特許第6442732号(P6442732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6442732車両用ドアラッチ装置及び該ドアラッチ装置を備えているドアシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442732
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】車両用ドアラッチ装置及び該ドアラッチ装置を備えているドアシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/76 20140101AFI20181217BHJP
   E05B 81/72 20140101ALI20181217BHJP
   E05B 81/70 20140101ALI20181217BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20181217BHJP
   E05F 15/689 20150101ALI20181217BHJP
【FI】
   E05B81/76
   E05B81/72
   E05B81/70
   B60J1/17 A
   E05F15/689
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-179807(P2014-179807)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2016-53272(P2016-53272A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】榎本 大亮
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0136532(US,A1)
【文献】 特開2002−248938(JP,A)
【文献】 米国特許第05810423(US,A)
【文献】 特開2004−082808(JP,A)
【文献】 特開2004−156330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00 −49/04
E05B 77/00 −85/28
E05F 15/689−15/697
B60J 1/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの閉鎖時、ストライカに噛合可能な噛合機構と、
前記ドアに設けられる操作ハンドルの開操作を有効にして前記噛合機構の噛合を解除可能なアンロック位置及び無効にして前記噛合機構の噛合を解除不能なロック位置に移動可能な施解錠機構と、
前記施解錠機構がアンロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動可能で、前記施解錠機構がロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動不能なスマートレバーと、
前記スマートレバーの作動を検出可能なスマートレバー検出スイッチと、
を備えたことを特徴とする車両用ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記スマートレバーは、前記施解錠機構がアンロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動する前記施解錠機構に当接することで作動することを特徴とする請求項1記載の車両用ドアラッチ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用ドアラッチ装置と、
ドアの閉鎖を検出可能なドア開閉検出スイッチと、
前記ドアに設けられるウィンドガラスを電動駆動源の動力により開閉可能なウィンドレギュレータと、
前記電動駆動源の駆動を制御するための制御回路装置と、を備え、
前記制御回路装置は、前記ドア開閉検出スイッチが前記ドアの閉鎖を検出しているとき、前記スマートレバー検出スイッチが前記スマートレバーの作動を検出したことを契機に、前記電動駆動源を所定時間、開駆動制御し、また、前記ドア開閉検出スイッチが前記ドアの閉鎖を検出したこと契機に、前記電動駆動源を閉駆動制御することを特徴とする車両用ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの開操作を検出する機能を備えた車両用ドアラッチ装置及び該ドアラッチ装置を備えているドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアを閉鎖状態に保持するためのドアラッチ装置、及びウィンドガラスを開閉動作させるためのウィンドレギュレータを備えた車両のドアシステムにおいて、サッシュレスタイプのドアのウエザストリップのシール性向上を図るため、または、ドアが閉まる瞬間、室内の圧力が上がってドアの閉じ力が大きくなることを防止するため、ドアが開操作されたことに基づいて、ウィンドレギュレータの駆動源を駆動制御して、ウィンドガラスを自動的に所定量開作動させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−82808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、ドア開操作に基づいてウィンドガラスが自動的に所定量開く作動は、防盗性及び実用性の観点から、(1)ドアが閉鎖状態であること、(2)ドアラッチ装置の施解錠機構がアンロック状態であること、(3)ドアに設けたドア開用の操作ハンドル(アウトサイドハンドルまたはインサイドハンドル)がドア開操作されたこと、の3条件が全て揃ったときのみ実行可能とする必要がある。
【0005】
しかし、3条件揃ったときのみに上記作動を実行可能とするためには、各要素の状態を検出するための検出スイッチを多数必要とする。特に、ドアラッチ装置の施解錠機構のアンロック位置、及びドア開操作を検出するには、少なくとも2個の検出スイッチを必要とするため、ドアラッチ装置の構造及びウィンドレギュレータの電動駆動源を制御するための制御回路装置の制御が複雑になる問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、1個の検出スイッチをもって、施解錠機構がアンラッチ位置にあるときの操作ハンドルのドア開操作を検出可能とした車両用ドアラッチ装置及び該ドアラッチ装置を備えているドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、第1の発明は、ドアの閉鎖時、ストライカに噛合可能な噛合機構と、前記ドアに設けられる操作ハンドルの開操作を有効にして前記噛合機構の噛合を解除可能なアンロック位置及び無効にして前記噛合機構の噛合を解除不能なロック位置に移動可能な施解錠機構と、前記施解錠機構がアンロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動可能で、前記施解錠機構がロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動不能なスマートレバーと、前記スマートレバーの作動を検出可能なスマートレバー検出スイッチと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記スマートレバーは、前記施解錠機構がアンロック位置にあるとき、前記操作ハンドルの開操作に伴って作動する前記施解錠機構に当接することで作動することを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明の車両用ドアラッチ装置と、ドアの閉鎖を検出可能なドア開閉検出スイッチと、前記ドアに設けられるウィンドガラスを電動駆動源の動力により開閉可能なウィンドレギュレータと、前記電動駆動源の駆動を制御するための制御回路装置と、を備え、前記制御回路装置は、前記ドア開閉検出スイッチが前記ドアの閉鎖を検出しているとき、前記スマートレバー検出スイッチが前記スマートレバーの作動を検出したことを契機に、前記電動駆動源を所定時間、開駆動制御し、また、前記ドア開閉検出スイッチが前記ドアの閉鎖を検出したこと契機に、前記電動駆動源を閉駆動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、施解錠機構がアンロック位置にあるとき、操作ハンドルの開操作に伴って作動可能で、施解錠機構がロック位置にあるとき、操作ハンドルの開操作に伴って作動不能なスマートレバー、及びスマートレバーの作動を検出可能なスマートレバー検出スイッチを有することにより、1個のスマートレバー検出スイッチをもって、施解錠機構がアンロック位置にあるときの操作ハンドルのドア開操作を確実に検出することができる。
さらには、スマートレバー及びスマートレバー検出スイッチを有するドアラッチ装置をウィンドレギュレータを備えたドアシステムに適用することにより、簡単な制御をもって、ドア開操作に伴ってウィンドガラスを自動的に所定量開作動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係わる車両用ドアの模式的な側面図である。
図2】同じくドアラッチ装置の正面図である。
図3】同じくドアラッチ装置の前斜め方向から見た斜視図である。
図4】同じくドアラッチ装置の車外側から見た側面図である。
図5】同じくドアラッチ装置の車内側から見た側面図である。
図6】オープン状態にあるときの噛合ユニットの正面図である。
図7】オープン状態にあるときの噛合ユニットの裏面図である。
図8】フルラッチ状態にあるときの噛合ユニットの正面図である。
図9】フルラッチ状態にあるときの噛合ユニットの裏面図である。
図10】施解錠機構がアンロック位置にあるときの要部の側面図である。
図11】施解錠機構がロック位置にあるときの要部の側面図である。
図12】施解錠機構がアンロック位置にあるとき、ドア開操作されたときの要部の側面図である。
図13】施解錠機構がロック位置にあるとき、ドア開操作されたときの要部の側面図である。
図14】ウィンドレギュレータの制御を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
(ドアラッチ装置1の基本構造)
先ず、ドアラッチ装置1の構造を説明する前に、本発明に係るドアラッチ装置1及びウィンドレギュレータWRを備えているドアDについて説明する。
【0013】
図1に示すように、ドアDは、サッシュレス構造であって、前部(図1において左側)が上下方向の回転軸を有するドアヒンジDHにより車体に開閉可能に枢支されると共に、内部には、電動駆動源をなすモータMの動力によりウィンドガラスGを上下方向へ開閉可能に支持するウィンドレギュレータWR、及びドアDを閉鎖状態に保持するためのドアラッチ装置1が取り付けられる。さらに、ドアDの外側面には、ドアDを車外から開けるときに操作されるアウトサイドハンドル(操作ハンドル)OH、及び車外から後述の施解錠機構をロック・アンロック操作するためのキーシリンダKが設けられ、また、ドアDの室内側には、ドアDを車内から開けるときに操作されるインサイドハンドル(操作ハンドル)IH、及び車内から施解錠機構をロック・アンロック操作するためのロックノブLKが設けられる。なお、ドアヒンジDH及びウィンドレギュレータWRは、周知の構成のものが採用されるため、詳細説明は省略する。
【0014】
次に、ドアラッチ装置1の基本構造について説明する。
ドアラッチ装置1は、ドアD内に取り付けられ、図2〜5に示すように、ドアDを閉鎖状態に保持するための噛合ユニット2と、噛合ユニット2に組み付けられる操作ユニット3とを備えている。
【0015】
噛合ユニット2は、主に図2、6〜9に示すように、主な要素として、ドアD内の後端部にボルト(図示略)により固定される合成樹脂製のボディ4、ボディ4の後面側を向く開口を閉塞する金属製のカバープレート5、及びボディ4の前面に固定される金属製のバックプレート6を含むベース(符号無し)と、ベース内に収容され、車体側に固着されるストライカSと噛合可能なラッチ7及びラッチ7に係合可能なラチェット8を含む噛合機構(符号無し)と、ラチェット8とラッチ7との係合関係を解除させるオープンレバー9とを備えている。なお、図6、8は、噛合機構を明示するため、カバープレート5を省略している。
【0016】
ボディ4は、後面側にラッチ7及びラチェット8を収容するための凹状の収容部41を有している。
【0017】
ラッチ7は、ボディ4の収容部41に収容され、ボディ4とカバープレート5間に前後方向を向くラッチ軸10により枢支されると共に、主に図6、8に示すように、外周下部には、ラチェット8が係合可能なフルラッチ係合部71及びハーフラッチ係合部72が設けられている。
【0018】
また、ラッチ7は、ドアDの閉動作に伴って、ストライカSに噛合していないドアDの開状態に対応するオープン位置(図6に示す位置)から図示略のスプリングの付勢力に抗して時計方向へ回動して、ストライカSに僅かに噛合するドアDの半ドア状態に対応する図示略のハーフラッチ位置を通過してストライカSに完全に噛合するドアDの全閉状態に対応するフルラッチ位置(図8に示す位置)へ回動し、また、ドアDの開動作に伴ってその逆へ回動する。
【0019】
ラチェット8は、ラッチ7の下方にあって、ボディ4の収容部41に収容され、ボディ4とカバープレート5間に前後方向を向くラチェット軸11により枢支されると共に、スプリング12により係合方向(図6、8において時計方向で、ラッチ7のフルラッチ係合部71、ハーフラッチ係合部72に係合する方向)へ付勢され、ラッチ7の回動に伴って、ラッチ7のフルラッチ係合部71に係合することでドアDを全閉状態に保持し、また、ハーフラッチ係合部72に係合することでドアDを半ドア状態に保持する。
【0020】
オープンレバー9は、ボディ4の前面に、ラチェット8と同軸上で、かつラチェット8と一体的に回動可能に枢支されると共に、車内側(図7、9において左側)へ延伸する端部には、被解除部91が設けられる。
【0021】
主に、図3〜5に示すように、操作ユニット3は、ボディ4に固定される合成樹脂製のケーシング15と、ケーシング15内に収容される操作機構(符号無し)を備える。操作機構は、主な要素として、モータ16と、モータ16の回転により正逆回転可能なウォームホイール17と、ドア開操作を有効にするアンロック位置及び無効にするロック位置に移動可能なロックレバー18と、ロックノブLKに連結されるノブレバー19と、ロックレバー18と共にアンロック位置及びロック位置に移動可能なオープンリンク20と、インサイドハンドルIHに連結されるインサイドレバー21と、キーシリンダKに連結されるキーレバー22と、アウトサイドハンドルOHに連結されるアウトサイドレバー23とを含んで構成される。
ロックレバー18、ノブレバー19及びオープンリンク20は、本実施例に係る施解錠機構を構成する。
なお、図3〜5は、操作ユニット3の内部構造を明示するため、ボディ4の前面を覆うように固定される合成樹脂製のケーシング15の一部を省略して示している。
【0022】
ウォームホイール17は、車内外方向を向く軸171により枢支されると共に、モータ16の回転に基づいて、スプリング24の付勢力に抗して、中立位置(図4、5に示す位置)から正逆回転し、モータ16の回転が停止すると、スプリング24の付勢力により回転した位置から中立位置に戻る。
【0023】
ノブレバー19は、ケーシング15に車内外方向を向く軸191により枢支されると共に、ロックノブLKの手動操作に基づいて、図5に示すアンロック位置及びアンロック位置から時計方向へ所定角度回動したロック位置に回動する。
【0024】
キーレバー22は、車内外方向を向く軸221により枢支されると共に、キーシリンダKの手動操作に基づいて、中立位置(図4に示す位置)からアンロック方向及びロック方向へ回動する。
【0025】
ロックレバー18は、ケーシング15内に車内外方向を向く軸181により枢支されると共に、キーシリンダKの操作に基づくキーレバー22の回動、ロックノブLKの操作に基づくノブレバー19の回動、及びモータ16の回転に基づくウォームホイール17の回動により、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作を有効にするアンロック位置(図4、5、10に示す位置)及び当該アンロック位置から図10において反時計方向へ所定角度回動し、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作を無効にするロック位置(図11に示す位置)に回動可能であって、ケーシング15に支持されるスプリング25の付勢力によってアンロック位置及びロック位置にそれぞれ弾性保持される。
【0026】
アウトサイドレバー23は、前後方向の軸231によりボディ4の下側に枢支されると共に、アウトサイドハンドルOHの開操作に基づいて、車内側の端部に設けた連結部232が図示略のスプリングの付勢力に抗して上方へ移動するリリース作動を行う。
【0027】
オープンリンク20は、下部に設けた連結孔202がアウトサイドレバー23の連結部232に前後方向へ所定角度回動可能に連結されると共に、上部がロックレバー18に上下方向へ摺動可能に連結されることによって、ロックレバー18の動作に連動して、連結部232を中心に主に図10に示すアンロック位置及び当該アンロック位置から反時計方向へ所定角度回動した図11に示すロック位置に回動すると共に、アウトサイドレバー23のリリース作動に伴って、上方へ移動するリリース作動を行う。オープンリンク20の上下方向の略中央部には、アンロック位置にあるとき、オープンレバー9の被解除部91に対して下方から当接可能な解除部201が設けられる。
【0028】
インサイドレバー21は、車内外方向を向く軸211により枢支されると共に、インサイドハンドルIHの開操作に基づいて、軸211を中心に図5において時計方向へリリース作動し、当該リリース作動をアウトサイドレバー21を介してオープンリンク20に伝達する。
【0029】
ドアDが全閉状態にあって、図10に示すように、施解錠機構がアンロック位置にある場合、アウトサイドレバー23がアウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHの開操作に基づいてリリース作動すると、オープンリンク20は、図12に示すように、アンロック位置から上方へリリース作動し、当該リリース作動により解除部201がオープンレバー9の被解除部91に下方から当接し、オープンレバー9をリリース方向へ回動させる。これにより、ラチェット8とラッチ7のフルラッチ係合部71との係合を解除してドアDの開きを可能にする。
【0030】
また、ドアDが全閉状態にあって、図11に示すように、施解錠機構がロック位置にある場合には、オープンリンク20がアウトサイドレバー21のリリース作動によりリリース作動しても、図13に示すように、解除部201がオープンレバー9の被解除部91に対して空振り移動して、オープンレバー9をリリース方向へ回動させることができないため、ドアを開けることはできない。
【0031】
(本発明に係る主要部)
次に、本発明に係る主要部について説明する。
ラッチ7は、主に図6、8に示すように、上部外周に径方向へ膨出するカム部73及び当該カム部73に連なる小径部74を有している。
【0032】
カム部73は、ラッチ軸10を中心として周方向へ所定の長さを有する円弧状で、かつ小径部74よりも径方向へ大きく膨出した形状を呈している。
【0033】
ボディ4における前面側には、ラッチ7の回動に伴って回動する検出レバー30と、検出レバー30の回動位置に応じてオン・オフするドア開閉検出スイッチ31とが設けられる。
【0034】
検出レバー30は、長手方向(車内外方向)の略中央部がボディ4の前面上部に前後方向を向く軸301により枢支されると共に、図示略のスプリングにより図7、9において時計方向へ付勢される。検出レバー30の車外側を向く一端部(図7、9において右端部)には、ボディ4の上部に設けた上下方向の長孔42を貫通してボディ4の収容部41側に突出し、ラッチ7のカム部73及び小径部74を相対的に摺動可能な検出部302が設けられ、また、同じく検出部302の軸301を挟んだ反対側の他端部(図7、9において左端部)には、検出スイッチ31を作動させるための前方へ膨出するカム面303が設けられている。
【0035】
検出レバー30の検出部302は、ラッチ7がフルラッチ位置にあるときには、図8に示すように、ラッチ7の小径部74に当接し、また、ラッチ7がハーフラッチ位置及びオープン位置、すなわちフルラッチ位置以外の位置にあるときには、図6に示すように、カム部73に当接している。これにより、ラッチ7がフルラッチ位置からオープン位置に向けて回動すると、検出部302がラッチ7の小径部74からカム部73に相対的に移動するため、検出レバー30は、図9に示すラッチ検出位置から、スプリングの付勢力に抗して、図7に示すアンラッチ検出位置に回動する。また、ラッチ7がオープン位置からフルラッチ位置に移動した場合には、検出レバー30は、アンラッチ検出位置からラッチ検出位置に回動する。
【0036】
ドア開閉検出スイッチ31は、ボディ4の上部にあって、検出レバー30のカム面303に対向するように配置され、検出レバー30がラッチ検出位置に回動した場合には、カム面303から離れることでオフし、また、検出レバー30がアンラッチ検出位置に回動した場合には、カム面303に接触することでオン状態となる。
【0037】
モータ16及びドア開閉検出スイッチ31を含む各種スイッチは、ボディ4の上部に設けたカプラ32に配線される。カプラ32には、図示略の外部コネクタが接続されることで、車載のバッテリの電力をモータ16に供給したり、ドア開閉検出スイッチ31を含む各種スイッチの検出信号を車載の制御回路装置100に送信する。また、ドア開閉検出スイッチ31は、図5に示す配線33をインサート成形した樹脂プレート34に保持される。これにより、ドア開閉検出スイッチ31の配線を容易に行うことができる。
【0038】
操作ユニット3は、さらにスマートレバー26及びスマートレバー26の作動を検出するスマートレバー検出スイッチ27が設けられる。
【0039】
スマートレバー26は、ボディ4の前面側に上下方向へ摺動可能に支持されると共に、内部に収容されたコイルスプリング28の付勢力により下方へ付勢され、常時は図7、9〜11及び図13に示す非作動位置に停止している。また、スマートレバー26の上端部には、スマートレバー検出スイッチ27に接触可能な傾斜部262が形成されている。
【0040】
施解錠機構が図10に示すアンロック位置にある状態において、オープンリンク20が上方へリリース作動すると、図12に示すように、スマートレバー26の下端部261に対してオープンリンク20の上端部に形成した作動部203が下方から当接することによって、スマートレバー26は、コイルスプリング28の付勢力に抗して上方へ移動する。また、施解錠機構が図11に示すロック位置にある状態においては、オープンリンク20がリリース作動しても、図13に示すように、オープンリンク20における作動部203がスマートレバー26の下端部261に対して当接しないため、スマートレバー26は非作動位置に停止したまま動くことはない。従って、スマートレバー26は、オープンリンク20がアンロック位置からリリース作動したときのみ上方へ移動し、それ以外の動作、例えば、オープンリンク20がロック位置から上方へ移動したとき、及びドアDの開閉動作に伴ってオープンレバー9が回動したときの動きに対しては一切関連性が無く非作動位置から動くことはない。
【0041】
スマートレバー検出スイッチ27は、ドア開閉検出スイッチ31と同様に樹脂プレート34により支持され、スマートレバー26が非作動位置から上方へ移動したとき、スマートレバー26の傾斜部262に接触することによりスマートレバー26の作動を検出する。すなわち、スマートレバー検出スイッチ27は、施解錠機構がアンロック位置にあるとき、アウトサイドハンドルOHまたはインサイドハンドルIHがドア開操作されたときのみ、ドア開操作検出信号を制御回路装置100に送信する。
【0042】
制御回路装置100は、図14に示すように、ドア開閉検出スイッチ31から送信されるラッチ7のフルラッチ位置検出信号、換言すればドアDが閉鎖しているときの閉鎖信号、及びスマートレバー検出スイッチ27のドア開操作検出信号を受信することによって、図1に実線で示す全閉位置にあるウィンドガラスGを2点鎖線で示す半開き位置に移動させるべく、ウィンドレギュレータWRのモータMを所定時間、開駆動制御し、また、ドア開閉検出スイッチ31がアンラッチ検出状態からラッチ検出状態に変化して、ドアDが閉じたことを検出した場合には、ウィンドガラスGが所定量開いている位置から全閉位置に移動する時間に相当する所定時間、モータMを閉駆動制御する。
【0043】
上述のように、ドアDの開操作に伴って、ウィンドレギュレータWRのモータMを開駆動駆動して、ウィンドガラスGを所定量開動作させることによって、ドアDが閉まる瞬間、室内の圧力が上がってドアDの閉じ力が大きくなることを防止して、ドアDを軽力で閉じることができる。
【0044】
また、ウィンドガラスGの所定量開動作は、施解錠機構がアンロック位置にあるときのみドア開操作に伴って作動するスマートレバー26の作動を検出する1個のスマートレバー検出スイッチ27の検出信号に基づいて実行するものであるから、複雑な動作条件を必要としないで制御回路装置100の制御を単純にすることができる。
【0045】
また、スマートレバー26は、施解錠機構がアンロック位置にあって、ドア開操作されたときのみに作動し、これ以外の動作、例えば、ドアDの開閉動作に伴って作動しないから、スマートレバー検出スイッチ27は、動作条件に関係する信号のみを送信して、動作条件に関係しない誤信号を送信することはない。これにより、制御回路装置100は、スマートレバー検出スイッチ27の検出信号に基づいて、ウィンドレギュレータWRのモータMを確実に駆動制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1 ドアラッチ装置 2 噛合ユニット
3 操作ユニット 4 ボディ
5 カバープレート 6 バックプレート
7 ラッチ(噛合機構) 8 ラチェット(噛合機構)
9 オープンレバー 10 ラッチ軸
11 ラチェット軸 12 スプリング
15 ケーシング 16 モータ
17 ウォームホイール 18 ロックレバー(施解錠機構)
19 ノブレバー(施解錠機構) 20 オープンリンク(施解錠機構)
21 インサイドレバー 22 キーレバー
23 アウトサイドレバー 24 スプリング
25 スプリング 26 スマートレバー
27 スマートレバー検出スイッチ 28 コイルスプリング
30 検出レバー 31 ドア開閉検出スイッチ
32 カプラ 33 配線
34 樹脂プレート 41 収容部
42 長孔 71 フルラッチ係合部
72 ハーフラッチ係合部 73 カム部
74 小径部 91 被解除部
100 制御回路装置 171 軸
181 軸 191 軸
201 解除部 202 連結孔
203 作動部 211 軸
221 軸 231 軸
232 連結部 261 下端部
262 傾斜部 301 軸
302 検出部 303 カム面
D ドア DH ドアヒンジ
IH インサイドハンドル(操作ハンドル)
G ウィンドガラス K キーシリンダ
LK ロックノブ
OH アウトサイドハンドル(操作ハンドル)
WR ウィンドレギュレータ M モータ(電動駆動源)
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