(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1のAは、第1の実施の形態に係る電子機器を示している。
図1に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されるものではない。
【0013】
この電子機器2は、携帯電話機、ゲーム装置などの移動携帯端末、ノートパソコンなどのモバイル機器、パーソナルコンピュータなどの据置き型機器のいずれであってもよい。この電子機器2には、タッチパネル4、振動検知部6および処理部8が備えられる。
【0014】
タッチパネル4はたとえば、可視情報を表示する表示画面に設置され、指、スタイラスペンなどのタッチおよびそのタッチ位置を検出する。
【0015】
振動検知部6は、振動計などにより、タッチパネル4へのタッチにより発生する振動を検知する。
【0016】
処理部8はたとえば、プロセッサを備え、タッチパネル4へのタッチの検知と、該タッチにより振動検知部6に検知された振動とのタイミングのずれを検知し、このずれに応じてタッチパネル4のキャリブレーションを実行する。
【0017】
図1のBは、キャリブレーションの処理手順を示している。この処理手順では、タッチパネル4へのタッチによりタッチパネル4から検知情報を取得する(S1)。このタッチにより発生した振動情報を受け、振動を検知する(S2)。
【0018】
タッチと振動のタイミングのずれを検知し、タッチと振動のタイミングのずれの有無を判定する(S3)。両者にタイミングのずれがあれば(S3のYES)、キャリブレーションを実行する(S4)。両者にタイミングのずれがなければ(S3のNO)、S4をスキップし、この処理を終了する。
【0020】
この実施の形態によれば、タッチと振動のタイミングのずれを検知したことにより、その検知を契機としてタイムリーにタッチパネル4のキャリブレーションを実行することができる。このため、タッチと振動のタイミングのずれが生じた際にタッチパネル4のキャリブレーションが自動化されるので、ユーザにキャリブレーションを実行するための操作を強いることがないので、タッチパネル4の利便性、該タッチパネル4を備える電子機器2の利便性を高めることができる。そして、タッチパネル4のタッチ精度が高められる。
【0022】
図2は、第2の実施の形態に係る電子機器2の一例である携帯端末装置10を示している。この携帯端末装置10はたとえば、平板状の筐体12を備える。この筐体12の前面には表示画面14が設置されている。この表示画面14の前面には表示画面14を覆ってタッチパネル4が設置されている。表示画面14に表示された可視情報は、タッチパネル4を通して視認可能である。
【0023】
タッチパネル4はたとえば、静電容量型タッチセンサを備えて指やスタイラスペンのタッチ位置を検出し、このタッチ位置を座標情報として出力する。
【0024】
筐体12には加速度センサ6−1およびマイクロフォン6−2が設置されている。加速度センサ6−1およびマイクロフォン6−2は、既述の振動検知部6の一例であり、タッチパネル4に生ずるタッチイベント、殴打、筐体12の揺れを含む振動を検知する。また、マイクロフォン6−2では、音声入力の他、タッチイベントを表すタッチ音が検知される。
【0025】
図3のAは、携帯端末装置10のハードウェア構成例を示している。
図3のAにおいて、
図2と同一部分には同一符号を付してある。
【0026】
この携帯端末装置10にはプロセッサ20、記憶部22、表示部24、操作部26、タッチパネル制御部28、センサ信号処理部30が備えられ、これらはバス32で接続されている。プロセッサ20は各種データを演算するデータ処理装置であって、記憶部22にあるOS(Operating System)などのプログラムを実行し、キャリブレーションなどの処理を行う。
【0027】
記憶部22は、プロセッサ20の動作を制御するためのコンピュータプログラムやデータを記憶する。この記憶部22にはメモリなどの記憶装置や、ハードディスクなどの補助記憶装置を備えてもよい。この記憶部22には管理テーブル34が設定され、データが格納される。
【0028】
表示部24は既述の表示画面14を備え、該表示画面14に可視情報を表示する。
【0029】
操作部26は既述の筐体12に備えられまたは該筐体12に接続されてスイッチなどを備え、操作情報を入力する。
【0030】
タッチパネル制御部28は既述の処理部8(
図1のA)の一例である。この実施の形態では、このタッチパネル制御部28は、ホスト側のプロセッサ20と別個にプロセッサを備えるタッチパネル制御IC(Integrated Circuit)を構成している。このタッチパネル制御部28はタッチパネル4とプロセッサ20との間に設置され、タッチパネル4のタッチ入力情報の取込みや、タッチパネル4のキャリブレーション処理を実行する。
【0031】
センサ信号処理部30は、加速度センサ6−1、マイクロフォン6−2の検出信号を取り込み、アナログ/ディジタル信号変換の後、プロセッサ20に入力する。
【0032】
図3のBは、タッチパネル制御部28の一例を示している。このタッチパネル制御部28には、タッチパネル制御IC200が備えられている。このタッチパネル制御IC200にはキャリブレーションなどの情報処理を実行するプロセッサ202が備えられる。このプロセッサ202の処理には記憶部22にあるプログラムを実行してもよいし、タッチパネル制御IC200に独自に記憶部を備え、該記憶部にプログラムを格納してもよい。
【0033】
図4は、記憶部22に設定される管理テーブル34の一例を示している。この管理テーブル34には、加点テーブル36−1およびキャリブレーションテーブル36−2が含まれる。この管理テーブル34は、キャリブレーションの要否が常時監視され、タッチイベント情報や振動情報が更新される。
【0034】
加点テーブル36−1には、タッチ情報の有無38に対応するコツコツ音状態値40−1、40−2、振動状態値42−1、42−2および加点テーブル値44が格納される。タッチ情報の有無38は、同期イベントの有無を表している。コツコツ音は、タッチパネル4の操作面にたとえば、スタイラスペンを衝突させたとき、タッチパネル4から生じた打撃音の一例であり、マイクロフォン6−2に検出された音である。したがって、コツコツ音状態値40−1、40−2は、コツコツ音を発した場合、状態値=1、コツコツ音を発しない場合、状態値=0である。振動状態値42−1、42−2は、振動を生じた場合、状態値=1、振動を生じない場合、状態値=0である。各欄には、各状態が点数で記録されている。そして、加点テーブル値44には、今回値S=前回値+今回得点数が格納される。つまり、今回値Sは前回値に今回得点数が加算された値で特定される。
【0035】
キャリブレーションテーブル36−2には、加点テーブル値44が所定値となった場合の時間条件46、その頻度48およびキャリブレーション契機の判断結果50が格納される。
【0036】
<タッチパネル4のキャリブレーション>
【0037】
タッチパネル4のキャリブレーションの開始には、タッチパネル4のキャリブレーションを実施するかしないかの判断条件として加速度センサ6−1からの入力信号を用いる。この加速度センサ6−1に代え、振動計を備え、この振動計からの入力信号を用いてもよい。この加速度センサ6−1の入力はタッチパネル4に対し、法線方向の振動を主成分とする振動を利用すればよい。この場合、マイクロフォン6−2の振動検知出力を併用してもよい。
【0038】
タッチパネル4のキャリブレーション結果が適正であれば、タッチパネル4のタッチイベントと、タッチパネル4に触れた際の筐体12の揺れや、マイクロフォン6−2が拾うコツコツ音などが一致する。
【0039】
キャリブレーションが適正でないつまり、誤補正であれば、タッチイベントと揺れまたはコツコツ音が不一致となる。この不一致には2つの状態がある。つまり、タッチイベントを生じても、筐体12の揺れが検出されない、コツコツ音が検知できない状態、また、タッチイベントがないにもかかわらず、タッチパネル4を叩く音や揺れが検出される状態がある。この場合、これらずれの不満足により、ユーザがタッチパネル4をスタイラスペンで叩くといった振動や、音が検出される。
【0040】
このような不一致が生じた場合には、キャリブレーションを行うかの判定処理をスタートさせる。これによりキャリブレーション不良による不都合を改善することができる。
【0041】
既述の不一致状態を表すデータは履歴テーブルを兼ねる管理テーブル34に蓄積し、不一致状態をキャリブレーション処理の決定判断情報として用いることにより、キャリブレーションの契機とする。この場合、不一致状態の判断には既述の加点テーブル36−1を使用し、キャリブレーションをたとえば、加点法により決定する。このような加点法を用いれば、判定精度が高まり、タッチパネル4の性能に応じ、ユーザの操作特性を反映した判定値となり、ユーザに適したキャリブレーションが行える。
【0042】
A) 長時間での不整合の有無検出とそのキャンセル
【0043】
加点状態(=タッチパネルイベントと実操作が不整合状態)を検出してから、次の加点状態までの時間t〔秒〕を計測する。この時間tが大きければ、たとえば、1時間未満の長時間で不整合が続くことになる。この不整合が一過性のものではなく、有意に不整合であるとみなす(=長時間不整合)。たとえば、1時間程度の長時間間隔では加点テーブル36−1の加点を一旦、キャンセルし、加点を0点に戻す。これにより、キャリブレーションを頻繁に実行させることなく、無駄なキャリブレーションを回避できる。
【0044】
キャリブレーションテーブル36−2における時間幅は、時計時刻の差分ではなく、タッチパネル4がアクティブ状態の時間幅の累積とすればよい。つまり、サスペンド状態になる時間はカウントしない。
【0046】
既述の条件判定を行えば、キャリブレーション実行の開始精度が高められる。つまり、加点テーブル値≧1となったタイミングを起点(0分)とした時間Stについて、
第一に、1分≧Stであれば、1回以上の不整合
または、
第二に、30分≧Stであれば、2回以上の不整合
または、
第三に、60分≧Stであれば、3回以上の不整合
の発生を条件とする。このような条件が成立すれば、キャリブレーション契機=ONとなる。このキャリブレーション契機ONは、一定時間内に何回の不整合が検出されるかにより状態値を変更すればよい。たとえば、タッチパネル4の不整合状態の監視処理の管理テーブル34の加点テーブル36−1が0点から更新された(加点された)時点を不整合発生の起点(0分)とすればよい。また、加点テーブル36−1が更新されない状態が所定の時間たとえば、60〔分〕以上となった場合には加点テーブル値44をキャンセルし、0にクリアする。
【0047】
図5は、キャリブレーション契機成立の動作例を示している。この動作例では、加点テーブル36−1が一定値以上(たとえば、4点以上)になった場合に、その発生頻度を調べている。
図5において、X=不整合発生点である。
【0048】
(a) タッチイベントとZ(法線方向)成分振動およびコツコツ音が不整合で、加点テーブル値44が0点⇒1点以上となった時点を0〔分〕とした場合に、2回目の不整合が所定時間T1たとえば、T1=1〔分〕以内に生起した場合にはキャリブレーション契機=ONとなる。キャリブレーション契機=ONとは、キャリブレーション処理を実行することを表す。
【0049】
(b) 同様に、3回目の不整合が所定時間T1を超える所定時間T2(>T1)たとえば、T2=30〔分〕以内に生じれば、キャリブレーション契機=ONとなる。
【0050】
(c) 同様に、4回目の不整合が所定時間T2を超える所定時間T3(>T2)たとえば、T3=60〔分〕以内に生じれば、キャリブレーション契機=ONとなる。
【0051】
図6は、タッチ操作に対応しない場合のキャリブレーションの処理手順を示している。この処理手順は、タッチパネル4をタッチしたのに反応しない場合のキャリブレーションをする処理である。
【0052】
この処理手順では、タッチパネル4のキャリブレーションの要否の監視を開始する(S101)。タッチパネル4のタッチ操作で生じる揺れを検知する(S102)。この揺れ検知には加速度センサ6−1や図示しない振動計を用いればよい。
【0053】
検知した加速度にはしきい値を設け、振動を判定する(S103)。この振動判定では、表示画面14をタッチした場合の振動、叩いた場合の振動、歩行振動などのタッチパネル4の非操作状態の振動と区別する処理である。
【0054】
この場合、画面を押した場合の振動と区別するため、振動周波数<5〔Hz〕かを判定する(S104)。叩いた場合の振動と区別するため、振動周波数≧5〔Hz〕かを判定する(S105)。持ち歩きによる歩行振動と区別するため、歩行中かを判定する(S106)。
【0055】
これらの判断結果の後、マイクロフォン6−2からのコツコツ音を収音する(S107)。振動周波数とコツコツ音(同期成分)からタッチパネル4が操作されたかを判定する(S108)。
【0056】
そして、タッチイベントの有無を確認する(S109)。タッチイベントであれば(S109のYES)、タッチ操作とタッチイベントが一致しているかを判定する(S110)。
【0057】
タッチイベントの時刻は一致しているかを確認する(S111)。タッチイベントの時刻が一致していなければ(S111のNO)、加点テーブル値44が4点以上かを判定する(S112)。加点テーブル値44が4点以上であれば(S112のYES)、キャリブレーションの判定処理に移行する(S113)。
【0058】
図7は、タッチ操作がない場合のキャリブレーションの処理手順を示している。この処理手順は、タッチ操作を受けていないのにタッチパネル4が反応する場合のキャリブレーションを示している。
【0059】
この処理手順では、タッチパネル4のキャリブレーション要否の監視を開始する(S121)。加速度センサ6−1が検出する加速度を監視する(S122)。検出した加速度のしきい値(1〔Hz〕以上、5〔Hz〕以下)を設け、タッチパネル4を押した場合の振動、叩いた場合の振動、歩行による振動と判別する(S123)。
【0060】
操作以外の振動と区別する情報として、マイクロフォン6−2からコツコツ音を収集する(S124)。振動周波数とコツコツ音(同期成分)からタッチパネル4が操作されたかを判定する(S125)。
【0061】
振動が検出された場合で、タッチ操作のタイミングでタッチイベントがあったかを確認する(S126)。
【0062】
振動およびコツコツ音にタッチイベントが一致しているかを判定する(S127)。振動およびコツコツ音にタッチイベントが一致しなければ(S127のNO)、キャリブレーションが失敗した状態にあると判定し、加点テーブルを参照し1点以上であるかを判定する。
【0063】
そして、キャリブレーション契機がONであるかをキャリブレーションテーブル36−2を参照し、キャリブレーションの判定処理に移行する(S128)。
【0064】
図8は、タッチパネル4のキャリブレーションの開始の処理手順を示している。携帯端末装置10の電源を投入すれば、システムレジューム(S131)、タッチレジューム(S132)を経て表示ON(S133)によりキャリブレーション(S134)が開始される。このキャリブレーションでは、タッチパネル動作の不整合状態の更新処理を実行する(S135)。この更新処理には、タッチパネル4の不整合状態の判定処理が含まれる。この判定処理では、タッチパネル動作の不整合状態=1であるかを判定する(S136)。動作不整合状態=1であれば(S136のYES)、S134に戻り、キャリブレーションを再び開始する。動作不整合状態=1でなければ(S136のNO)、S135に戻り、タッチパネル動作の不整合状態の更新処理を行い、S136の処理を行う。
【0065】
図9は、タッチパネル動作の不整合状態の監視処理(S135)を示している。この処理手順には管理テーブル34の更新結果の判定処理が含まれる。
【0066】
この処理に入ると、管理テーブル処理を実行し(S141)、この管理テーブル処理では加点テーブル値≧4点かを判定する(S142)。加点テーブル値≧4点であれば(S142のYES)、その判定結果を受け、キャリブレーション契機=ONかを判定する(S143)。キャリブレーション契機=ONであれば(S143のYES)、タッチパネル4の不整合状態=1とし(S144)、この処理を終了する。
【0067】
S142で、加点テーブル値≧4点でなければ(S142のNO)、キャリブレーションが不要であるから、S143、S144をスキップし、処理を終了する。
【0068】
S143で、キャリブレーション契機=ONでなければ(S143のNO)、この場合もキャリブレーションが不要であるから、S144をスキップし、処理を終了する。
【0069】
図10は、管理テーブル処理(S141)の処理手順を示している。この処理手順では、検出された振動の法線(Z軸方向成分)の判定として、振動Z成分値≦5〔Hz〕であるかを判定する(S151)。振動Z成分値≦5〔Hz〕であれば(S151のYES)、振動状態値=1とする(S152)。また、振動Z成分値≦5〔Hz〕でなければ(S151のNO)、振動状態値=0とする(S153)。これら振動状態値を管理テーブル34に書込み、振動状態値42−1、42−2を更新する(S154)。そして、同期する音成分=コツコツ音の有無を判定する(S155)。
【0070】
図11は、コツコツ音の有無判定の処理手順を示している。この処理手順では、マイクロフォン出力値を読み出し(S161)、その音圧レベルを判定する(S162)。この音圧レベルの判定では、音圧レベル値≧0.5〔dB〕であるかを判定する。
【0071】
音圧レベル値≧0.5〔dB〕であれば(S162のYES)、マイクロフォン出力値から支配周波数成分を抽出する(S163)。
【0072】
この周波数成分の抽出結果から、最大周波数成分F≦5〔Hz〕であるかを判定する(S164)。F≦5〔Hz〕であれば(S164のYES)、コツコツ音の状態値=1とする(S165)。F≦5〔Hz〕でなければ(S164のNO)、コツコツ音の状態値=0とする(S165)。
【0073】
これらコツコツ音の状態値40−1、40−2を管理テーブル34に書込み、管理テーブル34を更新する(S167)。そして、タッチ情報の読み出し処理を行い(S168)、タッチ情報を用いて音響成分のチェックを行う。
【0074】
図12のAは、タッチ情報の読み出し処理の処理手順を示している。このタッチ情報読み出し処理では、タッチ情報あり(同期イベントあり)かを判定する(S171)。タッチ情報ありであれば(S171のYES)、タッチイベント同期状態値=1とする(S172)。タッチ情報がなければ(S171のNO)、タッチイベント同期状態値=0とする(S173)。これにより、管理テーブル34の更新を終了する。
【0075】
図12のBは、管理テーブル34の管理状態値52として、コツコツ音状態値=1、振動状態値=1が格納される。つまり、管理テーブル34にはコツコツ音状態値としてコツコツ音の有無、振動状態値として振動の有無の最新値が保持される。この場合、コツコツ音があれば、有=1、それがなければ、無=0であり、振動があれば、有=1、それがなければ、無=0となる。
【0077】
キャリブレーションは、タッチパネル4のタッチパネル面における信号入力強度を補正し、ノイズの影響をキャンセルする処理である。たとえば、静電タイプのタッチパネルでは、タッチパネル面で面分割されている各静電容量結合要素の要素毎に信号入力強度を補正し、ノイズの影響をキャンセルする。
【0078】
このキャリブレーションは、表示開始(ON)時、充電器装着時、充電器抜去時などの時点で実施される。このキャリブレーションの実施中、タッチパネル4のタッチ画面に手やスタイラスペンが触れていると、キャリブレーションを正しく行えない。斯かる場合の復帰方法にはたとえば、
図13に示す処理手順を用いればよい。
【0079】
図13は、復帰方法の処理手順を示している。この処理手順では、表示ON時、または表示ONの後、4〔sec〕以内にタッチパネル4のタッチ画面から指やスタイラスペンが離れた場合にはドライバによるCALコマンドを発行する。
【0080】
また、表示ONの後、10〔sec〕以内にアンチタッチキャリブレーション(Anti-touch Calibration)が生じた場合、または表示ONの後、4〔sec〕以内にタッチが1.4〔sec〕以上継続した場合には、自動キャリブレーション(Touch automatic Calibration )を実施する。アンチタッチキャリブレーション(Anti-touch Calibration)は以下「Anti-touch CAL」と称する。また、Touch automatic Calibration は、以下「Touch-auto CAL」と称する。
【0081】
図13に示すように、表示ON時の処理手順では、タッチレジューム(S181)の後、CAL発行(S182)を受けると、Anti-touch CAL、Touch-auto CALを有効にする(S183)。この時点で、タイマー(timer)をtimer=0にクリアする(S184)。この時点から1〔sec〕の待機(S185)を経て、timer>4〔sec〕かを判定する(S186)。
【0082】
timer>4〔sec〕であれば(S186のYES)、Touch-auto CALを無効にし(S187)、timer>10〔sec〕であるかを判定する(S188)。timer>4〔sec〕でない場合(S186のNO)にも、timer>10〔sec〕であるかを判定する(S188)。timer>10〔sec〕でなければ(S188のNO)、S185に移行する。
【0083】
そして、timer>10〔sec〕であれば(S188のYES)、Anti-touch CALを無効にし(S189)、監視処理を終了する(S190)。
【0084】
また、
図14は、割込発生の際の処理手順を示している。割込がキャリブレーション(=CAL )であるかを判定する(S201)。メッセージ=CAL でなければ(S201のNO)、メッセージがそれ以外の処理かを判断する(S202)。この場合、メッセージ=RELEASE であるかを判断する(S202)。
【0085】
S201の判断で、メッセージ=CAL であれば(S201のYES)、RELEASE に起因するCALかを判断する(S203)。RELEASE に起因するCAL であれば(S203のYES)、処理終了となる(S204)。
【0086】
RELEASE に起因するCAL でなければ(S203のNO)、timer=0の処理を行い(S205)、Anti-touch CAL、Touch-auto CALを有効にする(S206)。
【0087】
S202において、メッセージ=RELEASE であれば(S202のYES)、Touch-auto CALが有効かを判断する(S207)。Touch-auto CALが有効であれば(S207のYES)、CALを発行し(S208)、処理を終了する(S209)。S202で、メッセージ=RELEASE でなければ(S202のNO)、また、Touch-auto CALが有効でなければ(S207のNO)、同様に処理を終了する(S209)。
【0088】
また、
図15に示すように、充電器(Charger )装着または抜去時の処理手順では、Charger 設定変更(S211)の後、自動的にCAL (キャリブレーション)がかかる(S212)。
【0089】
この場合、CAL メッセージを受信し(S213)、Anti-touch CAL、Touch-auto CALを有効にする(S214)。この時点で、タイマー(timer)をtimer=0にクリアする(S215)。この時点から1〔sec〕の待機(S216)を経て、timer>4〔sec〕かを判定する(S217)。
【0090】
timer>4〔sec〕であれば(S217のYES)、Touch-auto CALを無効にし(S218)、timer>10〔sec〕であるかを判定する(S219)。timer>4〔sec〕でない場合(S217のNO)にも、timer>10〔sec〕であるかを判定する(S219)。timer>10〔sec〕でなければ(S219のNO)、S216に移行する。
【0091】
timer>10〔sec〕であれば(S219のYES)、Anti-touch CALを無効にし(S220)、監視処理を終了する(S221)。
【0092】
この充電器(Charger )装着または抜去時の処理手順においても、割り込み発生では、表示ON時の割り込み発生時の処理と同様であるので、その説明を割愛する。
【0093】
なお、タッチパネル4のキャリブレーション原因となる操作状態には、タッチパネル4のタッチ面に水滴などが付着した状態、長時間通話で人体からタッチパネル4のタッチ面に汗などが付着した状態、携帯端末装置10を把持したことにより、タッチ面に指を付着させた状態などが含まれる。
【0095】
(1) キャリブレーション完了後のタッチパネル4のタッチおよびその振動を常時監視し、タッチイベントと振動が一致しているかを監視し、不一致であった場合に通常操作中であっても再度キャリブレーションを開始する。これにより、タイムリーに且つ自動的にキャリブレーションを実行でき、精度の高い較正が得られる。
【0096】
(2) 不要信号の影響によりタッチパネル4のセンサ面の信号レベル強度が不均一になる場合や、携帯端末装置10のユーザの掴み込みなどでタッチパネル4のセンサ面の信号レベルが不均一になる場合の影響を回避できる。これにより、誤操作の少ないタッチパネルを備えるスマートフォンなどの携帯端末装置10や、その他の電子機器の提供に寄与する。
【0097】
(3) キャリブレーションの精度が高められるので、タッチパネル4を操作していないのに、勝手に表示画面が切り替わるなどの誤動作を防止できる。
【0098】
(4) 既述のキャリブレーションでは実施ロジックとして補正条件、持ち方など各種のシーンに対応でき、複雑なロジックや処理スピードの増大、ソフトの複雑化によるデグレード(Degrade )のリスクを回避できる。
【0099】
(5) このタッチパネル4のキャリブレーション開始を用いれば、誤動作の少ないタッチパネル4を提供できる。
【0100】
(6) 加速度センサ6−1、マイクロフォン6−2または振動計から得られる検出信号をセンサ信号処理部30に取り込んで処理するので、ホスト側のプロセッサ20をキャリブレーションのために常時動作させることがなく、負荷分散により省電力化が図られる。
【0102】
図16は、第3の実施の形態に係る携帯端末装置10のハードウェア構成例を示している。
【0103】
既述の第2の実施の形態では、ホスト側のプロセッサ20と別個にプロセッサを内蔵するタッチパネル制御部28を備えている。この実施の形態に係る携帯端末装置10ではタッチパネル制御部28を省略し、タッチパネル制御部28の機能をホスト側のプロセッサ20で実現している。
【0104】
斯かる構成では、タッチパネル制御ICで実行されるキャリブレーションの実施のためのロジックを、携帯端末装置10のアプリCPUとして用いられるプロセッサ20で実現できる。これにより、プロセッサ20に情報処理を行わせるプログラムでタッチパネル制御ICの動作を制御できる。
【0105】
このようにタッチパネル制御部28をプロセッサ20で代用させれば、プロセッサ数の低減など、部品点数を削減することができる。
【0107】
図17のAおよびBは、第4の実施の形態に係るタッチパネルユニット402、404を示している。
図17において、
図1、
図3、
図16と同一部分には同一符号を付してある。
【0108】
図17のAに示すタッチパネルユニット402では、既述のタッチパネル4およびタッチパネル制御部28を備えている。既述のように、タッチパネル制御部28にはホスト側のプロセッサ20と別個にプロセッサを備え、タッチパネル4のキャリブレーションを実施可能にしている。
【0109】
斯かる構成では、タッチパネルユニット402がタッチパネル4およびタッチパネル制御部28を備える単一の部品として構成されるので、ひとつの部品として扱い、商品化することができる。
【0110】
図17のBに示すタッチパネルユニット404では、既述のタッチパネル4、タッチパネル制御部28およびセンサ信号処理部30を備えている。既述のように、タッチパネル制御部28にはホスト側のプロセッサ20と別個にプロセッサを備え、センサ信号処理部30から加速度センサ6−1、マイクロフォン6−2の検出信号に基づく制御情報の提供を受け、タッチパネル4のキャリブレーションを実施可能にしている。
【0111】
斯かる構成では、タッチパネルユニット404によっても、単一の部品として構成されるので、ひとつの部品として扱い、商品化することができる。
【0112】
この場合、加速度センサ6−1や図示しない振動計をタッチパネルユニット404内に実装して単一部品化してもよい。
【0114】
図18は、タッチパネルユニット402の実施例を示している。
図18のAはタッチパネル4のセンサ面部側を示し、
図18のBはタッチパネル4の裏面側を示している。
【0115】
このタッチパネルユニット402にはタッチパネル4にタッチパネル制御IC200が装着されて一体化されている。タッチパネル4のパネル本体56は回路基板などの補強板で形成されている。このパネル本体56にはセンサ部58が備えられている。このセンサ部58にはコネクタ60によりタッチパネル制御IC200が着脱可能に取り付けられている。このタッチパネル制御IC200は既述のタッチパネル制御部28を構成する。
【0116】
このタッチパネル制御IC200は、
図19のAに示すように、タッチパネル4から分離させることができる。
【0117】
タッチパネル制御IC200には基板部61およびコネクタ63が備えられる。コネクタ63はタッチパネル4側のコネクタ60に連結される。
【0118】
図19のBは、このタッチパネル制御IC200のハードウェア構成例を示している。このタッチパネル制御IC200にはデータ送出部62、データ受信部64、電流印加部66が含まれる。データ源68から受けたデータがデータ送出部62から電流印加部66に加えられる。これにより、電流印加部66から出力される電流が静電容量変化用電流となり、タッチパネル4のセンサ部58の各センサ素子部に加えられる。
【0119】
センサ部58に得られる静電容量の変化が、信号変化としてタッチパネル制御IC200に加えられる。タッチパネル4の信号変化はタッチパネル制御IC200のデータ受信部64を介して処理部70加えられ、この処理部70でタッチイベントなどが検出される。
【0120】
データ受信部64には複数の受信部64−0、64−1・・・64−20が備えられている。各受信部64−0、64−1・・・64−20には、
図19のCに示すように、アッテネータ72、インテグレータ74およびAD(アナログ・ディジタル)変換部76が含まれる。アッテネータ72はタッチパネル4からのノイズを低減するノイズ低減部として機能する。
【0122】
(1) 上記実施の形態ではスマートフォンを例示したが、タッチパネルを備える機器であればどのような機器でもよく、通信機器以外のタッチパネルを備える機器であってもよい。
【0123】
(2) 上記実施の形態では、プロセッサで処理される処理手順を例示したが、タッチパネル4を動作させるドライバで構成してもよい。
【0124】
以上説明したように、本開示の技術の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。