はマグネチックホイール110の回転軸に直結されるか別途の動力伝達部材を通じてマグネチックホイール110に回転力を伝達することができる。第1駆動部130はサーボモーターで構成されてマグネチックホイール110の回転速度を適切に調節することができる。
【0064】
本体120はガイドレール140の下側にスライド可能に結合され得る。ガイドレール140はメッキポット10の幅方向に沿って長く配置され得る。そして、ガイドレール140はメッキポット10のシンクロール支持台(図2の40)に結合され得る。ガイドレール140にはラックギアが長く設置され得る。
【0065】
第2駆動部150は本体120がガイドレール140に沿って移動できるように駆動力を提供する。第2駆動部150にはモーターとモーターの回転軸に結合されるピニオンギアが設けられ得、この時、ピニオンギアはガイドレール140に形成されたラックギアに噛み合われるように形成され得る。
【0066】
昇降部160はメッキポット10の高さ方向(図9のz軸方向)に本体120を昇降させてマグネチックホイール110の高さを調節する役割をする。昇降部160は昇降用モーターとz軸方向に配置されたLM(Linear Motor)ガイドを含み、モーターの動力を伝達するギア組立体のような動力伝達部材を含むことができる。
【0067】
図10は第2ワイピング手段および第3ワイピング手段を図示した図面である。
【0068】
図10を参照すれば、第2、第3ワイピング手段200、300はそれぞれマグネチックホイール210、310とマグネチックホイール210、310を回転させる第1駆動部230、330とマグネチックホイール210、310を回動させる第2駆動部240、340を含むことができる。
【0069】
それぞれのマグネチックホイール210、310は第1本体220、320に支持される。マグネチックホイール210、310は第1本体220、320に回転軸(図8のA1)を中心に回転可能に配置される。第1本体220、320の内部には第1駆動部230、330が設けられ得る。第1駆動部230、330は回転軸(図8のA1)を中心にマグネチックホイール210、310を回転させる役割をする。第1駆動部230、330はサーボモーターで構成されてマグネチックホイール210の回転速度を適切に調節することができる。
【0070】
第2駆動部240、340は第2本体250、350に含まれて第1本体220、320を、回転軸(図8のA2)を中心にマグネチックホイール210、310を回転させる役割をする。この時、マグネチックホイール210、310の回転軸(A1)と第1本体220、320の回転軸(A2)は垂直に形成され得る。また、第2駆動部240、340のモーターの回転軸は第1本体220、320の回転軸(A2)と平行に配置され得る。
【0071】
そして、第2駆動部240、340はギア組立体のような動力伝達部材241、341を通じて第1本体220、320に回転力を伝達することができる。第2本体250、350には第1本体220、320の回転角を測定する回転角センサ242、342が設けられ得る。
【0072】
昇降部260、360は第3本体260、360に含まれて第2本体250、350を昇降させる。第2本体250、350を昇降させると、メッキポット10の高さ方向を基準としてマグネチックホイール210、310の高さを調節する役割をする。
【0073】
このような、昇降部260、360は昇降モーター261、361と、レールガイド262、362と、ボールスクリュー263、363と、動力伝達部材264、364を含むことができる。
【0074】
ボールスクリュー263、363は第2本体250、350と連結され、昇降モーター261、361と連結されて、ボールスクリュー263、363が回転する場合、第2本体250、350はレールガイド262、362を昇降移動することになる。この時、昇降部260、360には第2本体250、350の昇降位置を測定できるセンサ265、365が具備され得る。
【0075】
このような第2、第3ワイピング手段200、300はメッキポット10のシンクロール支持台(図2の40)に装着され得る。
【0076】
図11はマグネチックホイールのハウジングを図示した図面であり、図12図11に図示したハウジングの分解図である。
【0077】
図11および図12を参照すれば、マグネチックホイールは別途のハウジング400により保護され得る。ハウジング400は本体410と上部カバー420と下部カバー430を含むことができる。
【0078】
本体410はマグネチックホイール100を囲むフレーム形態で形成され得る。そして、本体410にはマグネチックホイール100を回転可能に固定することができる。このような本体410は第1本体220、320に固定されて結合され得る。一方、本体410は上部と下部が開放された形態である。これはマグネチックホイール100の浮力と抗力をメッキポット10の上部ドロスに伝達するための構成である。
【0079】
ただし、マグネチックホイール210、310が外部に開放されているため、メッキポット10の湯面から飛散した亜鉛がマグネチックホイール210、310の表面に付着する危険が大きい。マグネチックホイール210、310の表面に付着した亜鉛の塊が固まると本体410の内側面にかかる障害物となってマグネチックホイール100の回転を邪魔することになる。
【0080】
そこで、本体410の開放された上面には上部カバー420が設けられ、開放された下面には下部カバー430が設けられ得る。上部カバー420は平たいプレート形状に展開されて本体410の上面を覆うようにボルト結合され得る。また、下部カバー430はマグネチックホイール210、310の表面の形状に対応して円筒面を有するように展開されて本体410の上面を覆うようにボルト結合され得る。
【0081】
本体410を基準として上部に上部カバー420が結合され、下部に下部カバー430が結合されると、マグネチックホイール100は全体的に本体410と上部カバー420と下部カバー430に囲まれてメッキポット10の湯面から飛散した亜鉛から保護され得る。
【0082】
この時、上部カバー420と下部カバー430はマグネチックホイール100の浮力と抗力が透過するステンレス素材で構成され得る。一例として、上部カバー420と下部カバー430はNi、Cr、Moなどが含まれたSUS316Lのようなステンレス素材で構成され得る。
【0083】
本発明を説明するにおいて、上部カバー420と下部カバー430を独立した別個のパートとして説明したが。互いに連結された一つの手段でも実施可能である。
【0084】
図13は冷却手段を図示した図面である。
【0085】
第1ワイピング手段100と第2ワイピング手段200と第3ワイピング手段300はモーターを含むことになるが、メッキポット10内部の温度は460℃と非常に高温の環境であり、メッキポット10周囲の温度も100℃以上であるためモーターの性能を大きく低下させる。
【0086】
マグネチックホイール110、210、310を回転させたり回動させるモーターと動力伝達要素は、第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の内部にそれぞれ収容され得る。第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360はそれぞれ内部に密閉された空間を形成するため、外部から入ってくる熱を遮断できる構造を具備している。
【0087】
一例として、第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の内壁に断熱材を設置すると、ある程度モーターの熱的損傷を防止することができる。ここで断熱材はガラス繊維で構成され得、繊維と繊維の間に空気層があるように構成されて断熱効果を高めることができる。
【0088】
モーターの熱的損傷を防止するための他の例として、冷却手段を別途設置することができる。
【0089】
冷却手段としては、流入口500と、流出口600と、供給管700と、冷却流体供給部800を含むことができる。
【0090】
流入口500と流出口600は第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360にそれぞれ形成され得る。流入口500および流出口600は第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の内部空間に含まれたモーターの位置を考慮して冷却流体がモーターと十分に接触するように適切な位置に形成され得る。
【0091】
流入口500および流出口600の内周面には螺子タップが形成されて供給管700が着脱可能に結合されるように誘導する。
【0092】
供給管700は冷却流体供給部800から供給される冷却流体を第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の内部にそれぞれ供給させる役割をする。供給管700はフレキシブルな素材で構成され得る。冷却流体供給部800と連結された供給管700は分岐されてそれぞれ第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の流入口500に結合され得る。
【0093】
供給管700の内部には冷却流体の渦流を誘導する渦流誘導手段710が設置され得る。渦流誘導手段710は冷却流体の流れを変更するように回転する複数個のブレードを含む構成であり得る。このような渦流誘導手段710は流入口500に流入する冷却流体の渦流を誘導して冷却効率を高める役割をする。
【0094】
冷却流体供給部800は供給管700に冷却流体を供給する。冷却流体供給部800は設備に設けられたエアー供給装置であり得、この時、冷却流体はエアーであり得る。
【0095】
このような冷却手段によって供給される冷却流体は第1本体220、320と、第2本体250、350と、第3本体260、360の内部の温度を一定に維持させることによって、モーターが熱的損傷することを防止することができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい一実施例に係るメッキポットの上部ドロス除去装置に関して添付された図面を参照して具体的に詳察した。
【0097】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者であれば本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更および置換が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例および添付された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0098】
10:メッキポット
20:エアーナイフ
30:スナウト
100:第1ワイピング手段
110、210、310:マグネチックホイール
120:本体
130、230、330:第1駆動部
140:ガイドレール
150、240、340:第2駆動部
200:第2ワイピング手段
220、320:第1本体
240、340:第2駆動部
250、350:第2本体
160、260、360:昇降部
300:第3ワイピング手段
400:ハウジング
410:本体
420:上部カバー
430:下部カバー
500:流入口
600:流出口
700:供給管
800:冷却流体供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13