(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内輪と、外輪と、前記内輪の外周面に形成された内輪軌道及び前記外輪の内周面に形成された外輪軌道の間に転動自在に配置された複数の円すいころと、前記内輪の軸方向外端部に形成されて前記円すいころの軸方向端面が当接する段差部とを備えた軸受ユニットを、ハブ本体の軸方向端部に設けたハブ円筒部に前記内輪を外嵌させて組み立てる車輪用ハブユニットの組立装置であって、
前記軸受ユニットが前記ハブ円筒部に対して同軸、且つ当該ハブ円筒部に向けて移動自在となるように前記軸受ユニットをセットする軸受セット部と、
前記軸受セット部にセットされた前記軸受ユニットに対して軸回りの回転力を伝達する回転駆動源と、
軸回りの回転力が伝達されている前記軸受ユニットの前記内輪を前記ハブ円筒部に外嵌する内輪圧入部と、を備え、
前記軸受セット部は、
前記軸受ユニットの外輪を外周から保持する環状の保持部と、
前記ハブ本体の周囲に同軸に配置され、前記回転駆動源から回転力が伝達される環状の従動部材と、
この従動部材と前記保持部との間に連結され、前記従動部材に伝達された回転力を前記保持部に伝達する回転力伝達部と、を備え、
前記回転力伝達部は、前記従動部材に固定されて前記保持部に向けて延在している複数の回転伝達軸を備え、
前記保持部は、ヒンジ部を回動中心として開閉し、前記軸受ユニットの前記外輪を保持する2つに分割された分割保持部材で構成し、
前記複数の回転伝達軸の一つに、当該回転伝達軸の軸直方向に前記2つの分割保持部材が回動するように前記ヒンジ部を連結し、前記ヒンジ部を回動中心として前記2つの分割保持部材が開閉動作を行うようにした車輪用ハブユニットの組立装置。
内輪と、外輪と、前記内輪の外周面に形成された内輪軌道及び前記外輪の内周面に形成された外輪軌道の間に転動自在に配置された複数の円すいころと、前記内輪の軸方向外端部に形成されて前記円すいころの軸方向端面が当接する段差部とを備えた軸受ユニットを、ハブ本体の軸方向端部に設けたハブ円筒部に前記内輪を外嵌させて組み立てる車輪用ハブユニットの組立装置であって、
前記軸受ユニットが前記ハブ円筒部に対して同軸、且つ当該ハブ円筒部に向けて移動自在となるように前記軸受ユニットをセットする軸受セット部と、
前記軸受セット部にセットされた前記軸受ユニットに対して軸回りの回転力を伝達する回転駆動源と、
軸回りの回転力が伝達されている前記軸受ユニットの前記内輪を前記ハブ円筒部に外嵌する内輪圧入部と、を備え、
前記軸受セット部は、
前記軸受ユニットの外輪を外周から保持する環状の保持部と、
前記ハブ本体の周囲に同軸に配置され、前記回転駆動源から回転力が伝達される環状の従動部材と、
この従動部材と前記保持部との間に連結され、前記従動部材に伝達された回転力を前記保持部に伝達する回転力伝達部と、を備え、
前記回転力伝達部は、前記従動部材に揺動自在に連結されて前記保持部に向けて延在している複数の回転伝達軸を備え、
前記保持部は、前記複数の回転伝達軸に固定され、前記軸受ユニットの前記外輪を保持する前記回転伝達軸と同数に分割された複数の分割保持部材で構成し、
前記複数の回転伝達軸の全てに係合する軸揺動部材が開動作を行うことで、前記複数の回転伝達軸が前記従動部材の径方向外方に傾いて前記複数の分割保持部材が互いに離間し、前記軸揺動部材が閉動作を行うことで、前記複数の回転伝達軸の傾きが矯正され、前記複数の分割保持部材により前記軸受ユニットの前記外輪を保持するようにした車輪用ハブユニットの組立装置。
前記複数の回転伝達軸の外周に、前記保持部を前記ハブ円筒部に向けて移動自在に支持するコイルバネを配置している請求項1又は2記載の車輪用ハブユニットの組立装置。
前記軸受ユニットの前記内輪は、外周面に1列分の内輪軌道を有する2個の前記内輪の内周面に円筒状の連結部材を嵌合させたものであり、前記内輪圧入部には前記連結部材を収納する凹部を設けており、前記軸受ユニットを前記ハブ円筒部に圧入する際に前記ハブ円筒部が前記連結部材を押し出して前記内輪圧入部の前記凹部に収納される請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の車輪用ハブユニットの組立装置。
【背景技術】
【0002】
図19は、自動車などの車輪を懸架装置に回転自在に支持する車輪用ハブユニットを示すものである。
この車輪用ハブユニットは、ハブ本体1と、このハブ本体1に組み込まれた円すいころ軸受ユニットBUとを備えている。
ハブ本体1は、中空円筒部1aの内周面に、駆動軸(不図示)の端部がスプライン係合するスプライン1bが形成され、ストレート形状(上端から下端まで同一外径形状)の中空円筒部1aの下部側に車輪(不図示)を支持するためのフランジ1cが形成され、フランジ1cには複数の貫通ねじ孔1dが形成され、フランジ1cの下部に外筒部1eが形成されている。
【0003】
ハブ本体1の中空円筒部1aに軸方向に離間して内輪2,3が外嵌され、内輪2,3の間の位置の中空円筒部1aに間座4が外嵌され、内輪2,3の外側に外輪5が配置され、内輪2,3の外周面と外輪5の内周面との間に複数個の円すいころ6a、6bが転動自在に配置されている。
内輪2は、その外周面に複数個の円すいころ6aが転動する内輪軌道2aが形成されており、内輪2の軸方向外端部に、円すいころ6aの軸方向端面が当接するようにした段差部2bが形成されている。また、内輪3も、その外周面に複数個の円すいころ6bが転動する内輪軌道3aが形成されているとともに、内輪3の軸方向外端部に、円すいころ6bの軸方向端面が当接するようにした段差部3bが形成されている。
【0004】
外輪5は、懸架装置(不図示)に支持固定される支持固定部5cが外周側に突出して設けられているとともに、その内周面に、内輪軌道2aに対面して複数個の円すいころ6aが転動する外輪軌道5aと、内輪軌道3aに対面して複数個の円すいころ6bが転動する外輪軌道5bとが形成されている。
これにより、円すいころ軸受ユニットBUは、内輪2の内輪軌道2a、外輪5の外輪軌道5a及び複数個の円すいころ6aからなる第一列の円すいころ軸受8と、内輪3の内輪軌道3a、外輪5の外輪軌道5b及び複数個の円すいころ6aからなる第二列の円すいころ軸受9とで構成されている。
そして、ハブ本体1の中空円筒部1aの上端部の径方向外方への塑性変形によりかしめ部7を形成すると、中空円筒部1aに外嵌された円すいころ軸受ユニットBUの内輪2,3がフランジ1c側に押し付けられ、第一列及び第二列の円すいころ軸受8,9がハブ本体1の中空円筒部1aに組立てられる。
【0005】
図20(a)は、第二列の円すいころ軸受9の円すいころ6bが、その軸方向の端面が段差部3bに当接せずに配列されている状態を示し、
図20(b)は、円すいころ6bが、その軸方向の端面が段差部3bに当接して配列されている状態を示す(以下、正規位置に配列と称する)。
第二列の円すいころ軸受9の円すいころ6bを、
図20(a)で示したように軸方向の端面が段差部3bに当接しない状態に配列して組立てると、かしめ部7を形成した際に、第二列の円すいころ軸受9に付与された予圧が低下し、予圧が抜けてしまうとともに、かしめ部7を形成したときに円すいころ6bに軸方向移動やスキューが発生してしまう。
したがって、従来のハブ本体1に組み込まれた円すいころ軸受ユニットBUは、内輪3の内輪軌道3aや外輪5の外輪軌道5bに傷が発生するおそれがある。また、第一列の円すいころ軸受8も同様に、
図20(a)で示した位置で円すいころ6aを配列すると上述した問題が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本出願人が先に出願した特許文献1は、円すいころ軸受ユニットの内輪をハブ本体の円筒部(特許文献1では段部と記載されている)に外嵌する際に、外輪を回転させることが記載されている(特許文献1の明細書段落番号0019,0020)。
この特許文献1で記載されているように、内輪を歯部本体の円筒部に外嵌する際に外輪を回転させることで円すいころに調心作用が働き、
図20(b)に示す正規位置に円すいころが配列された円すいころ軸受ユニットがハブ本体に組み込まれるので、予圧抜け、円すいころの軸方向移動、スキューを防止した車輪用ハブユニットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、
図15で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1から
図5は、本発明に係る第1実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を示すものである。
本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、
図1に示すように、中空円筒部1aが上方に延在した状態でハブ本体1を載置するハブ本体載置部10と、円すいころ軸受ユニットBU(以下、軸受ユニットBUと略称する)を中空円筒部1aの上方位置で下降自在にセットする軸受セット部12と、軸受セット部12にセットされた軸受ユニットBUの外輪5に回転力を伝達する回転駆動源13と、軸受セット部12にセットされた軸受ユニットBUを下降していき、内輪2、3を中空円筒部1aに外嵌していく内輪圧入部14と、を備えている。
【0019】
軸受ユニットBUは、合成樹脂からなる円筒形状の連結部材15に、内輪2の内輪軌道2a、外輪5の外輪軌道5a及び複数個の円すいころ6aからなる第一列の円すいころ軸受8と、内輪3の内輪軌道3a、外輪5の外輪軌道5b及び複数個の円すいころ6aからなる第二列の円すいころ軸受9とが一体化されている。連結部材15の外径は内輪2及び内輪3の内径よりわずかに大きく設定されているので、内輪2及び内輪3の内径面を摩擦力によって把持し、内輪2及び内輪3が搬送中に脱落するのを防止している。また、圧入作業において第1列及び第2列の円すいころ軸受8,9をハブ本体1に別々に圧入する必要がなく、圧入作業のサイクルタイムを短縮することができる。外輪5の懸架装置(不図示)に支持固定される支持固定部5cの外周には、
図3で示すように、軸受ユニットBUを軸方向から見た際に、軸対象位置で径方向内方に凹んだ一対の凹部5c1,5c2が形成されている。
【0020】
装置基台16上に、平坦な上面を備えたブロック形状のハブ本体載置部10と、ハブ本体載置部10の外周を囲むリング形状の軸受台18とが固定されている。
ハブ本体載置部10の上面の所定円周上に複数のねじ用凹部10aが形成され、これらねじ用凹部10aの内側に外筒部用凹部10bが形成されている。
複数のねじ用凹部10aには、ハブ本体1のフランジ1cに形成した複数の貫通ねじ孔1dにねじ込まれた固定ねじ17が入り込み、外筒部用凹部10bには、ハブ本体1の外筒部1eが入り込むことで、ハブ本体1は、フランジ1cがハブ本体載置部10上に当接し、中空円筒部1aが上方に延在した状態で載置される。
【0021】
軸受セット部12は、
図1及び
図2に示すように、軸受台18の上部に玉軸受19及びギア受け部材20を介して配置され、上下方向の回転軸回りに回転自在とされているリング形状の従動ギア21と、従動ギア21の上面から垂直に立ち上がって固定されている第1及び第2の回転伝達軸22,23と、これら第1及び第2の回転伝達軸22,23の外周に配置した支持用コイルバネ24,25と、これら第1及び第2の回転伝達軸22,23及び支持用コイルバネ24,25に支持され、ハブ本体1の中空円筒部1aの上方位置で中空円筒部1aに対して同軸となるように軸受ユニットBUを保持する保持部26と、を備えている。
【0022】
保持部26は、
図3及び
図4に示すように、一対の半円状部材27,28を備えている。
これら一対の半円状部材27,28は、円弧部及び弦部が交わる一端側に形成され第1の回転伝達軸22回りに回動するヒンジ部27a,28bと、これらヒンジ部27a,28b側から外方に突出して形成されたレバー係合部27b,28bと、これら一対の半円状部材27,28の円弧部及び弦部が交わる他端側に突出して形成されたバネ係止部27c,28cと、一対の半円状部材27,28の弦部に形成した径方向内方に突出する円弧形状の外輪保持面27d,28dと、一対の半円状部材27,28の他端側の弦部に形成された半円弧形状の回転伝達軸係合面27e,28eと、バネ係止部27c,28cの間に両端が係止されている外輪保持用コイルバネ29と、を備えている。
また、保持部26のレバー係合部27b,28bの近くには、開動作レバー30a,30bを備えた開閉装置30が配置されている。
保持部26の一対の半円状部材27,28は、一対のヒンジ部27a,28bを回動中心として水平方向に開閉動作(
図3の開動作、
図4の閉動作)を行う。
【0023】
図4で示す一対の半円状部材27,28の閉動作では、外輪保持用コイルバネ29がバネ係止部27c,28cを近接させる方向に引張り力を作用することで、半円状部材27,28の外輪保持面27d,28dが外輪5の凹部5c1,5c2に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する。
図3に示すように、レバー係合部27b,28bに係合した開閉装置30の開動作レバー30a,30bを互いに近接する方向に駆動すると、外輪保持用コイルバネ29の引張り力に抗しながら一対の半円状部材27,28が開動作を行い、外輪保持面27d,28dが外輪5の外周面から離れる。
【0024】
回転駆動源13は、
図1及び
図2に示すように、装置基台16上に設置したギア支持部31に回転自在に支持され、軸受セット部12の従動ギア21に噛合している中間ギア32と、ギア支持部31に支持された回転モータ33と、中間ギア32に噛合している回転モータ33の駆動ギア34と、を備えている。
さらに、内輪圧入部14は、
図1に示すように、昇降手段35の下部に設けられており、昇降手段35が下降すると軸受ユニットBUの内輪3の上端面に当接し、内輪2、3がハブ本体1の中空円筒部1aに外嵌されるようになっている。また、内輪圧入部14には、連結部材15が入り込むことが可能な収納凹部36が下方に開口して形成されている。
【0025】
次に、本発明に係る第1実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を用いて軸受ユニットBUをハブ本体1に組み立てる手順について説明する。
先ず、レバー係合部27b,28bに係合する開閉装置30の開動作レバー30a,30bを互いが近接する方向に駆動することで、保持部26の一対の半円状部材27,28の開動作を行う。
【0026】
次いで、ハブ本体1のフランジ1cから下方に突出した固定ねじ17をハブ本体載置部10のねじ用凹部10aに挿入し、ハブ本体1の外筒部1eをハブ本体載置部10の外筒部用凹部10bに挿入することで、ハブ本体載置部10上に、中空円筒部1aが上方を向くようにハブ本体1を載置する。
次いで、開閉装置30の開動作レバー30a,30bによる保持部26のレバー係合部27b,28bの係合を解除し、外輪保持用コイルバネ29が引張り力を作用することで一対の半円状部材27,28を閉状態とする。
【0027】
次いで、保持部26の一対の半円状部材27,28の内部に、軸を上下方向に向けた軸受ユニットBUを配置することで、半円状部材27,28の外輪保持面27d,28dが外輪5の凹部5c1,5c2に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する(
図1及び
図4参照)。
次いで、昇降手段35の下降動作により内輪圧入部14を中空円筒部1aに向けて下降させていくと、軸受ユニットBUが内輪圧入部14によって下方に押圧され、軸受ユニットBUを保持している保持部26は、支持用コイルバネ24,25が徐々に圧縮されていきながら第1及び第2の回転伝達軸23,23に沿って下降していく。そして、軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触すると同時に、回転駆動源13の回転モータ33を駆動する。
【0028】
そして、内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触して回転モータ33が駆動すると、駆動ギア34の回転が、中間ギア32を介して軸受セット部12の従動ギア21に伝達され、従動ギア21の回転が、第1及び第2の回転伝達軸22,23を介して保持部26に伝達される。そして、保持部26に保持されている軸受ユニットBUも回転する。
なお、軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触したことを検知する手段は、予め設定した軸受セット部12の保持部26(一対の半円状部材27,28)の下降量に基づく。
【0029】
回転する保持部26によって軸受ユニットBUの外輪5は回転するが、内輪2は静止している中空円筒部1aの上端面に接触し、押し付けられているので回転しない。また、連結部材15によって内輪2と接続されている内輪3も同様に回転しない。
このように、内輪2,3が回転しない状態で外輪5を相対回転させることによって円すいころ6a,6bが転動し、円すいころ6a,6bに調心作用が働くため、
図20(b)で示したように正規位置に円すいころ6a,6bが配列される。この状態で昇降手段35が下降することで、内輪圧入部14が内輪2,3を介して軸受ユニットBU及び軸受セット部12を押し下げていく。
【0030】
軸受セット部12の保持部26は、支持用コイルバネ24,25が徐々に圧縮されていきながら第1及び第2の回転伝達軸22,23に沿って下降していく。この過程で軸受ユニットBUの2個の内輪2,3に内嵌されていた連結部材15は、中空円筒部1aの上端に押されて内輪圧入部14の収納凹部36に入り込んでいき、内輪2,3が中空円筒部1aに圧入される。そして、内輪2の下端が中空円筒部1aの基部に当接した時点で、ハブ本体1への軸受ユニットBUの組立が完了する。
組み立てが完了した車輪用ハブユニットを車輪用ハブユニットの組立装置から取り外すため、先ず、軸受セット部12の保持部26を回転させ、そのレバー係止部27b,28bが、開閉装置30の開動作レバー30a,30bの下方位置となるようにする。
【0031】
次いで、昇降手段35の上昇動作により内輪圧入部14を上方に移動させていく。内輪圧入部14が上昇していくと、車輪用ハブユニットを保持している保持部26も、支持用コイルバネ24,25が徐々に伸長していきながら第1及び第2の回転伝達軸22,23に沿って上昇していく。
そして、保持部26が第1及び第2の回転伝達軸22,23の最上部の位置で停止すると、搬送装置(不図示)で車輪用ハブユニットを把持する。それと同時に保持部26のレバー係止部27a,28bが開閉装置30の保持部26の一対の半円状部材27,28の開動作を行う。また、搬送装置を使用しない場合には、作業者が車輪用ハブユニットを手で把持した状態で一対の半円状部材27,28の開動作を行う。
【0032】
次に、上述した第1実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を使用して車輪用ハブユニットを組み立てる際の作用効果について説明する。
本実施形態によると、軸
受セット部12の保持部26に軸受ユニットBUをセットすることで、軸受ユニットBUはハブ本体載置部10に載置したハブ本体1の中空円筒部1aに同軸に配置される。そして、昇降手段35の下降動作により内輪圧入部14が軸受ユニットBUと軸受セット部12をハブ本体1の中空円筒部1aに向けて下降させる。それによって保持部26は、支持用コイルバネ24,25が徐々に圧縮されていきながら、第1及び第2の回転伝達軸22,23に沿って中空円筒部1aに向けて移動していく。
【0033】
軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触すると、回転駆動源13の回転モータ33を駆動する。回転駆動源13の回転力は、軸受セット部12の従動ギア21に伝達され、第1及び第2の回転伝達軸22,23を介して、保持部26及び外輪5に伝達される。軸受ユニットBUの内輪2,3は静止している中空円筒部1aに押し付けられて回転できないため、内輪2,3に対して外輪5が相対回転する状態となり、円すいころ6a,6bが転動して調心作用が働き、
図20(b)で示したように、正規位置に円すいころ6a,6bが配列され、中空円筒部1aに軸受ユニットBUが組み込まれる。
【0034】
したがって、本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部12が、軸受ユニットBUをハブ本体1の中空円筒部1aに同軸に配置して中空円筒部1aに向けて移動させる機能を有し、回転駆動源13が、軸受セット部12に保持されている軸受ユニットBUに回転力を伝達する機能を有し、内輪圧入部14が、昇降手段35の駆動により内輪2、3を中空円筒部1aに外嵌させる機構を有することで、外輪5に回転力を伝達しながら内輪2,3を中空円筒部1aに外嵌させる具体的な装置構成を備えており、これらの装置を使用することで、少ない作業時間及び作業工数で軸受ユニットBUをハブ本体1の中空円筒部1aに組み立てることができるので、車輪用ハブユニットを効率良く組立てることができる。
【0035】
また、本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部12を構成する保持部26を、第1の回転伝達軸22回りに回動するヒンジ部27a,28bを備え、第1の回転伝達軸22に対して直交する方向に開閉自在な一対の半円状部材27,28を備え、外輪保持用コイルバネ29がバネ係止部27c,28cを近接させる方向に引張り力を作用することで、半円状部材27,28の外輪保持面27d,28dが外輪5の凹部5c1,5c2に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持しているので、軸受ユニットBUを保持部26に保持する動作、軸受ユニットBUを保持部26から取り外して把持する動作を容易に行うことができる。
【0036】
[第2実施形態]
図6から
図8は、本発明に係る第2実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を示すものである。なお、
図1から
図5で示した第1実施形態の装置と同一構成部分には、同一符号を付してその説明は省略する。
本実施形態の軸受ユニットBUを構成する外輪5の支持固定部5cは、
図6で示すように円形状に形成されている。
【0037】
また、本実施形態の保持部26は、一対の半円状部材27,28の弦部に半円弧形状の外輪保持面27f,28fが形成されている。
図7で示す一対の半円状部材27,28の閉動作では、外輪保持用コイルバネ29がバネ係止部27c,28cを近接させる方向に引張り力を作用することで、半円状部材27,28の外輪保持面27f,28fが、外輪5の外周面(外輪軌道5bを形成した位置の外周面)に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する。
【0038】
この第2実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を用いて軸受ユニットBUをハブ本体1に組み立てる際には、開閉装置30の開動作レバー30a,30bを互いが離間する方向に駆動してレバー係合部27b,28bとの係合を解除する。これにより、保持部26の外輪保持用コイルバネ29が引張り力を作用することで、半円状部材27,28の外輪保持面27f,28fが外輪5の外周面に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する(
図7,
図8参照)。
【0039】
本実施形態の独自の作用効果について説明する。
本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部12を構成する保持部26を、第1の回転伝達軸22回りに回動するヒンジ部27a,28bを備え、第1の回転伝達軸22に対して直交する方向に開閉自在な一対の半円状部材27,28を備え、外輪保持用コイルバネ29がバネ係止部27c,28cを近接させる方向に引張り力を作用することで、半円状部材27,28の外輪保持面27d,28dが外輪5の外周面に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持しているので、軸受ユニットBUを保持部26に保持する動作、軸受ユニットBUを保持部26から取り外して把持する動作を容易に行うことができる。
また、第1実施形態と異なり、本実施形態においては軸受セット部12に軸受ユニットBUを載置する際に外輪5の位相を外輪保持面27f,28fに合せる必要がないので、外輪5の位相を調整することなく保持部26の閉動作を行うことができ、装置の簡素化とサイクルタイムの短縮を実現できる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、
図9から
図16は、本発明に係る第3実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を示すものである。なお、
図1から
図5で示した第1実施形態の構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、
図9に示すように、ハブ本体載置部10と、円すいころ軸受ユニットBUを中空円筒部1aの上方位置で下降自在にセットする軸受セット部40と、軸受セット部40にセットされた軸受ユニットBUの外輪5に回転力を伝達する回転駆動源13と、軸受セット部12にセットされた軸受ユニットBUを下降していき、内輪2、3を中空円筒部1aに外嵌していく内輪圧入部14と、を備えている。
【0041】
軸受ユニットBUは、第1実施形態と同様の構造であり、
図14で示すように、外輪5の懸架装置(不図示)に支持固定される支持固定部5cの外周に、軸受ユニットBUを軸方向から見た際に、軸対象位置で径方向内方に凹んだ一対の凹部5c1,5c2が形成されている。
軸受セット部40は、軸受台18の上部に玉軸受19及びギア受け部材20を介して配置され、上下方向の回転軸回りに回転自在とされているリング形状の従動ギア21と、従動ギア21の上面に、周方向に所定間隔をあけて固定されている4個の球面受座41と、円筒部42が従動ギア21の内側面に配置した玉軸受43を介して回転自在に配置され、円筒部42の上端に従動ギア21と平行に軸傾動板44が連結している保持部開閉部材45と、従動ギア21の上面に配置した4個の球面受座41に球状部46が回動自在に連結し、軸傾動板44を貫通して上方に立ち上がっている4本の回転伝達軸47と、4本の回転伝達軸47の外周に配置した支持用コイルバネ48と、4本の回転伝達軸47及び支持用コイルバネ48に支持され、ハブ本体1の中空円筒部1aの上方位置で中空円筒部1aに対して同軸となるように軸受ユニットBUを保持する保持部49と、を備えている。
【0042】
図10に示すように、保持部開閉部材45の軸傾動板44には、長手方向が円周方向に延在する複数の回転ガイドスリット50及び傾動ガイドスリット51が形成されている。
回転ガイドスリット50には、従動ギア21の上面から上下方向に立ち上がるガイドピン52(
図9参照)が貫通しており、ガイドピン52が回転ガイドスリット50の長手方向の端部に係合することで、軸傾動板44の回転角度が規制されている。
4箇所の傾動ガイドスリット51には回転伝達軸47が貫通している。傾動ガイドスリット51の長手方向の一端は、上下方向にスリットが連通するように内壁53が形成されているとともに(
図11参照)、傾動ガイドスリット51の長手方向の一端から他端に向かうに従い、径方向外方に傾斜が徐々に増大していく内壁54が形成されている(
図13参照)。
【0043】
また、
図10に示すように、保持部開閉部材45の近傍にはシリンダ55が配置されているとともに、保持部開閉部材45の軸傾動板44の外周には、シリンダ55のシリンダロッド55aがストロークして係合する位置にシリンダ係合部56が突出して形成されている(
図12参照)。さらに、従動ギア21の一部にバネ係止部57が形成され、このバネ係止部57に対向する保持部開閉部材45の一部にもバネ係止部58が形成されており、これらバネ係止部57,58の間に両端が係止された軸傾動板コイルバネ59が配置されている。この軸傾動板コイルバネ59は、バネ係止部58をバネ係止部57に近接させる方向に引張り力を作用する。
保持部49は、
図14に示すように、環状部材を4分割してなる4つの扇状部材60〜63で構成され、これら扇状部材60〜63は、4本の回転伝達軸47の上端に固定されている。そして、径方向に互いに対向する扇状部材61、63には、径方向内方に突出する円弧形状の外輪保持面61a,63bが形成されている。
【0044】
次に、本発明に係る第2実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を用いて軸受ユニットBUをハブ本体1に組み立てる手順について説明する。
先ず、シリンダ55のシリンダロッド55aをストロークして保持部開閉部材45のシリンダ係合部56に係合し、軸傾動板44を
図12の矢印方向に回転させる。
この動作により、球面受座41に球状部46が回動自在に連結している4本の回転伝達軸47が、傾動ガイドスリット51の長手方向の一端の内壁53から径方向外方に傾斜が徐々に増大している内壁54当接することで、径方向外方に傾いた状態となり、保持部49を構成する4つの扇状部材60〜63が径方向外方に開いた状態となる。
【0045】
次いで、ハブ本体1のフランジ1cから下方に突出した固定ねじ17をハブ本体載置部10のねじ用凹部10aに挿入し、ハブ本体1の外筒部1eをハブ本体載置部10の外筒部用凹部10bに挿入することで、ハブ本体載置部10上に、中空円筒部1aが上方を向くようにハブ本体1を載置する。
次いで、シリンダ55のシリンダロッド55aを退縮させることで保持部開閉部材45のシリンダ係合部56との係合を解除する。これにより、軸傾動板コイルバネ59が引張り力を作用することで、軸傾動板44が
図10の矢印方向に回転する。
図10で示す方向に軸傾動板44が回転すると、径方向外方に傾斜していた4本の回転伝達軸47が、傾動ガイドスリット51の長手方向の他端の内壁54から一端の上下方向に延在する内壁53に当接することで、上下方向に立ち上がった状態となり、4つの扇状部材60〜63が環状部材となるように連結し、扇状部材61、63の外輪保持面61a,63a
が外輪5の凹部5c1,5c2に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する(
図9参照)。
【0046】
次いで、昇降手段35の下降動作により内輪圧入部14を中空円筒部1aに向けて下降させていくと、軸受ユニットBUが内輪圧入部14によって下方に押圧され、軸受ユニットBUを保持している保持部49は、支持用コイルバネ48が徐々に圧縮されていきながら4本の回転伝達軸47に沿って下降していく。
そして、軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触すると同時に、回転駆動源13の回転モータ33を駆動する。
そして、内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触して回転モータ33が駆動すると、駆動ギア34の回転が、中間ギア32を介して軸受セット部40の従動ギア21に伝達され、従動ギア21の回転が、4本の回転伝達軸47を介して保持部49に伝達される。そして、保持部49に保持されている軸受ユニットBUも回転する。
【0047】
なお、軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触したことを検知する手段は、予め設定した軸受セット部40の保持部49(4つの扇状部材60〜63)の下降量に基づく。
回転する保持部49によって軸受ユニットBUの外輪5は回転するが、内輪2は静止している中空円筒部1aの上端面に接触し、押し付けられているので回転しない。また、連結部材15によって内輪2と接続されている内輪3も同様に回転しない。このように、内輪2,3が回転しない状態で外輪5を相対回転させることによって円すいころ6a,6bが転動し、円すいころ6a,6bに調心作用が働くため、
図20(b)で示したように正規位置に円すいころ6a,6bが配列される。この状態で昇降手段35が下降することで、内輪圧入部14が内輪2,3を介して軸受ユニットBU及び軸受セット部12を押し下げていく。
【0048】
軸受セット部40の保持部49は、支持用コイルバネ48が徐々に圧縮されていきながら4本の回転伝達軸47に沿って下降していく。この過程で軸受ユニットBUの2個の内輪2,3に内嵌されていた連結部材15は、中空円筒部1aの上端に押されて内輪圧入部14の収納凹部36に入り込んでいき、内輪2,3が中空円筒部1aに圧入される。そして、内輪2の下端が中空円筒部1aの基部に当接した時点で、ハブ本体1への軸受ユニットBUの組立が完了する。
組み立てが完了した車輪用ハブユニットを車輪用ハブユニットの組立装置から取り外すために、先ず、軸受セット部40の保持部49を回転し、そのシリンダ係合部56が、シリンダ55の下方位置となるようにする。
【0049】
次いで、昇降手段35の上昇動作により内輪圧入部14を上方に移動させていく。内輪圧入部14が上昇していくと、車輪用ハブユニットを保持している保持部49も、支持用コイルバネ48が徐々に伸長していきながら4本の回転伝達軸47に沿って上昇していく。
次いで、保持部49が4本の回転伝達軸47の最上部の位置で停止すると、シリンダ55のシリンダロッド55aをストロークして保持部開閉部材45のシリンダ係合部56に係合することで、軸傾動板44を
図12の矢印方向に回転させる。
そして、保持部49が4本の回転伝達軸47の最上部の位置で停止すると、搬送装置(不図示)で車輪用ハブユニットを把持する。それと同時に扇状部材60〜63を径方向外方に開く。また、搬送装置を使用しない場合には、扇状部材60〜63を径方向外方に開いた状態で、作業者が車輪用ハブユニットを手で把持する。
【0050】
次に、上述した第3実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を使用して車輪用ハブユニットを組み立てる際の作用効果について説明する。
本実施形態によると、軸受件セット部40の保持部49に軸受ユニットBUをセットすることで、軸受ユニットBUはハブ本体載置部10に載置したハブ本体1の中空円筒部1aに同軸に配置される。そして、昇降手段35の下降動作により内輪圧入部14が軸受
ユニットBUと軸受セット部40をハブ本体1の中空円筒部1aに向けて下降させる。それによって保持部49は、支持コイルバネ48が徐々に圧縮されていきながら、4本の回転伝達軸47に沿って中空円筒部1aに向けて移動していく。
【0051】
軸受ユニットBUの内輪2がハブ本体1の中空円筒部1aの最上部に接触すると、回転駆動源13の回転モータ33を駆動する。回転駆動源13の回転力は、軸受セット部40の従動ギア21に伝達され、4本の回転伝達軸47を介して、保持部49及び外輪5に伝達される。軸受ユニットBUの内輪2,3は静止している中空円筒部1aに押し付けられて回転できないため、内輪2,3に対して外輪5が相対回転する状態となり、円すいころ6a,6bが転動して調心作用が働き、
図20(b)で示したように、正規位置に円すいころ6a,6bが配列され、中空円筒部1aに軸受ユニットBUが組み込まれる。
【0052】
したがって、本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部40が、軸受ユニットBUをハブ本体1の中空円筒部1aに同軸に配置して中空円筒部1aに向けて移動させる機能を有し、回転駆動源13が、軸受セット部40に保持されている軸受ユニットBUに回転力を伝達する機能を有し、内輪圧入部14が、昇降手段35の駆動により内輪2、3を中空円筒部1aに外嵌させる機構を有し、外輪5に回転力を伝達しながら内輪2,3を中空円筒部1aに外嵌させる具体的な装置構成を備えており、これらの装置を使用することで、少ない作業時間及び作業工数で軸受ユニットBUをハブ本体1の中空円筒部1aに組み立てることができるので、車輪用ハブユニットを効率良く組立てることができる。
【0053】
また、本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部40を構成する保持部49を、径方向外方に傾斜自在な4本の回転伝達軸47に支持された4つの扇状部材60〜63で構成し、シリンダ55の操作により軸傾動板44(保持部開閉部材45)を回転させることで4本の回転伝達軸47が径方向外方に傾斜し、扇状部材60〜63が径方向外方に移動して分割形状となるとともに、シリンダ55の操作を解除して軸傾動板コイルバネ59の引張り力により軸傾動板44が元の位置まで回転させると、4本の回転伝達軸47が元の位置(上下方向)に戻り、4つの扇状部材60〜63が環状部材となるように連結し、扇状部材61,63の外輪保持面61a,63aが外輪5の凹部5c1,5c2に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持しているので、軸受ユニットBUを保持部49に保持する動作、軸受ユニットBUを保持部49から取り外して把持する動作を容易に行うことができる。
【0054】
[第4実施形態]
次に、
図17及び
図18は、本発明に係る第4実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置を示すものである。
本実施形態の軸受ユニットBUを構成する外輪5の支持固定部5cは、
図17で示すように円形状に形成されている。
また、本実施形態の軸受セット部40を構成する保持部49は、
図17に示すように、環状部材を4分割してなる4つの扇状部材60〜63の内周面に、円弧形状の外輪保持面60b〜63bが形成されている。
そして、4つの扇状部材60〜63が環状部材となる保持部49の閉動作では、扇状部材60〜63の内周面に、円弧形状の外輪保持面60b〜63bが外輪5の外周面(外輪軌道5bを形成した位置の外周面)に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持する。
【0055】
本実施形態の独自の作用効果について説明する。
本実施形態の車輪用ハブユニットの組立装置は、軸受セット部40を構成する保持部49を、径方向外方に傾斜自在な4本の回転伝達軸47に支持された4つの扇状部材60〜63で構成し、シリンダ55の操作により軸傾動板44(保持部開閉部材45)を回転させることで4本の回転伝達軸47が径方向外方に傾斜し、扇状部材60〜63が径方向外方に移動して分割形状となるとともに、シリンダ55の操作を解除して軸傾動板コイルバネ59の引張り力により軸傾動板44が元の位置まで回転させると、4本の回転伝達軸47が元の位置(上下方向)に戻り、4つの扇状部材60〜63が環状部材となるように連結し、扇状部材60〜63の外輪保持面60b〜63bが外輪5の外周面に面接触した状態で軸受ユニットBUを保持するので、軸受ユニットBUを保持部49に保持する動作、軸受ユニットBUを保持部49から取り外して把持する動作を容易に行うことができる。
【0056】
なお、
図19で示した車輪用ハブユニットは、外輪5の内側に2つの内輪2、3を配置した円すいころ軸受BUについて説明したが、外輪5の内側に3つの内輪を配置した他の構造の円すいころ軸受について適用いても同様の効果を奏することができる。
また、
図19のハブ本体1は、ストレート形状(上端から下端まで同一外径形状)の中空円筒部1aを備えているが、
図21に示すように、上端側に段差部1cを設けた中空円筒部1dを使用してもよい。なお、段差部1cを設けた場合は軸受ユニットBUを下降させた際に内輪2が段差部1cに緩く嵌合することで内輪2が圧入するための好ましい位置と姿勢になり、内輪2が中空円筒部1dに対して斜めになって圧入され、結果として内輪2や中空円筒部1dを損傷させる、いわゆる「かじり」が生じにくいという効果がある。この
図21のハブ本体1を使用する際、上記各実施形態で回転駆動源13の回転モータ33を駆動するタイミングは、昇降手段35の下降動作により内輪圧入部14を中空円筒部1aに向けて下降させていき、軸受ユニットBUの内輪2が、ハブ本体1の段差部1cに接触したときに設定する。