【実施例】
【0031】
以下に、実施例、比較例、参考例などによって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の例中、エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度は、次のようにして測定した。
【0032】
(1)エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度の測定法:
以下の実施例または比較例で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の製造直後の粘度およびそれを温度70℃で7日間保存したときの粘度を、JIS K7117−2に準じて、測定試料の温度制御が可能な恒温水槽を付属した円錐−平板型回転粘度計(コーン・プレート型粘度計)を使用して測定し[粘度測定時のエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の温度は25℃]、3回測定してその平均値を採って粘度とした。
【0033】
《実施例1》
(1) 反応容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製「jER YL980」、エポキシ当量=186)100質量部、アクリル酸19.4質量部(ビスフェノールA型エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してアクリル酸0.5当量)およびp−メトキシフェノール(重合禁止剤)0.1質量部を仕込んで90℃に加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.1質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
1)という](生成量119.4質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
1)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、500,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
1)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、500,000mPa・sのままであり(測定温度25℃)、粘度の上昇がなかった。
【0034】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の添加量を0.2質量部に変えた以外は、実施例1の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
2)という](生成量119.4質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
2)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、300,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
2)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、300,000mPa・sのままであり(測定温度25℃)、粘度の上昇がなかった。
【0035】
《実施例3》
(1) 実施例1の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の添加量を0.3質量部に変えた以外は、実施例1の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
3)という](生成量119.4質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
3)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、220,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
3)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、220,000mPa・sのままであり(測定温度25℃)、粘度の上昇がなかった。
【0036】
《実施例4》
(1) 実施例1の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の添加量を0.5質量部に変えた以外は、実施例1の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
4)という](生成量119.4質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
4)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、170,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−a
4)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、170,000mPa・sのままであり(測定温度25℃)、粘度の上昇がなかった。
【0037】
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.1質量部の代わりに、トリフェニルホスフィン0.1質量部を用い、それ以外は実施例1の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(A−b)という](生成量119.4質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−b)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、170,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(A−b)を、温度70℃で7日間保存しようとしたところ、3日目にゲル化し、粘度を測定することができなかった。
【0038】
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)で得られた粘度170,000mPa・sのエポキシ基含有アクリレート化合物(A−b)の119.4質量部に、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)の0.1質量部を添加して、温度70℃で7日間保存しようとしたところ、3日目にゲル化し、粘度を測定することができなかった。
【0039】
《参考例1》
(1) 実施例1の(1)で得られた粘度170,000mPa・sのエポキシ基含有アクリレート化合物(A−b)の119.4質量部に、ヒドロキシエチリデンジホスホニックアシッド(別称:1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸)の0.1質量部を添加して、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、255,000mPa・sであり(測定温度25℃)、ゲル化は生じなかったが粘度が上昇した。
上記した実施例1〜4、比較例1〜2および参考例1の結果を、以下の表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
上記の表1の結果にみるように、実施例1〜4では、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)を触媒として用いて、ポリエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のエポキシ基の一部にアクリル酸を反応させてエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−a
1)〜(A−a
4)を製造したことによって、実施例1〜4で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−a
1)〜(A−a
4)は、70℃という高温で7日間保存したときに、粘度が変化しておらず、保存安定性に極めて優れている。
【0042】
それに対して、比較例1では、トリフェニルホスフィンを触媒として用いて、ポリエポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)のエポキシ基の一部にアクリル酸を反応させてエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−b)を製造したことにより、比較例1で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−b)は、70℃で保存したときに、3日目にゲル化し、保存安定性に劣っている。
比較例2では、トリフェニルホスフィンを触媒として用いて製造したエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−b)に、その製造後にペンタエリスリトールテトラキス(3−ラルリルチオプロピオネート)を添加したことにより、エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−b)を70℃で保存したときに、3日目にゲル化し、保存安定性に劣っている。
参考例1では、トリフェニルホスフィンを触媒として用いて製造したエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(A−b)に、その製造後に、ヒドロキシエチリデンジホスホニックアシッドを安定剤として添加したことにより、70℃で7日間保存したときに、ゲル化は生じないものの、粘度が初期の170,000mPa・sから7日目に255,000mPa・sまで上昇している。
【0043】
《実施例5》
(1) 反応容器に、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製「SR−TMP」、エポキシ当量=140)100質量部、アクリル酸26.5質量部(エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してアクリル酸0.52当量)およびp−メトキシフェノール(重合禁止剤)0.1質量部を仕込んで90℃に加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したトリメチロールプロパン型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(B−a)という](生成量126.5質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(B−a)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、3,300mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(B−a)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、13,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
【0044】
《比較例3》
(1) 実施例5の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部の代わりに、トリフェニルホスフィン0.1質量部を用い、それ以外は実施例5の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したトリメチロールプロパン型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(B−b)という](生成量126.5質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(B−b)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、3,300mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(B−b)を、温度70℃で7日間保存しようとしたところ、3日目にゲル化し、粘度を測定することができなかった。
【0045】
《実施例6》
(1) 反応容器に、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製「SR−16H」、エポキシ当量=160)100質量部、アクリル酸22.9質量部(エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してアクリル酸0.51当量)およびp−メトキシフェノール(重合禁止剤)0.1質量部を仕込んで90℃に加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化した1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(C−a)という](生成量122.9質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(C−a)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ180mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(C−a)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、560mPa・sであった(測定温度25℃)。
【0046】
《比較例4》
(1) 実施例6の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部の代わりに、トリフェニルホスフィン0.1質量部を用い、それ以外は実施例6の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化した1、6−ヘキサンジオール型エポキシ化合物[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(C−b)という](生成量122.9質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(C−b)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ180mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(C−b)を、温度70℃で7日間保存しようとしたところ、3日目にゲル化し、粘度を測定することができなかった。
【0047】
《実施例7》
(1) 反応容器に、グリセリン型エポキシ樹脂(阪本薬品工業株式会社製「SR−GLG」、エポキシ当量=143)100質量部、アクリル酸25.5質量部(エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してアクリル酸0.51当量)およびp−メトキシフェノール(重合禁止剤)0.1質量部を仕込んで90℃に加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したグリセリン型エポキシ樹脂[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(D−a)という](生成量125.5質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(D−a)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、2,500mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(D−a)を、温度70℃で7日間保存し、当該7日間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、10,000mPa・sであった(測定温度25℃)。
【0048】
《比較例5》
(1) 実施例7の(1)において、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)0.5質量部の代わりに、トリフェニルホスフィン0.1質量部を用い、それ以外は実施例7の(1)と同様にしてエポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したグリセリン型エポキシ化合物[以下「エポキシ基含有アクリレート化合物(D−b)という](生成量125.5質量部)を製造した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(D−b)の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、2,500mPa・sであった(測定温度25℃)。
(3) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物(D−b)を、温度70℃で7日間保存しようとしたところ、3日目にゲル化し、粘度を測定することができなかった。
上記した実施例5〜7および比較例3〜5の結果を、以下の表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
上記の表2の結果にみるように、実施例5、6および7では、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)を触媒として用いて、ポリエポキシ化合物(トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂またはグリセリン型エポキシ樹脂)のエポキシ基の一部にアクリル酸を反応させてエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(B−a)、(C−a)または(D−a)を製造したことによって、実施例5、6および7で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(B−a)、(C−a)および(D−a)は、いずれも70℃という高温で7日間保存してもゲル化せず、実際の使用に問題のない粘度を保っている。
【0051】
それに対して、比較例3、4および5では、フェニルホスフィンを触媒として用いて、ポリエポキシ化合物(トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂またはグリセリン型エポキシ樹脂)のエポキシ基の一部にアクリル酸を反応させてエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(B−b)、(C−b)または(D−b)を製造したことにより、比較例3、4および5で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(B−b)、(C−b)および(D−b)は、70℃で保存したときに、いずれも3日目にゲル化してしまっており、保存安定性に劣っていることがわかる。