特許第6442692号(P6442692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000002
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000003
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000004
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000005
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000006
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000007
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000008
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000009
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000010
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000011
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000012
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000013
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000014
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000015
  • 特許6442692-固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442692
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/10 20060101AFI20181217BHJP
   F16B 17/00 20060101ALI20181217BHJP
   F24H 9/20 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   F16B19/10 B
   F16B17/00 C
   F24H9/20 E
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-200305(P2016-200305)
(22)【出願日】2016年10月11日
(65)【公開番号】特開2018-62960(P2018-62960A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2017年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000226507
【氏名又は名称】株式会社ニックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐治 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】松林 由紘
(72)【発明者】
【氏名】居崎 枝理子
【審査官】 内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−064459(JP,A)
【文献】 特開2008−163996(JP,A)
【文献】 特開2003−083313(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182541(JP,U)
【文献】 国際公開第2009/008185(WO,A1)
【文献】 特開2010−071630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00−19/14
F24H 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質材料からなる基体への装着部及び前記基体に装備される装備品の係合部を有する本体部と、
前記本体部に対して着脱可能に構成され、前記本体部への装着時に前記装着部に押圧力を付与して前記本体部を前記基体に固定するリベット部と、
前記本体部と前記リベット部とを連結するヒンジ部と、
を一体に形成し
前記本体部は、リベット挿入孔が開設された板状の前面部を有し、前記装着部は、前記リベット挿入孔の側端部から起立されて前記前面部の背面側に延びる弾性変形部と、当該弾性変形部の外面に形成された係止爪とから構成されていて、前記弾性変形部の内面先端部は、前記リベット挿入孔内に挿入された前記リベット部の移動経路上に配置されており、
前記弾性変形部は、その外面に複数個の前記係止爪が形成され、これら複数個の前記係止爪は、前記弾性変形部の先端側に形成される前記係止爪ほど大型に形成されていることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記弾性変形部の内面又は前記リベット部の外面のいずれか一方に係合突起を形成し、前記弾性変形部の内面又は前記リベット部の外面のいずれか他方に、前記リベット部を前記リベット挿入孔内の所定位置まで挿入したときに、前記係合突起と係合する係合凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記前面部は、前記装備品をねじ止めするためのねじ孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載の固定具。
【請求項4】
前記本体部は、前記前面部の背面側から突出して前記基体に係合される回り止め部を有することを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項5】
前記前面部の上辺に、若しくは前記前面部の上辺及び下辺の双方に、前記前面部を切り欠くことによって前記前面部の中心部に設けられたフック受け部と、当該フック受け部の左右に設けられた傾斜部とを形成したことを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか1項に記載の固定具。
【請求項6】
タンクの外周を軟質材料からなる断熱材で覆い、前記断熱材に、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の固定具を介して、電装品ユニットを係合したことを特徴とする貯湯式給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定具及びこれを備えた貯湯式給湯器に係り、特に、発泡樹脂等の軟質材料を用いて形成された基体への装備品の取り付けに適した樹脂製の固定具と、発泡樹脂等の軟質材料からなる断熱材に電装品ユニット等の装備品を係合した貯湯式給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図13に示すように、タンクユニット101の周囲を発泡樹脂製の第1側面断熱部102、第2側面断熱部103、底面断熱部104及び上面断熱部105で覆い、第1側面断熱部102の外面に複数個の固定具106を介して、電装品ユニット107を取り付けた給湯装置100が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
固定具106は、図14に示すように、発泡樹脂製の蓋部材110と、金属製のフック受け部材120との組み合わせからなる。蓋部材110は、フック受け部材120よりも大型に形成された基部111と、当該基部111の片面から垂直に突設された角柱状の突出部112とを有する。フック受け部材120は、前面板121、上面板122、下面板123、右側面板124及び左側面板125を有し、突出部112の外面に装着可能な箱形に形成されている。また、前面板121と上面板122の一部には、電装品ユニット107を取り付けるための切欠部126が設けられている。
【0004】
上面板122及び下面板123には、その先端側から前面板121側に向けて傾斜し、フック受け部材120の内側に突出する係止爪127が形成されている。従って、フック受け部材120を突出部112の外面に装着すると、図15に示すように、係止爪127が突出部112の外面に係合し、蓋部材110とフック受け部材120とが一体に組み立てられる。
【0005】
一方、右側面板124及び左側面板125には、前面板121側からその先端側に向けて傾斜し、フック受け部材120の外側に突出する係止爪128が形成されている。従って、第1側面断熱部102の内面側から第1側面断熱部102に開設された貫通孔131内に固定具106を挿入すると、係止爪128が貫通孔131の壁面に係合し、第1側面断熱部102に対して固定具106が固定される。
【0006】
第1側面断熱部102に対する電装品ユニット107の取り付けは、図15に示すように、電装品ユニット107の背面に形成されたフック108をフック受け部材120に形成された切欠部126内に挿入し、フック108の根元部分を前面板121の上端部に係合することにより行われる。
【0007】
従来例に係る固定具106は、このように構成されているので、固定具106にフック108を掛けるだけで、第1側面断熱部102に対する電装品ユニット107の取り付け作業を完了できる。よって、ねじを用いて固定する場合のように、電装品ユニット107を片手で支えながらねじ止め作業を行うという困難な作業を行う必要がなく、基体である第1側面断熱部102に対する電装品ユニット107の取り付け作業を容易に行うことができる。また、ねじを用いる場合には、慎重に作業を行わないと、第1側面断熱部102が破損しやすいが、従来例に係る固定具106は、固定具106にフック108を掛けるだけであるのでこのような問題を発生することがなく、第1側面断熱部102の無駄も防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−71630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来例に係る固定具106は、発泡樹脂製の蓋部材110と金属製のフック受け部材120との2部品からなるので、固定具106が高価なものになるという問題がある。
【0010】
また、従来例に係る固定具106は、第1側面断熱部102の内面側から取り付ける構成であるので、何らかの理由により固定具106の取り付けをやり直す必要が生じた場合には、タンクユニット101からの第1側面断熱部102の取り外し作業が必要となり、作業効率が著しく低いものとなる。
【0011】
更に、従来例に係る固定具106は、フック受け部材120よりも大型の蓋部材110を必要とするので、適用可能な第1側面断熱部102の形状に制限があり、第1側面断熱部102の形状によっては、形状及びサイズが異なる複数種類の蓋部材110を用意しなくてはならない場合が生じる。従来例に係る固定具106は、この点からも改善の余地がある。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価にして、発泡樹脂等の軟質材料をもって形成された基体への装備品の取り付けを容易かつ確実に行うことができる固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記の技術的課題を解決するため、固定具に関しては、軟質材料からなる基体への装着部及び前記基体に装備される装備品の係合部を有する本体部と、前記本体部に対して着脱可能に構成され、前記本体部への装着時に前記装着部に押圧力を付与して前記本体部を前記基体に固定するリベット部と、前記本体部と前記リベット部とを連結するヒンジ部と、を一体に形成し、前記本体部は、リベット挿入孔が開設された板状の前面部を有し、前記装着部は、前記リベット挿入孔の側端部から起立されて前記前面部の背面側に延びる弾性変形部と、当該弾性変形部の外面に形成された係止爪とから構成されていて、前記弾性変形部の内面先端部は、前記リベット挿入孔内に挿入された前記リベット部の移動経路上に配置されており、前記弾性変形部は、その外面に複数個の前記係止爪が形成され、これら複数個の前記係止爪は、前記弾性変形部の先端側に形成される前記係止爪ほど大型に形成されていることを特徴とする。
【0014】
本構成によると、固定具を1部品で製造できるので、固定具の低コスト化が図れると共に、基体への取り付け作業を容易化できる。また、本構成の固定具は、小型であり、基体の表面側から基体に形成された固定具装着用の凹部内に装着できるので、何らかの理由によって基体への固定具の取り付けをやり直す必要が生じた場合にも、そのやり直し作業を容易に行うことができる。
【0015】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記本体部は、リベット挿入孔が開設された板状の前面部を有し、前記装着部は、前記リベット挿入孔の側端部から起立されて前記前面部の背面側に延びる弾性変形部と、当該弾性変形部の外面に形成された係止爪とから構成されていて、前記弾性変形部の内面先端部は、前記リベット挿入孔内に挿入された前記リベット部の移動経路上に配置されていることを特徴とする。
【0016】
本構成によると、弾性変形部の内面先端部がリベット挿入孔内に挿入されたリベット部の移動経路上に配置されているので、リベット挿入孔内へのリベット部の挿入時に、弾性変形部がリベット部により押圧されて外向きに弾性変形される。これにより、弾性変形部の外面に形成された係止爪が基体に押し込まれるので、固定具を基体に強固に取り付けることができる。
【0017】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記弾性変形部は、その外面に複数個の前記係止爪が形成され、これら複数個の前記係止爪は、前記弾性変形部の先端側に形成される前記係止爪ほど大型に形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記のように、弾性変形部はリベット挿入孔の側端部から起立され、その先端側がリベット部の移動経路上に配置されているので、弾性変形部の外面の先端側に大型の係止爪を形成しても、弾性変形部及び係止爪からなる装着部の外幅を一定の大きさに抑えることができる。従って、弾性変形部の先端側に形成される係止爪ほど大型に形成しても、基体に形成された固定具装着用の凹部内への固定具の装着が困難になることはない。また、弾性変形部の先端側に形成される係止爪ほど大型に形成すると、基体への係止爪の押し込み量を増加できるので、固定具を基体に強固に取り付けることができる。
【0019】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記弾性変形部の内面又は前記リベット部の外面のいずれか一方に係合突起を形成し、前記弾性変形部の内面又は前記リベット部の外面のいずれか他方に、前記リベット部を前記リベット挿入孔内の所定位置まで挿入したときに、前記係合突起と係合する係合凹部を形成したことを特徴とする。
【0020】
本構成によると、リベット部を本体部に開設されたリベット挿入孔内の所定位置まで挿入したときに、弾性変形部の内面とリベット部の外面とに形成された係合突起及び係合凹部が係合し、作業者にクリック感触及びクリック音が付与されるので、基体に対する固定具の取り付け作業を容易かつ確実に行うことができる。また、係合突起及び係合凹部が係合されることにより、本体部からのリベット部の脱落が防止される。
【0021】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記前面部は、前記装備品をねじ止めするためのねじ孔を有することを特徴とする。
【0022】
本構成によると、前面部に装備品を取り付けるためのフック受け部とねじ孔とが設けられているので、固定具に対する装備品の取り付け態様を多様化できる。
【0023】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記本体部は、前記前面部の背面側から突出して前記基体に係合される回り止め部を有することを特徴とする。
【0024】
本構成によると、前面部の背面側に回り止め部を形成したので、固定具を基体に形成された固定具装着用の凹部内に装着したとき、回り止め部が当該凹部の壁面に当接される。よって、固定具に装備品をねじ止めする際の回転力が本体部に作用しても、基体に対する本体部の回転が防止され、装備品のねじ止めを容易に行うことができる。
【0025】
また本発明は、前記構成の固定具において、前記前面部の上辺に、若しくは前記前面部の上辺及び下辺の双方に、前記前面部を切り欠くことによって前記前面部の中心部に設けられたフック受け部と、当該フック受け部の左右に設けられた傾斜部とを形成したことを特徴とする。
【0026】
前面部の上辺に形成されたフック受け部及び傾斜部は、装備品に備えられた第1のフックを固定具に係合する際の係合部として機能する。これに対して、前面部の下辺に形成されたフック受け部及び傾斜部は、前面部の上辺部に形成されたフック受け部に第1のフックが係合されている装備品が持ち上げられたとき、装備品に備えられた第2のフックを係合して、基体からの装備品の転倒及び脱落を防止する機能を有する。フック受け部の左右に設けられた傾斜部は、装備品に備えられた第1及び第2のフックをフック受け部に係合する際の案内部として機能する。
【0027】
一方、本発明は、貯湯式給湯器に関して、タンクの外周を軟質材料からなる断熱材で覆い、前記断熱材に、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の固定具を介して、電装品ユニットを係合したことを特徴とする。
【0028】
本構成によると、前面部の上辺部に形成されたフック受け部に第1のフックが係合されている状態において、装備品が上方に持ち上げられると、前面部の下辺部に形成されたフック受け部に第2のフックが係合される。よって、何らかの外力を受けて装備品が意図することなく持ち上げられた場合にも、前面部の下辺部に形成されたフック受け部に第2のフックが係合されるので、基体からの装備品の転倒及び脱落を防止できる。また、基体から装備品を取り外す際に、勢い余って装備品がその上方に配置された他の機器と衝突するということがないので、装備品及び他の機器の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、固定具を本体部とリベット部とヒンジ部とからなる1部品で構成したので、安価にして、発泡樹脂等の軟質材料をもって形成される基体への装備品の取り付けを容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る固定具の斜視図である。
図2】実施形態に係る固定具の正面図である。
図3】実施形態に係る固定具の平面図である。
図4】実施形態に係る固定具の側面図である。
図5】実施形態に係る固定具を装着するための凹部が形成された基体の要部正面図である。
図6】実施形態に係る固定具の基体への挿入状態を示す要部横断面図である。
図7】実施形態に係る固定具の基体への装着状態を示す要部横断面図である。
図8】実施形態に係る固定具の基体への挿入状態を示す要部縦断面図である。
図9】実施形態に係る固定具の基体への装着状態を示す要部縦断面図である。
図10】実施形態に係る固定具への装備品の係合状態を示す要部縦断面図である。
図11】実施形態に係る固定具への装備品のねじ止め状態を示す要部縦断面図である。
図12】実施形態に係る固定具を用いて電装品ユニットを取り付けた貯湯式給湯器の斜視図である。
図13】従来例に係る固定具を介して断熱部に電装品ユニットが取り付けられる給湯装置の分解斜視図である。
図14】従来例に係る固定具の分解斜視図である。
図15】従来例に係る固定具への電装品ユニットの係合状態を示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る固定具の実施形態について、図を用いて説明する。なお、本発明の範囲は、以下に記載する実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に設計変更を加えて実施するものを含むことは勿論である。
【0032】
実施形態に係る固定具1は、図1図4に示すように、本体部2と、リベット部3と、これら本体部2とリベット部3とを連結するヒンジ部4とからなり、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニル、フッ素樹脂等の適度の弾性と機械的強度を有する合成樹脂材料を用いて一体に形成されている。このように、実施形態に係る固定具1は、1部品をもって構成されているので、低コストに製造できる。
【0033】
本体部2は、図1図4に示すように、板状に形成された前面部11と、前面部11の背面側に形成された角柱状の回り止め部12と、前面部11の左右両端部から起立されて前面部11の背面側に延びる一対の弾性変形部13と、弾性変形部13の外面に形成された複数個(本実施形態においては3個)の係止爪14とを有している。弾性変形部13及び係止爪14は、本体部2を基体Bに装着するための装着部として機能する。
【0034】
前面部11は、図2に示すように、上辺部及び下辺部が山形に切り欠かれた略四角形に形成されており、その中心部には、電装品ユニット等の装備品A(図11参照)をねじ止めするためのねじ孔15が形成されている。なお、ねじ孔15には、必ずしもねじ溝を刻設する必要はなく、装備品Aの取り付けねじとしてタッピングねじを用いる場合には、ねじ溝を有しないストレート孔とすることができる。
【0035】
また、前面部11の上辺部とねじ孔15との間には、リベット部3を挿入するためのリベット挿入孔16が開設されている。リベット挿入孔16は、リベット部3を挿入したときに、その開口端部がリベット部3の前壁32にて塞がれるように、リベット部3の形状に合わせて形成される。これにより、固定具1の美観性を高めることができる。
【0036】
更に、山形に切り欠かれた上辺部の中央には、装備品Aの背面に設けられたフックF1(図10参照)を係合するための薄肉のフック受け部17が形成されており、その左右両端部から前面部11の左右両端部に続く部分には、傾斜部18が形成されている。フック受け部17及び傾斜部18は、固定具1に装備品Aを係合させる係合部として機能する。前記のように、実施形態に係る固定具1は、フック受け部17の左右両側に傾斜部18を形成したので、当該傾斜部18が装備品Aに備えられたフックF1をフック受け部17に係合する際の案内部として機能し、固定具1に対する装備品Aの取り付け作業を容易化できる。
【0037】
一方、山形に切り欠かれた下辺部の中央には、装備品Aの背面に設けられたフックF2(図10参照)を係合するための薄肉のフック受け部19が形成されており、その左右両端部から前面部11の左右両端部に続く部分には、傾斜部20が形成されている。この前面部11の下辺部に形成されたフック受け部19及び傾斜部20は、固定具1からの装備品Aの取り外し作業を安全に実行するために設けられる。
【0038】
即ち、装備品AにフックF2が設けられておらず、固定具1の前面部11にフック受け部19及び傾斜部20が設けられていない場合には、フック受け部17にフックF1が係合されている状態から装備品Aが意図することなく持ち上げられると、基体Bから装備品Aが転倒したり脱落する虞がある。また、同様の場合において、取り外しのために装備品Aが勢いよく持ち上げられると、勢い余った装備品Aがその上方に配置された他の機器と衝突するという不都合を起こしやすい。これに対して、装備品AにフックF2を設け、かつ固定具1の前面部11にフック受け部19及び傾斜部20を設けると、装備品Aが持ち上げられた時にフックF2がフック受け部19に係合されるので、このような不都合を回避できる。
【0039】
回り止め部12は、図8及び図9に示すように、リベット挿入孔16の下辺から垂直下向きに形成されており、その下端部は、前面部11の下端部より下方に位置付けられている。また、回り止め部12の下半部は、図2図8及び図9に示すように、フック受け部19へのフックF2の係合を可能にするため、前面部11の背面との間に所要の間隙が設けられている。
【0040】
回り止め部12の上面をリベット挿入孔16の下辺に合致させると、回り止め部12の上面をリベット部3の案内部として機能させることができるので、リベット挿入孔16へのリベット部3の挿入作業及びリベット挿入孔16からのリベット部3の取り外し作業を安定的に行うことができる。また、回り止め部12の下端部を前面部11の下端部より下方に位置付けると、回り止め部12を十分な長さに形成できるので、実用上十分な回り止め機能を発揮できる。なお、回り止め部12は、軽量化、使用する樹脂材料の削減及び経時変形の防止を図るため、内部が中空に形成される。
【0041】
弾性変形部13は、図3に示すように、リベット挿入孔16の左右両端部から起立されており、先端側の内面がリベット挿入孔16の開口幅よりも狭くなるように湾曲した形状に形成されている。従って、これら一対の弾性変形部13は、先端側の少なくとも一部が、リベット挿入孔16内に挿入されたリベット部3の移動経路上に配置される。
【0042】
弾性変形部13の外面に形成される複数個の係止爪14は、図3に示すように、弾性変形部13の先端側に形成されるものほど大型に形成される。但し、いずれの係止爪14についても、その先端部が弾性変形部13の外面の最大幅を超えない大きさに形成される。実施形態に係る固定具1は、弾性変形部13及び係止爪14がこのように構成されているので、図6に示すように、弾性変形部13及び係止爪14からなる装着部を基体Bに形成された固定具装着用の凹部C内に挿入する際、係止爪14が凹部Cの壁面に係合せず、凹部C内への装着部の挿入を円滑に行うことができる。また、弾性変形部13の先端側に大型の係止爪14を形成するので、図7に示すように、凹部Cの壁面に対する係止爪14の押し込み量を増加でき、固定具1を基体Bに強固に取り付けられる。
【0043】
なお、本実施形態においては、弾性変形部13の外面に3個の係止爪14が形成されているが、係止爪14の数には特に制限があるものではなく、1以上の任意の数とすることができる。
【0044】
リベット部3は、図1及び図3に示すように、四角形の底板31と、底板31の前辺に沿って立設された前壁32と、底板31の側辺に沿って立設された側壁33とを有する皿状に形成されており、側壁33の先端部には、やじり型の挿入ガイド部34が形成されている。また、底板31の前壁32と接する部分には、平面形状が四角形の凹部35が形成されると共に、凹部35の内端部に接する底板31と側壁33との間には、補強用のリブ36が形成されている。
【0045】
弾性変形部13の内面とリベット部3の外面との間には、リベット挿入孔16内の所定位置までリベット部3を挿入したときに互いに係合して、本体部2からのリベット部3の脱落を防止すると共に、作業者にクリック感触及びクリック音を付与する一対の係合突起及び係合凹部が形成される。実施形態に係る固定具1においては、弾性変形部13の内面に係合突起21が突設され、リベット部3に形成された側壁33と挿入ガイド部34との境界部分の外面に係合凹部37が形成されているが、これとは逆に、弾性変形部13の内面に係合凹部を形成し、リベット部3に係合突起を形成することもできる。
【0046】
ヒンジ部4は、本体部2に開設されたリベット挿入孔16内にリベット部3を挿入可能な長さに形成される。なお、ヒンジ部4の長さは、リベット挿入孔16内にリベット部3を挿入可能な任意の長さに形成可能であるが、固定具1の小型化を図るため、リベット挿入孔16内にリベット部3を挿入可能な必要最小限の長さとすることが望ましい。
【0047】
なお、ヒンジ部4は、本体部2とリベット部3とを連結できるものであれば足り、図1及び図2に示す帯状に形成するほか、紐状等の他の形状に形成することもできる。実施形態に係るヒンジ部4は、帯状に形成されているので、図2に示すように、リベット部3をリベット挿入孔16の開設位置の延長上に安定に保持することができて、リベット挿入孔16内へのリベット部3の挿入作業を容易なものにできる。
【0048】
実施形態に係るヒンジ部4は、図2及び図3に示すように、長さ方向の中央部、本体部2に接する部分及びリベット部3に接する部分の3箇所に薄肉部41が形成されている。従って、実施形態に係るヒンジ部4は、図6及び図7に示すように、リベット挿入孔16内へのリベット部3の挿入時に、ヒンジ部4をコンパクトに折りたたむことができ、リベット挿入孔16内へのリベット部3の挿入作業を容易に行うことができる。なお、ヒンジ部4は、リベット挿入孔16内にリベット部3を挿入可能な可撓性を有していれば良く、薄肉部41を有しないフラットな帯状に形成することも可能である。
【0049】
以下、実施形態に係る固定具1の使用方法について説明する。
【0050】
実施形態に係る固定具1は、図10及び図11に示すように、基体Bの表面に形成された固定具装着用の凹部C内に装着され、所要の装備品Aを基体Bに取り付けるために使用される。実施形態に係る固定具1は、発泡樹脂或いはコルク等の軟質材料をもって形成された基体Bに重量のある装備品Aを取り付ける際に特に好適に用いられる。一例を挙げるならば、従来例に示したタンクユニット101(図12参照)の周囲を覆う発泡樹脂製の断熱材への電装品ユニット107の取り付けに利用される。
【0051】
基体Bの表面には、図5に示すように、固定具1の弾性変形部13を挿入するための横長部C1と、固定具1の回り止め部12を挿入するための縦長部C2とからなるT字形の凹部Cが形成される。凹部Cは、このように形成されているので、凹部C内に装着された固定具1に回転力が作用した場合にも、横長部C1及び縦長部C2の双方でその回転力を受けることができ、基体Bの一部のみに回転力が集中しないので、固定具1を安定に保持できる。
【0052】
固定具1は、図6及び図8に示すように、リベット挿入孔16内にリベット部3が挿入されていない状態で、基体Bの表面に形成された凹部C内に挿入される。このとき、固定具1の回り止め部12が凹部Cの縦長部C2内に挿入され、固定具1の弾性変形部13が凹部Cの横長部C1内に挿入され、固定具1の前面部11が基体Bの表面に当接される。
【0053】
リベット挿入孔16内にリベット部3が挿入されていない状態においては、一対の弾性変形部13の先端側が内向きに湾曲しており、各弾性変形部13の外面に形成された係止爪14が弾性変形部13の基端の外面よりも内側にある。従って、この状態で固定具1を凹部C内に挿入すると、係止爪14が凹部Cの壁面に係合せず、凹部C内への固定具1の挿入作業を容易に行えると共に、軟質材料からなる基体Bの損傷を防止できる。
【0054】
凹部C内に挿入された固定具1は、リベット挿入孔16内にリベット部3を挿入することにより、基体Bに固定される。リベット挿入孔16内へのリベット部3の挿入に際しては、まず図6に示すように、ヒンジ部4を湾曲させてリベット部3に形成された挿入ガイド部34を、リベット挿入孔16側に向ける。そして、挿入ガイド部34側からリベット挿入孔16内にリベット部3を挿入し、挿入されたリベット部3を、図7及び図9に示すように、リベット挿入孔16内の所定の位置まで押し込む。
【0055】
リベット挿入孔16内の所定の位置までリベット部3を押し込むと、弾性変形部13に形成された係合突起21がリベット部3に形成された係合凹部37に係合し、作業者にクリック感触及びクリック音が付与される。これにより、作業者は、リベット挿入孔16内の所定の位置までリベット部3が押し込まれたことを知ることができるので、基体Bに対する固定具1の装着作業を確実に行うことができる。また、弾性変形部13に形成された係合突起21がリベット部3に形成された係合凹部37に係合されるので、本体部2からのリベット部3の不用意な脱落が防止される。
【0056】
また、リベット挿入孔16内にリベット部3を押し込む過程において、弾性変形部13がリベット部3に押圧され、その先端側が外向きに弾性変形される。これにより、図7に示すように、弾性変形部13の外面に形成された係止爪14が軟質材料からなる基体Bの壁面に突き刺さり、基体Bに固定具1が固定される。実施形態に係る固定具1は、弾性変形部13の先端側ほど大型の係止爪14が形成されているので、基体Bに対して固定具1が強固に固定される。
【0057】
この状態において、固定具1の前面部11は、その裏面が基体Bの表面に当接されているので、図9に示すように、基体Bの前方には、ねじ孔15及びフック受け部17、19が露出されており、固定具1に対する装備品Aの取り付けが可能になる。
【0058】
図10は、固定具1に対する装備品Aの取り付け方法の第1例を示している。本例においては、装備品Aの背面側に形成されたフックF1を、固定具1の前面部11に形成されたフック受け部17に係合することにより、固定具1を介して装備品Aが基体Bに取り付けられている。このとき、フックF1の先端部は、リベット部3の底板31に形成された凹部35内に入り、フックF1とリベット部3との干渉が防止される。
【0059】
フック受け部17の左右両側には、傾斜部18が形成されている。従って、フックF1をフック受け部17に係合する際に、フックF1とフック受け部17との位置合わせを厳密に行わなくても、フックF1を傾斜部18に係合すれば、傾斜部18がフックF1の案内部として機能し、自動的にフックF1がフック受け部17に係合されるので、固定具1に対する装備品Aの取り付け作業を容易に行うことができる。
【0060】
フック受け部17から装備品Aを取り外す場合には、装備品Aを持ち上げてフックF1とフック受け部17との係合を解除する。このとき、フックF1よりも下方に形成された他のフックF2がフック受け部19に係合されるので、取り外しのために装備品Aを勢いよく持ち上げた場合にも、勢い余って装備品Aがその上方に配置された他の機器と衝突することがなく、装備品A及び他の機器の損傷を防止できる。固定具1から装備品Aを取り外すには、フックF1がフック受け部17に再度係合しないように装備品Aの上方を手前側に傾けた状態で、フックF2とフック受け部19との係合が解除される位置まで装備品Aを下げれば良い。
【0061】
なお、本実施形態においては、装備品AにフックF2が設けられ、かつ固定具1の前面部11にフック受け部19及び傾斜部20が設けられているので、フック受け部17にフックF1が係合されている状態において、装備品Aが意図することなく持ち上げられた場合にも、フック受け部19にフックF2が係合され、基体Bからの装備品Aの転倒及び脱落を防止できる。
【0062】
図11は、固定具1に対する装備品Aの取り付け方法の第2例を示している。本例においては、装備品Aに開設されたねじ挿通孔Dに挿通されたねじEを、前面部11に開設されたねじ孔15に螺着することにより、固定具1を介して装備品Aが基体Bに取り付けられている。ねじEをねじ孔15に螺着する際、固定具1には回転力が作用するが、実施形態に係る固定具1は、弾性変形部13及び係止爪14からなる装着部が基体Bの表面に形成された凹部Cの横長部C1内に挿入され、かつ回り止め部12が凹部Cの縦長部C2内に挿入されているので、その回転力が凹部Cの横長部C1及び縦長部C2にて受け止められ、固定具1が安定に保持される。
【0063】
なお、前記実施形態においては、前面部11の下辺部にフック受け部19及び傾斜部20を形成したが、これについては省略することもできる。
【0064】
また、前記実施形態においては、前面部11にねじ孔15を開設したが、これについても省略することができる。
【0065】
実施形態に係る固定具1は、図12に示すように、貯湯式給湯器51を構成するタンクへの電装品ユニットAの装着に適用することができる。即ち、図12に示す貯湯式給湯器51は、筐体52内に図示しないタンクが収納されており、当該タンクの外周は、発泡樹脂等の軟質材料からなる断熱材Bで覆われている。また、断熱材Bには、実施形態に係る固定具1(図示省略)を介して電装品ユニットAが取り付けられている。固定具1に対する電装品ユニットAの取り付け方法は、電装品ユニットAの背面側に形成されたフックF1を固定具1の前面部11に形成されたフック受け部17に係合するという方法(図10参照)を採ることもできるし、電装品ユニットAに開設されたねじ挿通孔Dに挿通されたねじEを前面部11に開設されたねじ孔15に螺着するという方法(図11参照)を採ることもできる。
【0066】
なお、図12においては図示が省略されているが、筐体52の前面の開口部には、蓋体が着脱可能に取り付けられる。また、電装品ユニットA内には、所要の電装品が収納され、その前面の開口部には、蓋体が着脱可能に取り付けられる。
【0067】
このように構成された実施形態に係る貯湯式給湯器51は、筐体52の底面に備えられた脚体53を利用して、室内または室外の床面に固定される。
【0068】
本例の貯湯式給湯器51は、軟質材料からなる断熱材Bに実施形態に係る固定具1を介して電装品ユニットAを係合したので、軟質材料からなる断熱材Bに対して電装品ユニットAを強固に係合できると共に、貯湯式給湯器51に対する電装品ユニットAの取り付けを容易かつ安価に行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 固定具
2 本体部
3 リベット部
4 ヒンジ部
11 前面部
12 回り止め部
13 弾性変形部
14 係止爪
15 ねじ孔
16 リベット挿入孔
17、19 フック受け部
18、20 傾斜部
21 係合突起
31 底板
32 前壁
33 側壁
37 係合凹部
41 薄肉部
51 貯湯式給湯器
52 タンク
A 装備品(電装品ユニット)
B 基体(断熱材)
C 凹部
D 挿通孔
E ねじ
F1、F2 フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15