特許第6442836号(P6442836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6442836-表示装置、および、表示装置の制御方法 図000002
  • 特許6442836-表示装置、および、表示装置の制御方法 図000003
  • 特許6442836-表示装置、および、表示装置の制御方法 図000004
  • 特許6442836-表示装置、および、表示装置の制御方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6442836
(24)【登録日】2018年12月7日
(45)【発行日】2018年12月26日
(54)【発明の名称】表示装置、および、表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20181217BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20181217BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20181217BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20181217BHJP
【FI】
   H04N5/74 Z
   G09G5/00 555D
   G09G5/00 510Q
   G09G5/00 550D
   H04N21/436
   H04N21/442
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-38272(P2014-38272)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-162853(P2015-162853A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 大輔
【審査官】 秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−276067(JP,A)
【文献】 特開2009−130680(JP,A)
【文献】 特開2012−169702(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0103272(US,A1)
【文献】 特開2012−199643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
G09G 5/00
H04N 21/436
H04N 21/442
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示装置であって、
HDMI及びMHLで外部装置に接続可能であり、前記外部装置から画像信号及び制御信号を受信する接続部と、
前記接続部で受信された画像信号に基づいて画像を表示する表示部と、
前記接続部を、前記接続部に前記外部装置が接続されていないと認識される第1の状態に遷移させた後に、前記接続部に前記外部装置が接続されると認識される第2の状態に前記接続部を遷移させる再接続動作を行う制御部と、
前記接続部への前記外部装置の接続を検知する検知部と、
を備え
前記制御部は、前記検知部の検知状態に基づいて、前記接続部が前記外部装置にMHLで接続されたと判定した場合に前記再接続動作を実行し、前記接続部がHDMIで前記外部装置に接続されたと判定した場合に前記再接続動作を実行しない、
とを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記画像信号を受信する信号受信部と、前記外部装置と前記制御信号を通信する装置間通信部と、前記外部装置に電力を供給する電力供給部とを有すること、を特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記信号受信部は、前記画像信号及び音声信号を受信すること、を特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記再接続動作において、前記信号受信部及び前記装置間通信部の少なくとも一方を前記第1の状態及び前記第2の状態に遷移させること、を特徴とする請求項2または3記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の状態で前記電力供給部による電力供給を停止させ、前記第2の状態で前記電力供給部に電力を供給させること、を特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の状態で前記信号受信部、前記装置間通信部、及び、前記電力供給部と前記外部装置との接続を電気的にオープンにすること、を特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記信号受信部及び前記装置間通信部の状態に基づいて、前記外部装置の接続を検知すると、を特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検知部の検状態に基づいて前記再接続動作を実行すること、を特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記制御部は、動作開始時に前記再接続動作を実行すること、を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記制御部は、当該表示装置の電源が投入されて動作を開始する際に前記再接続動作を実行すること、を特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
入力を検出する入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部で検出された入力に従って前記再接続動作を実行すること、を特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
HDMI及びMHLで外部装置に接続可能な接続部と、前記接続部の状態に基づいて、前記接続部への前記外部装置の接続を検知する検知部と、を有し、前記接続部で受信する信号に基づいて画像を表示する表示装置の制御方法であって、
前記接続部を、前記接続部に前記外部装置が接続されていないと認識される第1の状態に遷移させた後に、前記接続部に前記外部装置が接続されると認識される第2の状態に前記接続部を遷移させる再接続動作を、前記検知部の検知状態に基づいて前記接続部が前記外部装置にMHLで接続されたと判定した場合に前記再接続動作を実行し、前記検知部の検知状態に基づいて前記接続部がHDMIで前記外部装置に接続されたと判定した場合に前記再接続動作を実行しないこと、
特徴とする表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、および、表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の表示装置と電子機器とを接続して、電子機器から映像や音声を表示装置に伝送するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のシステムでは、例えばHDMI(登録商標)インターフェイスによって、画像データを送信する装置と画像データを受信する装置とを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−243473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のシステムのように、装置間で映像や画像を伝送するインターフェイスは高機能化が進んでいる。例えば、HDMIインターフェイスはHPD(Hot Plug Detect)機能を有し、ソースデバイスとシンクデバイスが接続を自動的に検出できる。しかしながら、この種の高機能化されたインターフェイスにおいても、接続の検出に失敗したり、接続状態が不安定になったりすることがある。このような場合、ユーザーがいったん接続ケーブルを抜き、再び接続すると、接続が正常に検出されることが多いが、操作が煩雑であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、装置間で信号を伝送するインターフェイスを備え、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、ユーザーの作業を伴わずに対処できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、画像を表示する表示装置であって、外部装置に接続され、前記外部装置から画像信号及び制御信号を受信する接続部と、前記接続部で受信された画像信号に基づいて画像を表示する表示部と、前記接続部を、前記接続部に前記外部装置が接続されていないと認識される第1の状態に遷移させた後に、前記接続部に前記外部装置が接続されると認識される第2の状態に前記接続部を遷移させる再接続動作を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、外部装置から画像信号及び制御信号を受信する表示装置が再接続動作を実行して、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態にすることができる。従って、例えば、ケーブルによって外部装置に有線接続され、接続を検出可能な装置では、ケーブルを挿抜した場合と同様の効果が得られる。これにより、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、ユーザーの作業を伴わずに、正常な接続状態に復帰できる。
【0006】
また、本発明は、上記表示装置において、前記接続部は、前記画像信号を受信する信号受信部と、前記外部装置と信号を通信する装置間通信部と、前記外部装置に電力を供給する電力供給部とを有すること、を特徴とする。
本発明によれば、外部装置から画像信号を受信し、他の信号を通信し、外部装置に電力を供給する機能を備える表示装置が、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、速やかに正常な接続状態にすることができる。
【0007】
また、本発明は、上記表示装置において、前記信号受信部は、前記画像信号及び音声信号を受信すること、を特徴とする。
本発明によれば、外部装置から画像信号及び音声信号を受信し、外部装置に電力を供給する機能を備える表示装置が、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、速やかに正常な接続状態にすることができる。
【0008】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、前記再接続動作において、前記信号受信部及び前記装置間通信部の少なくとも一方を前記第1の状態及び前記第2の状態に遷移させること、を特徴とする。
本発明によれば、再接続動作により、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を、容易に作り出すことができる。
【0009】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、前記第1の状態で前記電力供給部による電力供給を停止させ、前記第2の状態で前記電力供給部に電力を供給させること、を特徴とする。
本発明によれば、電力の供給を停止および実行させることで、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を実現できる。
【0010】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、前記第1の状態で前記信号受信部、前記装置間通信部、及び、前記電力供給部と前記外部装置との接続を電気的にオープンにすること、を特徴とする。
本発明によれば、外部装置に有線接続された状態で、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を確実に実現できる。
【0011】
また、本発明は、上記表示装置において、前記信号受信部及び前記装置間通信部の状態に基づいて、前記外部装置の接続を検知する検知部を備えること、を特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の表示装置。
本発明によれば、信号受信部に外部装置が接続された場合に必要な再接続動作を行い、不要な再接続動作を実行せずに済むので、効率化を図ることができる。
【0012】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、前記検知部の検出状態に基づいて前記再接続動作を実行すること、を特徴とする。
本発明によれば、外部装置に対する接続状態を検出して、必要に応じて再接続動作を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、動作開始時に前記再接続動作を実行すること、を特徴とする。
本発明によれば、動作開始時に、外部装置への接続をいったん切断して再接続することで、正常な接続状態にすることができる。
【0014】
また、本発明は、上記表示装置において、前記制御部は、当該表示装置の電源が投入されて動作を開始する際に前記再接続動作を実行すること、を特徴とする。
本発明によれば、電源投入時に、外部装置への接続をいったん切断して再接続することで、正常な接続状態にすることができる。
【0015】
また、本発明は、上記表示装置において、入力を検出する入力部を備え、前記制御部は、前記入力部で検出された入力に従って前記再接続動作を実行すること、を特徴とする。
本発明によれば、入力に応じて再接続動作を実行して、外部装置との正常な接続状態を実現できる。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明は、外部装置に接続される接続部を有し、前記接続部で受信する信号に基づいて画像を表示する表示装置の制御方法であって、前記接続部を、前記接続部に前記外部装置が接続されていないと認識される第1の状態に遷移させた後に、前記接続部に前記外部装置が接続されると認識される第2の状態に前記接続部を遷移させる再接続動作を行うこと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、外部装置から画像信号及び制御信号を受信する表示装置が再接続動作を実行して、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態にすることができる。従って、例えば、ケーブルによって外部装置に有線接続され、接続を検出可能な装置では、ケーブルを挿抜した場合と同様の効果が得られる。これにより、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、ユーザーの作業を伴わずに、正常な接続状態に復帰できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザーが手動で接続の解消および再接続をした場合と同様の状態を作り出し、正常な接続状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】プロジェクションシステムの構成を示すブロック図である。
図2】プロジェクターと携帯端末の接続状態を示す説明図である。
図3】受信部の構成を詳細に示す説明図である。
図4】プロジェクターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を適用した実施形態について説明する。
図1は、実施形態のプロジェクションシステム3の構成を示すブロック図である。図1に示すように,プロジェクションシステム3は、プロジェクター1と、携帯端末2とを接続して構成される。
【0020】
プロジェクター1は、パーソナルコンピューターや各種映像プレーヤー等の外部の画像供給装置に接続され、画像供給装置から入力される入力画像データに基づく画像を投射対象物に投射して表示する表示装置である。画像供給装置としては、ビデオ再生装置、DVD(Digital Versatile Disk)再生装置、テレビチューナー装置、CATV(Cable television)のセットトップボックス、ビデオゲーム装置等の映像出力装置、パーソナルコンピューター等が挙げられる。本実施形態では携帯端末2がプロジェクター1に対して画像を供給する画像供給装置として機能する。プロジェクター1と携帯端末2は、ケーブル30を介して有線接続される。
また、本実施形態ではプロジェクター1がスクリーンSCに画像を投射する例を挙げるが、投射対象物は、壁面などの平面であってもよいし、曲面を有する立体物であってもよい。
【0021】
プロジェクター1は、光学的な画像の形成を行う投射部10(表示部)と、投射部10により表示する画像を電気的に処理する画像処理系とを備える。
まず、投射部10について説明する。
投射部10は、光源部11、光変調装置12及び投射光学系13を備える。
光源部11は、キセノンランプや超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LED(Light Emitting Diode)やレーザー光源等の固体光源からなる光源を備える。光源部11には光源駆動部130が接続され、光源駆動部130により光源を点灯させる電力やパルス信号等が供給される。
光源部11は、光源が発した光を光変調装置12に導くリフレクター及び補助リフレクターを備えてもよい。また、光源部11は、投射光の光学特性を高めるためのレンズ群(不図示)、偏光板、或いは光源が発した光を光変調装置12に至る経路上で低減させる調光素子等を備えてもよい。また、光源が発した光をR、G、Bの3つの色光に分ける光学部品を光源部11に設けてもよい。
【0022】
光変調装置12は、光源部11が発する光を分光したR、G、Bの3つの色光を変調する。光変調装置12は、例えば、RGBの各色に対応した3枚の透過型または反射型の液晶ライトバルブを用いた方式、3枚のデジタルミラーデバイスを用いた方式等により構成される。また、光変調装置12は、光源が発した白色光に含まれる光のうちRGBの光を色順次に透過するカラーホイールと、1枚のデジタルミラーデバイス(DMD)とを組み合わせたDMD方式を採用してもよい。本実施形態では、R、G、Bの3つの色光に対応する3つの液晶ライトバルブを備える光変調装置12を例示する。この場合、光変調装置12は、複数の画素をマトリクス状に配置した反射型液晶パネルを備え、これら複数の画素により画像を形成し、光源が発した光を変調する。光変調装置12は、後述する光変調装置駆動部133によって駆動され、マトリクス状に配置された各画素における光の透過率を変化させることにより、画像を形成する。
【0023】
投射光学系13は、光変調装置12により変調された光を集光及び合成するレンズ群を備え、カラーの画像光をスクリーンSCに投射する。投射光学系13は、投射する画像の拡大・縮小及び焦点の調整を行うズームレンズを含むレンズ群、レンズを動かしてズーム及びフォーカスを調整する機構等を備えてもよい。また、プロジェクター1は、フォーカス調整機構やズーム機構を駆動する投射光学系駆動部を備えてもよい。
【0024】
また、プロジェクター1の本体は、プロジェクター1の動作を制御して画像信号を電気的に処理する画像処理系を備える。画像処理系は、制御部110、インターフェイス(I/F)部101、記憶部102、入力部103、光源駆動部130、画像処理部131、及び、光変調装置駆動部133を備える。
制御部110は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、CPUが制御プログラムを実行することにより、プロジェクター1の画像処理系を制御する。
【0025】
インターフェイス部101は、外部の画像供給装置(外部装置)に接続される。インターフェイス部101は、画像供給装置からデジタル画像データまたはアナログ画像信号が入力される種々のコネクターやインターフェイス回路を備える。
本実施形態のインターフェイス部101は、受信部121(接続部)、インターフェイス125、127を備える。受信部121、インターフェイス125、127は、画像供給装置から入力される画像信号を検出し、受信し、デコードしてデジタル画像データを生成し、画像処理部131に出力する。
【0026】
受信部121は、MHL(登録商標)、及びHDMI(登録商標)規格に対応するインターフェイスである。受信部121は、コネクター122、及び、HDMI規格に対応したコネクター123を備える。受信部121は、コネクター122にケーブル30を介して携帯端末2が接続された場合に、携帯端末2から送信されるMHL形式の画像信号を受信し、制御信号を送受信し、携帯端末2に所定電圧の電力を供給する。また、受信部121は、コネクター123にケーブルを介して画像供給装置が接続された場合、この画像供給装置から送信される画像信号を受信する。受信部121の機能については後述する。
【0027】
インターフェイス125、127は、コネクター126、128を備え、ケーブル(図示略)を介して画像供給装置(図示略)に接続可能である。インターフェイス125、127は、通信用インターフェイスや画像入力インターフェイス規格に準拠したコネクター126、128及びインターフェイス回路を備える。通信用インターフェイスは、例えば、有線LAN、IEEE1394、USB等が挙げられる。画像入力インターフェイスは、例えば、DisplayPort(商標)、CoaXPress(商標)等が挙げられる。また、インターフェイス部101は、無線LANやBluetooth(登録商標)等に準拠した無線通信インターフェイスを備えてもよい。
インターフェイス部101は、制御部110の制御に従って受信部121、インターフェイス125、127からいずれかの入力系統を選択する。インターフェイス部101は、選択した入力系統に入力される画像データを画像処理部131に出力する。インターフェイス部101は、画像データとともに音声データを出力してもよい。
【0028】
また、受信部121には、接続検知部105(検知部)が接続されている。接続検知部105は、受信部121への画像信号、制御信号の入力状態に基づき、受信部121に携帯端末2または他の画像供給装置が接続されたことを検知する。接続検知部105は制御部110に接続され、接続検知部105の検知状態を制御部110が検出できる。
【0029】
光源駆動部130は、電源部107から供給される電力に基づき、制御部110の制御に従って光源部11に電力やパルス信号を供給する。光源部11の光源がランプである場合、光源駆動部130は光源部11に対する供給電圧及び電流を制御して、ランプを発光させる。ここで、光源部11の光源が放電管ランプである場合、光源部11はバラストとして機能する。
光源部11の光源が固体光源である場合、光源駆動部130は、光源部11に対して直流電流を供給するとともに、制御部110の制御に従って、固体光源の輝度をPWM制御するためのパルス信号を生成して出力する。
また、光源駆動部130は、制御部110の制御に従って光源部11を点灯、消灯させる。
【0030】
電源部107は、プロジェクター1の外部の商用電源(例えば、100〜240Vの交流電源)に接続され、プロジェクター1の各部に電力を供給する。電源部107は、例えば、プロジェクター1の画像処理系のICを動作させる3.3V、5V、12V等の直流電流を出力する。また、電源部107は、光源駆動部130に光源を点灯させる電力を供給する。
【0031】
画像処理部131は、制御部110の制御に従って、インターフェイス部101から入力される画像データを処理し、光変調装置駆動部133に画像信号を出力する。画像処理部131が実行する処理は、例えば、解像度変換処理、フレームレート変換処理、3D画像変換処理、歪み補正処理、ズーム処理、色調補正処理、輝度補正処理等である。
光変調装置駆動部133は、画像処理部131から入力される画像信号に基づいて、光変調装置12の液晶ライトバルブに画像を描画する。
【0032】
制御部110には、記憶部102及び入力部103が接続される。
記憶部102は、制御部110が備えるCPU(図示略)が実行するプログラムや、制御部110により処理されるデータ等を不揮発的に記憶する。例えば、記憶部102は、画像処理部131が実行する各種処理の設定値、制御部110や画像処理部131が参照するテーブル等を記憶する。また、記憶部102に画像データを記憶し、この画像データを制御部110が読み出してスクリーンSCに投射させてもよい。
【0033】
入力部103は、プロジェクター1を操作するリモコン(図示略)や、プロジェクター1の本体に設けられる操作パネル(図示略)の操作を検出する。入力部103は、リモコンが送信する無線信号を受信してデコードし、リモコンにおける操作を検出する。また、入力部103は、操作パネルのボタン操作を検知する。入力部103は、リモコンや操作パネルの操作内容に対応する操作データを生成して、制御部110に出力する。
また、入力部103は、制御部110の制御に従い、プロジェクター1の動作状態や設定状態に応じて操作パネルのインジケーターランプの点灯を制御する。
【0034】
制御部110は、接続制御部111(制御部)、及び、投射制御部112を備え、プロジェクター1の動作を制御する。
接続制御部111は、インターフェイス部101を制御して、受信部121、インターフェイス125、127から画像入力を受け付ける入力系統を選択する。インターフェイス部101では、接続制御部111により選択された入力系統から画像処理部131に画像データが出力される。
また、接続制御部111は、コネクター122、123の接続検出機能を有する。接続検出機能により、接続制御部111は、接続検知部105の検知状態に基づいて、受信部121に画像供給装置が接続されたことを検出する。この場合、接続制御部111は、受信部121に接続された画像供給装置との間で制御データを送受信してネゴシエーション(ハンドシェイク)を実行する。ネゴシエーションで、接続制御部111及び画像供給装置は、ベンダーや機器の種類を示すデータ、送受信可能なデジタル画像データの解像度、フレームレートに関するデータ等を送受信する。その後、接続制御部111は、入力系統として受信部121を選択して、画像供給装置から受信部121に入力される画像データを画像処理部131に出力させる。
【0035】
接続制御部111は、接続検知部105の検知状態に基づいて受信部121に画像供給装置が接続された場合に、この接続をいったん切断し、再接続する再接続動作を実行できる。再接続動作については後述する。
【0036】
投射制御部112は、入力部103から入力される操作データに基づき、画像を投射する動作を制御する。すなわち、投射制御部112は、光源駆動部130、光変調装置駆動部133及び画像処理部131を制御して、投射部10によりスクリーンSCに画像を投射させる。
【0037】
一方、携帯端末2は、制御部31、インターフェイス部32、表示部35、入力部37及び記憶部38を備え、これら各部がバス39により相互接続される。
携帯端末2は、小型の本体に各部を収容した携帯型の端末装置であり、具体的には、映像や音声を再生するポータブルプレイヤー、スマートフォンや携帯型電話機を含む各種の携帯型通信端末装置を含む。携帯端末2は、音声出力用のスピーカーを備えてもよい。また、携帯端末2が通信端末である場合、図1に示す構成に加え、音声入力用のマイク、マイクにより入力した音声信号及びスピーカーに出力する音声信号を音声処理する音声処理部、データを無線信号により送受信する通信モジュール等を備えてもよい。
【0038】
携帯端末2は、液晶表示パネルや有機ELパネル等の表示パネルに、タッチ操作を検出するタッチセンサーを組み付けたタッチパネル36を備えている。タッチパネル36には、静電容量式、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等、各種のタッチセンサーを用いることができる。
表示部35は、制御部31から入力される表示用のデータに基づき、タッチパネル36に画像を表示する。また、入力部37は、タッチパネル36に対するタッチ操作を検出して、操作位置を示すデータを制御部31に出力する。
【0039】
インターフェイス部32は、コネクター33を備え、コネクター33に接続されるケーブルを介して、外部装置に画像データを送信可能である。本実施形態のインターフェイス部32は、MHL規格に対応するインターフェイスであり、一般的にはMicroUSBコネクター33を備える。インターフェイス部32、コネクター33にケーブル30を介してプロジェクター1が接続された場合に、プロジェクター1とネゴシエーションを実行し、画像データをエンコードして画像信号を生成し、コネクター33から出力する。
【0040】
記憶部38は、半導体記憶素子等によりプログラムやデータを不揮発的に記憶する。記憶部38は、制御部31のCPUが実行するアプリケーションプログラムや、CPUによって処理されるデータを記憶する。本実施形態では、記憶部38に、画像データ38aが記憶される。画像データ38aは、映像(動画像)データであり、制御部31の制御によって画像データ38aを再生してタッチパネル36に表示することができる。また、制御部31は、後述するように画像データ38aを外部装置に送信できる。
【0041】
制御部31は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、ROMに記憶した制御プログラムを実行して、携帯端末2を制御する。制御部31は、入力部37から入力されるデータに従って、記憶部38に記憶したアプリケーションプログラムを実行する。制御部31は、プログラムの実行結果やタッチパネル36における入力内容に基づき、画面表示用のデータを生成して、表示部35に出力する。
【0042】
また、制御部31は、タッチパネル36の操作に従って、記憶部38に記憶された画像データ38aの送信が指示された場合に、画像データ38aを読み出してインターフェイス部32により送信する。
【0043】
図2は、プロジェクター1と外部装置の接続状態を示す説明図である。図2(A)はプロジェクター1と携帯端末2とをMHL規格に従って接続した例を示し、図2(B)はプロジェクター1にHDMI規格に従って外部装置を接続した例を示す。
プロジェクター1が有するコネクター122及び携帯端末2のコネクター33はMHL規格を採用する。インターフェイス部32は、MHLトランスミッターとして機能し、MHLによる画像データの送出を行う。また、受信部121は、MHLレシーバーとして機能する。コネクター33とコネクター122とを接続するケーブル30は、図2(A)に示すように、MHL規格に従って5本の伝送線を有する。詳細には、TMDS(Transition Minimized Differential Signaling)差動線(TMDSクロック/データ+線、TMDSクロック/データ−線)、制御信号を伝送するCBUS、電力を供給するVBUS、及び、接地線である。CBUSはケーブル30を介した画像信号の送受信に関し、プロジェクター1と携帯端末2とが相互に制御信号を送受信するバスである。また、VBUSはプロジェクター1から携帯端末2に対し、例えば5Vの直流電流を供給する電力線である。
【0044】
また、受信部121は、HDMIレシーバーとしても機能し、HDMI規格に適合するコネクター及びインターフェイス回路を備える外部装置に接続できる。図2(B)は、HDMI規格に適合するインターフェイス部32a及びコネクター33aを有する外部機器と受信部121のコネクター123とをケーブル40で接続した例を示す。
ケーブル40は、HDMI規格で定められる伝送線を有する。詳細には、TMDSデータチャネル0、1、2の差動データ線及びシールド(TMDSデータ+線、TMDSデータ−線、TMDSデータシールド)と、TMDSクロック(TMDSクロック+線、TMDSクロック−線、TMDSクロックシールド)を有する。また、ケーブル40は、CEC(Consumer Electronics Control)線、HEC(HDMI Ethernet(登録商標) Channel)線、DDC(Display Data Channel)線を有する。より詳細には、HEC+線、HEC−線、DDCクロック線、DDCデータ線、HECシールド線等である。また、ケーブル40は、プロジェクター1から外部装置に対し、例えば5Vの直流電流を供給する電力線を有する。HEC+線はホットプラグ検出線としても利用され、HECシールド線はDDC/CECの接地線としても利用される。
受信部121は、ケーブル40を介して、HDMIソース装置として機能する外部装置に接続された場合に、HDMIシンク装置として動作し、画像データを受信する。
【0045】
図3は、受信部121の構成を詳細に示す説明図である。
この図3には、コネクター122と受信部121の内部回路との接続状態を示す。
受信部121は、TMDSクロック/データ+線、及びTMDSクロック/データ−線を介して画像データを受信する差動信号受信部151を備える。差動信号受信部151は、TMDSクロック/データ線155によってコネクター122のTMDSクロック/データ+端子、及びTMDSクロック/データ−端子に接続される。なお、TMDSクロック/データ線155は、実際にはTMDSクロック/データ+とTMDSクロック/データ−の2つの線で構成されるが、理解の便宜のため図3には1本の線で示す。差動信号受信部151は、TMDSクロック/データ線155で受信した画像信号をデコードして画像処理部131に出力する。
TMDSクロック/データ線155には、制御部110の制御により開閉されるスイッチ部161が設けられる。スイッチ部161は、一端を終端用電源に接続されたTMDS終端抵抗164の他端と、差動信号受信部151とコネクター122との間のTMDSクロック/データ線155とを接続する。スイッチ部161が開の状態では、TMDSクロック/データ線155の抵抗164を介して接続された終端は無効となる。このとき、電気的にはコネクター122のTMDSデータ+端子、及びTMDSデータ−端子はハイインピーダンス状態となる。スイッチ部161が閉じた状態では、TMDSクロック/データ線155の終端が有効となり、画像信号を受信できる。
【0046】
受信部121は、制御信号を送受信する装置間通信部152を備える。装置間通信部152は、コネクター122のCBUS端子にCBUS156を介して接続される。装置間通信部152は、CBUS156と制御部110との間で、制御信号の送受信及びデコード/エンコードを行う。
差動信号受信部151及び装置間通信部152には、接続検知部105が接続される。接続検知部105は、差動信号受信部151及び装置間通信部152が、MHLトランスミッターに接続されたか否かを検知し、検知状態を制御部110に出力する。これにより、制御部110は、コネクター122へのMHLトランスミッターの接続を検出する。
CBUS156には、制御部110の制御により開閉されるスイッチ部162が設けられる。スイッチ部162が開の状態では、装置間通信部152とコネクター122とは電気的にオープンであり、コネクター122のCBUS端子はハイインピーダンス状態となる。スイッチ部162が閉じた状態では、装置間通信部152はコネクター122に接続され、制御信号を送受信できる。
【0047】
また、受信部121は、電力供給部153を備える。電力供給部153は、電源部107から供給される電力に基づき、VBUS157からコネクター122に、例えば直流5Vの電流を供給する。VBUS157には、制御部110の制御により開閉されるスイッチ部163が設けられる。スイッチ部163が開の状態では、電力供給部153とコネクター122とが電気的に絶縁され、コネクター122のVBUS端子は接地される。スイッチ部163が閉じた状態では、電力供給部153とコネクター122が電気的に接続され、直流電流が供給される。
【0048】
周知のように、TMDS(遷移時間最短差動信号伝送方式)は、HDMI規格とMHL規格に共通して採用される伝送方式であり、受信部121は、HDMIとMHLの両規格に対応するMHL/HDMIレシーバーICとして実装できる。また、受信部121を、インターフェイス125、127や、制御部110とともにSoC(System-on-a-chip)として構成し、受信部121をMHL/HDMIレシーバーコアとして実装してもよい。例えば、差動信号受信部151及び装置間通信部152を1つのICまたは1つのコアとして実装できる。この場合、スイッチ部161、162は、ICまたはコア内部のスイッチとなる。また、電力供給部153を上記ICまたはコアとは別に設ける場合、スイッチ部163は、制御部110により制御される独立したスイッチとすればよい。スイッチ部161、162、163はスイッチング素子、スイッチング素子を含む回路またはスイッチング素子と同様に機能する回路で構成することができ、物理的なスイッチとしてもよい。
【0049】
制御部110が有する接続制御部111は、接続検知部105の検知状態に基づいて、受信部121を制御し、受信部121の動作モード(HDMIモードとMHLモード)の切り替えを行う。すなわち、コネクター122にMHLトランスミッターが接続された場合は、受信部121をMHLモードで動作させ、コネクター123にHDMIソース装置が接続された場合は受信部121をHDMIモードで動作させる。この切り替えは、接続制御部111が、コネクター122、123の接続検出を行う機能によって、実現可能である。
【0050】
また、携帯端末2は、ケーブル30を介してプロジェクター1に接続された場合に、CBUS及びVBUSの電圧値に基づいて接続を検出する。携帯端末2は、インターフェイス部32によって接続を検出し、制御部31が、接続検出時の動作を実行する。
これにより、ケーブル30で接続されたプロジェクター1と携帯端末2とが、相互に制御信号を送受信して、MHLのネゴシエーションを実行し、画像データを送受信可能な状態に移行する。
このネゴシエーションでは、MHL規格で定められたプロトコルに従って、プロジェクター1と携帯端末2との間で、ベンダーや機器の種類を示すデータ、送受信可能なデジタル画像データの解像度、フレームレートに関するデータ等が送受信される。接続制御部111及び制御部31は、ネゴシエーションの実行が可能であるが、ネゴシエーションを受信部121とインターフェイス部32の機能により実行してもよい。
【0051】
接続制御部111は、ケーブル30により携帯端末2がコネクター122に接続された状態で、この接続をいったん切断させ、再接続させる動作(再接続動作)を実行できる。
具体的には、接続制御部111は、スイッチ部161、162、163を開かせて、TMDSクロック/データ線155、CBUS156、及びVBUS157をオープンな状態にする。この状態を第1の状態とする。第1の状態では、受信部121は、ケーブル30によって携帯端末2に接続されているが、信号線(TMDSクロック/データ線155、CBUS156)及び電力線(VBUS157)が切断されている。従って、差動信号受信部151、装置間通信部152及び電力供給部153は、携帯端末2が接続されていない場合と同じ状態になる。
その後、接続制御部111は、スイッチ部161、162、163を閉に切り替えさせて、TMDSクロック/データ線155、CBUS156、及びVBUS157を接続状態にする。この状態を第2の状態とする。第2の状態では、受信部121と携帯端末2とが信号線(TMDSクロック/データ線155、CBUS156)及び電力線(VBUS157)で接続される。
【0052】
接続制御部111が再接続動作を行うと、携帯端末2では、プロジェクター1がいったん切り離され、再び接続された場合と同様に動作する。接続制御部111が受信部121を第1の状態に移行させると、制御部31は、ケーブル30のCBUSを介した制御信号の送受信、及び、VBUSによる電力供給がなくなることから、プロジェクター1が切り離されたと認識する。制御部31は、プロジェクター1が接続されていないので、インターフェイス部32に接続された機器に関するデータを破棄し、インターフェイス部32に何らかの機器が接続されるのを待つ待機状態に移行する。
その後、接続制御部111が受信部121を第2の状態に移行させると、インターフェイス部32のCBUSがプロジェクター1に接続され、VBUSから電流が供給される。制御部31は、CBUS及びVBUSの少なくとも一方の状態(例えば、電圧)に基づき、インターフェイス部32が新たにプロジェクター1に接続されたことを検出する。制御部31は、インターフェイス部32により、ケーブル30を介して接続された機器、すなわちプロジェクター1とネゴシエーションを行う。
【0053】
このように、接続制御部111が再接続動作を行うと、プロジェクター1と携帯端末2との接続がいったん解除され、再び接続される。この動作は、プロジェクションシステム3を使用するユーザーがケーブル30を取り外し、その後、再びケーブル30を接続した場合と同じ作用効果が得られる。
ケーブル30の接続の解除と再接続を行うと、プロジェクションシステム3の動作の問題を解消できることが多い。具体的には、プロジェクター1と携帯端末2との間のネゴシエーションが不完全であった場合には、伝送される画像の解像度等の属性の不一致、クロックのずれ等が起き、正常に画像データを送受信できなくなることがある。このような状態は、プロジェクター1または携帯端末2が故障していなくても発生することがあり、ネゴシエーションを最初からやり直すことが、正常な状態に復帰させるために有効である。例えば、プロジェクター1の電源がオフの状態でケーブル30が接続されていて、その後、プロジェクター1の電源がオンに投入された場合に、不完全なネゴシエーションが行われることがある。
そこで、接続制御部111は、プロジェクター1の電源がオンにされた場合に、再接続動作を実行する。これにより、電源オンの時点で既にケーブル30が接続されていても、ネゴシエーションのやり直しをすることで、完全なネゴシエーションを実行できる。
【0054】
図4は、プロジェクター1の動作を示すフローチャートであり、特に、プロジェクター1の電源投入後の制御部110の動作を示す。
入力部103が操作パネルまたはリモコンの操作によって、プロジェクター1の電源オンの指示を検出し、プロジェクター1の電源が投入されると、制御部110は、起動シーケンスを開始する。すなわち、制御部110が電源部107を起動させ、電源部107からプロジェクター1の各部に電力が供給される(ステップS11)。制御部110は、起動シーケンスを実行して、受信部121を初期化する(ステップS12)。
【0055】
プロジェクター1の起動シーケンスの実行後、または、起動シーケンスの実行中であって受信部121の初期化終了後、接続制御部111は、接続検知部105の検知状態に基づいて、受信部121の接続状態を検出する(ステップS13)。
接続制御部111は、受信部121がコネクター123を介して外部装置に接続されているか否かを判定する(ステップS14)。上述のように、受信部121はHDMIとMHLの両規格に準拠するレシーバーであり、接続検知部105の検知状態をもとに、MHLで接続されているか、HDMIで接続されているか、何も接続されていないかが区別できる。
【0056】
受信部121に、HDMIで外部装置が接続されていると判定した場合(ステップS14;Yes)、制御部110は、受信部121以外の、投射部10、及び、プロジェクター1の画像処理系の初期化などのシステムセットアップを実行して、投射部10を介して、入力された画像信号を投射可能な状態にした上で(ステップS15)、接続制御部111は、受信部121を制御して、受信部121をHDMIモードに切り替えさせる(ステップS16)。その後、受信部121は、コネクター123から入力される画像信号を受信して、画像データを画像処理部131に出力する(ステップS17)。投射制御部112は、投射部10及び画像処理部131を制御して、受信部121から画像処理部131に入力される画像データに基づき、投射部10によって画像を投射させる。接続制御部111は本処理を終了する。
【0057】
一方、受信部121に、HDMI規格に準拠した外部装置が接続されていないと判定した場合(ステップS14;No)、接続制御部111は、受信部121がコネクター122を介して外部装置に接続されているか否かを判定する(ステップS18)。すなわち、受信部121がMHLで外部装置に接続されているか否かを判定する。
ここで、受信部121に外部装置が接続されていないと判定した場合(ステップS18;No)、ステップS15と同様にシステムセットアップのみ実行し(ステップS19)、本処理を終了する。
【0058】
受信部121に、MHLで外部装置が接続されていると判定した場合(ステップS18;Yes)、接続制御部111は、スイッチ部163を閉状態にし、VBUS157への直流電流の供給を開始した上で(ステップS20)、ステップS15と同様にシステムセットアップを実行し、投射部10を介して、入力された画像信号を投射可能な状態にする(ステップS21)。その後、接続制御部111は、受信部121の再接続動作を開始する(ステップS22)。この再接続動作で、接続制御部111は、スイッチ部161、162を開状態にして、TMDSクロック/データ線155及びCBUS156の導通をオープンにする(ステップS23)。このステップS23で、スイッチ部163も開状態にしてもよい。
スイッチ部161、162を開状態にしてから、予め設定された時間が経過した後、接続制御部111は、スイッチ部161、162を閉状態に切り替えさせる(ステップS24)。ステップS23でスイッチ部163を開状態にしていた場合は、ステップS24でスイッチ部163を閉状態にする。さらに、接続制御部111は、電力供給部153を制御して、VBUS157への直流電流の供給を開始させる。
ステップS21の後に、再接続処理を実行する理由は、ステップS21で実行する投射部10の初期化の中で、高電圧駆動を行う光源用の点灯時に発生するイグニッションノイズにより誘発されやすい接続障害を回避することを主目的としており、その他に、ステップS13で接続検出後にシステムセットアップ(ステップS15)を実行しているのは、接続検出を早めに行うことで、システム起動から入力される画像信号が投射されるまでの時間短縮を図る目的もある。プロジェクター1のシステム構成により、上記懸念がない場合には、ステップS15、S19及びS21の処理を、ステップS12で同時に実行してもよい。
【0059】
接続制御部111は、受信部121を制御して、受信部121をMHLモードに切り替えさせる(ステップS25)。その後、受信部121は、コネクター122から入力される画像信号を受信して、画像データを画像処理部131に出力する(ステップS26)。投射制御部112は、投射部10及び画像処理部131を制御して、受信部121から画像処理部131に入力される画像データに基づき、投射部10によって画像を投射させる。接続制御部111は本処理を終了する。
【0060】
ステップS17またはS26で投射を開始して、図4の処理を終了した場合、投射制御部112は、投射部10による画像の投射を継続する。また、ステップS19で図4の処理を終了した場合、接続制御部111は、コネクター122、123にケーブル30、40が接続されるのを待つ待機状態に移行する。
【0061】
図4の例では、プロジェクター1の電源投入後に受信部121の接続を検出し、MHL接続を検出した場合に再接続動作を行う場合を説明した。このほかに、操作パネルまたはリモコンの操作によって、再接続動作の実行が指示されたときに、接続制御部111が再接続動作(図4のステップS18、S22〜S26)を実行してもよい。この場合、ユーザーが任意のタイミングで再接続動作を実行させて、ケーブル30を挿抜することなく、ネゴシエーションをやり直させることができる。
【0062】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態では、携帯端末2と接続されてプロジェクションシステム3を構成するプロジェクター1が、受信部121、及び接続制御部111を備える。受信部121は、携帯端末2に接続され、携帯端末2から画像信号及び制御信号を受信する。接続制御部111は、受信部121を、受信部121に携帯端末2が接続されていないと認識される第1の状態に遷移させた後に、受信部121に携帯端末2が接続されると認識される第2の状態に受信部を遷移させる再接続動作を行う。これにより、再接続動作を実行して、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態にすることができる。従って、例えば、ケーブルによって携帯端末2に有線接続され、接続を検出可能な装置では、ケーブルを挿抜した場合と同様の効果が得られる。これにより、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、ユーザーの作業を伴わずに、正常な接続状態に復帰できる。
【0063】
受信部121は、画像信号を受信する差動信号受信部151と、携帯端末2と信号を通信する装置間通信部152と、携帯端末2に電力を供給する電力供給部153とを有する。つまり、携帯端末2と信号を送受信し、携帯端末2に電力を供給する機能を備えるプロジェクター1において、接続の検出に失敗した場合や接続が不安定になった場合に、速やかに正常な接続状態にすることができる。また、差動信号受信部151は画像信号と音声信号とを受信することもできる。
接続制御部111は、再接続動作で差動信号受信部151及び装置間通信部152の少なくとも一方を第1の状態及び第2の状態に遷移させ、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を、容易に作り出すことができる。
また、接続制御部111は、第1の状態で電力供給部153による電力供給を停止させ、第2の状態で電力供給部153に電力を供給させることで、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を実現できる。
【0064】
また、接続制御部111は、第1の状態で差動信号受信部151、装置間通信部152、及び、電力供給部153とケーブル30との接続を電気的にオープンにするので、携帯端末2に有線接続された状態で、接続の解消および再接続をした場合と同じ状態を確実に実現できる。
また、差動信号受信部151及び装置間通信部152の状態に基づいて、携帯端末2の接続を検知する接続検知部105を備えるので、受信部121に外部装置が接続された場合に必要な再接続動作を行える。このため、不要な再接続動作を実行せずに済むので、効率化を図ることができる。
また、接続制御部111は、接続状態の検出状態に基づいて再接続動作を実行するので、必要に応じて再接続動作を行うことができる。
また、接続制御部111は、動作開始時に再接続動作を実行するので、ネゴシエーションが不完全になりやすい動作開始時に、携帯端末2への接続をいったん切断して再接続することで、確実に正常な接続状態で、動作を開始できる。例えば、接続制御部111は、プロジェクター1の電源がオフの状態から、電源がオンにされ、この電源投入によってプロジェクター1の各部が動作を開始する際に、再接続動作を実行する。また、プロジェクター1が、電源が給電されていて動作を停止している状態にあって、この状態から通常動作に復帰する際に、再接続動作を実行してもよい。動作を停止している状態とは、例えば、通常動作時(例えば、画像の投射中)よりも消費電力が少ない省電力状態が挙げられる。また、プロジェクター1が、一定時間操作されない場合に、制御部110を含む一部のみが給電されて他の部分(投射部10等)への給電が停止するスリープ状態を有する場合、このスリープ状態からの復帰時に再接続動作を行ってもよい。さらに、プロジェクター1が、スリープ状態よりも給電される部分が少ないスタンバイ状態を有する場合、スタンバイ状態からの復帰時に再接続動作を行ってもよい。
これにより、異常な動作の発生前に、携帯端末2とプロジェクター1との接続を正常化でき、信頼性の向上を図ることができる。
また、接続制御部111は、入力部103で検出された入力に従って再接続動作を実行するので、入力により再接続動作を実行させることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、上記実施形態とは異なる態様として本発明を適用することも可能である。上記実施形態では、インターフェイス部32と受信部121とが、MHL規格に適合する方法で接続される構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。受信部121が、画像データまたは画像データをエンコードした画像信号を送出する外部装置に接続されたことを、制御部110が検出可能な構成であれば本発明を適用可能である。さらに、受信部121が、画像データまたは画像データをエンコードした画像信号を送出する外部装置に対し、電力を供給する構成であれば、より好適に本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、ケーブル30、40により携帯端末2や他の外部装置に有線接続されるプロジェクター1を例に挙げて説明した。本発明はこれに限定されない。例えば、受信部121が無線通信手段により、携帯端末2や他の外部装置と接続される構成にも適用できる。具体的には、受信部121が、WiHD(登録商標)やMIRACAST(登録商標)等の無線通信規格に適合した方法で、画像データを受信する構成に適用できる。この場合、接続制御部111は、受信部121が無線通信により携帯端末2に接続されたことを検出して、再接続動作を実行すればよい。この再接続動作では、いったん接続を切断し、再び、受信部121を無線通信により携帯端末2に接続させればよい。
また、上記実施形態では、プロジェクター1の電源投入時、及び、入力部103が入力を検出した場合に、再接続動作を実行する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、接続制御部111に対して再接続動作を実行する条件が予め設定され、接続制御部111が、接続検知部105の検知状態に基づいて、条件に適合すると判定した場合に、再接続動作を行ってもよい。
また、上記実施形態では、再接続動作において、スイッチ部161、162、163の全てを開状態にする例を説明したが、少なくとも差動信号受信部151と装置間通信部152のいずれかについて、コネクター122との接続をオープンにすればよい。すなわち、制御部110が、携帯端末2が接続されていないと認識する状態になればよい。また、携帯端末2において、インターフェイス部32にプロジェクター1が接続されていないと認識される状態であれば、なお好ましい。従って、スイッチ部161、162のいずれか一方のみを開状態にしてもよい。また、スイッチ部161、162を開状態にしてスイッチ部163を閉状態にしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、インターフェイス部101が、受信部121と、インターフェイス125、126とを備える構成を例に挙げて説明したが、インターフェイス部101は受信部121のみを備える構成としてもよい。また、受信部121は、HDMI/MHLレシーバーに限定されず、MHLを含む単一の方法に対応した機能部であってもよい。また、プロジェクター1に接続される外部装置は携帯端末2に限定されず、画像データをプロジェクター1に供給する画像供給装置であればよい。
図1に示したプロジェクションシステム3の各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクションシステム3の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…プロジェクター(表示装置)、2…携帯端末(外部装置)、3…プロジェクションシステム、10…投射部(表示部)、30、40…ケーブル、31…制御部、32、32a…インターフェイス部、33、33a…コネクター、101…インターフェイス部、102…記憶部、103…入力部、105…接続検知部(検知部)、107…電源部、110…制御部、111…接続制御部(制御部)、112…投射制御部、121…受信部(接続部)、122、123…コネクター、131…画像処理部、151…差動信号受信部(信号受信部)、152…装置間通信部、153…電力供給部、155…TMDSクロック/データ線、156…CBUS、157…VBUS、161、162、163…スイッチ部、SC…スクリーン。
図1
図2
図3
図4