特許第6442772号(P6442772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442772
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】ドア開閉制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/64 20140101AFI20181217BHJP
   E05B 81/14 20140101ALI20181217BHJP
   E05B 81/20 20140101ALI20181217BHJP
   E05B 81/36 20140101ALI20181217BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20181217BHJP
【FI】
   E05B81/64
   E05B81/14
   E05B81/20 B
   E05B81/20 A
   E05B81/36
   B60J5/00 N
【請求項の数】6
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-158310(P2015-158310)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-36598(P2017-36598A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰之
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−049990(JP,A)
【文献】 特開2013−151823(JP,A)
【文献】 特開2002−250163(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0174021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアをモータの動力を用いて開閉するドア開閉装置と、
前記ドアが閉じた際に前記車両のストライカを係合保持するラッチと連係して回動するラッチレバーと、
前記ラッチと噛合して前記ラッチと前記ストライカとの係合状態を維持するラチェットと前記ラッチとの噛合状態を解除するリリースレバーと、
前記ラッチレバーおよび前記リリースレバーを択一的に押圧可能な押圧部を有し、モータの動力を用いて回動することにより、前記ラッチレバーを前記押圧部で押圧して前記ラッチレバーとともに前記ラッチをハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させるクローズ動作を行い、前記リリースレバーを前記押圧部で押圧して前記ラッチと前記ラチェットとの噛合状態を解除させるリリース動作を行うセクタギアと、
前記ハーフラッチ位置または前記フルラッチ位置にある前記ラッチと噛合可能な前記ラチェットの位置であるセット位置に前記ラチェットがいるか否かを検出するラチェット検出部と、
前記ラッチレバーおよび前記リリースレバーから前記押圧部が離れた状態の前記セクタギアの回動位置である中立位置への前記セクタギアの復帰を検出する中立位置検出部と、
前記クローズ動作完了後の前記セクタギアを前記ラッチレバー側から前記中立位置側へ向かう方向に回動中、前記中立位置検出部が前記中立位置への前記セクタギアの復帰を検出せず且つ前記ラチェット検出部が前記セット位置に前記ラチェットがないことを検出した場合、前記中立位置検出部が故障したと判定するとともに、前記ドアを閉じる閉扉動作を前記ドア開閉装置に行わせる制御装置と、
を備えたことを特徴とするドア開閉制御システム。
【請求項2】
前記ラッチが前記ハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出部と、
前記ラッチが前記フルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出部と、
をさらに備え、
前記制御装置は、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチの回動位置を判定し、前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定した場合、前記セクタギアに前記クローズ動作を行わせて前記ラッチを前記ハーフラッチ位置から前記フルラッチ位置に回動させることを特徴とする請求項1に記載のドア開閉制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記閉扉動作の実行期間、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定した場合、前記閉扉動作を行っている前記ドア開閉装置のモータの動力を、前記ラッチがアンラッチ位置から前記ハーフラッチ位置に切り替わる前に比べ減少させて、前記閉扉動作で前記ドアを閉じる力を弱めることを特徴とする請求項2に記載のドア開閉制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記閉扉動作の実行期間、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定し、その後、前記ラチェット検出部の検出結果をもとに、前記ハーフラッチ位置にある前記ラッチが前記ラチェットと噛合状態になったか否かを判定し、前記ハーフラッチ位置にある前記ラッチが前記ラチェットと噛合状態になったと判定した時点で前記閉扉動作を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載のドア開閉制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記クローズ動作完了後の前記セクタギアが前記リリースレバーに向けて回動し始めてから前記押圧部を前記リリースレバーに接触させる前に停止するまでの閾経過時間を予め保持し、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記セクタギアに前記クローズ動作を行わせた場合、前記クローズ動作完了後の前記セクタギアを前記中立位置に向けて回動させ始めてからの経過時間が前記閾経過時間に達した時点で前記セクタギアの回動を停止させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のドア開閉制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記リリース動作完了後の前記セクタギアが前記押圧部を前記リリースレバーから離して前記中立位置に復帰するまでに要する必要回動時間を予め保持し、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記リリースレバーを前記押圧部で押圧した状態の前記セクタギアを前記中立位置に向けて回動させながら、前記ラチェット検出部の検出結果をもとに前記ラチェットが前記セット位置にいるか否かを判定し、前記ラチェットが前記セット位置にいると判定した時点からの経過時間が前記必要回動時間に達した時点で前記セクタギアの回動を停止させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のドア開閉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開閉動作を制御するドア開閉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワンボックスカーやステーションワゴン等の車体後部にドア(バックドア)を備えた車両には、バックドアを電動で開閉するドア開閉装置を設けたものがある。ドア開閉装置は、例えば、バックドア等に連結されたアームを電動モータの動力によって回動し、これにより、バックドアをその開方向に動作させて開き、または、バックドアをその閉方向に動作させて閉じる。
【0003】
また、車両のバックドアに設けられ、車体後部のストライカと係脱可能に係合してバックドアの閉状態を解除可能にロックするドアラッチ装置が公知である。このようなドアラッチ装置には、ストライカとラッチとの係合によってバックドアの閉状態をロックするクローズ動作と、ストライカとラッチとの係合解除によってバックドアの閉状態のロックを解除するリリース動作とを各々電動で実行可能なものがある。電動式のドアラッチ装置(以下、ドアラッチ装置といえば電動式のものを意味する)は、例えば、ストライカを係脱可能に係合保持するラッチと、ラッチと噛合することによってストライカとラッチとの係合状態を解除可能に維持するラチェットと、電動モータの動力によってラッチとラチェットとの噛合状態を変更するセクタギアとを備えている。
【0004】
ドアラッチ装置は、クローズ動作の際、電動モータの動力によってセクタギアをラッチ側へ回動する。これにより、ドアラッチ装置は、ストライカと係合した状態のラッチをハーフラッチ位置からフルラッチ位置へと回動させるとともに、フルラッチ位置でのストライカとラッチとの係合状態を維持するようラッチとラチェットとを噛合させる。一方、ドアラッチ装置は、リリース動作の際、電動モータの動力によってセクタギアをラチェット側へ回動する。これにより、ドアラッチ装置は、ラッチと噛合した状態のラチェットを動作させてラッチとラチェットとの噛合状態を解除するとともに、フルラッチ位置からアンラッチ位置へとラッチを回動させてストライカとラッチとの係合状態を解除する。
【0005】
なお、フルラッチ位置は、バックドアの全閉状態に相当するフルラッチ状態にあるラッチの回動位置、すなわち、ストライカと完全に係合しているラッチの回動位置である。ハーフラッチ位置は、バックドアの半ドア状態に相当するハーフラッチ状態にあるラッチの回動位置である。アンラッチ位置は、バックドアを開放可能な状態に相当するアンラッチ状態にあるラッチの回動位置、すなわち、ストライカとの係合状態が解除されたラッチの回動位置である。
【0006】
一方、上述したクローズ動作またはリリース動作を実行後、ドアラッチ装置は、電動モータの動力によってセクタギアを上記の実行動作とは逆方向に回動する。これにより、ドアラッチ装置は、セクタギアがラッチおよびラチェットのいずれにも影響しない位置、すなわち、中立位置へ、セクタギアを復帰させる。このようにセクタギアを中立位置へ復帰させる従来技術として、例えば、セクタギアのカム面と対向する位置に2個の検出スイッチを配設し、これら2個の検出スイッチのオンオフ状態の切り替わりに基づいて、セクタギアが中立位置に復帰したことを検出するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4050008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したドアラッチ装置においては、部品点数を減らすことによる装置コストの低減や装置重量の軽減を目的として、上述したセクタギアの中立位置への復帰を検出する検出スイッチ(以下、中立位置検出スイッチという)を従来の2個から1個に削減することが、近年、要望されている。しかしながら、上述した従来技術では、1個に削減した中立位置検出スイッチが故障してしまった場合、中立位置から一旦回動したセクタギアが再び中立位置に戻ってきても、このセクタギアの中立位置への復帰を検出することができない。このため、中立位置へ回動してきたセクタギアを中立位置に停止させることができず、故に、セクタギアは、中立位置を通過してラチェット側へ回動し続け、ついにはラチェットを動作させる。この結果、バックドア等の車両のドアを閉状態にロックすべき場合にリリース動作の実行によってドアの閉状態のロックが解除されることから、意図せずドアが開放したままとなってしまう。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、セクタギアの中立位置への復帰を検出する検出手段の配置数を1個に削減した場合に、この1個の検出手段が故障したとしても、意図せず車両のドアが開放したままとなる事態を防止することができるドア開閉制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るドア開閉制御システムは、車両のドアをモータの動力を用いて開閉するドア開閉装置と、前記ドアが閉じた際に前記車両のストライカを係合保持するラッチと連係して回動するラッチレバーと、前記ラッチと噛合して前記ラッチと前記ストライカとの係合状態を維持するラチェットと前記ラッチとの噛合状態を解除するリリースレバーと、前記ラッチレバーおよび前記リリースレバーを択一的に押圧可能な押圧部を有し、モータの動力を用いて回動することにより、前記ラッチレバーを前記押圧部で押圧して前記ラッチレバーとともに前記ラッチをハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させるクローズ動作を行い、前記リリースレバーを前記押圧部で押圧して前記ラッチと前記ラチェットとの噛合状態を解除させるリリース動作を行うセクタギアと、前記ハーフラッチ位置または前記フルラッチ位置にある前記ラッチと噛合可能な前記ラチェットの位置であるセット位置に前記ラチェットがいるか否かを検出するラチェット検出部と、前記ラッチレバーおよび前記リリースレバーから前記押圧部が離れた状態の前記セクタギアの回動位置である中立位置への前記セクタギアの復帰を検出する中立位置検出部と、前記クローズ動作完了後の前記セクタギアを前記ラッチレバー側から前記中立位置側へ向かう方向に回動中、前記中立位置検出部が前記中立位置への前記セクタギアの復帰を検出せず且つ前記ラチェット検出部が前記セット位置に前記ラチェットがないことを検出した場合、前記中立位置検出部が故障したと判定するとともに、前記ドアを閉じる閉扉動作を前記ドア開閉装置に行わせる制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るドア開閉制御システムは、上記の発明において、前記ラッチが前記ハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出部と、前記ラッチが前記フルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出部と、をさらに備え、前記制御装置は、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチの回動位置を判定し、前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定した場合、前記セクタギアに前記クローズ動作を行わせて前記ラッチを前記ハーフラッチ位置から前記フルラッチ位置に回動させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るドア開閉制御システムは、上記の発明において、前記制御装置は、前記閉扉動作の実行期間、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定した場合、前記閉扉動作を行っている前記ドア開閉装置のモータの動力を、前記ラッチがアンラッチ位置から前記ハーフラッチ位置に切り替わる前に比べ減少させて、前記閉扉動作で前記ドアを閉じる力を弱めることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るドア開閉制御システムは、上記の発明において、前記制御装置は、前記閉扉動作の実行期間、前記ハーフラッチ検出部の検出結果と前記フルラッチ検出部の検出結果とをもとに前記ラッチが前記ハーフラッチ位置にあると判定し、その後、前記ラチェット検出部の検出結果をもとに、前記ハーフラッチ位置にある前記ラッチが前記ラチェットと噛合状態になったか否かを判定し、前記ハーフラッチ位置にある前記ラッチが前記ラチェットと噛合状態になったと判定した時点で前記閉扉動作を停止させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るドア開閉制御システムは、上記の発明において、前記制御装置は、前記クローズ動作完了後の前記セクタギアが前記リリースレバーに向けて回動し始めてから前記押圧部を前記リリースレバーに接触させる前に停止するまでの閾経過時間を予め保持し、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記セクタギアに前記クローズ動作を行わせた場合、前記クローズ動作完了後の前記セクタギアを前記中立位置に向けて回動させ始めてからの経過時間が前記閾経過時間に達した時点で前記セクタギアの回動を停止させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るドア開閉制御システムは、上記の発明において、前記制御装置は、前記リリース動作完了後の前記セクタギアが前記押圧部を前記リリースレバーから離して前記中立位置に復帰するまでに要する必要回動時間を予め保持し、前記中立位置検出部が故障したと判定後、前記リリースレバーを前記押圧部で押圧した状態の前記セクタギアを前記中立位置に向けて回動させながら、前記ラチェット検出部の検出結果をもとに前記ラチェットが前記セット位置にいるか否かを判定し、前記ラチェットが前記セット位置にいると判定した時点からの経過時間が前記必要回動時間に達した時点で前記セクタギアの回動を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セクタギアの中立位置への復帰を検出する検出手段の配置数を1個に削減した場合に、この1個の検出手段が故障したとしても、意図せず車両のドアが開放したままとなる事態を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの一構成例を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムが適用された車両のバックドアを開けた状態を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態におけるドアラッチ装置の一構成例を示す斜視図である。
図4図4は、図3に示すドアラッチ装置の正面図である。
図5図5は、図3に示すドアラッチ装置の側面図である。
図6図6は、図3に示すドアラッチ装置の内部構成の一例を示す図である。
図7図7は、ラッチに対するハーフラッチ検出スイッチおよびフルラッチ検出スイッチの配置例を示す図である。
図8A図8Aは、アンラッチ位置にあるラッチとラチェットとの状態を示す図である。
図8B図8Bは、ハーフラッチ位置にあるラッチとラチェットとの噛合状態を示す図である。
図8C図8Cは、フルラッチ位置にあるラッチとラチェットとの噛合状態を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11図11は、本発明の実施の形態におけるクローズ動作を実行する前の状態を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態におけるクローズ動作を実行している状態を示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態における中立位置検出スイッチの故障に起因してセクタギアが中立位置に復帰できない状態を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態における中立位置検出スイッチの故障後にセクタギアを中立位置へ復帰させる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係るドア開閉制御システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0019】
(ドア開閉制御システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの一構成例を示す図である。図2は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムが適用された車両のバックドアを開けた状態を示す図である。図1,2に示すように、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システム1は、車両100の車体後部に設けられたバックドア101の開閉を制御するものであり、ドア開閉装置2と、ドアラッチ装置3と、電子制御装置(Electronic Control Unit:ECU)7とを備える。
【0020】
なお、以下では、ドア開閉装置2、ドアラッチ装置3、および電子制御装置7の前方、後方、上方、および下方は、図1,2に示す車両100の前方、後方、上方、および下方に各々一致するものと規定して本発明を説明する。これらの方向の定義は、説明の便宜上のものであり、車両100に対するドア開閉装置2、ドアラッチ装置3、および電子制御装置7の各方向は、これらの取り付け状態等によって勿論変化する。
【0021】
ドア開閉装置2は、車両100のテールゲートとも称されるバックドア101をモータの動力を用いて開閉する電動装置である。本実施の形態において、ドア開閉装置2は、車両100のバックドア101のヒンジ102を回動することによってバックドア101を開閉できるように、車両100の天井に固定される。
【0022】
ドアラッチ装置3は、車両100の車体後部104の下方部分に設けられたストライカ103と係脱可能に係合することにより、車両100のバックドア101の閉状態を解除可能にロックする電動装置である。ドアラッチ装置3は、バックドア101が車体後部104の開口を閉じた状態(図1に示す閉状態)にした際、ストライカ103と係合できるように、バックドア101の下方部分に設けられる。
【0023】
電子制御装置7は、上述したドア開閉装置2およびドアラッチ装置3の各動作を制御する装置である。電子制御装置7は、配線等(図示せず)を介してドア開閉装置2およびドアラッチ装置3と電気的に接続され、例えば図1,2に示すように、車両100の車体側部内に設けられる。
【0024】
なお、図1,2に示すようにドア開閉装置2、ドアラッチ装置3、および電子制御装置7が設けられた車両100は、ワンボックスカーやステーションワゴン等に例示されるように、車体後部104の開口が荷物載置スペースや座席に通じるタイプの車両である。すなわち、車両100において、図2に示すようにバックドア101が開状態になって開放される車体後部104の開口では、荷物の出し入れは勿論、ユーザの乗り降りも可能である。
【0025】
(ドア開閉装置の構成)
つぎに、本発明の実施の形態におけるドア開閉装置2の構成について説明する。ドア開閉装置2は、車両100のバックドア101を電動で開閉するPTG(Power Tail Gate)ドライブユニットであり、図1,2に示すように、主な構成要素として、動力源であるPTGモータ21と、バックドア101に連係されるアーム22およびロッド23とを備える。
【0026】
PTGモータ21は、車両100の車載電源から給電されて駆動し、これにより、バックドア101を開閉する動力を発生させる。PTGモータ21の駆動軸(回転軸)には、アーム22の基端部分が取り付けられる。アーム22は、PTGモータ21の動力によってPTGモータ21の駆動軸を中心に旋回する。一方、アーム22の先端部分には、ロッド23の一端が回転自在に接続される。ロッド23の他端には、バックドア101のヒンジ102が接続される。ヒンジ102の一端は、ブラケット等を用いて回転自在に車両100の天井に取り付けられる。ヒンジ102の他端は、バックドア101に固定される。
【0027】
上述したようにPTGモータ21の駆動軸およびロッド23が接続されたアーム22は、ロッド23およびヒンジ102を介してバックドア101に連係される。また、アーム22は、PTGモータ21の動力を受けて旋回するとともに、受けた動力をロッド23およびヒンジ102に伝達する。これにより、アーム22は、ロッド23を介してヒンジ102をバックドア101の開方向または閉方向(図2参照)に移動させる。
【0028】
ここで、バックドア101の開方向は、バックドア101が車両100の車体後部104から離間する回動方向である。バックドア101の閉方向は、バックドア101が車両100の車体後部104に近接する回動方向である。ドア開閉装置2は、PTGモータ21の動力を用いてアーム22を上述の開方向に旋回させることにより、バックドア101を開く開扉動作を行う。また、ドア開閉装置2は、PTGモータ21の動力を用いてアーム22を上述の閉方向に旋回させることにより、バックドア101を閉じる閉扉動作を行う。
【0029】
(ドアラッチ装置の構成)
つぎに、本発明の実施の形態におけるドアラッチ装置3の構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態におけるドアラッチ装置の一構成例を示す斜視図である。図4は、図3に示すドアラッチ装置の正面図である。図5は、図3に示すドアラッチ装置の側面図である。図6は、図3に示すドアラッチ装置の内部構成の一例を示す図である。
【0030】
図3〜6に示すように、ドアラッチ装置3は、車両100のストライカ103(図1,2参照)と係脱可能に係合(噛合)する噛合機構30と、噛合機構30を電動で動作させる駆動機構50と、噛合機構30と駆動機構50とを取り付ける等するためのブラケット60とを備える。
【0031】
噛合機構30は、ラッチ31等の噛合機構30の各構成要素を収容する収容体41を備える。図3〜5に示すように、収容体41は、ドアラッチ装置3のベースとなるカバープレート42と、カバープレート42の上方側の開口を塞ぐバックプレート43とを有する。カバープレート42は、比較的板厚の大きな金属板によって成形され、前端から後端に向かって次第に浅くなる矩形凹状に形成される。このカバープレート42の上部前方は、収容体41の本体ボディによって塞がれる。
【0032】
また、収容体41には、図3,4に示すように、ストライカ進入溝45と、ラッチ軸37およびラチェット軸38とが設けられる。ストライカ進入溝45は、カバープレート42の前端中央部から奥部に向けて形成された切欠であり、図1,2に示したストライカ103が進入可能な幅を有する。ラッチ軸37およびラチェット軸38は、ストライカ進入溝45を挟むようにカバープレート42に設けられる。
【0033】
上述した収容体41の内部、すなわち、矩形凹状のカバープレート42による収容空間内に、噛合機構30は、図6に示すように、ハーフラッチ位置およびフルラッチ位置においてストライカ103(図1,2参照)を係合保持するラッチ31と、ストライカ103とラッチ31との係合状態を解除可能に維持するラチェット32と、ラチェット32の回動を規制するストッパ36とを備える。また、噛合機構30は、上述の収容空間内に、ラッチ31がハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出スイッチ33と、ラッチ31がフルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出スイッチ34と、ラチェット32が所定のセット位置にいるか否かを検出するラチェット検出スイッチ35とを備える。
【0034】
ラッチ31は、図6に示すように、略中央に形成された貫通孔にラッチ軸37が挿通される板状の部材であり、外周面に開口する係合溝31aを有する。ラッチ31は、ストライカ進入溝45と係合溝31aとを交差させてラッチ軸37の軸心回りに回動するように、カバープレート42内に配置される。また、ラッチ31は、ラッチ軸37に設けられたラッチばね39により、ラッチ軸37を中心として、フルラッチ位置からハーフラッチ位置を経由しアンラッチ位置に至る方向(図6における反時計回りの方向)へ付勢されている。
【0035】
このようなラッチ31は、図1,2に示したバックドア101が閉じる際に車両100のストライカ103を係合保持する。すなわち、ラッチ31は、バックドア101が閉じるとともにストライカ進入溝45に沿って進入するストライカ103を係合溝31aに当接させる。その後、ラッチ31は、ストライカ103を係合溝31aに当接した状態を維持しながら、ラッチばね39の付勢力に抗してアンラッチ位置からハーフラッチ位置を経由してフルラッチ位置に回動し、これにより、ストライカ103を係合溝31aに係合させて係合溝31a内にストライカ103を保持する。一方、ラッチ31は、後述するラチェット32との噛合状態が解除された際、ラッチばね39の付勢力によって、フルラッチ位置からハーフラッチ位置を経由してアンラッチ位置に回動する。これにより、ラッチ31は、係合溝31aとストライカ103との係合状態を解除し、係合溝31aからストライカ103を解放する。
【0036】
ラチェット32は、ラッチ31の回動位置を規制するものである。図6に示すように、ラチェット32は、略中央に形成された貫通孔にラチェット軸38が挿通される板片状の部材であり、ラッチ31と噛合し得る形状、例えば、ラチェット軸38が挿通される貫通孔の半径方向外方へ延出する延出部を外周に有する形状に形成される。ラチェット32は、ラチェット軸38の軸心回りに回動するように、カバープレート42内に配置される。また、ラチェット32は、ラチェット軸38に設けられたラチェットばね40により、ラチェット軸38を中心として、ラッチ31に近接する方向(図6における時計回りの方向:以下、噛合方向という)へ付勢されている。
【0037】
このようなラチェット32は、ラチェットばね40の付勢力によって噛合方向に回動し、これにより、ラッチ31と噛合して、ラッチ31の回動を規制するとともにラッチ31とストライカ103との係合状態を維持する。一方、ラチェット32は、後述するリリースレバー52の作用により、ラチェットばね40の付勢力に抗してラッチ31から離間する方向(図6における反時計回りの方向:以下、解除方向という)に回動する。これにより、ラチェット32は、ラッチ31との噛合状態を解除する。なお、ラチェット32の噛合方向への回動は、図6に示すようにカバープレート42に配置された弾性部材等のストッパ36によって規制される。
【0038】
ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、ラッチ31の回動位置を検出するためのものである。図7は、ラッチに対するハーフラッチ検出スイッチおよびフルラッチ検出スイッチの配置例を示す図である。ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、各々、対象物との接触前後で進退するプッシュボタン式の検出端子を用いて構成され、図7に示すように、ラッチ31のカム部31eの幅方向に段違いで設けられている。
【0039】
ここで、ラッチ31の上面には、図6,7に示すように、カム部31eが突設されている。図7に示すように、カム部31eは、ラッチ31の回動軌跡に沿った円弧形状のカム面31fを有し、一部幅広のカム面部分をもつ二段構造に形成される。カム部31eは、ラッチ31と一体的に回動する。カム面31fは、ラッチ31の回動(すなわちカム部31eの回動)に伴い、ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34の各検出端子と摺接可能である。
【0040】
ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がハーフラッチ位置に回動したことを検出するハーフラッチ検出部として機能する。具体的には、ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置である場合、カム部31eのカム面31f(詳細には幅広部分のカム面31f)と接触してオン状態になる。また、ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に回動し終えるまでの間、カム面31fとの接触を継続し、ラッチ31の回動位置がハーフラッチ位置になった場合、カム面31fから離れてオフ状態になる。ハーフラッチ検出スイッチ33は、このようなオン状態からオフ状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がハーフラッチ位置であることを検出する。なお、ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動するまでの間、カム面31fから離れた状態を継続して、オフ状態を維持する。
【0041】
一方、ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がフルラッチ位置からハーフラッチ位置に回動するまでの間、カム面31fから離れた状態であり、オフ状態になる。また、ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動するまでの間、カム面31fと接触した状態であり、オン状態になる。ハーフラッチ検出スイッチ33は、このようなオフ状態からオン状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がハーフラッチ位置からアンラッチ位置に変化したことを検出する。
【0042】
フルラッチ検出スイッチ34は、ラッチ31がフルラッチ位置に回動したことを検出するフルラッチ検出部として機能する。具体的には、フルラッチ検出スイッチ34は、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置である場合、カム部31eのカム面31fと接触してオン状態になる。また、フルラッチ検出スイッチ34は、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置を経てフルラッチ位置に回動し終えるまでの間、カム面31fとの接触を継続し、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置になった場合、カム面31fから離れてオフ状態になる。フルラッチ検出スイッチ34は、このようなオン状態からオフ状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置であることを検出する。
【0043】
一方、フルラッチ検出スイッチ34は、ラッチ31がフルラッチ位置からハーフラッチ位置を経由してアンラッチ位置に回動した場合、カム面31fから離れた状態からカム面31fと接触した状態に変化する。これに伴い、フルラッチ検出スイッチ34は、オフ状態からオン状態に切り替わる。フルラッチ検出スイッチ34は、このようなオフ状態からオン状態への切り替わりによって、ラッチ31の回動位置がフルラッチ位置からハーフラッチ位置を経てアンラッチ位置に変化したことを検出する。
【0044】
上述したハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、各々、ラッチ31の回動位置の検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態またはオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7(図1,2参照)に順次送信する。
【0045】
ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置にいるか否かを検出するラチェット検出部として機能する。本実施の形態において、上記セット位置は、ハーフラッチ位置またはフルラッチ位置にあるラッチ31と噛合可能なラチェット32の位置である。具体的には、上記セット位置は、ラチェットばね40によって付勢されてストッパ36に当接している状態のラチェット32の位置である。ラチェット検出スイッチ35は、対象物との接触前後で進退するプッシュボタン式の検出端子を用いて構成され、図6に示すように、ラチェット32近傍の所定位置に配置される。
【0046】
ここで、ラチェット32の上面には、図6に示すように、突起部32aが設けられている。突起部32aは、ラチェット32と一体的に回動する。突起部32aは、ラチェット32の回動に伴い、ラチェット検出スイッチ35の検出端子と当接可能である。ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置にいる場合、突起部32aと当接しておらず、オン状態になる。また、ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置にいない場合、突起部32aと当接してオフ状態になる。ラチェット検出スイッチ35は、このようなオン状態とオフ状態との切り替わりによって、ラチェット32がセット位置にいるか否かを検出する。ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置にいるか否かの検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態またはオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7(図1,2参照)に順次送信する。
【0047】
一方、駆動機構50は、図3〜5に示すように、ラッチ31と連係して回動するラッチレバー51と、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除するリリースレバー52と、ラッチレバー51およびリリースレバー52を択一的に動作させるセクタギア53と、セクタギア53が中立位置に回動したことを検出する中立位置検出スイッチ54と、駆動機構50の駆動源であるラッチ駆動モータ55と、ラッチ駆動モータ55の動力をセクタギア53に伝達するピニオンギア56とを備える。
【0048】
ラッチレバー51は、ラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置へ能動的に回動するためのものであり、例えば図3,6に示すように、両端に円弧部を有する長方形状(すなわち角丸長方形状)に形成される。ラッチレバー51の一端部には、ラッチ軸37の上端付近が挿通固定される。この構造により、ラッチレバー51は、バックプレート43の上面において、ラッチ軸37を中心としラッチ31と連係して回動可能である。また、ラッチレバー51の他端部(ラッチ軸37と反対側の端部)には、図3,4に示すように、ラッチレバー51の一構成部として当接部51aが立設される。当接部51aは、セクタギア53のギア部よりも多少下方となる位置まで突出した円柱形のピン(シャフト)である。
【0049】
リリースレバー52は、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除するためのものである。図3,4に示すように、リリースレバー52は、バックプレート43の後端から上方に突設された取付部44の背面に配置され、取付部44に設けられたリリースレバー軸57に軸支される。このようにして、リリースレバー52は、取付部44とセクタギア53との間で回動可能に設けられる。また、リリースレバー52は、リリースレバー軸57に設けられたリリースレバーばね58により、図6に示すリリースレバー52の下端部がラチェット32から離間する方向(図4における反時計回りの方向)へ付勢されている。リリースレバー52は、後述するセクタギア53の押圧部53aによって押圧された場合、リリースレバーばね58の付勢力に抗して、図4における時計回りの方向に回動し、ラチェット32を解除方向に回動させる。これにより、リリースレバー52は、ラチェット32をラッチ31から離間させて、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除する。この結果、ラッチ31は、フルラッチ位置またはハーフラッチ位置からアンラッチ位置に回動する。
【0050】
なお、リリースレバー52の上側アーム部は、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を手動で解除する手動解除手段として機能する。例えば、電気系統の故障やバッテリの消耗等によってラッチ駆動モータ55に電力供給ができず、ドアラッチ装置3からストライカ103を解放することができない非常時に、バックドア101の車内側から蓋体等(図示せず)を取り外してリリースレバー52の上側アーム部を手動で回動操作することにより、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を手動で解除することができる。
【0051】
セクタギア53は、ラッチ駆動モータ55の動力を用いて、噛合機構30のクローズ動作またはリリース動作を行うためのものである。具体的には、セクタギア53は、その上側の外周面にギア部を有する扇形のギア部材であり、図3,4に示すように、バックプレート43とブラケット60との間に配設される。この際、セクタギア53は、バックプレート43の上面と同程度の高さの位置でブラケット60に固着されたセクタギア軸53cによって、回動可能に軸支される。セクタギア53のギア部には、図3,4に示すように、ラッチ駆動モータ55の動力によって回転するピニオンギア56が噛合している。セクタギア53は、ピニオンギア56の回転により、ラッチ駆動モータ55の動力が伝達されて、ラッチレバー51側への方向またはリリースレバー52側への方向に向かって回動する。
【0052】
また、セクタギア53は、図3,4,6に示すように、ラッチレバー51およびリリースレバー52を択一的に押圧可能な押圧部53aを有する。押圧部53aは、セクタギア53の前面から前方(ラッチレバー51の当接部51aとリリースレバー52との間を抜ける方向)へ突出した円柱形のピン(シャフト)である。押圧部53aは、ラッチレバー51の回動位置に関わらず、ラッチレバー51の当接部51aの周面に当接可能な長さを有する。セクタギア53は、ピニオンギア56を介して伝達されるラッチ駆動モータ55の動力を用いてラッチレバー51側へ回動し、これにより、ラッチレバー51(詳細には当接部51a)を押圧部53aで押圧する。このようにして、セクタギア53は、ラッチレバー51とともにラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させるクローズ動作を行う。また、セクタギア53は、上述したラッチ駆動モータ55の動力を用いてリリースレバー52側へ回動し、これにより、リリースレバー52を押圧部53aで押圧する。このようにして、セクタギア53は、リリースレバー52にラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除させるリリース動作を行う。
【0053】
本実施の形態では、上述したクローズ動作により、ストライカ103はラッチ31によって完全に係合保持され、これらラッチ31とストライカ103との係合状態はラチェット32によって維持され、結果、バックドア101の全閉状態がロックされる。一方、上述したリリース動作により、ラッチ31とストライカ103との係合状態は解除され、結果、ストライカ103はラッチ31から解放されて、バックドア101の閉状態のロックが解除される。すなわち、バックドア103は、開放可能な状態になる。
【0054】
中立位置検出スイッチ54は、セクタギア53の中立位置への復帰を検出する中立位置検出部として機能する。具体的には、中立位置検出スイッチ54は、対象物との接触前後で進退するプッシュボタン式の検出端子を用いて構成され、図3,4に示すように、セクタギア53のギア部の前面から離れて位置するようにブラケット60に取り付けられる。
【0055】
ここで、セクタギア53の前面には、セクタギア53の回動軌跡に沿った円弧形状のカム面を有する検出片53bが突設されている。検出片53bは、セクタギア53と一体的に回動し、セクタギア53の中立位置において中立位置検出スイッチ54の検出端子と摺接可能である。一方、本実施の形態において、中立位置は、ラッチレバー51およびリリースレバー52から押圧部53aが離れた状態、すなわち、ラッチレバー51の当接部51aおよびリリースレバー52のリリースアーム部(後述する)のいずれからも押圧部53aが所望の間隔をあけて完全に離れた状態のセクタギア53の回動位置である。
【0056】
中立位置検出スイッチ54は、セクタギア53の回動位置が中立位置ではない場合、検出片53bのカム面から離れてオン状態になる。また、中立位置検出スイッチ54は、セクタギア53の回動位置が中立位置である場合、すなわち、クローズ動作またはリリース動作を実行後のセクタギア53が中立位置に復帰した場合、検出片53bのカム面と接触してオフ状態になる。中立位置検出スイッチ54は、このようなオン状態とオフ状態との切り替わりによって、セクタギア53が中立位置へ復帰したことを検出する。中立位置検出スイッチ54は、上述したセクタギア53の回動位置の検出結果を示す電気信号、すなわち、オン状態またはオフ状態を示す検出信号を電子制御装置7(図1,2参照)に順次送信する。
【0057】
ラッチ駆動モータ55は、ドアラッチ装置3の動力を発生させる駆動源である。図3,4に示すように、ラッチ駆動モータ55は、その長手方向がドアラッチ装置3の幅方向(図4の紙面に向かって左右の方向)に沿った状態となるように、ブラケット60の背面に固定される。ラッチ駆動モータ55は、車両100の車載電源から給電されて駆動し、これによって動力を発生させる。ラッチ駆動モータ55の動力は、ギア機構等(図示せず)を介してピニオンギア56に伝達される。ピニオンギア56は、図3,4に示すように、ブラケット60に形成された開口を介してブラケット60の背面側から前面側へ突出するように配置され、セクタギア53のギア部と噛合する。ラッチ駆動モータ55は、正方向に駆動軸を回転する駆動(以下、正転作動という)を行うことにより、ピニオンギア56を正方向に回転させて、セクタギア53をラッチレバー51側に向かう方向へ回動させることができる。ラッチ駆動モータ55は、逆方向に駆動軸を回転する駆動(以下、逆転作動という)を行うことにより、ピニオンギア56を逆方向に回転させて、セクタギア53をリリースレバー52側に向かう方向へ回動させることができる。
【0058】
ブラケット60は、上述した噛合機構30および駆動機構50の各構成要素が適宜取り付けられる部材である。例えば、図3〜5に示すように、ブラケット60の下端部分には、噛合機構30の収容体41が螺子止め等によって取り付けられる。ブラケット60の前面側には、セクタギア53、中立位置検出スイッチ54、及びピニオンギア56が設けられる。ブラケット60の背面側には、ラッチ駆動モータ55が設けられる。このように噛合機構30および駆動機構50の各構成要素が設けられたブラケット60は、図5に示すように、バックドア101に螺子止め等によって取り付けられる。この際、ストライカ103と噛合する噛合機構30がバックドア101から車体内部側に向かって露出するように、ドアラッチ装置3はバックドア101に設けられる。
【0059】
(ストライカと噛合機構との係合動作)
つぎに、車両100のバックドア101を開閉する際のストライカ103(図1,2参照)とドアラッチ装置3の噛合機構30との係合動作について説明する。図8A〜8Cは、本発明の実施の形態におけるストライカと噛合機構との係合動作を説明する図である。図8Aは、アンラッチ位置にあるラッチとラチェットとの状態を示す図である。図8Bは、ハーフラッチ位置にあるラッチとラチェットとの噛合状態を示す図である。図8Cは、フルラッチ位置にあるラッチとラチェットとの噛合状態を示す図である。
【0060】
図8A〜8Cに示すように、ラッチ31は、上述したように外周面に開口する係合溝31aと、ストライカ103と噛み合うフック部31bと、フルラッチ状態の際にラチェット32と噛み合うフルラッチ係止部31cと、ハーフラッチ状態の際にラチェット32と噛み合うハーフラッチ係止部31dとを有する。このようなラッチ31がアンラッチ位置にあるアンラッチ状態において、図8Aに示すように、係合溝31aの開口は、噛合機構30の収容体41の一構成要素であるカバープレート42に形成されたストライカ進入溝45の開口に合致している。係合溝31aよりも右側に位置するフック部31bは、ストライカ進入溝45から退避した状態になっている。すなわち、アンラッチ状態において、ラッチ31は、ストライカ103と係合しておらず、ストライカ進入溝45内に進入するストライカ103を受け入れることもできれば、ストライカ進入溝45からストライカ103を解放することもできる。
【0061】
図8Aに示すようにラッチ31がアンラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、各々、カム部31eのカム面31fと接触しており、故に、双方ともオン状態である。また、ラッチ31がアンラッチ位置にある場合、ドアラッチ装置3の噛合機構30は、バックドア101の閉状態のロックを解除している。この場合、バックドア101は、バックドア101に設けた操作ハンドル(図示せず)等を操作しなくとも、開閉することができる。
【0062】
ついで、バックドア101が閉じた際、ドアラッチ装置3は、車両100の車体後部104に設けられたストライカ103に係合するように接近する。この際、ストライカ103は、ストライカ進入溝45に沿って噛合機構30の内部へ進入する。ラッチ31は、この進入してきたストライカ103を、フルラッチ係止部31cに当接させるとともに係合溝31a内に受け入れる。その後、ラッチ31は、係合溝31a内にストライカ103を受け入れた状態を維持しながら、ラッチ軸37を中心として、図8Aに示すアンラッチ位置から図8Bに示すハーフラッチ位置へ回動する。このラッチ31の回動に伴い、フック部31bは、ストライカ進入溝45の前端側から奥部側へと順次移動しながら、図8Bに示すようにストライカ進入溝45を横切る状態となる。この状態において、ラッチ31は、ハーフラッチ位置に回動し終え、図8Bに示すようにハーフラッチ位置でストライカ103と係合する。詳細には、フック部31bは、ストライカ103と係合して、ストライカ進入溝45からのストライカ103の解放を阻止するとともに、係合溝31a内にストライカ103を係合保持する。
【0063】
ハーフラッチ位置にあるラッチ31のアンラッチ位置への回動は、図8Bに示すように、ラチェット32がハーフラッチ係止部31dと噛合することによって規制される。図8Bに示すようにラッチ31がハーフラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ33は、カム部31eのカム面31fから離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。フルラッチ検出スイッチ34は、カム面31fとの接触を継続し、オン状態を維持する。また、ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がハーフラッチ係止部31dと噛合する前後の回動に伴い、ラチェット32がセット位置にいない際の突起部32aと一時的に接触し、突起部32aとの接触時にオフ状態に切り替わり、ラチェット32がセット位置にいる際の突起部32aからの離間時にオン状態に切り替わる。一方、ラッチ31がハーフラッチ位置にある場合、ドアラッチ装置3の噛合機構30は、バックドア101を半ドア状態としている。この場合、操作ハンドル等を操作してラッチ31がアンラッチ位置へ回動しなければ、バックドア101を開くことはできない。なお、半ドア状態とは、つぎのように定義される。すなわち、全閉状態のとき、万一何らかの原因でラッチ31のフルラッチ係止部31cとラチェット32との噛合が外れても、不意にバックドア101が開かないように、フルラッチ位置とアンラッチ位置との間において、ラチェット32がラッチ31のハーフラッチ係止部31dと噛合して、バックドア101を半閉状態に保持し得るようになっているハーフラッチ位置が設定されている。このバックドア101の半閉状態のことを、「半ドア状態」という。
【0064】
上述したようにハーフラッチ位置にあるラッチ31が、ラッチ軸37を中心としてフルラッチ位置に向け回動した場合、図8Cに示すように、フック部31bは、ストライカ進入溝45の奥部を横切る状態となって、ストライカ進入溝45の開口を閉塞する。この状態において、ラッチ31は、フルラッチ位置に回動し終え、図8Cに示すようにフルラッチ位置でストライカ103と完全に係合する。詳細には、フック部31bは、ストライカ103との係合を進行して、ストライカ進入溝45からのストライカ103の解放を阻止し続けながら、係合溝31a内にストライカ103を完全に係合保持する。
【0065】
フルラッチ位置にあるラッチ31のハーフラッチ位置またはアンラッチ位置への回動は、図8Cに示すように、ラチェット32がフルラッチ係止部31cと噛合することによって規制される。図8Cに示すようにラッチ31がフルラッチ位置にある場合、ハーフラッチ検出スイッチ33は、カム面31fから離れた状態を継続してオフ状態を維持する。フルラッチ検出スイッチ34は、カム面31fから離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。また、ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がフルラッチ係止部31cと噛合する前後の回動に伴い、ラチェット32がセット位置にいない際の突起部32aと一時的に接触し、突起部32aとの接触時にオフ状態に切り替わり、ラチェット32がセット位置にいる際の突起部32aからの離間時にオン状態に切り替わる。一方、ラッチ31がフルラッチ位置にある場合、ドアラッチ装置3の噛合機構30は、バックドア101の閉状態を完全にロックしている(全閉状態)。この場合、バックドア101の開扉動作を電子制御装置7に指示する開操作部等を操作して、ドアラッチ装置3の駆動機構50がラッチ31をアンラッチ位置へ回動させなければ、バックドア101を開くことはできない。
【0066】
一方、ラチェット32は、ラチェット軸38を中心として解除方向に回動することにより、図8Bに示すハーフラッチ位置または図8Cに示すフルラッチ位置にあるラッチ31との噛合状態を解除することができる。すなわち、ドアラッチ装置3の駆動機構50がラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除するようリリースレバー52(図3〜6参照)を操作するリリース動作を行うことにより、図8B,8Cに示す噛合機構30とストライカ103との係合状態を解除することができる。なお、ラチェット32は、ラチェット軸38を中心として噛合方向へ回動するよう付勢されている。このラチェット軸38を中心としたラチェット32の噛合方向への回動は、図8A〜8Cに示すように、ストッパ36がラチェット32の延出部を受け止めることによって規制される。
【0067】
(電子制御装置の構成)
つぎに、本発明の実施の形態における電子制御装置7の構成について説明する。図9は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。以下、図9を参照しつつ、ドア開閉制御システム1の機能構成とともに電子制御装置7の構成を説明する。
【0068】
図9に示すように、ドア開閉制御システム1は、ドアラッチ装置3の中立位置検出スイッチ54、ハーフラッチ検出スイッチ33、フルラッチ検出スイッチ34、およびラチェット検出スイッチ35の各検出結果をもとに、電子制御装置7によってドア開閉装置2のPTGモータ21およびドアラッチ装置3のラッチ駆動モータ55を制御するように構成される。また、ドア開閉制御システム1は、上述したドア開閉装置2、ドアラッチ装置3、および電子制御装置7の他に、図1,2に示した車両100のバックドア101の開扉動作を操作するための開操作部8と、このバックドア101の閉扉動作を操作するための閉操作部9とを備える。
【0069】
電子制御装置7は、図9に示すように、バックドア101の開閉制御に必要な各種処理を実行する処理部71と、バックドア101の開閉制御のための各種処理に用いる基準値等の各種情報を記憶する記憶部72とを備える。処理部71は、各種判定処理を実行する判定処理部71aと、ドア開閉装置2およびドアラッチ装置3の各駆動制御を実行する駆動制御部71bとを備える。電子制御装置7は、ドアラッチ装置3の各検出スイッチ(中立位置検出スイッチ54、ハーフラッチ検出スイッチ33、フルラッチ検出スイッチ34、およびラチェット検出スイッチ35)の各々から検出信号を受信する。また、電子制御装置7は、バックドア101の開閉操作の指示信号を開操作部8または閉操作部9から受信する。電子制御装置7は、これらの受信した各信号をもとに、PTGモータ21およびラッチ駆動モータ55を適宜制御して、バックドア101の開閉を制御する。
【0070】
判定処理部71aは、中立位置検出スイッチ54からの検出信号に基づいて、セクタギア53の回動位置が中立位置であるか否かを判定する。また、クローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させる動作が実行されている期間では、判定処理部71aは、上述した中立位置の判定処理に加え、中立位置検出スイッチ54およびラチェット検出スイッチ35からの各検出信号に基づいて、中立位置検出スイッチ54が故障したか否かを判定する。一方、判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34からの各検出信号に基づいて、ラッチ31の回動位置がアンラッチ位置、ハーフラッチ位置、フルラッチ位置のいずれであるかを判定する。また、判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33、フルラッチ検出スイッチ34、およびラチェット検出スイッチ35からの各検出信号に基づいて、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を判定する。
【0071】
駆動制御部71bは、判定処理部71aによる判定結果に基づいて、ドア開閉装置2のPTGモータ21およびラッチ駆動モータ55の各駆動を適宜制御する。また、駆動制御部71bは、開操作部8または閉操作部9からの指示信号に基づいて、バックドア101の開扉動作または閉扉動作が実行されるようPTGモータ21およびラッチ駆動モータ55の各駆動を制御する。
【0072】
記憶部72は、判定処理部71aの判定処理に用いられる基準値および判定処理部71aによる判定結果等の情報を記憶する。また、記憶部72は、処理部71が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部72に記憶された情報やプログラムは、処理部71によって適宜読み込まれる。
【0073】
電子制御装置7は、判定処理部71aの判定結果に基づき駆動制御部71bによってラッチ駆動モータ55を制御することにより、クローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置に向けて回動させる。電子制御装置7は、このセクタギア53の回動中において、中立位置検出スイッチ54が中立位置へのセクタギア53の復帰を検出した場合、セクタギア53を中立位置に停止させる。一方、このセクタギア53の回動中において、中立位置検出スイッチ54が中立位置へのセクタギア53の復帰を検出せず且つラチェット検出スイッチ35がセット位置にラチェット32がないことを検出した場合、電子制御装置7は、判定処理部71aによって、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定する。これとともに、電子制御装置7は、駆動制御部71bによってPTGモータ21を制御することにより、バックドア101を閉じる閉扉動作をドア開閉装置2に行わせて、バックドア101の開放を阻止する。
【0074】
また、電子制御装置7は、判定処理部71aにより、ハーフラッチ検出スイッチ33の検出結果とフルラッチ検出スイッチ34の検出結果とをもとに、ラッチ31がアンラッチ位置、ハーフラッチ位置、およびフルラッチ位置のいずれの位置にあるかを判定する。電子制御装置7は、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、ラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定した場合、駆動制御部71bによってラッチ駆動モータ55を制御することにより、セクタギア53にクローズ動作を行わせてラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させる。
【0075】
さらに、電子制御装置7は、中立位置検出スイッチ54が故障後の閉扉動作の実行期間、判定処理部71aにより、ハーフラッチ検出スイッチ33の検出結果とフルラッチ検出スイッチ34の検出結果とをもとにラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定した場合、駆動制御部71bにより、この閉扉動作を行っているドア開閉装置2のPTGモータ21の動力を、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に切り替わる前に比べ減少させて、この閉扉動作でバックドア101を車体後部104に押さえる力を弱める。その後、電子制御装置7は、判定処理部71aにより、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとに、ハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったか否かを判定する。電子制御装置7は、このハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったと判定した時点で、駆動制御部71bによってPTGモータ21を制御することにより、上述の閉扉動作を停止させる。
【0076】
一方、電子制御装置7は、クローズ動作完了後のセクタギア53がリリースレバー52に向けて回動し始めてからセクタギア53の押圧部53aをリリースレバー52に接触させる前に停止するまでの閾経過時間を、予め記憶部72に記憶して保持している。電子制御装置7は、上述したように中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、セクタギア53にクローズ動作を行わせた場合、このクローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置に向けて回動させ始めてからの経過時間が閾経過時間に達したか否かを判定処理部71aによって判定する。電子制御装置7は、この判定処理の結果、この経過時間が閾経過時間に達したと判定した場合、この時点で、駆動制御部71bによってラッチ駆動モータ55を制御することにより、セクタギア53の回動を停止させる。
【0077】
他方、電子制御装置7は、リリース動作完了後のセクタギア53が押圧部53aをリリースレバー52から完全に離して中立位置に復帰するまでに要する必要回動時間を、予め記憶部72に記憶して保持している。電子制御装置7は、上述したように中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、駆動制御部71bにより、リリースレバー52を押圧部53aで押圧した状態のセクタギア53を中立位置に向けて回動させながら、判定処理部71aにより、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとに、ラチェット32がセット位置にいるか否かを判定する。電子制御装置7は、ラチェット32がセット位置にいると判定した時点からの経過時間が必要回動時間に達したか否かを判定処理部71aによって判定する。電子制御装置7は、この判定処理の結果、この経過時間が必要回動時間に達したと判定した場合、この時点で、駆動制御部71bによってラッチ駆動モータ55を制御することにより、セクタギア53の回動を停止させる。
【0078】
開操作部8および閉操作部9は、バックドア101の開閉を操作するための操作手段である。例えば、開操作部8および閉操作部9は、各々、操作ボタンまたは操作スイッチ等の操作ユニットを用いて構成され、車両100の内部またはバックドア101等に設けられる。開操作部8は、ユーザの操作に応じて、バックドア101の開扉動作の実行を指示する開扉指示信号を電子制御装置7に入力する。閉操作部9は、ユーザの操作に応じて、バックドア101の閉扉動作の実行を指示する閉扉指示信号を電子制御装置7に入力する。
【0079】
(ドア開閉制御の動作)
つぎに、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システム1によるバックドア101の開閉制御の動作について説明する。図10は、本発明の実施の形態に係るドア開閉制御システムの動作の一例を示すタイミングチャートである。図11は、本発明の実施の形態におけるクローズ動作を実行する前の状態を示す図である。図12は、本発明の実施の形態におけるクローズ動作を実行している状態を示す図である。図13は、本発明の実施の形態における中立位置検出スイッチの故障に起因してセクタギアが中立位置に復帰できない状態を示す図である。図14は、本発明の実施の形態における中立位置検出スイッチの故障後にセクタギアを中立位置へ復帰させる状態を示す図である。
【0080】
まず、車両100のバックドア101は、一例として、図2に示すように開状態となっている。この際、ドアラッチ装置3において、ラッチ31は、図8Aに示すように、ストライカ103と係合していないアンラッチ位置にある。セクタギア53は、図11に示すように、ラッチレバー51の当接部51aおよびリリースレバー52のリリースアーム部52aのいずれにも押圧部53aを接触させていない中立位置に停止した状態である(停止状態)。なお、リリースアーム部52aは、図11に示すように、リリースレバー52のうちリリースレバー軸57よりも下方側のアーム部分である。
【0081】
この停止状態では、図10における時間t1以前の期間に示されるように、中立位置検出スイッチ54は、中立位置にあるセクタギア53の検出片53bと接触してオフ状態になっている。ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、図8Aに示すように、ラッチ31のカム部31eと接触してオン状態になっている。また、ドア開閉装置2のPTGモータ21およびドアラッチ装置3のラッチ駆動モータ55は、停止した状態になっている。
【0082】
ついで、上述した開状態のバックドア101は、ユーザによって手動で閉められる。この際、車両100のストライカ103は、ストライカ進入溝45に沿ってドアラッチ装置3の噛合機構30内に進入する。この状態において、ラッチ31は、ストライカ103と当接しつつ、図8Aに示すアンラッチ位置から図8Bに示すハーフラッチ位置へ回動する。このラッチ31の回動に伴い、ラチェット32は、セット位置から解除方向に回動する。この結果、ラチェット検出スイッチ35は、突起部32aと接触してオン状態からオフ状態に切り替わる。ハーフラッチ検出スイッチ33は、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に回動し終えるまでの間、オン状態を維持する。
【0083】
ラッチ31は、図10に示す時間t1のタイミングに、ストライカ103と当接しながらアンラッチ位置からハーフラッチ位置へと回動し終え、ハーフラッチ位置でストライカ103を係合保持する。この際、ハーフラッチ検出スイッチ33は、図8Bに示すように、ハーフラッチ位置にあるラッチ31のカム部31eから離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。ラチェット検出スイッチ35は、時間t1のタイミングで、上述したように既にオフ状態に切り替わっている。ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、この時間t1のタイミングから通常時クローズ動作S1を開始する。
【0084】
通常時クローズ動作S1において、電子制御装置7の判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33からの検出信号がオフ状態であり且つフルラッチ検出スイッチ34からの検出信号がオン状態であることに基づいて、ラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定する。電子制御装置7の駆動制御部71bは、この判定処理部71aの判定結果に基づいて、ドアラッチ装置3がクローズ動作を実行するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、駆動制御部71bの制御に基づき、図10に示すように時間t1から若干遅れたタイミングに正転作動し始める。一方、ラチェット32は、ラッチ31がハーフラッチ位置へ回動し終えた際に、セット位置に向かう噛合方向に回動してラッチ31のハーフラッチ係止部31dと噛合する(図8B参照)。これにより、ラチェット32は、ラッチ31のアンラッチ位置への回動を規制する。ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がハーフラッチ係止部31dと噛合したタイミングに突起部32aから離れて、図10に示すようにオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0085】
また、通常時クローズ動作S1において、セクタギア53は、上述したラッチ駆動モータ55の正転作動による動力を用い、セクタギア軸53cを中心として中立位置からラッチレバー51側へ向かう方向(図11における時計回りの方向:以下、正転方向という)に回動する。中立位置検出スイッチ54は、このように回動するセクタギア53が中立位置から外れた位置に至ったタイミングに、セクタギア53の検出片53bから離れて、図10に示すようにオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0086】
セクタギア53は、ラッチ駆動モータ55が正転作動を継続することにより、セクタギア軸53cを中心とした正転方向への回動を継続し、ついには、図12に示すように、ラッチレバー51の当接部51aを押圧部53aで押圧する。これにより、セクタギア53は、図12に示すようにラッチレバー51をラッチ軸37を中心として回動させ、このラッチレバー51とともにラッチ31(図8B,8C参照)をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させる。
【0087】
ラッチ31は、上述したように押圧部53aで押圧されたラッチレバー51と連係して回動し、図8B,8Cに示すように、ストライカ103と係合しながらハーフラッチ位置からフルラッチ位置へと回動し終える。ラッチ31は、フルラッチ位置でストライカ103を完全に係合保持する。この際、フルラッチ検出スイッチ34は、図8Cに示すように、フルラッチ位置にあるラッチ31のカム部31eから離れてオン状態からオフ状態に切り替わる。一方、ラチェット32は、ラッチ31のハーフラッチ位置からフルラッチ位置への回動に伴い、セット位置から解除方向に回動する。この結果、ラチェット検出スイッチ35は、突起部32aと接触してオン状態からオフ状態に切り替わる。その後、ラチェット32は、ラッチ31がフルラッチ位置へ回動し終えた際に、セット位置に向かう噛合方向に回動してラッチ31のフルラッチ係止部31cと噛合する(図8C参照)。これにより、ラチェット32は、ラッチ31のハーフラッチ位置への(延いてはアンラッチ位置への)回動を規制する。ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がフルラッチ係止部31cと噛合したタイミングに突起部32aから離れて、図10に示すようにオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0088】
電子制御装置7の判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34からの各検出信号が双方ともオフ状態であることに基づいて、ラッチ31がフルラッチ位置にあると判定する。さらに、判定処理部71aは、ラッチ31がフルラッチ位置にあるという判定結果と、ラチェット検出スイッチ35からの検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わったこととに基づいて、フルラッチ位置にあるラッチ31とラチェット32とが噛合状態になったと判定する。電子制御装置7の駆動制御部71bは、この判定処理部71aの判定結果に基づいて、クローズ動作を終了するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、駆動制御部71bの制御に基づき、図10に示すように時間t2のタイミングに正転作動を停止する。通常時クローズ動作S1は、図10に示すように、時間t1のタイミングから時間t2のタイミングまで実行される。
【0089】
通常時クローズ動作S1を実行後、ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、クローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させるクローザ復帰動作S2を実行する。詳細には、クローザ復帰動作S2において、電子制御装置7の駆動制御部71bは、上述した通常時クローズ動作S1におけるラッチ駆動モータ55の正転作動を停止させた後、クローズ動作完了後のセクタギア53が中立位置に向かって回動するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、駆動制御部71bの制御に基づき、図10に示すように正転作動を完全に停止し終えたタイミングに逆転作動し始める。
【0090】
クローザ復帰動作S2において、セクタギア53は、上述したラッチ駆動モータ55の逆転作動による動力を用い、セクタギア軸53cを中心としてラッチレバー51側から中立位置へ向かう方向(図11における反時計回りの方向:以下、逆転方向という)に回動する。これに並行して、電子制御装置7の判定処理部71aは、中立位置検出スイッチ54からの検出信号のオンオフ状態を常時監視し、この検出信号がオン状態であることに基づいて、セクタギア53が中立位置に復帰していないと判定する。駆動制御部71bは、この判定処理部71aの判定結果に基づいて、セクタギア53を逆転方向へ回動させる逆転作動を継続するようにラッチ駆動モータ55を制御する。
【0091】
ここで、中立位置検出スイッチ54は、正常である場合、セクタギア53が中立位置へ復帰した際にセクタギア53の検出片53bと接触してオン状態からオフ状態に切り替わる。これにより、中立位置検出スイッチ54は、セクタギア53の中立位置への復帰を検出する。この場合、判定処理部71aは、中立位置復帰の検出結果を示す検出信号を中立位置検出スイッチ54から取得し、取得した検出信号に示される中立位置検出スイッチ54のオン状態からオフ状態への切り替わりに基づき、セクタギア53が中立位置に復帰したと判定する。駆動制御部71bは、この判定処理部71aの判定結果に基づいて、セクタギア53の回動を停止するようラッチ駆動モータ55を制御する。この結果、ラッチ駆動モータ55は逆転作動を停止し、これと同時に、セクタギア53は、中立位置に停止(復帰)する。
【0092】
これに対し、中立位置検出スイッチ54が故障した場合、セクタギア53が中立位置へ復帰しても、中立位置検出スイッチ54は、オフ状態に切り替わらず、オン状態のままとなる。すなわち、中立位置検出スイッチ54は、セクタギア53が中立位置へ復帰しても、この中立位置復帰を検出しない。この場合、判定処理部71aは、中立位置検出スイッチ54からの検出信号がオン状態であることに基づき、セクタギア53が中立位置に復帰していないと判定する。駆動制御部71bは、この判定処理部71aの判定結果に基づいて、上述した逆転作動を継続するようにラッチ駆動モータ55を制御する。
【0093】
したがって、中立位置検出スイッチ54が故障した場合、ラッチ駆動モータ55は、クローズ動作完了後のセクタギア53が中立位置に復帰しても、逆転作動を継続する。これにより、セクタギア53は、図13に示すように、中立位置(中立位置検出スイッチ54と検出片53bとが接触する回動位置)を通過しても、セクタギア軸53cを中心として逆転方向へ回動し続け、ついには、リリースレバー52のリリースアーム部52aを押圧部53aで押圧してしまう。
【0094】
リリースレバー52は、図13に示すように、押圧部53aによってリリースアーム部52aを押圧されることにより、リリースレバー軸57を中心としてリリースアーム部52aがラチェット32に近接する方向(図13における時計回りの方向)へ回動する。これにより、リリースレバー52は、図13に示すようにリリースアーム部52aでラチェット32を押圧し、この結果、ラチェット32を解除方向へ回動させて、フルラッチ位置にあるラッチ31とラチェット32との噛合状態(図8C参照)を解除する。この際、ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32の突起部32aと接触してオン状態からオフ状態へ切り替わる。すなわち、ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置にいないことを検出する。
【0095】
電子制御装置7は、クローズ動作完了後のセクタギア53を逆転方向へ回動させている期間、中立位置検出スイッチ54がセクタギア53の中立位置への復帰を検出せず且つラチェット検出スイッチ35がセット位置にラチェット32がないことを検出した場合、中立位置検出スイッチ54が故障したことを検知する。すなわち、判定処理部71aは、図10に示すように、クローザ復帰動作S2の実行期間において、中立位置検出スイッチ54からの検出信号がオン状態を維持していることと、ラチェット検出スイッチ35からの検出信号がオン状態からオフ状態へ切り替わったこととに基づいて、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定する。
【0096】
このように中立位置検出スイッチ54の故障が判定(検知)されるとともに、電子制御装置7の駆動制御部71bは、駆動停止するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、この制御に基づいて、図10に示すように、時間t3のタイミングに逆転作動を停止する。時間t3のタイミングは、図10に示すように、クローザ復帰動作S2の実行期間において、ラチェット検出スイッチ35がオン状態からオフ状態へ切り替わったタイミングであり、上述したように中立位置検出スイッチ54の故障が判定(検知)されたタイミングである。本実施の形態において、クローザ復帰動作S2は、図10に示すように、時間t2のタイミングから時間t3のタイミングまで実行される。
【0097】
上述したクローザ復帰動作S2の実行が終了したと同時(時間t3のタイミング)に、ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、バックドア101の開放を阻止する開扉阻止動作S3を実行する。詳細には、電子制御装置7の駆動制御部71bは、ラチェット検出スイッチ35がオン状態からオフ状態へ切り替わると同時に、すなわち、中立位置検出スイッチ54の故障が判定(検知)されると同時に、バックドア101を閉じるようにドア開閉装置2のPTGモータ21を制御する。PTGモータ21は、この制御に基づいて、図10に示すように、時間t3のタイミングに動力を発生させて閉扉動作を開始する。
【0098】
ここで、図10に示す時間t3のタイミングにおいて、ラチェット32は、リリースレバー52の押圧作用によって解除方向へ回動し(図13参照)、これにより、フルラッチ位置にあるラッチ31との噛合状態(図8C参照)を解除している。すなわち、ラッチ31は、このラチェット32との噛合状態の解除により、フルラッチ位置からアンラッチ位置へ回動して、ストライカ103との係合状態を解除した状態(ラッチ解除の状態)にある。この結果、ストライカ103はラッチ31から解放され、バックドア101の閉状態のロックは解除されている。
【0099】
ハーフラッチ検出スイッチ33およびフルラッチ検出スイッチ34は、上述のようにラッチ31がアンラッチ位置へ回動した結果、図10に示すように、オフ状態からオン状態に切り替わる。一方、ラチェット検出スイッチ35は、セクタギア53が押圧部53aでリリースレバー52のリリースアーム部52aを押圧した状態(図13参照)にあるため、オフ状態になっている。
【0100】
開扉阻止動作S3では、上述したようにラッチ31によるストライカ103の係合を解除されたバックドア101が意図せず開いてしまう事態を阻止すべく、PTGモータ21は、図10に示すように、時間t3のタイミングに閉扉動作を開始する。ドア開閉装置2は、この閉扉動作の実行により、バックドア101を車体後部104へ引き付けて閉じる。この結果、ドア開閉装置2は、バックドア101の意図せぬ開放を阻止するとともに、PTGモータ21の動力によってストライカ103とラッチ31とを係合させる。
【0101】
このようにPTGモータ21の閉扉動作によってバックドア101が車体後部104に引き付けられた状態において、ラッチ31は、PTGモータ21の動力によって支援されながら、ストライカ103と当接するとともにアンラッチ位置からハーフラッチ位置に向かって回動する。このようなストライカ103とラッチ31との当接がPTGモータ21の動力によって支援されている期間、ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、故障時リリーサ復帰動作S4を実行する。ドア開閉制御システム1は、ラッチ駆動モータ55の逆転作動を停止した時間t3のタイミングからラッチ駆動モータ55の停止出力を規定時間継続した後のタイミング(図10に示す時間t4のタイミング)に、故障時リリーサ復帰動作S4を実行し始める。
【0102】
故障時リリーサ復帰動作S4において、電子制御装置7の駆動制御部71bは、図13に示すように押圧部53aでリリースレバー52のリリースアーム部52aを押圧しているセクタギア53を正転方向へ回動させるように、ラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、この制御に基づいて、図10に示すように、時間t4のタイミングに正転作動を開始し、この正転作動を継続する。セクタギア53は、このラッチ駆動モータ55の正転作動により、正転方向へ回動して、押圧部53aによるリリースアーム部52aの押圧を順次弱め、ラチェットばね40により噛合方向へ付勢されているラチェット32は、噛合方向に向けて順次回動する。セクタギア53は、このような正転方向への回動を継続し、これにより、押圧部53aをリリースアーム部52aから離す。この結果、ラチェット32は、噛合方向に回動してセット位置にいる状態となる。ラチェット検出スイッチ35は、ラチェット32がセット位置に回動するとともに突起部32aから離れて、オフ状態からオン状態に切り替わる。
【0103】
このような故障時リリーサ復帰動作S4では、電子制御装置7は、上述したように中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、リリースレバー52を押圧部53aで押圧した状態のセクタギア53を中立位置に向けて回動させながら、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとに、ラチェット32がセット位置にいるか否かを判定する。この際、判定処理部71aは、ラチェット検出スイッチ35からの検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて、ラチェット32がセット位置にいると判定する。駆動制御部71bは、このようにラチェット32がセット位置にいると判定した時点からの経過時間を監視しながら、ラッチ駆動モータ55に正転作動を継続させる。駆動制御部71bは、この経過時間が記憶部72から読み込んだ必要回動時間(例えば110[ms])に達した時点(図10に示す時間t5のタイミング)で正転作動を停止するようにラッチ駆動モータ55を制御する。この制御に基づいて、ラッチ駆動モータ55は、上述したセクタギア53の正転方向の回動を時間t5のタイミングで停止させる。
【0104】
すなわち、故障時リリーサ復帰動作S4は、図10に示すように、時間t4のタイミングから時間t5のタイミングまで実行される。この結果、セクタギア53の押圧部53aは、開扉阻止動作S3の実行期間において、リリースレバー52から十分に離間し且つラッチレバー51の当接部51aに接触していない状態となる。
【0105】
一方、開扉阻止動作S3において、ラッチ31は、故障時リリーサ復帰動作S4が実行された後、ラチェット32と噛合可能な状態となる。そして、ラッチ31は、PTGモータ21の動力によってストライカ進入溝45の奥部側へ進入するストライカ103と当接しながら、アンラッチ位置からハーフラッチ位置に回動する。この際、ハーフラッチ検出スイッチ33は、オン状態からオフ状態へ切り替わる。また、ラチェット32は、このラッチ31の回動に伴ってセット位置から解除方向へ回動し、ラッチ31がハーフラッチ位置に回動し終えるとともに噛合方向へ回動してセット位置に停止し、ハーフラッチ位置にあるラッチ31と噛合する。ラチェット検出スイッチ35は、このラチェット32の解除方向への回動に伴ってオン状態からオフ状態へ切り替わり、ついで、ラッチ31とラチェット32との噛合に伴ってオフ状態からオン状態へ切り替わる。
【0106】
電子制御装置7の判定処理部71aは、上述したように中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、具体的には図10に示す時間t3のタイミング以後における閉扉動作の実行期間、ハーフラッチ検出スイッチ33の検出結果とフルラッチ検出スイッチ34の検出結果とをもとに、ラッチ31の回動位置を判定する。この際、判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33からの検出信号がオン状態からオフ状態へ切り替わったことと、フルラッチ検出スイッチ34からの検出信号がオン状態を維持していることとに基づいて、ラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定する。電子制御装置7は、このようにラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定した場合、このタイミング(図10に示す時間t6のタイミング)から、駆動制御部71bによるラッチ駆動モータ55の制御により、セクタギア53にクローズ動作を行わせてラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させる。すなわち、ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、時間t6のタイミングから故障時クローズ動作S5を実行開始する。本実施の形態において、時間t6は、フルラッチ検出スイッチ34がオン状態であり且つハーフラッチ検出スイッチ33がオン状態からオフ状態へ切り替わった時点から、例えば200ms後の時間(タイミング)としてもよい。これにより、ラッチ31が確実にハーフラッチ状態であることを確認した上で故障時クローズ動作S5を実行開始することができる。
【0107】
また、この時間t6のタイミングから、電子制御装置7の駆動制御部71bは、閉扉動作を行っているドア開閉装置2のPTGモータ21の動力を、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に切り替わる前に比べ減少させて、閉扉動作でバックドア101を押さえる力を弱める。その後、判定処理部71aは、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとに、ハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったか否かを判定する。判定処理部71aは、ラチェット検出スイッチ35からの検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて、ハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったと判定する。この時点、すなわち、図10に示す時間t7のタイミングで、駆動制御部71bは、PTGモータ21の制御により、上述の閉扉動作を停止させる。図10に示すように、開扉阻止動作S3は、時間t3のタイミングから時間t7のタイミングまで実行される。この時間t7のタイミングにおいて、ストライカ103は、ハーフラッチ位置にあるラッチ31に係合保持(メカラッチ)されている。すなわち、バックドア101は、半ドアの状態にある。
【0108】
図10に示すように時間t6のタイミングから開始した故障時クローズ動作S5では、電子制御装置7の駆動制御部71bは、セクタギア53が正転方向に回動するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、この制御に基づき、時間t6のタイミングに正転作動し始める。セクタギア53は、このラッチ駆動モータ55の正転作動により、正転方向に回動してラッチレバー51の当接部51aを押圧部53aで押圧し、ラッチレバー51とともにラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させるクローズ動作を行う。
【0109】
フルラッチ検出スイッチ34は、このクローズ動作によってラッチ31がフルラッチ位置へ回動し終えたタイミングに、オン状態からオフ状態に切り替わる。ラチェット32は、上述したハーフラッチ位置からフルラッチ位置へのラッチ31の回動に伴ってセット位置から解除方向へ回動し、ラッチ31がフルラッチ位置に回動し終えるとともに噛合方向へ回動してセット位置に停止し、フルラッチ位置にあるラッチ31と噛合する。ラチェット検出スイッチ35は、このラチェット32の解除方向への回動に伴ってオン状態からオフ状態へ切り替わり、ついで、ラッチ31とラチェット32との噛合に伴ってオフ状態からオン状態へ切り替わる。
【0110】
このような故障時クローズ動作S5において、電子制御装置7の判定処理部71aは、ハーフラッチ検出スイッチ33からの検出信号がオフ状態を維持していることと、フルラッチ検出スイッチ34からの検出信号がオン状態からオフ状態に切り替わったこととに基づいて、ラッチ31がフルラッチ位置にあると判定する。さらに、判定処理部71aは、このフルラッチ位置の判定後に、ラチェット検出スイッチ35からの検出信号がオフ状態からオン状態に切り替わったことに基づいて、フルラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったと判定する。この時点、すなわち、図10に示す時間t8のタイミングで、電子制御装置7の駆動制御部71bは、クローズ動作を終了するようにラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、駆動制御部71bの制御に基づき、図10に示すように時間t8のタイミングに正転作動を停止する。このようにして、故障時クローズ動作S5は、図10に示す時間t6のタイミングから時間t8のタイミングまで実行される。
【0111】
上述した故障時クローズ動作S5を実行後、ドア開閉制御システム1は、図10に示すように、故障時クローザ復帰動作S6を実行する。故障時クローザ復帰動作S6は、上述したように中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、セクタギア53にクローズ動作を行わせた場合、このクローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させる動作である。
【0112】
故障時クローザ復帰動作S6において、電子制御装置7の駆動制御部71bは、中立位置検出スイッチ54が故障した後でのクローズ動作を完了したセクタギア53を逆転方向へ回動させるように、ラッチ駆動モータ55を制御する。ラッチ駆動モータ55は、駆動制御部71bの制御に基づいて、逆転作動を実行する。セクタギア53は、このラッチ駆動モータ55の逆転作動により、図14に示すように、セクタギア軸53cを中心としてラッチレバー51側から中立位置に向けて逆転方向(図14中の矢印参照)へ回動し、押圧部53aをラッチレバー51の当接部51aから離間させる。
【0113】
これとともに、駆動制御部71bは、このようにクローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置に向けて回動させ始めてからの経過時間(すなわちラッチ駆動モータ55が逆転作動し始めてからの経過時間)を監視しながら、ラッチ駆動モータ55に逆転作動を継続させる。駆動制御部71bは、この経過時間が記憶部72から読み込んだ閾経過時間(例えば430[ms])に達した時点(図10に示す時間t9のタイミング)で逆転作動を停止するようにラッチ駆動モータ55を制御する。この制御に基づいて、ラッチ駆動モータ55は、上述したセクタギア53の逆転方向の回動を時間t9のタイミングで停止させる。
【0114】
すなわち、故障時クローザ復帰動作S6は、図10に示すように、時間t8のタイミングから時間t9のタイミングまで実行される。この結果、セクタギア53は、図14に示すように、ラッチレバー51の当接部51aから押圧部53aが十分に離れ、且つ、ラチェット32を操作するリリースレバー52のリリースアーム部52aに押圧部53aが接触する手前の回動位置、すなわち中立位置で停止する(停止状態)。
【0115】
その後、ドア開閉制御システム1は、手動または電動でバックドア101を開閉しない限り、ストライカ103とラッチ31との係合によるバックドア101の閉状態のロックを維持する。一方、ドア開閉制御システム1は、必要に応じてリリース動作を行った場合、上述した故障時リリーサ復帰動作S4のようにラッチ駆動モータ55の駆動時間を制御することにより、リリース動作完了後のセクタギア53を中立位置に復帰させる。また、ドア開閉制御システム1は、必要に応じてクローズ動作を行った場合、上述した故障時クローザ復帰動作S6のようにラッチ駆動モータ55の駆動時間を制御することにより、クローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置に復帰させる。
【0116】
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、車両100のバックドア101が閉じた際に車両100のストライカ103をドアラッチ装置3のラッチ31に係合させ、ラッチ31と連係して回動するラッチレバー51の当接部51aをセクタギア53の押圧部53aで押圧して、ラッチレバー51とともにラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させるクローズ動作を実行し、このクローズ動作完了後のセクタギア53をラッチレバー51側から中立位置側へ向かう方向(逆転方向)に回動中、中立位置検出スイッチ54がセクタギア53の中立位置への復帰を検出せず且つラチェット検出スイッチ35がセット位置にラチェット32がないことを検出した場合、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定するとともに、バックドア101の閉扉動作をドア開閉装置2に行わせている。
【0117】
このため、セクタギア53の中立位置への復帰を検出する唯一の検出手段である中立位置検出スイッチ54の故障が原因で、クローズ動作完了後のセクタギア53が、中立位置を通り越してリリースレバー52を押圧部53aで押圧し、ラッチ31とラチェット32との噛合状態を解除させるリリース動作を誤って行ったとしても、このリリース動作によって閉状態のロックが解除されたバックドア101を、ドア開閉装置2の駆動力(PTGモータ21の動力)により、車両100の車体後部104に引き付けて閉じるとともに、このバックドア101の意図せぬ開放を阻止することができる。このことから、中立位置検出スイッチ54が故障する可能性があることを加味しても、中立位置検出スイッチ54の配置数を従来の複数(例えば2個)から1個に削減することができ、この1個の中立位置検出スイッチ54が故障しても、意図せず車両100のバックドア101が開放したままとなる事態を防止することができる。
【0118】
また、本発明の実施の形態では、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、上述した閉扉動作を行いながら、ハーフラッチ検出スイッチ33の検出結果とフルラッチ検出スイッチ34の検出結果とをもとにラッチ31の回動位置を判定し、ラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定した場合、セクタギア53にクローズ動作を行わせてラッチ31をハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回動させている。
【0119】
このため、ドア開閉装置2の駆動力によってバックドア101の開放を阻止しながら、この駆動力によってストライカ103とラッチ31とを当接させながらアンラッチ位置からハーフラッチ位置に回動したラッチ31を、クローズ動作によってフルラッチ位置へと回動させることができる。これにより、上述の誤ったリリース動作によって意図せず解除されたストライカ103とラッチ31との係合状態を回復させることができる。この結果、フルラッチ位置にあるラッチ31とストライカ103との係合状態を維持し直せることから、バックドア101の全閉状態を確保することができ、故に、意図せぬバックドア101の開放に起因する危険性を回避することができる。
【0120】
また、本発明の実施の形態では、上述した閉扉動作の実行期間、ハーフラッチ検出スイッチ33の検出結果とフルラッチ検出スイッチ34の検出結果とをもとにラッチ31がハーフラッチ位置にあると判定した場合、この閉扉動作を行っているドア開閉装置2のPTGモータ21の動力を、ラッチ31がアンラッチ位置からハーフラッチ位置に切り替わる前に比べ減少させて、この閉扉動作でバックドア101を引き付けて閉じる力を弱めている。これにより、ハーフラッチ位置またはフルラッチ位置にあるラッチ31によってストライカ103が係合保持されるまでの期間、意図せぬバックドア101の開放を阻止し続けるための閉扉動作の動力を必要最小限に維持することができる。この結果、上述の閉扉動作を実行し続けるドア開閉装置2のPTGモータ21にかかる負荷および消費電力を低減することができる。
【0121】
さらに、上述したように閉扉動作時のPTGモータ21の動力を減少させた後、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとに、ハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったか否かを判定し、ハーフラッチ位置にあるラッチ31がラチェット32と噛合状態になったと判定した時点で上述の閉扉動作を停止している。これにより、ハーフラッチ位置にあるラッチ31によってストライカ103を係合保持できるとともに、このラッチ31とストライカ103との係合状態をラチェット32によって維持できる状態になった後、上述の閉扉動作を不必要に継続することなく適切なタイミングに停止することができる。この結果、ドア開閉装置2のPTGモータ21にかかる無駄な負荷および消費電力を省くことができる。
【0122】
また、本発明の実施の形態では、クローズ動作完了後のセクタギア53がリリースレバー52に向けて回動し始めてから押圧部53aをリリースレバー52のリリースアーム部52aに接触させる前に停止するまでの経過時間の閾値(判定基準値)である閾経過時間を予め記憶部72に記憶して保持し、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、セクタギア53にクローズ動作を行わせた場合、このクローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置に向けて回動させ始めてからの経過時間が閾経過時間に達した時点でセクタギア53の回動を停止させている。このため、中立位置検出スイッチ54の故障後にクローズ動作を完了したセクタギア53を、このセクタギア53の回動力を発生させるラッチ駆動モータ55の駆動時間を制御することにより、中立位置へ復帰させることができる。
【0123】
また、本発明の実施の形態では、リリース動作完了後のセクタギア53が押圧部53aをリリースレバー52から離して中立位置に復帰するまでに要する回動時間である必要回動時間を予め記憶部72に記憶して保持し、中立位置検出スイッチ54が故障したと判定後、リリースレバー52を押圧部53aで押圧した状態のセクタギア53を中立位置に向けて回動させながら、ラチェット検出スイッチ35の検出結果をもとにラチェット32がセット位置にいるか否かを判定し、ラチェット32がセット位置にいると判定した時点からの経過時間が必要回動時間に達した時点でセクタギア53の回動を停止させている。このため、中立位置検出スイッチ54の故障後にリリース動作を行ったセクタギア53の押圧部53aを、ラッチ駆動モータ55の駆動時間を制御することにより、ラッチレバー51の当接部51aに接触させずにリリースレバー52のリリースアーム部52aから完全に離すことができ、この結果、リリース動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させることができる。
【0124】
なお、上述した実施の形態では、ドア開閉装置2による閉扉動作を行ってバックドア101の意図せぬ開放を阻止しながら、ドアラッチ装置3の駆動力(ラッチ駆動モータ55の動力)によって、ストライカ103と当接するラッチ31をアンラッチ位置からハーフラッチ位置を経由してフルラッチ位置に回動させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明では、上述した開扉阻止動作S3における閉扉動作の動力によって、ストライカ103と係合するラッチ31の回動位置をフルラッチ位置に維持し、上述した故障時リリーサ復帰動作S4によってセクタギア53を中立位置に復帰させるとともに、このフルラッチ位置にあるラッチ31とラチェット32とを噛合させてもよい。この場合、上述した故障時クローズ動作S5および故障時クローザ復帰動作S6は実行されなくてもよい。
【0125】
また、上述した実施の形態では、上述した故障時クローザ復帰動作S6の実行後、リリース動作が行われた場合、上述の故障時リリーサ復帰動作S4の実行により、このリリース動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させ、クローズ動作が行われた場合、上述の故障時クローザ復帰動作S6の実行により、このクローズ動作完了後のセクタギア53を中立位置へ復帰させるようにしていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明では、上述した故障時クローザ復帰動作S6の実行後、ラッチ駆動モータ55の動力による電動のクローズ動作およびリリース動作を電子制御装置7によって禁止して、バックドア101の閉状態を維持してもよい。
【0126】
さらに、上述した実施の形態では、車両100の開閉対象とするドアとしてバックドア101を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、車両100の開閉対象とするドアは、サイドドアであってもよい。この場合、上述したバックドア101用のドア開閉装置2およびドアラッチ装置3を、各々、サイドドア用のドア開閉装置およびドアラッチ装置に置き換えればよい。
【0127】
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
1 ドア開閉制御システム
2 ドア開閉装置
3 ドアラッチ装置
7 電子制御装置
8 開操作部
9 閉操作部
21 PTGモータ
22 アーム
23 ロッド
30 噛合機構
31 ラッチ
31a 係合溝
31b フック部
31c フルラッチ係止部
31d ハーフラッチ係止部
31e カム部
31f カム面
32 ラチェット
32a 突起部
33 ハーフラッチ検出スイッチ
34 フルラッチ検出スイッチ
35 ラチェット検出スイッチ
36 ストッパ
37 ラッチ軸
38 ラチェット軸
39 ラッチばね
40 ラチェットばね
41 収容体
42 カバープレート
43 バックプレート
44 取付部
45 ストライカ進入溝
50 駆動機構
51 ラッチレバー
51a 当接部
52 リリースレバー
52a リリースアーム部
53 セクタギア
53a 押圧部
53b 検出片
53c セクタギア軸
54 中立位置検出スイッチ
55 ラッチ駆動モータ
56 ピニオンギア
57 リリースレバー軸
58 リリースレバーばね
60 ブラケット
71 処理部
71a 判定処理部
71b 駆動制御部
72 記憶部
100 車両
101 バックドア
102 ヒンジ
103 ストライカ
104 車体後部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14