特許第6442714号(P6442714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442714
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】照明装置、灯具および車両
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/63 20180101AFI20181217BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20181217BHJP
   F21W 107/13 20180101ALN20181217BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20181217BHJP
【FI】
   F21S41/63
   F21S41/20
   F21W107:13
   F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-69621(P2017-69621)
(22)【出願日】2017年3月31日
(62)【分割の表示】特願2013-154253(P2013-154253)の分割
【原出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2017-117812(P2017-117812A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】緒方 智行
(72)【発明者】
【氏名】友田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】中野 貴之
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−010228(JP,A)
【文献】 特開2012−042670(JP,A)
【文献】 特開2010−123458(JP,A)
【文献】 特開2011−187165(JP,A)
【文献】 特開2013−084452(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148911(JP,U)
【文献】 特開2006−310204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/63
F21S 41/20
F21W 107/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モード照明用の第1レンズ群と、前記第1レンズ群に隣接したすれ違いモード照明用の第2レンズ群とが、一体に形成されたレンズ集合体と、
複数の発光素子が、前記レンズ集合体の各レンズに対向する位置に配置された基板と、を備え、
前記第1レンズ群を構成するレンズと、前記第2レンズ群を構成するレンズとは構造が異なり、
前記第2レンズ群を構成する各レンズは、前記発光素子からの光を、下方に向けるように出射する凸曲面の出射面を有し、
前記第1レンズ群を構成する各レンズは、少なくとも1列以上の列状に並んでおり、
前記第2レンズ群を構成する各レンズは、少なくとも1列以上の列状に並んでいる、照明装置。
【請求項2】
前記第1レンズ群を構成する各レンズの方が、前記第2レンズ群を構成する各レンズよりも多い請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1レンズ群を構成する各レンズは、それぞれ同じ構造であり、
前記第2レンズ群を構成する各レンズは、それぞれ同じ構造である請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1レンズ群を構成する各レンズは、平坦な部分を有する出射面と、前記発光素子から前記出射面に向かって外径が大きくなるように膨らむ放物面と、前記出射面と反対側の凹部と、を有する請求項1〜3のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項5】
走行モードにおける照明は、前記第1レンズ群を構成する各レンズに対向する発光素子及び前記第2レンズ群を構成する各レンズに対向する発光素子の、両方を点灯させることで実現する請求項1〜のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項6】
前記レンズ集合体は、ネジによって固定されるものである請求項1〜5のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項7】
前記第2レンズ群を構成する各レンズは、列状にならんでおり、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との境界線は、前記レンズ集合体の中心外である
請求項1〜6記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1レンズ群を構成する各レンズは、その出射面の中央部に出射面側凹部を有し、
前記出射面側凹部の底面は、前記凹部と対向する請求項記載の照明装置。
【請求項9】
前記第2レンズ群の前記凸曲面において、上側の曲率は、下側の曲率より大きい請求項1〜8のいずれか一項記載の照明装置。
【請求項10】
前記レンズ集合体は、4箇所において、ネジによって固定されるものである請求項6項記載の照明装置。
【請求項11】
放熱用フィンを有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された請求項1〜10のいずれか一項記載の照明装置と、を備える灯具。
【請求項12】
車体と、請求項1〜10のいずれか一項記載の照明装置と、を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、灯具および車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の照明装置の正面図を図11(a)に、そのX−X線で切った断面図を図11(b)にそれぞれ示す。従来の照明装置(以下、「照明装置1」という。)は、鉄道車両用の前照灯であって、相対的に遠距離に光を照射する複数個の第1LED光源2と、相対的に近距離に光を照射する複数個の第2LED光源3とを備え、第1LED光源2および第2LED光源3は、共通のレンズ4を有している(これに類するものとして、例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−238484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明装置1は、第1のLED光源2および第2のLED光源3に共通のレンズ4を用いることができるため、レンズ4の部品点数を削減することができる。
【0005】
しかしながら、照明装置1は、第1LED光源2および第2LED光源3は、それぞれ光源ごとに個別のレンズ4を固定しているため、外部からの衝撃等によりレンズ4間でずれが発生してしまい、照明装置1の配光がずれてしまう可能性があった。
【0006】
そこで、本発明に係る照明装置、灯具および車両は、走行モード照明とすれ違いモード照明とを実現しつつ衝撃等による配光ずれを抑制することを目的とする。特に、本発明に係る照明装置、灯具および車両によれば、すれ違いモードに適した照明が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る照明装置は、走行モード照明用の第1レンズ群と、前記第1レンズ群に隣接したすれ違いモード照明用の第2レンズ群とが、一体に形成されたレンズ集合体と、複数の発光素子が、前記レンズ集合体の各レンズに対向する位置に配置された基板と、を備え、前記第1レンズ群を構成するレンズと、前記第2レンズ群を構成するレンズとは異なり、前記第2レンズ群を構成する各レンズは、前記発光素子からの光を、下方に向けるように出射する出射面を有する。
【0008】
本発明に係る灯具は、放熱用フィンを有するハウジングと、前記ハウジングの内部に配置された上記照明装置と、を備える。
【0009】
また、本発明に係る車両は、車体と、上記照明装置と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明装置、灯具および車両は、走行モード照明とすれ違いモード照明とを実現しつつ振動や衝撃による配光ずれを抑制することを目的とする。特に、本発明に係る照明装置、灯具および車両によれば、すれ違いモードに適した照明が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両の正面図
図2】本発明の第1の実施形態に係る灯具の正面側斜視図
図3】同じく灯具の背面側斜視図
図4】同じく灯具のカバーを外した状態を示す正面側斜視図
図5】同じく灯具のカバーを外した状態を示す正面図
図6図5のA−A線で切った断面図
図7図5のB−B線で切った断面図
図8図5のC−C線で切った断面図
図9】本発明の第1の実施形態に係る灯具のカバーを外した状態を示す拡大正面図
図10】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の変形例の拡大断面図
図11】(a)従来の照明装置の正面図、(b)図11(a)のX−X線で切った断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る車両の正面図を図1に示す。本発明の第1の実施形態に係る車両5(以下、「車両5」という。)は、車体6と、本発明の第1の実施形態に係る灯具7(以下、「灯具7」という。)とを備える。
【0013】
以降、他の実施形態も含めて、車両5が前進する際の進行方向を「前方」または「前側」、その反対方向(反対側)を「後方」または「後側」とし、車両5が前進する際の右方向(右側)を「右方向」または「右側」、その反対方向(反対側)を「左方向」または「左側」とし、車両5が前進する際の上方向(上側)を「上方」または「上側」、その反対方向(反対側)を「下方」または「下側」として説明する。
【0014】
車両5は、例えば自動二輪車であって、ガソリンエンジンで駆動するものである。
【0015】
灯具7の正面側斜視図を図2に、背面側斜視図を図3に、灯具7のカバー8を外した正面側斜視図を図4に、正面図を図5に、図5のA−A線で切った断面図を図6に、図5のB−B線で切った断面図を図7に、図5のC−C線で切った断面図を図8にそれぞれ示す。
【0016】
図4および5に示すように、灯具7は、ハウジング9と、ハウジング9の内部に配置された本発明の第1の実施形態に係る照明装置10(以下、「照明装置10」という。)とを備える。灯具7は、例えば自動二輪車用の前照灯であって、車両5の前方を照らすように、車両5の前側に設けられている。灯具7は、例えば略円盤形状である。
【0017】
ハウジング9は、例えば、金属製で有底筒状の筐体であって、照明装置10からの光を出射する開口部11を有する。図2に示すように、開口部11は、カバー8により覆われている。カバー8は、例えば光透過性の樹脂製であって、照明装置10からの光を透過するものである。また、カバー8は、ハウジング9の開口部11を塞ぐように設けられているため、ハウジング9の内部に水分や埃が侵入するのを抑制することができる。なお、カバー8は灯具7において、任意の構成である。
【0018】
図3に示すように、ハウジング9は、背面側に放熱部12を有する。放熱部12を有することで、後述の発光素子が点灯中に発する熱を放熱しやすくすることができる。放熱部12は、例えば複数の放熱フィン12aからなる。図3に示すように、放熱フィン12aは、図3の紙面上において、左右方向に平行に並んでいる。放熱フィン12aが並ぶ方向は、特に限定されないが、鉛直方向に対して平行な方向に並んでいることで、放熱フィン12aから発する熱を上方へ放出しやすくすることができ、照明装置10の放熱性を向上
することができる。
【0019】
ハウジング9の背面側の下部には、照明装置10に電力を供給する電力供給線(図示せず。)を挿入するための挿入孔13が設けられている。挿入孔13は、電力供給線を挿入した状態で、灯具7の内部に水分等が入らないようにパッキン等で封止されていることが好ましい。
【0020】
図4〜6に示すように、照明装置10は、走行モード照明用の第1レンズ群14と、第1レンズ群14に隣接したすれ違いモード照明用の第2レンズ群15とが一体に形成されたレンズ集合体16と、16レンズ集合体の各レンズ17、18に対向して配置された複数の発光素子19とを有する。
【0021】
図6に示す発光素子19は、例えば発光ダイオードである。具体的には、パッケージ基板(図示せず。)に対してLEDチップが単数または複数実装されたSMD(SURFACE MOUNT DEVICE)タイプのものを基板20に実装したものである。図6以降に示す発光素子19は、SMDタイプのもので、いわゆるLEDパッケージである。なお、発光素子19として発光ダイオードを用いる場合、基板20に対してLEDチップが単数または複数実装されたCOB(CHIP ON BOARD)タイプであってもよい。
【0022】
なお、発光体ダイオードは、青色のLEDチップと蛍光体等の波長変換部材とを用いて、白色光を出射するものであってもよいし、青色、赤色および緑色のLEDチップを用いて白色光を出射するものであってもよい。
【0023】
発光素子19は、各レンズ17、18に対向して配置されている。具体的には、発光素子19は、各レンズ17、18の略中心軸を含む位置に配置されており、発光素子19が出射する光が各レンズ17、18によって集光されて出射されている。
【0024】
第1レンズ群14は、複数のレンズ17を有する。各レンズ17は、それぞれほぼ同じ構造であり、その出射面が互いに隣接するように配置されている。図4および5に示すように、第1レンズ群14は、例えば上方から下方に向かって2個、5個、6個、3個の合計16個のレンズ17が略平行な列となって配置されている。
【0025】
図6に示すように、レンズ17は、出射面17aが平坦な部分を有する集光レンズである。具体的には、レンズ17は、発光素子19側から出射面17aに向かって外径が大きくなる略円錐台形状であって、出射面の反対側に凹部17bを有している。凹部17bは、発光素子19側に凸状の底面17cと、底面17bを囲むように形成された側面17dとを有する。さらに、凹部17bにおける側面17dの底面17cの反対側と出射面17aとの間は、外側に膨らむ放物面17eとなっている。
【0026】
発光素子19から出射された光は、凹部17bの底面17cまたは側面17dからレンズ17内に入射する。底面17cから入射した光は凸状の底面17cにより集光されて出射面17aより出射される。一方、側面17dから入射した光は、放物面17eで反射されることで、集光されて出射面17aより出射される。これにより、レンズ17の出射面17aから走行モード照明用の光を出射することができる。
【0027】
第2レンズ群15は、複数のレンズ18を有する。各レンズ18は、それぞれほぼ同じ構造であり、その出射面18aが互いに隣接するように配置されている。図4および5に示すように、第2レンズ群15は、例えば上方から下方に向かって2個、7個の合計9個のレンズ18が略平行な列となって配置されている。
【0028】
図6に示すように、レンズ18は、出射面18aが凸曲面の集光レンズである。具体的には、レンズ18は、出射面18aが凸曲面であり、入射面18bが平面の略半楕円体形状である。
【0029】
発光素子19から出射された光は、入射面18bからレンズ18内に入射する。入射面18bから入射した光は、出射面18aにより集光されて出射される。これにより、レンズ18の出射面18aからすれ違いモード照明用の光を出射することができる。なお、すれ違いモード照明の光は、上方向に向かう光を抑制する必要があるため、レンズ18から出射する光を下方に向けるようにレンズ18の出射面18aの形状を設計することが好ましい。例えば発光素子19の光軸を含む上下方向に平行な断面において、レンズ18の出射面18a上側の曲率をレンズ18の出射面18aの下側の曲率よりも大きくすることで、上方向に向かう光を抑制することができる。なお、レンズ18の出射面18aから上方向に向かう光を遮断する遮断部や、反射する反射部等を設けてもよい。これらは、レンズの出射面18aの上側またはその近傍に材料を蒸着したり貼り付けること等により可能である。
【0030】
レンズ集合体16は、第1レンズ群14と第2レンズ群15とが一体に形成されていることで、各レンズ17、18を個別に発光素子19にあわせて固定せずとも、レンズ集合体16として一括して固定することができ、外部の衝撃等により、レンズ17、18間にずれが生じて配光にずれが発生するのを抑制することができる。
【0031】
レンズ集合体16は、第1レンズ群14および第2レンズ群を囲むように、基板20側に外壁部21を有する。レンズ集合体16は、例えばアクリル樹脂製である。なお、レンズ集合体16は、アクリル樹脂製に限らず、ポリカーボネート樹脂製等であってもよい。図6に示すように、外壁部21の先端部21aの内側が切り欠かれていることが好ましい。この場合、この先端部21aの切り欠き部21bに基板20を嵌めることで、基板20とレンズ集合体16とを位置あわせしやすくすることができる。
【0032】
なお、図4および5に示すように、レンズ集合体16の外周部の4箇所において、レンズ集合体16をハウジング9に固定するためのネジ(図示せず。)を挿入する溝22が形成されている。この場合、ネジ止めにより簡易的にレンズ集合体16をハウジング9に固定することができる。さらに、レンズ集合体16における溝22の周囲は、各レンズ17、18の出射面17a、18aよりも基板20側に凹んでいることが好ましい。この場合、溝22にネジを挿入した場合にネジ頭(図示せず。)が溝22の周囲の凹み23に隠れるため、各レンズ17、18の出射面17a、18aから出射する光を阻害し難くすることができる。
【0033】
また、レンズ集合体16の中心部近傍に、基板20側に突出する突出部24が設けられていることが好ましい。この場合、基板20に設けた孔20aに突出部24を挿入することで、レンズ集合体16および基板20の位置決めをしやすくすることができる。さらに、ハウジング9に位置決め穴9aが設けられている場合には、突出部24を位置決め穴9aに挿入することで、レンズ集合体16とハウジング9との位置決めをしやすくすることができる。
【0034】
なお、突出部24の先端部24aに孔24bを設けてレンズ集合体16とハウジング9とをネジ25によりネジ止めでしてもよい。この場合、レンズ集合体16とハウジング9との間が不必要に広がるのを防止することができる。
【0035】
上記のとおり、本発明の第1の実施形態に係る照明装置10は、走行モード照明用の第
1レンズ群14と、第1レンズ群14に隣接したすれ違いモード照明用の第2レンズ群15とが一体に形成されたレンズ集合体16と、レンズ集合体16の各レンズ17、18に対向して配置された複数の発光素子19とを有することで、走行モード照明とすれ違いモード照明とを実現しつつ衝撃等による配光ずれを抑制することができる。
【0036】
また、本発明の第1の実施形態に係る灯具7は、ハウジング9と、ハウジング9の内部に配置された照明装置10とを備えることで、走行モード照明とすれ違いモード照明とを実現しつつ振動や衝撃による配光ずれを抑制することができる。
【0037】
本発明の第1の実施形態に係る車両5は、車体6と、照明装置10とを備えることで、走行モード照明とすれ違いモード照明とを実現しつつ振動や衝撃による配光ずれを抑制することができる。
(変形例)
以上、本発明を上記した各実施形態に示した具体例に基づいて説明したが、本発明の内容が実施形態に示した具体例に限定されないことはもちろんであり、種々の照明装置、灯具および車両に適用することができる。
1.走行モード照明について
走行モードにおける照明は、走行モード照明用の第1レンズ群14のレンズ17に対向配置された発光素子19を点灯し、かつすれ違いモード照明用の第2レンズ群15のレンズ18に対向配置された発光素子19を消灯してもよいし、走行モード照明用の第1レンズ群14のレンズ17に対向配置された発光素子19とすれ違いモード照明用の第2レンズ群15のレンズ18に対向配置された発光素子19とを共に点灯してもよい。走行モードにおける照明において、走行モード照明用の第1レンズ群14のレンズ17に対向配置された発光素子19と、すれ違いモード照明用の第2レンズ群15のレンズ18に対向配置された発光素子19とを共に点灯する場合には、より広範囲を照明することができ、車両5に適用した場合には、暗闇走行時に視認できる範囲を広げることができる。
2.第1レンズ群と第2レンズ群との境界について
図5に示すように、第1レンズ群14と第2レンズ群15との間の境界L(二点鎖線)は、レンズ集合体16の中心P外に設けることが好ましい。この場合、レンズ集合体16が衝撃等により破損し難くすることができる。第1レンズ群14と第2レンズ群15とは異なるレンズ17、18を有しており、第1レンズ群14と第2レンズ群15との境界Lは、レンズ17とレンズ18との境界と一致する。よって、レンズ17同士またはレンズ18同士の境界よりもレンズ17とレンズ18との境界のほうが境界を挟むレンズ17、18の構造が異なるため、強度が弱くなりやすい。一方で、レンズ集合体16の中心Pを含む線分上は、レンズ集合体16が衝撃を受けたときに、最も負荷がかかりやすい。よって、異なるレンズ17、18の境界をレンズ集合体16の中心P外に設けることで、レンズ集合体16が衝撃等を受けたとしても、レンズ集合体16における強度が弱い部分を最も負荷がかかりやすい部分以外に設けることで、レンズ集合体16の強度を向上することができる。
【0038】
特に、図6に示すように、出射面17aが平坦な部分を有する集光レンズであるレンズ17と、出射面18aが凸曲面の集光レンズであるレンズ18とを組み合わせる場合に、各レンズ17、18の出射面17a、18aの出っ張りを揃えようとすると(言い換えれば、出射面18aが出射面17aよりも出っ張らないようにしようとすると)、レンズ18の外周部18cがレンズ17の出射面17aよりも基板20側となる。このようなレンズ17とレンズ18とをつなぐために、図6〜8に示すように壁部26を設けることが考えられる。例えば、レンズ集合体16の場合には、壁部26が図5に示す境界Lに沿うように設けられている。壁部26は、レンズ集合体16のレンズ17と壁部26との間、およびレンズ18と壁部26との間に折れ目を有するため、この部分を折り目として折れ曲がる負荷に対して強度が弱くなってしまう。よって、壁部26をレンズ集合体16の中心
P外に設けることで、レンズ集合体16における強度が弱い部分を最も負荷がかかりやすい部分以外に設けてレンズ集合体16の強度を向上することができる。
【0039】
この場合、壁部26は、レンズ集合体16の中心Pを通る線分に対して平行な部分を有する場合、他の部分で中心Pを通る線分を跨ぐことが好ましい。図7に示す壁部26は、レンズ集合体16の中心Pを通る線分に対して平行な部分である。一方図8に示す壁部26は、レンズ集合体16の中心Pを通る線分を跨ぐ部分である。図7および8に示すように、レンズ集合体16の中心Pを通る線分を跨ぐ部分の壁部26の厚みd2は、レンズ集合体16の中心Pを通る線分に対して平行な部分の壁部26の厚みd1に対して厚くなっている。これにより、レンズ集合体の中心Pを通る線分を折り目としてかかる負荷に対して、強度を向上することができ、レンズ集合体16の強度をさらに向上することができおる。
【0040】
また、境界Lは、屈曲部を有することが好ましい。この場合、境界Lが直線状である場合に比べて、強度が弱くなる方向を分散させることができるため、レンズ集合体16の強度をさらに向上することができる。
3.第1レンズ群および第2レンズ群の配置について
第1レンズ群14および第2レンズ群15の配置は、図4〜8に記載のように、第1レンズ群14が上側に、第2レンズ群15が下側に配置されているものに限られない。例えば、第1レンズ群14が左側に配置され、第2レンズ群15が右側に配置されていてもよいし、その逆でもよい。
【0041】
また、例えば、第2レンズ群15が上側に、第1レンズ群14が下側に配置されていることが好ましい。この場合、走行モードにおける照明において、走行モード照明用の第1レンズ群14のレンズ17に対向配置された発光素子19と、すれ違いモード照明用の第2レンズ群15のレンズ18に対向配置された発光素子19とを共に点灯する場合に、第1レンズ群14から出射される光と第2レンズ群15から出射される光との間に隙間ができ難くすることができる。よって、走行モードにおける照明において、車両5前方の配光が分離して不自然な配光となるのを抑制することができる。
【0042】
また、図5に示すように、第1レンズ群14の領域は、レンズ集合体16の中心Pを含むことが好ましい。走行モード照明は、すれ違いモード照明よりも光量が必要であるため、第1レンズ群14のレンズ17を第2レンズ群15のレンズ18よりも多く設ける場合に、レンズ17、18の配置をしやすくすることができる。
4.第1レンズ群14のレンズ17について
照明装置10の第1レンズ群14のレンズ17の変形例(以下、「レンズ27」という。)の発光素子19の光軸で切った拡大断面図を図9に示す。レンズ27は、レンズ27の出射面27aの中央部に出射面側凹部27bを有する点がレンズ17と異なる以外は、レンズ17と実質的に同じ構成を有する。
【0043】
レンズ27も出射面27aが平坦な部分を有する集光レンズである。レンズ27は、出射面側凹部27bを有することで、出射面27aが大型化した場合に、出射面27aが平坦部のみの場合に比べて、平坦部の面積を減らして出射面27aの平坦部の歪みを抑制することができる。
5.第2レンズ群15のレンズ18について
第2レンズ群15のレンズ18の上側には、貫通孔28が設けられていることが好ましい。第2レンズ群は、すれ違いモード照明用であるため、レンズ18から上方向に向かう光を少なくすることが必要である。例えば図6に示すように、レンズ18の上側に貫通孔28が設けられていることで、レンズ18の上側には、出射面18aが発光素子19の光軸方向と平行に、または同方向よりも発光素子19側に屈曲する屈曲部18dが形成され
る。レンズ18から上方向に向かう光は、屈曲部18dの部分があることで、他の屈曲部18dがない場合に比べて、レンズ18内からの光が出射面18aから出射する際、出射面18aに進入する角度を小さくすることができるため、屈曲部18dがない場合に比べて発光素子19からレンズ18を透過して、上側に向かう光を屈折して前方に向かわせることができる。よって、レンズ18の上側に貫通孔28が設けられていることで、すれ違いモード照明に適した配光を容易に実現することができる。すなわち、レンズ18をレンズ18の中心を含む鉛直方向に平行な断面で切った場合に、レンズ18の出射面18aのうち、レンズ18の上側の曲率は、レンズ18の出射面18aのうち、発光素子19の直上(発光素子19の光軸上)の曲率よりも大きい部分を有する。言い換えれば、レンズ18は、上側に隣接する貫通孔28に露出する部分をレンズ18の一部とすることで、すれ違いモード照明に適した配光を容易に実現することができる。
【0044】
第2レンズ群のレンズ18から出射する光をすれ違いモード照明用に用いるには、レンズ18に入射した光のうち、上側に向かう光を前方に向かわせることが好ましい。レンズ18に隣接する貫通孔28を設けずに、上記配光を実現するには、レンズ18の出射面18aの上側に平坦部または発光素子19側に傾斜した部分を設けることが好ましい。すなわち、レンズ18は、その出射面18aの上側に、発光素子19の光軸に平行な部分または光軸に平行な方向よりも発光素子19側に傾斜した部分を有することが好ましい。レンズ集合体16の成型方法として、レンズ18の出射面18a側とその反対側の型を作製しておき、型に樹脂等の材料を流し込んで固めた後に、レンズ集合体16から型を抜く方法が考えられる。しかしながら、レンズ18の出射面18aの上側に、発光素子19側に傾斜した部分を設けると、レンズ18の出射面18a側の型抜きができなくなってしまう。
【0045】
そこで、レンズ18に隣接する貫通孔28を設けることで、レンズ18の出射面18aの上側の形状を出射面18aと反対側の型で作製することができ、型抜きしやすくすることができる。特に、レンズ18が、その出射面18aの上側に、発光素子19の光軸に平行な方向よりも発光素子側に傾斜した部分を有する場合には、レンズ集合体16の成型の際、さらに型抜きをしやすくすることができる。
【0046】
灯具7のカバーを外した状態を示す拡大正面図を図10に示す。図10に示すように、レンズ18の外周部18cは、貫通孔28と隣接している部分およびその対向部分を除いて、隣り合うレンズ18同士が重なりあっていてもよい。レンズ18の外周部18cの貫通孔28と隣接している部分およびその対向部分で挟まれた領域Q(破線で囲まれた領域)において、すれ違いモード照明用の配光を作り出すことができるため、それ以外の部分については、レンズ18同士を重ねた形状としてもよい。この場合、第2レンズ群15の領域を小さくすることができ、照明装置10を小型化することができる。
6.点灯方法について
なお、レンズ17、18は、それぞれの照射領域が略一致するように出射面17a、18aからの出射する光の配光が設定されていることが好ましい。この場合、いずれかのレンズ17、18に対向する発光素子19が不具合等により点灯中に消灯してしまった場合においても、照射領域が欠けることを防止することができる。
【0047】
さらに、レンズ17、18に対向する発光素子19を段階的に点灯または消灯してもよい。この場合、発光素子19の点灯または消灯という簡単な制御により、照射領域の明るさを変化させることができる。
7.発光素子19の配置について
発光素子19が、その出射面(図示せず。)に長手方向および短手方向を有する略直方体である場合、長手方向を左右方向に沿うように配置することで、レンズ17、18から出射する光を左右方向に広げることができる。言い換えれば、発光素子19の長手方向を鉛直方向に対して略垂直な方向(水平方向)に沿うように配置することで、レンズ17、
18から出射する光を水平方向に広げることができる。
【0048】
また、発光素子19をその長手方向が上下方向に沿うように配置することで、レンズ17、18から出射する光を上下方向に広げることができる。言い換えれば、発光素子19の長手方向を鉛直方向に沿うように配置することで、レンズ17、18から出射する光を鉛直方向に広げることができる。
8.点灯回路について
レンズ集合体16と発光素子19が実装された基板20との間には、発光素子19を点灯させる点灯回路の電子部品(図示せず。)を収納する収納部29を設けてもよい。具体的には、収納部29は、レンズ集合体16と基板20との間であって、発光素子19の光を阻害しない位置に設けることが好ましい。この場合、レンズ集合体16と基板20との間以外に点灯回路の電子部品を収納する部分を別途設けずともよいため、照明装置10をより小型化することができる。
【0049】
なお、収納部29は、発光素子19に対して、下側に設けることが好ましい。この場合、発光素子19が点灯中に発する熱が、収納部29に収納される点灯回路の電子部品に与える影響を少なくすることができる。
【0050】
点灯回路は、発光素子19が実装された基板20に実装されていてもよいし、発光素子19が実装された基板20とは別の基板に実装されたものであってもよい。点灯回路の電子部品が基板20に実装されている場合には、基板20とは異なる別の基板を用いなくてよいため、基板および基板間の給電線の配線を削減することができる。また、点灯回路の電子部品が基板20とは別の基板に実装されている場合には、発光素子19が点灯中に発する熱が基板20を介して伝わるのを抑制することができる。
【0051】
また、レンズ集合体16における収納部29に対応する部分は、不透明になっていてもよい。この場合、出射面17a、18a側から収納部29に収納された点灯回路の電子部品を隠すことができ、出射面17a、18a側からの美観を向上することができる。
9.灯具について
灯具7は、略円盤形状に限らず、立方体形状や直方体形状であってもよい。
10.車両について
車両5は、二輪自動車に限らず、四輪自動車や三輪自動車であってもよい。
【0052】
以上、本発明の構成を、上記実施形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態およびその変形例に限られない。例えば、上記実施形態およびその変形例の部分的な構成を、適宜組み合わせてなる構成であっても良い。また、上記実施の形態に記載した材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。さらに、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることは可能である。
【符号の説明】
【0053】
5 車両
6 車体
7 灯具
9 ハウジング
10 照明装置
14 第1レンズ群
15 第2レンズ群
16 レンズ集合体
17、18 レンズ
19 発光素子
17a、18a 出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11