(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外部導体シェルは、前記同軸ケーブルの配置面を挟んで対向する各側にそれぞれ配置された対のカシメ部を有し、前記対のカシメ部のエッジ付近は、前記略円筒部の径方向において前記補足部の外径側に配置されている請求項2に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された従来の同軸ケーブルコネクタ110の外観斜視図を
図14に、示す。この同軸ケーブルコネクタ110は、絶縁性のハウジング114と、絶縁性のハウジング114に設けられた導電性の端子116、更に、ハウジング114の少なくとも一部と同軸ケーブル220の少なくとも一部とを覆う外部導体シェル126を含む。外部導体シェル126は、相手コネクタの円筒シェルと接続される略円筒部120を有しており、該略円筒部120の内部には、ハウジング114の一部によって形成された同心状の絶縁性円筒部141が配置され、更に、絶縁性円筒部141の内部には、端子116の一部が設けられている。
相手コネクタとの嵌合時には、相手コネクタの円筒シェルが、外部導体シェル112の略円筒部120とハウジング114の絶縁性円筒部141との間に嵌るとともに、相手コネクタの相手端子が、端子116と接触するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の外部導体シェル126は、略円筒部であって、例えば、円環方向において、また、径方向において、更に、相手コネクタの円筒シェルとの接続方向において、不連続部分をする。更に詳細には、外部導体シェル126は、ハウジング114の絶縁性円筒部141のように完全な円筒形状を有しておらず、例えば、円環方向において切り欠かれ、また、径方向において所定の厚みを有しておらず、更に、相手コネクタの円筒シェルとの接続方向において所定の高さを有していない。
このような不連続部分を有する円筒部では、相手コネクタとの嵌合時に、例えば、相手コネクタとの関係でこじりが生じたときに、外部導体シェル126の不連続部分に、相手コネクタの一部が入り込み、結果として、相手コネクタの円筒シェルや、外部導体シェルを変形させてしまう危険がある。
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、外部導体シェルの略円筒部の不連続部分を補足して、より完全な円筒形に近づけることができる同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本発明の同軸ケーブルコネクタは、端子と、前記端子を支持するハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と同軸ケーブルの少なくとも一部を覆う外部導体シェルと、を備え、前記外部導体シェルは、相手コネクタの円筒シェルと接続される、不連続部分を有する略円筒部を有しており、前記ハウジンングに、前記不連続部分に配置されて該不連続部分を補足して前記略円筒部の内径を円筒形に近づける補足部が設けられており、前記略円筒部の径方向において前記補足部の外側に、前記外部導体シェルの少なくとも一部を前記補足部の外側面に近接させた状態で配置し
、前記外部導体シェルの少なくとも一部を前記補足部の外壁に食い込ませた状態で設けている。
外部導体シェルの略円筒部の不連続部分は相手コネクタとの嵌合時に座屈やシェルの変形を生じさせる要因となり得るが、本構成によれば、このような不連続部分を補足して、より完全な円筒形に近づけることができ、それらの問題を減らすことができる。また、この構成によれば、補足部の外側面を略円筒部の外径側から押え込むことができるため、座屈に対する強度を高めることができ、また、略円筒部に対する補足部の位置精度を高めることができる。
また、外部導体シェルの少なくとも一部を補足部の外壁に食い込ませることにより、補足部の外側面を略円筒部の外径側から押え込むことができるため、座屈に対する強度を高めることができるとともに、補足部を略円筒部の中心側に寄せるようにして略円筒部に対する補足部の位置精度を高めることができる。
(2) 上記(1)に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記補足部の高さは前記略円筒部の高さ
と等しいものであってもよい。
(
3) 上記
(2)に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記外部導体シェルは、前記同軸ケーブルの配置面を挟んで対向する各側にそれぞれ配置された対のカシメ部を有し、前記対のカシメ部のエッジ付近は、前記略円筒部の径方向において前記補足部(47)の外径側に配置されているのが好ましい。
(
4) 上記(1)乃至(
3)のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記補足部は、前記略円筒部の径方向における不連続部分を補足するものであってもよい。
補足部利用して、略円筒部の径方向における厚みを円周方向に亘って同一とすることにより、相手コネクタとの嵌合時における座屈やシェルの変形の問題を解消することができる。
(
5) 上記(1)乃至(
4)のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記補足部は、前記略円筒部の、前記相手コネクタの円筒シェルとの接続方向に沿う筒方向における不連続部分を補足するものであってもよい。
補足部を利用して、略円筒部の高さを円周方向に亘って同一とすることにより、相手コネクタとの嵌合時における座屈やシェルの変形の問題を解消することができる。
(
6) 上記(1)乃至(
5)のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記外部導体シェルは、一枚の板状金属を打ち抜き、折り曲げることによって形成されていてもよい。
(
7) 上記(1)乃至(
6)のいずれかに記載の同軸ケーブルコネクタにおいて、前記同軸ケーブルコネクタはライトアングル型コネクタであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、外部導体シェルの略円筒部の不連続部分を補足して、より完全な円筒形に近づけた同軸ケーブルコネクタが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一つの実施形態について説明する。尚、ここでは、いわゆるライトアングル型コネクタを説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0009】
図1は、同軸ケーブル10が結線された本発明の同軸ケーブルコネクタ1の底側平面図、
図2は、この同軸ケーブルコネクタ1の分解斜視図を、それぞれ示す。同軸ケーブルコネクタ1は、
図1のH−H中心軸線を挟んで左右対称形状を成し、主に、導電性の端子20と、端子20と一体成形された絶縁性のハウジング40と、ハウジング40の少なくとも一部と同軸ケーブル10の少なくとも一部を覆う外部導体シェル70を備える。尚、端子20とハウジング40は一体成形されているため、実際にはこれらを分解することはできないが、
図2では、便宜上、これらを分離した状態を示している。同軸ケーブルコネクタ1の組立時には、端子20及びハウジング40や、同軸ケーブル10は、図示矢印「β」方向に沿って、同軸ケーブルコネクタ1の底側から上側に向かってこれらの順に外部導体シェル70に配置され、外部導体シェル70に固定されることになる。
【0010】
同軸ケーブル10は、従来一般の同軸ケーブルと同じ構造、即ち、最外殻から中心に向かって、絶縁被覆11、外部導体12、絶縁体13、芯線14を有する。この構造はよく知られているため、詳細な説明をしない。
【0011】
端子20は、同軸ケーブル10の軸線方向αに沿って所定の長さを有する。本体部26の中間付近には段部25が設けられており、この段部25によって、一体成形されたハウジング40において、端子20の後端側(24)を前端側(22)よりも同軸ケーブル10に接近させ、その一方で、端子20の前端側(22)を後端側(24)よりも外部導体シェル70の面78に近接するようになっている。端子20の後端側(24)には、同軸ケーブル10の芯線14と接触させる接続部24が設けられており、この接続部24には、同軸ケーブルコネクタ1の組み立て時に、同軸ケーブル10の芯線14が設置される。また、端子20の前端側(22)には、相手コネクタの中心端子(図示されていない)と接触させる接触部22が設けられている。接触部22は、相手コネクタとの接触側に向って立ち上げられた状態で設けられており、相手コネクタの中心端子を中心に挟み込むことができる2つの片から成る弾性変位部22’として形成されている。勿論、弾性
変位部22’として形成されている必要はなく、例えば、単なる挿入孔として形成されていてもよい。
【0012】
図3は、端子20と一体成形されたハウジング40の底側斜視図、
図4は、その表側斜視図である。
図4には、更に、外部導体シェル70の底側斜視図が、
図2のものとは角度を変えて示されている。また、
図5は、
図1のA−A線断面図である。
【0013】
ハウジング40は、主に、本体部46と、本体部46の先端側に設けた円筒部42、更に、本体部46の後端側に設けたケーブル固定部(41、50等)を備える。
【0014】
これらの各部は、樹脂モールドによって端子20と一体成形されている。但し、端子20の一部は、この一体成形後も外部に露出したままである。端子20の露出部には、接続部24は勿論、接触部22の底側の一部の接触部22の弾性変位部22’とその周辺部や、接触部22の上面側の一部、即ち、端子20の厚さ方向において端子20の接触部22とは反対の側(上面側)に位置付けられた、外部導体シェル70との対面側の一部が含まれる。尚、接触部22の上面側の一部も露出しているのは、一体成形時における特有の問題によるものである。即ち、一体成形時における樹脂の流れに対抗して端子20の振れを確実に抑制するには、端子20の一部を金型によって押える必要があるが、このとき、本来的に露出させる必要のある底側の弾性変位部22’とともに、弾性変位部22’の上面側を金型で押えるのが効果的である。しかしながら、金型で押えた部分は、結果的に樹脂の貫通孔48による露出部27として残ることになり、よって、端子20の露出部27には、端子の厚さ方向において、端子20の接触部22とは反対の側に位置付けたものが含まれることになる。
【0015】
本体部46は、全体として略立方形状を有するが、その上面に相手コネクタの接近側に向って突出した突出部47を有している。この突出部47は、外部導体シェル70の略円筒部72の不連続部分73を補足する部分として使用できる。
【0016】
本体部先端側の円筒部42は、上面
部から
相手コネクタとの接触側に向って突出しており、その中心に、端子20の接触部22が配置されている。相手コネクタとの嵌合時には、円筒部42は相手コネクタの円筒シェルの内部に挿入され、これと同時に、円筒部42の中心に配置された接触部22に円筒シェルの中心に配置された中心端子(図示されていない)が挿入、接触される。円筒部42の上面
部から先側及び左右側方に向かって延びた3本の突起44は、ハウジング40を外部導体シェル70に位置決めするために利用することができる。
【0017】
本体部後端側のケーブル固定部(41、50等)には、同軸ケーブル10の芯線14を設置する設置面41が設けられている。端子20とハウジング40との一体成形後も、端子20の接続部24は、この設置面41から露出した状態とされる。尚、設置面41は略平坦であるが、接続部24を設置面41から突出或いは窪んだ状態としてもよい。これによって、端子20と芯線14との接触を確実にすることができる。図示の例では、窪み部43としてある。
【0018】
芯線14を固定するため、ケーブル固定部(41、50等)に、対を成す圧着片50A、50Bが設けられている。これら対の圧着片50A、50Bは、それぞれ、設置面41を挟んで対向する各側において一辺53のみにおいて支持され、各支持部53A、53Bを中心として、芯線14が設置される設置面41に向かって折り曲げることができるようになっている。
【0019】
外部導体シェル70は、一枚の板状金属を打ち抜き、折り曲げることによって形成される。外部導体シェル70には、主に、ハウジング40や同軸ケーブル10が配置される配置面85と、この配置面85の先端側に設けられた略円筒部72と、更に、複数のカシメ部80、83、84とを含む。略円筒部72は、相手コネクタとの嵌合時に、相手コネクタの円筒シェル(図示されていない)と接続される部分である。配置面85の先端側は、全体として、スコップ形状を成し、さじ部を構成する一部である立ち上げ部74によって略円筒部72を包囲して、略円筒部72の強度を強化した構造となっている。
【0020】
図4によく示されているように、ハウジング40は、外部導体シェル70との対向面45に外部導体シェル70に向って隆起した隆起部49を有する。この隆起部49は、例えば、全体として十字形状を有し、端子20の一部27を露出させる貫通孔48を交点とした、所定幅を有する2本の直線部分から成っており、特に、一方の直線部分は、同軸ケーブル10の軸線方向αに沿って端子20の前端側から段部25の長さ以上に長く延びている。このハウジング40の隆起部49に対応して、外部導体シェル70には、ハウジング40の面45と対向する面78に、ハウジング40と対向する側とは反対側に向かって窪んだ十字状の窪み部79が設けられている。隆起部49は、この窪み部79に収容可能であるこれら隆起部49と窪み部79を設けたことにより、外部導体シェル70にハウジング40を配置した際、端子20とハウジング40の一体成形時に生じた貫通孔48による端子20の露出部27を外部導体シェル70から引き離し、露出部27と外部導体シェル70との間の絶縁距離を大きくすることができる。従って、簡易な構造で端子20と外部導体シェル70を確実に絶縁し、しかも、コネクタを低背化させることができる。また、隆起部49と窪み部79を設けたことにより、ハウジング40を外部導体シェル70に配置する際、窪み部79に隆起部49を嵌め込むようにして、ハウジング40を外部導体シェル70の所定位置に容易に位置決めすることができる。尚、隆起部49や窪み部79の形状は十字に限らず、例えば、三角形状や四角形状等でもよい。また、隆起部49に対して窪み部79の窪みの程度を大きくてもよい。更に、隆起部49は、
図4に示した実施形態のように、貫通孔48の縁の周囲を完全に覆っている必要はなく、貫通孔48の縁付近には隆起部49を設けずに、縁から離れた部分にのみ隆起部を設けてもよい。要は、隆起部49と窪み部79を利用して、露出部27を外部導体シェル70から引き離すことができれば足り、従って、例えば、十字部分が不連続に形成されていてもよい。特に、外部導体シェル70は板状金属から形成されているため、窪み部79は打ち出し加工によって簡単に形成することができ、製造コストを安価に抑えることができる。また、窪み部79は、外部導体シェル70の強度の補強にも役立つ。
【0021】
略円筒部72は、折曲部72’にて折曲可能な状態で配置面85に連結されている。外部導体シェル70の所定位置にハウジング40が配置された後、略円筒部72は、配置面85に向かって折り曲げられる。尚、
図1乃至
図5は全て、略円筒部72が折り曲げられた後の状態を示している。略円筒部72が折り曲げられたとき、略円筒部72の切り欠き71と、ハウジング40と対面している外部導体シェル70の面78との間に、円筒部42
から延びる左右の突起44がそれぞれ挟み込まれ、これにより、外部導体シェル70にハウジング40を簡単に固定することができる。同様に前方の突起44‘が係合する突起を外部導体シェル70の折曲部72’の内面に設けられている。
【0022】
カシメ部は、配置面85を挟んで対向する各側にそれぞれが配置された対を成すカシメ部として形成されている。ここでは同軸ケーブル10の軸線方向αに沿って計3組、即ち、前側カシメ部80、中間カシメ部83、後側カシメ部84が設けられている。前側カシメ部80A、80Bは、主に、対を成す圧着片50A、50Bを外部からかしめるためのもの、中間カシメ部83A、Bは、主に、外部導体12をかしめためのもの、後側カシメ部84A、Bは、主に、絶縁被覆11をかしめるためのものである。
【0023】
図6乃至
図9を参照して、同軸ケーブルコネクタ1の組み立て工程を説明する。尚、
図8と
図9は、共に、組立完了後の状態を示したものであるが、
図8では、便宜上、前側カシメ部80の一部を取り除いて、圧着片50A、50Bの状態を示している。
【0024】
図6に示すように外部導体シェル70にハウジング40を取り付けた後、
図7に示すように、同軸ケーブル10を、ハウジング40や外部導体シェル70に位置付ける。このとき、同軸ケーブル10の芯線14は、ハウジング40の設置面41に設置され、また、同軸ケーブル10の外部導体12は、中間カシメ部83の対応位置に、更に、同軸ケーブル10の絶縁被覆11は、後側カシメ部84の対応位置に、それぞれ配置される。
【0025】
次いで、
図8、
図9に示すように、前側カシメ部80A、80B、中間カシメ部83、後側カシメ部84を、それぞれ、ハウジング40や同軸ケーブル10に対してかしめる。このとき、各圧着片50A、50Bは、前側カシメ部80A、80Bとの接触を通じて設置面41に向かって折り曲げられ、この結果、同軸ケーブル10の芯線14は、圧着片50A、50Bと設置面41との間に挟み込まれ、そこに固定される。この構成によれば、同軸ケーブル10の芯線14の保持、固定を、前側カシメ部80A、80Bのかしめ作業と同時に行うことができるため、作業を簡易化することができる。尚、同軸ケーブル10の絶縁体13については、対の圧着片50A、50Bが折り曲げられたときに対の圧着片50A、50Bの張出部56、57によって覆われるようになっているだけで、カシメ部は特に存在しない。
【0026】
中間カシメ部83が外部導体12に対してかしめられたとき、外部導体シェル70は、中間カシメ部83と外部導体12との接触を通じて、外部導体12と電気的に接続される。この結果、同軸ケーブルコネクタ1と相手コネクタとの嵌合時には、外部導体シェル70の略円筒部72と相手コネクタの円筒シェルとの接続を通じて、同軸ケーブル10の外部導体12と相手コネクタの円筒シェルとが電気的に接続される。同様の方法で、後側カシメ部84は絶縁被覆11に対してかしめられるが、勿論、ここでは電気的な接続は生じない。尚、
図7等から明らかなように、同軸ケーブルコネクタ1の組み立て後においても、略円筒部72は、略円筒部72の円筒方向(
図2の矢印「β」方向)において、同軸ケーブル10と重なりを有することはないため、外部導体シェル70とハウジング40の対面方向において寸法が大きくなることはなく、従って、コネクタの低背化を図ることができる。
【0027】
次いで、
図10乃至
図12をも参照して、略円筒部72の構成について更に詳細に説明する。ここで
図10は、
図1のH−H線断面図を、
図11は、
図1のI−I線断面図を、
図12は、
図1のJ−J線断面図を、それぞれ示す。
【0028】
図面から明らかなように、略円筒部72は、完全な円筒部として形成されているわけではなく、その首部75付近に不連続部分73を有した不完全な円筒部となっている。相手コネクタとの嵌合時には、この不完全な円筒部72の内部に相手コネクタの円筒シェルが挿入されることになるが、このとき、不連続部分73、特に略円筒部72の内周面76における不連続部分に、相手コネクタの円筒シェルが引っ掛かり、この結果、相手コネクタの円筒シェルや自身の略円筒部72に座屈やシェルの変形といた問題を生じさせてしまう危険がある。 この問題を解消するため、本発明では、外部導体シェル70にハウジング40が取り付けられたときに、ハウジング40の本体部46、特に、この本体部46に設けた突出部47を不連続部分73に配置するようにして不連続部分73、例えば、略円筒部72の内周面76における不連続部分73を補足して、略円筒部72の内径をより完全な円筒形に近づけるものとなっている。
【0029】
但し、不連続部分
73といってもその態様は様々である。例えば、略円筒部72の内周面76に沿う円周方向において不連続であるかもしれないし、相手コネクタの円筒シェルとの接続方向に沿う略円筒部72の筒方向、つまり、高さ方向βにおいて不連続であるかもしれない。本発明では、補足部47を設けることにより、いずれの不連続部分も解消される。補足部47が配置されることにより、略円筒部72の不連続部分73における内径は、略円筒部72のそれとほぼ等しくなり、また、略円筒部72の不連続部分73における高さは、略円筒部72のそれとほぼ等しくなる。尚、補足部47の頭部付近には、各側面において比較的大きなテーパー47a〜cが設けられているため、補足部47と略円筒部72との間に小さな隙間が形成されることはなく、従って、相手コネクタの円筒シェルと不連続部分73が衝突した場合であっても、円筒シェルが、補足部47と略円筒部72との間の小さな隙間に嵌ってしまうことはない。このように、本発明の構成によれば、効果的に、相手コネクタとの嵌合時における座屈やシェルの変形の問題を軽減し、また、解消することができる。
【0030】
上の説明から明らかなように、補足部47は非常に効果的なものではあるが、相手コネクタとの嵌合時に相手コネクタの一部と衝突すること等により、補足部47が位置ずれしてしまう危険がある。これを防止するため、略円筒部72の径方向において補足部47の外側に、外部導体シェル70の少なくとも一部、即ち、前側カシメ部80の一部、更に言えば、対のカシメ部80A、80Bのエッジ80c’付近を補足部47の外側面47aに近接させた状態で配置することにした。この構成によれば、補足部47の外側面を略円筒部72の外径側から押え込むことができるため、補足部47の位置ずれの可能性は減少し、また、座屈に対する強度を高めることもできる。尚、前側カシメ部80は、同軸ケーブル10の配置面85を挟んで対向する各側にそれぞれ配置された対のカシメ部80A、80Bとして形成されていることから、これら対のカシメ部80A、80Bを互いに接近する側にかしめることによって、容易に、対のカシメ部80A、80Bのエッジ80c’付近を、略円筒部72の径方向において補足部47の外径側に配置することができる。
【0031】
図13に変形例を示す。この図は、前述の
図10に対応する図である。ここでは、外部導体シェル70の少なくとも一部を、補足部47の
外壁に近接させるだけでなく、更に、例えば、翼部80cのエッジ80c’を、
外壁に食い込ませた状態としてある。このように、外部導体シェル70の少なくとも一部80cを補足部47の
外壁に食い込ませることにより、補足部47の外側面を略円筒部72の外径側から押え込むことができるため、座屈に対する強度を高めることができる。更に、この場合には、エッジ80c’を
外壁に食い込ませる際に、補足部47を略円筒部72の中心側に寄せるようにして、略円筒部72に対する補足部47の位置精度を高めることもできる。尚、エッジ80c’を食い込ませることを容易にするため、テーパー47cを設けてもよい。
【0032】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。従って、本発明の請求項の範囲には、当業者が通常行う種々の変形例が含まれる。例えば、端子20とハウジング40は必ずしも一体成形する必要はなく、ハウジング40に端子20が設けられていれば足りる。