特許第6442776号(P6442776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6442776放射パネルモジュール、放射空調システム及び空調方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442776
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】放射パネルモジュール、放射空調システム及び空調方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20181217BHJP
   F24F 11/79 20180101ALI20181217BHJP
   F24F 11/81 20180101ALI20181217BHJP
【FI】
   F24F5/00 101B
   F24F11/79
   F24F11/81
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-241903(P2016-241903)
(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公開番号】特開2018-96620(P2018-96620A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2017年1月31日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】平尾 豊隆
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−153037(JP,A)
【文献】 特開平09−096434(JP,A)
【文献】 特開平09−184642(JP,A)
【文献】 特開平11−051445(JP,A)
【文献】 特開2007−024479(JP,A)
【文献】 特開2012−093043(JP,A)
【文献】 特開2014−059145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 5/00
F24F 11/79
F24F 11/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射パネルと、
前記放射パネルの背面側に設けられた熱媒体が通過する熱交換流路と、
前記熱交換流路をバイパスするバイパス流路と、
前記熱交換流路と前記バイパス流路との分岐点に設けられ、前記熱交換流路に流入する前記熱媒体の流量と前記バイパス流路に流入する前記熱媒体の流量とを調整するダンパーと、
前記ダンパーを制御する制御部と、
を備える放射パネルモジュール。
【請求項2】
前記熱媒体の前記熱交換流路への入口部と、前記熱交換流路からの出口部と、
をさらに備える請求項1に記載の放射パネルモジュール。
【請求項3】
前記熱交換流路が、熱交換器の構造に形成されている、
請求項1または請求項2に記載の放射パネルモジュール。
【請求項4】
前記熱交換流路における一部の流路の幅が、前記熱交換流路における他の流路の幅よりも狭い、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の放射パネルモジュール。
【請求項5】
前記熱交換流路は、樹脂または発泡材で成型され、前記放射パネルと組合されることで前記熱媒体の流路を形成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の放射パネルモジュール。
【請求項6】
前記熱交換流路の高さより前記バイパス流路の高さが高く形成された、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の放射パネルモジュール。
【請求項7】
前記熱交換流路における少なくとも一部の流路の幅が、前記バイパス流路の幅よりも狭く形成された、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の放射パネルモジュール。
【請求項8】
空調機と、
空調対象となる空間の天井および壁および床のうち少なくとも1つについて、前記放射パネルが前記空間に接するように配置された一つまたは複数の請求項1から請求項の何れか1項に記載の放射パネルモジュールと、
を備える放射空調システム。
【請求項9】
空調機と、
空調対象となる空間の天井および壁および床のうち少なくとも1つについて、放射パネルと、前記放射パネルの背面側に設けられた熱媒体が通過する熱交換流路と、を備える放射パネルモジュールであって、前記放射パネルが前記空間に接するように配置された一つまたは複数の前記放射パネルモジュールと、
前記空調機が送り出す前記熱媒体を、前記空間への吹き出し口に導くバイパス流路と、
前記空調機が送り出す前記熱媒体の送り出し先を前記放射パネルモジュールと前記バイパス流路とで切り替えるダンパーと、
を備える放射空調システム。
【請求項10】
請求項または請求項の放射空調システムにおいて、
結露が発生する可能性が高い環境では、前記バイパス流路へと前記熱媒体を送り出し、結露が発生する可能性が低い環境では、前記熱交換流路へと前記熱媒体を送り出す、
空調方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射パネルモジュール、放射空調システム及び空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射空調とよばれる室内の空調方式が存在する。放射空調では、空調対象となる室内の天井等に放射パネルを設置し、放射パネルからの熱のふく射を通じて室内の温度を調整する。放射空調では、冷房時、放射パネルに発生する結露への対策が課題となることが多い。
例えば、特許文献1には、ふく射用のダクトと室内への吹き出し口とで熱媒体である空気の流路を切り替えるダンパーを備えたふく射式空調(放射空調)システムについて記載がある。特許文献1には、放射パネルへの結露が生じると、ダンパーを切り替えることによって、空気を室内へと吐き出させ、その空気の流れを結露が生じている放射パネル面へと導いて、放射パネル面に吹き付けることにより、水滴を蒸発させて結露を取り除くことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−96434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の放射空調システムでは、次のような課題が存在する。つまり、(1)冷房時に結露が生じる。(2)結露の問題に対処するために除湿システムが必要で、建物を工事するためコストが高くなる。(3)個別空調が難しい。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる放射パネルモジュール、放射空調システム及び空調方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、放射パネルモジュールは、放射パネルと、前記放射パネルが背面側に設けられた熱媒体の通過する熱交換流路と、前記熱交換流路をバイパスするバイパス流路と、前記熱交換流路と前記バイパス流路との分岐点に設けられ、前記熱交換流路に流入する前記熱媒体の流量と前記バイパス流路に流入する前記熱媒体の流量とを調整するダンパーと、前記ダンパーを制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、前記放射パネルモジュールは、前記熱媒体の前記熱交換流路への入口部と、前記熱交換流路からの出口部と、をさらに備える。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、前記熱交換流路が、熱交換器の構造に形成されている。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、前記熱交換流路における一部の流路の幅が、前記熱交換流路における他の流路の幅よりも狭い。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、前記熱交換流路が、樹脂や発泡材等で成型され、前記放射パネルと組合されることで熱媒体の流路が形成される。
【0012】
本発明の第の態様によれば、前記熱交換流路の高さより前記バイパス流路の高さが高く形成される。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、前記熱交換流路における少なくとも一部の流路の幅が、前記バイパス流路の幅よりも狭く形成される
【0014】
本発明の第の態様は、放射空調システムは、空調機と、空調対象となる空間の天井および壁および床のうち少なくとも1つについて、前記放射パネルが前記空間に接するように配置された一つまたは複数の第の態様から第の態様の何れか1つに記載の放射パネルモジュールと、を備える。
【0015】
本発明の第の態様は、放射空調システムは、空調機と、空調対象となる空間の天井および壁および床のうち少なくとも1つについて、放射パネルと、前記放射パネルの背面側に設けられた熱媒体が通過する熱交換流路と、を備える放射パネルモジュールであって、前記放射パネルが前記空間に接するように配置された一つまたは複数の前記放射パネルモジュールと、前記空調機が送り出す前記熱媒体を、前記空間への吹き出し口に導くバイパス流路と、前記空調機が送り出す前記熱媒体の送り出し先を前記放射パネルモジュールと前記バイパス流路とで切り替えるダンパーと、を備える。
【0016】
本発明の第10の態様は、上記の放射空調システムにおいて、結露が発生する可能性が高い環境では、前記バイパス流路へと前記熱媒体を送り出し、結露が発生する可能性が低い環境では、前記熱交換流路へと前記熱媒体を送り出す、空調方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低コストで省エネルギーな個別放射空調を実現する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施形態における放射空調システムの概略構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
図3】本発明の第一実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す断面図である。
図4】本発明の第一実施形態における放射空調システムの実施例を示す図である。
図5】本発明の第一実施形態における放射空調システムの処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第二実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
図7】本発明の第二実施形態における放射空調システムの実施例を示す図である。
図8】本発明の第三実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による放射空調システムを図1図5を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における放射空調システムの概略構成の一例を示す図である。
放射空調システム1は、空調機2と、放射パネルモジュール10A,10B,・・・,10Nと、配管8A,8B,・・・,8Nと、を備える。
放射空調システム1は、空調対象となる室内の空間100の天井9の裏側、床下、壁面内など等に設置され、例えば、放射パネルモジュール10Aが備える放射パネル19Aの放射面は、空間100に接するように設置される。空調機2は、吸込口3より空間100の空気を吸入し、空調後の熱媒体を送り出す。本実施形態の熱媒体は空気で、空調機2は、冷気または暖気を送り出す。送り出された熱媒体は、配管8Aを介して放射パネルモジュール10Aへ供給される。放射パネルモジュール10Aでは、空調後の熱媒体により放射パネルが冷却または加熱される。さらに放射パネルモジュール10Aを通過した熱媒体は、配管8Bを介して放射パネルモジュール10Bに供給され、同様に放射パネル19Bの温度を冷却または加熱する。以降も同様にして、熱媒体は、通過する各放射パネルモジュール10n(n=A〜N)の放射パネル19nの温度を調整しながら、空調機2から最も遠くに配置された放射パネルモジュール10Nへと供給される。放射パネルモジュール10Nの放射パネル19Nを冷却または加熱した熱媒体は、吹き出し口4から空間100へと吹き出される。このように、本実施形態の放射空調システム1では、空調機2が生成した空調後の熱媒体が、天井等に配置された放射パネルモジュール10A等を通過することにより、各放射パネルモジュール10の放射パネル19を冷却または加熱し、放射パネル19からのふく射によって空間100の温度を調整する。なお、配置される放射パネルモジュール10A等の数は、複数であっても1個であってもよい。また、放射パネルモジュール10A、10B等を総称して放射パネルモジュール10、配管8A,8B等を総称して配管8、放射パネル19A、19B等を総称して放射パネル19と記載する。
【0020】
図2は、本発明の第一実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
図2が示すとおり、放射パネルモジュール10は、ダンパー11と、流路形成部材12A,12B,12C,12D,12Eと、開閉制御部13と、入口部15と、出口部16と、底面に配置された放射パネル19とを備えている。ダンパー11は、矢印11Aで示す範囲で開閉する。開閉制御部13は、ダンパー11の開閉動作を制御する。ダンパー11が実線で示す位置にあるとき(開状態とする)、入口部15から流入した熱媒体は、破線矢印が示す方向にバイパス流路18を通過し、出口部16から送り出される。一方、開閉制御部13の制御によりダンパー11が破線で示す位置にあるとき(閉状態とする)、入口部15から流入した熱媒体は、実線矢印が示す方向に熱交換流路17A,17B,17C,17D,17E,17F,17Gを通過し、出口部16から送り出される。
【0021】
ここで、流路形成部材12A,12B,12C,12D,12Eによって形成される熱交換流路17B,17C,17D,17E,17Fの幅は、バイパス流路18の幅よりも狭くなるように形成されている。また、熱交換流路17A,17Gについては、熱交換流路17B等よりも幅が広く形成されていてもよい。図示するように熱交換流路17B〜17Fは、熱交換流路17Gと垂直な方向に放射パネル19を横断するように設けられている。この構成により、熱交換流路17B〜17Fを通過する熱媒体の流速V17は、バイパス流路18を通過する熱媒体の流速V18よりも速くなる。なお、以下において、流路形成部材12A等を総称して流路形成部材12、熱交換流路17A等を総称して熱交換流路17と記載することがある。
【0022】
また、放射パネルモジュール10は、例えば、システム天井に用いられる天井ボードなどのサイズ(例えば600mm×600mmや、600mm×1200mmなど)に合わせた大きさに形成されている。規格化された大きさに合わせてモジュール化することで、天井ボードとの入れ替えが容易になり、効率的に放射空調システム1を導入することができる。
【0023】
図3は、本発明の第一実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す断面図である。
図3は、図2の放射パネルモジュール10においてA−A線での断面図を示す。図3に示すように放射パネルモジュール10の断面はL字型をしている。図示するように熱交換流路17、バイパス流路18は、放射パネル19の背面側(放射面の反対側)に形成されている。バイパス流路18の高さH1は熱交換流路17Gの高さH2より高く形成されている。また、幅L1も幅L2と同程度またはそれ以上の広さに形成されている。そのため、バイパス流路18の断面積は相対的に大きく、熱交換流路17Gの断面積は相対的に小さい。この構成により、バイパス流路18を流れる熱媒体の流速V18は遅く、熱交換流路17Gを通過する熱媒体の流速V17は速くなる。また、流路幅が狭く形成された熱交換流路17B、17C、17D、17E、17Fについても、熱媒体は高速に流れる。熱媒体が高速に流れることにより、熱媒体から放射パネル19への熱伝達が大きくなり、放射パネル19の温度は、熱媒体の温度の影響を強く受けることになる。従って、空調機2によって所定の温度に調整した熱媒体を、熱交換流路17を通過させることにより、放射パネル19の温度を空間100の目標温度に適した温度へと調整することができる。なお、熱媒体から放射パネル19への熱伝達を大きくするため、流路形成部材12A等は熱伝導率の高い材質を用いることが好ましい。あるいは、流路形成部材12A等を樹脂や発泡材等で成型し、放射パネル19と組合せることによって、発泡材等を側面とし、放射パネル19の背面側を底面とする流路を構成してもよい。このような構成とすることで2つのパーツ(発泡材等で成型した流路形成部材12と放射パネル19)だけで熱交換流路17を作成することができる。このように流路を構成することで、比較的高速に流れる熱媒体から、直接的に、あるいは、流路形成部材12A等を経由して放射パネル19へと熱媒体の温度を伝達することができる。また、後述するように、バイパス流路18の底部に断熱材14を配置する構成としてもよい。
このように流路形成部材12A等を用いて、熱媒体の流路をパラレルフロー型の熱交換器の構造に形成することで、熱媒体から放射パネル19への熱の伝達を効率的に行うことができる。
【0024】
図2図3で示した構成を前提として、ダンパー11の切り替え制御について説明する。例えば、放射空調システム1が、冷房運転をする場合、運転を開始してしばらくの間は、空間100に存在する空気に含まれる水蒸気の量が多く、その状態で放射パネル19が冷却されると、放射パネル19の表面に結露が生じる可能性がある。そのため、本実施形態では、結露が生じる可能性が高い環境では、放射パネルモジュール10による「放射空調」を行わず、代わりに「対流空調」を行う。具体的には、開閉制御部13は、ダンパー11を開状態(実線の位置)に制御し、空調機2が生成した冷気を、入口部15から取り込み、バイパス流路18を通過させて、出口部16から送り出す。図1に例示したように、各放射パネルモジュール10においてバイパス流路18を通過した冷気は、最終的に吹き出し口6から空間100へと送り出され、空間100を対流して、吸込口3より空調機2に戻される。そして、再度、空調機2が備える熱交換器で冷却された熱媒体が放射パネルモジュール10へと供給される。図2図3を用いて説明したようにバイパス流路18の断面積は比較的大きく取られているため、冷却された熱媒体は、バイパス流路18を、比較的ゆっくりとした速度で通過する。そのため、バイパス流路18を通過する間の熱媒体から放射パネル19への熱伝達は低減され、放射パネル19は、熱媒体によりさほど冷却されることなく、放射パネル19の温度は比較的高く保たれる。そのため、放射パネル19の表面に結露が生じる可能性が低くなる。
【0025】
また、図3に例示したようにバイパス流路18の底部(放射パネル19の上側)に、断熱材14を敷くことにより、より確実に放射パネル19の冷却を防ぐことができる。これにより、より効果的に結露の発生を防ぐことができる。
【0026】
このように、バイパス流路18を通過させつつ、空調機2によって冷却した熱冷媒を空間100内に循環させる「対流空調」を継続すると、空調機2の有する除湿機能によって、空間100内の空気に含まれる水蒸気の量が減少する。水蒸気の量が少ない状態であれば、放射パネル19を冷却し、「放射空調」を行っても放射パネル19の表面に結露する可能性は低い。例えば、空調機2が備える湿度センサによる計測結果などから、結露の可能性が低い運転環境であることが判定できる状態となると、開閉制御部13は、ダンパー11を閉状態(破線)に制御する。すると、熱冷媒から放射パネル19への熱伝達は促進され、放射パネル19は、熱媒体により冷却されて低温となる。すると、低温となった放射パネル19からのふく射によって、空間100の温度が空調される。この「放射空調」においては、既に熱媒体を、バイパス流路18を通過させることにより行った「対流空調」によって空気中の水蒸気が取り除かれているため結露の発生を防ぐことができる。
【0027】
次に本実施形態の放射パネルモジュール10を複数用いた放射空調システム1の実施例について説明する。
図4は、本発明の第一実施形態における放射空調システムの実施例を示す図である。
図示するように放射空調システム1は、複数の放射パネルモジュール10A、10B、・・・、10N、10A、10B、・・・、10N、10A、10B、・・・、10Nを備えている。空調機2と放射パネルモジュール10A、10A、10Aとは、配管8P,8P等を介して接続されている。また、放射パネルモジュール10同士も配管8によって接続されている。例えば、放射パネルモジュール10A、10Bは配管8Bを介して接続されている。また、空調機2に近い位置を上流、遠い位置を下流とすると、最下流の放射パネルモジュール10N1,10N2,10Nはそれぞれ吹き出し口4A、4B、4Cに接続されている。また、制御装置30は、空調機2および各開閉制御部13A等と通信可能に接続されており、制御装置30は、各開閉制御部13A等を制御する。なお、放射パネルモジュール10Aが備えるダンパー11をダンパー11Aと記載する。他の構成についても同様である。
【0028】
図4に例示するように、オフィス等の天井に吸入口3と複数の吹き出し口4A、4B、4Cとを離れた位置に設け、その間に複数の放射パネルモジュール10を並べて配置することができる。このような構成の場合、吸入口3と吹き出し口4A等とが、例えば、空調対象の部屋の両端に近い位置に設けられていれば、対流空調において部屋全体を偏りなく空調することができる。また、モジュール化された放射パネルモジュール10は、結合部材である配管8を介して接続することで直列に、あるいは並列に配置することができる。この性質により、放射パネルモジュール10を並べて、天井全体に配置することができる。これにより、放射空調においても部屋全体を空調することができる。
【0029】
また、例えば、空調機2が放射空調による冷房運転中に、放射パネルモジュール10Bの下の席のユーザが寒さを感じたとする。その場合、そのユーザは、開閉制御部13Bに指示情報を入力することによりダンパー11Bを開状態に制御することができる。すると、放射パネルモジュール10Bにおいては、熱媒体は、バイパス流路18Bを通過し、放射パネル19Bには熱媒体の冷気が伝達されにくくなる。すると、放射パネル19Bの温度が上昇し、ユーザは寒気を感じなくなる。
【0030】
また、一般に同じ冷房温度に設定した場合、「対流空調」よりも「放射空調」の方が、ユーザは、体感的に涼しさを感じやすい。この性質を利用すると、例えば、放射パネルモジュール10Bの下の席のユーザだけが特別に暑さを感じている場合、空調機2の設定温度をそれほど下げずに冷房運転を行う。そして、放射パネルモジュール10B以外の放射パネルモジュール10A等についてはダンパー11A等を、それぞれ開状態に制御し、放射パネルモジュール10Bのダンパー11Bだけを閉状態に制御する。すると、放射パネルモジュール10Bの下だけは「放射空調」により、涼しさを感じやすくなり、他の場所については、さほど低くない設定温度による「対流空調」が行われることになるため、他のユーザにとっても快適な温度に空調することができる。
このように熱媒体の流路を備えたモジュールとして構成され、熱媒体の流路をバイパス流路18と熱交換流路17とで切り替えられる本実施形態の放射パネルモジュール10によれば、放射パネル19の下だけを局所的に空調する個別空調が可能になる。
【0031】
なお、ダンパー11の切り替えは、完全な開状態と閉状態との間で切り替える制御に限定されない。例えば、ステッピングモータを用いて、開状態と閉状態との間を多段階に切り替えられるように制御してもよい。これにより、熱交換流路17に流入する熱媒体の流量とバイパス流路18に流入する熱媒体の流量とを調整し、より細やかな温度制御を行うことができる。例えば、上記の例で、放射パネルモジュール10Bの下にいるユーザの感じる寒さがそれほどでもない場合、ダンパー11B2の位置を開状態と閉状態の中間の位置に制御する。すると、閉制御した場合よりは少ない量の熱媒体が熱交換流路17側へ流入するため、放射パネル19Bの温度がやや上昇し、ユーザが感じる寒さが和らげることができる。
【0032】
次にダンパー11の切替制御の流れの一例について図4の構成を例に、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第一実施形態における放射空調システムの処理の一例を示すフローチャートである。
前提として、ユーザが冷房運転を開始したとする。まず、制御装置30は、空間100の空気の状態量を計測する(ステップS11)。例えば、制御装置30は、空調機2が備える温度センサや湿度センサによる計測値を取得してもよい。そして、制御装置30は、空間100の空気が結露する条件か否かを判定する(ステップS12)。例えば、制御装置30は、空調機2から、設定温度(ユーザが指定する温度、例えば20℃〜25℃)と吸入口3から吸入した空気の湿度情報とを取得し、設定温度別に予め設定された結露が生じない湿度の閾値と比較する。そして、現在の湿度が閾値以下であれば、制御装置30は、結露すると判定する。また、現在の湿度が閾値を超えていれば、制御装置30は、結露しないと判定する。結露すると判定した場合(ステップS12;Yes)、制御装置30は、空間100の水蒸気を減少させるために対流空調を行うことを決定する。すると、制御装置30は、熱媒体の流路をバイパス流路18へと切り替える(ステップS13)。例えば、制御装置30は、開閉制御部13Aにダンパー11Aを開状態に制御するよう指示信号を送信する。制御装置30は、他の開閉制御部13A等にも同様の指示信号を送信する。開閉制御部13Aは、ダンパー11Aを開状態に制御する。他の開閉制御部13A等も同様の制御を行う。流路をバイパス流路18へと切り替えると、再びステップS11からの処理を繰り返す。
【0033】
一方、結露しないと判定した場合(ステップS12;No)、制御装置30は、熱媒体の流路を熱交換流路17へと切り替える(ステップS14)。例えば、制御装置30は、開閉制御部13Aにダンパー11Aを閉状態に制御するよう指示信号を送信する。制御装置30は、他の開閉制御部13A等にも同様の指示信号を送信する。開閉制御部13Aは、ダンパー11Aを閉状態に制御する。他の開閉制御部13A等も同様の制御を行う。冷房時のダンパーの切り替えは、空気の状態量を計測せずに、運転開始から一定時間後に実施する方式も考えられる。
【0034】
次に制御装置30は、冷房運転を停止するかどうかを判定する(ステップS15)。例えばユーザからの停止指示の入力があった場合、制御装置30は冷房運転を停止すると判定する。冷房運転を停止すると判定した場合(ステップS15;Yes)、制御装置30は空調機2の運転を静止する。冷房運転を継続すると判定した場合(ステップS15;No)、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0035】
従来は、ダクト内に水(冷水、温水)等の熱媒体を供給し、その熱により間接的に冷却または加熱された放射パネルによって放射空調を行うことが多い。このような方法では、冷房時の結露対策用の除湿システムが必要になるので、高コストとなりがちである。これに対し、本実施形態の放射パネルモジュール10であれば、除湿運転と放射空調をダンパーで切り替える手段を持つため、1台の空調機で対応できるので、低コスト化が実現できる。また、本実施形態によれば、暖房、冷房を問わず、放射面がある事により、室内温度に近い空気を送り出すことで、省エネルギーで効率のよい放射空調を行うことができる。具体的には、冷房であれば、より高い設定温度のままで空調機2を運転すればよく、また、暖房の場合、より低い設定温度のまま空調機2を運転しても、空間100を所望の温度に空調することができる。これにより、空調の低コスト化、省エネルギー化を実現できる。
【0036】
また、室内の温度や湿度に応じて、ダンパー11を切り替えることによって、放射パネル19への結露を防ぎつつ、快適な放射空調を実現することができる。
【0037】
また、放射パネルモジュール10はモジュール化されており、熱媒体の出入口が設けられているので、配管8等の結合用部材を用いて連結することで、部屋の広さや形状に合わせて自由に放射パネル19を配置し、所望の範囲を空調対象空間とすることができる。
例えば、部屋全体に配置するのではなく、特定の位置にのみ放射パネルモジュール10を配置し、一部の空間だけを空調対象とすることも可能である。
【0038】
また、既設の空調機、吸入口、吹き出し口をそのまま利用して、空調対象範囲の天井ボードを放射パネルモジュール10に置き換えるだけで、本実施形態の放射空調システム1を導入することができので、導入コストを低減し、かつ建屋への影響を少なくすることができる。
【0039】
なお、上記の実施例では冷房を例に説明したが、暖房運転の場合にも同様の効果を得ることができる。また、暖房の場合、床面に放射パネル19を配置するとより効果的である。また、上記のように熱媒体を空気とすることで、水漏れなどの対策を行うことなく、より低コストで放射パネルモジュール10を製造することができ、また水漏れの心配なく使用することができるが、熱媒体に制限は無く、水を用いても構わない。
【0040】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による放射空調システムについて図6図7を参照して説明する。
第一実施形態の放射パネルモジュール10は、ダンパー11を備えている。第二実施形態の放射パネルモジュール10´は、モジュールの内部にダンパー11とバイパス流路18を備えない構成となっている点で第一実施形態とは異なる。
図6は、本発明の第二実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
図6に示すとおり、放射パネルモジュール10´は、流路形成部材12A´,12B´,12C´,12D´,12E´と、入口部15´と、出口部16´と、底面に配置された放射パネル19´とを備えている。入口部15´から流入した熱媒体は、実線矢印が示す方向に熱交換流路17A´を通過して17G´へと導かれ、17B´,17C´,17D´,17E´,17F´へと流れ込む。熱交換流路17B´〜17F´を通過した熱媒体は、熱交換流路17H´を通過し、出口部16´から送り出される。
【0041】
ここで、流路形成部材12A´,12B´,12C´,12D´,12E´によって形成される熱交換流路17B´,17C´,17D´,17E´,17F´の幅は、熱交換流路17A´,17G´よりも狭く形成されていてもよい。
【0042】
図7は、本発明の第二実施形態における放射空調システムの実施例を示す図である。
図7に放射パネルモジュール10´を複数用いた放射空調システム1´の実施例を示す。図示するように放射空調システム1´は、複数の放射パネルモジュール10A´、10B´、・・・、10N´、10A´、10B´、・・・、10N´、10A´、10B´、・・・、10N´を備えている。空調機2と放射パネルモジュール10A´、10A´、10A´とは、配管8P´等を介して接続されている。また、例えば、放射パネルモジュール10A´、10B´は配管8B´を介して接続されている。また、最下流の放射パネルモジュール10N´10N´10N´はそれぞれ吹き出し口4A、4B、4Cに接続されている。
【0043】
これらの構成に加え、本実施形態では、第一実施形態のバイパス流路18に相当するバイパス流路18´が設けられ、その一方の端は空調機2に、他方の端は吹き出し口4A、4B、4Cに接続されている。バイパス流路18´は、例えばダクトである。バイパス流路18´には、その断面積が放射パネルモジュール10´を通過する熱媒体の流路の断面積よりも大きいものを用いる。また、放射パネルモジュール10´側へ連結される配管8P´とバイパス流路18´との分岐点には、ダンパー11´が設けられている。ダンパー11´の開閉動作は制御装置30によって制御される。制御装置30は、空調機2およびダンパー11´を制御する。
【0044】
本実施形態の放射空調システム1´の動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。まず、ユーザが冷房運転を開始したとする。まず、制御装置30は、空間100の空気の状態量を計測する(ステップS11)。そして、制御装置30は、空間100の空気が結露する可能性が高い条件かどうかを判定する(ステップS12)。結露する可能性が高い場合、制御装置30は、空間100の水蒸気を減少させるために熱媒体の流路をバイパス流路18´へと切り替える(ステップS13)。具体的には、制御装置30は、ダンパー11´を開状態(実線の位置)に制御し、熱媒体(冷気)をバイパス流路18´へと導く。すると、本実施形態の場合、放射パネル19´へは熱媒体が供給されない。この場合、放射空調ではなく、対流空調による冷房が行われる。その後もステップS11以降の処理を繰り返す。一方、空間100の空気が結露する可能性が低い条件の場合、制御装置30は、熱媒体の流路を閉状態(破線の位置)へと切り替える(ステップS14)。すると、熱媒体が放射パネルモジュール10´側へ流れ、各放射パネルモジュール10´へと供給される。すると、放射パネル19´が冷却されて、放射空調による冷房運転が実行される。次に制御装置30は、冷房運転を停止するかどうかを判定する(ステップS15)。冷房運転を停止しない場合(ステップS15;No)、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0045】
本実施形態の放射空調システム1´によれば、第一実施形態と同様の効果に加え、第一実施形態の放射パネルモジュール10からダンパー11と開閉制御部13とを取り除く構成とすることで、より低コストにシステムを導入することができる。
【0046】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による放射空調システムについて図8を参照して説明する。
図8は、本発明の第三実施形態における放射パネルモジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
第一実施形態の放射パネルモジュール10では、流路形成部材12を用いてパラレルフロー型の熱交換器の構造を形成した熱交換流路17を例示した。他の例として第三実施形態では、サーペンタイン型の熱交換器の構造を備えた放射パネルモジュール10´´を例示する。
図8が示すとおり、放射パネルモジュール10´´は、ダンパー11´´と、流路形成部材12A´´,12B´´,12C´´,12D´´,12E´´と、開閉制御部13´´と、入口部15´´と、出口部16´´と、底面に配置された放射パネル19´´とを備えている。開閉制御部13´´はダンパー11´´の開閉動作を制御する。ダンパー11´´が開状態(実線で示す位置)にあるとき、入口部15´´から流入した熱媒体は、バイパス流路18´´を通過し、出口部16´´から送り出される。一方、ダンパー11´´が閉状態(破線で示す位置)にあるとき、入口部15´´から流入した熱媒体は、実線矢印が示す方向に熱交換流路17´´を通過し、出口部16´´から送り出される。熱交換流路17´´の幅は、バイパス流路18´´よりも狭く、また図3で例示したものと同様にバイパス流路18´´の高さは、熱交換流路17´´が形成されている領域の高さよりも高く形成されていてもよい。熱交換流路17´´を通過する熱媒体の流速は、バイパス流路18´´を通過する熱媒体の流速よりも速く、放射パネル19´´に多くの熱を伝達することができる。なお、流路形成部材12A´´には熱伝導率の高い材質を用い、バイパス流路18´´の壁面などには熱伝導率の低い材質を用いることが好ましい。
【0047】
本実施形態の放射パネルモジュール10´´によれば、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第二実施形態の放射パネルモジュール10´に本実施形態の熱交換流路17´´の構造を適用してもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、1´・・・放射空調システム
2・・・空調機
3・・・吸込口
4・・・吹き出し口
8・・・配管
9・・・天井
10、10´、10´´・・・放射パネルモジュール
11、11´、11´´・・・ダンパー
12、12´、12´´・・・流路形成部材
13、13´、13´´・・・開閉制御部
14・・・断熱材
15、15´、15´´・・・入口部
16、16´、16´´・・・出口部
17、17´、17´´・・・熱交換流路
18、18´、18´´・・・バイパス流路
19、19´、19´´・・・放射パネル
100・・・空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8