(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続材料層を前記選択堆積法により形成する工程において、ドナーまたはアクセプタ不純物を含んだ前記接続材料層を形成する、または、前記ドナーまたはアクセプタ不純物を前記接続材料層に添加する工程をさらに備え、且つ、
熱処理により前記ドナーまたはアクセプタ不純物を前記半導体柱内に拡散させる工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の柱状半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態に係る、SGTを有する柱状半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1実施形態)
以下、
図1A〜
図1Lを参照しながら、本発明の第1実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路の製造方法について説明する。
【0033】
図1Aに、SGTを有するCMOSインバータ回路の最初の工程を説明するための、平面図及び断面図を示す。(a)は平面図、(b)は(a)のX−X’線に沿う断面構造図、(c)は(a)のY−Y’線に沿う断面構造図を示す。以下に参照するその他の図面も、(a)、(b)、(c)で示す各図の関係はこれと同様である。
【0034】
図1Aに示すように、i層基板1上に、ヒ素(As)などのドナー不純物を含むN
+層2を、例えばイオン注入法又はエピタキシャル成長法を用いて、形成する。次に、N
+層2上に、ボロン(B)などのアクセプタ不純物を含むP
+層3を、例えばイオン注入法又はエピタキシャル成長法を用いて、形成する。続いて、P
+層3上に、例えばエピタキシャル成長法を用いてi層4を形成する。その後、i層4上に、例えば熱酸化法によりSiO
2層5を形成する。
【0035】
次に、
図1Bに示すように、例えばリソグラフィ法とRIE(Reactive Ion Etching)法とを用いてSiO
2層5をエッチングすることで、SiO
2層5aを形成する。さらにSiO
2層5aをマスクとして用いて、i層4、P
+層3、N
+層2、i層基板1をRIE法などによりエッチングすることで、i層4a、P
+領域3a、N
+領域2a、i層1aから構成され、縦(上下)方向に延びるSi柱6を形成する。Si柱6の側面の角度は、i層基板1の上表面に対して略直角である。Si柱6の断面形状は、
図1B(a)に示すように、円形であることが望ましい。
【0036】
次に、
図1Cに示すように、Si柱6の外周におけるi層基板1の上表面表層に、例えばイオン注入法によってN
+領域2bを形成する。続いて、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いてSiO
2膜(図示せず)を堆積し、SiO
2膜の上表面を例えばMCP(Mechanical Chemical Polishing)法を用いて平坦化した後、エッチバック法を用いてSiO
2膜をエッチングする。これにより、Si柱6の外周におけるi層基板1上にSiO
2層8を残存させる。続いて、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法により、酸化ハフニウム(HfO
2)層9と、窒化チタン(TiN)層10とによって、Si柱6及びSiO
2層8の全体を被覆する。その後、例えばCVD法によって、Si柱6と、Si柱6の周辺全体とをSiO
2層11で覆う。
【0037】
次に、例えばリソグラフィ法により形成したレジストをマスクとして用い、
図1Dに示すように、SiO
2層11、TiN層10をRIE法によってエッチングすることで、Si柱6の上表面からSiO
2層8の上表面に亘って、SiO
2層11aとTiN層10aとを形成する。
【0038】
次に、
図1Eに示すように、Si柱6の外周に窒化シリコン(SiN)層12を形成する。ここで、SiN層12は、その上表面の位置がSi柱6内に形成されたN
+領域2aの上端未満で下端以上の高さ、例えば、下端と同じ高さとなるように形成する。続いて、SiN層12上にレジスト層7を形成する。ここで、レジスト層7は、その上表面の位置が、P
+領域3aの上端以下で下端超の高さ、例えば、上端と同じ高さとなるように形成する。レジスト層7は、例えば、レジスト材料を全体に塗布した後、例えば200℃の熱処理を行ってレジスト材料の流動性を大きくし、レジスト材料がSi柱6の外側のSiN層12上で均質に溜まるようにして形成する。続いて、フッ化水素ガス(以下、「HFガス」と称する。)を全体に供給する。続いて、例えば180℃の加熱環境とすることで、HFガスがレジスト層13内に含まれた水分によって電離され、フッ化水素イオン(HF
2+)(以下、「HFイオン」と称する。)が形成される。このHFイオンがレジスト層7内を拡散して、レジスト層7に接触するSiO
2層11aをエッチングする(ここでのエッチングのメカニズムは非特許文献2を参照のこと。)。一方、レジスト層7に接触していないSiO
2層11aは、殆どエッチングされずに残存する。その後、レジスト層7を除去する。
【0039】
以上によって、SiO
2層11aは、SiN層12で覆われた領域のSiO
2層11bと、Si柱6の上部領域のSiO
2層11cとに分離される。続いて、SiO
2層11b、11cをマスクとして用い、TiN層10aをエッチングすることで、TiN層10aが、Si柱6の下方領域でSiO
2層11bに覆われたTiN層10bと、Si柱6の上方領域でSiO
2層11cに覆われたTiN層10cとに分離される。続いて、SiO
2層11b、11cと、TiN層10b、10cと、をマスクとして用い、HfO
2層9をエッチングすることで、HfO
2層9が、Si柱6の下方領域でTiN層10bにその一部が覆われたHfO
2層9aと、Si柱6の上部領域でTiN層10cに覆われたHfO
2層9bとに分離される。これにより、N
+領域2a、P
+領域3aの外周側面が露出した開口部13aが形成される。その後、TiN層10b、10cの露出部を酸化することで、TiO(酸化チタン)層14a、14bを形成する。そして、この酸化によりN
+領域2a、P
+領域3aの外周側面表面に形成された薄いSiO
2層(図示せず)を除去する。こうして、
図1Fに示すような構成が得られる。
【0040】
次に、
図1Gに示すように、Si選択エピタキシャル成長法により、N
+領域2a、P
+領域3aの外周側面に接し、かつ開口部13aを囲んだSi層15を形成する。Si選択エピタキシャル成長法では、CVD(Chemical Vapor deposition)装置内で、反応ガスとして、例えばジシラン(Si
2H
6)と塩素(Cl
2)を用いて、平坦なSiN層12上にSi原子またはSi分子を到達させる。そして、到達したSi原子またはSi分子(Si単体及びSi化合物の両方を含む)が、SiN層12上を移動して、N
+領域2a底部を結晶成長核にして、開口部13aを埋めるように、結晶成長してSi層15が形成される。このSi選択エピタキシャル成長は、平面視において、Si層15の外周位置がSiO
2層11cの外周より外側にはみ出すまで行う。
【0041】
次に、例えば、i層基板1を配置した基板金属板と、この基板金属板から離間した対向金属板とを用意し、基板金属板に直流電圧を印加し、これら2枚の平行金属板にRF高周波電圧を印加することで対向金属板の材料原子をスパッタしてi層基板1上に堆積させるバイアス・スパッタ法を用いて、例えばニッケル(Ni)原子をi層基板1の上表面に垂直な方向から入射させ、SiN層12上とSi柱6上にNi層(図示せず)を形成する。このNi層の上表面位置はSi層15の上表面位置より上にあることが望ましい。ここで、Ni原子は、i層基板1の上表面に対して垂直な方向から入射する。そして、Si柱6の側面の角度がi層基板1の上表面に対して略直角であるので、バイアス・スパッタ装置の対向金属板と、i層基板1が配置される基板金属板との間に印加するバイアス電圧を制御することで、Ni層はSi柱6の側面に付着しない(基本的な制御方法については非特許文献3を参照のこと。)。そして、例えばリソグラフィ法とRIEエッチングにより、
図1Hに示すように、平面視においてSi層15を囲んだNi層16を形成する。
【0042】
次に、
図1Iに示すように、例えば550℃の熱処理を行うことで、Ni層16のNi原子をSi層15内に拡散させて、Si層15をシリサイド化させて、NiSi層15aを形成する。また、この熱処理により、N
+領域2bの不純物を周囲のi層基板1に拡散させて、N
+領域2cを形成する。
【0043】
次に、
図1Jに示すように、SiN層12の形成と同様に、その上表面が、P
+領域3aより上方でSiO
2層5aより下方となるように、SiN層20を形成する。続いて、開口部13aを形成した方法と同じ方法を用いることで、TiN層10cの外周に開口部13bを形成する。続いて、Si層15の形成と同様にSi選択エピタキシャル成長法を用いて、TiN層10cに接して、且つ開口部13bを埋めたSi層(図示せず)を形成する。そして、NiSi層15aの形成と同様に、例えばバイアス・スパッタ法により、i層基板1の上表面に対して垂直な方向からNi原子を入射してNi層(図示せず)を形成する。その後、Ni層16の形成と同様に、例えばリソグラフィ法とRIE法とを用いてNi層22を形成する。そして、例えば550℃の熱処理によりSi層をシリサイド化して、NiSi層21を形成する。
【0044】
次に、
図1Kに示すように、Si柱6の外周部に、SiO
2層23を、その上表面の位置がNi層22の表面よりも上方にあり、かつSi柱6の頂部よりも低くなるように、例えばCVD法とエッチバック法によって形成する。その後、SiO
2層23をマスクとして用い、SiO
2層11c、TiN層10c、HfO
2層9bをエッチングすることで、SiO
2層11d、TiN層10d、HfO
2層9cを形成する。次に、SiO
2層23、11d、TiN層10d、HfO
2層9cをマスクとして用い、例えばボロン(B)イオン注入法を用いることで、Si柱6の頂部にP
+領域24を形成する。
【0045】
次に、
図1Lに示すように、SiO
2層27を例えばCVD法によって全体に形成する。続いて、例えばリソグラフィ法とRIE法とを用いて、Ni層22を貫通するようにTiN層10b上にコンタクトホール28aを形成し、Si柱6の頂部上にコンタクトホール28bを形成し、Ni層16上にコンタクトホール28cを形成し、N
+領域2c上にコンタクトホール28dを形成する。次に、コンタクトホール28aを介して、Ni層22、TiN層10bに電気的に接続された入力配線金属層Vinを形成し、コンタクトホール28bを介して、Si柱6の頂部のP
+領域24に電気的に接続された電源配線金属層Vddを形成し、コンタクトホール28cを介して、Ni層16に電気的に接続された出力配線金属層Voutを形成し、コンタクトホール28dを介して、N
+領域2cに電気的に接続されたグランド配線金属層Vssを形成する。
【0046】
上記した製造方法により、Si柱6の下部のi層1aをチャネル、i層1aの外周を囲むHfO
2層9aをゲート絶縁層、HfO
2層9aの外周を囲むTiN層10bをゲート導体層、i層1aの下方に位置するN
+領域2cをソース、i層1a上に位置するN
+領域2aをドレインとしてそれぞれ機能させるNチャネル型SGTと、Si柱6の上部のi層4aをチャネル、i層4aの外周を囲むHfO
2層9cをゲート絶縁層、HfO
2層9cの外周を囲むTiN層10dをゲート導体層、i層4aの下方に位置するP
+領域3aをドレイン、i層4a上に位置するP
+領域24をソースとしてそれぞれ機能させるPチャネル型SGTと、から構成される、CMOS型インバータ回路が形成される。
【0047】
第1実施形態のCMOS型インバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.
図10で示すような従来の方法では、Si柱115の側面からの、N
+領域121b、P
+領域122bと出力配線導体層126bとの接続が困難であった。これに対して、本実施形態においては、Si柱6の外周部に開口部13aを形成し、その後にSi選択エピタキシャル成長法により、Si層15を、N
+領域2a、P
+領域3aに接触させ、且つ開口部13aを埋め、且つ、平面視において、その外周が、SiO
2層11cの外周より、外側になるように形成した。これにより、SiN層12表面に対して垂直方向から入射したNi原子によるNi層16とSi層15との接続を可能にした。そして、熱処理によりSi層15をシリサイド化してNiSi層15aを形成することにより、N
+領域2a、P
+領域3aと、配線導体層であるNi層16と、の接続を容易に行える。
2.同様にして、Si選択エピタキシャル成長法により、Si層(図示せず)をTiN層10dに接続した状態で、開口部13bを埋め、且つ平面視において、Si層の外周を、SiO
2層11cの外周より、外側になるように形成することにより、シリサイド化されたNiSi層21を介した、TiN層10cと、配線導体層であるNi層22と、の接続を容易に行える。
3.また、NiSi層15aを形成する熱処理を、更に長くすることにより、N
+領域2a、P
+領域3aの側面から内部までシリサイド化を進めて、Si柱6の内部にNiSi層(図示せず)を形成することにより、配線導体層であるNi層16とN
+領域2a、P
+領域3aとの接続抵抗を更に小さくすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
以下、
図2A〜
図2Eを参照しながら、本発明の第2実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路の製造方法について説明する。第2実施形態の回路製造方法は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第1実施形態の
図1A〜
図1Lに示す工程と同様な工程によって製造される。
【0049】
図1Aに示して説明した工程で、N
+層2とP
+層3の間にSiO
2層(図示せず)を設けた基板を用意する。そして、
図1B〜
図1Dに示して説明した工程を行う。これにより、
図2Aに示すように、Si柱6aの下部のi層1aと、上部のi層4aの間に、下からN
+領域2d、SiO
2層30、P
+領域3bが形成される。そして、Si柱6aの頂部上にSiO
2層5bを有する。そして、Si柱6aの外周部におけるi層基板1の表層にN
+領域2cを形成する。そして、Si柱6aの外周部におけるi層基板1上に、SiO
2層8を形成する。そして、Si柱6a全体を覆い、且つSiO
2層8上に延びた、HfO
2層9aと、TiN層10aと、SiO
2層11aと、を形成する。
【0050】
次に、
図2Bに示すように、SiN層31を、その表面位置がN
+領域2dの下端と同じ高さに位置するように形成する。そして、レジスト層(図示せず)を表面位置がN
+領域2dの上端と同じ高さに位置するように形成する。そして、
図1Fに示した工程と同じ工程を用いて、
図2Bに示すように、N
+領域2dの側面を露出させた開口部32aを形成する。そして、TiN層10b、10cの露出部を酸化させてTiO層33a、33bを形成する。
【0051】
次に、
図2Cに示すように、
図1G、
図1Hに示した工程と同じく、Si選択エピタキシャル成長法により、Si層(図示せず)をN
+領域2dの側面に接し、且つ開口部32aを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成する。そして、
図1Hに示した工程と同じく、Niスパッタ蒸着、リソグラフィ法、熱処理により、Si層をシリサイド化したNiSi層35と、NiSi層35に繋がるNi層36を形成する。
【0052】
次に、
図2Dに示すように、SiO
2層11cの外周部を囲み、且つその上表面位置がNi層36より上にあるSiN層38を形成する。そして、
図1Fに示した工程と同じ工程を用いてP
+領域3bの側面を露出させた開口部32bを形成する。そして、TiN層10d、10eの露出部を酸化させてTiO層33c、33dを形成する。そして、
図1G、
図1Hに示した工程と同じく、Si選択エピタキシャル成長法により、Si層(図示せず)をP
+領域3bの側面に接し、且つ開口部32bを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成する。そして、
図1Hに示した工程と同じく、Niスパッタ蒸着、リソグラフィ法、熱処理により、Si層をシリサイド化したNiSi層39と、NiSi層39に繋がるNi層40を形成する。Ni層40は、平面視において、下部のNi層36の伸延している方向と逆方向に伸延させる。
【0053】
次に、
図2Eに示すように、
図1Kと同様に、SiO
2層45を例えばCVD法とエッチバック法によって全体に形成し、Si柱6aの頂部にP
+領域24aを形成する。続いて、
図1Lと同様に、SiO
2層46を例えばCVD法によって全体に形成し、その後、例えばリソグラフィ法とRIE法とを用いて、TiN層10b上にコンタクトホール47a、Ni層44上にコンタクトホール47b、N
+領域2c上にコンタクトホール47c、Ni層36上にコンタクトホール47d、Ni層40上にコンタクトホール47eをそれぞれ形成する。次に、コンタクトホール47aを介して、TiN層10bに電気的に接続されたゲート配線金属層G1を形成し、コンタクトホール47bを介して、Ni層44に電気的に接続されたゲート配線金属層G2を形成し、そして、コンタクトホール47cを介して、N
+領域2cに電気的に接続されたソースまたはドレイン配線金属層N1を形成する。そして、コンタクトホール47dを介して、N
+領域2dに電気的に接続されたソースまたはドレイン配線金属層N2を形成する。そして、コンタクトホール47eを介して、P
+領域3bに電気的に接続されたソースまたはドレイン配線金属層P1を形成する。そして、Si柱6aの全体を覆ってSiO
2層48を形成し、P
+領域24a上にコンタクトホール49を形成する。そして、コンタクトホール49を介して、Si柱6aの頂部のP
+領域24aと電気的に接続されたソースまたはドレイン配線金属層P2を形成する。これにより、i層基板1上に、2つのSGTよりなる回路が形成される。
【0054】
第2実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.本実施形態においては、SiO
2層30により分離された、N
+領域2dとP
+領域3bとに第1実施形態と同じ製造方法を適用させることにより、N
+領域2dとP
+領域3bとが電気的に独立に形成される。これにより、Si柱6aの上下に形成された2つのSGTは、電気的に独立になる。このため、例えば、ソースまたはドレイン配線金属層P1、N2を接続すると、第1実施形態と同じくCMOSインバータ回路が形成される。また、接続を変えることで、他の回路を自在に形成できる。
2.
図2Dに示したように、N
+領域2dとP
+領域3bと繋がったNi層36、40を独立に形成できる。そして、平面視において、Ni層36、40の互いの重なりを少なくさせるように、形成することができる。これにより、N
+領域2dとP
+領域3bと繋がった配線導体層であるNi層36、40の結合容量を小さくすることができる。
3.本実施形態においては、N
+領域2dとP
+領域3bとに繋がったSi層が独立に形成される。これにより、N
+領域2dに繋がったNiSi層36では、Si選択エピタキシャル成長法またはイオン注入法により、ドナー不純物をSi層に混入させたSi層を形成できる。同様に、P
+領域3bに繋がったNiSi層39では、Si選択エピタキシャル成長法またはイオン注入法により、アクセプタ不純物を混入させたSi層を形成することができる。そのあとの熱処理により、NiSi層35、39の形成と同時に、各Si層からドナーおよびアクセプタ不純物が、N
+領域2dとP
+領域3b内に拡散される。これにより、N
+領域2dとP
+領域3bとの不純物濃度が更に高められる。これにより、N
+領域2d、P
+領域3bでの接合抵抗が減少して、回路の高速化がなされる。
4.本実施形態では、N
+領域2dとP
+領域3bとに繋がり、且つドナーおよびアクセプタ不純物を含んだSi層を独立に形成することができる。このドナーおよびアクセプタ不純物を多く含ませることにより、Si層の抵抗を十分低くすることができる。これにより、Ni層36、40の代わりに、例えばタングステン(W)を用いて、Si層全体のシリサイド化を行わないで、N
+領域2dとP
+領域3bと配線導体層のW層との接続を行うことができる。このように、ドナーおよびアクセプタ不純物を含んだSi層を用いることにより、配線導体層に用いる導体材料の選択を、製造の容易性、高性能化などを考慮して、選ぶことができる。
【0055】
(第3実施形態)
以下、
図3A〜
図3Cを参照しながら、本発明の第3実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路の製造方法について説明する。第3実施形態のCMOSインバータ回路は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第1実施形態の
図1A〜
図1Lに示す工程と同様な工程によって製造される。
【0056】
図3Aに示すように、i層基板1上に、下からN
+領域51、i層1a、N
+領域2a、P
+領域3a、i層4aと、頂部にSiO
2層5aを持つSi柱6bを形成する。N
+領域51は、Si柱6bの最底部より少し上部にあるのが望ましい。そして、Si柱6bの外周部にSiN層52を形成する。そして、Si柱6bとSiN層52を覆って、SiO
2層53を形成する。そして、上表面位置がN
+領域51の上面位置にあるレジスト層54を形成する。
【0057】
次に、
図3Bに示すように、HFガスをレジスト層54に供給し、レジスト層54に含まれたHFイオンによりレジスト層54に接触しているSiO
2層53をエッチングして、開口部55を形成する。そして、レジスト層54を除去する。そして、Si選択エピタキシャル成長法により、N
+領域51の側面に接し、且つ開口部55を埋め、且つ平面視において外周がSiO
2層53aより外側にあるSi層を形成する。そして、例えばNiスパッタ法とリソグラフィ法とRIEエッチング法により、その上表面位置がこのSi層の上表面位置より上にあり、且つSi層に接したNi層57を形成する。そして、熱処理を行い、Si層のシリサイド化を行いNiSi層56を形成する。
【0058】
次に、
図3Cに示すように、Siナイトライド・オキサイド(SiNO)層58を、その上表面位置がNi層57の上面より上になるように形成する。そして、全体を覆って、例えばALD法により、HfO
2層59aと、TiN層59b、SiO
2層59cを形成する。その後、
図1D〜
図1Lと同じ工程を行うことにより、i層基板1上にSGTを有するCMOSインバータ回路が形成される。
【0059】
第3実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.第1の実施形態の説明では、Si柱6の底部から繋がるi層基板1の表層のN
+領域2cとグランド配線金属層Vssが電気的に繋がっている。この場合、Si柱6の底部から繋がるi層基板1の表層のN
+領域2cの抵抗が、例えば演算速度などの回路性能の低下に繋がっていた。これに対して、本実施形態では、Si柱6の底部から繋がるi層基板1の表層にN
+領域がなく、N
+領域51は、直接に低抵抗のNiSi層56、Ni層57に繋がっている。これにより、第1実施形態の場合のような、回路性能の低下を防止することができる。
【0060】
(第4実施形態)
以下、
図4A〜
図4Cを参照しながら、本発明の第4実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。第4実施形態の回路形成は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第2実施形態と同様な工程によって製造される。
【0061】
図1Aに示して説明した工程で、N
+層2とP
+層3の間を省略し、本来これらが形成される予定であった領域の間にSiO
2層(図示せず)を設けた基板を用意する。そして、
図1B〜
図1Dに示して説明した工程を行う。これにより、
図4Aに示すように、SiO
2層30の上下にあるN
+領域2d、P
+領域3bがない点を除いては
図2Bに示したのと同様の構造を形成する。開口部32aのSi柱6aの側面は、Si面が露出している。
【0062】
次に、
図4Bに示すように、
図1G、
図1Hに示した工程と同じく、Si選択エピタキシャル成長法により、ドナー不純物を含んだSi層(図示せず)をSi柱6aの側面に接し、且つ開口部32aを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成する。そして、Si層を囲んでNi層36aを形成する。そして、熱処理を行って、Si層をシリサイド化してNiSi層35aを形成すると同時に、Si層中のドナー不純物をSi柱6a内に拡散して、N
+領域2AをSi柱6a内に形成する。
【0063】
次に、
図4Cに示すように、
図2Dに示した工程と同じく、Si選択エピタキシャル成長法により、アクセプタ不純物を含んだSi層(図示せず)をSi柱6aの側面に接し、且つ開口部32bを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成する。そして、熱処理を行って、Si層をシリサイド化してNiSi層39aを形成すると同時に、Si層中のアクセプタ不純物をSi柱6a内に拡散して、P
+領域3AをSi柱6a内に形成する。なお、N
+領域2Aを形成するための熱処理は、P
+領域3Aを行うのと同時に行ってもよい。そして、
図2Eを用いて説明した工程を行うことによって、第2実施形態と同じSGTを有する回路を形成することが出来る。
【0064】
第4実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.第1実施形態では、i層基板1上に、例えばヒ素(As)などのドナー不純物を含むN
+層2を、イオン注入法又はエピタキシャル成長法を用いて形成し、次に、N
+層2上に、例えばボロン(B)などのアクセプタ不純物を含むP
+層3を、イオン注入法又はエピタキシャル成長法を用いて形成した。続いて、P
+層3上に、エピタキシャル成長法を用いてi層4を形成した。これに対し、本実施形態では、N
+領域2A、P
+領域3Aを形成するためのイオン注入法又はエピタキシャル成長法を用いる必要がない。このため、製造方法が簡単になり、これは製造のコストダウンに繋がる。
【0065】
(第5実施形態)
以下、
図5A、
図5Bを参照しながら、本発明の第5実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。第5実施形態の回路形成は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第2実施形態と同様な工程によって製造される。
【0066】
図5Aに示すように、
図2A、
図2Bを用いて説明した工程と同じ工程を行い、N
+領域2bの側面に開口部32aを形成する。そして、Si選択エピタキシャル成長法により、Si層(図示せず)をSi柱6aの側面に接し、且つ開口部32aを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるようにドナー不純物を含んだSi層60を形成する。そして、このSi層60を囲んで、上部にNi層62を有する、ドナー不純物を含んだポリSi層61を形成する。
【0067】
次に、
図5Bに示すように、熱処理を行って、ドナー不純物を含んだポリSi層61、Si層60をシリサイド化してNiSi層63、60aを形成する。この場合、N
+領域2bの側面にはNiSi層65が形成される。その後、
図2D、
図2Eを用いて説明した工程を行うことによって、第2実施形態と同じSGTを有する回路を形成することができる。
【0068】
第5実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.本実施形態では、ポリSi層61、Si層60の両方にドナー不純物を含ませているので、熱処理によるポリSi層61、Si層60のシリサイド化による、ドナー不純物のN
+領域2bへの押し出し効果が大きく、N
+領域2bに多くのドナー不純物を含ませることができる(シリサイド化による不純物の押し出し効果については非特許文献4を参照)。これにより、更にN
+領域2bの低抵抗化が行われる。
【0069】
(第6実施形態)
以下、
図6A〜
図6Cを参照しながら、本発明の第6実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。第6実施形態の回路形成は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第2実施形態と同様な工程によって製造される。
【0070】
図2A〜
図2Cを用いて説明した工程を行う。次に
図6Aに示すように、SiN層67を、上表面位置がNi層36の上面より上になるように形成する。そして、レジスト層68をSi柱6aの外周部においてSiN層67上に形成する。
【0071】
次に、
図6Bに示すように、HFガスをレジスト層68に供給し、レジスト層68に含まれたHFイオンによりレジスト層68に接触しているSiO
2層11cをエッチングして、その後にレジスト層68を除去する。そして、SiO
2層11cをマスクにしてTiN層10cをエッチングし、SiO
2層11cとTiN層10cをマスクにしてHfO
2層9をエッチングして、開口部69を形成する。
【0072】
次に、
図6Cに示すように、例えばフロー(Flow)CVDにより、開口部69を埋め、且つ上表面位置が開口部69の上端より上になるSiO
2層70を形成する。そして、例えばスパッタ蒸着により酸化アルミニウム(Al
2O
3)層71をSiO
2層70上に形成する。以後、
図2D、
図2Eを用いて説明した工程と同じ工程を行うことにより、Si柱6aに2つのSGTを有する回路を形成する。
【0073】
第6実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.第2実施形態では、N
+領域2dとP
+領域3bの間のSi柱6aを囲んで導体であるTiN層10eが形成されている。このため、TiN層10eの上下にあるNiSi層35、39間の結合容量が大きくなっている。これに対して、本実施形態では、TiN層10eが除去され、絶縁層であるSiO
2層70が埋められているので、第2実施形態の構造と比べて、結合容量が大きく減少される。
【0074】
(第7実施形態)
以下、
図7A、
図7Bを参照しながら、本発明の第7実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。第7実施形態の回路形成は、以下に説明する構造上の相違点が生じたこと以外は、第2実施形態と同様な工程によって製造される。
【0075】
図2A、
図2Bを用いて説明した工程と同じ工程を行う。そして、
図7Aに示すように、Si選択エピタキシャル成長法により、N
+領域2dの外周側面に接し、且つ開口部32aの底部を埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外側にあるSi層75を形成する。Si層75の上面は、開口部32aの全てを埋めていない。
【0076】
次に、
図7Bに示すように、例えばスパッタ蒸着法によりNi層(図示せず)を、SiO
2層11cの外周部にあって、且つSiN層31上にあり、且つその上表面位置が開口部32aの上部に位置するように形成する。そして、例えばリソグラフィ法とRIEエッチング法によりNi層76を形成する。そして、熱処理により、Si層のシリサイド化を行いNiSi層77を形成する。そして、
図2D、
図2Eを用いて説明した工程と同じ工程を行うことによって、i層基板1上にSGTを有した回路形成がなされる。
【0077】
第7実施形態の回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.第2実施形態においては、開口部32aの全体がSi層により埋められているのに対して、本実施形態ではSi層は開口部32aの底部に形成され、その上表面位置は開口部32aの最上端位置より離れている。この場合、NiSi層77と、N
+領域2dとNi層76とは接続されているので、これは、なんら、SGT性能を損なわない。Si選択エピタキシャル成長法においては、SiN層31表面に到達したSi原子、またはSi原子を含んだ分子が、SiN層31表面を移動し、N
+領域2d側面を成長核にして、水平方向および垂直方向に結晶成長してSi層を形成する。この場合、開口部32aの全てを埋める必要がないことは、製造の容易さに繋がる。
2.Si層のシリサイド化により形成されたNiSi層77は、Ni原子のSi層への混入により体積増加がなされる(シリサイド化によるシリサイド層の体積増加については非特許文献4を参照)。第2実施形態では、本実施形態のような空間がないため、シリサイド化時に生じたNiSi層35での応力が直接にSi柱6aに加わって、Si柱6aの曲がりなどの問題が生じる可能性がある。これに対して、本実施形態では、Si層上部に空間があるため、シリサイド化時に生じたNiSi層35が、この空間内に突起するため、応力が直接にSi柱6aに加わることが緩和される。これにより、Si柱6aの曲がりなどの問題が生じづらくなる。
【0078】
(第8実施形態)
以下、
図8を参照しながら、本発明の第8実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。
【0079】
第2実施形態では、選択エピタキシャル成長Si層(図示せず)をシリサイド化して形成したNiSi層39が、P
+領域3bの側面に接し、且つ開口部32bを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成されていた。これに対して、第8実施形態では、
図8に示すように、P
+領域3bを形成せず、選択ヘテロエピタキシャル成長により形成したアクセプタ不純物を含んだシリコン・ゲルマニウム(SiGe)層78をSi柱6aの側面に接し、且つ開口部32bを埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外周より外側になるように形成する。そして、SiGe層78を囲んで配線導体層である例えばW層79を形成する。そして、Si柱6aの頂部に、第2実施形態におけるSiを母体とするP
+領域24aに替えて、アクセプタ不純物を含んだ選択エピタキシャル成長法によるSiGeを母体とするP
+領域80を形成する。他は、第2実施形態で説明したのと同じ工程を行うことにより、i層基板1上にSGTを有する回路を形成することができる。
【0080】
第8実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.本実施形態では、Si柱6aに形成された上部にあるSGTのチャネルとなるi層4aの上下にP
+領域である選択ヘテロエピタキシャル成長法によるSiGe層78、80が形成される。このSiGe層78、80による応力発生と、Si柱6a及びSiGe層78、80の間の界面で高濃度のアクセプタ不純物分布をステップ状に変化できることとにより、チャネルであるi層4aを走行するホールの移動度向上と、オン電流向上とができる(性能向上効果に関しては非特許文献5を参照)。これにより、SGT回路の性能向上が図れる。
【0081】
(第9実施形態)
以下、
図9を参照しながら、本発明の第9実施形態に係る、SGTを有するCMOSインバータ回路形成について説明する。
【0082】
図9に、第1実施形態における
図1Gに対応する工程を示す。W選択CVD成長法により、N
+領域2a、P
+領域3aの外周側面に接し、かつ開口部13aを囲んだW層81を形成する。この場合、平面視において、W層81の外周位置が、SiO
2層11cの外周より、外側になるように形成する。
図9に示した工程以外は、第1実施形態で説明した工程と同じである。但し、Si層15をシリサイド化する工程は不要である。これによって、i層基板1上にSGTを有する回路を形成することができる。
【0083】
第1実施形態では、Si選択エピタキシャル成長法を用いて、Si層15を形成した。この場合、Si層15に接するN
+領域2a、P
+領域3aは、Siの単結晶であるため、Si層15も、結晶軸をN
+領域2a、P
+領域3aのSi層に揃えてエピタキシャル(epitaxial)成長される。それに対して、W層81の形成では、W層81とN
+領域2a、P
+領域3aとが構成原子が異なるため、W層81はエピタキシャル成長されない。W層81が、N
+領域2a、P
+領域3aの外周に選択的に形成される。このW層81の形成は、例えば、Wのハロゲン化物を原料ガスとした、CVD法によりWのハロゲン化物を還元すると、特定の材料表面のみに選択的にW膜が形成されることによる。この選択性は、表面材質が異なると、Wのハロゲン化物の還元速度が著しく異なるために生じる。WはSiや金属表面に堆積し、SiO
2膜などの絶縁膜上には堆積しない(詳しくは、非特許文献6を参照)。
【0084】
第9実施形態のCMOSインバータ回路の製造方法によれば、以下の効果が奏される。
1.W層81は低抵抗の導電層であるので、第1実施形態のように、Si層15のシリサイド化による低抵抗化の必要はない。これにより、工程の簡略化ができるとともに、Ni層16に替えた配線材料層の選択肢を広げることができる。
2.また、W選択CVD法において、反応ガス中にジボランまたはホスフィンガスを導入して、アクセプタまたはドナー不純物を含んだW層81を形成してもよい。これにより、第4実施形態と同じく、W層81からSi柱6内に不純物を拡散させることができ、第4実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0085】
なお、上記各実施形態では、1つのSi柱に2個のSGTが形成されている半導体装置の製造方法とした。しかしこれに限られず、本発明の技術思想は、1個の半導体柱に1個、または3個以上のSGTを有する半導体装置の製造方法にも適用可能である。
【0086】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、Si柱6、6aにおいて、下部にNチャネルSGTが形成され、上部にPチャネルSGTが形成されている形態としたが、下部にPチャネルSGT、上部にNチャネルSGTが形成された回路に対しても、本発明の技術的思想が適用可能である。また、上下共にNチャネル又はPチャネルSGTの一方を用いた回路の形成にも本発明の技術思想は適用可能である。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても適用可能である。
【0087】
また、第1実施形態では、Si層15をSi選択エピタキシャル成長法により形成した。エピタキシャル成長とは、薄膜結晶成長技術のひとつである。基板となる結晶の上に結晶成長を行い、成長させる基板の結晶面にそろえて配列する成長の様式である。従って、第1実施形態でのSi層15は単結晶にできる。しかし、Si層15の低抵抗化は、
図1Iで示したように、Ni層16によるシリサイド化により行われ、NiSi層15aになる。このため、Si層15は単結晶であることは必須ではない。従って、Si層15は、CVD法により選択的にN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成されるものであってもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0088】
また、上述した第1実施形態の変形例では、Si層15をCVD法により選択的にN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成させた。また、第9実施形態ではW層81をCVD法により、選択的にN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成させた。このCVD法以外の方法、例えば、分子線法または液相法などの、選択的にN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成されるものであれば、他の方法であってもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0089】
また、第1実施形態では、Si層15の下地に、SiN層12を用いた。Si選択エピタキシャル成長では、エピタキシャル成長される場所の外周部材料層表面は、Si原子が堆積されづらいことが望ましい。この条件を満たせば、SiN層12の替わりに、単層または複数層よりなる他の材料層を用いてもよい。このSi層15形成過程において、SiN層12表面に吸着したSi分子が、SiN層12表面に到着してから、SiN層12表面を移動する距離が長くなる供給律速条件で堆積されるのが望ましい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0090】
また、第1実施形態では、Si層15の単層を選択CVD法により選択的にN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成させた。これに対して、Si層15の単層の代わりに又は追加で他の材料層の単層又は複数層を選択CVD法によりN
+領域2a、P
+領域3aの側面に接して形成させてもよい。この場合、平面視において、内層の外周はSiO
2層11cの外周内にあってもよいが、最外層の外周はSiO
2層11cの外周より外側になることが必要である。例えば、Si層15形成の後に、W層を選択CVD法により選択的に堆積させてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。また、最内層として、不純物領域との接触抵抗を抑制するためのバッファ金属層を設けてもよい。例えば、第9実施形態において、W層81とN
+領域2a、P
+領域3aとの間にTi層又はTiN層を設けてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0091】
また、第1実施形態では、HFイオンを含んだレジスト層7を、平面視において、SiO
2層11aの外周部全体に形成して、
図1Fに示すように、Si柱6の外周部全体に繋がる開口部13aを形成した。これに対して、レジスト層を、リソグラフィ法により、平面視において、SiO
2層11aの外周部の一部に接するように形成し、その後第1実施形態と同じ開口部形成工程を行う。これにより、平面視において、Si柱6の外周部の一部に開口部を形成することができる。これによっても、N
+領域2a、P
+領域3aと、NiSi層15a、Ni層16との、接続は実現される。この場合、
図1Lに示したインバータ回路においては、ゲート電極のTiN層10b、10dが繋がるので、TiN層10dに繋がるNiSi層21、Ni層22の形成工程を不要にできる利点を得る。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0092】
また、第1実施形態では、バイアス・スパッタ法を用いてi層基板1の上表面に対して垂直な方向からNi原子を入射し、Ni層16を、SiN層12上と、Si柱6の頂部上とに堆積させた。ここでのバイアス・スパッタ法は、i層基板1が配置される基板電極板と、i層基板1から離間した対抗電極板にRF高周波電圧を印加するとともに、基板電極板に電圧を印加することで、Ni原子イオンをi層基板1の上方に堆積させるものである。i層基板1の上表面に対して垂直な方向からNi原子を入射することでNi層16を形成できる方法であれば、バイアス・スパッタ法以外の方法を用いてもよい。このような方法は、上部のNi層22形成にも適用可能である。また、本発明に関する同じ目的をもって、Ni層16、22に替えて、他の導体材料よりなる導体層を形成してもよいが、この場合においても上述したようにバイアス・スパッタ法以外の方法を用いることができる。また、このような方法は、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0093】
また、第1実施形態では、i層基板1の上表面に対して側面の角度が略直角(約90度)であるSi柱6を形成した。ここでは、Si柱6の側面の角度を、i層基板1の上表面に対して略直角とすることにより、Si柱6の外周を囲むSiO
2層11cの側部表面へのNi原子の堆積が防止されている。Si柱6の内側からみたときのSi柱6の側面とi層基板1の上表面との角度は、Si柱6の外周を囲むSiO
2層11cの側部表面にNi原子が堆積されない限り、90度よりも小さくともよい(即ち、Si柱6の側面がSi柱6の内向きに傾いていてもよい)。例えば、バイアス・スパッタ法では、i層基板1を配置する基板電極板と、i層基板1から離間した対抗電極板との間に印加するバイアス電圧を制御することで、SiO
2層11cの側部表面にNi原子が堆積されることが防止できる(これについて基本的な方法に関しては、非特許文献3を参照のこと。)。また、SiO
2層11cの側部表面にNi原子が堆積されても、例えば希釈フッ酸溶液などで簡単に除去可能なものであれば問題はない。このことは、上部のNi層22の形成においても同じである。さらに、このことは、本発明に係るその他の実施形態においても適用可能である。なお、Si柱6の内側からみたときのSi柱6の側面とi層基板1の上表面との角度が90度よりも大きい場合(即ち、Si柱6の側面がSi柱6の外向きに傾いている場合)、Si柱6の頂部がNi原子への遮蔽となるので、当然に、Si柱6の側面にNi原子は堆積しない。
【0094】
また、第1実施形態では、開口部13a、13bの形成を、レジスト層7にHFガスを供給し、発生したHFイオンによりSiO
2層11aをエッチングする方法を用いて行った。これに対して、HFイオンを含んだレジスト層7、またはHFイオンを含んだ有機材料層、またはHFイオンを含んだ無機材料層を形成して、SiO
2層11aをエッチングしてもよい。この開口部の形成は、他の方法を用いてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0095】
また、第1実施形態では、
図1Fにて説明したように、露出したTiN層10b、10c端を酸化して絶縁層であるTiO層14a、14bを形成したが、窒化により窒素(N)が含まれた絶縁層を形成してもよい。また他の方法で絶縁層を形成してもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同じである。
【0096】
また、第1実施形態におけるSiN層12、20は、表層にSiN層が積層されている単層または複数のほかの材料層(例えば、SiO
2層など)より構成させてもよい。また、SiN層12、20は、開口部13a、13bをHFイオンエッチングする際のストッパ層としての役割をしているので、例えば、第3実施形態において用いたSiNO層58などのHFイオンの拡散係数が小さい材料層を用いてもよい。また、本実施形態ではHFイオンによるエッチング法を用いて開口部13a、13bを形成したが、他の方法で開口部13a、13bを形成する場合は、構造および電気的特性に、不都合を生じないかぎりにおいて、単層または複数の材料層を用いてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても適用可能である。
【0097】
また、第1実施形態を説明した
図1Lにおいて、NiSi層15aと接した、N
+領域2a及びP
+領域3aの側面表層にNiSi層が形成されていないが、第5実施形態と同様にこれらの領域の側面表層にNiSi層が形成されてもよい。例えば、NiSi層15aを形成するための熱処理での加熱時間の延長及び/若しくは加熱温度の増加又は追加の熱処理により、Ni原子の拡散を促進することで、Ni原子をN
+領域2a、P
+領域3aまで拡散させることにより、N
+領域2a及びP
+領域3aの側面表層にNiSi層を形成することができる。このNiSi層はSi柱6の中心まで形成されてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても適用可能である。
【0098】
また、第1実施形態では、ゲート導電層がTiN層10b、10dからなる形態とした。しかしこれに限られず、ゲート導電層は、他の金属材料からなる形態でもよい。また、ゲート導電層は、金属層と例えばポリSi層などからなる多層構造からなる形態でもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0099】
また、第1実施形態では、Si層15に接した配線導体層としてNi層16を用いた。このNi層16に替えて、Si層のシリサイド化ができるコバルト(Co)、タングステン(W)などの他の金属層を用いてもよい。また、このNi層に変えて、例えばNiSi層などのシリサイド層を用いても、Si層15のシリサイド化ができるので、用いてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0100】
また、第1実施形態では、最初にSi柱6を形成してから、ゲート絶縁層であるHfO
2層9、ゲートTiN層10を形成する工程を用いて説明した。これに対して、例えば、SiO
2膜に孔を空けて、その中にALD法でTiN層、HfO
2層を堆積させ、底部のTiN層、HfO
2層を除去した後にSiエピタキシャル成長法によりSi柱を形成する方法、または、空けた孔の内部にALD法により、連続してTiN層、HfO
2層を堆積した後、連続してALD法により孔をSi層で埋めてSi柱を形成してもよい。この場合、孔を空ける最初のSiO
2膜は、Si柱6形成後に、除去する必要がある。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0101】
また、第1実施形態では、上下のSGTのゲート導電層を同じ材料のTiN層10b、10dを用いて説明したが、他のゲート材料層を用いてもよいし、上下で異なる材料を用いてもよい。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0102】
また、第1実施形態では、Ni層(図示せず)を積層し、これからNi層16、22を形成した後に、シリサイド化によりNiSi層15a、21を形成したが、Ni層を積層した後に、シリサイド化によりNiSi層15a、21を形成し、その後、Ni層16、22を形成してもよい。
【0103】
また、第7実施形態では、Si選択エピタキシャル成長法により、N
+領域2dの外周側面に接し、且つ開口部32aの底部を埋め、且つ平面視において、その外周がSiO
2層11cの外側にあるSi層75を形成した。この場合、Si層75の上面は、開口部32aの全てを埋めないようにして、SiO
2層11cの下端から離れている。こうしたSi層75の形状は、例えば第8実施形態におけるSiGe層78、また第9実施形態におけるW層81のように他の材料層においても、適用可能である。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0104】
また、第1実施形態では、Ni層(図示せず)を積層し、これからNi層16、22を形成した後に、シリサイド化によりNiSi層15a、21を形成した。これに対し、Si層15を形成した後、Si層15を埋めるようにNi層を堆積し、熱処理を行って、NiSi層15aを形成してから、例えばリソグラフィ法とRIE法とを用いて、Ni層16を形成してもよい。同様に、NiSi層21を形成した後にNi層22を形成することもできる。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0105】
また、第1実施形態では、Ni層(図示せず)を積層し、これからNi層16、22を形成した後に、シリサイド化によりNiSi層15a、21を形成した。これに対し、Si層15を形成した後、ALD法により全体に薄いNi層を堆積し、熱処理を行って、NiSi層15aを形成してもよい。この場合、NiSi層15aを形成した後に、残存しているNi層を除去する。これにより、Si層15のシリサイド化を行わず、Ni層16の代わりに、他の配線導体層を用いることができる。同様にNi層22を別の配線導体層に置き換えることもできる。これは配線導体層の材料の選択枝が広がることに繋がる。このことは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0106】
また第3実施形態では、Si柱6bを覆ってSiN層52を形成した後に、SiO
2層53の形成を行った。これに対して、SiO
2層53の形成を、SiN層52形成前に行ってもよい。
【0107】
また、第8実施形態では、SiGe層78はSi柱6aの垂直な外周側面に接しているが、開口部32bを形成する工程において、露出したSi柱6aの表面をエッチングしてSi柱6aの表層を凹ましてもよい。これにより、SiGe層78の応力効果及び電流注入効果が更に向上することができる。
【0108】
また、第8実施形態では、アクセプタ不純物を含んだSiGe層78がSi柱6aを囲んで形成された。その後の熱処理により、SiGe層78に含まれているアクセプタ不純物はSi柱6a内に拡散される。この場合、細かく観察すると、Si柱6aの側面内部にP
+領域が形成されている。
【0109】
また、第8実施形態では、Si柱6aに形成された2つのSGTの内の上部のSGTのソースおよびドレインにP
+領域であるアクセプタ不純物を含んだSiGe層78、80を形成した。しかし、Si柱6aに形成された2つのSGTの内の下部のSGTに本発明を適用することもできる。この場合、Si柱6aの底部に形成するSiGe層は、第3実施形態で説明した方法を用いて、形成すればよい。また、1つのSi柱6aに3個以上のSGTを形成する場合においても本発明を適用することができる。
【0110】
また、第8実施形態では、P
+領域としてアクセプタ不純物を含んだSiGe層78、80を用いたが、同じ効果を得られるものであれば、他の半導体原子組成よりなるものであってもよい。または、SGTのソースまたはドレインとしての機能が実現できるものであれば、他の半導体原子組成よりなるものであってもよい。P
+領域のそれぞれが、異なる半導体原子組成よりなるものであってもよい。
【0111】
また、第8実施形態では、W層79をSiGe層78上にそれと直接接して形成した。これに対して、選択エピタキシャル成長法でSiGe層78を形成した後に、続けて例えば選択エピタキシャル成長法でSi層を、バッファ層として形成してもよい。また、W層79の代わりに、単層または複数層の他の材料層からなる導電層を用いてもよい。
【0112】
また、第1実施形態では、i層基板1の代わりに、SOI基板を用いることができる。また、i層基板1の上表面にN型またはP型の不純物領域を形成したウエル(well)構造を設けてもよい。これらは、本発明に係るその他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0113】
また、第9実施形態では、W層81を形成したが、Wと異なる金属材料を選択CVD法により形成してもよい。
【0114】
また、上記各実施形態では、半導体柱としてSi(シリコン)柱を用いた例について説明した。しかしこれに限られず、本発明の技術思想は、シリコン以外の半導体材料からなる半導体柱を用いた、SGTを有する半導体装置にも適用可能である。
【0115】
また、上記各実施形態では、SGTの上下にあるソースとドレインを形成する不純物領域が同じ導電性を有した場合を例として説明したが、ソースとドレインの不純物領域の導電性が異なるトンネル効果SGTに対しても本発明は適用できる。
【0116】
また、上記各実施形態では、SGTは、Si柱6などの半導体柱の外周に、例えばHfO
2層9a、9bによるゲート絶縁層が形成され、ゲート絶縁層の外周に例えばTiN層10b、10dによるゲート導体層が形成されている構造を有する。しかしこれに限られず、ゲート導体層とゲート絶縁層との間に電気的に浮遊した導体層、又は、例えばSiN層などの電荷蓄積層を有するフラッシュメモリ素子もSGTの1種であるので、このようなフラッシュメモリ素子の製造方法にも、本発明の技術思想を適用することができる。
【0117】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。上記実施例及び変形例は任意に組み合わせることができる。さらに、必要に応じて上記実施形態の構成要件の一部を除いても本発明の技術思想の範囲内となる。
層(11d)の外周より外側にある半導体原子Siを含む第1の導体層(15a、21)と、第1の導体層(15a、21)の外周部に繋がり、水平方向に伸延する金属原子Niを含む第2の導体層(22)を有したSGT回路。